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【発明の名称】 オイルフィルタ
【発明者】 【氏名】堀内 洋志

【要約】 【課題】濾過面積を従来と同様の大きさに確保することができ、薄型にすることができるオイルフィルタを提供することを課題とする。

【構成】オイルフィルタ1Aは、互いに側面を突き合わせて濾過室16を形成する一対のケース部材11、12と、ケース部材に設けられ且つ濾過室内を区画するフィルタエレメント部13と、を備え、フィルタエレメント部はフィルタエレメント131を具備し、フィルタエレメントは、濾過室内のダスティ部16aからクリーン部16bに向かう方向流路の長さが、濾過室の高さより長いことを特徴とする。このようなオイルフィルタは、濾過面積を従来と同様の大きさに確保しつつ、薄型にすることが容易である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口及び流出口を有する扁平形状のケース部材と、該ケース部材内部を該流入口側のダスティ部及び該流出口側のクリーン部に仕切るように配置されるフィルタエレメント部と、を備え、
該フィルタエレメント部はフィルタエレメントを具備し、
前記フィルタエレメントは、前記ケース部材の厚さ方向断面に沿って配置されるとともに、前記ダスティ部から前記クリーン部に向かう方向の長さが、該ケース部材の厚さ方向の長さより長く形成されていることを特徴とするオイルフィルタ。
【請求項2】
上記フィルタエレメントは、上記平行方向に繰り返し折り曲がって形成されるヒダ折り状シートであり、且つ該ヒダの幅方向両端部が固着されている請求項1記載のオイルフィルタ。
【請求項3】
上記フィルタエレメントは、上記平行方向に一端側が開口したハニカムフィルタである請求項1記載のオイルフィルタ。
【請求項4】
上記フィルタエレメントは、上記ケース部材に挟持される請求項1乃至3のいずれか一項に記載のオイルフィルタ。
【請求項5】
上記フィルタエレメント部は、フィルタエレメント支持部材を更に具備し、
該フィルタエレメントは、該フィルタエレメント支持部材に設けられ、
該フィルタエレメント支持部材は、上記ケース部材に配設される請求項1乃至3のいずれか一項に記載のオイルフィルタ。
【請求項6】
フィルタエレメント部は、上記ケース部材のそれぞれの突き合わせた側面の間に挟持され、
上記ケース部材の一方がレーザ透過性を有し、上記ケース部材の他方がレーザ吸収性を有し、
該ケース部材の他方の突き合わせた端面と、該フィルタエレメント部との接触部の外側面側にはレーザ光によるエレメント溶着部が形成されている請求項1乃至5のいずれか一項に記載のオイルフィルタ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機用のオイルフィルタに関し、更に詳しくは、濾過面積を従来と同様の大きさに確保しつつ、薄型にすることができるオイルフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から自動変速機等用のオイルフィルタとして、図11に例示するように、互いに突き合されて濾過室16を形成する一対のケース部材110、120と、濾過室16内を区画するようにフィルタエレメント130を設けたものが知られている。このような従来のオイルフィルタは、例えば、フィルタエレメント130をヒダ折りにし、各ヒダの頂部及び底部をケース部材の面に対して垂直な方向に向けるように設け、濾過面積を大きくすることによって、濾過流量を増やしている。
このような自動変速機用オイルフィルタは、搭載するために必要な空間を更に少なくするために、より薄型であるのが望まれている。
例えば、特許文献1のオイルフィルタは、オイルの流入口及び流出口を同一の面に配設することによって、場所の余裕のない個所にも十分に設置することが可能としている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−300916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のオイルフィルタは、フィルタまわりのオイルの流れが従来のオイルフィルタと比べて大きく異なるため、関連する機器の配置等の設計を大きく変更する必要がある。また、各ケース部材と、フィルタエレメントとの間にオイルの流通路を確保する必要があるため大きな薄型化が困難である。特に、各ヒダの頂部及び底部をケース部材の面に対して垂直な方向に向けるように設けている場合は、ヒダを形成し、且つ流通路を確保する必要があるために少なくとも約20mmの高さが必要となるため、この高さをより低くした薄型化が困難である。
また、図12に示すように、リブ17等の支持部材を、フィルタエレメント130の中間部位に配設しないと、固定される間隔が広いため、中央部分の位置ずれが起きやすく、ずれにくいように支持部材を追加する必要があったりした。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、濾過面積を従来と同様の大きさに確保しつつ、薄型にすることができるオイルフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.流入口及び流出口を有する扁平形状のケース部材と、該ケース部材内部を該流入口側のダスティ部及び該流出口側のクリーン部に仕切るように配置されるフィルタエレメント部と、を備え、該フィルタエレメント部はフィルタエレメントを具備し、前記フィルタエレメントは、前記ケース部材の厚さ方向断面に沿って配置されるとともに、前記ダスティ部から前記クリーン部に向かう方向の長さが、該ケース部材の厚さ方向の長さより長く形成されていることを特徴とするオイルフィルタ。
2.上記フィルタエレメントは、上記平行方向に繰り返し折り曲がって形成されるヒダ折り状シートであり、且つ該ヒダの幅方向両端部が固着されている上記1.記載のオイルフィルタ。
3.上記フィルタエレメントは、上記平行方向に一端側が開口したハニカムフィルタである上記1.記載のオイルフィルタ。
4.上記フィルタエレメントは、上記ケース部材に挟持される上記1.乃至上記3.のいずれかに記載のオイルフィルタ。
5.上記フィルタエレメント部は、フィルタエレメント支持部材を更に具備し、該フィルタエレメントは、該フィルタエレメント支持部材に設けられ、該フィルタエレメント支持部材は、上記ケース部材に配設される上記1.乃至上記3.のいずれかに記載のオイルフィルタ。
6.フィルタエレメント部は、上記ケース部材のそれぞれの突き合わせた側面の間に挟持され、上記ケース部材の一方がレーザ透過性を有し、上記ケース部材の他方がレーザ吸収性を有し、該ケース部材の他方の突き合わせた端面と、該フィルタエレメント部との接触部の外側面側にはレーザ光によるエレメント溶着部が形成されている上記1.乃至上記5.のいずれかに記載のオイルフィルタ。
【発明の効果】
【0007】
本発明のオイルフィルタによれば、ダスティ部からクリーン部に向かう方向の長さが長いフィルタエレメント部を備えるため、従来と同じ配管の取り回し構造であっても、濾過面積を従来と同様の大きさに確保しつつ、薄型にすることができる。
また、オイルフィルタの高さが低く、扁平であっても内部を流れるオイルの流通に支障を来すことがないため薄型にすることができる。更に、フィルタエレメント部を支持固定する高さが従来よりも低くした場合は、図12に例示するフィルタエレメント130にリブ17等の支持部材を付加しないでもヒダが密着することを抑制することができる。
【0008】
更に、従来と異なる方向にヒダ折りをおこなったヒダ折り状シートを、フィルタエレメントに用いる場合は、オイルフィルタの高さが低くても濾過室内を流れるオイルの流通に支障を来すことがなく、濾過室が扁平であっても薄型にすることができる。また、フィルタエレメントの高さを従来よりも低くした場合は、図12に例示するフィルタエレメント130にリブ17等の支持部材を付加しなくでも、ヒダが密着することを抑制することができるフィルタエレメントを備えるオイルフィルタとすることができる。
更に、ハニカムフィルタをフィルタエレメントに用いる場合は、オイルフィルタの高さが低くても濾過室内を流れるオイルの流通に支障を来すことがなく、薄型にすることができる。
また、ケース部材に配設するためのフィルタエレメント支持部材を用いる場合は、ケース部材とフィルタエレメント部との接合を容易におこなうことができる。
【0009】
更に、一方のケース部材をレーザ透過性にし、他方のケース部材をレーザ吸収性にした場合は、ケース部材のレーザ溶着が容易におこなうことができ、強固に接合することができる。それぞれレーザ透過性及びレーザ吸収性を備えるケース部材を用いてレーザ溶着されているオイルフィルタは、他方のケース部材の突合せ端部にフィルタエレメントの縁部を接触させた状態で、該他方のケース部材の突合せ端部の先端側外側面及び前記フィルタエレメントの外側面に向かって側方からレーザ光が照射することができる。その結果、他方のケース部材の突合せ端部とフィルタエレメントとの接触部の外側面側にはレーザ光によるエレメント用溶着部が形成され、このエレメント用溶着部によって、他方のケース部材とフィルタエレメントとが強固に溶着される。
従って、フィルタ使用時に濾過室内に過大な内圧がかかっても、フィルタエレメントが損傷したり、固定したものが外れたり(フィルタエレメントが対向する2つのケース部材の間から抜けてしまう)することを抑制できる。また、エレメント用溶着部が濾過室から十分に離れて配置されており、レーザ光の出力等によってエレメント用溶着部の付近で溶着バリ等の異物が発生しても、その異物が、他方のケース部材及びフィルタエレメントの当接面間を通って濾過室内に侵入することを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、例えば、図1〜12を用いて本発明のオイルフィルタを詳細に説明する。
本発明のオイルフィルタは、例えば図1、2に例示するように、扁平形状のケース部材11、12及びフィルタエレメント部13を備える。
【0011】
上記「ケース部材」の大きさ等は特に問わない。また、ケース部材の形状は、扁平形状であり、ダスティ部及びクリーン部からなる濾過室を備えるものであれば特に問わない。通常、例えば図2及び6に例示するように枠状の突合せ端部111、121を有したケース部材11、12とし、この突合せ端部111、121を突き合わせた状態で接合することによって、オイルが流通して濾過される扁平形状の濾過室16を形成するケース部材を挙げることができる。また、図1〜4に例示する側方の一面が突き合わせ用の端部として開口し、高さ方向の辺の長さが他の辺より短い直方体、図9に例示する天井面又は底面が突き合わせ用の端部として開口し、高さ方向の辺の長さが他の辺より短い皿状直方体、及び椀状等を挙げることができる。
【0012】
各ケース部材の材質は特に問わず、例えば、染料及び/又は顔料を含有する合成樹脂材料からなることができる。上記合成樹脂材料としては、例えば、ポリスチレン(PS)、低密度ポリエチレン(LDPE)及びポリカーボネート(PC)等の非晶性樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)及びポリアセタール(POM)等の結晶性樹脂などを挙げることができる。
尚、突き合わせをレーザ溶着によっておこなう場合は、レーザ透過性といった観点から、非晶性樹脂であり、ケース部材が染料を含有することが好ましい。
【0013】
ケース部材同士の突き合わせは、例えば図7に例示するようにケース部材11、12の突合せ端部111、121を直接突き合わせてもよいし、例えば図6に例示するようにフィルタエレメント部13等を突合せ端部111、121の間に挟んで突き合わせても良い。また、突き合わせした状態で固定する方法は特に限定されず、嵌合による固定、及び係止爪等による固定等の機械的な固定方法を例示することができる。更に、接着剤による接着固定、突合せ端部の熱溶着による固定も挙げることができる。また、熱溶着においては、ヒータ及びレーザ等の任意の熱源を用いることができる。
レーザによる溶着は、通常、突合せ端部の周に沿って連続して一様に照射することによっておこなわれる。また、各ケース部材の突合せ端部との当接部には、例えば、レーザ光による溶着部を形成することができる。この溶着部の溶着幅、深さ、形状等は特に問わない。また、溶着部に染料及び顔料等を用いてレーザ吸収性を高めることができる。
【0014】
また、ケース部材11、12には、例えば図1〜4に例示するように、任意形状のオイルの流出口14及び流入口15を具備する。尚、流入口及び流出口を設ける位置は特に限定されず、任意の位置に設けることができる。また、ケース部材のそれぞれに流入口及び流出口を設けてもよいし、一方のケース部材に流入口及び流出口を設けてもよい。
【0015】
上記「フィルタエレメント部」は、濾過室を上記「ダスティ部」と上記「クリーン部」とに区画し、ダスティ部からクリーン部に流れるオイルの濾過をおこなう。また、濾過室は、ダスティ部に流入口が具備され、クリーン部に流出口が具備される。
更に、フィルタエレメント部は、少なくともフィルタエレメントを備える。また、例えば図5に例示するように、フィルタエレメント支持部材135を更に具備することができる。更に、フィルタエレメント部材の形状は、例えば図2及び5に例示するように、ダスティ部16aからクリーン部16bに向かう方向2と平行な方向のフィルタエレメント131の長さLが、フィルタエレメント131の高さHより長くなればよい。このようにダスティ部16aからクリーン部16bに向かう方向に長い扁平形状のフィルタエレメントは、濾過室の高さが低くてもオイルがフィルタエレメントを通過する箇所を多くすることができるため、必要な濾過流量を得ることができ、薄型にすることができる。このため、本フィルタエレメントは、高さが低い扁平形状が特に適し、特にフィルタエレメントの高さが3〜40mm、好ましくは5〜30mm、特に好ましくは8〜25mmとすることができる。
【0016】
上記「フィルタエレメント」は、オイルの濾過をおこなう濾材部分であり、濾過室内に設けることができれば、その大きさ及び材質等は特に問わない。
このフィルタエレメントの形状としては、特に限定されず任意に選択することができ、例えば、図2及び6に例示するヒダ折り状、図7に例示するハニカム状、図8に例示するスポンジ状等を挙げることができる。更に、図6のフィルタエレメント132及び図10のフィルタエレメント134に例示するように、流出口14及び流入口15並びにそれらの周辺を除く濾過室16の略全体にフィルタエレメントを設けることができる。このように、流通の阻害となる流出口14及び流入口15並びにそれらの周辺を除き、その他の濾過室16の略全体にフィルタエレメントを設けることによってより濾過面積を大きくし、薄型にすることができる。
また、フィルタエレメントは、ケース部材の厚さ方向断面に沿って配置される。この「ケース部材の厚さ方向」とは、扁平形状のケース部材において、最も厚さが薄い側面の高さ方向をいう。更に、「厚さ方向断面」とは、濾過室のダスティ部とクリーン部との境界面に位置する断面を表す。
ヒダ折り状のフィルタエレメントは、そのヒダ折りの方向が、ダスティ部16aからクリーン部16bに向かう方向と略平行である方向に繰り返し折り曲がって形成される。即ち、例えば図2及び図5に例示するように、ヒダ折りの頂部の折り目線136がダスティ部16aからクリーン部16bに向かう方向2と平行な方向の一方側に寄り、ヒダ折りの谷部の折目線137が平行方向の他方側に寄るように折り曲がって形成される。
一方、従来のフィルタエレメントは例えば図11に示すように、ヒダ折りの頂部の折目線136及び谷部の折目線137がケース部材110、120の高さ方向に向かうように配列される。このため、従来のフィルタエレメントは、ヒダ折りの折り目線が長くなりやすく、例えば図12に例示する、フィルタエレメント130にリブ17等の支持部材が折り目線の途中にないと、流れるオイルによって変形させられ、ヒダが密着して圧力損失が上昇する。対して本オイルフィルタは、例えば図5に例示するように、折り目線136が濾過室16の高さ分の長さであり、従来のフィルタエレメントの折り目線よりも短くすることができるので、支持部材がなくてもヒダが密着することを抑制し、圧力損失の上昇を抑制することができる。
【0017】
また、フィルタエレメントの材質は特に限定されず、樹脂、紙、金属等を挙げることができる。更に、フィルタエレメントは不織布、織布等の形態とすることができる。尚、フィルタエレメントは、例えば、レーザ透過性を有していてもよいし、レーザ吸収性を有していてもよい。
フィルタエレメントを直接ケース部材に配設する場合、その配設方法は特に限定されず、任意の手段を用いることができる。この例として、各ケース部材によって挟持されるようにして固定する、振動溶着及びレーザ溶着を用いて各ケース部材に接合する、並びに接着剤を用いて接着すること等を挙げることができる。
更に、ヒダ折り状のフィルタエレメントのヒダの幅方向両端部、即ちケース部材の厚さ方向の両端部は、フィルタエレメント支持部材又はケース部材に固着することができる。この固着方法も、フィルタエレメントを直接ケース部材に配設する場合と同様に特に限定されず、挟持、振動溶着、レーザ溶着及び接着等を例示することができる。
【0018】
上記「フィルタエレメント支持部材」は、フィルタエレメントを各ケース部材に係止するための支持部材である。
フィルタエレメント支持部材の形状、大きさ及び材質等は、上記機能を満たすことができるものであれば特に問わない。例えば、フィルタエレメント支持部材135は、例えば図1、図2及び図5に例示するように、フィルタエレメント131に周設される枠体とすることができる。また、フィルタエレメント支持部材135は、例えば図5に例示するように、各ケース部材11、12の突合せ端部111、121と嵌合するための溝138を設けることができる。
フィルタエレメント支持部材と各ケース部材との接合方法は任意に選択することができ、例えば、嵌合させた後、振動溶着、レーザ溶着することができる。更に、フィルタエレメントをフィルタエレメント支持部材に設ける手段も任意に選択することができ、例えばインサート成形した後、振動溶着、レーザ溶着等を例示することができる。
【0019】
本オイルフィルタの製造方法は特に限定されないが、例えば、ケース部材のそれぞれの突合せ端部の間にフィルタエレメントの縁部を挟んだ状態で、該ケース部材を突き合わせ方向に加圧し、その加圧状態で、上記レーザ光を照射してエレメント溶着部形成することによって固定する方法を挙げることができる。これにより、フィルタエレメントの加圧状態でレーザ光が照射されることとなり、フィルタエレメントの内部密度を高めてフィルタエレメント及び他方のケース部材の接合強度を向上させ得ることができる。
本オイルフィルタは、通常自動変速機用オイルの濾過に用いられるがこれに限られず、エンジンオイルや油圧装置等のオイルの濾過に用いることができる。また、燃料等の流体の濾過にも用いることができる。
【実施例1】
【0020】
以下、実施例により本発明のオイルフィルタを具体的に説明する。また、本実施例1〜4において、略同じ構成部位には同じ符号を付け詳説を省略するものとする。
本実施例1のオイルフィルタ1Aは、車両に用いる自動変速機用オイルフィルタであり、図1〜5に示すように、ケース部材11、12と、フィルタエレメント部13と、を備える。また、ケース部材11、フィルタエレメント部13及びケース部材12をこの順に突き合わせると濾過室16が形成され、ケース部材11、フィルタエレメント部13及びケース部材12の順にオイルが流れる。
【0021】
ケース部材11、12は、合成樹脂からなり、一の端面が開口した扁平な直方体である。また、それぞれオイルの流出口14及び流入口15を備えている。フィルタエレメント部13は、フィルタエレメント131及びフィルタエレメント支持部材135とからなる。
フィルタエレメント131は、ヒダ折り状の濾紙である。また、フィルタエレメント131は、ヒダ折りの頂部の折り目線136が平行方向の一方側に寄り、ヒダ折りの谷部の折目線137が平行方向の他方側に寄るように折り曲がって形成されている。更に、ヒダ折りされた状態のヒダの長さ方向となるフィルタエレメント131の長さLは、ヒダの幅方向となるフィルタエレメント131の高さHよりも長い。
フィルタエレメント支持部材135は、フィルタエレメント131を囲うように支持する支持部材であり、フィルタエレメント131が露出する開口部の周縁には、ケース部材11、12の突合せ端部111、121を嵌合するための溝部138が形成されている。更に、フィルタエレメント支持部材135とフィルタエレメント131とは、フィルタエレメント131の全てのヒダの幅方向両端部をインサート成形により固定している。
【0022】
このようなオイルフィルタ1Aは、流入口15から濾過室16に入ったオイルが、ケース部材12を通過し、次いでフィルタエレメント部13のフィルタエレメント131によって濾過され、その後、ケース部材11を通過して流出口14から流出する。
また、例えば図11に例示するヒダ折り状フィルタエレメントシートを備えるオイルフィルタのように、フィルタエレメントの上下にオイルを流通させるための空隙を設ける必要がないため、濾過室内の高さを20mm未満にすることが容易であり、20mm未満の扁平なオイルフィルタとしてもオイルの流通に支障を来すことがなく、且つ薄型にすることができる。
【実施例2】
【0023】
本実施例2のオイルフィルタ1Bは、濾過室の略全体にフィルタエレメントを設けた自動変速機用のオイルフィルタであり、図6に示すように、ケース部材11、12と、フィルタエレメント部13Bと、を備える。
一方のケース部材11は、染料を含有してなる合成樹脂材料からなり、レーザ透過性を有している。また、他方のケース部材12は、カーボンブラック等の顔料を含有してなる合成樹脂材料からなり、レーザ吸収性を有している。
更に、フィルタエレメント部13Bは、ヒダ折りされたフィルタエレメント132のみによって構成されており、フィルタエレメント132の端部をケース部材11、12の突合せ端部111、121間に挟持させるように固定されている。また、フィルタエレメント132は、流出口14及び流入口15、並びにその周辺を除く濾過室の略全体の大きさで設けられている。このため、フィルタエレメント132の形状は、流出口14及び流入口15、並びにそれらの周辺を除くことができるように、途中のヒダ折りする長さを短くしているため、全体として流出口14及び流入口15の付近がくびれた形状になっている。
また、フィルタエレメント11は不織布製であり、レーザ透過性を有している。
【0024】
このようなオイルフィルタ1Bは、ケース部材11、12の突き合わせ部分をレーザ溶着することによって、ケース部材11、12と、フィルタエレメント部13Bとを接合して製造される。
具体的には、一方のケース部材11の突合せ端部111と、他方のケース部材12の突合せ端部121との間にフィルタエレメント132の縁部を挟んだ状態で、外力によって、各ケース部材11,12が突き合わせ方向に加圧される。このとき、フィルタエレメント132の縁部は低密度状態とされる。そして、その加圧状態で、フィルタエレメント132の外側面、及び他方のケース部材12の突合せ端部121の先端側外側面に向かって側方からレーザ光が照射される。
レーザ光照射によって、レーザ吸収性を有する他方のケース部材12の突合せ端部121の先端側外側面部が溶融される。その溶融部はレーザ光の照射方向(突合せ方向と直交する方向)に所定の溶融深さを持つため、その溶融部とフィルタエレメント132との接触部では、溶融部の一部がフィルタエレメント132の構成繊維内に侵入したり、溶融部の発熱がフィルタエレメント132に伝達され、フィルタエレメント132の構成繊維が部分的に溶融されたりする。その後、レーザ光の照射を止めて溶融部を冷却させることで他方のケース部材12とフィルタエレメント132との溶着が完了することとなる。
レーザ光を照射して得られたオイルフィルタ1Bは、他方のケース部材12の突合せ端部121とフィルタエレメント132との接触部の外側面側にレーザ光によるフィルタエレメントの溶着部139が形成されている。
【0025】
このようなオイルフィルタ1Bは、実施例1のフィルタエレメント131と同じ大きさの濾過室であっても、より多くの体積を占め、より大きな濾過面積を有するフィルタエレメント132を備えることができるため、必要な濾過流量を維持しつつ薄型にすることができる。また、フィルタエレメント支持部材を有しないため、より小型のオイルフィルタを作製することができる。更に、レーザ溶着によってケース部材11、12及びフィルタエレメント132を接合しているため、より強固に溶着することができる。
【実施例3】
【0026】
本実施例3のオイルフィルタ1Cは、濾過室にハニカムフィルタであるフィルタエレメントを設けた自動変速機用のオイルフィルタであり、図7に示すように、ケース部材11、12と、フィルタエレメント部13Cと、を備える。
ケース部材11及びケース部材12は、実施例2と同様に、一方のケース部材11が染料を含有してなる合成樹脂材料からなり、他方のケース部材12がカーボンブラック等の顔料を含有してなる合成樹脂材料からなる。
また、フィルタエレメント部13Cは、断面が波形になった濾紙シートと、平板状の濾紙シートとを交互に積層し、端面に形成される開口部を交互に密閉したハニカムフィルタであるフィルタエレメント133からなる。また、フィルタエレメント133は、ケース部材11、12を突き合わせて形成される濾過室16に配置され、ケース部材11、12に設けられた溝部に嵌合することによって固定されている。更に、フィルタエレメント133、その開口部が、一方がケース部材11側に位置し、他方がケース部材12側に位置するように配置される。また、フィルタエレメント133のダスティ部16aからクリーン部16bに向かう方向の長さは、実施例1及び2のフィルタエレメント131、132と同様に、フィルタエレメント133の高さよりも長い。
このようなオイルフィルタ1Cは、実施例2と同様に、ケース部材11、12の突き合わせ部分をレーザ溶着することによって、ケース部材11、12と、フィルタエレメント部13Cとを接合して製造される。
【0027】
本オイルフィルタ1Cは、実施例1及び2のオイルフィルタ1A、1Bと同様に、扁平な濾過室であっても、より多くの体積を占め、より大きな濾過面積を有するハニカムフィルタであるフィルタエレメント133を備えることができるため、必要な濾過流量を維持しつつ薄型にすることができる。また、実施例2と同様にフィルタエレメント支持部材を有しないため、より小型のオイルフィルタを作製することができる。更に、レーザ溶着によってケース部材11、12及びフィルタエレメント133を接合しているため、より強固に溶着することができる。
【実施例4】
【0028】
本実施例4のオイルフィルタ1Dは、濾過室に多孔質体のフィルタエレメントを設けた自動変速機用のオイルフィルタであり、図8に示すように、ケース部材11、12と、フィルタエレメント部13Dと、を備える。
ケース部材11及びケース部材12は、実施例2、3と同様に、一方のケース部材11が染料を含有してなる合成樹脂材料からなり、他方のケース部材12がカーボンブラック等の顔料を含有してなる合成樹脂材料からなる。
また、フィルタエレメント部13Dは、多孔質体からなるフィルタエレメント134を備える。また、フィルタエレメント134は、ケース部材11、12を突き合わせて形成される濾過室16に配置され、ケース部材11、12に設けられた溝部に嵌合することによって固定されている。更に、フィルタエレメント134の長さは、実施例1〜3のフィルタエレメント131、132、133と同様に、長さLが、フィルタエレメント134の高さよりも長い。
このようなオイルフィルタ1Dは、実施例2及び3と同様に、ケース部材11、12の突き合わせ部分をレーザ溶着することによって、ケース部材11、12と、フィルタエレメント部13Dとを接合して製造される。
【0029】
本オイルフィルタ1Dは、実施例1〜3のオイルフィルタ1A〜1Cと同様に、扁平な濾過室であっても、より多くの体積を占め、より大きな濾過面積を有するスポンジ状フィルタエレメント134を備えることができるため、必要な濾過流量を維持しつつ薄型にすることができる。また、実施例2及び3と同様にフィルタエレメント支持部材を有しないため、より小型のオイルフィルタを作製することができる。更に、レーザ溶着によってケース部材11、12及びフィルタエレメント134を接合しているため、より強固に溶着することができる。
【0030】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、ケース部材の形状は、図1〜4に例示する側方の一面が突き合わせ用の端部として開口し、高さ方向の辺の長さが他の辺より短い直方体であるケース部材11、12に限られない。この例として、図9に示すように天井面又は底面が突き合わせ用の端部として開口し、高さ方向の辺の長さが他の辺より短い皿状直方体であるケース部材11A、12Aとすることができる。
また、例えば実施例4のオイルフィルタ1Dにおいて、図10に示すように流出口14及び流入口15の底面に位置する位置まで突出させるために、断面形状を平行四辺形としたフィルタエレメント134Aとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
汚染流体、特にオイルを濾過するフィルタとして利用される。特に、車両の自動変速機用オイルフィルタとして好適に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施例1に係るオイルフィルタの外観を説明するための模式斜視図である。
【図2】本実施例1に係るオイルフィルタにおいて、フィルタエレメントの配設状態を説明するための水平方向に切断した模式斜視断面図である。
【図3】実施例1に係るオイルフィルタを構成する一方のケース部材の外観を説明するための模式斜視図である。
【図4】実施例1に係るオイルフィルタを構成する他方のケース部材の外観を説明するための模式斜視図である。
【図5】実施例1に係るオイルフィルタを構成するフィルタエレメント部の外観と、フィルタエレメントの配設状態を説明するための一部を透過させた模式斜視図である。
【図6】本実施例2に係る、濾過室内の略全体にフィルタエレメントを配設したオイルフィルタの説明するための水平方向に切断した模式断面図である。
【図7】本実施例3に係る、ハニカムフィルタを用いたフィルタエレメントを配設したオイルフィルタの説明するための水平方向に切断した模式斜視断面図である。
【図8】本実施例4に係る、スポンジ状フィルタを用いたフィルタエレメントを配設したオイルフィルタの説明するための水平方向に切断した模式断面図である。
【図9】他の本実施例に係る、皿状のケース部材を備えるオイルフィルタの説明するための分解模式斜視図である。
【図10】他の本実施例に係る、流入口及び流出口側に突出するフィルタエレメントを備えるオイルフィルタの説明するための模式断面図である。
【図11】従来のオイルフィルタを説明するための模式断面図である。
【図12】従来のオイルフィルタに用いられるフィルタエレメントを説明するための模式断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1A、1B、1C、1D;オイルフィルタ、11、12;ケース部材、111、121;突合せ端部、
13;フィルタエレメント部、130、131、132、133、134;フィルタエレメント、135;フィルタエレメント支持部材、136、137;折り目線、138;溝部、139;溶着部、14;流出口、15;流入口、16;濾過室、16a;ダスティ部、16b;クリーン部、17;リブ。
【出願人】 【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路

【識別番号】100117134
【弁理士】
【氏名又は名称】萩野 義昇

【識別番号】100111752
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 直也


【公開番号】 特開2008−670(P2008−670A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171897(P2006−171897)