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【発明の名称】 有機溶剤濃縮装置
【発明者】 【氏名】上田 哲也

【氏名】中曽根 孝昭

【氏名】村岡 和浩

【氏名】須賀 亮介

【要約】 【課題】従来の課題であるシステムの大型化、高コスト化を解決するものであり、真空ポンプ、冷凍機を用いずに装置を小型化、低コスト化し、しかも吸着性能を確保し吸着出口の有機溶剤蒸気濃度を安定して低減することができる。

【構成】少なくとも4個以上の吸着塔1a〜1fにおいて、吸着剤2a〜2fへ有機溶剤を吸着させる吸着モードと、吸着剤2a〜2fを加熱するとともに吸着された有機溶剤を脱着させる脱着モードと、冷却手段によって加熱脱着後の吸着剤2a〜2fを冷却させる冷却モードの運転を、吸着モード〜脱着モード〜冷却モードの順にそれぞれ切替え、冷却手段は、吸着剤2a〜2fの直接冷却、吸着塔1a〜1fの冷却、吸着塔1a〜1fへの冷却流体の流通のいずれかまたは複数の組合せ手段によって行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着剤と加熱手段と冷却手段とを有する少なくとも4個以上の吸着塔と、前記各吸着塔に流路切替手段を介して各々接続された吸着前の気体を吸入する吸着入口経路、吸着後の気体を排出する吸着出口経路、脱着前の気体を吸入する脱着入口経路、脱着後の気体を排出する脱着出口経路と、前記吸着塔および前記各経路内の気体を搬送するための送風手段と、制御器とを備え、前記制御器が前記流路切替手段と前記送風手段を制御することにより、各々の前記吸着塔において、吸着入口経路〜吸着塔〜吸着出口経路に有機溶剤蒸気を含有する気体を流通させ前記吸着剤へ吸着させる吸着モードと、前記吸着剤を前記加熱手段によって加熱するとともに脱着入口経路〜吸着塔〜脱着出口経路に気体を流通させ前記吸着剤に吸着された有機溶剤を脱着させる脱着モードと、前記冷却手段によって加熱脱着後の前記吸着剤を冷却させる冷却モードの運転を、吸着モード〜脱着モード〜冷却モードの順にそれぞれ切替え、前記吸着モードで運転する吸着塔の個数が、前記脱着モードで運転する吸着塔の個数より多くなるように制御され、かつ、前記吸着モードで運転する吸着塔内を流通する気体の流量が、前記脱着モードで運転する吸着塔内を流通する気体の流量よりも多くなるように制御され、前記冷却手段は、前記吸着剤の直接冷却、前記吸着塔の冷却、前記吸着塔への冷却流体の流通のいずれかまたは複数の組合せ手段によって行う有機溶剤濃縮装置。
【請求項2】
吸着剤を直接冷却する冷却手段として、各吸着塔内の前記吸着剤近傍にヒートポンプの吸熱コイルを設け、冷却モードにおいて、前記吸熱コイル内に冷媒を流通させ前記ヒートポンプで熱を吸収することによって前記吸着剤の冷却を行う、請求項1記載の有機溶剤濃縮装置。
【請求項3】
吸着剤を直接冷却する冷却手段として、各吸着塔内の前記吸着剤近傍に冷水コイルを設け、冷却モードにおいて、前記冷水コイル内に冷水を流通させることによって前記吸着剤の冷却を行う、請求項1記載の有機溶剤濃縮装置。
【請求項4】
吸着塔を冷却する冷却手段として、前記各吸着塔外周に放熱フィンを設け、冷却モードにおいて、冷却ファンで前記放熱フィンに風を当てることによって前記吸着塔内部の吸着剤の冷却を行う、請求項1記載の有機溶剤濃縮装置。
【請求項5】
吸着塔を冷却する冷却手段として、前記各吸着塔外周にヒートポンプの吸熱コイルを設け、冷却モードにおいて、前記吸熱コイル内に冷媒を流通させ前記ヒートポンプで熱を吸収することによって前記吸着塔内部の吸着剤の冷却を行う、請求項1記載の有機溶剤濃縮装置。
【請求項6】
吸着塔を冷却する冷却手段として、前記各吸着塔外周に冷水コイルを設け、冷却モードにおいて、前記冷水コイル内に冷水を流通させることによって前記吸着塔内部の吸着剤の冷却を行う、請求項1記載の有機溶剤濃縮装置。
【請求項7】
吸着塔へ冷却流体を流通させる冷却手段として、前記各吸着塔に冷却循環経路を介して冷却器を接続し、冷却モードにおいて、前記冷却器で冷却された冷却空気を前記冷却循環経路から前記吸着塔へ流通させることによって前記吸着塔内部の吸着剤の冷却を行う、請求項1記載の有機溶剤濃縮装置。
【請求項8】
冷却手段の冷却器は、外周に放熱フィンを設け、冷却モードにおいて、冷却ファンで前記放熱フィンに風を当てることによって前記冷却器内の空気を冷却し吸着塔に供給する、請求項7記載の有機溶剤濃縮装置。
【請求項9】
冷却手段の冷却器は、内部にヒートポンプの吸熱コイルを設け、冷却モードにおいて、前記吸熱コイル内に冷媒を流通させ前記ヒートポンプで熱を吸収することによって前記冷却器内の空気を冷却し吸着塔に供給する、請求項7記載の有機溶剤濃縮装置。
【請求項10】
冷却手段の冷却器は、内部に冷水コイルを設け、冷却モードにおいて、前記冷水コイル内に冷水を流通させることによって前記冷却器内の空気を冷却し吸着塔に供給する、請求項7記載の有機溶剤濃縮装置。
【請求項11】
各吸着塔内の吸着剤近傍にヒートポンプの放熱コイルを設け、冷却モードで運転している吸着塔に付属するヒートポンプの吸熱コイルにて吸収した熱を、脱着モードで運転している吸着塔に設けられた放熱コイルにて放出するようにした、請求項2、5または9に記載の有機溶剤濃縮装置。
【請求項12】
各吸着塔外周にヒートポンプの放熱コイルを設け、冷却モードで運転している吸着塔に付属するヒートポンプの吸熱コイルにて吸収した熱を、脱着モードで運転している吸着塔に設けられた放熱コイルにて放出するようにした、請求項2、5または9に記載の有機溶剤濃縮装置。
【請求項13】
各吸着塔の脱着入口経路の合流部より上流にヒートポンプの放熱コイルを設け、冷却モードで運転している吸着塔に付属するヒートポンプの吸熱コイルにて吸収した熱を、前記放熱コイルにて放出し脱着モードで運転している吸着塔に供給するようにした、請求項2、5または9記載の有機溶剤濃縮装置。
【請求項14】
加熱手段は各吸着塔内の吸着剤近傍に備えた輻射ヒータであって、脱着モードにおいて前記輻射ヒータの輻射熱によって前記吸着剤を加熱する、請求項1〜13のいずれかに記載の有機溶剤濃縮装置。
【請求項15】
輻射ヒータはハロゲンヒータである、請求項14記載の有機溶剤濃縮装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性有機化合物(VOC)としての有機溶剤蒸気を、発生源から除去するための有機溶剤回収システムにおいて使用される有機溶剤濃縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大気汚染防止の観点から、揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制、すなわち有機溶剤蒸気の発生源からの大気拡散防止が求められている。これを解決するために、種々の有機溶剤回収システムが開発されてきた。一般に有機溶剤回収システムは、前段の有機溶剤蒸気を濃縮する有機溶剤濃縮装置と、後段の濃縮された有機溶剤を液化する液化装置とから構成されている。そして、濃縮、液化されて回収された有機溶剤は、再び有機溶剤蒸気の発生源へ戻されるものである。
【0003】
従来、この有機溶剤回収システムに使用される有機溶剤濃縮装置は、内部に吸着剤を有する複数の吸着塔のうち、1塔を吸着モードとして、1塔を脱着モードとして、1塔を冷却モードとして運転し、有機溶剤を濃縮していた(例えば、特許文献1参照)。以下、その装置と動作について、図10を参照しながら説明する。
【0004】
図10において、101a、101b、101cは、内部に吸着剤102a、102b、102cを有する吸着塔(A塔、B塔、C塔)で、それぞれ下端を、電磁弁113a、113b、113cを介して廃ガス経路103a、103b、103c、103に、また、電磁弁114a、114b、114cを介して回収ガス経路104a、104b、104c、104に、接続されている。一方、吸着塔101a、101b、101cの上端は、電磁弁115a、115b、115cを介して放散ガス経路105a、105b、105cに、また、電磁弁116a、116b、116cを介して加熱空気経路106a、106b、106c、106に、また、電磁弁117a、117b、117cを介して空気供給経路107a、107b、107c、107に、それぞれ接続されている。加熱空気経路106には、空気を加熱するための加熱装置121が、回収ガス経路104には吸着塔101a、101b、101c内の気体を排出するための真空ポンプ122が設けられ、真空ポンプ122の下流には、後段の処理装置としての冷凍機123が接続されている。
【0005】
つぎに、図10における動作を説明する。理解しやすくするために、まず吸着塔A塔101aの動作から説明する。はじめに、電磁弁113aと電磁弁115aを開く。そして、有機溶剤発生源(図示せず)から導かれた有機溶剤蒸気を含む空気は、廃ガス経路103、103aから吸着塔A塔101aを通る際に、吸着剤102aによって有機溶剤が吸着され、清浄空気となって放散ガス経路105aから外部へ排出される(吸着モード)。その後、電磁弁113aと電磁弁115aを閉じ、電磁弁116aと電磁弁114aを開き、加熱装置121で加熱された空気が、加熱空気経路106、106aから吸着塔A塔101aを通る際に、熱により吸着剤102aから有機溶剤を脱着(離脱)させ、真空ポンプ122の動力によって吸着塔A塔101a内を負圧にしながら、有機溶剤蒸気を含む空気を回収ガス経路104a、104から冷凍機123へと搬送する(脱着モード)。冷凍機123では、脱着された有機溶剤蒸気を氷点下まで冷却、凝縮させ、液化することによって有機溶剤液体として回収し、必要に応じて有機溶剤発生源へ戻す。その後、電磁弁116aと電磁弁114aを閉じ、電磁弁117aを開き、負圧になった吸着塔A塔101a内に空気供給経路107、107aから冷却用空気を導入する(冷却モード)。
【0006】
この一連の動作は、吸着塔A塔101aが吸着モード〜脱着モード〜冷却モードと移行する間に、吸着塔B塔101bは脱着モード〜冷却モード〜吸着モードと移行し、吸着塔C塔101cは冷却モード〜吸着モード〜脱着モードと移行し、常に吸着、脱着、冷却の各モードを、いずれかの吸着塔で分担して運転するよう制御されている。これによって、発生源からの有機溶剤蒸気は、吸脱着による濃縮を経て、後段の処理装置へ送られるものである。
【特許文献1】特許第3421923号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来の有機溶剤濃縮装置では、脱着モードおよび冷却モードにおいて真空ポンプが必要で、特に冷却モードにおいて完全に冷却しようとすると、かなり大型の真空ポンプを必要とし、そのために機器が大型になりコストも高くなるという課題があった。逆に、真空ポンプの能力を合理的に小さくしようとすると、冷却モードにおいて十分な冷却用空気の導入が行われずに、冷却が不十分で次工程の吸着モードにおいて十分な吸着能力が発揮できず、放散ガス経路(吸着出口)から排出される気体中の有機溶剤蒸気濃度が高くなるという課題があった。
【0008】
一方、このような従来の有機溶剤濃縮装置における濃縮倍率は、吸着モードにおいて吸着塔を通過する気体の流量Q1と、脱着モードにおいて吸着塔を通過する気体の流量Q2との比、Q1/Q2で表される。例えば、吸着モードの流量に対し脱着モードの流量が1/2であった場合、吸着された有機溶剤が全て脱着したとして、脱着後の有機溶剤蒸気の平均濃度は2倍となり、濃縮倍率が2倍になったと表現することができる。そして、脱着時にある程度の流量がないと十分脱着しないことから、脱着モードの流量を大幅に減少させることはできず、濃縮倍率には限界があった。例えば、塩化メチレンの場合、これまで濃縮倍率は5倍程度が限界とされていた。この程度の濃縮倍率では、後段の処理装置としての冷凍機123で氷点下のかなり低温まで冷却しないと塩化メチレンの液化回収ができないことから、冷凍機123が大型化し、コストも高くなるという課題があった。
【0009】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、真空ポンプ、冷凍機を用いずに装置を小型化、低コスト化し、しかも吸着性能を確保し吸着出口の有機溶剤蒸気濃度を安定して低減することができる有機溶剤濃縮装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の有機溶剤濃縮装置は、上記目的を達成するために、吸着剤と加熱手段と冷却手段とを有する少なくとも4個以上の吸着塔と、各吸着塔に流路切替手段を介して各々接続された吸着前の気体を吸入する吸着入口経路、吸着後の気体を排出する吸着出口経路、脱着前の気体を吸入する脱着入口経路、脱着後の気体を排出する脱着出口経路と、吸着塔および各経路内の気体を搬送するための送風手段と、制御器とを備え、制御器が流路切替手段と送風手段を制御することにより、各々の吸着塔において、吸着入口経路〜吸着塔〜吸着出口経路に有機溶剤蒸気を含有する気体を流通させ吸着剤へ吸着させる吸着モードと、吸着剤を加熱手段によって加熱するとともに脱着入口経路〜吸着塔〜脱着出口経路に気体を流通させ吸着剤に吸着された有機溶剤を脱着させる脱着モードと、冷却手段によって加熱脱着後の吸着剤を冷却させる冷却モードの運転を、吸着モード〜脱着モード〜冷却モードの順にそれぞれ切替え、吸着モードで運転する吸着塔の個数が、脱着モードで運転する吸着塔の個数より多くなるように制御され、かつ、吸着モードで運転する吸着塔内を流通する気体の流量が、脱着モードで運転する吸着塔内を流通する気体の流量よりも多くなるように制御され、冷却手段は、吸着剤の直接冷却、吸着塔の冷却、吸着塔への冷却流体の流通のいずれかまたは複数の組合せ手段によって行うようにしたものである。
【0011】
この手段により、冷却モードにおける吸着剤の冷却を確実に行うことによって、吸着モードにおける吸着性能を確保し、吸着出口の有機溶剤蒸気濃度を安定して低減することができ、しかも真空ポンプを用いることがないため装置を小型化、低コスト化することができる。また、濃縮倍率を高くすることによって冷凍機を用いる必要がないため、装置を小型化、低コスト化することができる。
【0012】
また、他の手段は、吸着剤を直接冷却する冷却手段として、各吸着塔内の吸着剤近傍にヒートポンプの吸熱コイルを設け、冷却モードにおいて、吸熱コイル内に冷媒を流通させヒートポンプで熱を吸収することによって吸着剤の冷却を行うものである。吸着剤を直接冷却することにより、冷却モードにおける吸着剤の冷却を確実にかつ効率良く行うことができる。
【0013】
また、他の手段は、吸着剤を直接冷却する冷却手段として、各吸着塔内の吸着剤近傍に冷水コイルを設け、冷却モードにおいて、冷水コイル内に冷水を流通させることによって吸着剤の冷却を行うものである。吸着剤を直接冷却することにより、冷却モードにおける吸着剤の冷却を確実に行うとともに装置を安価に製作することができる。
【0014】
また、他の手段は、吸着塔を冷却する冷却手段として、各吸着塔外周に放熱フィンを設け、冷却モードにおいて、冷却ファンで放熱フィンに風を当てることによって吸着塔内部の吸着剤の冷却を行うものである。これにより、冷却モードにおける吸着剤の冷却を確実に行うとともに、装置の耐久性を向上させることができる。
【0015】
また、他の手段は、吸着塔を冷却する冷却手段として、各吸着塔外周にヒートポンプの吸熱コイルを設け、冷却モードにおいて、吸熱コイル内に冷媒を流通させヒートポンプで熱を吸収することによって吸着塔内部の吸着剤の冷却を行うものである。これにより、冷却モードにおける吸着剤の冷却を確実にかつ効率良く行うとともに、装置の耐久性を向上させ吸着剤のメンテナンスを容易にすることができる。
【0016】
また、他の手段は、吸着塔を冷却する冷却手段として、各吸着塔外周に冷水コイルを設け、冷却モードにおいて、冷水コイル内に冷水を流通させることによって吸着塔内部の吸着剤の冷却を行うものである。これにより、冷却モードにおける吸着剤の冷却を確実に行うとともに装置を安価に製作することができ、装置の耐久性も向上させることができる。
【0017】
また、他の手段は、吸着塔へ冷却流体を流通させる冷却手段として、各吸着塔に冷却循環経路を介して冷却器を接続し、冷却モードにおいて、冷却器で冷却された冷却空気を冷却循環経路から吸着塔へ流通させることによって吸着塔内部の吸着剤の冷却を行うものである。これにより、装置の耐久性を向上させた上で、冷却モードにおける吸着剤の冷却を万遍なく確実に行うことができる。
【0018】
また、他の手段は、冷却手段の冷却器外周に放熱フィンを設け、冷却モードにおいて、冷却ファンで放熱フィンに風を当てることによって冷却器内の空気を冷却し吸着塔に供給するものである。これにより、装置の耐久性を向上させた上で、冷却モードにおける吸着剤の冷却を万遍なく確実に行うことができる。
【0019】
また、他の手段は、冷却手段の冷却器内部にヒートポンプの吸熱コイルを設け、冷却モードにおいて、吸熱コイル内に冷媒を流通させヒートポンプで熱を吸収することによって冷却器内の空気を冷却し吸着塔に供給するものである。これにより、装置の耐久性を向上させた上で、冷却モードにおける吸着剤の冷却を万遍なく確実にかつ効率良く行うことができる。
【0020】
また、他の手段は、冷却手段の冷却器内部に冷水コイルを設け、冷却モードにおいて、冷水コイル内に冷水を流通させることによって冷却器内の空気を冷却し吸着塔に供給するものである。これにより、装置の耐久性を向上させた上で、冷却モードにおける吸着剤の冷却を万遍なく確実に行うことができるとともに装置を比較的安価に製作することができる。
【0021】
また、他の手段は、各吸着塔内の吸着剤近傍にヒートポンプの放熱コイルを設け、冷却モードで運転している吸着塔に付属するヒートポンプの吸熱コイルにて吸収した熱を、脱着モードで運転している吸着塔に設けられた放熱コイルにて放出するようにしたものである。これにより、冷却モードにおける廃熱を吸着モードにおける加熱に利用することができ、装置の運転エネルギーを低減させることができる。
【0022】
また、他の手段は、各吸着塔外周にヒートポンプの放熱コイルを設け、冷却モードで運転している吸着塔に付属するヒートポンプの吸熱コイルにて吸収した熱を、脱着モードで運転している吸着塔に設けられた放熱コイルにて放出するようにしたものである。これにより、冷却モードにおける廃熱を吸着モードにおける加熱に利用することができ、装置の運転エネルギーを低減させることができるとともに、吸着剤のメンテナンスを容易にすることができる。
【0023】
また、他の手段は、各吸着塔の脱着入口経路の合流部より上流にヒートポンプの放熱コイルを設け、冷却モードで運転している吸着塔に付属するヒートポンプの吸熱コイルにて吸収した熱を、放熱コイルにて放出し脱着モードで運転している吸着塔に供給するようにしたものである。これにより、冷却モードにおける廃熱を吸着モードにおける加熱に利用することができ、装置の運転エネルギーを低減させることができるとともに、装置を安価に製作することができる。
【0024】
また、他の手段は、加熱手段が各吸着塔内の吸着剤近傍に備えた輻射ヒータであって、脱着モードにおいて輻射ヒータの輻射熱によって吸着剤を加熱するものである。これにより、脱着モードにおける吸着剤の加熱を迅速にかつ効率的に行うことができる。
【0025】
また、他の手段は、輻射ヒータにハロゲンヒータを用いたものである。これにより、脱着モードにおける吸着剤の加熱を、さらに迅速にかつ効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、冷却モードにおける吸着剤の冷却を確実に行うことによって、吸着モードにおける吸着性能を確保し、吸着出口の有機溶剤蒸気濃度を安定して低減することができ、しかも真空ポンプを用いることがないため装置を小型化、低コスト化することができる。また、濃縮倍率を高くすることによって冷凍機を用いる必要がないため、装置を小型化、低コスト化することができる。
【0027】
また、装置を安価に製作することができる、装置の耐久性を向上することができる、装置の運転エネルギーを低減することができる、吸着剤のメンテナンスを容易にすることができる、吸着剤の加熱を迅速にかつ効率的に行うことができる、などの効果も奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の請求項1記載の発明は、冷却手段として、吸着剤の直接冷却、吸着塔の冷却、吸着塔への冷却流体の流通のいずれかまたは複数の組合せ手段を用いることにより、冷却モードにおける吸着剤の冷却を確実に行うという作用を有する。その結果、吸着モードにおける吸着性能を確保し、吸着出口の有機溶剤蒸気濃度を安定して低減することができ、しかも真空ポンプを用いることがないため装置を小型化、低コスト化することができる。
【0029】
また、吸着モードで運転する吸着塔の個数N1が、脱着モードで運転する吸着塔の個数N2より多くなるように制御され、かつ、吸着モードで運転する吸着塔内を流通する気体の流量Q1が、脱着モードで運転する吸着塔内を流通する気体の流量Q2よりも多くなるように制御されているため、濃縮倍率を(N1/N2)×(Q1/Q2)に高めるという作用を有する。その結果、冷凍機を用いる必要がないため、装置を小型化、低コスト化することができる。
【0030】
本発明の請求項2記載の発明は、吸着剤を直接冷却する冷却手段として、各吸着塔内の吸着剤近傍にヒートポンプの吸熱コイルを設け、冷却モードにおいて、吸熱コイル内に冷媒を流通させヒートポンプで熱を吸収することによって吸着剤の冷却を直接行うため、冷却モードにおける吸着剤の冷却を確実にかつ効率良く行うという作用を有する。
【0031】
本発明の請求項3記載の発明は、吸着剤を直接冷却する冷却手段として、各吸着塔内の吸着剤近傍に冷水コイルを設け、冷却モードにおいて、冷水コイル内に冷水を流通させることによって吸着剤の冷却を直接行うため、冷却モードにおける吸着剤の冷却を確実に行うとともに装置を安価に製作できるという作用を有する。
【0032】
本発明の請求項4記載の発明は、吸着塔を冷却する冷却手段として、各吸着塔外周に放熱フィンを設け、冷却モードにおいて、冷却ファンで放熱フィンに風を当てることによって吸着塔内部の吸着剤の冷却を行うため、冷却モードにおける吸着剤の冷却を確実に行うとともに、装置の耐久性を向上させるという作用を有する。
【0033】
本発明の請求項5記載の発明は、吸着塔を冷却する冷却手段として、各吸着塔外周にヒートポンプの吸熱コイルを設け、冷却モードにおいて、吸熱コイル内に冷媒を流通させヒートポンプで熱を吸収することによって吸着塔内部の吸着剤の冷却を行うため、冷却モードにおける吸着剤の冷却を確実にかつ効率良く行うとともに、装置の耐久性を向上させ吸着剤のメンテナンスを容易にするという作用を有する。
【0034】
本発明の請求項6記載の発明は、吸着塔を冷却する冷却手段として、各吸着塔外周に冷水コイルを設け、冷却モードにおいて、冷水コイル内に冷水を流通させることによって吸着塔内部の吸着剤の冷却を行うため、冷却モードにおける吸着剤の冷却を確実に行うとともに装置を安価に製作することができ、装置の耐久性も向上させるという作用を有する。
【0035】
本発明の請求項7記載の発明は、吸着塔へ冷却流体を流通させる冷却手段として、各吸着塔に冷却循環経路を介して冷却器を接続し、冷却モードにおいて、冷却器で冷却された冷却空気を冷却循環経路から吸着塔へ流通させることによって吸着塔内部の吸着剤の冷却を行うため、装置の耐久性を向上させた上で、冷却モードにおける吸着剤の冷却を万遍なく確実に行うという作用を有する。
【0036】
本発明の請求項8記載の発明は、冷却手段の冷却器外周に放熱フィンを設け、冷却モードにおいて、冷却ファンで放熱フィンに風を当てることによって冷却器内の空気を冷却し吸着塔に供給するため、装置の耐久性を向上させた上で、冷却モードにおける吸着剤の冷却を万遍なく確実に行うという作用を有する。
【0037】
本発明の請求項9記載の発明は、冷却手段の冷却器内部にヒートポンプの吸熱コイルを設け、冷却モードにおいて、吸熱コイル内に冷媒を流通させヒートポンプで熱を吸収することによって冷却器内の空気を冷却し吸着塔に供給するため、装置の耐久性を向上させた上で、冷却モードにおける吸着剤の冷却を万遍なく確実にかつ効率良く行うという作用を有する。
【0038】
本発明の請求項10記載の発明は、冷却手段の冷却器内部に冷水コイルを設け、冷却モードにおいて、冷水コイル内に冷水を流通させることによって冷却器内の空気を冷却し吸着塔に供給するため、装置の耐久性を向上させた上で、冷却モードにおける吸着剤の冷却を万遍なく確実に行うことができるとともに装置を比較的安価に製作できるという作用を有する。
【0039】
本発明の請求項11記載の発明は、各吸着塔内の吸着剤近傍にヒートポンプの放熱コイルを設け、冷却モードで運転している吸着塔に付属するヒートポンプの吸熱コイルにて吸収した熱を、加熱モードで運転している吸着塔に設けられた放熱コイルにて放出するため、冷却モードにおける廃熱を吸着モードにおける加熱に利用することができ、装置の運転エネルギーを低減させるという作用を有する。
【0040】
本発明の請求項12記載の発明は、各吸着塔外周にヒートポンプの放熱コイルを設け、冷却モードで運転している吸着塔に付属するヒートポンプの吸熱コイルにて吸収した熱を、脱着モードで運転している吸着塔に設けられた放熱コイルにて放出するため、冷却モードにおける廃熱を吸着モードにおける加熱に利用することができ、装置の運転エネルギーを低減させることができるとともに、吸着剤のメンテナンスを容易にするという作用を有する。
【0041】
本発明の請求項13記載の発明は、各吸着塔の脱着入口経路の合流部より上流にヒートポンプの放熱コイルを設け、冷却モードで運転している吸着塔に付属するヒートポンプの吸熱コイルにて吸収した熱を、放熱コイルにて放出し脱着モードで運転している吸着塔に供給するため、冷却モードにおける廃熱を吸着モードにおける加熱に利用することができ、装置の運転エネルギーを低減させることができるとともに、装置を安価に製作できるという作用を有する。
【0042】
本発明の請求項14記載の発明は、加熱手段が各吸着塔内の吸着剤近傍に備えた輻射ヒータであって、脱着モードにおいて輻射ヒータの輻射熱によって吸着剤を加熱するため、脱着モードにおける吸着剤の加熱を迅速にかつ効率的に行うという作用を有する。
【0043】
本発明の請求項15記載の発明は、輻射ヒータにハロゲンヒータを用いたため、脱着モードにおける吸着剤の加熱を、さらに迅速にかつ効率的に行うという作用を有する。
【0044】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図9を参照しながら説明する。
【0045】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における有機溶剤濃縮装置のシステム構成図である。
【0046】
図1において、1a〜1fは、内部に吸着剤2a〜2fと吸着剤2a〜2f近傍に設けられた加熱手段としての輻射ヒータ3a〜3fを有する吸着塔(A塔、B塔、C塔、D塔、E塔、F塔)で、本実施の形態1では、吸着塔は6塔構成となっている。輻射ヒータ3a〜3fとしては、ハロゲンヒータが瞬時に加熱でき効率的であるが、他の種類の輻射ヒータであってもよい。また、加熱手段として、輻射ヒータ以外の加熱方法であってもよい。各々の吸着塔の、一端(図1では吸着塔上部)には、流路切替手段としての電磁弁14a〜14fを介して吸着入口経路4a〜4f、4(合流経路)が、流路切替手段としての電磁弁15a〜15fを介して脱着出口経路5a〜5f、5(合流経路)が、それぞれ接続されている。各々の吸着塔の、他端(図1では吸着塔下部)には、流路切替手段としての電磁弁17a〜17fを介して吸着出口経路7a〜7f、7(合流経路)が、流路切替手段としての電磁弁18a〜18fを介して脱着入口経路8a〜8f、8(合流経路)が、それぞれ接続されている。なお、各流路切替手段は、電磁弁以外の手段、例えば電動ボールバルブやダクト開閉ダンパーのようなものであってもよい。
【0047】
吸着塔1a〜1f内部の吸着剤2a〜2f近傍として、本実施の形態1では上部に直接冷却手段としての吸熱コイル6a〜6fが、また、本実施の形態1では下部に放熱コイル16a〜16fが、それぞれ設けられている。吸熱コイル6a〜6fおよび放熱コイル16a〜16fは、それぞれ冷媒経路6、16を介して、ヒートポンプユニット23に接続されている。なお、吸熱コイル6a〜6fの各経路への冷媒の流通、および放熱コイル16a〜16fの各経路への冷媒の流通は、冷媒経路6、16に備えつけられた流路切替機能(図示せず)によって、任意の吸着塔1a〜1fへの冷媒の供給制御(流通か停止か)が可能である。21は、吸着出口経路7(合流経路)に設けられた送風手段としての吸着経路送風機、22は、脱着入口経路8(合流経路)に設けられた送風手段としての脱着経路送風機である。24は、流路切替手段としての各電磁弁14a〜14f、15a〜15f、17a〜17f、18a〜18f、送風手段としての吸着経路送風機21および脱着経路送風機22、加熱手段としての輻射ヒータ3a〜3f、ヒートポンプユニット23などを制御する制御器である。
【0048】
つぎに、図1における動作を説明する。理解しやすくするために、まず吸着塔A塔1aの動作から説明する。はじめに、電磁弁14aと電磁弁17aを開く。有機溶剤発生源(図示せず)から、吸着経路送風機21によって吸入された有機溶剤蒸気を含む空気は、吸着入口経路4、4aから吸着塔A塔1aを通る際に、吸着剤2aによって有機溶剤が吸着され、清浄空気となって吸着出口経路7a、7から外部へ排出される(吸着モード)。所定の時間が経過した後、電磁弁14aと電磁弁17aを閉じ、輻射ヒータ3aに通電し吸着剤2aを加熱するとともに、電磁弁18aと電磁弁15aを開く。脱着経路送風機22によって吸入された周囲空気は、脱着入口経路8、8aから吸着塔A塔1aを通る際に、熱により吸着剤2aから有機溶剤が脱着(離脱)され、濃縮有機溶剤蒸気となって脱着出口経路5a、5から排出される(脱着モード)。この時、輻射ヒータ3aにはハロゲンヒータを用いているため、吸着剤2aを瞬時にかつ効率的に加熱することができる。排出された濃縮有機溶剤蒸気は有機溶剤発生源へ戻されるが、後述する理由から濃縮倍率が高いため、従来の有機溶剤回収システムのように、冷凍機を用いて氷点下まで冷却、凝縮、液化し有機溶剤液体として回収しなくても、高濃縮蒸気として直接有機溶剤発生源へ戻すことが可能となる。その後、電磁弁18aと電磁弁15aを閉じ、ヒートポンプユニット23を作動させ冷媒を吸熱コイル6aに流通させることにより、加熱された吸着剤2aを冷却させる(冷却モード)。この時、ヒートポンプユニット23により吸収された熱は、その時間帯に脱着モードを行っている吸着塔1f(後述の図2における時間帯ZではF塔)内の放熱コイル16fに冷媒を流通させることにより、吸着剤2fに与えられ、脱着モードの加熱エネルギーとして寄与する。これによって、脱着モードにおける輻射ヒータ3fの消費電力を低減し、加熱に要するエネルギーを低減させることができる。冷却モードが終了した後、再び吸着モードに戻り、これらの運転モードを繰り返すものである。
【0049】
本実施の形態1は、6塔の吸着塔から構成されており、吸着塔A塔1a以外の吸着塔も、同様に一連の、吸着モード〜脱着モード〜冷却モードを実行するが、各々の吸着塔は時間帯をずらして実行する。一例として、ある時間帯Uにおいては、吸着塔A塔1a、吸着塔B塔1b、吸着塔C塔1c、吸着塔D塔1dの4塔が吸着モード、吸着塔E塔1eが脱着モード、吸着塔F塔1fが冷却モードとなっている。これら6塔の吸着塔の時間帯別(U〜V〜W〜X〜Y〜Z)の動作パターンを図2に示す。
【0050】
つぎに、本実施の形態1において、有機溶剤蒸気の濃縮倍率を高める作用について説明する。図2における時間帯Uの吸着モードにおいて、有機溶剤発生源から吸着入口経路4へ吸入する有機溶剤蒸気を含む空気の流量をQとすると、吸着入口経路4a、4b、4c、4dから吸着塔A塔1a、B塔1b、C塔1c、D塔1dへ分配される流量はQ/4となる。本発明では、吸着モードで運転する各吸着塔A塔1a、B塔1b、C塔1c、D塔1dの1個の吸着塔内を流通する気体の流量が、脱着モードで運転する吸着塔E塔1e内を流通する気体の流量よりも多くなるように制御されている。有機溶剤の一例として、前述の塩化メチレンの場合、濃縮倍率は5倍程度が限界とされており、本実施の形態1においても、濃縮倍率が5倍、すなわち脱着モードで運転する吸着塔E塔1e内を流通する気体の流量が、吸着モードで運転する各吸着塔A塔1a、B塔1b、C塔1c、D塔1dの1個の吸着塔内を流通する気体の流量の1/5になるように設定されている。この時、脱着モードにおいて、吸着塔E塔1eから脱着出口経路5へ排出される濃縮有機溶剤蒸気を含む空気の流量は、Q/4×1/5=Q/20となり、有機溶剤発生源からの吸入流量Qに対して1/20の流量、つまり吸着された有機溶剤が全て脱着したとして平均20倍の濃縮倍率を得ることができる。このことから、本発明においては、吸着モードで運転する吸着塔の個数をN1、脱着モードで運転する吸着塔の個数をN2、吸着モードで運転する吸着塔内を流通する気体の流量をQ1、脱着モードで運転する吸着塔内を流通する気体の流量をQ2とした場合、濃縮倍率は(N1/N2)×(Q1/Q2)に高めることができるものである。
【0051】
このように、従来に比べて濃縮倍率を大幅に高めた結果、従来の有機溶剤回収システムのように、冷凍機を用いて氷点下まで冷却、凝縮、液化し有機溶剤液体として回収なくても、高濃縮蒸気として直接有機溶剤発生源へ戻すことが可能となる。一例として、有機溶剤発生源が金属部品の脱脂洗浄工程で、有機溶剤が塩化メチレンの場合、従来の技術(5倍程度の濃縮)では、回収するためには液化するしか手段はなかったが、前述の如く濃縮倍率を20倍程度まで高めれば、液化せずに濃縮蒸気を直接洗浄工程の高濃度蒸気が充満している槽内に戻しても、洗浄工程上何ら問題がない(濃縮倍率が低いと、蒸気洗浄に必要な濃度が確保できない)。このような場合は、冷凍機が不要となり有機溶剤回収システムを大幅にシンプル化でき、小型で低コストのシステムを提供することができるものである。
【0052】
つぎに、冷却モードにおける効果的冷却方法について説明する。吸着性能を確保し吸着出口経路7から排出される気体中の有機溶剤蒸気濃度を安定的に低く(望ましくは0ppm)するためには、加熱状態にある脱着モードから吸着モードに移行する段階で、吸着剤2a〜2fが十分(室温程度まで)冷却される必要がある。もし、吸着モードにて吸着剤2a〜2fの温度が高い場合は、吸着剤2a〜2fの吸着効果が十分発揮されず、吸着入口経路4から吸入された有機溶剤蒸気が吸着剤2a〜2fを通り抜けてしまうため、吸着出口経路7から排出される気体中の有機溶剤蒸気濃度が高くなってしまう。それを未然に防止するために、本実施の形態1では、脱着モード終了後に冷却モードを設けている。この冷却モードにおいては、吸熱コイル6a〜6f内に冷媒を流通させヒートポンプユニット23で熱を吸収することによって吸着剤2a〜2fの冷却を行うため、吸着剤2a〜2fの冷却を確実にかつ効率良く行うことができる。これによって、つぎの吸着モードまでに吸着剤2a〜2fを十分冷却することができ、吸着性能を十分確保することができる。また、ヒートポンプユニット23により吸収された熱は、その時間帯に脱着モードを行っている他の吸着塔1a〜1f内の放熱コイル16a〜16fに冷媒を流通させることにより、脱着モードの吸着剤2a〜2fに与えられ、脱着モードにおける輻射ヒータ3a〜3fの消費電力を低減し、加熱に要するエネルギーを低減させるという効果も奏する。
【0053】
なお、本実施の形態1では、ヒートポンプユニット23に接続された吸熱コイル6a〜6fを吸着塔1a〜1f内部に設けたことに対し、ヒートポンプユニット23に接続された放熱コイル16a〜16fを同じく吸着塔1a〜1f内部に設けているが、放熱コイル16a〜16fは、後述する実施の形態4のように吸着塔1a〜1f外周に設けてもよいし、後述する実施の形態7のように脱着入口経路8に設けてもよい。
【0054】
以上のように、本実施の形態1では、冷却モードにおける吸着剤2a〜2fの冷却を確実かつ効率的に行うことによって、吸着モードにおける吸着性能を確保し、吸着出口の有機溶剤蒸気濃度を安定して低減することができ、しかも真空ポンプを用いることがないため装置を小型化、低コスト化することができる。また、濃縮倍率を高くすることによって冷凍機を用いる必要がないため、装置を小型化、低コスト化することができる。また、脱着モードにおける吸着剤2a〜2fの加熱を、迅速かつ効率的に行うとともに、冷却モードにおける廃熱を吸着モードにおける加熱に利用するため、装置の運転エネルギーを低減させることができるものである。
【0055】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における有機溶剤濃縮装置のシステム構成図である。図3において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0056】
図3の実施の形態2では、吸着剤2a〜2fを直接冷却する冷却手段として、各吸着塔1a〜1f内の吸着剤2a〜2f近傍に冷水コイル51a〜51fを設け、各冷水コイル51a〜51fは、それぞれ冷水配管61を介して、システム外部の冷水供給源62に接続されている。冷水コイル51a〜51fの各経路への冷水の流通は、冷水配管61に備えつけられた流路切替機能(図示せず)によって、任意の吸着塔1a〜1fへの冷水の供給制御(流通か停止か)が可能である。実施の形態1と同様の冷却モードにおいて、所定の吸着塔、例えば図2の時間帯ZではA塔の吸着塔1aに対し、冷水コイル51aに冷水を流通させることによって、吸着塔1a内部の吸着剤2aの冷却を確実に行うことができるものである。
【0057】
冷水供給源62としては、工場などで使用されている冷水を利用する方式や、井戸水、水道水をそのまま流通(循環使用する場合はクーリングタワーにて空冷)させる方式などが考えられるが、いずれの方式もヒートポンプを用いないため、装置をシンプルで安価に製作することができる。
【0058】
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3における有機溶剤濃縮装置のシステム構成図である。図4において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0059】
図4の実施の形態3では、吸着塔1a〜1fを冷却する冷却手段として、各吸着塔1a〜1f外周に放熱フィン52a〜52fを設け、放熱フィン52a〜52f近傍に冷却ファン53a〜53fを設けたものである。実施の形態1と同様の冷却モードにおいて、所定の吸着塔、例えば図2の時間帯ZではA塔の吸着塔1aに対し、冷却ファン53aを運転し放熱フィン52aに風を当てることによって、吸着塔1a内部の吸着剤2aの冷却を確実に行うことができるものである。
【0060】
この方式は、吸着塔1a全体を冷却することにより、吸着塔1a内部の空気を介して吸着剤2aを冷却するため、吸着剤2aが局部的に過冷却されることがなく、脱着モードおよび冷却モードの加熱〜冷却のヒートサイクルにおいて、吸着剤2a〜2fにかかる熱ストレス(温度差)を緩和することができ、吸着剤2a〜2fの耐久性を向上させることができる。また、吸着塔1a〜1f内部に冷媒や冷水を流通させるコイル(配管)がないことから、コイルの結露による腐食などの心配もなく、耐久性を十分確保することができる。
【0061】
(実施の形態4)
図5は、本発明の実施の形態4における有機溶剤濃縮装置のシステム構成図である。図5において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0062】
図5の実施の形態4では、吸着塔1a〜1fを冷却する冷却手段として、吸着塔1a〜1f外周に吸熱コイル6a〜6fが設けられ、同じく吸着塔1a〜1f外周に放熱コイル16a〜16fが設けられている。吸熱コイル6a〜6fおよび放熱コイル16a〜16fは、それぞれ冷媒経路6、16を介して、ヒートポンプユニット23に接続されている。なお、吸熱コイル6a〜6fの各経路への冷媒の流通、および放熱コイル16a〜16fの各経路への冷媒の流通は、冷媒経路6、16に備えつけられた流路切替機能(図示せず)によって、任意の吸着塔1a〜1fへの冷媒の供給制御(流通か停止か)が可能である。実施の形態1と同様の冷却モードにおいて、所定の吸着塔、例えば図2の時間帯ZではA塔の吸着塔1aに対し、吸熱コイル6a内に冷媒を流通させヒートポンプユニット23で熱を吸収することによって吸着塔1a内部の吸着剤2aの冷却を確実にかつ効率的に行うことができるものである。一方、ヒートポンプユニット23により吸収された熱は、その時間帯に脱着モードを行っている吸着塔1f(図2における時間帯ZではF塔)内の放熱コイル16fに冷媒を流通させることにより、吸着剤2fに与えられ、脱着モードの加熱エネルギーとして寄与する。これによって、脱着モードにおける輻射ヒータ3fの消費電力を低減し、加熱に要するエネルギーを低減させることができる。
【0063】
なお、本実施の形態4では、ヒートポンプユニット23に接続された吸熱コイル6a〜6fを吸着塔1a〜1f外周に設けたことに対し、ヒートポンプユニット23に接続された放熱コイル16a〜16fを同じく吸着塔1a〜1f外周に設けているが、放熱コイル16a〜16fは、実施の形態1のように吸着塔1a〜1f内部に設けてもよいし、後述する実施の形態7のように脱着入口経路8に設けてもよい。
【0064】
この方式は、吸着塔1a全体を冷却することにより、実施の形態3と同様の理由で耐久性を向上させることができる。また、吸着塔1a〜1f内部に複数のコイルを配置することがないため、吸着塔1a〜1f内部の構造がシンプルで、吸着剤2a〜2fのメンテナンスを容易にすることができる。
【0065】
(実施の形態5)
図6は、本発明の実施の形態5における有機溶剤濃縮装置のシステム構成図である。図6において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0066】
図6の実施の形態5では、吸着塔1a〜1fを冷却する冷却手段として、各吸着塔1a〜1f外周に冷水コイル51a〜51fを設け、各冷水コイル51a〜51fは、それぞれ冷水配管61を介して、システム外部の冷水供給源62に接続されている。冷水コイル51a〜51fの各経路への冷水の流通は、冷水配管61に備えつけられた流路切替機能(図示せず)によって、任意の吸着塔1a〜1fへの冷水の供給制御(流通か停止か)が可能である。実施の形態1と同様の冷却モードにおいて、所定の吸着塔、例えば図2の時間帯ZではA塔の吸着塔1aに対し、冷水コイル51aに冷水を流通させることによって、吸着塔1a内部の吸着剤2aの冷却を確実に行うことができるものである。
【0067】
この方式は、ヒートポンプを用いないため、実施の形態2と同様の理由で、装置をシンプルで安価に製作することができるとともに、吸着塔1a全体を冷却することにより、実施の形態3と同様の理由で、耐久性を向上させることができる。
【0068】
(実施の形態6)
図7は、本発明の実施の形態6における有機溶剤濃縮装置のシステム構成図である。図7において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0069】
図7の実施の形態6では、吸着塔1a〜1fへ冷却流体を流通させる冷却手段として、各吸着塔1a〜1fが冷却循環経路55a〜55fおよび循環ファン63a〜63fを介して冷却器54a〜54fに接続され、各冷却器54a〜54f外周には放熱フィン52a〜52fが設けられ、放熱フィン52a〜52f近傍には冷却ファン53a〜53fが設けられている。実施の形態1と同様の冷却モードにおいて、所定の吸着塔、例えば図2の時間帯ZではA塔の吸着塔1aに対し、冷却ファン53aを運転し放熱フィン52aに風を当てることによって、冷却器54a内部の空気を冷却するとともに、循環ファン63aを運転することにより、冷却器54a内の冷却空気を冷却循環経路55aを介して吸着塔1aに流通させ、吸着剤2aの冷却を確実に行うことができるものである。
【0070】
この方式は、冷却空気を冷却循環経路55aから吸着塔1aへ流通させることによって吸着剤2aの冷却を行うため、吸着剤2a全体を万遍なく冷却することができ、冷却モードにおける吸着剤2aの冷却をよりいっそう確実に行うことができる。また、実施の形態3と同様の理由で耐久性を向上させることができる。
【0071】
(実施の形態7)
図8は、本発明の実施の形態7における有機溶剤濃縮装置のシステム構成図である。図8において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0072】
図8実施の形態7では、吸着塔1a〜1fへ冷却流体を流通させる冷却手段として、各吸着塔1a〜1fが冷却循環経路55a〜55fおよび循環ファン63a〜63fを介して冷却器54a〜54fに接続され、各冷却器54a〜54f内部には吸熱コイル6a〜6fが、各吸着塔1a〜1fの各脱着入口経路8の合流部より上流には放熱コイル16gが設けられている。吸熱コイル6a〜6fおよび放熱コイル16gは、それぞれ冷媒経路6、16を介して、ヒートポンプユニット23に接続されている。なお、吸熱コイル6a〜6fの各経路への冷媒の流通は、冷媒経路6に備えつけられた流路切替機能(図示せず)によって、任意の冷却器54a〜54fへの冷媒の供給制御(流通か停止か)が可能である。実施の形態1と同様の冷却モードにおいて、所定の吸着塔、例えば図2の時間帯ZではA塔の吸着塔1aに対し、吸熱コイル6a内に冷媒を流通させヒートポンプユニット23で熱を吸収することにより、冷却器54a内部の空気を冷却するとともに、循環ファン63aを運転することにより、冷却器54a内の冷却空気を冷却循環経路55aを介して吸着塔1aに流通させ、吸着剤2aの冷却を確実にかつ効率的に行うことができるものである。一方、ヒートポンプユニット23により吸収された熱は、放熱コイル16gに冷媒を流通させることにより、脱着入口経路8fを通じて、その時間帯に脱着モードを行っている吸着塔1f(図2における時間帯ZではF塔)内の脱着モードの加熱エネルギーとして寄与する。これによって、脱着モードにおける輻射ヒータ3fの消費電力を低減し、加熱に要するエネルギーを低減させることができる。
【0073】
なお、本実施の形態7では、ヒートポンプユニット23に接続された吸熱コイル6a〜6fを冷却器54a〜54f内部に設けたことに対し、ヒートポンプユニット23に接続された放熱コイル16gを脱着入口経路8に設けているが、放熱コイル16gは、実施の形態1のように吸着塔1a〜1f内部に設けてもよいし、実施の形態4のように吸着塔1a〜1f外周に設けてもよい。
【0074】
この方式は、冷却空気を冷却循環経路55aから吸着塔1aへ流通させることによって吸着剤2aの冷却を行うため、吸着剤2a全体を万遍なく冷却することができ、冷却モードにおける吸着剤2aの冷却をよりいっそう確実に行うことができる。また、吸着剤2aが局部的に過冷却されることがなく、脱着モードおよび冷却モードの加熱〜冷却のヒートサイクルにおいて、吸着剤2a〜2fにかかる熱ストレス(温度差)を緩和することができ、吸着剤2a〜2fの耐久性を向上させることができる。さらに、放熱コイル16gが1個で済むため、装置を比較的安価に製作することができる。
【0075】
(実施の形態8)
図9、本発明の実施の形態8における有機溶剤濃縮装置のシステム構成図である。図9おいて、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0076】
図9実施の形態8では、吸着塔1a〜1fへ冷却流体を流通させる冷却手段として、各吸着塔1a〜1fが冷却循環経路55a〜55fおよび循環ファン63a〜63fを介して冷却器54a〜54fに接続されている。各冷却器54a〜54f内部には冷水コイル51a〜51fが設けられ、各冷水コイル51a〜51fは、それぞれ冷水配管61を介して、システム外部の冷水供給源62に接続されている。冷水コイル51a〜51fの各経路への冷水の流通は、冷水配管61に備えつけられた流路切替機能(図示せず)によって、任意の冷却器54a〜54fへの冷水の供給制御(流通か停止か)が可能である。実施の形態1と同様の冷却モードにおいて、所定の吸着塔、例えば図2の時間帯ZではA塔の吸着塔1aに対し、冷水コイル51aに冷水を流通させることによって冷却器54a内部の空気を冷却するとともに、循環ファン63aを運転することにより、冷却器54a内の冷却空気を冷却循環経路55aを介して吸着塔1aに流通させ、吸着剤2aの冷却を確実に行うことができるものである。
【0077】
この方式は、冷却空気を冷却循環経路55aから吸着塔1aへ流通させることによって吸着剤2aの冷却を行うため、吸着剤2a全体を万遍なく冷却することができ、冷却モードにおける吸着剤2aの冷却をよりいっそう確実に行うことができる。また、吸着剤2aが局部的に過冷却されることがなく、脱着モードおよび冷却モードの加熱〜冷却のヒートサイクルにおいて、吸着剤2a〜2fにかかる熱ストレス(温度差)を緩和することができ、吸着剤2a〜2fの耐久性を向上させることができる。さらに、ヒートポンプを用いないため、実施の形態2と同様の理由で、装置を比較的安価に製作することができる。
【0078】
なお、実施の形態1〜8においては、冷却手段が、吸着剤2a〜2fの直接冷却、吸着塔1a〜1fの冷却、吸着塔1a〜1fへの冷却流体の流通の、いずれか単一の手段となっているが、これらの手段を複数組合せて実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、揮発性有機化合物(VOC)としての有機溶剤蒸気を、発生源から除去するための有機溶剤回収システムにおいて使用される有機溶剤濃縮装置として有用である。また、有機溶剤以外の物質の吸脱着、濃縮装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の形態1の有機溶剤濃縮装置を示すシステム構成図
【図2】本発明の実施の形態1の有機溶剤濃縮装置の動作パターン図
【図3】本発明の実施の形態2の有機溶剤濃縮装置を示すシステム構成図
【図4】本発明の実施の形態3の有機溶剤濃縮装置を示すシステム構成図
【図5】本発明の実施の形態4の有機溶剤濃縮装置を示すシステム構成図
【図6】本発明の実施の形態5の有機溶剤濃縮装置を示すシステム構成図
【図7】本発明の実施の形態6の有機溶剤濃縮装置を示すシステム構成図
【図8】本発明の実施の形態7の有機溶剤濃縮装置を示すシステム構成図
【図9】本発明の実施の形態8の有機溶剤濃縮装置を示すシステム構成図
【図10】従来の有機溶剤濃縮装置を示すシステム構成図
【符号の説明】
【0081】
1a〜1f 吸着塔
2a〜2f 吸着剤
3a〜3f 輻射ヒータ
4 吸着入口経路
4a〜4f 吸着入口経路
5 脱着出口経路
5a〜5f 脱着出口経路
6a〜6f 吸熱コイル
7 吸着出口経路
7a〜7f 吸着出口経路
8 脱着入口経路
8a〜8f 脱着入口経路
14a〜14f 電磁弁
15a〜15f 電磁弁
16a〜16f 放熱コイル
16g 放熱コイル
17a〜17f 電磁弁
18a〜18f 電磁弁
21 吸着経路送風機
22 脱着経路送風機
23 ヒートポンプユニット
24 制御器
51a〜51f 冷水コイル
52a〜52f 放熱フィン
53a〜53f 冷却ファン
54a〜54f 冷却器
55a〜55f 冷却循環経路
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【識別番号】100109151
【弁理士】
【氏名又は名称】永野 大介


【公開番号】 特開2008−660(P2008−660A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171126(P2006−171126)