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【発明の名称】 分煙装置
【発明者】 【氏名】丸山 正義

【氏名】岩村 義巳

【氏名】高瀬 毅

【氏名】前 泰弘

【氏名】堀井 智彦

【要約】 【課題】分煙方式の構成を簡素化することによりその製造コストの低減を図る。

【構成】分煙装置において形成されるエアーカーテンの大きさを、遊技者の口の高さにほぼ等しい水平面において、0.3〜0.6m/sの気流の左右幅寸法を約15〜20cmとし、前後幅寸法を35cm以上とし、電動ハンドルの高さにほぼ等しい水平面においても同等以上とし、さらに風速0.6m/s以上の気流の左右幅寸法を約15〜20cmとした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合う遊技機の境界上部に設けられて、吹出口より下方に向かって空気を吹き出す送風機を備え、吹き出された空気により上下方向に延びるエアーカーテンを形成して、隣席する遊技者の発する悪臭を遮断する分煙装置であって、
形成される前記エアーカーテンの大きさを、
遊技者の口の高さにほぼ等しい水平面において、0.3〜0.6m/sの気流の左右幅寸法を約15〜20cmとし、前後幅寸法を35cm以上とし、
電動ハンドルの高さにほぼ等しい水平面において、0.3〜0.6m/sの気流の左右幅寸法を約15〜20cmとし、前後幅寸法を35cm以上とし、風速0.6m/s以上の気流の左右幅寸法を約15〜20cmとした
ことを特徴とする分煙装置。
【請求項2】
前記送風機が回転軸を鉛直方向に延設された軸流ファンを有し、吹き出す空気が前方斜め下方向に誘導されるように吹出口の壁面が傾斜して配設されている
ことを特徴とする請求項1に記載の分煙装置。
【請求項3】
前記前方斜め下方向に吹き出す空気の角度が前後方向で可変するように、前記吹出口に吹出しルーバーが回動可能に設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の分煙装置。
【請求項4】
装置の上部の外殻を形成して内部に駆動モータを収納する本体ケースと、該本体ケースの下部に設けられ透明材料で作成され前後方向の張り出し寸法が10cm以下とされ前記傾斜した壁面で成る吹出口を構成する吹出しダクトを有する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の分煙装置。
【請求項5】
運転入切スイッチ及び出力強弱スイッチの少なくともいずれかが遊技者から操作可能な位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の分煙装置。
【請求項6】
前記本体ケースの吸入口が設けられた上面に該吸入口を覆う脱臭フィルタが前方に引き出して取り外せるよう着脱可能に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の分煙装置。
【請求項7】
前記脱臭フィルタが定期的に交換される
ことを特徴とする請求項6に記載の分煙装置。
【請求項8】
遊技機上方のデータ表示機と同じ高さに設けられている
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の分煙装置。
【請求項9】
遊技機上方のメンテナンス板に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の分煙装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等が多数台並ぶ遊技場において、隣り合う遊技機間の上方スペースに設置され上方から下方へと向かう微風のエアーカーテンを当該遊技機間に形成して、隣席の喫煙者のタバコの煙・酒気・口臭等の悪臭を遮断する分煙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等が多数台並ぶ遊技場の空気清浄装置として、従来、以下の汚染空気吸引清浄装置が提案されている。つまり、従来の汚染空気吸引清浄装置は、遊技機等の横に遊技機とは別に設けられた縦長の風洞を有し、この風洞内部の遠心ブロアーによって遊技機等の横に位置する吸入口より汚染空気を吸引し、風洞内部の吸入口後方に設けたオゾン発生部よりオゾンガスを発生させて、このオゾンガスと吸引した汚染空気とを混合して風洞上方の排出口より上方に向けて放出する。このように汚染空気とオゾンガスとを混合することにより汚染空気を清浄する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、以下のような提案もされている。すなわち、パチンコ機の正面部分を構成する正面ガラスの外表面に脱臭作用を有する透明な酸化チタン(TiO2)薄膜を形成することにより、或いは正面ガラスの外表面にイオンスパッタリング法によって銀(Ag)を添着することにより、酸化チタン(TiO2)や銀(Ag)の脱臭作用を利用してパチンコ機にタバコの匂いが付着しないようにする提案がされている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−125292号公報
【特許文献2】特開平10−085412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来の汚染空気吸引清浄装置においては、風洞上部の排出口より上方に向けて大量の空気を放出するため、特に冬場などでは空調された暖気が下降しにくくなり、空調効率も悪く装置の騒音、消費電力ともに高いという問題があった。また、パチンコ機あるいはスロット機などの横に遊技機等とは別の縦長の風洞を設け、この風洞内部に遠心ブロアーによる吸引機構を設け、遊技機等の横に位置する吸入口より周囲の臭気等の汚染空気を吸引するため、吸引部分を設けるスペースに制約があり、吸引効率は低く、装置が大型で構造も複雑という問題もあった。
【0006】
一方、酸化チタンや銀の脱臭作用を利用してパチンコ機にタバコの匂いが付着しないようにする提案に関しては、パチンコ機に臭いが付着することについてはある程度解消できるが、隣席の喫煙者のタバコの煙・酒気・口臭等の悪臭を遮断できるものではない。
【0007】
本発明は、係る従来の問題点を解決するためになされたものであって、その課題とするところは、分煙方式の構成を簡素化することによりその製造コストの低減を図ることであり、さらに、低騒音で省電力な常時運転に好適な分煙装置を得ることであり、そして、分煙装置の取付施工性の向上、使い勝手の向上及び能力の向上を推進することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を達成するために、この発明に係る分煙装置は、隣り合う遊技機の境界上部に設けられて、吹出口より下方に向かって空気を吹き出す送風機を備え、吹き出された空気により上下方向に延びるエアーカーテンを形成して、隣席する遊技者の発する悪臭を遮断する分煙装置であって、形成されるエアーカーテンの大きさを、遊技者の口の高さにほぼ等しい水平面において、0.3〜0.6m/sの気流の左右幅寸法を約15〜20cmとし、前後幅寸法を35cm以上とし、電動ハンドルの高さにほぼ等しい水平面において、0.3〜0.6m/sの気流の左右幅寸法を約15〜20cmとし、前後幅寸法を35cm以上とし、風速0.6m/s以上の気流の左右幅寸法を約15〜20cmとしたことを特徴とする。
【0009】
ここで、遊技者の発する悪臭とは、遊技者のタバコの煙・酒気・口臭等の悪臭のことである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、分煙方式の構成を簡素化することによりその製造コストの低減を図ることができ、さらに、低騒音で省電力な常時運転に好適な分煙装置を得ることができ、そして、分煙装置の取付施工性の向上、使い勝手の向上及び能力の向上を推進することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明にかかる分煙装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態1.
図1は本発明にかかる実施の形態1の分煙装置が設置された遊技場の斜視図である。図1において、例えばパチンコ店のような遊技場においては、遊技機であるパチンコ機1が多数台並んで設置されている。パチンコ機1は、正面ガラス3にて覆われた本体部4と、玉を出し入れする上段玉受皿5、下段玉受皿6及び玉を打ち出す電動ハンドル7などが設けられた操作部8とに大きく分けられる。
【0013】
パチンコ機1正面ガラス3上方のデータ表示機取付面10にデータ表示機9が取付けられている。そして、データ表示機9のさらに上方にメンテナンス板2が設けられている。このメンテナンス板2は、パチンコ機1内部の機械類をメンテナンスする場合に使用され、下開きに開閉するようになっている。
【0014】
パチンコ機1の正面ガラス3とデータ表示機9の取付面10とはほぼ同一面上にある。本実施の形態の分煙装置12は、隣接する2台のパチンコ機1の上方で、データ表示機9とほぼ同一高さの位置に吹出口を下方に向けられて取り付けられている。
【0015】
パチンコ機1の下方に小物を置くことができるテーブル11が設けられている。テーブル11の奥行き寸法は約18cmであり、このテーブル11に灰皿が設けられている。なお、場所によってはテーブル11に替わって棚が設けられているところもある。本実施の形態の分煙装置12においては、本体下面に設けられた吹出口の高さから、遊技者の口の高さまでのまでの距離は30〜50cmである。同じく、灰皿のあるテーブル11の高さまでの距離は約70cmである。同じく、床面までの距離は約160cmである。パチンコ機1の左右幅寸法は約50cmであり、隣り合う2台のパチンコ機の間隔は約20cmである。これにより、1人の遊技者の占有するスペースの左右幅寸法は約70cmであり、隣り合う二人の間はおおよそ25〜30cm離れることとなる。
【0016】
図2は分煙装置12の右側面側から見た横断面図である。図3は分煙装置12の正面側から見た横断面図である。図4は分煙装置12の上面側から見た上面図である。図5は分煙装置12の下面側から見た底面図である。図6は分煙装置12の吹出しルーバーを取り外した状態で下面側から見た底面図である。図7は分煙装置12の斜め下方正面から見た斜視図である。図8は分煙装置12の斜め下方正面から見た分解斜視図である。図2乃至8に示されるように、分煙装置12は、装置上部の外殻を形成する本体ケース25と装置の下部外殻を形成する吹出しダクト30とを有している。
【0017】
図3、図7及び図8に示されるように、本体ケース25は、概略箱型形状を成し、内部には微風エアーカーテンを形成する送風機28が内蔵されている。送風機28は、軸流ファン式の送風機であり、軸流ファン16とこの軸流ファン16を回転駆動する駆動モータ13と軸流ファン16の外周部を覆うファンケーシング17とから構成されている。送風機28は、図2に示されるように、駆動モータ13の回転軸13aが上下方向すなわち鉛直方向に延びるように配置されている。図7及び図8に示されるように、本体ケース25の正面は軸流ファン16の形状に合わせて丸みをおびて突出する形状を成しており、前方への突出容積が最大限に小さくなるようにされている。このようにして、管理者がデータ表示機9を確認する際に視界を遮ることが少しでも軽減されるよう配慮されている。
【0018】
吹出しダクト30は、視界を遮ることを軽減する目的から透明樹脂等の透明材料で作製されており、図7及び図8に示されるように、本体ケース25の下部に設けられている。吹出しダクト30は、概略断面矩形の短尺筒状を成し、本体ケース25の下部に下向きに取り付けられ、送風機28の発生する空気流を吹き出す吹出口23を形成している。4つの壁面で囲まれることにより成る吹出しダクト30は、送風機28から吹き出す空気を前方斜め下方向に向かせる目的で設けられている。図2に示されるように、詳細には4壁面のうち奥側の1壁面30bが送風機28から吹き出す空気が前方斜め下方向に誘導されるように傾斜している(壁面30bが取付面10に対して約10°前方方向に傾斜している)。また、4壁面のうち手前側の1壁面30aが他の3壁面より短くされ吹出口23を形成する開口が若干前方を向くようにされている。
【0019】
吹出しダクト30は、遊技者がデータ表示機9を見る際に視界を遮ることがないように配慮して、ある程度透けて見えるよう上述のように透明材料にて作製されており、また、遊技者の視界を大きく遮ることのないように前後方向の張り出し寸法が10cm以下とされている(4壁面のうち手前側の1壁面30aの取付面10からの距離が10cm以下とされている)。なお、吹出口23は前後方向に80mm程度の大きさに制限され、視界を遮ることを軽減している。
【0020】
吹出しダクト30の内部には、送風機28から吹き出す空気をさらに安定して前方斜め下方向に向かせる目的で吹出しルーバー24が設けられている。図2に示されるように、吹出しルーバー24は吹出口23の中央部に配設され、各々異なる角度とされた4枚の羽根を有している。4枚の羽根は、吹出口23の奥側の壁面30b(上述のように取付面10に対して約10°前方方向に傾斜している)に対して5°ずつ角度を増すように、すなわち15°、20°、25°、30°となるように形成され、最も手前側の羽根は取付面10より約30°傾くように形成されている。
【0021】
図7及び図8に示されるように、吹出しルーバー24は、両側部に設けられた回転軸24cを吹出しダクト30に設けられた軸穴30cに回動可能に軸支されており、図2に実線にて示す定位置から前後方向に所定角度回動するようにされている。そして、吹出しルーバー24の角度を変えることにより送風機28から吹き出す空気の角度が前後方向で可変するようにされている。分煙装置12は、このような構造により吹出口23から吹き出す空気が真下ではなく斜め前方に下向き吹き出すようにされている。また、このように吹出口23に吹出しルーバー24を設けることにより、管理者や遊技者が吹出口23から指などを挿入して回転物である軸流ファン16に触れることを防止している。
【0022】
なお、本実施の形態の吹出しルーバー24は、図2に示されるように断面直線形状の羽根を有しているが、この羽根を前方に凹の断面湾曲形状の羽根としてもよい。さらに、吹出口23の奥側の壁面30bもあわせて前方に凹の断面湾曲形状としてもよい。このような構成とすることにより、送風機28から吹き出す空気をより安定して前方斜め下方向に向かせることができる。
【0023】
図8に示されるように、装置の裏面側の外殻を構成するとともに装置の取付面10への取り付け部材として機能する基台15に、駆動モータ13が固定されている。基台15は、本体ケース25や吹出しルーバー24とともに装置の外殻(ケーシング)を構成している。図3に示されるように、基台15の左右方向両端部に設けられたフランジ部に取付穴15aが設けられており、分煙装置12は、セルフタップ機能を有したドリリングネジ32等を取付穴15aに挿入されて、データ表示機9のわきのデータ表示機取付面10に締着されている(図4)。
【0024】
本体ケース25の上面に吸入口18が設けられている。本実施の形態の分煙装置12においては、本体上面に送風機28の吸入口18を設けたため、正面に吸入口がなく意匠性に優れている。そして、吸入口18を覆うように脱臭フィルタ20が配設されている。
【0025】
図3、図7及び図8に示されるように、本体上部前面に前後方向に引き出し式に着脱自在なフィルターホルダー19が設けられている。このフィルターホルダー19は、前方向に引き出すことにより取り外すことができる。そして、このフィルターホルダー19に脱臭フィルタ20が装填されている。本体ケース25の上面に設けられた格子状グリル部分は、脱臭フィルタ20がフィルターホルダー19に確実に収められるようにフィルターホルダー19の前面を支えている。図4に示されるように、格子状グリル部分に開成された複数のスリット状の開口穴は、メンテナンス時に管理者が軸流ファン16に指など触れることがないように各々10mm程度の幅とされている。このように、本体上部前面に前後方向に引き出し式に着脱するフィルターホルダー19を設け、これに脱臭フィルタ20を装填する構造としたため、片手でフィルターホルダー19を取り外すことが出来、例えば、別のフィルターホルダー19に新品の脱臭フィルタ20を取りつけて置き、これと交換することで脱臭フィルタ20の交換作業が容易となり、短時間できるようになっている。
【0026】
また、本体ケース25の吹出口23の側方には、図5で示すように、運転入切スイッチ26及び出力強弱スイッチ27が設けられている。これにより、遊技者が任意に運転・停止を選択したり、エアーカーテンの大きさを2段階に切り替えたりすることができる。運転入切スイッチ26により、例えば禁煙者同士が隣り合って分煙機能が必要ない場合には運転を停止することができる。また、出力強弱スイッチ27により、気流が嫌いな遊技者の場合に弱運転にすることもできる。これらスイッチにより、分煙装置12を設置するパチンコ店管理者が、エアーカーテンの機能を遊技者に強制するのではなく、この機能を必要とする者が必要に応じて使用できるサービスを提供することができる。
【0027】
以上のように本実施の形態の分煙装置12は、既に設置済みの遊技機間に容易に設置することができる。このように設置が容易であるため、例えば、営業時間が終了した夜間に大量に設置することも可能である。また、遊技場管理者の保守点検の頻度に関しては、脱臭フィルタ20の交換が3ヶ月に一度程度である。送風機28のメンテナンスはほとんど不要であり、保守の手間を最小限に留めることができる。
【0028】
本実施の形態の分煙装置12は、本体上面の吸入口18からタバコの煙を吸引するが、タバコの煙は上昇方向に流れるためタバコの煙を吸い込むことは少なく、さらに脱臭フィルタ20を備えていることもあり、たとえ吸い込んだとしても周辺空気と効率良く攪拌でき臭いを低減することができる。さらに、分煙装置12は、パチンコ機の上方の空気をパチンコ機の下方へ移動させるため、例えば冬場などに遊技場内の空気を効率良く攪拌することができる。また、脱臭フィルタ20が空気中の臭いを吸着する機能とあいまって遊技場内の空気の清浄をすることができる。
【0029】
次いで、送風機28の能力について言及する。本実施の形態の送風機28は、羽根外径Φ85、羽根軸方向寸法38mmで例えばパイプ用ファンなどに使用されているものである。駆動モータ13は、コンデンサーランモーターで極数は2極であり非常に小型で消費電力も低い大量生産型のものである。羽根外形部分を覆う風洞部の内径寸法はΦ90mmである。吹出口23には奥行き寸法が約25mm厚み2mmの吹出しルーバー24が4枚設けられており、左右幅寸法は吹出口23の幅と同じ90mmで前後幅寸法は72mmであり、吹出面積はルーバーの部分を除いて60cm2である。この送風機28の吸入口18に、大きさ約96mm×93mm、厚さ約2mmの脱臭フィルタ20が設けられている。脱臭フィルタ20の圧損は、風量40m3/h時でフィルタ通過風速1.6m/s時、約5Paである。
【0030】
図9は分煙装置12が形成するエアーカーテンの風速測定位置を示す図である。図10は分煙装置12の脱臭フィルタ20を外した状態で、出力が通常の場合の吹出口23から50cm下方の水平面位置の吹出風速分布を示す説明図である。図11は分煙装置12の脱臭フィルタ20を外した状態で、出力が通常、吹出しルーバー24を定位置から角度を5°だけ前方方向に回転させた場合の吹出口23から50cm下方の水平面位置の吹出風速分布を示す説明図である。上述の状態で送風機28の能力は、周波数60Hzにて風量は44.0m3/h、回転数2250/min、平均吹出風速2.0m/s、消費電力2.5W、騒音33.0dBであった。この風速分布は、図9に示す位置にて測定しており、例えば左右方向距離15cmとは、吹出口23の中心から左側に15cm離れた位置での吹出し風速であり、左右方向距離−5cmとは、吹出口23の中心から右側に5cm離れた位置での吹出し風速を示す。
【0031】
ここで、吹出口23から50cm下方の水平面位置の風速分布は、遊技者の口の位置の高さでの吹出風速分布にほぼ等しい。風速0.3m/sは、外乱がない状態での分煙効果を得るために最低必要な風速であり、また、気流を感じない程度の微風である。風速0.6m/sであれば、分煙効果は確実に発生する。図10に示したものは、出力を通常とした場合のものであり、風速0.3〜0.6m/sの気流の左右幅寸法は約17cmであるため、また、隣り合う遊技者と遊技者とは約30cm離れているため、例えば遊技者が肩などに気流を感じて不快になるということがない。また、風速0.3〜0.6m/sの気流の前後幅寸法は約33cmであるため良好に遮断することができる。
【0032】
図11に示したものは、出力が通常で、吹出しルーバー24を定位置から約5°だけ前方に回転させた場合のものである。風速0.3〜0.6m/sの気流の左右幅寸法は吹出しルーバー24を回転させない場合の約17cm程度に対して、わずかに広くなり20cm程度となっている。隣り合う遊技者と遊技者とは約30cm離れているため、遊技者が肩などに気流を感じて不快になることがないことは、吹出しルーバー24を回転させない場合と同様である。また、風速0.3〜0.6m/sの気流の前後幅寸法は、吹出しルーバー24を回転させない場合の約33cmに比べ、約37cmとなり、わずかではあるがエアーカーテンの遮断範囲が広くなっている。また、吹出口23から80cm下方の水平面位置の風速分布は、テーブル11の位置の高さのものであり、灰皿の位置や電動ハンドル7の位置での吹出風速分布にほぼ等しい。
【0033】
図12に示したものは、出力を通常とした場合のものであり、風速0.3〜0.6m/sの気流の左右幅寸法は、壁から20cm以上離れた点において約15cmであり、壁から20cmの位置では約30cmである。遊技者と遊技者とは30cm程度離れているため、例えば遊技者が電動ハンドル7を持つ手の部分で気流を感じて不快に感じる風速0.6m/s以上の気流の左右幅寸法は約15cm程度ある。しかしながら、気流は左右方向に偏っており、左右方向寸法の中心は−10cmであり、つまり右側に10cm程度偏っている。これは、軸流ファン特有の特徴であり、旋回成分と吹出しルーバー24の干渉の影響で発生する。軸流ファンの回転方向が逆になれば、この偏りは反対の左側になる。左右方向寸法の中心は右側に10cm程度偏っているが、通常は電動ハンドル7は右手で持つため、この偏りが都合良く作用して右手に気流を感じにくくなる。また、この気流の左右方向の偏りを避けたい場合には、図8で示す吹出しルーバー24の左右中央に縦方向にも羽根を設けると偏りが軽減される。さらに装置には後述するような出力を低下させるモード機能もあり偏りの軽減について問題はない。この場合、灰皿の煙なども良好に遮断でき、微風速であるため、喫煙する際にも支障がない。また、最大風速のポイントは前後方向で約30cmの位置であるため、テーブル11の奥行き寸法が18cmあっても、エアーカーテンの風速が早い気流がテーブルに衝突して、灰皿の中のタバコの灰が飛び散ってしまうといった不具合も解消される。
【0034】
図13に示したものは、出力を通常として、吹出しルーバー24を約5°だけ前方に回転させた場合のものである。図12のものと比べると、風速0.3〜0.6m/sの気流の左右幅寸法が大きくなっており、壁からの距離も吹出しルーバー24を調整しない場合の37cm程度から42cm程度にエアーカーテンの遮断範囲が広くなっている。これは、吹出しルーバー24により、真下方向に吹出される気流を前方向に屈曲させる時にこの吹出しルーバー24にて気流が左右方向へも広げられるためである。但し、後述するようにエアーカーテンの遮断範囲は、吹出し口の開口面積を小さくすれば範囲は狭くできるため、先ずはエアーカーテンの遮断範囲をどこまで確保できるか検討した後に、徐々に吹出し口の開口面積を小さくしてエアーカーテンが必要ない部分の気流を無くする試みを行うと良い。一般的に風量がほぼ同一で吹出口23の開口面積を小さくすると、吹き出し方向の短距離までは気流は良く到達するが、距離が離れると減衰が大きい。そのため、この特性を利用して、吹出口23から80cm下方の水平面位置の風速分布において、エアーカーテンの遮断範囲を小さくすることは容易に実現することができる。また、吹出口23から160cm下方の時点の最大風速、すなわち床面に近い部分の風速は0.5m/sであり、前後位置は約40cm程度であった。
【0035】
図14に示したものは、出力を所定量減、すなわち回転数を90%に減じて遮断能力を調べたものである。上述の状態で送風機28の能力は、周波数60Hzにて風量は40.0m3/h、回転数2000/min、平均吹出風速1.8m/s、消費電力2.0W、騒音30.0dBであった。図14に基づいて、吹出口23から50cm下方の水平面位置の風速分布を詳細に説明する。風速0.3〜0.6m/sの気流の左右幅寸法は出力通常の場合と同様、約17cmであった。また、風速0.3〜0.6m/sの気流の前後幅寸法も約32cmであるため良好に遮断することができた。さらには、出力が通常、回転数が2250/minの場合と比べ、エアーカーテンの中心部分の最大風速は、風速1.2〜1.5m/sであったものが風速0.9〜1.2m/sに低下しており、より気流感が少ないエアーカーテンを形成することができた。
【0036】
一般的に送風機28を回転数制御する場合、風量は回転数に、軸動力は回転数の3乗に比例し、騒音は回転数の6乗に比例する。コンデンサーランモーターの場合、モーター効率は回転数にほぼ比例するため、消費電力は回転数比の2乗で低下する。
【0037】
ここまでの説明は、脱臭フィルタ20が設けられていない場合であったが、次に上述の厚さ約2mmの脱臭フィルタ20が設けられている場合について説明する。脱臭フィルタ20の圧損は、風量40m3/h時でフィルタ通過風速1.6m/s時、約5Paである。そして、脱臭フィルタ20を取り付けた場合には風量が約15%低下した。そして、送風能力(回転数)を約15%アップさせることにより、脱臭フィルタ20を設けない場合とほぼ同等となる特性を得られることが試験により解った。脱臭フィルタ20を設けない出力通常時は、回転数が2600/minで、騒音は36dB、消費電力は3.5W程度であり、出力を所定量減とした場合は、回転数が2300/minで、騒音は33dB、消費電力は2.5W程度であった。
【0038】
以上の結果より、エアーカーテンの大きさの最適値は、遊技者の口の位置の高さにほぼ等しい吹出口23から50cm下方の水平面位置の風速分布において、例えば遊技者が肩などに気流を感じて不快にならず分煙効果が確実に発生する風速として、0.3〜0.6m/sの気流の左右幅寸法を15〜20cm程度とし、前後幅寸法を35cm以上とすることにより良好に遮断できることが解った。
【0039】
また、灰皿や電動ハンドル7の位置にほぼ等しい吹出口23から80cm下方の水平面位置の風速分布は、例えば遊技者が電動ハンドル7を持つ手の部分で気流を感じて不快に感じないように、さらには灰皿のタバコの灰が飛び散らないように、風速0.6m/s以上の気流で、左右幅寸法を10cmに抑える必要がある。また分煙効果が確実に発生する風速としては、吹出口23から50cm下方の水平面位置と同様、0.3〜0.6m/sの気流の左右幅寸法を15〜20cmとし、前後幅寸法は35cm以上とすることにより良好に遮断できることが解った。
【0040】
なお、本実施の形態においては、多数併設される遊技機として、パチンコ店のパチンコ機を例に挙げているが、遊技機としては、パチンコ機に限らず、例えばスロット機やその他の機器であってもよい。また、本実施の形態の分煙装置12は、隣り合うパチンコ機の間のデータ表示機取付面10に取り付けられているが、必ずしもデータ表示機取付面10に取り付けられる必要はなく、隣り合う遊技機間の上方に設置されれば所定の効果を得ることができる。
【0041】
以上のように本実施の形態の分煙装置は、パチンコ機あるいはスロット機などの隣り合う遊技機間の上方に設置され、製品下面に設けられた吹出口23より下方に向かう微風エアーカーテンを形成することにより、隣席の喫煙者のタバコの煙・酒気・口臭等の悪臭を遮断する分煙装置であって、微風エアーカーテンの大きさを遊技者の口の位置の高さにほぼ等しい吹出口23から50cm下方の水平面位置において、0.3〜0.6m/sの気流の左右幅寸法を15〜20cm程度とし、前後幅寸法は35cm程度以上とし、灰皿の位置や、電動ハンドル7の位置にほぼ等しい吹出口23から80cm下方の水平面位置においても、0.3〜0.6m/sの気流の左右幅寸法を15〜20cm程度とし、前後方向で35cm程度以上とし、さらに風速0.6m/s以上の気流の左右幅寸法は15〜20cm程度に抑えるように構成する。
【0042】
このような構成により本実施の形態の分煙装置12においては、遊技者がエアーカーテンにより不快になることがなく、さらに灰皿のタバコの灰などを吹き飛ばすというようなこともない。また、床面部分の最大風速を1.0m/s以下としているので床面の埃などを巻き上げることもない。さらには、空調機の気流や人の移動でエアーカーテンによるタバコの煙の遮断がうまく機能しない場合でも、その煙が一時的に一ヶ所に滞留することを抑制することができ、臭いも気にならないレベルにすることができる。さらに、タバコの煙がパチンコ機付近に滞留して、パチンコ機の例えば正面ガラスに付着することも抑制することができる。
【0043】
本実施の形態の分煙装置12の大きさは、高さ寸法は155mm、左右幅寸法は110mmで速結端子部分の収納スペースを含めて135mm、奥行き寸法は吹出口23側で80mm、吸入口18側で100mm、質量は本体ケース25及び吹出しダクト30を樹脂にて作製した場合で約600gである。製品の取付工事に関しては、図3及び図4で示すように本体ケース25を取外すことなく、基台15の左右方向両端部に設けられたフランジ部に設けられた取付穴15aにドリリングネジ32等を挿入して締着することができ、大量な数の分煙装置12を短時間で取り付けることが可能である。
【0044】
実施の形態2.
図18は本発明に係る実施の形態2の分煙装置が設置された遊技場の斜視図である。図18において、本実施の形態の分煙装置42は、データ表示機取付面10よりさらに上方のメンテナンス板2に取り付られている。そして本実施の形態における分煙装置42の吹出口(本体下面)から遊技者の口までの距離及び灰皿までの距離は、図1に示す実施の形態1のもの比べ20cm程度大きくなるが、送風機の出力を大きくすることで同等の効果を得ることができる。
【0045】
本実施の形態においては、メンテナンス板2に分煙装置42を取り付けるので、分煙装置42が重ければメンテナンス板2の開閉に支障をきたす。しかしながら、近年、コンデンサーランモーターも非常に小型で軽量なものが開発されており、このような軽量な小型モーターを使用することにより、分煙装置42を約600gに軽量化することが可能であり、これによりメンテナンス板2への取り付けも可能となる。なお、コンデンサーランモーターは、電子部品などを使用していないため他機器への電波障害などの心配がない。
【0046】
また、場所によってはデータ表示機取付面10とメンテナンス板2との間に棚が設けられている遊技場もあるが、このような場合には、取付金具を使用して、例えば取付金具はデータ表示機取付面10に固定して、分煙装置42が棚の前方にくるように設置することにより、メンテナンス板2の開閉に支障がないようにすることもできる。
【0047】
実施の形態1及び実施の形態2の分煙装置に関して、その消費電力は、脱臭フィルタ20を装填したものでも強運転時で1台当たり約3.5Wと非常に省電力である。平均的なパチンコ店のパチンコ機設置台数は1店舗当たり約300台であるが、本実施の形態の分煙装置を300台設置しても、合計の消費電力は1.05KWと非常に少なく、営業時間を14時間として連続運転した場合でも、電気代は約10,000円/月程度である。騒音については、強運転で約36dBであるが、弱運転にすることで約33dBになり、周囲がうるさいこともあり全く気になることがない。
【0048】
また、脱臭フィルタ20を通過する風量は、弱運転において1台当たり約40m3/hと非常に少ないが、本製品を300台設置した場合には合計風量は12000m3/hとなり、脱臭フィルタ20の仕様として厚みが約2mmの非常に低圧損で脱臭効率が15%と低くて安価なものを使用しても、例えば営業時間帯は連続運転することで、大量の空気を脱臭できるため、パチンコ店全体の室内環境が大幅に改善できる。さらには、営業時間外の全ての時間帯も運転することにより、すなわち常時運転した場合には、汚れた空気の淀みがなくなり、換気扇の換気効率も向上しパチンコ店全体の室内環境がより一層改善されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る実施の形態1の分煙装置が設置された遊技場の斜視図である。
【図2】分煙装置の右側面側から見た横断面図である。
【図3】分煙装置の正面側から見た横断面図である。
【図4】分煙装置の上面側から見た上面図である。
【図5】分煙装置の下面側から見た底面図である。
【図6】分煙装置の吹出しルーバーを外した状態での下面側から見た底面図である。
【図7】分煙装置の斜め下方正面から見た斜視図である。
【図8】分煙装置の斜め下方正面から見た分解斜視図である。
【図9】分煙装置が形成するエアーカーテンの風速測定位置を示す図である。
【図10】分煙装置の出力通常の場合の吹出口から50cm下方の水平面位置の吹出風速分布を示す説明図である。
【図11】分煙装置の出力通常、吹出しルーバー調整の場合の吹出口から50cm下方の水平面位置の吹出風速分布を示す説明図である。
【図12】分煙装置の出力通常の場合の吹出口から80cm下方の水平面位置の吹出風速分布を示す説明図である。
【図13】分煙装置の出力通常、吹出しルーバー調整の場合の吹出口から80cm下方の水平面位置の吹出風速分布を示す説明図である。
【図14】分煙装置の出力所定量減の場合の吹出口から50cm下方の水平面位置の吹出風速分布を示す説明図である。
【図15】分煙装置の出力所定量減、吹出しルーバー調整の場合の吹出口から50cm下方の水平面位置の吹出風速分布を示す説明図である。
【図16】分煙装置の出力所定量減の場合の吹出口から80cm下方の水平面位置の吹出風速分布を示す説明図である。
【図17】分煙装置の出力所定量減、吹出しルーバー調整の場合の吹出口から80cm下方の水平面位置の吹出風速分布を示す説明図である。
【図18】本発明に係る実施の形態2の分煙装置が設置された遊技場の斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1 パチンコ機
2 メンテナンス板
3 正面ガラス
4 パチンコ機本体部
5 上段玉受皿
6 下段玉受皿
7 電動ハンドル
8 操作部
9 データ表示機
10 データ表示機取付面
11 テーブル
12,42 分煙装置
13 駆動モータ
15 基台
16 軸流ファン
17 ファンケーシング
18 吸入口
19 フィルターホルダー
20 脱臭フィルタ
23 吹出口
24 吹出しルーバー
25 本体ケース
26 運転入切スイッチ
27 出力強弱スイッチ
28 送風機
30 吹出しダクト
32 ドリリングネジ
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【出願日】 平成18年6月28日(2006.6.28)
【代理人】 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明


【公開番号】 特開2008−5979(P2008−5979A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−178156(P2006−178156)