| 【発明の名称】 |
ボール |
| 【発明者】 |
【氏名】芦田 哲哉
【氏名】緒方 宏紀
【氏名】安田 佳明
【氏名】佐伯 武俊
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| 【要約】 |
【課題】トスやサーブなどプレイトータルでのコントロール性及びボールの飛行時の失速度合いの滑らかさに優れ、従来にない立体感のある意匠性に優れた外観を有し、十分な表面摩耗強度を兼ね備えた、主にバレーボール、ビーチバレーボールに好適に使用できるボールを提供する。
【構成】繊維基材の表面に高分子弾性体被覆層が積層され、該被覆層表面に連続する凸部と不連続な凹部が形成され、該不連続な凹部が平均間隔0.5〜3mmで形成されており、該凹部は深さ50〜500μm、個々の凹部の垂直投影面積が1〜5mm2、被覆層表面積に対する個々の凹部の垂直投影面積の総和の割合が3〜30%であることを特徴とするシート状物からなる、バレーボール用又はビーチバレーボール用のボールであり、 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 繊維基材の表面に高分子弾性体被覆層が積層され、該被覆層表面に、連続する凸部と不連続な凹部が形成され、該不連続な凹部が平均間隔0.5〜3mmで形成されており、該凹部は深さ50〜500μm、個々の凹部の垂直投影面積が1〜5mm2、被覆層表面積に対する個々の凹部の垂直投影面積の総和の割合が3〜30%であることを特徴とするシート状物からなる、バレーボール用又はビーチバレーボール用のボール。 【請求項2】 前記被覆層表面に、さらに深さが前記凹部の深さ未満でかつ10〜100μmである二次凹部を有する二次凹凸が形成されている請求項1に記載のバレーボール用又はビーチバレーボール用のボール。 【請求項3】 前記被覆層表面の凹部以外の部分に、前記二次凹凸が形成されている請求項2に記載のバレーボール用又はビーチバレーボール用のボール。 【請求項4】 前記被覆層表面の凸部の上面に、前記二次凹凸が形成されている請求項2又は3に記載のバレーボール用又はビーチバレーボール用のボール。 【請求項5】 前記二次凹部が不連続であり、垂直投影面積が0.01〜1mm2、かつ被覆層表面積に対する個々の二次凹部の垂直投影面積の総和の割合が1〜30%である請求項2〜4のいずれかに記載のバレーボール用又はビーチバレーボール用のボール。 【請求項6】 前記繊維基材が、繊維絡合体と高分子重合体からなる皮革様繊維基材である請求項1〜5のいずれかに記載のボール。 【請求項7】 前記繊維基材が、3次元絡合不織布の内部に高分子重合体が含浸されたものである請求項1〜6のいずれかに記載のボール。 【請求項8】 前記高分子重合体が、ポリウレタン系樹脂である請求項6に記載のボール。 【請求項9】 前記繊維基材の厚さが、0.4〜3.0mmである請求項1〜8のいずれかに記載のボール。 【請求項10】 前記高分子弾性体が、ポリウレタン系樹脂である請求項1〜9のいずれかに記載のボール。 【請求項11】 前記高分子弾性体被覆層の厚さが、0.1〜0.3mmである請求項1〜10のいずれかに記載のボール。 【請求項12】 前記凹部の厚さ方向の断面形状が、弓形、半円状又は台形状である請求項1〜11のいずれかに記載のボール。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明はバレーボール用、ビーチバレーボール用のいずれかのボールに関するものである。さらに詳しくは、本発明は、立体感に優れた外観を有しながら、十分な表面摩耗強度と優れたクッション性、ボールをトスする際のコントロール性を兼ね備えた、バレーボール、ビーチバレーボールに好適に使用できるボールに関するものである。 【背景技術】 【0002】 バレーボール、ビーチバレーボールのボールには種々の特性が要求される。例えば、地面や床面などとの摩擦、衝突を繰り返す表面素材に対しては、高レベルの表面摩耗強度が要求され、また、手でボールを直接コントロールするような使用形態では、ボールに触れる際の指先や腕に与える衝撃を低減するソフトなクッション性と、コントロール性が要求される。さらに最近では、汗でボール表面が濡れた際にも良好なコントロール性が要求されることが多い。 高レベルの表面摩耗強度とクッション性を有し、嗜好性として皮革様の外観や風合いを有するボールを得る方法として、従来より各種の方法が提案されている。 例えば、無孔質高分子弾性体層(第1層)、多孔質高分子弾性体層(第2層)、高分子 弾性体と不織布とからなる層(第3層)、及び不織布層(第4層)の少なくとも4層から なる皮革様シート並びにその皮革様シートからなるボールが提案されている(特許文献1 参照)。しかしながら、特許文献1の方法では、実使用に耐え得る耐久性を有する高分子 弾性体を用いて第1層と第2層を形成すると、クッション性が不十分であり、ボールのコントロール性、飛行性能の点で満足できるものではなかった。 【0003】 また、クッション性に加えて、立体感に優れた外観を有する皮革様シートとして、ポリウレタン層により被覆された凹凸模様を有する繊維質基材の表面に、ポリウレタンを主体とした透明な無孔質層が積層されている合成皮革であって、該凹部と該無孔質層との間に空気層が存在し、かつ該凸部と該無孔質層の接着部分の総面積が合成皮革の表面積の50〜90%である合成皮革が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、特許文献2においても、バレーボール、ビーチバレーボールのように、手で扱うボールとしてはクッション性と実用に耐え得る耐久性を両立するものは得られておらず、ボールのコントロール性、飛行性能の点で満足できるものではなかった。 また、表面に実質的に連続する凸部とそれに隣接する凹部を有し、該凸部と該凹部の高低差が50〜1000μm、隣接する凹部の垂直投影面積が3〜30mm2、凹部同士の平均間隔が0.5〜3mmであり、かつ凹部の垂直投影面積の総面積が、シートの全面積の30〜60%であるボールが提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、このボールは、バスケットボールのような手でつかむボールには好適であるが、バレーボールのように、手で打撃するボールにおいては、打ったときの衝撃、ボールのコントロール性、飛行性能の点で満足できるものではなかった。 さらに、一次凸部の上面に二次凹凸部を形成することにより、ボールをつかむ手の指紋の微細な凹凸とかみ合わせることでウェット時でも優れたノンスリップ性を発揮することができるバスケットボールが提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、このボールも、バスケットボールのような手でつかむボールには好適であるが、バレーボールのように、手で打撃するボールにおいては、打ったときの衝撃、ボールのコントロール性、飛行性能の点で満足できるものではなかった。 【特許文献1】特開2000−102629号公報 【特許文献2】特開平11−93081号公報 【特許文献3】国際公開WO2005/97268号公報 【特許文献4】特開2005−87315号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明は、このような状況下で、立体感に優れた外観を有しながら、球技用ボールの表面素材として十分な表面摩耗強度と、ソフトなクッション性を有し、コントロール性、飛行性能に優れたバレーボール、ビーチバレーボールに好適に使用できるボールを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明者らは、前記の目的を達成するために鋭意検討した結果、ボールを形成するシート状物の表面に、短い間隔で不連続に凹部を設けることにより、実質的に連続した凸部を付与することによって、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明は、図1に示すように、繊維基材2の表面に高分子弾性体被覆層1が積層され、被覆層1表面に連続する凸部4と不連続な凹部3が形成され、不連続な凹部3が平均間隔0.5〜3mmで形成されており、凹部3は深さ50〜500μm、個々の凹部3の垂直投影面積が1〜5mm2、被覆層表面積に対する個々の凹部3の垂直投影面積の総和の割合が3〜30%であることを特徴とするシート状物からなる、バレーボール用又はビーチバレーボール用のボールを提供するものである。 【発明の効果】 【0006】 本発明のボールは、ボールを形成するシート状物の表面に、短い間隔で不連続に凹部を設けることにより、実質的に連続した凸部を有する。そのため十分な表面摩耗強度と、実質的に連続した凸部の優れたクッション性により、ボールを打つ際の指先や腕に与える衝撃を低減できる。また、凹部は、安定した飛行性能を与えるだけではなく、指先とボール表面の接触面積、接触時間が増すことによりボールのコントロール性を向上させることができる。さらには、汗や水にぬれたときにも滑りにくいという優れたノンスリップ性をも有する。 即ち、本発明のボールは、トスを始め、アタックからサーブまでプレイ全体においてコントロール性に優れる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0007】 本発明のボールを形成するシート状物は、繊維基材と高分子弾性体被覆層とからなり、該被覆層表面に連続する凸部と不連続な凹部が多数形成されたシート状物である。ここで、「不連続な凹部」とは、例えば平坦なシート表面に間隔を置いて配置された互いに独立する多数の凸形状を押圧することで形成される多数の互いに独立した凹形状(凹部)をいう。 「不連続な凹部」の形成方法としては、安定的に所望の凹形状が付与可能な方法であれば、従来公知の方法が何れも採用可能である。例えば、少なくとも表面層が高分子弾性体により形成されたシート状物の表面に、所望の凸形状を有するエンボスロール等により型押しをする方法、あるいは所望の凸形状を有する離形紙に高分子弾性体液を流延・固化させて形成した高分子弾性体被覆層をシート状物の表面層として使用する方法などを採用することができる。 【0008】 また、個々の凹部は、その垂直投影面積が1〜5mm2であり、隣接する凹部同士の平均間隔が0.5〜3mmであり、かつ凹部の深さが50〜500μmである必要がある。このような数値範囲の不連続な凹部を形成させる方法として、前記した内の離型紙を使用する方法は、離型紙の製造上、得られるシート状物の凹部の深さに限界があるうえ、不連続な凸部を有する離型紙に樹脂溶液を塗布した場合、凸部(シート状物における凹部)が深いほどその周囲に気泡を生じ易いといった傾向があるので、目安としては目的とする凹部の深さが150μm未満の場合において好適な方法である。一方、エンボスロール等により型押しをする方法は、目的とする凹部の深さに応じた凸部を有するエンボスロールを用いればよく、その適性は所望の深さの大小にはあまり依存しない。従って、工業的な生産性を考慮すると、離型紙を使用する方法よりは、エンボスロール等により賦形する方法が好ましい方法である。 エンボスロールを使用して、所望の凹部を形成する場合は、使用するロールの凸部高さとロールの温度、圧力、時間の条件を適宜設定して行うことができる。これらの条件は、 特に制限されないが、ロールの凸部高さ80〜700μm、ロール温度150〜180 ℃、プレス圧5〜50kg/cm、時間10〜120秒間の範囲で調整し、所望の凹部深さを得ることができる。 【0009】 なお、本発明におけるボール、即ちバレーボール、ビーチバレーボール等の手でボールを打つ球技のボールは、一般的には、天然皮革や合成皮革等からなる複数個のピースを縫い合わせるか、あるいはボールの芯材にピースを貼り合わせることにより製造される。ここで、個々のピースの外周同士が接する部分が筋又は縫目となるが、本発明でいうシート状物表面の凸部、凹部とは、ピース外周に形成される筋又は縫目ではなく、ピース表面に形成される形状を指し、気体充填型ボールの表面に一般的に存在する気体充填口や、ボール表面に局所的に形成されるロゴマーク等も含まない。 【0010】 バレーボールなどの球技に使用されるボールの表面形状としては、プレイヤーが無作為にボールをつかんだ際に指先に少なくとも1個以上の凹部が触れるような状態である必要がある。従って、ボール表面の形状としては凹部の深さは、50〜500μmであり、好ましくは200〜350μmである。凹部の深さが50μmに満たない場合は、汗や水に濡れた際にすべりやすくなるので特にトスする際のコントロール性において効果が得られない上、サーブなどの飛行中における軌道のぶれを抑制する効果も得られ難くなる。さらには、商品性という観点でみると、意匠的な効果も小さくなってしまう。一方、凹部の深さが350μmを超えると、汗や水に濡れた際のノンスリップ性は一層よくなり、トスを上げる際のコントロール性もより向上する傾向にあるが、プレイヤーによっては指先へのボールのひっかかりが気になることがあり、凹部の深さが500μmを超えると大多数のプレイヤーにとってトスするさいのコントロール性の向上よりはむしろひっかかり過ぎる点が気になるようになるため、かえってプレイトータルとしてボールのコントロール性に対する評価が悪くなる傾向が顕著となる。 なお、本発明でいう「凹部の深さ」とは、図3に示すように、被覆層において、凸部の表面と凹部の最も深い部分までの距離(D)を厚さ方向の断面写真にて測定し、10点の測定値を平均した値をいう。 【0011】 本発明で用いるシート状物における凹部の垂直投影面積は1〜5mm2である必要があり、好ましくは2〜3mm2である。垂直投影面積が5mm2を超えて個々の凹部が大きくなると、トスを上げる際に指先へのボールのひっかかりが強すぎると評価するプレイヤーが多数を占める傾向にあり、プレイトータルとしてかえってボールのコントロール性に対する評価が悪くなる傾向が顕著である。さらに、ボールの磨耗性も低下してしまうという弊害までが顕在化する。垂直投影面積が1mm2未満の場合は、指へのひっかかりは殆どなくなり、さらには汗や水に濡れた際にもすべりやすくなるので、トスする際のコントロール性において改良効果が殆ど得られない上、サーブなどの飛行中における軌道のぶれを抑制する効果も得られ難くなる。さらには、商品性という観点でみると、意匠的な効果も小さくなってしまう。シート状物の凹部の最深部分を通る断面において、凹部表面とそれに隣接する凸部の表面が連続する曲線で繋がっている場合、平面部の垂線と凹部表面の接線がなす角度が45°となる部分を凹部と平面部との境界(B)とする(図4参照)。一方、表面形状に折れが認められればその点を凹部と平面部との境界(B)とする(図5参照)。その境界線に囲まれた凹部領域の被覆層表面に対する垂直方向の投影面積を「凹部の垂直投影面積」という。 【0012】 個々の凹部の垂直投影面積の総和は、被覆層の全表面積に対する割合で、3〜30%である必要があり、より好ましくは10〜25%である。個々の凹部の垂直投影面積の総和の割合が3%未満だと、トスする際のコントロール性において改良効果が殆ど得られなく上、サーブなどの飛行中における軌道のぶれを抑制する効果も得られ難くなる。さらには、商品性という観点でみると、意匠的な効果も小さくなってしまう。一方、30%を越えると汗や水に濡れた際のノンスリップ性の点のみから見ると良好な評価は得られても、トスを上げる際に指先へのボールのひっかかりが強すぎると評価するプレイヤーが多数を占める傾向にあり、プレイトータルとしてボールのコントロール性に対する評価が悪くなる傾向が顕著である。また、凹部の厚さ方向の断面形状が、弓形、半円状又は台形状であることが好ましく、立体形状が、半球状、円錐台状又は角錐台状であることが好ましい。ここで「半球状」とは、完全な半球であることを意味するものではなく、概略の形状が半球状になっていることを意味する。また、「台形状」も完全な台形であることを意味するものではなく、概略の形状が台形状になっていることを意味し、例えば底辺が直線でなく僅かに凸形状を呈しているようなものであってもよい。弓形、半円状、円錐台状又は角錐台状も、同様に、概略そのような形状になっているものであれば良い。凹部の形状を半球状、円錐台状又は角錐台状とすることで、トスする際の極めて微妙な指先へのひっかかりが得られるばかりでなく、サーブやその他の各プレイも含めたトータルでのコントロール性がバランス良く得られるようになる。 【0013】 また、本発明で用いるシート状物における半球状の凹部同士の平均間隔は0.5〜3mmである必要がある。0.5mm未満の場合、凹部同士が近づきすぎて凸部の形状が部分的にシャープになりすぎるため、ソフト性、クッション性及び触感、さらに表面摩耗強度に劣るものとなる。また3mmを超える場合、フィット性やノンスリップ性に劣るものとなる。凹部同士の平均間隔は、好ましくは1〜2mmである。 なお、「凹部同士の平均間隔」とは、表面を電子顕微鏡にて撮影し、任意の凹部10点を選び、その凹部の外周を基準に隣りあう凹部の最短距離を測定した平均値をいう。また、凹部が前記のとおり全て曲線であれば、シート表面の垂線となす角度が45°の部分を凹部と凸部との境界とし、あるいは角があればその部分を凹部と凸部との境界として、境界線に囲まれた部分を外周とする。 【0014】 さらに、本発明のボールを形成するシート状物は、被覆層表面に、さらに深さが前記凹部(一次凹部)の深さ未満でかつ10〜100μmの二次凹凸が形成されていることが好ましい。二次凹凸の形状は特に制限されないが、あらゆる方向についてのノンスリップ性を均一に得るため、格子状、同心円状、放射状等(図6参照)の、2方向以上の直線または曲線上に配列された形状、複数の直線や曲線からなる不均一な形状、前記一次凹部と同様な不連続な凹部形状、またはこれらの組み合わせであってもよい。 そして、汗で濡れたときのグリップ性と意匠性に優れる点で、前記一次凹部と同様な不連続な凹部形状を二次凹部の形状とすることが好ましい。 前記二次凹部の深さは10〜100μmの範囲、かつ前記一次凹部の深さ未満であることが好ましく、20〜70μmがより好ましい。前記二次凹部の深さを10μm以上とすることで、指先とボールの引っかかりが十分となり、トスのコントロールに優れる。前記二次凹部の深さを100μm以下とすることで、耐磨耗性や表面の触感に優れる。さらに前記凹部の深さ未満とすることで耐磨耗性や表面の触感に優れると共に汚れの付着を抑制することが可能となる。 また、被覆層表面の一次凹部以外の部分、特に一次凸部に、さらに前記二次凹凸が形成されていることが、表面の触感、トスのコントロール性及びサーブ時のボールの直進安定性と防汚性をかね備える点で好ましい。さらに、二次凹凸が凹部以外の部分に形成される場合、凸部の側面及び上面に形成される場合があるが、本発明においては、図2に示すように、凸部の上面に形成されることが好ましい。 また、前記二次凹部は不連続であり、垂直投影面積が0.01〜1mm2、かつ被覆層表面積に対する個々の二次凹部の垂直投影面積の総和の割合が1〜30%である不連続な凹部であることが好ましい。 二次凹部は垂直投影面積が0.01〜1mm2であることが、表面の触感がスムースとなる点で好ましく、二次凹部の垂直投影面積の総和の割合が1〜30%である不連続な凹部からなることが、ボールと指先とが十分にかみ合いやすくなることで、いっそう優れたノンスリップ性を有する。また、ボールの直進性がより優れ、特にボールの飛行距離が長いサーブにおいて軌道がぶれ難くなる点で好ましく、3〜20%であることが好ましい。 【0015】 本発明で用いるシート状物において不連続な凹部が形成された被覆層表面にさらに二次凹凸を形成させる方法としては、凹部と二次凹凸を形成可能な離型紙を使用して凹部と二次凹凸を同時に形成する方法、エンボス処理等により二次凹凸を型押しする方法等があるが、工業的な生産性を考慮すると、離型紙を使用する方法よりは、エンボス処理により形成する方法が好ましい方法である。 エンボスロールを使用して、所望の二次凹凸を形成する場合には、使用するエンボスロールの凸部の高さとエンボスロールの温度、圧力、時間の条件を適宜設定して行うことができる。これらの条件は、特に制限されないが、エンボスロールの凸部高さ80〜700μm、ロール温度150〜180℃、プレス圧5〜50kg/cm、時間10〜120秒間の範囲で調整し、所望の二次凹凸を形成することができる。 一回のエンボス処理で不連続な凹部と二次凹凸を同時に形成できるように、あらかじめ不連続な凹部と二次凹凸を形成可能な形状のエンボスロールを作製して使用することが経済的には好ましい方法である。 【0016】 また、着色処理は凹部及び/又は二次凹凸を形成する処理の前、後の何れでも可能であり、例えばエンボスロールにより賦形する方法の場合に、そのエンボス処理の前、後のいずれでも可能であるが、エンボス処理は加熱を行う場合が多く、変色を伴う可能性があるので、エンボス前に加熱による変色を防止するための着色処理を行うことが好ましい。着色剤としては、耐熱性、耐光性、摩擦堅牢度の点から顔料が最良である。着色剤の処理方法としては、グラビア法、染色方法、リバースコート、ダイレクトコート等の方法があるが、生産性、コスト等を考慮すればグラビア法が最適である。 【0017】 本発明で用いる高分子弾性体被覆層の厚さは、必要とされる物性、あるいはプレイヤーが好むような風合いなどに応じて任意に選択でき、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1〜0.3mmである。高分子弾性体被覆層の厚さが0.1mm以上であれば、耐磨耗性などの最低限必要な機械的物性を確保することができる。一方、高分子弾性体被膜層の厚さが0.3mm以下であれば、ボールの重さへ影響することもない。 【0018】 本発明においては、必要に応じて表面のタッチを変更したり、撥水性、防汚性等を付与することができる。例えば、不連続な凹部、あるいは平面部の少なくとも一部にタッチ改質剤の樹脂を塗布する方法、フッソ系樹脂を主体とする薬剤を塗布する方法などがある。タッチ改質剤の樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂を主体とするもの、ポリウレタン樹脂を変性させたもの、アミノ酸樹脂を主体とするもの、コラーゲンやシルクなどの粉体を利用したものなどがあり、目的に応じて使用することができる。 このような樹脂、薬剤をシート状物表面の平面部を被覆する方法としては、種々の方法が使用可能であるが、特に平面部のみをノンスリップ性の樹脂で被覆する場合は、選択的に塗布する方法が好適に用いられる。具体的な方法としては、グラビアロールを用いて転写する方法がある。また、平面部のみならず凹部も被覆する方法としては、全面に塗布する方法が用いられる。具体的な方法としては、スプレー法による塗布、ナイフコート法などにより表面全面に一定の厚みでコートする方法、工程紙など基材に樹脂を全面塗布して製膜し、接着層を介して基体層に接着する方法、押し出し機からダイを通じて基体層上に均一に押し出して表面に製膜する方法等がある。 【0019】 本発明のボールを形成するシート状物に用いることができる繊維基材としては、天然皮革、皮革様シート、編織物又は不織布等の各種の繊維基材を使用することができる。編織物又は不織布等を繊維基材として使用する場合は、必要に応じてこれらに高分子重合体が含有されたものなども使用可能であり、また皮革様シートとして従来公知のものが何れも使用可能である。これらの中では、繊維絡合体と高分子重合体からなる皮革様の繊維基材が好ましく、特に、繊維絡合体として使用する3次元絡合不織布の内部に高分子重合体がスポンジ状態で含浸されているものが好ましい。これは、シート状物の表面に存在する凹部により実質的に連続した凸部がボールをつかむ指先とかみ合い、しかもシートの表面のタッチ、風合いが柔軟であり、ある程度のクッション性を有していることによりノンスリップ性が向上するからである。 【0020】 繊維基材となる編織物又は不織布等を構成する繊維としては、ボールの表面素材として要求される機械物性を満足できれば、従来公知の天然繊維、合成繊維、半合成繊維の中から何れであっても使用可能である。工業的には公知のセルロース系繊維、アクリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維等が単独又は混合したものが品質安定性、価格等の面から好ましく使用される。本発明においては、特に限定されるものではないが、より天然皮革に近い柔軟な風合いを実現できる極細繊維が好ましく、平均繊度が0.3dtex以下、特に0.1dtex以下であり、また0.0001dtex以上の平均繊度を有する極細繊維が好ましく用いられる。 【0021】 このような極細繊維を得る方法としては、(a)目的とする平均繊度の極細繊維を直接紡糸する方法、及び(b)一旦目的とする繊度より太い極細繊維発生型繊維を紡糸し、次いで目的とする平均繊度の極細繊維に変成する方法が挙げられる。 極細繊維発生型繊維を経由して極細繊維を得る方法(b)としては、相溶性を有していない2種以上の熱可塑性ポリマーを複合紡糸又は混合紡糸し、この繊維から該ポリマーの少なくとも一成分を抽出除去又は分解除去、あるいは構成ポリマーの界面でポリマーを分割剥離する方法が一般的である。少なくとも一成分を除去するタイプの極細繊維発生型繊維の代表的な繊維の形態としては、いわゆる「海島型繊維」と呼ばれるものや、「多層積層型繊維」などが挙げられる。 海島型繊維の場合には海成分ポリマーを抽出除去又は分解除去することにより、また多層積層型繊維の場合には少なくとも何れかの積層成分ポリマーを抽出除去又は分解除去することにより、残った島成分からなる極細繊維束が得られる。また、構成ポリマーの界面で剥離分割するタイプの極細繊維発生型繊維の代表的な繊維の形態としては、いわゆる花弁状積層型繊維や多層積層型繊維などが挙げられ、物理的処理又は化学的処理により積層する異種ポリマー間の界面で相互に剥離させることにより極細繊維束を得ることができる。 【0022】 海島型繊維又は多層積層型繊維の島成分ポリマーとしては、溶融紡糸可能で、強度等の繊維物性を十分に発揮するポリマーであって、紡糸条件下で海成分ポリマーより溶融粘度が大きく、かつ表面張力が大きいポリマーが好ましい。このような島成分ポリマーとしては、例えばナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−610、ナイロン−612等のポリアミド系ポリマー、及びこれを主体とする共重合体、又はポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系ポリマー、及びこれを主体とする共重合体等が好適に用いられる。 また、海島型繊維又は多層積層型繊維の海成分ポリマーとしては、島成分ポリマーよりも溶融粘度が低く、島成分との溶解性、分解性を異にし、海成分の溶解、除去に用いられる溶剤又は分解剤等への溶解性が大きく、島成分との相溶性の小さいポリマーが好ましい。例えば、ポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、変性ポリスチレン、変性ポリエステルなどが好適に用いられる。 【0023】 繊度0.3dtex以下の極細繊維を好適に発生させる極細繊維発生型繊維、すなわち海島型繊維の好適な海島体積比率は、海/島=30/70〜70/30の範囲であり、好ましくは40/60〜60/40の範囲である。海成分が30%以上であれば、溶剤又は分解剤などで溶解又は分解除去する成分が十分なので、得られる皮革様シートの柔軟性を十分に発現させることができる。そのため、柔軟剤等の処理剤を過剰に使用するなどの対策も必要としない。過剰量の処理剤使用は、引裂き強力などの機械的物性の低下、他の処理剤への影響、タッチへの影響、耐久性の悪化などの諸問題を生じるために好ましくない。また、海成分が70%以下であれば、溶解又は分解除去後の島成分からなる繊維の絶対量が十分であるため、得られる皮革様シートはボール用素材の基材として十分なレベルの機械的物性を安定的に確保することができる。また、溶解又は分解除去する成分が多すぎないため、除去不良による品質の斑や、多量に発生した除去成分の処理などの問題を生じることもなく、生産速度やコスト面などの生産性の観点からも適切であり、工業的に望ましい。 【0024】 また、繊維絡合体として好ましく使用される3次元絡合不織布を製造する方法は、ボール用素材の基材に適した重さや緻密さなどが得られる方法であれば特に限定されず、従来公知の諸方法により製造可能である。使用する繊維としては短繊維からなる不織布でも長繊維からなる不織布でもよい。ウェッブ形成方法としては、カード法、抄紙法、スパンボンド法など従来公知の方法であれば何れも使用可能である。ウェッブの絡合方法としては、ニードルパンチ法、スパンレース法など従来公知の諸方法を単独、あるいは組み合わせることが可能である。 上記の諸方法の中でも、特に好ましい方法は、紡糸して得られる繊維を1.5〜5倍程度に延伸した後、機械捲縮を付与し、3〜7cm長程度にカットして短繊維とした後、これをカードで解繊してウェッバーを通して所望の緻密さのウェッブを形成し、得られたウェッブを所望の重さに積層し、次いで、1つあるいは複数のバーブを有するニードルを使用し、300〜4000パンチ/cm2程度でニードルパンチングすることにより厚み方向に繊維を絡合させる方法である。 【0025】 次いで、得られた3次元絡合不織布などの繊維絡合体に、必要に応じて高分子重合体を含浸させる。含浸させる方法としては、ディップニップ法、ナイフコート法、バーコート法、ロールコート法、スプレーコート法などの公知の方法により、高分子重合体の溶液又は分散液を繊維絡合体に単独で、あるいは組み合わせて含浸し、乾式法や湿式法によってスポンジ状に多数の空隙を生じるように高分子重合体を凝固させる。 用いることのできる高分子重合体としては、皮革様シートの製造に一般的に用いられている公知の高分子重合体が何れも使用可能であり、例えばポリウレタン系樹脂、ポリエステル系エラストマー、ゴム系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリアミノ酸系樹脂、シリコン系樹脂、及びこれらの変成物、共重合物、あるいは混合物等が好適な例として挙げられる。 【0026】 これらの高分子重合体は、水分散液又は有機溶剤溶液として繊維絡合体に含浸した後、水分散液を使用する場合は主に乾式法、有機溶剤溶液を使用する場合は主に湿式法により、スポンジ状に凝固させる。水分散液を使用する場合は、感熱ゲル化剤を添加しておくと、乾式法、あるいはこれにスチーミングや遠赤外加熱などの方法を組み合わせること で厚み方向により均一な凝固が可能であり、また有機溶剤を使用する場合は、凝固性調整剤を併用することで、より均一な空隙を得ることができる。繊維絡合体、とりわけ3次元 絡合不織布に含浸した高分子重合体をスポンジ状に凝固させることにより、天然皮革に類た風合いやボール用素材に適した諸物性を有する基材を得ることができる。 【0027】 本発明においては、上記した繊維絡合体に含浸する高分子重合体の中でも、繊維絡合体との複合状態における風合いや諸物性のバランスなどの点から、ポリウレタン系樹脂が好ましく使用される。 このポリウレタン系樹脂の代表例としては、例えば、平均分子量500〜3000のポリエステルジオ−ル、ポリエーテルジオール、ポリエステルエーテルジオール、ポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオールなどから選ばれた少なくとも1種類のポリマージオールと、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの芳香族系、脂環族系、脂肪族系の有機ジイソシアネートなどから選ばれた少なくとも1種の有機ジイソシアネートと、ジオール、ジアミン、ヒドロキシアミン、ヒドラジン、ヒドラジドなどの活性水素原子を少なくとも2個有する低分子化合物から選ばれた少なくとも1種類の鎖伸長剤とを所定のモル比で反応させることにより得られる各種のポリウレタンが挙げられる。ポリウレタンは、必要に応じて、複数種のポリウレタンを混合したものを用いてもよく、また合成ゴム、ポリエステルエラストマー、ポリ塩化ビニルなどの重合体を添加して得た重合体組成物として使用することもできる。 【0028】 繊維として、上記の極細繊維発生型繊維を使用する場合には、高分子重合体溶液又は分散液を含浸、凝固させた後の複合シートの段階で、又は含浸、凝固させる前の繊維シートの段階で、極細繊維化処理することで極細繊維発生型繊維を極細繊維束に変成することにより、極細繊維絡合体と高分子重合体からなる皮革様の繊維基材を得ることができる。複合シートの段階で極細繊維化処理をした場合には、特に海島型繊維であれば、海成分ポリマーが除去されて極細繊維束と高分子重合体との間に空隙が生じ、高分子重合体による極細繊維束の拘束が弱くなるので、皮革様基材の風合いがより柔らかくなる傾向にあり、この方法は本発明において好ましく採用できる方法である。 一方、繊維シートの段階で極細繊維化処理をした場合には、高分子重合体により極細繊維束が強く拘束されるため、皮革様基材の風合いがより硬くなる傾向にあるものの、皮革様基材中の高分子重合体比率を少なくすることで硬くなる傾向は抑えることが十分に可能であり、繊維の比率がより高い場合に得られる充実感のあるしっかりした風合いを目的とする場合には好ましい方法でもある。 【0029】 本発明で用いる繊維基材の厚さは目的とする用途、例えばボールの表面素材であれば、ボールの種類や必要とされる物性、あるいはプレイヤーが好むような風合いなどに応じて任意に選択でき、特に限定されるものではないが、好ましくは0.4〜3.0mmである。繊維基材の厚さが0.4mm以上であれば、ボール用素材はもちろんのこと、各種のラケット、ハンドル、手すりなどのグリップ部分のカバー素材としても、引張り強力や引裂き強力、又は耐磨耗性などの最低限必要な機械的物性を確保することができる。一方、繊維基材の厚さが3.0mm以下であれば、ボールやラケット、ハンドルなど、シート状物を使用した製品自体の重さへの影響することも無い。 【0030】 また、繊維基材における繊維と高分子重合体との質量比は、物性や風合いの調節のために適宜選択すればよく、本発明の本質的な意味において特に限定されるものではない。例えば、ボール用素材の風合いとして一般的に好まれるような皮革様の繊維基材としては、上記した複合シートの段階で極細繊維化する場合は、繊維/高分子重合体の質量比は35/65〜65/35、好ましくは40/60〜60/40の範囲であり、一方、繊維シートの段階で極細繊維化する場合は、繊維/高分子重合体の質量比は65/35〜95/5、好ましくは60/40〜90/10の範囲である。 【0031】 このような繊維基材の表面を高分子弾性体で被覆する方法としては、各種の方法を採用できる。例えば、高分子弾性体の分散液、溶液又は溶融液を、基材表面とナイフ、バー、ロールなどとの間に設定した一定のクリアランスで規制した量だけ連続的に基材表面に塗布し、乾式法でフィルム状態に乾燥又は多孔質状態に凝固、乾燥させる方法、湿式法で多孔質状態に凝固、乾燥させる方法あるいは溶融造面する方法が挙げられる。 繊維基材として、繊維絡合体と高分子弾性体からなる繊維基材を採用する場合は、基材に含浸させる高分子弾性体の凝固と被覆層を形成する高分子弾性体の凝固とが同時に完了するような方法を採用すると、凝固後の乾燥を1回で済ませることができる上、得られた皮革様シートにおいて繊維基材と高分子弾性体被覆層(多孔質表面層)との一体感が得られやすいので、本発明において好ましく採用される方法である。 【0032】 また、繊維基材の表面に高分子弾性体被覆層を形成する他の方法としては、高分子弾性体の分散液又は溶液を、一旦フィルムや離型紙などの転写剥離シートに所定量塗布して、前記と同様の方法にて高分子弾性体をフィルム状態に乾燥又は多孔質状態に凝固、乾燥した後、これを繊維基材上に接着剤を介して接着するか、あるいは高分子弾性体の溶剤を含む処理液を使用して再溶解により接着するなどして一体化させ、その後で剥離転写シートを剥離する方法などが挙げられる。また、高分子弾性体の分散液又は溶液を、同様に一旦転写剥離シートに所定量塗布した後、乾燥もしくは凝固させる前、又は途中で基材を貼り合わせて凝固と同時に高分子弾性体被覆層と基材とを一体化させる方法も採用可能である。 【0033】 被覆層を形成する高分子弾性体としては、樹脂そのものとして滑り易い性質の樹脂よりは、ある程度のノンスリップ性を付与可能な樹脂であることが好ましく、例えば合成ゴム、ポリエステルエラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン系樹脂等が使用可能である。これらの中でも、弾性、ソフト性、耐摩耗性、多孔質状態の形成性などのバランスの点から、繊維絡合体に含有させる高分子弾性体と同様にポリウレタン系樹脂が好適に用いられる。 ポリウレタン系樹脂としては、前記した各種のポリウレタンが挙げられる。また、必要に応じて複数種のポリウレタンを混合したものを用いてもよく、また合成ゴム、ポリエステルエラストマー、ポリ塩化ビニルなどの重合体を添加して得られる、ポリウレタンを主体とした重合体組成物として使用することもできる。主体として用いられるポリウレタンとしては、耐加水分解性、弾性などの点で、ポリテトラメチレングリコールに代表されるポリエーテル系のポリマージオールを主体として使用したものが好ましく用いられる。 高分子弾性体としてポリウレタンを使用した場合、ポリウレタンを主体とする溶液を繊維基材上に塗布した後、ポリウレタンの貧溶剤を含む処理浴中に浸漬することで、ポリウレタンを多孔質状態に凝固させることができる。ポリウレタンの貧溶剤としては、代表的には水が好ましく用いられるが、処理浴としては貧溶剤である水にジメチルホルムアミド等のポリウレタンの良溶剤を混合して用いると、その混合比率を適宜設定することにより凝固状態、即ち多孔質状態や形状などが制御可能であり、好ましく採用される方法である。 【0034】 繊維基材上に塗布する高分子弾性体の溶液又は分散液には、着色剤、耐光剤、分散剤などの添加剤が、単独あるいは複数種が組み合わされて目的に応じて適宜添加される。また、その他の添加剤として、多孔質の形状を制御するために、乾式発泡させる場合の発泡剤の他にも、湿式凝固させる場合の凝固調節剤などを必要に応じて選択し、単独あるいは数種を組み合わせて添加することも好ましい。 【実施例】 【0035】 次に本発明を具体的に実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%はことわりのない限り質量に関するものである。 また、耐摩耗性、クッション性及び飛行性(コントロール性)については、以下の方法により評価を行った。 [耐摩耗性] ボールを発射速度37km/時で、1.6m離れた合板に入射角度60度で当てることを2万回くりかえし、その後のボール表面の状態を観察して以下のように評価した。 実用上問題のないレベル:表皮の剥れが見られず、著しい汚れがない。 実用上問題のあるレベル:空気挿入口の周囲や、ボール表面に表皮の剥れが見られる。又は、著しく汚れている。 [クッション性] 任意に選出した10人のバレーボールプレーヤーにレシーブをしてもらい、従来のバレ ーボール(比較例1)に比べて、手にあたるときの衝撃性を評価した。 [トスのコントロール性] 任意に選出した10人のバレーボールプレーヤーにトスをしてもらい、従来のバレーボール(比較例1)に比べて、狙った位置にボールが飛ぶかどうかを評価した。 [サーブのコントロール性] 任意に選出した10人のバレーボールプレーヤーにサーブをしてもらい、従来のバレーボール(比較例1)に比べて、狙った位置にボールが飛ぶかどうかを評価した。 [ボールの飛行時の失速度合いの滑らかさ] 初速度約50km/時、打ち出し角度15度でボールを打ち出し、そのボールの軌道を高速度カメラで撮影し、その軌道を従来のボールの失速程度(頂点から落ちるまでの弾道)と比べて長い場合を飛行時の失速度合いが滑らかという。 【0036】 実施例1 (1)島成分が6−ナイロンであって、海成分が高流動性低密度ポリエチレン(海成分/島成分比率=50/50)からなる海島型混合紡糸繊維を溶融紡糸した。得られた繊維を延伸、クリンプ、カットして、3.5デニール、カット長さ51mmのステープルを得た。このステープルをカードに通し、クロスラッパー方式によりウエブとし積層した。次に針に1箇所のバーブのついたフェルト針を用いて980P/cm2の針刺し密度でニードルパンチして目付450g/m2の不織布を得た。この不織布を加熱乾燥、プレスして表面を平滑にした後に13%のポリエステル系ポリウレタンのジメチルホルムアミド(DMFと略す)溶液を含浸し、DMF水溶液で凝固し、湯洗、熱トルエンで繊維中のポリエチレンを抽出除去し、6−ナイロンの極細繊維と多孔質状のポリウレタンからなる人工皮革様の繊維基材を得た。 【0037】 (2)この人工皮革様の繊維基材の表面にポリエーテル系ポリウレタン(大日本インキ化学工業株式会社製、MP−145)の固形分20%DMF溶液を400g/m2塗布し、水中で凝固して多孔表面層となった高分子弾性体被覆層を形成した。その上に、白色顔料を含むエーテル系ポリウレタンインクで着色し、高さ0.5mm、垂直投影面積が4mm2の角錐台状の凸部を有するエンボスロールを使用して、温度170℃、圧力10kg/cm、処理速度1m/分で型押しを行った。得られた凹形状は、不連続な凹部の深さが何れの場所においてもほぼ同様であって、その平均値が260μmであり、また凹部の垂直投影面積、即ちシート表面に垂直な上面方向からの凹部の投影面積が何れの凹部もほぼ同様の大きさであって、その平均値が3mm2であり、凹部同士の平均間隔が2.0mmであり、個々の凹部の垂直投影面積の総和の割合が被覆層表面積に対して19%であった。 (3)得られたシートで被覆したバレーボールを作製し、10人のバレーボールプレーヤーを任意に選出してボールの評価を行った。その結果、従来のバレーボール(比較例1)に比べて、トス、サーブの際に、共により狙った位置に打て、さらにボールの飛行時の失速度合いが従来のボールに比べて滑らかであるという、これまでのボールには実現できなかった適性を有するボールであった。また、ボールの耐摩耗性は実用上問題ないレベルであり、実際に約6ヶ月使用しても、摩耗による破れや大きな傷は見られず、良好なコントロール性を維持していた。また、クッション性について、レシーブをした際の指先や腕に感じる衝撃性は問題ないレベルであった。 【0038】 実施例2 (1)実施例1において、高さ0.5mm、垂直投影面積が3mm2の角錐台状の凸部を有するエンボスロールを使用して、温度170℃、圧力10kg/cm、処理速度1m/分で型押しを行った以外は、実施例1と同様の条件で処理した。得られた凹形状は、不連続な凹部の深さが何れの場所においてもほぼ同様であって、その平均値が200μmであり、また凹部の垂直投影面積、即ちシート表面に垂直な上面方向からの凹部の投影面積が何れの凹部もほぼ同様の大きさであって、その平均値が2mm2であり、凹部同士の平均間隔が2.5mmであり、凹部の投影面積の総和の割合が被覆層表面積に対して9%であった。 (2)得られたシートを表面に有するバレーボールを作製し、実施例1と同様にして評価したところ、従来のバレーボール(比較例1)に比べて、トス、サーブの際に、共により狙った位置に打て、さらにボールの飛行時の失速度合いが従来のボールに比べて滑らかであるという評価であった。また、ボールの耐摩耗性は実用上問題ないレベルであった。また、クッション性について、レシーブをした際の指先や腕に感じる衝撃性は問題ないレベルであった。 【0039】 実施例3 (1)実施例1の(1)と同じ不織布に、ポリエチレンプロピレンアジペートと4,4′−ジフェニルメタン−ジイソシアネート、エチレングリコールで共重合された100%モジュラス100kg/cm2のポリエステル系ポリウレタン13%ジメチルホルムアミド溶液を含浸し、その直後に、ポリヘキサカーボネートグリコール、ポリメチレンプロピレンア ジペート、メチレンジアミンで構成され、n−ヘキサンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタン−ジイソシアネート、エチレングリコールで共重合された100%モジュラス40kg/cm2のポリカーボネート系ポリウレタン20%ジメチルホルムアミド溶液をコートし、DMF/水=30/70の比率の凝固浴中で凝固して、多孔構造体とした。続いて、湯洗、熱トルエンで繊維中のポリエチレンを抽出除去し、6−ナイロンの極細繊維と多孔質状のポリウレタンからなる人工皮革様の繊維基材を得た。 (2)その上に、黄色顔料を含むエステル系ポリウレタンインクで着色し、高さ0.5mm、垂直投影面積が4mm2の角錐台状の凸部を有するエンボスロールを使用して、温度170℃、圧力10kg/cm、処理速度1m/分で型押しを行った。 得られた凹形状は、不連続な凹部の深さが何れの場所においてもほぼ同様であって、その平均値が250μmであり、また凹部の垂直投影面積、即ちシート表面に垂直な上面方向からの凹部の投影面積が何れの凹部もほぼ同様の大きさであって、その平均値が3mm2であり、凹部同士の平均間隔が2.0mmであり、個々の凹部の垂直投影面積の総和の割合が被覆層表面積に対して19%であった。 (3)次に、その上に、高さ70mm、垂直投影面積が0.03mm2の角錐台状の凸部を有するエンボスロールを用いて、温度150℃、圧力6kg/cm、処理速度2m/分で型押しを行って凹部以外の部分(凸部の上面)に二次凹部を形成した。二次凹部は、深さ48μmで、被覆層表面積に対する個々の二次凹部の垂直投影面積の総和の割合が7%であった。 (4)得られたシートを表面に有するバレーボールを作製し、実施例1と同様にして評価したところ、従来のバレーボール(比較例1)に比べて、トス、サーブの際に、共により狙った位置に打て、さらにボールの飛行時の失速度合いが従来のボールに比べて滑らかであるという評価であった。また、ボールの耐摩耗性は実用上問題ないレベルであった。 また、得られたシートを表面に有するビーチバレーボールを作製して使用したところ、上記と同様の評価であった。 【0040】 実施例4 (1)実施例1において、高さ0.5mm、垂直投影面積が3mm2の角錐台状の凸部を有するエンボスロールを使用して、温度170℃、圧力10kg/cm、処理速度1m/分で型押しを行った以外は、実施例1と同様の条件で処理した。得られた凹形状は、不連続な凹部の深さが何れの場所においてもほぼ同様であって、その平均値が200μmであり、また凹部の垂直投影面積、即ちシート表面に垂直な上面方向からの凹部の投影面積が何れの凹部もほぼ同様の大きさであって、その平均値が2mm2であり、凹部同士の平均間隔が2.5mmであり、凹部の投影面積の総和の割合が被覆層表面積に対して9%であった。 (2)次に、その上に、高さ55mm、垂直投影面積が0.08mm2の角錐台状の凸部を有するエンボスロールを用いて、温度150℃、圧力6kg/cm、処理速度2m/分で型押しを行って凹部以外の部分(凸部の上面)に二次凹部を形成した。二次凹部は、深さ40μmで、被覆層表面積に対する個々の二次凹部の垂直投影面積の総和の割合が8%であった。 得られたシートを表面に有するバレーボールを作製し、実施例1と同様にして評価したところ、従来のバレーボール(比較例1)に比べて、トス、サーブの際に、共により狙った位置に打て、さらにボールの飛行時の失速度合いが従来のボールに比べて滑らかであるという評価であった。また、ボールの耐摩耗性は実用上問題ないレベルであった。 また、得られたシートを表面に有するビーチバレーボールを作製して使用したところ、上記と同様の評価であった。 【0041】 実施例5 (1)繊維基材の表面に高分子弾性体被覆層が積層され被覆層表面に不連続な凹部を形成するまでは実施例1の(1)(2)と同様の方法でシートを得た。 次に、深さ60mm、垂直投影面積が0.06mm2の角錐台状の凸部を有するエンボスロールを用いて、温度150℃、圧力6kg/cm、処理速度2m/分で型押しを行って凹部以外の部分(凸部の上面)に二次凹部を形成した。二次凹部は、深さ38μmで、被覆層表面積に対する個々の二次凹部の垂直投影面積の総和の割合が12%であった。 (2)以上により得られたシートで被覆したバレーボールを作製し、実施例1と同様にして評価したところ、従来のバレーボール(比較例1)に比べて、トス、サーブの際に、共により狙った位置に打て、さらにボールの飛行時の失速度合いが従来のボールに比べて滑らかであるという、これまでのボールには実現できなかった適性を有するボールであった。また、ボールの耐摩耗性は実用上問題ないレベルであり、実際に約6ヶ月使用しても、摩耗による破れや大きな傷は見られず、良好なコントロール性を維持していた。 また、得られたシートを表面に有するビーチバレーボールを作製して使用したところ、上記と同様の評価であった。 【0042】 比較例1 実施例1において、エンボスロールにて付与する凹形状として一般的なバレーボールに用いられている形状、即ち深さが数μm程度の毛穴シボ状の柄が多数存在し、実質的にフラットな形状のシート表面が得られるエンボスロールを使用した以外は、実施例1と同様の条件で処理した。得られたシートを表面に有するバレーボールを作成して使用したところ、ボールの耐摩耗性は実施例1と同様に実用上問題ないレベルであり、トスする際のコントロール性も特に従来より使用してきたボールと大差なく、またボールの飛行時の失速度合いが従来のボールに比べて同じ程度の評価であったが、従来のボールにおいて気になっていたように、汗で濡れた場合にトスが滑りやすいので非常にコントロールし難いとの評価であった。 また、得られたシートを表面に有するビーチバレーボールを作製して使用したところ、上記と同様の評価であった。 【0043】 比較例2 実施例1において、高さ1.0mm、垂直投影面積が8mm2の半球状の凸部を有するエンボスロールを使用して、温度170℃、圧力10kg/cm、処理速度1m/分で型押しを行った以外は、実施例1と同様の条件で処理した。得られた凹形状は、不連続な凹部の深さが何れの場所においてもほぼ同様の大きさであって、その平均値が400μmであり、また凹部の垂直投影面積が何れの凹部もほぼ同様の大きさであって、その平均値が4.9mm2であり、凹部同士の平均間隔が1.3mmであり、凹部の垂直投影面積の総和の割合が被覆層表面積に対して34%であった。得られたシートを表面に有するバレーボールを作成して使用したところ、ボールの耐摩耗性は実施例1とほぼ同程度であり実用上問題ないレベルであったが、トスの際に強く指がひっかかってしまうので、コントロール性がよいというよりはむしろトスがし辛いという評価であった。 【0044】 比較例3 実施例1において、高さ0.8mm、垂直投影面積が8mm2の半球状の凸部を有するエンボスロールを使用して、温度170℃、圧力10kg/cm、処理速度1m/分で型押しを行った以外は、実施例1と同様の条件で処理した。得られた凹形状は、不連続な凹部の深さが何れの場所においてもほぼ同様の大きさであって、その平均値が400μmであり、また凹部の垂直投影面積が何れの凹部もほぼ同様の大きさであって、その平均値が6.2mm2であり、凹部同士の平均間隔が2.6mmであり、凹部の垂直投影面積の総和の割合が被覆層表面積に対して21%であった。得られたシートを表面に有するバレーボールを作成して使用したところ、ボールの耐摩耗性は実施例1とほぼ同程度であり実用上問題ないレベルであったが、トスの際に強く指がひっかかってしまうので、コントロール性がよいというよりはむしろトスがし辛いという評価であった。 【0045】 比較例4 実施例1において、高さ0.8mm、垂直投影面積が3mm2の半球状の凸部を有するエンボスロールを使用して、温度170℃、圧力10kg/cm、処理速度1m/分で型押しを行った以外は、実施例1と同様の条件で処理した。得られた凹形状は、不連続な凹部の深さが何れの場所においてもほぼ同様の大きさであって、その平均値が400μmであり、また凹部の垂直投影面積が何れの凹部もほぼ同様の大きさであって、その平均値が1.8mm2であり、凹部同士の平均間隔が7.4mmであり、凹部の垂直投影面積の総和の割合が被覆層表面積に対して2%であった。得られたシートを表面に有するバレーボールを作成して使用したところ、ボールの耐摩耗性は実施例1とほぼ同程度であり実用上問題ないレベルであったが、従来のボールにおいて気になっていたように、汗で濡れた場合にトスが滑りやすいので非常にコントロールし難いとの評価であった。 【産業上の利用可能性】 【0046】 本発明のボールは、多数の不連続な凹部を有するため、トスする際の指先とボール表面との接触状態を好適に制御することによりボールのコントロール性を向上させることができ、さらには、二次凹凸により、汗や水にぬれたときにも滑りにくいという優れたノンスリップ性をも有する。また、サーブなどの飛行中における軌道のぶれを抑制し、飛行時の失速の度合いが滑らかに感じるという効果も得られることで、プレイトータルとしてのコントロール性に優れているばかりでなく、意匠的にも優れており、バレーボール、ビーチバレーボール等の手で直接打つボールとして非常に好適に使用できる。 【図面の簡単な説明】 【0047】 【図1】本発明のボールに用いるシート状物の凹凸部の一例(直線部分が凸部)を示す断面模式図である。 【図2】本発明のボールに用いるシート状物の二次凹凸部の一例(直線部分が二次凹凸部の凸部)を示す断面模式図である。 【図3】本発明のボールに用いるシート状物の凹凸部の凹部の深さ(距離:D)を説明する断面模式図である。 【図4】本発明のボールに用いるシート状物における断面半円状の凹部と平面部との境界(B)を説明する断面模式図である。 【図5】本発明のボールに用いるシート状物における断面台形状の凹部と平面部との境界(B)を説明する断面模式図である。 【図6】本発明のシート状物の二次凹凸部の一例(塗りつぶし部分が二次凹凸部の凹部)を示す平面模式図である。 【符号の説明】 【0048】 1:被覆層 2:繊維基材 3:凹部 4:凸部 5:二次凹部 6:二次凸部 D:凹部の深さ(距離) B:凹部と平面部との境界 X:凹部の垂直投影面
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001085 【氏名又は名称】株式会社クラレ 【識別番号】594001801 【氏名又は名称】株式会社ミカサ
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| 【出願日】 |
平成19年7月24日(2007.7.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078732 【弁理士】 【氏名又は名称】大谷 保
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| 【公開番号】 |
特開2008−49147(P2008−49147A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月6日(2008.3.6) |
| 【出願番号】 |
特願2007−192097(P2007−192097) |
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