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【発明の名称】 浴槽装置
【発明者】 【氏名】佐藤 稔

【氏名】持田 真之

【氏名】加藤 智久

【要約】 【課題】浴槽内で入浴者に運動させることができる浴槽装置を提供する。

【構成】浴槽装置11において、その長手方向の両側が背側及び足側とされた浴槽12を設け、この浴槽12の底面12a上における浴槽12の長手方向中央よりも背側の位置に、座板13を設ける。座板13は、浴槽12の底面12aに対して回転可能に支持されている。また、座板12を回転させる回転手段14を設ける。これにより、入浴者Mに他動運動させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の両側が背側及び足側とされた浴槽と、
前記浴槽の底面上における前記浴槽の前記長手方向における中央よりも前記背側に設けられ、前記底面に対して揺動可能に支持された座板と、
前記座板を揺動させる揺動手段と、
を備えたことを特徴とする浴槽装置。
【請求項2】
前記揺動は往復運動であり、前記座板が順方向に移動する期間と逆方向に移動する期間との間に、前記座板が停止する期間が設定されていることを特徴とする請求項1記載の浴槽装置。
【請求項3】
前記揺動において、
前記座板を第1の加速度で加速又は減速する期間と、
前記座板をその絶対値が前記第1の加速度の絶対値よりも小さい第2の加速度で加速又は減速する期間と、
が設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の浴槽装置。
【請求項4】
前記揺動手段は、前記座板を回転させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の浴槽装置。
【請求項5】
前記揺動手段は、
モータと、
前記モータによって回転する可動板と、
を有し、
前記座板は、前記可動板における前記可動板の回転中心から外れた位置を回転中心として、前記可動板に回転自在に取り付けられていることを特徴とする請求項4記載の浴槽装置。
【請求項6】
前記揺動手段は、前記座板を前記浴槽の前記長手方向に往復運動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の浴槽装置。
【請求項7】
前記揺動手段は、
モータと、
前記モータによって回転するピニオンと、
を有し、
前記座板は、前記ピニオンに咬合するラックを有することを特徴とする請求項6記載の浴槽装置。
【請求項8】
前記揺動手段は、前記浴槽の底面に対する前記座板の傾斜角度を変化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の浴槽装置。
【請求項9】
前記揺動手段は、
モータと、
前記モータにより回転し、その上面の法線がその回転軸に対して傾斜している傾斜板と、
を有し、
前記座板は、前記傾斜板の上面に対して、その回転軸が前記上面の法線に平行になるように回転自在に取り付けられていることを特徴とする請求項8記載の浴槽装置
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽装置に関し、特に、入浴者に運動させる浴槽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
継続的な運動により、人の健康状態が改善したり体力が向上したりすることは、従来からよく知られている。従って、日常生活に適度な運動習慣を取り入れることは、健康管理上極めて有益である。そこで、水槽内に水中運動具を設置する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の水中運動具は、使用者が座席に跨って使うものであるため、この水中運動具を設置するためには、ある程度の深さを持つ水槽が必要とされる。このような水槽を一般の住宅に設置された浴槽と兼用することは困難である。そこで、この水中運動具は、スポーツジムなどに設置することになるが、そうすると、この水中運動具を使用するためには、わざわざスポーツジムまで出向かなくてはならず、不便である。また、普段から運動習慣の無い人は、スポーツジムに出向くこと自体を煩わしく感じるため、このような人に継続的に使用させることが困難である。
【0004】
【特許文献1】特開2006−006582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、浴槽内で入浴者に運動させることができる浴槽装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、長手方向の両側が背側及び足側とされた浴槽と、前記浴槽の底面上における前記浴槽の前記長手方向における中央よりも前記背側に設けられ、前記底面に対して揺動可能に支持された座板と、前記座板を揺動させる揺動手段と、を備えたことを特徴とする浴槽装置が提供される。
【0007】
なお、本明細書において「揺動」とは、位置、速度及び角度のうち少なくとも1つが一定の範囲内で変化する動きをいい、少なくとも、回転運動、往復直線運動及びローリング運動を含むものとする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、浴槽内で入浴者に運動させることができる浴槽装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る浴槽装置を例示する斜視断面図であり、
図2は、この浴槽装置を例示する断面図であり、
図3は、この浴槽装置を例示する模式的ブロック図であり、
図4は、この浴槽装置の座板及び回転手段を例示する分解斜視図であり、
図5は、この浴槽装置の座板及び回転手段を例示する分解斜視断面図であり、
図6は、この浴槽装置の座板及び回転手段を例示する斜視断面図である。
なお、図1及び図2においては、図面を見易くするために、浴槽内の湯は図示を省略している。後述する他の図面においても同様である。
【0010】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る浴槽装置11においては、浴槽12が設けられている。浴槽12の形状は、上方から見て略長方形であり、その長手方向の一方の側は、入浴者Mが入浴姿勢を取ったときに、入浴者Mの背中が位置する「背側」となっており、他方の側は、入浴者Mの足が位置する「足側」となっている。
【0011】
そして、浴槽12の背側の側面は、入浴者Mの背中及び頸部が接触する背側面12cとなっており、足側の側面は、入浴者Mの足裏が接触する足側面12dとなっている。背側面12cの最上部は、入浴者Mが入浴姿勢をとったときに入浴者Mの頸部を支持する頸部支持部12eとなっており、頸部支持部12eのすぐ下の部分は、入浴者Mの背中を支持する背中支持部12fとなっている。頸部支持部12e及び背中支持部12fにより、背当て部12gが構成されている。
【0012】
また、浴槽12の底面12aには、入浴者Mの臀部が乗る座板13が設けられている。座板13は、浴槽12の底面12a上における浴槽12の長手方向中央よりも背側の領域に設けられており、その上面は底面12aと略同一平面上にあり、底面12aに対して回転可能に支持されている。これにより、入浴者Mは、入浴姿勢をとったときに、背中は浴槽12における背側面12cに当接し、足裏は浴槽12における足側面12dに当接し、臀部は座板13に乗り、背中、足裏及び臀部の3点で姿勢を保持する。
【0013】
更に、図3に示すように、浴槽装置11においては、浴槽12の下方に配置され、座板13を回転させる回転手段14が設けられており、この回転手段14には、回転手段14の動作を制御する制御手段15が接続されている。
【0014】
図4乃至図6に示すように、座板13の形状は円板状であり、その上面は平坦であり、浴槽12の底面12aに対して略平行である。なお、座板13の上面は、入浴者の臀部が接触する面であるため、入浴者の座り心地を改善するための工夫がなされていてもよい。例えば、座板13の上面はクッションになっていてもよく、滑り止め加工がなされていてもよく、入浴者の臀部に対応した凹みが形成されていてもよい。一方、座板13の下面の中央には、突起13aが形成されている。
【0015】
回転手段14においては、下側から順に、モータ141、モータ固定具142、パッキン143、ガイド144、敷板145、可動板146及びモータ軸受け147が設けられている。モータ141は、本体141aと、この本体141aから上方、すなわち、浴槽12に向けて延出した回転軸141bとから構成されている。本体141aは回転軸141bを回転させる。
【0016】
モータ固定具142は、モータ141の本体141aを浴槽12の下面に連結して固定するものであり、中央部に開口部142aが形成されており、この開口部142aをモータ141の回転軸141bが挿通する。パッキン143の形状は両端部が広がったリング状であり、浴槽12の底面12aに形成された孔12bに挿通されている。
【0017】
ガイド144の形状は、上部が太く下部が細い円筒状である。すなわち、ガイド144の上部144aの中心軸と下部144bの中心軸とは同一直線上に配置されており、上部144aの直径は下部144bの直径よりも大きい。また、ガイド144には、ガイド144の中心軸に沿ってガイド144の上面から下面まで貫通した開口部144cが形成されている。開口部144cの内径は、上部144aと下部144bとで同一である。下部144bはパッキン143の開口部及びモータ固定具142の開口部142aに嵌合され、上部144aはパッキン143の上面で係止されている。
【0018】
敷板145の形状は円板状であり、その中心部に開口部145aが形成されている。この開口部145aには、ガイド144の上部144aが嵌合している。可動板146の形状は円板状であり、その直径は敷板145の直径よりも小さい。可動板146の中心には、開口部146aが形成されており、中心からずれた位置には、開口部146bが形成されている。可動板146の上面における開口部146bの周囲は凹んでおり、円形の凹部146cとなっている。モータ軸受け147の形状は略円柱形であり、その上部には円板状の鍔147aが設けられており、その下部には中心軸に沿って孔147bが形成されている。
【0019】
モータ軸受け147は可動板146の開口部146bを挿通しており、鍔147aは可動板146の凹部146cに嵌合されており、可動板146に対してネジ止めされている。これにより、鍔147aの上面と可動板146の上面とは、略同一平面を構成している。また、モータ軸受け147は、敷板145の開口部145a及びガイド144の開口部144c内を挿通しており、モータ軸受け147の下部に設けられた孔147bに、モータ141の回転軸141bが嵌合されている。これにより、可動板146はモータ軸受け147に対して固定され、モータ軸受け147はモータ141の回転軸141bに対して固定されている。従って、モータ141の回転軸141bが回転すると、モータ軸受け147及び可動板146も共に回転する。
【0020】
一方、モータ141の本体141aはモータ固定具142を介して浴槽12に対して固定されており、パッキン143も浴槽12に対して固定されており、ガイド144はパッキン143に対して固定されており、敷板145はガイド144に対して固定されている。従って、モータ固定具142、モータ141の本体141a、パッキン143、ガイド144及び敷板145は、浴槽12に対して固定されており、モータ141の回転軸141bが回転しても、回転しない。
【0021】
また、座板13の突起13aは、可動板146の開口部146aに嵌合されており、座板13は可動板146に対して回転自在となっている。座板13の中心軸と可動板146の中心軸とは同一直線上に配置されており、座板13の直径は可動板146の直径と略等しい。モータ141の回転軸141bが回転すると、座板13の中心は、モータ軸受け147を回転中心として公転するが、座板13自体は、回転軸141bの回転によっては自転しない。
【0022】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る浴槽装置の動作について説明する。
図7は、横軸に時間をとり、縦軸に座板の速度をとって、本実施形態に係る浴槽装置の動作を例示するタイミングチャートであり、
図8(a)及び(b)は、この浴槽装置の動作を例示する上面図であり、(a)は図7に示す時刻Taの状態を示し、(b)は図7に示す時刻Tbの状態を示す。
なお、図7においては、例えば、座板の回動方向のうち、上方から見て時計回りの方向を「+」とし、反時計回りの方向を「−」とする。
【0023】
図1に示すように、入浴者Mは湯(図示せず)を溜めた浴槽12内に入り、その臀部を座板13に乗せ、その背中及び頸部を背側面12cに当接させ、その足裏を足側面12dに当接させて、入浴姿勢をとる。このとき、入浴者Mの頸部は頸部支持部12eにより支えられ、背中の上部は背中支持部12fにより支えられる。
【0024】
この状態で、制御手段15(図3参照)が回転手段14を制御して、回転手段14に座板13を回転させる。具体的には、図4に示すように、モータ141の本体141aが回転軸141bを回転させる。これにより、可動板146がその開口部146bを中心に回転し、これに伴って、座板13の中心も開口部146bを中心として公転する。このとき、座板13は入浴者Mの臀部に対して固定されているため、座板13は可動板146に対して自転する。
【0025】
そして、図7に示すように、座板13は、静止している状態から、時計回り(+方向)に加速し、一定の速度で回転した後、減速して、再び静止する。回転している時間をT1とし、静止している時間をT2とする。このとき、時刻Taにおける浴槽装置の状態は、図8(a)に示すように、座板13の中心が浴槽12の長手方向に延びる中心線よりも、入浴者から見て右側に位置した状態となる。座板13が静止してから時間T2が経過した後、座板13は、静止している状態から反時計回り(−方向)に加速し、一定の速度で回転した後、減速して、再び静止する。このとき、時刻Tbにおける浴槽装置の状態は、図8(b)に示すように、座板13の中心が浴槽12の長手方向に延びる中心線よりも、入浴者から見て左側に位置した状態となる。そして、時間T2だけ静止する。以上の動作を1サイクルとして、この動作を繰り返す。これにより、座板13の中心は、モータ141の回転軸141bを中心として往復回動する。なお、通常、人が歩行するときの骨盤の回動角度範囲は−10〜30度程度である。そこで、本実施形態においては、座板13の回動角度を、例えば−30〜+30度とする。
【0026】
なお、通常、一般人の歩行動作は1〜2秒間程度の周期で行われている。そこで、例えば、上述の時間T1を1秒間とし、時間T2を0.5秒間とすることにより、入浴者に歩行に近い疑似歩行運動を行わせることができる。また、人が歩行するときの骨盤の回動角度は、歩く速度や年齢などによって異なる。そこで、上述の時間T1及びT2の長さや座板の回動角度範囲を任意に設定することにより、入浴者に行わせる運動の周期や骨盤の回動角度範囲を変えることができ、運動を入浴者の年齢に合わせた動きにしたり、大股歩きや早歩きを模した動きにするなど、運動のパターンに広いバリエーションを持たせることができる。
【0027】
上述の如く、入浴者は、背中、臀部及び足裏の3点で身体を支えて入浴姿勢をとる。このとき、入浴者は、浮力に抗するために、無意識に下肢や上体に力をかけて身体を支えている。この状態で、座板13を回動させて入浴者の腰部を回動させると、浴槽に接することにより身体を支持している背中及び足裏に対して、腰部が回動することになるため、足関節及び膝関節などの足部及び腰回りの部分が動かされる。これにより、入浴者の身体のバランスが崩れ、それまでの姿勢が崩れそうになる。そこで、入浴者は、それまでの姿勢を保とうとして、無意識に足や腰回りの筋肉を中心として全身の筋肉を働かせる。この結果、入浴者は、下肢や腰部を中心とした筋肉を鍛えることができる。
【0028】
また、入浴者の腰部が動くと上半身も動く。これにより、浴槽内の湯(図示せず)も動くが、この湯の動きは入浴者の動きよりも少し遅れるため、この時間差を利用して、入浴者にさらに運動させることができる。すなわち、回転手段14が座板13を時計回りに回転させると、入浴者の腰部も座板13に合わせて回転し、上半身も回転しようとする。しかしながら、上半身は湯の抵抗を受けるため、腰部の動きに追従しきれず、入浴者の姿勢が崩れそうになる。このため、入浴者は、湯の抵抗に逆らって姿勢を保つために、より多く筋肉を働かせる。
【0029】
そして、入浴者の動きから少し遅れて、湯が時計回りに回転を始める。このとき、本実施形態においては、座板13が時計回りに回転する期間と、反時計回りに回転する期間との間に、時間T2だけ静止期間が設けられている。このため、入浴者の上半身が静止しているときに、この上半身に、少し遅れて動き始めた時計回りの湯がぶつかる。この結果、入浴者は、静止しているときにも、この湯の動きに逆らって姿勢を保つ必要がある。
【0030】
このように、本実施形態によれば、回転時間T1及び静止時間T2が適当に設定されているため、入浴者の動きと湯の動きとの間に位相差が生じる。この結果、入浴者が動いているときも静止しているときも、常に湯の流れに逆らうことになるため、効率よく身体を鍛えることができる。本実施形態においては、回転時間T1及び静止時間T2の長さを、湯の動きが入浴者に作用する力が最大になるように設定することが好ましい。
【0031】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態によれば、座板13が浴槽12の底面と略同一平面に設けられているため、座板13を通常の浴槽に設けても、入浴者は無理なく入浴姿勢をとることができる。そして、回転手段14を駆動させなければ、通常の浴槽として使用することができる。このため、本実施形態に係る浴槽装置21は、一般の住宅に設置する浴槽として構成することができる。これにより、本実施形態によれば、浴槽内で入浴者に運動させることができる。
【0032】
また、上述の運動は入浴姿勢のまま行われるため、入浴者はリラックスした状態で運動することができる。これにより、入浴による温熱効果と合わせて、高い運動効果を得ることができる。また、上述の如く、浴槽内の湯に入浴者の動きに応じた水流が発生し、この水流が入浴者の動きに逆らう抵抗として作用するため、より高い運動効果を得ることができる。更に、この運動は外部から与えられる他力的な他動運動であり、入浴者の意志によって行われる自動運動ではないため、入浴者の意志力に依存する部分が少なく、また、入浴という日常行為の中で行うことが可能であるため、運動が長続きすることが期待できる。
【0033】
更にまた、この運動は、単なる筋力の向上だけではなく、腰部を中心とした身体からの情報、すなわち、骨盤の回動角度並びに足関節、膝関節及び下肢筋の伸張情報などの情報を受けて、姿勢を保とうとする補償動作を行う能力、すなわち、運動を律する神経経路の能力も含めて、鍛えることが可能である。
【0034】
更にまた、本実施形態においては、浴槽12の背側面12cに背中支持部12fを設け、この背中支持部12fによって入浴者Mの背中の広い領域を支えることにより、入浴者Mは無理なく楽な姿勢で運動を行うことができると共に、運動を腰から足関節までの部分に集中させることができる。また、背側面12cに頸部支持部12eを設けることにより、入浴者の姿勢をより一層楽にすることができる。
【0035】
なお、入浴者が主として頸部支持部12eにより身体を支えると、背中がある程度自由になるため、身体の略全体、すなわち、背中、腰及び足関節を含む広い部分で運動を行うことができる。また、背当て部12gは、浴槽12の側面の一部を傾斜させることにより構成されていてもよく、頸部支持部12e及び背中支持部12dを浴槽12の本体とは別の部材として形成することにより、構成されていてもよい。
【0036】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
図9は、本変形例に係る浴槽装置を例示する断面図である。
図9に示すように、本変形例に係る浴槽装置11aにおいては、回転手段14aが、駆動装置14b及び駆動伝達装置14cから構成されている。そして、駆動装置14bは浴槽12の背面側の側方の下部に配置されており、駆動伝達装置14cは浴槽12の下方に配置されている。また、駆動装置14bにおいては、モータ141が設けられている。また、駆動伝達装置14cにおいては、図4に示すパッキン143、ガイド144、敷板145、可動板146及びモータ軸受け147が設けられており、更に、パッキン143に対して回転自在であり、モータ軸受け147に連結された従動ローラ14dと、モータ141の回転軸141bと従動ローラ14dとの間に張架された無端ベルト14eとが設けられている。
【0037】
これにより、駆動装置14bのモータ141が回転軸141bを回転させると、この回転が無端ベルト14e及び従動ローラ14dを介して可動板146に伝達され、座板13を回転させる。本変形例によれば、駆動装置14bを浴槽12の背側の側方に配置することにより、浴槽12の背側の側方下部の空きスペースを有効に利用して、浴室の床面(図示せず)と浴槽12との間の距離を短くすることができる。これにより、浴室内を広く使うことができる。また、万一、浴槽12から漏水した場合にも、駆動装置14bが浸水して損傷を受けることを防止できる。本変形例における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0038】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図10は、横軸に時間をとり、縦軸に座板の速度をとって、本実施形態に係る浴槽装置の動作を例示するタイミングチャートである。
本実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、座板の駆動方法が異なっている。すなわち、本実施形態に係る浴槽装置における制御手段以外の構成は、前述の第1の実施形態に係る浴槽装置と同じである。
【0039】
図10に示すように、本実施形態においては、座板が反転する瞬間を含む期間において、加減速度を相対的に小さくしている。すなわち、制御手段15の動作により、1サイクル中に、座板が静止した状態から相対的に小さな加速度で時計回りに加速する期間T11、通常の大きさの加速度で時計回りに加速する期間T12、一定速度で時計回りに回転する期間T13、通常の大きさの減速度で減速する期間T14、相対的に小さな減速度で減速する期間T15、静止する時点(時刻Ta)、相対的に小さな加速度で反時計回りに加速する期間T16、通常の大きさの加速度で反時計回りに加速する期間T17、一定速度で反時計回りに回転する期間T18、通常の大きさの減速度で減速する期間T19、相対的に小さな減速度で減速する期間T20、静止する時点(時刻Tb)がこの順に配列されている。時刻Ta及びTbにおける浴槽装置の状態は、それぞれ図8(a)及び(b)に示すようになる。すなわち、本実施形態においては、座板の回動運動において、座板を第1の加速度で加速又は減速する期間と、座板をその絶対値が第1の加速度の絶対値よりも小さい第2の加速度で加速又は減速する期間と、が設定されている
【0040】
本実施形態によれば、相対的に小さな加減速度で加減速する期間を設けることにより、スロースタート及びスローストップを実現することができる。これにより、入浴者に与える衝撃を小さくして、より安全且つ快適に運動させることができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0041】
なお、上述のスロースタート及びスローストップの動作に、前述の第1の実施形態において示した停止期間を組み合わせてもよい。すなわち、スローストップにより座板の速度が0になった後、一定時間静止させておき、その後、反対方向にスロースタートさせてもよい。
【0042】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図11(a)及び(b)は、本実施形態に係る浴槽装置を例示する上面図であり、(a)は座板が背側に位置している状態を示し、(b)は座板が足側に位置している状態を示す。
図12は、この浴槽装置の往復手段を例示する上面図であり、
図13は、この浴槽装置の往復手段を例示する上方から見た斜視断面図であり、
図14は、この浴槽装置の往復手段を例示する下方から見た斜視断面図である。
【0043】
図11(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係る浴槽装置21は、前述の第1の実施形態と比較して、座板23の形状は角部が丸められた矩形状であり、揺動手段は座板23を浴槽22の長手方向に沿って往復直線運動させる往復手段24(図14参照)であり、制御手段(図示せず)は、この往復手段24の動作を制御するものである点が異なっている。前述の第1の実施形態と同様に、座板23は浴槽12の長手方向中央よりも背側に設けられており、座板23の上面は平坦であり、浴槽12の底面12aに対して平行である。
【0044】
図12乃至図14に示すように、座板23の下面には、ラック231が取り付けられている。ラック231の長手方向は、座板23の移動方向、すなわち、浴槽12の長手方向である。また、座板23の下面におけるラック231を挟む位置には、1対の突起232が設けられている。なお、図12においては、便宜上、座板はラック231のみを示している。
【0045】
また、往復手段24においては、下側から順に、モータ141、モータ固定具142、パッキン143、ガイド144、敷板245、ピニオン246及びモータ軸受け147が設けられている。すなわち、往復手段24は、前述の第1の実施形態における回転手段14(図4参照)に対して、敷板145の替わりに敷板245が設けられ、可動板146の替わりにピニオン246が設けられたものである。
【0046】
敷板245の形状は角部が丸められた矩形板状であり、その中心部に開口部245aが形成されている。この開口部245aには、ガイド144の上部144aが嵌合している。また、敷板245における開口部245aを挟む位置には、浴槽12の長手方向に沿って延びる1対のガイド穴245bが形成されている。ピニオン246は、敷板245の上方に配置されており、中心には、開口部246aが形成されている。開口部246aの周囲は凹んでおり、円形の凹部246bとなっている。
【0047】
そして、ピニオン246はモータ軸受け147に対して固定され、モータ軸受け147はモータ141の回転軸141bに対して固定され、モータ141の回転軸141bが回転すると、モータ軸受け147及びピニオン246も共に回転するようになっている。また、座板23のラック231は、往復手段24のピニオン246と噛み合っており、座板23の突起232は、敷板245のガイド穴245bにスライド可能に嵌合している。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0048】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る浴槽装置の動作について説明する。
前述の第1の実施形態と同様に、入浴者は湯を溜めた浴槽12内に入り、その臀部を座板23に乗せ、その背中を浴槽12の背側の側面に当接させ、その足裏を浴槽22の足側の側面に当接させて、入浴姿勢をとる。
【0049】
この状態で、制御手段(図示せず)が往復手段24を制御して、モータ141の本体141aに回転軸141bを回転させ、これにより、ピニオン246が回転する。座板23のラック231はピニオン246と咬合しており、突起232はガイド穴245bにスライド可能に嵌合しているため、ピニオン246の回転に伴い、座板23は、ガイド穴245bに案内されて、浴槽12の長手方向に沿って直線運動する。そして、制御手段の動作により、モータ141の回転軸141bが往復回動運動することにより、図11(a)及び(b)に示すように、座板23が往復直線運動する。
【0050】
本実施形態においても、前述の第1の実施形態と同様に、入浴者の腰部を動かすことにより、入浴者の入浴姿勢を崩し、入浴者に他動運動させることができる。また、座板23の動作タイミングを調整することにより、入浴者の動きと浴槽内の湯の動きとの間に適当な位相差を生じさせ、入浴者の動きが湯の流れに逆らうようにすることで、入浴者により効率よく運動させることができる。このようにして、入浴者に、リラックスさせた状態で、運動させることができる。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。なお、本実施形態においても、前述の第2の実施形態のように、座板の動作をスロースタート、スローストップとしてもよい。
【0051】
なお、本実施形態においても、前述の第1の実施形態と同様に、座板23の上面は、クッションになっていてもよく、滑り止め加工がなされていてもよい。また、座板23の上面は平坦であってもよいが、座板23が往復運動するときに入浴者の臀部がずれないように、運動方向の加速度に抗して入浴者の臀部を保持するような形状であってもよい。例えば、座板23の中央部が凹んでおり、運動方向の両端部が盛り上がっていてもよい。
【0052】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図15は、本実施形態に係る浴槽装置を例示する斜視断面図であり、座板が足側に傾斜した状態を示し、
図16は、この浴槽装置を例示する斜視断面図であり、座板が背側に傾斜した状態を示し、
図17は、この浴槽装置のローリング手段を例示する斜視断面図である。
【0053】
図15乃至図17に示すように、本実施形態に係る浴槽装置31においては、前述の第1の実施形態とは異なり、座板13(図1参照)の替わりに、座板33が設けられている。座板33は、浴槽12の底面12a上における浴槽12の長手方向中央よりも背側に設けられ、底面12aに対してローリング運動可能に支持された円板状部材である。なお、ローリング運動とは、座板33の上面(座面)の傾斜角度が変化する運動である。また、浴槽装置31においては、回転手段14(図4参照)の替わりに、ローリング手段34が設けられている。ローリング手段34は、座板33の上面(座面)の傾斜角度、すなわち、浴槽12の底面12aに対する角度を変化させる
【0054】
ローリング手段34は、回転手段14(図4参照)において、可動板146(図4参照)及びモータ軸受け147(図4参照)の替わりに、上面が傾斜した円柱形の傾斜板346が設けられたものである。傾斜板346においては、その上面346aが下面346bに対して傾斜している。下面346bは浴槽12の底面12aに対して平行であり、従って、上面346aは底面12aに対して傾斜している。また、傾斜板346の回転軸は、下面346bの法線に対して平行であり、従って、上面346aの法線に対しては傾斜している。このため、傾斜板346が回転すると、上面346aの底面12aに対する角度は変化する。そして、座板33は、傾斜板346の上面346aに対して、その上面(座面)が上面346aに対して平行であり、その回転軸が上面346aの法線に平行になるように回転自在に取り付けられている。従って、傾斜板346が回転すると、底面12aに対する座板33の上面の角度も変化する。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0055】
本実施形態においては、モータ141が駆動することにより、傾斜板346がその中心軸を回転中心として回転する。これにより、傾斜板346の上面346aの底面12aに対する角度が変化し、座板33の上面(座面)の底面12aに対する角度も変化する。すなわち、座板33の上面の法線が回転する。このとき、入浴者が浴槽12内で入浴姿勢をとっていれば、臀部が座板33上に乗っているため、座板33は入浴者の臀部との間の摩擦力によって動きを規制される。一方、座板33は傾斜板346に対しては回転自在である。このため、座板33は、傾斜板346と共に回転することはないが、その傾斜方向は回転する。すなわち、座板33はローリング運動する。なお、傾斜板346は一方向に回転させ続けてもよく、往復回動運動させてもよい。また、前述の第2の実施形態のように、座板の動作をスロースタート、スローストップとしてもよい。
【0056】
本実施形態によれば、座板33の上面の傾斜角度が変化することにより、入浴者の姿勢のバランスを崩すことができ、入浴者に無意識に運動させることができる。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0057】
なお、本実施形態においては、ローリング手段をモータ及び傾斜板などによって構成する例を示したが、本発明はこれに限定されず、ローリング手段を、例えば、浴槽12の底面12aと座板33との間に配置した複数個のエアバックと、これらのエアバックに連通されたポンプなどにより構成してもよい。この場合は、エアバックを順次膨張させることにより、座板33の角度を変化させることができる。例えば、3個以上のエアバックを設ければ、座板33の上面の法線を回転させることができる。
【0058】
また、前述の各実施形態においては、揺動手段、すなわち、回転手段14、往復手段24及びローリング手段34を、浴槽12に固定的に取り付けた例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、前述の各実施形態における座板、揺動手段及び制御手段を、浴槽に対して後付可能な腰運動装置として構成することも可能である。この場合は、例えば、浴槽内に沈める基台を設け、この基台に座板、揺動手段及び制御手段を搭載してもよく、又は、上述の如く、揺動手段をエアバック及びポンプなどによって構成し、基台には座板及びエアバックのみを搭載し、ポンプ及び制御手段は浴槽の外部に配置して、ポンプとエアバックとの間をエアチューブなどで連通させてもよい。このような腰運動装置は、既存の浴槽に後付けすることができる。また、腰運動装置の不使用時には腰運動装置を浴槽から外すことができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態及びその変形例を参照しつつ、本発明の特徴を説明した。しかし、本発明は、これらの実施形態及び変形例に限定されるものではない。すなわち、前述の各実施形態及び変形例を適宜組み合わせたもの、及び、各実施形態及び変形例のいずれかに係る浴槽装置に対して、当業者が構成要素の追加、省略又は設計変更を加えたものであっても、本発明の要旨を備えたものであれば、本発明の範囲に包含される。例えば、上述の制御手段は、座板の動作タイミング及び動作量などがプログラム可能となっていてもよい。これにより、入浴者は、自分で好みの運動形態をプログラムすることができる。また、予め記憶された複数のプログラムの中から、任意のプログラムを選択して実行させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る浴槽装置を例示する斜視断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る浴槽装置を例示する断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る浴槽装置を例示する模式的ブロック図である
【図4】第1の実施形態に係る浴槽装置の座板及び回転手段を例示する分解斜視図である。
【図5】第1の実施形態に係る浴槽装置の座板及び回転手段を例示する分解斜視断面図である。
【図6】第1の実施形態に係る浴槽装置の座板及び回転手段を例示する斜視断面図である。
【図7】横軸に時間をとり、縦軸に座板の速度をとって、第1の実施形態に係る浴槽装置の動作を例示するタイミングチャートである。
【図8】(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る浴槽装置の動作を例示する上面図であり、(a)は図7に示す時刻Taの状態を示し、(b)は図7に示す時刻Tbの状態を示す。
【図9】第1の実施形態の変形例に係る浴槽装置を例示する断面図である。
【図10】横軸に時間をとり、縦軸に座板の速度をとって、第2の実施形態に係る浴槽装置の動作を例示するタイミングチャートである。
【図11】(a)及び(b)は、本発明の第3の実施形態に係る浴槽装置を例示する上面図であり、(a)は座板が背側に位置している状態を示し、(b)は座板が足側に位置している状態を示す。
【図12】第3の実施形態に係る浴槽装置の往復手段を例示する上面図である。
【図13】第3の実施形態に係る浴槽装置の往復手段を例示する上方から見た斜視断面図である。
【図14】第3の実施形態に係る浴槽装置の往復手段を例示する下方から見た斜視断面図である。
【図15】本発明の第4の実施形態に係る浴槽装置を例示する斜視断面図であり、座板が足側に傾斜した状態を示す。
【図16】第4の実施形態に係る浴槽装置を例示する斜視断面図であり、座板が背側に傾斜した状態を示す。
【図17】第4の実施形態に係る浴槽装置のローリング手段を例示する斜視断面図である。
【符号の説明】
【0061】
11、11a、21、31 浴槽装置、12 浴槽、12a 底面、12b 孔、12c 背側面、12d 足側面、12e 頸部支持部、12f 背中支持部、12g 背当て部、13、23、33 座板、13a 突起、14、14a 回転手段、14b 駆動装置、14c 駆動伝達装置、14d 従動ローラ、14e 無端ベルト、15 制御手段、24 往復手段、34 ローリング手段、141 モータ、141a 本体、141b 回転軸、142 モータ固定具、142a 開口部、143 パッキン、144 ガイド、144a 上部、144b 下部、144c 開口部、145 敷板、145a 開口部、146 可動板、146a、146b 開口部、146c 凹部、147 モータ軸受け、147a 鍔、147b 孔、231 ラック、232 突起、245 敷板、245a 開口部、245b ガイド穴、246 ピニオン、246a 開口部、246b 凹部、346 傾斜板、346a 上面、346b 下面、M 入浴者
【出願人】 【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
【出願日】 平成18年8月25日(2006.8.25)
【代理人】 【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦

【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩


【公開番号】 特開2008−48968(P2008−48968A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−229391(P2006−229391)