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【発明の名称】 ゴルフボール
【発明者】 【氏名】圓藤 紀代司

【氏名】多羅尾 俊之

【要約】 【課題】本発明は、シス−1,4−結合の含有率が高いポリブタジエンを使用するワンピースゴルフボールにおいて、トランス−1,4−結合の含有率を低下させることによって、得られるゴルフボールの反発性および耐久性を向上することを目的とする。

【構成】本発明のワンピースゴルフボールは、(a)1,3−ブタジエンをサレン型金属錯体およびアルミノキサンを含む触媒の存在下で重合して得られるポリブタジエンを含む基材ゴム、(b)共架橋剤、及び、(c)架橋剤を含有するゴム組成物を成形してなるものであることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ジエンをサレン型金属錯体およびアルミノキサンを含む触媒の存在下で重合して得られるポリジエンを含む基材ゴム、
(b)共架橋剤、及び、
(c)架橋剤を含有するゴム組成物を成形してなるものであることを特徴とするワンピースゴルフボール。
【請求項2】
前記ポリジエンは、シス−1,4−結合の含有率が90%以上であって、トランス−1,4−結合の含有率が1%以下のものである請求項1に記載のワンピースゴルフボール。
【請求項3】
前記トランス−1,4−結合の含有率が0.5%以下である請求項2に記載のワンピースゴルフボール。
【請求項4】
前記ジエンは、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエンよりなる群から選択されるジエンである請求項1〜3のいずれかに記載のワンピースゴルフボール。
【請求項5】
前記ジエンは、1,3−ブタジエンであり、前記ポリジエンは、ポリブタジエンである請求項1〜3のいずれかに記載のワンピースゴルフボール。
【請求項6】
前記サレン型金属錯体の金属が、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、バナジウムよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載のワンピースゴルフボール。
【請求項7】
前記触媒が、サレン型コバルト錯体とメチルアルミノキサンとからなるものである請求項1〜6のいずれかに記載のワンピースゴルフボール。
【請求項8】
前記ゴム組成物は、(a)基材ゴム100質量部に対して、(b)共架橋剤15質量部〜45質量部、(c)架橋剤0.2質量部〜5質量部を含有するものである請求項1〜7のいずれかに記載のワンピースゴルフボール。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ワンピースゴルフボールに関するものであり、より詳細には、ワンピースゴルフボールに使用されるゴム組成物の反発性および耐久性の改良技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1層からなるワンピースゴルフボールは、通常、基材ゴム、共架橋剤、および、架橋剤を含有するゴム組成物の球状成形体である。反発性や耐久性などのゴルフボール特性は、ワンピースゴルフボールを構成するゴム組成物の影響を大きく受ける。例えば、ゴルフボールの反発性を高めることによって、打撃時により長い飛距離が得られ、耐久性を高めれば、繰り返し使用しても、ゴルフボールに割れが生じることが抑制される。ワンピースゴルフボールは、100%ゴム組成物で構成されるため、ツーピースゴルフボールやスリーピースゴルフボール等の多層ゴルフボールと比べてゴム組成物、特にゴム組成物が含有する基材ゴムの影響が大きい。そのため、例えば、ゴルフボール特性を改良するために、ゴム組成物が含有する基材ゴムの改良が検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、希土類金属化合物のメタロセン触媒および非配位性アニオンとカチオンから成るイオン性化合物および/またはアルミノキサンを含む組成物からなる触媒を用いて合成されたシス−1,4−結合99%以上のポリブタジエンが開示されている。特許文献2には、希土類金属化合物のメタロセン触媒および非配位性アニオンとカチオンから成るイオン性化合物および/またはアルミノキサンを含む組成物からなる触媒を用いて合成されたシス−1,4−結合80%以上であって、分子量分布(Mw/Mn)1.2〜2.0を有するポリブタジエンが開示されている。また、特許文献3には、特定の分子量を有する2種類のポリブタジエンを特定の配合比で含有するゴム組成物からなるワンピースゴルフボールが開示されている。
【特許文献1】特開2002−282393号公報
【特許文献2】特開2002−338737号公報
【特許文献3】特開2002−35167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記のようにメタロセン触媒を用いて、シス−1,4―結合の含有率を高める技術では、メタロセン触媒が空気中で不安定であることから、工業的には適していないという問題点がある。また、ポリジエンゴムの分子量を調整するのみでは、ゴルフボールの反発性や飛距離性能は満足いくレベルではなく、まだ改良の余地がある。さらに、ポリブタジエンには、シス−1,4−結合の他、トランス−1,4−結合、および、1,2−ビニル結合などの結合様式が存在するが、架橋前のトランス−1,4−結合の含有率が高いと反発性が低下することが知られている。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、シス−1,4−結合の含有率が高いポリジエンを基材ゴムとして含有するゴム組成物を使用するワンピースゴルフボールにおいて、トランス−1,4−結合の含有率を低下させることによって、得られるワンピースゴルフボールの反発性および耐久性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決することのできた本発明のワンピースゴルフボールは、
(a)ジエンをサレン型金属錯体およびアルミノキサンを含む触媒の存在下で重合して得られるポリジエンを含む基材ゴム、
(b)共架橋剤、及び、
(c)架橋剤を含有するゴム組成物を成形してなるものであることを特徴とする。
【0007】
すなわち、本発明は、ワンピースゴルフボールを構成するゴム組成物の基材ゴムとして、ジエンをサレン型金属錯体およびアルミノキサンを含む触媒の存在下で重合して得られるポリジエンを使用するところに要旨がある。サレン型金属錯体およびアルミノキサンを含む触媒の存在下でジエンを重合することによって、得られるポリジエン中のシス−1,4−結合の含有率を90%以上にするとともに、トランス−1,4−結合の含有率を1%以下にすることができる。その結果、斯かるポリジエンを基材ゴムとして使用することによって、得られるワンピースゴルフボールの反発性および耐久性が向上する。
【0008】
前記ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエンが好ましく、特に1,3−ブタジエンが好適である。
【0009】
前記サレン型金属錯体の金属としては、例えば、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、バナジウムなどを挙げることができ、前記触媒として、サレン型コバルト錯体とメチルアルミノキサンとからなる触媒を使用することが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、反発性および耐久性に優れるワンピースゴルフボールが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のワンピースゴルフボールは、
(a)ジエンをサレン型金属錯体およびアルミノキサンを含む触媒の存在下で重合して得られるポリジエンを含む基材ゴム、
(b)共架橋剤、及び、
(c)架橋剤を含有するゴム組成物を成形してなるものであることを特徴とする。
【0012】
まず、(a)ジエンをサレン型金属錯体およびアルミノキサンを含む触媒の存在下で重合して得られるポリジエン(以下、「ハイシス・ロートランスポリジエン」と称する場合がある)を含む基材ゴムについて説明する。
【0013】
前記サレン型金属錯体とは、例えば、下記化学式(1)または(2)によって表わされるものであり、サレン配位子[N,N’−bis(salicylidene)ethylenediamine(N,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミン)]またはその誘導体と金属とからなる錯体である。
【0014】
【化1】


【0015】
式中、R、R,R,Rは、それぞれ同一あるいは異なってもよく、炭素数が1〜10のアルキル基(好ましくは炭素数が1〜4のアルキル基)若しくはその水素の一部がハロゲンで置換されたもの、または、水素である。より好ましくは、R、若しくは、RとRの両方が、炭素数が1〜10のアルキル基(好ましくは炭素数が1〜4のアルキル基)であって、RおよびRが水素である。Rは、炭素数が1〜10のアルキル基若しくはその水素の一部がハロゲンで置換されたもの、フェニル基若しくはその水素の一部がハロゲンで置換されたもの、または、水素であり、さらに、隣接する2つのRが、ベンゼン環またはシクロヘキシル環を形成していても良い。Mは金属であり、Xは陰イオンである。
【0016】
前記サレン配位子は、相当するサリチルアルデヒドとエチレンジアミンの誘導体の脱水縮合反応によって合成されるものである。
【0017】
前記相当するサリチルアルデヒドとしては、例えば、サリチルアルデヒド、2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−5−メチルベンズアルデヒド、5−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒドなどが挙げられる。エチレンジアミンの誘導体としては、例えば、1,2−エタンジアミン(エチレンジアミン);1,2−ベンゼンジアミン;(1R,2S)−1,2−シクロヘキサンジアミン、(1S,2S)−1,2−シクロヘキサンジアミン、(1R,2R)−1,2−シクロヘキサンジアミンまたはトランス−1,2−シクロヘキサンジアミンなどの1,2−シクロへキサンジアミンなどが挙げられる。
【0018】
前記サレン型金属錯体の金属としては、特に限定されるものではないが、例えば、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、バナジウムなどを例示することができ、特に好ましくは、コバルトである。
【0019】
前記サレン型金属錯体の陰イオンXとしては、例えば、水酸化物イオン(OH);塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、フッ化物イオン(F)などのハロニウム;酢酸イオン(CHCOO);硝酸イオン(NO);硫酸イオン(SO)、シュウ酸イオン(C2−);リン酸イオン(PO)、ヘキサフルオロホスフェートイオン(PF)などの陰イオンを挙げることができる。尚、本発明では、式(2)で表わされるように、陰イオンXが存在しないサレン型金属錯体も使用できる。
【0020】
前記サレン型金属錯体として、特に好ましいのは、N,N’−ビス(3−tert−ブチルサリチリデン)エチレンジアミナートコバルト(II)[N,N’− bis(3−tert−butylsalicylidene)ethylenediaminato Cobalt(II)](式(3))、N,N’−ビス(3−tert−ブチル−5−メチルサリチリデン)エチレンジアミナートコバルト(II)[N,N’−bis(3−tert−butyl−5−methylsalicylidene)ethylenediaminato Cobalt(II)](式(4))、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)エチレンジアミナートコバルト(II)[N,N’−bis(3,5−di−tert−butylsalicylidene)ethylenediaminato Cobalt(II)](式(5))、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)1,2−ジフェニルエチレンジアミナートコバルト(II)[N,N’−bis(3,5−di−tert−butylsalicylidene)1,2−diphenylethylenediaminato Cobalt(II)](式(6))などを挙げることができる。
【0021】
【化2】


【0022】
前記アルミノキサンとしては、例えば、有機アルミニウム化合物(好ましくはトリメチルアルミニウム)と縮合剤(好ましくは水)とを接触させることによって得られるものを用いることができ、より具体的には、下記式(7)で表わされる構造を有するものである。
【0023】
【化3】


【0024】
式中、Rは、炭素数が1〜10(好ましくは炭素数が1〜4)の炭化水素基であり、隣接する構成単位において、それぞれ同一あるいは異なっていてもよく、好ましくは同一である。前記炭化水素基は、ハロゲン原子および/またはアルコキシ基で置換されていてもよい。nは重合度を表わし、4〜20の整数である。前記Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基などがあげられるが、メチル基が好ましい。アルミノキサンの原料として使用される有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム又はその混合物などを挙げることができ、好ましくは、トリメチルアルミニウムである。また、トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムとの混合物を原料としたアルミノキサンも使用することができる。本発明では、式(7)中、すべての構成単位のRがメチル基であるメチルアルミノキサンを使用することが特に好適である。
【0025】
本発明で使用するハイシス・ロートランスポリジエンは、上述したサレン型金属錯体およびアルミノキサンを含む触媒の存在下で重合して得られるものであれば、特に限定されず、前記触媒は、さらに、ジエチルアルミニウムクロライド(EtAlCl)などを含むことができる。また、上述したサレン型金属錯体とアルミノキサンのみからなる触媒を使用することも好ましい態様である。
【0026】
本発明で使用するジエンとしては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサンジエン、2,4−ヘキサジエンなどの共役ジエンを例示することができ、1,3−ブタジエンが特に好適である。
【0027】
尚、2,4−ヘキサジエンを重合して生成されるポリヘキサジエンには、シス−2,5−結合およびトランス−2,5−結合が生成されることになるが、このシス−2,5−結合およびトランス−2,5−結合をそれぞれ、シス−1,4−結合およびトランス−1,4−結合であると看做して、シス−1,4−結合およびトランス1,4−結合の含有率を算出するものとする。また、炭素数が6以上のジエンについても同様の方法により、シス−1,4−結合およびトランス1,4−結合の含有率を算出するものとする。
【0028】
ジエンをサレン型金属錯体およびアルミノキサンを含む触媒の存在下で重合する方法としては、特に限定されるものではなく、重合温度としては、例えば、0℃以上、好ましくは10℃以上であって、100℃以下、好ましくは80℃以下の温度が望ましい。重合時間としては、0.5時間以上、好ましくは1時間以上であって、12時間以下、好ましくは6時間以下が望ましい。
【0029】
前記サレン型金属錯体およびアルミノキサンの使用量は、特に限定されないが、前記サレン型金属錯体は、ジエン100質量部に対して、0.01質量部以上、好ましくは0.05質量部以上、2質量部以下、好ましくは1質量部以下使用することが好ましい。また、前記アルミノキサンは、ジエン100質量部に対して、1質量部以上、好ましくは3質量部以上、40質量部以下、好ましくは30質量部以下使用することが好ましい。
【0030】
前記重合は、ジエン、サレン型金属錯体、および、アルミノキサンを溶解する溶媒中で行うことが好ましい。前記溶媒としては、ハロゲン系溶媒、非ハロゲン系溶媒を挙げることができ、サレン型金属錯体の溶解性が高いハロゲン系溶媒を使用することが好ましい。
【0031】
前記ハロゲン系溶媒としては、例えば、塩化メチレン、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロエタン、ブロモプロパン、ブロモブタン、ヨードメチルプロパン、フルオロメチルプロパンなどのアルカンのモノ、ジ、またはトリハロゲン置換体;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、トリブロモベンゼン、ヨードベンゼンなどのベンゼンのモノ、ジ、またはトリハロゲン置換体などを挙げることができる。これらの中でも、塩化メチレン、ジクロロメタン、クロロホルムが好適である。
【0032】
前記非ハロゲン系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、ニトロベンゼンなどの芳香族系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)などが挙げられる。
【0033】
また、サレン型金属錯体の金属の種類に応じて、サレン型金属錯体、アルミノキサン、ジエンの添加順序を制御することによって、触媒活性を高めることができる。例えば、サレン型コバルト錯体を用いる場合には、サレン型コバルト錯体をジエンに添加してから、アルミノキサンで活性化することが好ましい態様であり、斯かる添加順とすることによって、得られるポリマーの収率を高めることができる。尚、サレン型ニッケル錯体では、添加順序による影響がほとんど認められない。
【0034】
本発明で使用するハイシス・ロートランスポリジエンのシス−1,4−結合の含有率は、90%以上、より好ましくは96%以上、さらに好ましくは98%以上、一層好ましくは99%以上であることが望ましい。また、前記ポリジエンのトランス−1,4−結合の含有率は、1%以下、より好ましくは0.8%以下、さらに好ましくは0.5%以下、さらに一層好ましくは0.3%以下である。シス−1,4−結合の含有率を高めるとともに、トランス−1,4−結合の含有率を低下させることによって、反発性および耐久性に優れるゴルフボールが得られる。従って、前記ポリジエンのトランス−1,4−結合の含有率は、0%であることが最も望ましい。
【0035】
ポリジエンの結合様式には、シス−1,4−結合とトランス−1,4−結合の外にも、1,2−ビニル結合も存在するので、シス−1,4−結合の含有率が高くなったとしても、トランス−1,4−結合の含有率が直接低下する訳ではない。本発明では、シス−1,4−結合の含有率が高く、かつ、トランス−1,4−結合の含有率の低いポリジエンを使用するところに特徴がある。トランス−1,4−結合、シス−1,4−結合、および、1,2−ビニル結合の含有率は、H−NMRと13C−NMRとを用いることによって算出することができる。
【0036】
尚、シス−1,4−結合、トランス−1,4−結合、および、1,2−ビニル結合は、例えば、下記式(8)で表わされるポリジエンにおいて、以下のように定義される。
シス−1,4−結合(%)=100×X/(X+Y+Z)
トランス−1,4−結合(%)=100×Y/(X+Y+Z)
1,2−ビニル結合(%)=100×Z/(X+Y+Z)
【0037】
【化4】


(式中、X,Y,Zは、それぞれの構成単位のユニット数を示す)
【0038】
本発明で使用するゴム組成物は、基材ゴムとして、上述したハイシス・ロートランスポリジエンに加えて、本発明の効果を損なわない範囲で他のゴム成分を含有することができる。前記他のゴム成分としては、例えば、ポリブタジエン、エチレン・プロピレン・ジエン3元共重合体(EPDM)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、天然ゴム(NR)、ニトリルゴム(NBR)、スチレンゴム(SBR)等の1種または2種以上を挙げることができる。これらの中でも、特に、反発性に有利なシス−1,4−結合が70%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは96%以上のハイシスポリブタジエンを用いることがが好ましい。
【0039】
また、基材ゴム中のハイシス・ロートランスポリブタジエンの含有率は、50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上が望ましい。基材ゴムとして、実質的に前記ハイシス・ロートランスポリジエンのみを使用することも好ましい態様である。
【0040】
本発明で使用するゴム組成物が含有する(b)共架橋剤は、ゴム分子鎖にグラフト重合することによって、ゴム分子を架橋する作用を有するものであれば特に限定されず、例えば、α,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩を挙げることができる。前記金属塩を構成する金属としては、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、または、ナトリウムなどの一価又は二価の金属を挙げることができ、より好ましくは、亜鉛またはマグネシウムである。前記α,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩としては、例えば、炭素数3〜8のα、β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩を挙げることができ、より好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛などを挙げることができる。また、前記共架橋剤として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリル酸エステルを使用することも好ましい態様である。
【0041】
ゴム組成物中の(b)共架橋剤の含有量は、基材ゴム100質量部に対して、15質量部以上であることが好ましく、より好ましくは18質量部以上であり、さらに好ましくは22質量部以上である。18質量部以上とすることによって、ゴム組成物を成形して得られる成形体の硬度を適度なものとすることができる。成形体が軟らかくなりすぎると打球時の変形量が大きくなり、打球感が低下する場合があるからである。また、ゴム組成物中の(b)共架橋剤の含有量は、基材ゴム100質量部に対して、45質量部以下であることが好ましく、より好ましくは38質量部以下であり、さらに好ましくは30質量部以下である。45質量部以下とすることによって、好適な打球感が得られる。
【0042】
本発明で使用するゴム組成物が含有する(c)架橋剤は、基材ゴム成分を架橋するために配合されるものである。前記架橋剤としては、有機過酸化物が好ましく用いられ、例えば、ジクミルパーオキサイド、1,1―ビス(t―ブチルパーオキシ)―3,5―トリメチルシクロヘキサン、2,5―ジメチルー2,5―ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジーt―ブチルパーオキサイド等が挙げられ、ジクミルパーオキサイドを使用することが好ましい。前記架橋剤は、基材ゴム100質量部に対して0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であって、5質量部以下、より好ましくは3質量部以下配合されることが望ましい。
【0043】
本発明で使用するゴム組成物は、上記各成分に加えて、有機硫黄化合物を含有しても良い。前記有機硫黄化合物の含有量は、基材ゴム100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.0質量部以下である。
【0044】
前記有機硫黄化合物としては、ジフェニルジスルフィド類が好ましく用いられ、例えば、ジフェニルジスルフィド、ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(4−フルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(4−シアノフェニル)ジスルフィド等のモノ置換体;ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−クロロ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド等のジ置換体;ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−4−クロロ−6−ブロモフェニル)ジスルフィド等のトリ置換体;ビス(2,3,5,6−テトラクロロフェニル)ジスルフィド等のテトラ置換体;ビス(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)ジスルフィド等のペンタ置換体等が挙げられる。これらのジフェニルジスルフィド類はゴム成形体の加硫状態に何らかの影響を与えて、反発性を高めることができる。これらの中でも、特に高反発性のゴルフボールが得られるという点から、ジフェニルジスルフィド、ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィドを用いることが好ましい。
【0045】
本発明で使用するゴム組成物は、上記基材ゴム、共架橋剤、架橋剤の他に、さらに、顔料;比重調整などのための充填剤;酸化防止剤、老化防止剤、しゃく解剤、及び、軟化剤などの添加剤を含有してもよい。
【0046】
ゴム組成物に配合される顔料としては、例えば、白色顔料、青色顔料、紫色顔料などを挙げることができる。前記白色顔料としては、酸化チタンを使用することが好ましい。酸化チタンの種類は、特に限定されないが、隠蔽性が良好であるという理由から、ルチル型を用いることが好ましい。また、酸化チタンの含有量は、基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上、より好ましくは2質量部以上であって、8質量部以下、より好ましくは5質量部以下であることが望ましい。
【0047】
ゴム組成物が白色顔料と青色顔料とを含有することも好ましい態様である。青色顔料は、白色を鮮やかに見せるために配合され、例えば、群青、コバルト青、フタロシアニンブルーなどを挙げることができる。また、前記紫色顔料としては、例えば、アントラキノンバイオレット、ジオキサジンバイオレット、メチルバイオレット等を挙げることができる。
【0048】
前記青色顔料の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、0.001質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上であって、0.2質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下であることが望ましい。0.001質量部未満では、青みが不十分で、黄色味がかった色に見え、0.2質量部を超えると、青くなりすぎて、鮮やかな白色外観ではなくなるからである。
【0049】
ゴム組成物に配合される充填剤は、主として最終製品として得られるワンピースゴルフボールの比重を1.0〜1.5の範囲に調整するための比重調整剤として配合されるが、必要に応じてこれを配合できる。前記充填剤としては、ワンピースゴルフボールに通常配合されるものであればよく、例えば無機充填剤(具体的には、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム)、高比重金属粉末(例えば、タングステン粉末、モリブデン粉末等)およびそれらの混合物が挙げられる。特に好ましいのは、加硫助剤としての機能も発揮する酸化亜鉛である。酸化亜鉛を用いる場合、配合量は、基材ゴム100重量部に対して、30重量部以下、好ましくは25重量部以下、より好ましくは15重量部以下であり、30重量部を超えるとゴム成分が少なくなって、高い反発性が得られなくなる。
【0050】
ゴム組成物に配合される老化防止剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以下であることが好ましい。また、しゃく解剤は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、5質量部以下であることが好ましい。
【0051】
本発明のワンピースゴルフボールは、上述したゴム組成物を成形してなるものであることを特徴とする。前記ゴム組成物を球状成形体に成形する条件は、ゴム組成に応じて適宜設定すればよいが、通常、前記ゴム組成物を130〜200℃で10〜60分間加熱するか、あるいは、130〜150℃で20〜40分間加熱した後、160〜180℃で5〜15分間の2段階で加熱することが好ましい。
【0052】
本発明のワンピースゴルフボールの直径は、ゴルフボール規則に基づいて、42.67mm以上、好ましくは42.67mm以上42.82mm以下であって、質量45.93g以下、好ましくは44.0g以上45.8g以下に形成される。
【0053】
本発明のワンピースゴルフボールは、直径42.67mm〜42.82mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮変形量(圧縮方向にゴルフボールが縮む量)が、2.3mm以上、より好ましくは2.4mm以上であって、さらに好ましくは2.5mm以上であって、3.0mm以下、より好ましくは2.8mm以下、さらに好ましくは2.7mm以下であることが望ましい。前記圧縮変形量が、2.3mm未満では打球感が硬くて悪くなり、3.0mmを超えると、耐久性が低下する場合がある。
【0054】
本発明のワンピースゴルフボールは、表面硬度が中心硬度より大きいことも好ましい態様である。本発明のワンピースゴルフボールの表面硬度と中心硬度との硬度差は、ショアD硬度で15以上であることが好ましく、さらに好ましくは18以上である。ワンピースゴルフボールの表面硬度を中心硬度より大きくすることによって、打出角が高くなり、スピン量が低くなって、飛距離が向上する。また、ワンピースゴルフボールの表面硬度と中心硬度とのショアD硬度差の上限は、特に限定されないが、30であることが好ましく、より好ましくは25である。硬度差が大きくなりすぎると、耐久性が低下する虞があるからである。
【0055】
さらに、本発明のワンピースゴルフボールの中心硬度は、ショアD硬度で25以上であることが好ましく、より好ましくは30以上であり、さらに好ましくは32以上である。前記中心硬度がショアD硬度で25未満であると、得られるワンピースゴルフボールの耐久性が低下する場合がある。また、前記中心硬度は、ショアD硬度で45以下であることが好ましく、より好ましくは42以下であり、さらに好ましくは40以下である。前記中心硬度がショアD硬度で45を超えると、硬くなり過ぎて、打球感が低下する傾向があるからである。本発明において、ワンピースゴルフボールの中心硬度とは、ゴルフボールを2等分に切断して、その切断面の中心点についてスプリング式硬度計ショアD型で測定した硬度を意味する。
【0056】
本発明のワンピースゴルフボールの表面硬度は、ショアD硬度で45以上であることが好ましく、より好ましくは50以上であり、さらに好ましくは52以上である。前記表面硬度が45より小さいと、軟らかくなり過ぎて、反発性が低下する場合がある。また、表面硬度は、ショアD硬度で70以下であることが好ましく、より好ましくは65以下であり、さらに好ましくは60以下である。前記表面硬度がショアD硬度で70超であると、得られるゴルフボールの耐久性が低下する場合があるからである。
【0057】
次に、本発明のゴルフボールを製造する方法について説明するが、本発明は、かかる製造方法に限定されるものではない。まず、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤、および、(c)架橋剤、さらに必要に応じて、充填剤、添加剤などを配合し、混練してゴム組成物を調整する。得られたゴム組成物は、通常、130〜200℃で10〜60分間加熱して、球状の成形体に成形する。尚、ワンピースゴルフボールの表面硬度と中心硬度に硬度差を設けない場合には、例えば、130〜150℃で20〜40分間加熱した後、160〜180℃で5〜15分間の2段階で加熱して、球状の成形体に成形する。成形体には、通常、表面にディンプルと呼ばれるくぼみが形成される。さらに、ワンピースゴルフボール本体表面は、塗膜との密着性を一層向上させるために、サンドブラスト処理のような研磨処理がなされてもよい。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0059】
[評価方法]
(1)反発係数
各ワンピースゴルフボールに198.4gの金属製円筒物を40m/秒の速度で衝突させ、衝突前後の上記円筒物およびワンピースゴルフボールの速度を測定し、それぞれの速度および重量から各ゴルフボールの反発係数を算出した。測定は各ワンピースゴルフボールについて12個ずつ行って、その平均値を各ワンピースゴルフボールの反発係数とした。
【0060】
(2)飛距離
ツルーテンパー社製スイングロボットにメタルヘッド製ウッドl番クラブ(SRIスポーツ(株)製XXIO、ロフト角10°)を取付け、ヘッドスピード45m/秒に設定して各ゴルフボールを打撃し、落下点までの飛距離(キャリー)を測定した。測定は各ゴルフボールについて12個ずつ行って、その平均値を各ゴルフボールの結果とした。尚、飛距離は、ゴルフボールNo.4の飛距離を100として、指数化した値で示した。
【0061】
(3)割れ耐久性
ツルーテンパー社製のスイングロボットにメタルヘッド製ウッド1番クラブ(SRIスポーツ(株)製XXIO、ロフト角10°)を取り付け、各ゴルフボールをヘッドスピード45m/secで打撃し、衝突板に衝突させてゴルフボールが壊れるまでの打撃回数を測定した。各ゴルフボールの割れ耐久性は、ゴルフボールNo.4の打撃回数を100として、各ゴルフボールについての打撃回数を指数化した値で示した。指数化された値が大きいほど、ゴルフボールが割れ耐久性に優れていることを示す。
【0062】
(4)圧縮変形量(mm)
ワンピースゴルフボールに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮方向の変形量(圧縮方向に縮む量)を測定した。
【0063】
(5)ポリジエン中のシス、トランス、ビニル結合の定量方法
1,2−ビニル結合と(シス−1,4−結合+トランス−1,4−結合)との割合は、H−NMRを用いて求めることができる(図1参照)。すなわち、測定して得られるH−NMRチャートにおいて、約5.0ppm付近と約5.4ppm付近のピークはそれぞれ、1,2−ビニル結合のピークと(シス−1,4−結合+トランス−1,4−結合)のピークに帰属することができる。そして、1,2−ビニル結合と(シス−1,4−結合+トランス−1,4−結合)との割合は、これらのピークの面積比に比例することから、その割合を容易に算出することができる。
【0064】
また、シス−1,4−結合とトランス−1,4−結合の割合は、13C−NMRを用いて求めることができる(図2参照)。すなわち、測定して得られる13C−NMRにおいて、27〜28ppmのピークと33ppm付近のピークは、それぞれシス−1,4−結合、トランス−1,4−結合に帰属することができ、シス−1,4−結合とトランス−1,4−結合との割合は、これらのピーク面積比に比例することから、その割合を容易に算出することができる。
【0065】
本発明では、日本電子株式会社製JOEL α−400NMRを用いて測定した。
【0066】
[サレン型金属錯体の作製]
サレン型金属錯体1
3,5−ジ−tert−ブチルサリチルアルデヒド(3,5−di−tert−butylsalicylaldehyde)15g(0.064mol)を500mlのメタノールに溶かして、エチレンジアミン1.92g(0.032mol)を加えて、室温で2時間撹拌した。得られた反応物を濾過して、13.3g(0.0266mol)のN,N’−ビス(3,5−di−tert−ブチルサリチリデン)エチレンジアミン[N,N’−bis(3,5−di−tert−butylsalicylidene)ethylenediamine]が得られた。次に、これをメタノール(MeOH)1000gに溶かして得られた溶液に、Co(OAc)・4HOを8.753g(0.0266mol)加えて、2時間還流し、得られた生成物を濾過して、サレン型金属錯体1(N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)エチレンジアミナートコバルト(II)[N,N’−bis(3,5−di−tert−butylsalicylidene)ethylenediaminato cobalt(II)])を得た。収率は70%であった。
【0067】
サレン型金属錯体2
3,5−ジ−tert−ブチルサリチルアルデヒド(3,5−di−tert−butylsalicylaldehyde)15g(0.064mol)の代わりに、3−tert−ブチルサリチルアルデヒド(3−tert−butylsalicylaldehyde)11.4g(0.064mol)を用いた以外は、サレン型金属錯体1と同様の方法により、サレン型金属錯体2(N,N’−ビス(3−tert−ブチルサリチリデン)エチレンジアミナートコバルト(II)[N,N’−bis(3−tert−butylsalicylidene)ethylenediaminato cobalt(II)])を得た。収率は45%であった。
【0068】
サレン型金属錯体3
エチレンジアミン1.92g(0.032mol)の代わりに、1,2−ジフェニルエチレンジアミン6.79g(0.032mol)を用いた以外は、サレン型金属錯体1と同様の方法により、サレン型金属錯体3(N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)1,2−ジフェニルエチレンジアミナートコバルト(II)[N,N’−bis(3,5−di−tert−butylsalicylidene)1,2−diphenylethylenediaminato cobalt(II)])を得た。収率は60%であった。
【0069】
[メタロセン触媒を用いたポリブタジエンの作製]
内容量2Lのオートクレーブ内部を窒素置換し、ビスペンタメチルシクロペンタジエニルビステトラヒドロフランサマリウムを2.5ミリモル仕込み、トルエン1.5Lに溶解した。次いで、Modified MAO(東ソー・アクゾ社より市販されているトルエン可溶性アルミノキサン)をAl/Sm=200元素比となるように添加した。その後、1,3−ブタジエンを400mL仕込み、50℃で5分間重合を行った。重合後、10重量%の2,6−ビス(t−ブチル)−4−メチルフェノールを含むメタノール2.5リットルを加えて反応を停止し、さらに大量のメタノール/塩酸混合溶媒で重合体を分離して60℃で真空乾燥した。得られたポリブタジエン(以下、「メタロセン触媒BR」と記載する場合がある)の収率は、65質量%であり、各結合の含有率を測定した結果を表1に示した。
【0070】
[ハイシス・ロートランスポリブタジエンの作製]
内容量2リットルのオートクレーブ内部を窒素置換して、1200mlの塩化メチレンを入れ、そこに150mlの1,3−ブタジエンを仕込み、上記の様にして得られたサレン型コバルト錯体とメチルアルミノキサン(MAO:東ソー・アクゾ社、FW=58.02)とをこの順序で、アルミニウムとコバルトのモル比率がMAO/Co=500となるように添加し、室温で重合を行った。1,3−ブタジエン、サレン型金属錯体およびメチルアルミノキサンの仕込み比率は、1,3−ブタジエン:サレン型金属錯体:メチルアルミノキサン=100:0.0558:27.9(モル比)であった。重合後、10質量%のBHTを含むメタノール2リットルを加えて反応を停止し、さらに大量のメタノール/塩酸混合溶媒で得られた重合体を分離して、60℃で真空乾燥した。得られたハイシス・ロートランスポリブタジエンと市販のハイシスポリブタジエンの各結合の含有率を測定した結果を表1に示した。
【0071】
【表1】


【0072】
表1の結果から明らかなように、1,3−ブタジエンをサレン型金属錯体とメチルアルミノキサンを含む触媒の存在下で重合して得られたポリブタジエン(ハイシス・ロートランスポリブタジエン)は、市販のハイシスポリブタジエンと比べて、トランス−1,4結合の含有率が低いことが分かる。
【0073】
[ワンピースゴルフボールの作製]
表2に示す配合のゴム組成物を混練ロールにより混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で、170℃で17分間加熱プレスすることにより、ワンピースゴルフボール本体を得た。得られたワンピースゴルフボール本体の表面をサンドブラスト処理して、マーキングを施した後、クリアーペイントを塗布し、40℃のオーブンで塗料を乾燥させ、直径42.8mm、質量45.4gのゴルフボールを得た。得られたワンピースゴルフボールについて、圧縮変形量、反発係数、飛距離、および、耐久性などについて評価した結果を併せて表2に示した。
【0074】
【表2】


【0075】
BR11、BR730:JSR製のポリブタジエンゴム(シス含有率96%以上)
メタクリル酸:三菱レイヨン社製メタクリル酸
酸化亜鉛:東邦亜鉛製の銀嶺R
ジクミルパーオキサイド:日本油脂製のパークミルD
ジフェニルジスルフィド:住友精化製
【0076】
表2から明らかなように、ハイシス・ロートランスポリブタジエンを使用した本発明のワンピースゴルフボールNo.1〜No.5は、反発性(飛距離)および耐久性に優れていることが分かる。また、本発明のワンピースゴルフボールは、メタロセン触媒を用いて合成したハイシスポリブタジエンと比べても、優れた反発性および耐久性を有することが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、ワンピースゴルフボールに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】ポリブタジエンの一例のH−NMRチャート。
【図2】ポリブタジエンの一例の13C−NMRチャート。
【出願人】 【識別番号】506160374
【氏名又は名称】圓藤 紀代司
【識別番号】504017809
【氏名又は名称】SRIスポーツ株式会社
【出願日】 平成19年7月4日(2007.7.4)
【代理人】 【識別番号】100075409
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久一

【識別番号】100115082
【弁理士】
【氏名又は名称】菅河 忠志

【識別番号】100125184
【弁理士】
【氏名又は名称】二口 治

【識別番号】100125243
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩彰


【公開番号】 特開2008−29835(P2008−29835A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2007−176749(P2007−176749)