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【発明の名称】 筋力トレーニング装置
【発明者】 【氏名】門田 健志

【要約】 【課題】使用者の体肢がいかなる姿勢であっても、所望の筋を対象にした筋力トレーニングを効果的に行うことができるようにする。

【構成】使用者が着座するサドルと、前記使用者の体肢の長さに調整可能なロボットアームと、該ロボットアームを使用者の体肢に固定する装着具と、前記ロボットアームの関節駆動源のトルクを制御する制御装置と、前記使用者がトレーニングの条件を入力する入力装置とを有し、前記使用者がトレーニングする体肢先端の出力方向及びトレーニング負荷を入力すると、該トレーニング負荷を発生するのに必要なトルクの値を算出し、前記出力方向と反対方向及び算出された値のトルクをロボットアームが発生することによって、使用者の姿勢に関わらず、使用者に一定のトレーニング負荷を与える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)使用者が着座するサドルと、
(b)前記使用者の体肢の長さに調整可能なロボットアームと、
(c)該ロボットアームを使用者の体肢に固定する装着具と、
(d)前記ロボットアームの関節駆動源のトルクを制御する制御装置と、
(e)前記使用者がトレーニングの条件を入力する入力装置とを有し、
(f)前記使用者がトレーニングする体肢先端の出力方向及びトレーニング負荷を入力すると、該トレーニング負荷を発生するのに必要なトルクの値を算出し、前記出力方向と反対方向及び算出された値のトルクをロボットアームが発生することによって、使用者の姿勢に関わらず、使用者に一定のトレーニング負荷を与えることを特徴とする筋力トレーニング装置。
【請求項2】
(a)使用者が着座するサドルと、
(b)前記使用者の体肢の長さに調整可能なロボットアームと、
(c)該ロボットアームを使用者の体肢に固定する装着具と、
(d)前記ロボットアームの関節駆動源のトルクを制御する制御装置と、
(e)前記ロボットアームの関節角度を検出する関節角度検出装置と、
(f)前記使用者がトレーニングの条件を入力する入力装置とを有し、
(g)前記制御装置は、ロボットアームの先端が弾性を備えるように制御し、前記使用者がトレーニングする体肢先端の出力方向を入力すると、出力方向の弾性を出力方向と垂直な方向の弾性より小さく設定することを特徴とする筋力トレーニング装置。
【請求項3】
(a)使用者が着座するサドルと、
(b)前記使用者の体肢の長さに調整可能なロボットアームと、
(c)該ロボットアームを使用者の体肢に固定する装着具と、
(d)前記ロボットアームの関節駆動源のトルクを制御する制御装置と、
(e)前記ロボットアームの関節角度を検出する関節角度検出装置と、
(f)前記使用者がトレーニングの条件を入力する入力装置とを有し、
(g)前記制御装置は、ロボットアームの先端が弾性を備えるように制御し、前記使用者がトレーニングする体肢先端の出力方向を入力すると、出力方向の弾性を出力方向と垂直な方向の弾性より大きく設定することを特徴とする筋力トレーニング装置。
【請求項4】
(a)使用者が着座するサドルと、
(b)前記使用者の体肢の長さに調整可能なロボットアームと、
(c)該ロボットアームを使用者の体肢に固定する装着具と、
(d)前記ロボットアームの関節駆動源のトルクを制御する制御装置と、
(e)前記ロボットアームの関節角度を検出する関節角度検出装置と、
(f)前記使用者がトレーニングの条件を入力する入力装置とを有し、
(g)前記制御装置は、ロボットアームの先端が弾性を備えるように制御し、前記使用者がトレーニングする体肢先端の出力方向を入力し、かつ、弾性に関する選択を行うと、該選択に従って、出力方向の弾性を出力方向と垂直な方向の弾性より小さく又は大きく設定することを特徴とする筋力トレーニング装置。
【請求項5】
(a)前記使用者がトレーニングする体肢先端の出力方向及びトレーニング負荷を入力すると、
(b)前記制御装置は、入力されたトレーニング負荷を前記ロボットアームが発生するトレーニング負荷の上限とし、0を前記ロボットアームが発生するトレーニング負荷の下限とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の筋力トレーニング装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、筋力トレーニング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、二関節アーム装置のような二関節リンク機構を利用した筋力トレーニング装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)また、疑似自転車型の筋力トレーニング装置を使用して、回転角に応じて負荷を変化させ、特定の筋を鍛える技術も開示されている。
【特許文献1】特願2005−247243号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の疑似自転車型の筋力トレーニング装置においては、全運動に対して、目的の筋に負荷がかかっている状態が比較的短いので、効率的でない。また、従来周知の重りを使用した筋力トレーニング装置においては、まず、正しいフォームを身に付けなければ、効果があるトレーニングをすることができない。さらに、様々な部位の筋を鍛えるためには、様々な種類の筋力トレーニング装置を用いなければならなかった。
【0004】
本発明は、前記従来の筋力トレーニング装置の問題点を解決して、使用者が着座するサドルと、使用者の体肢の長さに調整可能な二関節のロボットアームとを有し、該ロボットアームを使用者の体肢に固定し、所望の筋の筋力と反対方向の力をロボットアームが発生するようにして、使用者の体肢がいかなる姿勢であっても、所望の筋を対象にした筋力トレーニングを効果的に行うことができる筋力トレーニング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために、本発明の筋力トレーニング装置においては、使用者が着座するサドルと、前記使用者の体肢の長さに調整可能なロボットアームと、該ロボットアームを使用者の体肢に固定する装着具と、前記ロボットアームの関節駆動源のトルクを制御する制御装置と、前記使用者がトレーニングの条件を入力する入力装置とを有し、前記使用者がトレーニングする体肢先端の出力方向及びトレーニング負荷を入力すると、該トレーニング負荷を発生するのに必要なトルクの値を算出し、前記出力方向と反対方向及び算出された値のトルクをロボットアームが発生することによって、使用者の姿勢に関わらず、使用者に一定のトレーニング負荷を与える。
【0006】
本発明の他の筋力トレーニング装置においては、使用者が着座するサドルと、前記使用者の体肢の長さに調整可能なロボットアームと、該ロボットアームを使用者の体肢に固定する装着具と、前記ロボットアームの関節駆動源のトルクを制御する制御装置と、前記ロボットアームの関節角度を検出する関節角度検出装置と、前記使用者がトレーニングの条件を入力する入力装置とを有し、前記制御装置は、ロボットアームの先端が弾性を備えるように制御し、前記使用者がトレーニングする体肢先端の出力方向を入力すると、出力方向の弾性を出力方向と垂直な方向の弾性より小さく設定する。
【0007】
本発明の更に他の筋力トレーニング装置においては、使用者が着座するサドルと、前記使用者の体肢の長さに調整可能なロボットアームと、該ロボットアームを使用者の体肢に固定する装着具と、前記ロボットアームの関節駆動源のトルクを制御する制御装置と、前記ロボットアームの関節角度を検出する関節角度検出装置と、前記使用者がトレーニングの条件を入力する入力装置とを有し、前記制御装置は、ロボットアームの先端が弾性を備えるように制御し、前記使用者がトレーニングする体肢先端の出力方向を入力すると、出力方向の弾性を出力方向と垂直な方向の弾性より大きく設定する。
【0008】
本発明の更に他の筋力トレーニング装置においては、使用者が着座するサドルと、前記使用者の体肢の長さに調整可能なロボットアームと、該ロボットアームを使用者の体肢に固定する装着具と、前記ロボットアームの関節駆動源のトルクを制御する制御装置と、前記ロボットアームの関節角度を検出する関節角度検出装置と、前記使用者がトレーニングの条件を入力する入力装置とを有し、前記制御装置は、ロボットアームの先端が弾性を備えるように制御し、前記使用者がトレーニングする体肢先端の出力方向を入力し、かつ、弾性に関する選択を行うと、該選択に従って、出力方向の弾性を出力方向と垂直な方向の弾性より小さく又は大きく設定する。
【0009】
本発明の更に他の筋力トレーニング装置においては、さらに、前記使用者がトレーニングする体肢先端の出力方向及びトレーニング負荷を入力すると、前記制御装置は、入力されたトレーニング負荷を前記ロボットアームが発生するトレーニング負荷の上限とし、0を前記ロボットアームが発生するトレーニング負荷の下限とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、筋力トレーニング装置は、使用者が着座するサドルと、使用者の体肢の長さに調整可能な二関節のロボットアームとを有し、該ロボットアームを使用者の体肢に固定し、所望の筋の筋力と反対方向の力をロボットアームが発生するようになっている。これにより、使用者の体肢がいかなる姿勢であっても、所望の筋を対象にした筋力トレーニングを効果的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図2は本発明の第1の実施の形態における使用者の体肢の筋群を模式的に示す図、図3は本発明の第1の実施の形態における使用者の体肢の筋の活動パターンを示すグラフ、図4は本発明の第1の実施の形態における使用者の体肢の筋の出力分布特性を示す図である。
【0013】
図2において、20は本実施の形態における使用者であり、後述される筋力トレーニング装置10を使用して筋力のトレーニングを行う者である。まず、筋力トレーニング装置10の背景となる人間の体肢の二関節リンク機構について、本発明の理解に必要な範囲で説明する。
【0014】
人間の体肢、すなわち、四肢には二関節筋が存在し、該二関節筋は、1つの関節に作用する一関節筋と協調して先端の出力を制御しており、その先端出力は、図4に示されるような六角形の出力分布で表されることが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。そして、六角形の出力分布特性に基づいて機能別実行筋力を評価する方法も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献2】特開2000−210272号公報
【非特許文献1】藤川智彦、大島徹、熊本水頼、山本倫久、「上肢における拮抗する一関節筋及び二関節筋群の協調活動とその機械モデルによる制御機能解析」、バイオメカニズム13、バイオメカニズム学会、(1996)181.。
【0015】
次に、本発明の理解に必要な範囲で、非特許文献1及び特許文献2に記載された四肢の先端出力特性について説明する。
【0016】
人間の上肢及び下肢ともに、第一関節、第二関節及び系先端を含む二次元平面内の運動において、第一関節及び第二関節に作用する筋群は、その機能を考慮すると、図2に示されるように、第一関節周りの一対の拮抗一関節筋ペア(f1、e1)、第二関節周りの一対の拮抗一関節筋ペア(f2、e2)、及び、第一関節と第二関節とに跨(またが)る一対の拮抗一関節筋ペア(f3、e3)の3対6筋で代表させることが可能であり、これを機能別実行筋と呼ぶ。なお、図2に示される例は、使用者20の下肢の股(こ)関節及び膝(ひざ)関節に作用する筋群である。
【0017】
一関節筋は1つの関節にのみ作用する筋で、上肢では肩関節の三角筋前部や三角筋後部、肘(ひじ)関節の上腕筋や上腕三頭筋外側頭が相当し、下肢では股関節の大殿筋や大腰筋、膝関節の大腿(たい)二頭筋短頭や外側広筋が相当する。そして、二関節筋は、2つの関節に跨って作用する筋で、上肢では上腕二頭筋や上腕三頭筋長頭が相当し、下肢ではハムストリングスや大腿直筋が相当する。
【0018】
人間の上肢と下肢の2関節リンクの系先端、すなわち、上肢では手根関節部、下肢では足関節部、において発揮される出力及びその出力方向は、3対6筋の機能別実行筋の協調活動で制御される。前記系先端で各方向に最大努力で力を発揮すると、力の出力方向に応じて3対6筋の機能別実行筋が、図3に示されるように交代的に収縮する。なお、図3において、Fは添え字で示される関節筋の力を表している。
【0019】
また、3対6筋の機能別実行筋が発揮する収縮力によって体肢先端に発生する力の方向は、図4に示されるとおりであり、図3に示されるような交代パターンに従った協調制御による力の合成により、六角形の最大出力分布特性を示す。
【0020】
この最大出力分布特性の六角形の各辺は、第1リンク、第2リンク、第一関節と系先端を結ぶ直線に平行であるという特徴がある。したがって、六角形の形状は体肢の姿勢によって異なる。そして、筋の収縮力が一定で各関節に発生しているトルクが変化しなくても、関節トルクにより、人間の体肢の先端に発生する力は、上肢又は下肢の姿勢によってその方向も大きさも変化する。
【0021】
次に、本実施の形態における筋力トレーニング装置10の構成について説明する。
【0022】
図1は本発明の第1の実施の形態における筋力トレーニング装置の構造を模式的に示す図である。なお、図1(a)は側面を示す図、図1(b)は正面を示す図である。
【0023】
本実施の形態における筋力トレーニング装置10は、前記の人間の体肢の出力特性を考慮し、効果的なトレーニングを実現するものである。そして、前記筋力トレーニング装置10は、図1に示されるように、使用者20が着座するサドル11、使用者20の体肢に沿って装着されるロボットアーム12、該ロボットアーム12を制御する図示されない制御装置、使用者20が筋力トレーニングの意図を入力する図示されない入力操作装置で構成される。なお、ここでは説明の都合上、下肢の例についてのみ説明するが、上肢についても同様である。
【0024】
そして、前記ロボットアーム12は、大腿部に対応する第1リンク14aと、下腿部に対応する第2リンク14bとの2つのリンクから成る2自由度のロボットアームである。また、第1リンク14a及び第2リンク14bは、リンク長を調節することができるスライド機構を備え、筋力トレーニングを行うときには、それぞれ、使用者20の大腿部及び下腿部の長さと同じになるように調整され、第1装着具15a及び第2装着具15bによって大腿部及び下腿部に固定される。なお、第1リンク14a及び第2リンク14b並びに第1装着具15a及び第2装着具15bを統合的に説明する場合には、各々、リンク14及び装着具15として説明する。
【0025】
なお、前記ロボットアーム12は、使用者20がサドル11に着座した状態で、使用者20に装着されるが、このとき、ロボットアーム12の第1関節軸16aを使用者20の股関節に一致させ、ロボットアーム12の第2関節軸16bを使用者20の膝関節軸に一致させる。また、前記第1関節軸16a及び第2関節軸16bには、第1サーボモータ17a及び第2サーボモータ17bが連結されている。なお、前記第1関節軸16a及び第2関節軸16b並びに第1サーボモータ17a及び第2サーボモータ17bを統合的に説明する場合には、各々、関節軸16及びサーボモータ17として説明する。ここで、サーボモータ17は、関節駆動源として機能し、関節軸を回転させるためのトルクを発生する。そして、サーボモータ17の発生するトルクは、前記制御装置によって制御される。
【0026】
次に、前記構成の筋力トレーニング装置10の動作について説明する。
【0027】
まず、使用者20は、筋力トレーニング装置10の入力操作装置を操作して、トレーニングメニューを入力する。該トレーニングメニューの入力は、例えば、図4に示されるような最大出力分布特性の六角形に基づいて、自身の体肢先端で増強したい出力方向とトレーニング負荷の大きさとを入力することである。
【0028】
例えば、立ち幅跳びの跳躍距離を伸ばしたいという意図で、図4に示されるような六角形におけるb方向の先端出力を増強したい場合、使用者20は、トレーニングする出力方向としてb方向を選択し、トレーニング負荷の大きさを入力する。そして、図3に示されるような3対6筋の交代パターンから、b方向に力を発揮する場合に活動する筋は、f1(股関節一関節屈筋群)、e2(膝関節一関節屈筋群)及びf3(大腿部二関節筋屈筋群)であることが分かる。
【0029】
b方向の出力を増強するには、前記f1、e2及びf3の3筋群を鍛えればよいので、筋力トレーニング装置10は、前記3筋群が活動したときに股関節及び膝関節に対応する第1サーボモータ17a及び第2サーボモータ17bが発生するトルクを反対方向で、使用者20が入力したトレーニング負荷の大きさまで徐々に、又は、段階的に増加させる。そして、使用者20は、筋力トレーニング装置10が発生するトルクに対抗するように力を入れることによって、所定の筋出力の状態を維持し、筋力をトレーニングすることができる。
【0030】
前記筋力トレーニング装置10は、使用者20に対して一定のトルクを負荷としてかけているので、使用者20が、体肢先端(前記の例の場合足首)の位置を変化させないように努力することで、等尺性のトレーニングをすることも可能である。また、トレーニング中に使用者20の姿勢が変化しても筋に対する負荷が変化しないので、等張性のトレーニングをすることも可能である。
【0031】
このように、本実施の形態においては、使用者20がトレーニングする体肢先端の出力方向及びトレーニング負荷を入力すると、該トレーニング負荷を発生するのに必要なトルクの値を算出し、前記出力方向と反対方向及び算出された値のトルクをロボットアーム12が発生することによって、使用者20の姿勢に関わらず、使用者20に一定のトレーニング負荷を与えるようになっている。これにより、使用者20は、筋力トレーニング装置10を使用することによって、トレーニング動作のフォームを気にしなくても、また、体肢がいかなる姿勢であっても、指定の負荷をかけた状態で効果が高いトレーニングを実施することができる。そのため、使用者20が初心者の場合であっても、容易に目的のトレーニングを行うことができる。また、筋力を増強したい方向に対してのみ負荷をかけることができるので、効率的にトレーニングを行うことができる。
【0032】
なお、実効筋群と体肢先端出力との関係を考慮すると、f1(股関節一関節筋屈筋群)は、図4に示されるような六角形において、a及びc方向に力を発生する場合にも活動しているが、e2(膝関節一関節屈筋群)はc方向では活動せず、また、f3(大腿部二関節筋屈筋群)はa方向では活動しない。したがって、a方向及びc方向のトレーニングを1:1で実施すれば、f1(股関節一関節筋屈筋群)はe2(膝関節一関節屈筋群)及びf3(大腿部二関節筋屈筋群)に対して2倍のトレーニングを実施したことになり、選択的にf1(股関節一関節筋屈筋群)を鍛えることができる。
【0033】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0034】
本実施の形態においては、筋力トレーニング装置10のロボットアーム12として、本出願人の先願である特願2005−048563号の請求項6に係る多関節アーム機構を使用する。また、該多関節アーム機構を使用するために、各関節にアブソリュート型エンコーダ等から成る図示されない関節角度検出装置を配設し、さらに、使用者20に対してトレーニング負荷の情報を提供するために図示されない表示装置を配設した。その他の構成については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0035】
次に、本実施の形態における筋力トレーニング装置10の動作について説明する。
【0036】
図5は本発明の第2の実施の形態における負荷の方向とスティフネス特性の固有ベクトルとを一致させる方法を示す図である。
【0037】
前記先願の請求項6に係る多関節アーム機構は、各関節に配設された関節角度検出装置によって測定された関節角度に基づき、各関節に装備されたアクチュエータが発生するトルクが、次の式(1)によって計算されるトルクとなるように制御される。
【0038】
【数1】


これにより、非特許文献1によって明らかにされた人間の四肢の出力特性及びスティフネス特性と同等な特性を再現するものである。
【0039】
本実施の形態においては、前記筋力トレーニング装置10のロボットアーム12として、前記先願の請求項6に係る多関節アーム機構を使用することによって、ロボットアーム12の先端に、その特性が楕(だ)円で示されるスティフネス特性を持たせることができる。
【0040】
また、前記第1の実施の形態においては、使用者20が、筋力トレーニング装置10が発生するトルクに対抗する形態でトレーニングを行うが、本実施の形態においては、前記スティフネス特性を利用して使用者20にトレーニング中の力の方向を表示することによって、正しい負荷でトレーニングするように誘導する。
【0041】
ここで、スティフネス特性は、関節トルクと変位角との関係として、次の式(2)のような行列で表され、二関節リンクの場合は楕円で表現することができる。
【0042】
【数2】


楕円の長軸と短軸は、行列の固有ベクトルの方向に一致し、互いに垂直である。そして、楕円の長軸又は短軸方向の弾性率は、固有ベクトルに対する固有値に一致する。筋力トレーニング装置10のロボットアーム12においては、固有値及び固有ベクトルを任意に設定することが可能である。
【0043】
この場合、使用者20が入力したトレーニングメニューによって負荷の方向が決まるので、負荷の方向の弾性率を、負荷に垂直な方向の弾性率に対して小さくなるように設定する。そして、制御装置は、ロボットアーム12を、設定されたスティフネス特性に基づき、外部からの関節角度変位に応答して関節トルクを発生するように制御する。また、使用者20が力を入れてロボットアーム12に角度変位を与えると、該角度変位に応じてロボットアーム12が負荷トルクを発生する。
【0044】
使用者20がトレーニングしたい力の方向は、その他の方向に対して弾性率が低く、変位しやすい方向となっている。したがって、使用者20は、トレーニングする体肢を動かしたときに動かしやすい方向として、力を入れるべき方向を認識することができる。
【0045】
次に、負荷の方向とスティフネス特性の固有ベクトルを一致させる方法について説明する。
【0046】
図5に示されるように、トレーニングの作業空間内での方向をaベクトル(股関節を始点とし、足関節を終点とするベクトル)とbベクトル(膝関節を始点とし、足関節を終点とするベクトル)を基底ベクトルとして表す。そして、図4に示されるような六角形において力をかける方向を次の式(3)で示される方向とする。
【0047】
【数3】


また、二関節アーム機構先端のヤコビ行列をJとするとps に垂直な方向は、次の式(4)で表すことができる。
【0048】
【数4】


さらに、次の式(5)が成立する。
【0049】
【数5】


したがって、関節トルクと二関節アーム機構先端の変位との関係は、次の式(6)で表される。
【0050】
【数6】


そして、二関節アーム機構先端の変位と関節角度変位との関係を使って、関節トルクと関節角度変位との関係に直すと、次の式(7)となる。
【0051】
【数7】


Jはヤコビ行列であるので関節角度の関数となる。そのため、Jの行列の成分を求めるために、ロボットアーム12の関節に配設された関節角度検出装置によって実際の関節角度を測定する。
【0052】
そして、以上の数式によって、ロボットアーム12を基準点から変位させたときに、ロボットアーム12が発生すべき関節トルクを計算し、計算された関節トルクを目標値として制御装置がロボットアーム12の関節トルクを制御することによって、所望のスティフネス特性を得ることができる。前記第1の実施の形態のように、特定の筋群を鍛えるための負荷方向は、前記aベクトル及びbベクトルを基底ベクトルとする一次結合で表したとき、その係数は一定である。したがって、トレーニングの負荷の方向からα及びβを計算し、λ1をλ2よりも小さく設定すればよい。本実施の形態の筋力トレーニング装置10においては、トレーニングの負荷は、使用者20が発揮する力と同等であるので、使用者20に対して、トレーニングの負荷の大きさ、及び、あらかじめ使用者20が入力したトレーニング負荷に達しているか否かを表示装置に表示する。
【0053】
このように、本実施の形態においては、制御装置は、ロボットアーム12の先端が弾性を備えるように制御し、使用者20がトレーニングする体肢先端の出力方向を入力すると、出力方向の弾性を出力方向と垂直な方向の弾性より小さく設定する。すなわち、ロボットアーム12は、使用者20が角度変位を与えると、該角度変位に対する応答として負荷が発生するようになっている。このとき、トレーニング負荷の方向が軽く感じられるので、使用者20は、自然に、違和感を感じることなく、正しいトレーニング負荷の方向に誘導される。また、使用者20が能動的にトレーニング動作を行わなければトレーニング負荷が発生しないので、安全にトレーニングを行うことができる。
【0054】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0055】
本実施の形態における筋力トレーニング装置10は、前記第2の実施の形態と同様の構成を有するので、構成についての説明を省略し、動作についてのみ説明する。
【0056】
本実施の形態においては、前記第2の実施の形態と同様に、スティフネス特性によって使用者20に対してトレーニングで力を入れる方向を誘導する。しかし、前記第2の実施の形態とは異なり、トレーニングで力を入れる方向の弾性率を高くし、トレーニングで力を入れる方向に垂直な方向の弾性率λ2をほぼ0にするようになっている。なお、その他の点については、前記第2の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0057】
このように、本実施の形態においては、制御装置は、ロボットアーム12の先端が弾性を備えるように制御し、使用者20がトレーニングする体肢先端の出力方向を入力すると、出力方向の弾性を出力方向と垂直な方向の弾性より大きく設定する。すなわち、トレーニングで力を入れる方向の弾性率を高くし、トレーニングで力を入れる方向に垂直な方向の弾性率λ2をほぼ0にするので、前記第2の実施の形態において、適切にトレーニング負荷の方向を誘導することができなかった場合に有効である。本実施の形態においては、トレーニング負荷の方向に垂直な方向には力がほとんど発生しないので、少なくともトレーニングしたい方向だけに負荷をかけることができる。さらに、前記第2の実施の形態と同様に、使用者20が能動的にトレーニング動作を行わなければトレーニング負荷は発生しないので、安全にトレーニングを行うことができる。
【0058】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1〜第3の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1〜第3の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0059】
本実施の形態における筋力トレーニング装置10は、前記第2の実施の形態と同様の構成を有するので、構成についての説明を省略し、動作についてのみ説明する。
【0060】
本実施の形態における筋力トレーニング装置10では、トレーニングを行う際に、使用者20は、前記第2の実施の形態における負荷方向の誘導の手段又は第3の実施の形態における負荷方向の誘導の手段のいずれかを選択して入力することによって、動作モードを変更するようになっている。前記第2の実施の形態における負荷方向の誘導の手段又は第3の実施の形態における負荷方向の誘導の手段のいずれが適しているかは、使用者20によって相違する。そのため、本実施の形態においては、使用者20が負荷方向の入力をする際に、誘導方法を選択することによって、筋力トレーニング装置10の動作を切り替えることができる。これにより、使用者20は、より自分に適した方法で効果的なトレーニングを行うことができる。
【0061】
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、第1〜第4の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1〜第4の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0062】
図6は本発明の第5の実施の形態におけるロボットアームが発生するトルクの飽和特性を示す図、図7は本発明の第5の実施の形態におけるロボットアームが発生するトルクの計算方法を示す図である。
【0063】
本実施の形態における筋力トレーニング装置10は、前記第2の実施の形態と同様の構成を有するので、構成についての説明を省略し、動作についてのみ説明する。なお、表示装置を省略することができる。
【0064】
本実施の形態における筋力トレーニング装置10は、前記第2の実施の形態におけるトレーニング負荷の誘導又は第3の実施の形態におけるトレーニング負荷の誘導のいずれかを行いながら、トレーニング負荷を、使用者20が入力した大きさが上限となるように制御する。
【0065】
具体的に、トレーニング負荷の制御方法を説明する。
【0066】
トレーニング負荷の誘導をするためのスティフネス特性を表す行列は、弾性率だけでなく関節角度によって異なる。そのため、関節トルクと関節角度との関係は非線形なので、次の式(8)で表されるように、制御周期毎の差分によって関節トルクの目標値を計算する。
【0067】
【数8】


ここでτt は時刻tにおける関節トルク、τt-1 は時刻tの1制御周期前における関節トルクである。また、G(θ)は、使用者20にトレーニング負荷を誘導するためのスティフネス特性を表す行列で、関節角度の関数である。そして、Δθは時刻t−1から時刻tの間に関節角度が変化した量である。
【0068】
前記第2又は第3の実施の形態と同様に、使用者20は能動的にロボットアーム12に変位を与えなければトレーニング負荷は発生しないが、使用者20がトレーニングしたい力の方向の最大値を、使用者20が入力した負荷の大きさで飽和させる。そのために、時刻tにおいて使用者20にかかっている負荷トルクを、使用者20がトレーニングしたい力の方向の成分τpと該τpに垂直な成分τqとに分解する。負荷トルクを分解するための計算式を例示すると、次の式(9)のようになる。
【0069】
【数9】


なお、τ1及びτ2は、各々、股関節及び膝関節のトルクであり、添字Lは使用者20がトレーニングしたい負荷の大きさを発生するトルクを示す。
【0070】
使用者20がトレーニングしたい負荷の大きさを発生するトルクをτL として、τpをτL で飽和させる。なお、ロボットアーム12が発生するトルクは、図6に示されるような飽和特性を備える。そして、前記τL で飽和させたτpをτrとして、ロボットアーム12が発生すべきトルクは、τrとτqの和となる。なお、前記ロボットアーム12が発生するトルクは、図7に示されるようにして計算することができる。
【0071】
これにより、前記ロボットアーム12は、前記第2又は第3の実施の形態と同様に、使用者20に対してトレーニング負荷の誘導を行いつつ、トレーニング負荷の方向には使用者20が入力した大きさ以上の負荷をかけることがない。
【0072】
この状態で使用者20が更に力を入れていくと、負荷が変わらずに変位していく。これにより、使用者20は、自分で入力した負荷に達したことが分かるとともに、使用者20が変位させる範囲内で一定の負荷でトレーニングを行うことができる。
【0073】
また、負荷の方向と反対の向きには力がかからないように0を下限値とすることによって、使用者20は、負荷がかからない状態でトレーニング開始の姿勢まで戻すことができる。これにより、使用者20は、自分で入力した方向と大きさで繰り返し、効率的に一定の負荷でトレーニングを行うことができる。
【0074】
このように、本実施の形態においては、前記第2の実施の形態におけるトレーニング負荷の誘導又は第3の実施の形態における負荷の誘導を行いつつ、使用者20にかかる負荷が一定の状態でトレーニングを行うことができる。また、トレーニング中に使用者20が力をかけている間は、使用者20が自分で入力した方向及び大きさの負荷がかかっている状態を維持するので、効率的にトレーニングを行うことができる。
【0075】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施の形態における筋力トレーニング装置の構造を模式的に示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における使用者の体肢の筋群を模式的に示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における使用者の体肢の筋の活動パターンを示すグラフである。
【図4】本発明の第1の実施の形態における使用者の体肢の筋の出力分布特性を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態における負荷の方向とスティフネス特性の固有ベクトルとを一致させる方法を示す図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態におけるロボットアームが発生するトルクの飽和特性を示す図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態におけるロボットアームが発生するトルクの計算方法を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
10 筋力トレーニング装置
11 サドル
12 ロボットアーム
15a 第1装着具
15b 第2装着具
20 使用者
【出願人】 【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
【出願日】 平成18年7月28日(2006.7.28)
【代理人】 【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明

【識別番号】100089635
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 守

【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠


【公開番号】 特開2008−29566(P2008−29566A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−205829(P2006−205829)