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【発明の名称】 弓道練習用具
【発明者】 【氏名】田部井 英明

【要約】 【課題】練習場所を限定されず、矢つがえをせずに引き分けたり離したりすることができ、本来の弓と使用特性及び使用感覚が似た弓道練習用具を提供する。

【構成】握り部12を有する棒部材10と、棒部材の握り部の上下に配される上下のアーム14、16と、上下のアームのそれぞれを棒部材に引き寄せる弾力をもって回動可能に連結する弾力連結機構100と、上下のアームの先端部の間に張設される弦22と、を備え、一方の手で棒部材を押し出すとともに他方の手で弦の中間部を弾力に抗して引くことを特徴とする弓道練習用具。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
握り部を有する棒部材と、前記棒部材の前記握り部の上下に配される上下のアームと、前記上下のアームのそれぞれを前記棒部材に引き寄せる弾力をもって回動可能に連結する弾力連結機構と、前記上下のアームの先端部の間に張設される弦と、を備え、
一方の手で前記棒部材を押し出すとともに他方の手で前記弦の中間部を前記弾力に抗して引くことを特徴とする弓道練習用具。
【請求項2】
前記弾力連結機構は、前記棒部材の握り部の上下と前記上下のアームのそれぞれとの間に配された板バネで構成されることを特徴とする請求項1に記載の弓道練習用具。
【請求項3】
前記弾力連結機構は、前記棒部材の握り部の上下と前記上下のアームのそれぞれとの間に配された支持軸と引っ張りバネで構成されることを特徴とする請求項1に記載の弓道練習用具。
【請求項4】
前記弾力連結機構は、前記棒部材の握り部の上下と前記上下のアームのそれぞれとの間に配された支持軸と捩じりコイルバネで構成されることを特徴とする請求項1に記載の弓道練習用具。
【請求項5】
前記弾力連結機構は、前記棒部材の握り部の上下と前記上下のアームのそれぞれとの間に配された支持軸と前記棒部材の上下端部と前記上下のアームのそれぞれとの間に張設された引張り弾性部材で構成されることを特徴とする請求項1に記載の弓道練習用具。
【請求項6】
前記支持軸としてちょうばんを使用することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の弓道練習用具。
【請求項7】
前記棒部材に対する前記上下のアームの左右方向の振れを抑えるための側面ガイドを設けることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の弓道練習用具。
【請求項8】
前記棒部材に前記側面ガイドを設けることを特徴とする請求項7に記載の弓道練習用具。
【請求項9】
前記上下のアームのそれぞれに前記側面ガイドを設けることを特徴とする請求項7に記載の弓道練習用具。
【請求項10】
前記支持軸として緩衝機能を有する支持軸を使用することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の弓道練習用具。
【請求項11】
握り部を有する棒部材と、前記棒部材の前記握り部の上下に配される上下のアームと、前記上下のアームのそれぞれを前記棒部材に引き寄せる弾力をもって回動可能に連結する弾力連結機構と、前記上下のアームの先端部の間に張設される弦と、を備え、
前記弾力連結機構は、前記棒部材の握り部の上下と前記上下のアームのそれぞれとの間に配された支持軸と前記棒部材の上下端部と前記上下のアームのそれぞれとの間に張設された引張り弾性部材で構成され、
一方の手で前記棒部材を押し出すとともに他方の手で前記弦の中間部を前記弾力に抗して引くことを特徴とする弓道練習用具。
【請求項12】
前記棒部材は開放端面を後側にした断面コの字状のチャンネル材であることを特徴とする請求項11に記載の弓道練習用具。
【請求項13】
前記引張り弾性部材が引張りコイルスプリングであることを特徴とする請求項11又は12に記載の弓道練習用具。
【請求項14】
握り部を有する棒部材と、前記棒部材の前記握り部の上下に配される上下のアームと、前記上下のアームのそれぞれを前記棒部材に引き寄せる弾力をもって回動可能に連結する弾力連結機構と、前記上下のアームの先端部の間に張設される引張り弾性部材と、を備え、
前記弾力連結機構は、前記棒部材の握り部の上下と前記上下のアームのそれぞれとの間に配された支持軸と前記棒部材の上下端部と前記上下のアームのそれぞれとの間に張設された引張り弾性部材で構成され、
一方の手で前記棒部材を押し出すとともに他方の手で前記弦の中間部を前記弾力に抗して引くことを特徴とする弓道練習用具。
【請求項15】
前記棒部材の上下端部と前記上下のアームのそれぞれとの間に張設された引張り弾性部材と、前記上下のアームの先端部の間に張設される引張り弾性部材とを連続した一体の引張り弾性部材で形成することを特徴とする請求項14に記載の弓道練習用具。
【請求項16】
前記一体の引張り弾性部材の途中部分を前記棒部材の上下端部に留め具で固定することを特徴とする請求項15に記載の弓道練習用具。
【請求項17】
握り部を有する棒部材と、前記棒部材の前記握り部の上下に配される上下のアームと、前記上下のアームのそれぞれを前記棒部材に引き寄せる弾力をもって回動可能に連結する弾力連結機構と、前記上下のアームの先端部の間に張設される引張り弾性部材と、を備え、一方の手で前記棒部材を押し出すとともに他方の手で前記引張り弾性部材の中間部を前記弾力に抗して引くことを特徴とする弓道練習用具。
【請求項18】
前記棒部材と前記上下のアームとの間に衝突時の衝撃を緩衝するための緩衝部材を配することを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の弓道練習用具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、弓道を練習するための弓道練習用具に関する。
【背景技術】
【0002】
弓道練習用具は、初心者を含む弓道を志す人達が重要な基本射法の体得や射技の諸動作の習得に利用するものである。これを用いる練習方法は、実際の弓や矢を持たずに、姿勢や両手の位置、引分けの力の配分、正しい弦道や矢離れなどを体得したり修練するために実践されている。
【0003】
和弓の射法は次のような八節の形で成り立っている。第1に「足踏み」で姿勢を整え、第2に「胴づくり」で姿勢を整え、第3に弓弦に矢を番え弦に手を掛けて的を見る「弓構え」に入る。次いで、第4に矢つがえした弓を垂直に身体の上方に掲げる「打ち起こし」に入り、第5に打ち起こしから圧力に抗して弓本体と弓弦とを「引き分け」る。そして、第6で満を持して狙いを定める「会」に入った後、第7で矢を射離す「離れ」を行う。第8に(最後に)射離った姿で静止する「残心」。これら八節に整備された形を淀みなく一連の動作として運行する。
【0004】
射法の習得にあたっては、弓の抵抗力を受ける中で、これらの形を正しく行えるように練習を繰り返す必要がある。しかし、従来の練習用具では、後述するような練習用具の使用条件からくるいくつかの制約があり、稽古の場所や方法が限定されるため、射法の習得は思うようには捗らないのが実情であった。習得を促進するためには、和弓特有の制約を開放することができ、実際の矢を射る動作に則した練習を容易に行える用具の出現が要請されている。
【0005】
上記の和弓の特徴からくるいくつかの制約、つまり和弓を使用するうえでの留意事項として、例えば次の3つの事項が挙げられる。すなわち、第1には、弓は長尺であり通常の室内では弓が天井につかえて打ち起こしを実行することはできない。第2には、矢を番えずに離すと弦切れや弓の破損につながるので、矢を番えずに離してはならない。第3に、矢番えして射離すことは危険であり、特定の場所(射場、巻き藁)以外では実行できない。
【0006】
初心者において、未経験の弓に矢番えして弓を引き分けることは、そのこと自体が技術的に困難であり、危険でもある。一方、矢を番えずに離すことは弦切れや弓自体の破損の原因となるので、矢を番えずに離すこともできない。このように、初心者が弓に取り組み始める段階では、練習に必要な条件と弓自体の制約条件とが相容れないので、弓を使って効果的に修得することができない。
【0007】
従来の弓道練習用具として、ゴム弓等の用具が例えば特許文献1、2、3、4及び5に開示されている。特許文献6には、洋弓における振動吸収部材が開示されている。上記ゴム弓は、握り棒にゴムロープを取り付けた引っ張り練習用具である。
【特許文献1】特開2001−353246号公報
【特許文献2】実用新案登録第3075065号公報
【特許文献3】特開2002−065921号公報
【特許文献4】特開2004−181002号公報
【特許文献5】実用新案登録第3096376号公報
【特許文献6】特開2005−351524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のゴム弓は、本来の(実際の)弓に比べて力の作用の仕方が著しく異なる。このため、ゴム弓を長期間にわたって使用すると、かえって悪い射癖を覚え込む心配があり、現状では、一般に、引き分け圧力の感覚を体験できる程度の活用範囲に留まっている。つまり、現状では、初心者が効果的に弓道練習に入って行ける手段は見当たらない。
【0009】
また、弓道経験者や有段者においても、ゴム弓程度のものではなく、実際に近い本格的な練習用具に対する要請が強い。つまり、使用特性が本来の弓と同等であり、しかも時や場所を選ばずに平易に本格射法の練習に適う用具が求められている。例えば特許文献1、2、3、4及び5に開示されているような改良形のゴム弓が提案されているが、これらのゴム弓の使用特性も本来の弓に比べて異質なものであり、単にゴム弓の基本特性の範囲内での改良がなされているに過ぎない。
【0010】
本発明はこのような技術的課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、練習場所を限定されず、矢つがえをせずに引き分けたり離したりすることができ、本来の弓と使用特性及び使用感覚が似た弓道練習用具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の弓道練習用具は、握り部を有する棒部材と、前記棒部材の前記握り部の上下に配される上下のアームと、前記上下のアームのそれぞれを前記棒部材に引き寄せる弾力をもって回動可能に連結する弾力連結機構と、前記上下のアームの先端部の間に張設される弦と、を備え、一方の手で前記棒部材を押し出すとともに他方の手で前記弦の中間部を前記弾力に抗して引くことを特徴とする。
【0012】
本発明の弓道練習用具は、握り部を有する棒部材と、前記棒部材の前記握り部の上下に配される上下のアームと、前記上下のアームのそれぞれを前記棒部材に引き寄せる弾力をもって回動可能に連結する弾力連結機構と、前記上下のアームの先端部の間に張設される引張り弾性部材と、を備え、一方の手で前記棒部材を押し出すとともに他方の手で前記引張り弾性部材の中間部を前記弾力に抗して引くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、練習場所を限定されず、矢つがえをせずに引き分けたり離したりすることができ、本来の弓と使用特性及び使用感覚が似た弓道練習用具が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を具体的に説明する。なお、各図面を通して同一符号は同一又は対応部分を示すものである。図1は本発明による弓道練習用具の第1の実施形態の側面図である。図2は図1中の線2−2から見た図1の弓道練習用具の後面図である。図1及び図2において、略真っ直ぐな棒部材からなる弓道練習用具の握り棒10の中間部には練習者が一方の手で持つ握り部12が設けられている。棒部材10の握り部12の上側及び下側には、上アーム14及び下アーム16の基部が連結されている。これら上下のアーム14、16は、図3及び図4に示すような弾力連結機構100Aを介して、棒部材10に引き寄せられる方向の弾力(バネ力)を受けた状態で回動可能に連結されている。
【0015】
図3は第1の実施形態に係る弓道練習用具の弾力連結機構100Aの中央部縦断面図である。図4は図3中の線4−4から見た横断面図である。図1〜図4において、上下のアーム14、16は、棒部材10の上側部分及び下側部分に、弾力連結機構100Aを介して、棒部材10に引き寄せられる方向の弾力(バネ力等)をもって回動可能に連結されている。上下のアーム14、16の先端部の間には、弦22が張設されている。こうして、使用者が一方の手で棒部材10の握り部12を握って押し出すとともに、他方の手で弦22の中間部に設けられた引き部24を弾力連結機構100Aの弾力に抗して引くことにより、弓道の練習を行うことができる弓道練習用具が構成されている。
【0016】
図3及び図4において、第1の実施形態に係る弓道練習用具の弾力連結機構100Aは、棒部材10の握り部12の上下の部分と上下のアーム14、16のそれぞれとの間に配された板バネ26で構成されている。この板バネ26は、通常、バネ用鋼板等の金属板で形成されている。また、上下の板バネ26、26は、一端側部分を棒部材10に固定され、他端側部分をアーム14、16に固定されている。棒部材10の上下のアーム14、16の基部に対応する部位の両側には、該棒部材に対する上下のアームの左右方向の振れを抑えるための側面ガイド28が固定されている。本実施形態では、側面ガイド28を棒部材10の上下のアーム14、16の基部に対応する部位に固定されているが、これらの側面ガイドは上下のアーム14、16側に設けても良い。
【0017】
棒部材10と上下のアーム14、16との間には、弦22を引いた後に離したときの衝突時の衝撃や音を緩和するための緩衝部材32が配されている。緩衝部材32としては、ゴム、スボンジ、発泡材など、緩衝作用を有する部材であれば、種々のものを使用することができる。これらの緩衝部材32は、図示のように棒部材10に固定する他、上下のアーム14、16に固定しても良く、さらには、棒部材10と上下のアーム14、16の双方に固定しても良い。
【0018】
図5は本発明による弓道練習用具の第2の実施形態の弾力連結機構100Bの中央部縦断面図である。図6は図5中の線6−6から見た横断面図である。図5及び図6において、上下のアーム14、16は、棒部材10の上側部分及び下側部分に、弾力連結機構100Bを介して、棒部材10に引き寄せられる方向の弾力(バネ力等)をもって回動可能に連結されている。弾力連結機構100Bは、棒部材10の握り部12の上下の部分と上下のアーム14、16のそれぞれとの間に配された支持軸34と引っ張りバネ36で構成されている。図示の例では、各支持軸34として、棒部材10と上下のアームのそれぞれに固定されたちょうばん38のヒンジが使用されている。また、図示の例では、上下のちょうばん38の外側に引っ張りバネ36が装着されている。これらの支持軸34と引っ張りバネ36によって、上下のアーム14、16が棒部材10の握り部12の上下の部分に、弾力(回動バネ力)の作用によって引き寄せられる状態で回動可能に連結されている。
【0019】
図5及び図6に示す第2の実施形態に係る弓道練習用具は、図1〜図4で説明した第1の実施形態に係る弓道練習用具とは、以上説明した点、すなわち弾力連結機構100Aに代えて弾力連結機構100Bを用いる点で相違するが、その他の点では実質的に同じ構成を有している。なお、本実施形態においても、棒部材10の上下のアーム14、16の基部に対応する部位の両側には、上下のアームの棒部材に対する左右方向の振れを抑えるための側面ガイド28が固定されている。これらの側面ガイド28は、図示のように棒部材10の両側に固定する他、上下のアーム14、16の両側に固定しても良い。また、緩衝部材32も、図示のように棒部材10に固定する他、上下のアーム14、16に固定しても良く、さらには、棒部材10と上下のアーム14、16の双方に固定しても良い。また、棒部材10と上下のアーム14、16との間には、弦22を引いた後に離したときの衝突時の衝撃や音を緩和するための緩衝部材32が配されている。
【0020】
図7は本発明による弓道練習用具の第3の実施形態の弾力連結機構100Cの中央部縦断面図である。図8は図7中の線8−8から見た横断面図である。図7及び図8において、上下のアーム14、16は、棒部材10の上側部分及び下側部分に、弾力連結機構100Cを介して、棒部材10に引き寄せられる方向の弾力(バネ力等)をもって回動可能に連結されている。弾力連結機構100Cは、棒部材10の握り部12の上下の部分と上下のアーム14、16のそれぞれとの間に配された支持軸34と捩じりバネ42で構成されている。
【0021】
図7及び図8に示す構成では、上下の各支持軸34として、棒部材10と上下のアームのそれぞれに固定されたちょうばん38のヒンジが使用されている。また、上下のちょうばん38の左右両側に捩りバネ42が装着されている。各捩じりバネ42は、そのコイルの両先端部を棒部材10と上下のアーム14、16に止め金具等で固定して装着されている。これらの支持軸34と捩じりバネ42によって、上下のアーム14、16が棒部材10の握り部12の上下の部分に、弾力(捩じりバネのバネ力)によって引き寄せられる状態で回動可能に連結されている。
【0022】
図7及び図8に示す第3の実施形態に係る弓道練習用具は、図1〜図4で説明した第1の実施形態に係る弓道練習用具とは、以上説明した点、すなわち弾力連結機構100Aに代えて弾力連結機構100Cを用いる点で相違するが、その他の点では実質的に同じ構成を有している。本実施形態においても、上下のアームの棒部材に対する左右方向の振れを抑えるための側面ガイド28は棒部材10の上下のアーム14、16の基部に対応する部位に固定されているが、これらの側面ガイドは上下のアーム14、16側に設けても良い。また、棒部材10と上下のアーム14、16との間には、弦22を引いた後に離したときの衝突時の衝撃や音を緩和するための緩衝部材32が配されている。これらの緩衝部材32も、図示のように棒部材10に固定する他、上下のアーム14、16に固定しても良く、さらには、棒部材10と上下のアーム14、16の双方に固定しても良い。
【0023】
図9は本発明による弓道練習用具の第1〜第3の実施形態の弦22を引き分けた状態を示す側面図である。図10は本発明による弓道練習用具の第1〜第3の実施形態の弦22を引き分けた状態と本弓の弦を引き分けた状態とを比較して示す側面図である。各実施形態において弦22を引くと、上下のアーム14、16が弾力連結機構100の弾力(バネ力)に抗して図3中に二点鎖線で示すように回動する。これによって、各実施形態に係る弓道練習用具は、図9及び図10に示すような引いた状態となる。そして、練習においては、この引いた状態で弦22を離す。これによって、矢を使用することなく、弓体152と弦154からなる本弓150を用いて矢を射る場合と同様の状態を現出しながら、弓道を練習することができる。
【0024】
なお、図10からも明らかなごとく、本弓150の弓体152は、上側部分と下側部分とでは形状が異なっており、握り部(滑り止め)156より上側部分は下側部分に比べ長い形状を有している。このため、本発明による弓道練習用具においては、本弓150の弓体152とできるだけ同様にするため、上アーム14は下アーム16よりも長い形状で形成されている。練習に際しては、図9及び図10に示すように、引き部24を摘んで弦22を引くことにより、上下のアーム14、16を弾力連結機構100のバネ力に抗して回動させ、引いた状態にすることができる。この際の動作は、本弓150で矢を番えて弦154を引く場合と同様の所作によって行われる。図9の状態から手を離すと、上下のアーム14、16は弾力連結機構100のバネ復元力によって図1の状態に復帰する。このときの動作は、本弓150で矢を射る時と同様の所作によって行われる。
【0025】
図11は本発明による弓道練習用具の第4の実施形態の側面図である。図12は図10中の線12−12から見た図11の弓道練習用具の後面図である。図11及び図12において、略真っ直ぐな棒部材からなる弓道練習用具の握り棒10の中間部には練習者が一方の手で持つ握り部12が設けられている。棒部材10の握り部12の上側及び下側には、上アーム14及び下アーム16の基部が連結されている。これら上下のアーム14、16は、図12及び図13に示すような弾力連結機構100Dを介して、棒部材10に引き寄せられる方向の弾力(バネ力)を受けた状態で回動可能に連結されている。
【0026】
図13は第4の実施形態に係る弓道練習用具の弾力連結機構100Dの中央部縦断面図である。図14は図13中の線14−14から見た横断面図である。図11〜図14において、第4の実施形態に係る弓道練習用具の弾力連結機構100Dは、棒部材10の握り部12の上下の部分と上下のアーム14、16のそれぞれとの間に配された支持軸34と、棒部材10の上下端部と上下のアーム14、16との間に張設された上下の引張り弾性部材44、46とで構成されている。上下のアーム14、16の先端部の間には、弦22が張設されている。これら引張り弾性部材44、46は、紐状もしくはロープ状のゴムで形成されている。また、本実施形態では、支持軸34として、棒部材10と上下のアームのそれぞれに固定されたちょうばん38のヒンジが使用されている。
【0027】
これら上下の引張り弾性部材44、46と上下の支持軸34、34によって、上下のアーム14、16が棒部材10の握り部12の上下の部分に、該引張り弾性部材の弾力(回動バネ力)の作用によって引き寄せられる状態で回動可能に連結されている。なお、本実施形態でも、図16に示す本弓150の弓体152に形状にできるだけ合わせるために、上アーム14は下アーム16よりも長くなっている。また、本実施形態では棒部材10の上下端部と上下のアーム14、16との間に引張り弾性部材44、46が張設されているため、本実施形態における棒部材10は、前述の第1〜第3の実施形態の棒部材10よりも所定量だけ長く形成されている。
【0028】
弦22の中間部には、練習時に該弦を引くときの引き部24が設けられている。棒部材10の上下のアーム14、16の基部に対応する部位の両側には、該棒部材に対する上下のアームの左右方向の振れを抑えるための側面ガイド28が固定されている。棒部材10と上下のアーム14、16との間には、弦22を引いた後に離したときの衝突時の衝撃や音を緩和するための緩衝部材32が配されている。緩衝部材32としては、ゴム、スボンジ、発泡材など、緩衝作用を有する部材であれば、種々のものを使用することができる。こうして、使用者が一方の手で棒部材10の握り部12を握って押し出すとともに、他方の手で弦22の中間部に設けられた引き部24を弾力連結機構100D(引張りゴム44、46)の弾力(バネ力)に抗して引くことにより、弓道の練習を行うことができる弓道練習用具が構成されている。
【0029】
なお、側面ガイド28は、図示のように棒部材10の両側に固定する他、上下のアーム14、16の両側に固定しても良い。また、緩衝部材32は、図示のように棒部材10に固定する他、上下のアーム14、16に固定しても良く、さらには、棒部材10と上下のアーム14、16の双方に固定しても良い。
【0030】
以上説明した各実施形態によれば、練習場所を限定されず、矢つがえをせずに引き分けたり離したりすることができ、本来の弓と使用特性及び使用感覚が似た弓道練習用具が提供される。以下に、各実施形態の作用効果について、従来の練習用具と対比しながら、さらに具体的に説明する。
【0031】
弓道練習用具においては、引き分け過程において押し手のぐらつきが安定的に推移することが重要である。ここで、押し手のぐらつきとは、「弓を押す手の手首が上下左右方向に揺れ動いてしまうこと」を意味する。ゴム弓などの従来の練習用具では、押し手の握り過ぎや力みがあったり、手首に本弓の場合と異なる方向への力を加える必要があったり、硬過ぎる握り込みが必要となるなど、本弓とは異なる動作でしか練習できなかった。このため、練習によって好ましくない射癖につながる場合が往々にしてあった。これに対し、前述の各実施形態によれば、棒部材10に上下のアーム14、16を回動可能に支持するとともに、弾力(バネ力)をもって棒部材に引き寄せるように構成したので、引き分け過程において押し手のぐらつきが安定的に推移する弓道練習用具が得られる。また、上下のアーム14、16の左右の振れを抑制するための側面ガイド28を設けたので、回動支持部にガタが生じた場合でも、安定した引き分け過程を保証することができる。
【0032】
また、弓道の練習においては、引き手に本弓の場合と同様のゆがけ(弦を引くためにはめる手袋)を使用できることが重要である。そのため、本来の弓と同様の弦を使用できることが要請される。前述の各実施形態では、弾力連結機構100によって支持された上下のアーム14、16の先端部の間に張設される弦22を用いるので、矢を射るときに最も重要な瞬間である「冴えのある離れ」を、弦とゆがけの相互関係を介して発現することができる。従って、本弓と同等の離れの感覚を修練することができ、本格的な弓道の修練を実践することができる。ゴム弓などの従来の練習用具では、本来の弓と同様な弦を使用しないので、このような修練をすることは不可能であった。
【0033】
また、実際の弓道における「離れ」では弓返りができる必要がある。そして、弓返りは正しい離れの重要な要件であり、練習用具においても、これを実践的に練習できることが要請される。そのためには、角見(押し手における親指の付け根を利用した弓の回転)の働きを効かせることができ、正しい離れに伴う正しい弓返りを誘発できることが要請される。前述の各実施形態によれば、棒部材10、上下のアーム14、16及び弦22の組み合わせによって弓返りを伴う正しい離れを実践的に練習することができる。ゴム弓等の従来の練習用具では、このような練習は不可能であった。
【0034】
さらに、弓道練習用具においては、矢を番えずに離せることが必要である。正しい離れを修得するためには、実際に引き、かつ離してみる体感的稽古による以外にはない。しかし、実際に離すためには本来の弓であれば矢を番えねばならず、実施場所と場合が限定される。一方、ゴム弓などの従来の練習用具では、矢を番えなくても離すことはできるが、この場合の離れは本弓の離れとは全く異質のものである。このため、ゴム弓で離れまでの稽古を尽くしたからといって、本来の弓道の練習にはほど遠いのが現実である。前述の実施形態によれば、棒部材10と弾力で連結された上下のアーム14、16と弦22との組み合わせによって、矢を番えなくても本来の弓と同等の離れを体感することができ、さらに、場所と場合が許されれば弓を番えて離すことも可能である。つまり、本発明によれば、練習場所を限定されず、矢つがえをせずに引き分けたり離したりすることができ、本来の弓と使用特性及び使用感覚が似た弓道練習用具が提供される。
【0035】
また、引き分けて会(満を持して狙いを定めた状態)に至った時の握りの縦方向の角度については、引き分けが進むに従い射手から見て自然にやや前傾してくるのが本弓の特性である。前述の各実施形態によれば、上下のアーム14、16の長さや形状を選定することによりこのような本弓の特性を容易に正確に実現することができる。
また、本来の弓では、握りから上部の張りの強さと握りから下部の張りの強さに繊細なバランス比率があり、これを適正に維持できるように、必要に応じて容易に張力の調整を行える構造になっている。前述の各実施形態によれば、上下のアーム14、16の長さや形状を選定したり、弾力連結機構における上下のアームの弾力や作用方向を選定することにより、このような本弓の張力調整を容易に実現することができる。
【0036】
また、射手は、稽古が進むにつれて引き分けの技に上達したり、筋力も鍛練されて強くなってくる。これに伴って、使用する弓の張力も次第に強いものが求められる。前述の実施形態によれば、このような場合の張力の強弱の調整も、棒部材や上下のアームや弾力連結機構を調整したり、あるいは一部を交換したりすることにより、容易に実現することができる。
また、本来の弓においては、引き手にて引いた弦の上下角度(引っ張り箇所を頂点として引かれた弦が折れ曲がる角度)が、自分の矢の長さいっぱいに引いた時の会(満を持して狙いを定めた状態)の位置において折れ曲がる角度が狭くなり過ぎることなく、適正な離れを発現できる範囲の角度に留まることが要請される。前述の実施形態によれば、このような構成も、容易にかつ正確に、本来の弓に則した状態で実現することができる。
【0037】
なお、前述の各実施形態では、上下のアーム14、16の左右方向の振れを抑制するために側面ガイド28を設けたが、この側面ガイドは、支持軸34やちょうばん38などのアーム連結部に左右の振れや遊び(ガタ)が無い場合には省略することができる。また、前述の各実施形態では、棒部材10と上下のアーム14、16との間に緩衝部材32を装着したが、この緩衝部材32は、弦22に若干の弾性を持たせて衝撃吸収が可能にすることで、省略することもできる。この場合、弦22の弾性(弾力)は、衝撃時の加重によって一定の延びが生じる程度に選定される。
【0038】
さらに、前述の各実施形態においては、支持軸34もしくはちょうばん38として、回動時の摩擦損失や回動抵抗等による緩衝機能を有するものを使用することにより、緩衝部材32の一部又は全部を省略することも可能である。また、引いた弦22を離した時に上下のアーム14、16と衝突することによる衝撃を緩和する必要がある場合には、当該衝突部分に緩衝部材(緩衝部材32に相当する)が設けられる。
【0039】
図17は本発明による弓道練習用具の第5の実施形態の側面図である。図18は図17中の線18−18から見た横断面図である。図19は図17中の線19−19から見た横断面図である。図20は図17中の棒部材と上下のアームの回動支持部との組み付け前の状態を示す斜視図である。図21は図17中の棒部材50を図17中の線21−21から見た後面図である。図22は第5の実施形態に係る弓道練習用具の引き分けた状態の側面図である。図17〜図22において、断面略コの字状をしたチャンネル材からなる弓道練習用具の握り棒50の中間部には練習者が一方の手で持つ握り部52が設けられている。棒部材50の材質としては鉄又はアルミニュウム等の金属あるいは硬質プラスチックなどが使用される。棒部材50の握り部52の上側及び下側には、上アーム14及び下アーム16の基部が回動可能に連結されている。これら上下のアーム14、16は、図示のような図17に示すようなゴムからなる引張り弾性部材44、46を用いた弾力連結機構100Eを介して、棒部材50に引き寄せられる方向の弾力(バネ力)を受けた状態で回動可能に連結されている。
【0040】
図17〜図22において、第5の実施形態に係る弓道練習用具の弾力連結機構100Eは、棒部材50の握り部52を挟んだ2箇所に支持軸54を設け、各支持軸に上下のアーム14、16の基端部に設けた軸受部(軸受用の凹部)56を係合させるとともに、上下のアーム14、16の先端部(中間部でも良い)と棒部材50の上下端部との間にゴムからなる上下の引張り弾性部材44、46を張設(連結)して構成されている。第5の実施形態では、前述の第4の実施形態における棒部材10の代わりに、断面コの字状のチャンネル材で形成した棒部材50が使用されている。つまり、棒部材50は、開放端面を後側にした断面コの字状のチャンネル材で形成されている。棒部材50を断面コの字状のチャンネル部材で形成する場合は、図19に示すように、握り部52の内部に芯材53を固着することにより剛性の向上と握り易さの向上を図ることが好ましい。図19の(a)は芯材53を固着した後、チャンネル材の開口部に蓋58を固着する場合の断面図である。図19の(b)は芯材53を固着した後、チャンネル材の端縁を折り曲げる場合の断面図である。
【0041】
本実施形態のは、上下のアーム14、16と棒部材50の連結弾力連結機構100Eは、各アームと棒部材との間に張架された引張り弾性部材44、46により、棒部材に設けられた各支持軸54に対し、上下のアーム14、16のそれぞれの基端部に形成された凹部56を弾性力で押圧係合させるように構成されている。かかる構成によれば、ゴム紐等の引張り弾性部材44、46を外すだけで各アーム14、16を棒部材50から外して分解することができる。また、組み立てる際も、凹部56を支持軸54に押し当てて引張り弾性部材44、46を連結するという簡単な作業が実施することができる。
【0042】
引張り弾性部材44、46は、前述の第4の実施形態の場合と同様、両端部を掛止された紐状もしくはロープ状のゴムからなるゴム状弾性体で形成されている。上下のアーム14、16の先端部の間には、弦22が張設されている。図示の例では、支持軸54として、チャンネル材からなる棒部材50に設けられた断面円形の軸部材が使用されている。なお、本実施形態では、棒部材50をチャンネル材で構成するので、第1〜第4の実施形態における側面ガイド28の機能は棒部材50自体に持たせることができる。従って、側面ガイド28に相当する部材は省略されている。また、本実施形態においては、棒部材50の両端部(上下端部)に、引いた弦22を離した時に上下のアーム14、16と衝突する可能性を想定して、当該衝突の可能性がある部分にゴム状弾性体等からなる緩衝部材32がが設けられている。緩衝部材32としては、ゴム、スボンジ、発泡材など、緩衝作用を有する部材であれば、種々のものを使用することができる。必要がなければ、この緩衝部材32は省略しても良い。
【0043】
図23は本発明による弓道練習用具の第6の実施形態の側面図である。本実施形態における弾力連結機構100Fは、第5の実施形態の弾力連結機構100Eにおける上下のゴム状弾性体からなる引張り弾性部材44、46に代えて、引張りコイルスプリングからなる引張り弾性部材64、66が使用されている。本実施形態は、引張り弾性部材として引張りコイルスプリング64、66を使用する点で前述の第5の実施形態と相違するが、その他の点では第5の実施形態と実質的に同じ構成を有する。
【0044】
図17〜図23の第5の実施形態及び第6の実施形態は、上述した以外の点では、図11〜図16で説明した第4の実施形態の場合と実質的に同じ構成をしており、それぞれ対応する部分を同一符号で示し、それらの詳細説明は省略する。従って、第5及び第6の実施形態によっても前述の第4の実施形態の場合と同様の作用効果が得られる。これに加えて、第5及び第6の実施形態によれば、断面コの字状のチャネル材から棒部材50の2箇所に設けた支持軸54に対し上下のアーム14、16を着脱自在に軸支するように構成したので、棒部材50に対するアーム14、16の組み付け及び取り外しが一層容易になるという効果が得られる。
【0045】
なお、図17〜図23の第5及び第6の実施形態では、棒部材50を一体構造の一つの部材で構成したが、これは、上下に分割した別部品とし、これらを別途用意した連結部材に固定するように構成しても良い。また、第5及び第6の実施形態では、棒部材50側に支持軸54、54を設けるとともに上下のアーム14、16に軸受用の凹部56、56を設けた。これは、軸と軸受を逆にして、棒部材50側に軸受用の凹部を設けるとともに上下のアーム14、16に支持軸を設けるように構成しても良い。さらに、棒部材50の2箇所と上下のアーム14、16に貫通孔を形成し、棒部材に固定したボルトを支持軸とする構成を採っても良い。この場合のボルトは、ナットで締結しても良く、あるいは棒部材に一体に設けた雌ねじに締結しても良い。さらに、ボルトあるいはナットとして蝶形のものを使用することにより、工具を使用せずとも、ユーザーの手で取付け取り外しをできるようにすることが好ましい。
【0046】
図24は本発明による弓道練習用具の第7の実施形態の側面図である。本実施形態は、図17〜図22の第5の実施形態における弦22をゴム等の引張り弾性部材70で形成したものであり、その他の点では第5の実施形態と同じ構成をしている。この引張り弾性部材70としては、紐状もしくはロープ状のゴムが使用される。本実施形態によっても、引き分け時の安定性を確保したり、離したときの弓返りを実現できるなど、前述の実施形態1〜6の場合と同様の作用効果が得られ、従って、練習場所を限定されず、矢つがえをせずに引き分けたり離したりすることができ、本来の弓と使用特性及び使用感覚が似た弓道練習用具が提供される。ただし、本実施形態では、弦としてして紐状又はロープ状のゴム70を使用するので、引き分けた状態から離すときの感触が少々緩和され、離れ時の冴えについては若干低下することがある。
【0047】
図25は本発明による弓道練習用具の第8の実施形態の側面図である。本実施形態は、第7の実施形態における引張り弾性部材44、46と引張り弾性部材70を一体化したものに相当する。あるいは、本実施形態は、図17〜図22の第5の実施形態において、上下の引張り弾性部材44、46及び弦22の各部材を1本の紐状もしくはロープ状のゴム(弾性部材)80で形成したものである。図26は図25中の上下のアーム14、16の先端部にゴム紐を留めた状態での範囲Sの部分拡大側面図である。図27は図26中の線27−27から見た部分上面図である。図28は図25中の上下のアーム14、16の先端部のゴム紐を外したときを示す部分側面図である。図29は図28中の線29−29から見た部分上面図である。図30は第8の実施形態に係る弓道練習用具の引き分けた状態の側面図である。
【0048】
本実施形態では、第7の実施形態におけるゴムからなる引張り弾性部材44、46及び70に相当する部分を一体化し、1本の紐状もしくはロープ状のゴムからなる引張り弾性部材80で構成されている。また、本実施形態では、引張り弾性部材8は、上下のアーム14、16の先端部で中間部分を留め具82で固定されている。この留め具82としては、ゴムバンド、プラスチック紐、プラスチック被覆金属紐など、紐状のゴムを固定できるものであれば、任意のものを使用できる。本実施形態は、このような点で第7の実施形態及び第5の実施形態と相違するが、その他の点では実質的に同じ構成をしている。
【0049】
第8の実施形態では、図26〜図29に示すように、上下のアーム14、16の先端部に、、弾性部材80の横ずれを防止するための対向する案内面84、84が形成されており、これらの案内面の外側面には留め具82を固定するための突起部86、86が形成されている。なお、本実施形態における棒部材50は第5及び第6の実施形態のものと実質的に同じであり、棒部材50の材質としては鉄又はアルミニュウム等の金属あるいは硬質プラスチックなどが使用される。また、この場合の棒部材50としても、押し出し成形又はプレス成形による断面コの字状のチャンネル材が使用されている。
【0050】
図25〜図30の第8の実施形態に係る弓道練習用具の弾力連結機構100Hは、棒部材に上下のアームを弾力で連結する引張り弾性部材の部分と、上下のアームの先端間に連結されるいわゆる弦の部分と、を一本の紐状又はロープ状のゴムからなる引張り弾性部材80で形成したものである。その他の点では、図17〜図22で説明した第5の実施形態もしくは図24の第7の実施形態と実質的に同じ構成を有する。従って、第8の実施形態によっても、前述の第1〜第7の実施形態の場合と同様の作用効果が得られる。すなわち、この第8の本実施形態によっても、引き分け時の安定性を確保したり、離したときの弓返りを実現できるなど、前述の実施形態1〜6の場合と同様の作用効果が得られ、従って、練習場所を限定されず、矢つがえをせずに引き分けたり離したりすることができ、本来の弓と使用特性及び使用感覚が似た弓道練習用具が提供される。ただし、第8の実施形態でも、弦としてして紐状又はロープ状のゴム70を使用するので、引き分けた状態から離すときの感触が少々緩和され、離れ時の冴えについては若干低下することがある。
【0051】
第8の実施形態によれば、さらに、弾力連結機構100Hの引張り弾性部材(第5の実施形態の44、46)を構成するゴム80自体を弦として使用することから、部品点数を減らすとともに、組立の容易化を図ることができる。なお、第5〜第8の実施形態では、アーム14、16の回動連結部を支持軸54と凹部56で構成したが、これは、必要に応じて、円形断面の支持軸と円筒形の軸受とを用いた一般的な軸支持構造でも良い。また、図17〜図30の第5〜第8の実施形態においても、棒部材50とアーム14、16との間(図示の例では棒部材50のアーム14、16側の面)に、上下のアームが棒部材50に衝突するときの衝撃を緩衝するための緩衝部材32が配されている。
【0052】
本発明に係る弓道練習用具によれば、以上のような弓道の練習における要請もしくは要件を満たすことができ、使用感覚及び作動状況も本弓に似た条件の元で弓道を修練することができる。つまり、練習場所を限定されず、矢つがえをせずに引き及び離れを練習することができ、本弓に似た条件で練習することができる。従って、初心者の導入練習はもちろん、経験者や高段者においても、練習における従来の制約から開放され、正しい射法(例えば射法八節)の修練に活用できる弓道練習用具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明による弓道練習用具の第1の実施形態の側面図である。
【図2】図1中の線2−2から見た図1の弓道練習用具の後面図である。
【図3】第1の実施形態に係る弓道練習用具の弾力連結機構の中央部縦断面図である。
【図4】図3中の線4−4から見た横断面図である。
【図5】本発明による弓道練習用具の第2の実施形態の弾力連結機構の中央部縦断面図である。
【図6】図5中の線6−6から見た横断面図である。
【図7】本発明による弓道練習用具の第3の実施形態の弾力連結機構の中央部縦断面図である。
【図8】図7中の線8−8に沿った横断面図である。
【図9】本発明による弓道練習用具の第1〜第3の実施形態の弦を引き分けた状態を示す側面図である。
【図10】本発明による弓道練習用具の第1〜第3の実施形態の弦を引き分けた状態と本弓の弦を引き分けた状態とを比較して示す側面図である。
【図11】本発明による弓道練習用具の第4の実施形態の側面図である。
【図12】図10中の線12−12から見た図11の弓道練習用具の後面図である。
【図13】第4の実施形態に係る弓道練習用具の弾力連結機構の中央部縦断面図である。
【図14】図13中の線14−14から見た横断面図である。
【図15】第4の実施形態に係る弓道練習用具の引き分けた状態を示す側面図である。
【図16】第4の実施形態に係る弓道練習用具の引き分けた状態と本弓の引き分けた状態とを比較して示す側面図である。
【図17】本発明による弓道練習用具の第5の実施形態の側面図である。
【図18】図17中の線18−18から見た横断面図である。
【図19】図17中の線19−19から見た横断面図である。
【図20】図17中の棒部材と上下のアームの回動支持部との組み付け前の状態を示す斜視図である。
【図21】図17中の棒部材を図17中の線21−21から見た後面図である。
【図22】図17〜図21に示す第5の実施形態に係る弓道練習用具の引き分けた状態の側面図である。
【図23】本発明による弓道練習用具の第6の実施形態の側面図である。
【図24】本発明による弓道練習用具の第7の実施形態の側面図である。
【図25】本発明による弓道練習用具の第8の実施形態の側面図である。
【図26】図25中の範囲Sの上下のアームの先端部にゴム紐を留めた状態での部分拡大側面図である。
【図27】図26中の線27−27から見た部分上面図である。
【図28】図25中の上下のアームの先端部(範囲S)ののゴム紐を外したときを示す部分側面図である。
【図29】図28中の線29−29から見た部分上面図である。
【図30】第8の実施形態に係る弓道練習用具の引き分けた状態の側面図である。
【符号の説明】
【0054】
10 棒部材
12 握り部
14 上アーム
16 下アーム
22 弦
26 板バネ
24 弦の引き部
28 側面ガイド
32 緩衝部材
34 支持軸(ヒンジ)
36 引張りバネ
38 ちょうばん
42 捩じりバネ
44 上側の引張り弾性部材(ゴム)
46 下側の引張り弾性部材(ゴム)
50 棒部材
52 握り部
53 芯部材
54 支持軸
56 凹部
64 上側の引張り弾性部材(引張りコイルスプリング)
66 下側の引張り弾性部材(引張りコイルスプリング)
70 引張り弾性部材(紐状もしくはロープ状のゴム)
80 引張り弾性部材(紐状もしくはロープ状のゴム)
82 留め具
84 案内面
86 突起部
100(100A〜100H) 弾力連結機構(第1〜第8の実施形態)
【出願人】 【識別番号】506173927
【氏名又は名称】田部井 英明
【出願日】 平成18年9月28日(2006.9.28)
【代理人】 【識別番号】100078846
【弁理士】
【氏名又は名称】大音 康毅


【公開番号】 特開2008−578(P2008−578A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−264035(P2006−264035)