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【発明の名称】 消火用組成物、および燃えている物質の火を鎮火するためのその供給方法
【発明者】 【氏名】マーク・エル・ロビン

【氏名】ダブリュー・ダグラス・レジスター

【氏名】トーマス・エフ・ローランド

【要約】 【課題】防炎に必要とされる消火化合物、特にハイドロフルオロカーボン防炎材の量を従来よりも減量し、又、消火に必要とされる不活性化合物の量を減量することのできる、消火方法を提供する。

【構成】燃えている物質に、不活性化合物、およびHFV-125,HFC-227およびこれらの混合物から選択される消火化合物を、消火するのに充分な濃度で供給することを含む、燃えている物質の火を鎮火する方法を開示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃えている物質の燃焼を鎮火するための方法であって、
少なくとも2つの容器を提供することと、
第1の容器は不活性化合物を含有しており、第2の容器は消火化合物を含有しており、この消火化合物はHFC-125およびHFC-227の少なくとも一つであって前記第2の容器に保存される時点で前記不活性化合物を実質的に含まず、
燃えている物質に、前記不活性化合物と前記消火化合物の両方を、不活性化合物が少なくとも4.8%v/vの濃度で供給し、消火化合物が少なくとも1%v/vの濃度にて供給することと、
を含む方法。
【請求項2】
不活性化合物および消火化合物が、燃えている物質における酸素濃度を20%v/v以下に低減するのに十分な量で、燃えている物質に供給される請求項1記載の方法。
【請求項3】
不活性化合物および消火化合物が、燃えている物質における酸素濃度を16%〜20%v/vの範囲まで低減するのに十分な量で燃えている物質に供給される請求項2記載の方法。
【請求項4】
燃えている物質における不活性化合物の濃度が、少なくとも52.4%v/vとなるのに十分な量で、不活性化合物が燃えている物質に供給される請求項1記載の方法。
【請求項5】
燃えている物質における消火化合物の濃度が、1〜9%v/vとなるのに十分な量で、消火化合物が燃えている物質に供給される請求項4記載の方法。
【請求項6】
燃えている物質における不活性化合物の濃度が、約4.8%〜約52.4%v/vの範囲となるのに十分な量で、不活性化合物が燃えている物質に供給される請求項1記載の方法。
【請求項7】
燃えている物質における不活性化合物の濃度が、約4.8%〜約33.3%v/vの範囲となるのに十分な量で、不活性化合物が燃えている物質に供給される請求項6記載の方法。
【請求項8】
燃えている物質における不活性化合物の濃度が、約4.8%〜約23.8%v/vの範囲となるのに十分な量で、不活性化合物が燃えている物質に供給される請求項7記載の方法。
【請求項9】
燃えている物質における不活性化合物の濃度が、約9.1%〜約29.3%v/vの範囲となるのに十分な量で、不活性化合物が燃えている物質に供給される請求項8記載の方法。
【請求項10】
燃えている物質における消火化合物の濃度が、約1%〜約9%v/vの範囲となるのに十分な量で、消火化合物が供給される請求項1記載の方法。
【請求項11】
燃えている物質における消火化合物の濃度が、約1%〜約8%v/vの範囲となるのに十分な量で、消火化合物が燃えている物質に供給される請求項5記載の方法。
【請求項12】
燃えている物質における消火化合物の濃度が、約1%〜約6.5%v/vの範囲となるのに十分な量で、消火化合物が燃えている物質に供給される請求項11記載の方法。
【請求項13】
燃えている物質における消火化合物の濃度が、約1%〜約7%v/vの範囲となるのに十分な量で、消火化合物が燃えている物質に供給される請求項11記載の方法。
【請求項14】
燃えている物質における消火化合物の濃度が約4%〜約8%v/vの範囲となるのに十分な量で、消火化合物が燃えている物質に供給される請求項11記載の方法。
【請求項15】
燃えている物質における不活性化合物の濃度が約4.8%〜約52.4%v/vの範囲であり、且つ燃えている物質における消火化合物の濃度が約1%〜約9%v/vの範囲である請求項1記載の方法。
【請求項16】
燃えている物質における不活性化合物の濃度が約4.8%〜約33.3%v/vの範囲であり、且つ燃えている物質における消火化合物の濃度が約3%〜約8%v/vの範囲である請求項15記載の方法。
【請求項17】
燃えている物質における不活性化合物の濃度が約4.8%〜約23.8%v/vの範囲であり、且つ燃えている物質における消火化合物の濃度が約3%〜約8%v/vの範囲である請求項16記載の方法。
【請求項18】
不活性ガスが、燃えている物質に消火化合物を供給する前に、燃えている物質に供給される請求項1記載の方法。
【請求項19】
消火化合物が、燃えている物質に不活性化合物を供給する前に、燃えている物質に供給される請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、消火用組成物、および保護される災害領域にまたは災害領域内へ消火用組成物を供給する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定のハロゲン化炭化水素は、消火剤(extinguishing agents)として1900年代初頭から用いられている。1945年以前には、最も広く用いられる3種のハロゲン化消火剤は、四塩化炭素、臭化メチルおよびブロモクロロメタンであった。しかし、これら消火剤の使用は、中毒学的理由のために中止されている。最近までは、通常使用される3種のハロゲン化消火剤は、臭素含有化合物であって、ハロン(Halon)1301(CHBr)、Halon1211(CHBrCl)、およびHalon 2402(BrCFCFBr)であった。他の防炎剤(fire suppression agents)に優るこれらハロゲン化防炎剤の主な長所の一つは、その消火のきれいな性質である。このため、前記ハロゲン化消火剤は、水の使用がしばしば、火そのものが引き起こすよりも多くの二次的損害を保護されるべき資産に引き起こすことがあるようなコンピュータ室や電気データ処理施設、博物館および図書館の保護のために用いられている。
【0003】
上述の指定された臭素および塩素含有化合物は、有効な消火剤であるが、臭素または塩素を含有するこれら消火剤は、地球の保護的オゾン層を破壊し得ることが分かっている。例えば、Halon 1301は、オゾン破壊係数(Ozone Depletion Potential:ODP)が10と評価されており、またHalon 1211はODPが3である。オゾン破壊を考えた結果として、1994年1月1日以降のこれら消火剤の製造および販売は、国際的および米国の方針の下で禁じられている。
【0004】
消火剤としてのハイドロフルオロカーボン(HFC)、例えば、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(CFCHFCH)の使用が最近提案された(例えば、非特許文献1を参照のこと)。ハイドロフルオロカーボンは臭素または塩素を含まないため、前記化合物は、成層圏のオゾン層に影響を及ぼさず、しかもODP値がゼロである。結果として、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンやペンタフルオロエタン(CFCFH)などのハイドロフルオロカーボンは、現在、防炎用途における環境に優しいハロン(Halons)代替品として使用されている。
【0005】
ハイドロフルオロカーボン防炎剤は、重量ベースではハロン試薬ほど効率良くないので、特定の空間を保護するのに、大量のハイドロフルオロカーボンが必要とされる。場合により、ハイドロフルオロカーボン試薬の重量は、ハロン試薬の2倍である。ハロン試薬に比べて、ハイドロフルオロカーボン防炎剤の更なる不利益は、その比較的高いコストである。ハイドロフルオロカーボン防炎剤に関する比較的高い試薬コストや低い効率は、ハロン試薬を用いるシステムに比べて非常に高価な防炎システムコストをもたらす。
【特許文献1】米国特許第6,112,822号公報
【非特許文献1】エム・ロビン(M. Robin)著、ハロン・リプレイスメンツ(Halon Replacements)中の「ハロゲネイテッド・ファイア・サプレション・エイジェンツ(Hlogenated Fire Suppression Agents)」、エイ・ダブリュー・ミジオレック(A. W. Miziolek)およびダブリュー・ツアング(W. Tsnag)編、ACSシンポジウム・シリーズ611、ACS、ワシントンDC、1995年。
【非特許文献2】ティ・ワイソスキ(T Wysocki)著、「イナート・ガス・ファイア・サプレション・システムズ・ユージング・アイジー541 (Inert Gas Fire Suppression Systems Using IG 541) (INERGEN):ソルヴィング・ザ・ハイドローリック・カルキュレーション・プロブレム(Solving the Hydraulic Calculation Problem)」、1996年ハロン・オプションズ・テクニカル・ワーキング・コンファレンス(Halon Options Technical Working Conference)の予稿集、アルバカーキー、ニューメキシコ州、1996年5月7日〜9日、1996年。
【非特許文献3】ポール・ウェブ(Paul Webb)著、バイオアストロノーティックス・データ・ブック(Bioastronautics Data Book)、NASA SP-3006、NASA、1964年、5頁。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、臭素または塩素含有試薬を用いず、しかも成層圏のオゾンの破壊を引き起こさずに火を消す方法を提供することである。
【0007】
本発明のもう一つの目的は、防炎に必要とされるハイドロフルオロカーボン防炎剤の量を減量し、それによって、防炎システム全体のコストを汎用のハイドロフルオロカーボン防炎システムに比べて削減する、防炎方法を提供することである。
【0008】
前記ハイドロフルオロカーボン防炎剤は、非常に広い面積の火を消すのに用いると、炎の中で反応して様々な量の分解生成物HFを形成する。形成されるその相対量は、特別な火災モデル(fire scenario)に依存する。大量のHFは、特定の装置を腐食させて、作業者を威嚇することもある。
【0009】
そのため、本発明の更なる目的は、ハイドロフルオロカーボン防炎剤から形成される分解生成物の量を低減する、火の鎮火方法を提供することでもある。
【0010】
ハイドロフルオロカーボン試薬に加えて、不活性ガスは、近年、ハロン防炎剤のための代替品として提案されている(例えば、非特許文献2を参照のこと)。窒素またはアルゴンなどの純粋なガス、そしてアルゴンと窒素の50:50混合物などのそれらの混合物が提案されている。
【0011】
不活性ガスは、火を鎮火するのにはほとんど役に立たないので、その結果、大量の不活性ガス試薬を用いて消火を行わなければならない。不活性ガス試薬における一般的な消火濃度は、ハイドロフルオロカーボン防炎剤の5〜10体積%に比べて、45〜50体積%超である。不活性ガスの場合に求められる大量の試薬は、ハイドロフルオロカーボン試薬の場合に比べて非常に多くの数の貯蔵容器を必要とし、その結果、不活性ガスシステムシリンダーを含む大量の貯蔵領域が必要とされ、不活性ガス試薬シリンダー50本までが必要であることもある。
【0012】
したがって、本発明の更なる目的は、防炎に必要とされる不活性ガスの量を減量し、それによって特定の災害を保護するのに必要とされる不活性ガスシリンダーの数を低減し、かつ防炎システム全体のコストを削減する、炎の鎮火方法を提供することである。
【0013】
不活性ガスシステムの別の不利益は、保護されるエンクロージャー(囲い地)に注入されなければならない大量のガスによって放出中に発生する高いエンクロージャー圧である。この場合、エンクロージャーが漏れや圧力の消散を認めるほど十分に排気されなければ、構造上の損傷をもたらすことがある。
【0014】
そのため、本発明の更なる目的は、消火に必要とされる不活性ガスの量を減量し、それにより高圧の発生を低減する、消火方法を提供することでもある。
【0015】
防炎に必要とされる大量の不活性ガスのために、不活性ガスシステムは、一般に、保護される災害にその含量を1分または2分かけて放出する。これは、前記フルオロカーボン試薬とは対称的である。前記フルオロカーボン試薬は非常に少量のガスを必要とすることから、10秒以内に放出される。保護されるエンクロージャー内で消火濃度に到達するまで消火が終了しないことから、不活性ガスを用いる場合には、長い放出時間のために、前記フルオロカーボン試薬の場合に比べて消火までに非常に長い時間燃えている。燃えている時間が長いため、不活性ガスシステムでは多量の燃焼生成物が生成する。これは、明らかに望ましくない。というのも、少量の燃焼生成物(例えば、煙)が大規模な装置の損傷を引き起こすことがあるが、大量の燃焼生成物は低濃度でも人体に有毒であるためである。
【0016】
本発明の更なる目的は、不活性ガスシステムに比べて消火時間を短くし、その結果、燃焼生成物の量を減少させる、炎の鎮火方法を提供することでもある。
【0017】
不活性ガス防炎剤の使用に関するもう一つの問題は、保護される災害内での、人に危険なレベルまでの酸素の消耗である。人の命、結果としては哺乳類の命を支えるのに必要とされる酸素の量は周知であり、例えば、非特許文献3が参照される。海水面での大気圧において、損なわれていない機能領域は、約16〜36体積%酸素である。不活性ガス試薬をエンクロージャーに放出すると、損なわれてない機能のレベルよりも顕著に低い酸素レベルとなる。例えば、通常用いられる不活性ガス試薬の濃度、50体積%の使用レベルでは、保護される災害内での酸素が、不活性ガス試薬による空気の希釈によって10.5%まで減少する。そして燃焼生成物による希釈のために酸素の更なる減少が生じて、人に有毒なエンクロージャー環境となる。
【0018】
したがって、本発明の目的は、保護される災害内で酸素を危険なレベルまで減らさない、防炎方法を提供する。
【0019】
本発明の更なる目的は、通常使用される不活性ガスやフルオロカーボン防炎システムよりも、少量の不活性ガス試薬と少量のフルオロカーボン防炎剤を必要とし、それによってよりコスト的に有用な防炎システムを導く、炎の鎮火方法を提供することである。
【0020】
上記以外の本発明の目的は、以下の説明により明白となるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
(好ましい態様の説明) 本発明の原則の理解を促進するために、本発明の好ましい態様を参照する。特別な用語は、同じものを説明するのに用いられる。それにもかかわらず、これにより本発明の範囲が限定されるものではなく、本明細書で説明する本発明の原則の変更、改良および用途が当業者には普通に起こり得るものと考えられる。
【0022】
本発明によれば、ハイブリッド・フルオロカーボン/不活性ガス消火システムが、上述の問題を、排除またはかなり少なくすることが分かった。
【0023】
本発明の一態様によれば、好適なシリンダー内に貯蔵されるフルオロカーボン防炎剤および、別の好適なシリンダー内に貯蔵される不活性ガス防炎剤から成るシステムを含有する、消火方法が提供される。フルオロカーボンと不活性ガスのシリンダーは共に、適当な配管および弁を介して、保護される災害内に配置される放出ノズルに接続されている。炎を検出すると、防炎システムが起動される(activated)。本発明の一態様では、フルオロカーボン試薬と不活性ガス試薬がそれぞれの貯蔵シリンダーから同時に放出されて、保護される災害へのフルオロカーボンと不活性ガスの供給を同時に提供する。一般的な検出装置、例えば、煙探知器、赤外線探知器、空気サンプリング探知器などを用いて前記システムを起動してよく、また、災害に対して適当であると考えられる場合は、検出と試薬供給の間に遅延(delay)を用いてもよい。本発明のもう一つの態様では、炎を検知すると、最初に不活性ガス試薬をエンクロージャーに供給し、最後に、特別な火災モデルの需要に応じて不活性ガスの放出中または放出後に、フルオロカーボン試薬を供給する。
【0024】
本発明により完成されるように、「充満(flooding)」法を用いた消火は、火災が検出されるエンクロージャー全体または部屋全体を充満するのに十分な消火剤を提供すると理解されるべきである。エンクロージャー内でガスの混合を行えば、燃えている物質における消火剤を含むガスの組成は、エンクロージャー内のあらゆる位置でのガスの組成と全く同一である。すなわち、それが正に、燃えている物質におけるガスの組成であって、消火できるかどうかを支配する。また、エンクロージャー内でのガスの混合が消火過程の初期では均一ではないかもしれないことから、添付のクレームは「燃えている物質における」ガス組成に言及する。
【0025】
フルオロカーボン試薬は、配管システムを介して試薬の供給を行う浸漬管(a dip tube)を装備した汎用の防炎剤貯蔵シリンダー内に貯蔵されてよい。周知のとおり、また当該産業全体で広く実施されているように、シリンダー内のフルオロカーボンは、窒素またはそれ以外の不活性ガスを用いて、通常360または600psigのレベルに超高圧化されていてよい。前記試薬は、トリフルオロメタン(CFH)などの低沸点のフルオロカーボンの場合は、超高圧化法を用いずにシリンダー内に貯蔵されて、このシリンダーから供給されてもよい。別法として、フルオロカーボン試薬は、加圧装置を接続した好適なシリンダー内で純粋な材料として貯蔵されてもよい。フルオロカーボン試薬は、このような貯蔵シリンダー内で、独自の平衡蒸気圧の下、周囲温度において純粋な液化圧縮ガスとして貯蔵され、火災を検出したら、フルオロカーボン試薬シリンダーを適当な手段で加圧して、一度、所望のレベルまで加圧して、試薬供給を起動する(activated)。エンクロージャーに防炎剤を供給するための前記「ピストン流」法や、本発明に有用な別の防炎剤、例えば、パーフルオロカーボンおよびハイドロクロロフルオロカーボンなどは、ロビンらの特許文献1に記載されており、この公報の内容をここに参照として挿入する。
【0026】
本発明に有用な具体的なフルオロカーボン試薬は、ハイドロフルオロカーボンおよびヨードフルオロカーボンなどの化学化合物類から選択される化合物を包含する。本発明において好ましい具体的なハイドロフルオロカーボンとしては、トリフルオロメタン(CFH)、ペンタフルオロエタン(CFCFH)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(CFCHF)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HCFCFH)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(CFCHFCF)、1,1,1,2,2,3,3-ヘプタフルオロプロパン(CFCFCFH)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(CFCHCF)、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン(CFCHFCFH)、1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HCFCFCFH)、および1,1,1,2,2,3-ヘキサフルオロプロパン(CFCFCHF)が挙げられる。本発明で有用な具体的なヨードフルオロカーボンとしては、CFIおよびCFCFIが挙げられる。
【0027】
本発明で有用な具体的な活性化ガスは、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、およびこれらの混合物を包含する。
【0028】
汎用の不活性化ガス消火システムとは違って、本発明は、火を消さない不活性ガスを用いるが、消火に必要とされるよりも低濃度の不活性ガスを用いる。本発明は不活性ガスを消火以外のために単独で用いることから、不活性ガスを、消火に必要とされるような高濃度で用いる必要がない。より低濃度の不活性ガスの使用は、より少量の不活性ガスシリンダーが災害の保護のために求められるので、システム全体のコストを削減する。より少量の不活性ガスシリンダーが必要であるため、より小さな貯蔵スペースがシリンダーを収納するのに必要である。より少量の不活性ガス試薬がエンクロージャー内に放出されるため、エンクロージャー内で発生する圧力が低減され、しかもエンクロージャー内の酸素レベルは、有毒なレベルまで低下しない。
【0029】
上記の利点に加えて、本発明は、通常使用されるフルオロカーボン防炎システムで必要とされるよりも、思いがけなく低いフルオロカーボン濃度で消火できることが分かった。このことは、フルオロカーボン試薬が、高価でしかもフルオロカーボン防炎システムのコストの大部分に相当することから、システム全体のコストをかなり削減する。
【実施例】
【0030】
本発明を以降の具体的な実施例を参照して詳細に説明する。しかし、以降の実施例は、例示であって、何ら限定されるものではないと解されるべきである。
【0031】
(実施例1) n−ヘプタン火炎の消火に必要とされるHFC-227ea(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、CFCHFCF)の濃度に対する低い酸素レベルの効果を、エム・ロビンおよびトーマス・エフ・ローランド(Thomas F. Rowland)著、「デヴェォップメント・オブ・ア・スタンダード・カップ・バーナー・アパレイタス(Development of a Standard Cup Burner Apparatus):NFPAおよびISO標準試験法、1999年ハロン・オプションズ・テクニカル・ワーキング・コンファレンス(Halon Options Technical Working Conference)、4月27〜29日、1999年、アルバカーキー、ニューメキシコ州に記載の通り、カップバーナー装置において評価した。カップバーナー法は、ガス状消火剤についての消火濃度を求めるための標準試験法であり、国内および国際防炎標準の両者に採用されている。例えば、クリーンな試薬使用かシステム(Clean Agent Fire Extinguishing Systems)に関するNFPA2001標準およびISO14520:ガス状消火システム(Gaseous Fire-Extinguishing Systems)が挙げられる。空気と窒素とHFC-227eaの混合物を、28mm(OD)燃料カップの周りの85mm(ID)パイレックス(登録商標)製の煙突を通して流し入れた。煙突は、533mm長、85mmIDのガラスパイプから構成されていた。カップは、45°底部内縁を有していた。ワイヤーメッシュスクリーン、および3mm(OD)ガラスビーズの76mm(3インチ)の層を用いて、空気と窒素とHFC-227eaを完全に混合した。n-ヘプタンを、ラボラトリージャッキ上に設置された250mL分液漏斗を含む液体燃料貯蔵器からカップバーナーに重力供給すると、カップ内に、調節可能でしかも一定の液体燃料レベルが得られた。燃料にプロパンミニトーチで点火し、装置上に煙突を置いて、空気流と窒素流を流し始めた。次いで、燃料レベルを、カップの底部内縁が完全に覆われるように調節した。90秒の前燃焼時間の後、ストリーム中のHFC-227ea濃度を、HFC-227ea流の増分間に10秒の待ち時間を設けて少しずつ増やした。消火後、使用した燃料を排出して、新しい燃料で試験を数回繰り返した。消火直後に、カップの縁付近のガス流試料を、ハミルトン(Hamilton)1L精密ガスシリンジに取りつけたある長さのプラスチック配管を通じて回収した。次いで、試料を1Lテドラー(TEDLAR)バッグに注入して、ガスクロマトグラフィー分析に付した。較正は、1L TEDLARバッグ内に標準を入れて行った。結果を表1に示す。
【0032】
【表1】




【0033】
表1の結果は、火炎消火が、通常使用されている不活性ガスまたはハイドロフルオロ防炎システムに比べて、少量の不活性ガスおよびハイドロフルオロカーボン試薬で達成されることを示している。HFC-227eaを単独で用いると、消火にはHFC-227eaが6.4%v/v必要であり、また汎用の窒素システムは33.8%v/vの窒素濃度を必要とする[実験番号7:(100)(21.6)/(21.6+42.3)]。本発明の不活性ガスとハイドロフルオロカーボン試薬の組み合わせを用いると、例えば、酸素濃度が16.6%v/vに低下した実験番号4の条件では、窒素濃度19.7%およびHFC-227ea濃度3.2%で消火が達成される。すなわち、窒素およびHFC-227eaの両者に対する要求が約50%低減され、これにより、システム全体のコストの実質的な削減を導き、同時に、作業者に対して危険な周囲条件を予防できた。
【0034】
表2には、n-ヘプタン燃料災害に対して5000フィート立方のエンクロージャーを保護するために、結果として必要とされたシステム要件を示している。どの場合も、HFC-227eaの単一シリンダーを必要とした。本発明の不活性ガスとハイドロフルオロカーボン試薬の組み合わせを用いると、例えば、酸素濃度が16.6%v/vに低下した条件下では、窒素とHFC-227eaの両者に対する要求が、汎用のシステムに比べて約50%低減され、これにより、システム全体のコストの実質的な削減を導き、同時に、作業者に対して危険な周囲条件を予防できた。
【0035】
【表2】




【0036】
(実施例2) HFC-125(ペンタフルオロエタン、CFCFH)をハイドロフルオロカーボン試薬として用いて、実施例1を繰り返した。結果を表3および4に示す。これらより、本発明の使用が、汎用のシステムに比べて、不活性ガスおよびハイドロフルオロカーボン試薬の両者の減量された要求を導くことが分かる。
【0037】
【表3】




【0038】
【表4】




【0039】
表1および3の分析は、これらの火炎消火が、(1)酸素濃度を特定のレベルまで低下させるのに十分な量の不活性ガスと(2)不活性ガスと組み合わせた場合に火を消すのに十分な濃度のフルオロカーボン試薬の量を火に供給することによって達成されることを示している。
【0040】
十分な不活性ガスを供給して、火災時に酸素を約10%〜約20%v/v酸素の範囲、好ましくは約14%〜20%v/v酸素のレベルに低下させ、最も好ましくは、人の活動を損なわない約16%〜約20%v/v酸素の雰囲気を提供する。
【0041】
周囲酸素レベルが21%v/v酸素であれば、10%〜20%酸素への低下は、不活性ガス濃度約52.4〜4.8%v/vが必要である。14%〜20%v/vまでの酸素レベルの低下は、不活性ガス濃度約33.3〜4.8%v/vが必要である。16%〜20%v/vまでの酸素レベルの低下は、不活性ガス濃度約23.8〜4.8%v/vが必要である。
【0042】
消火に必要とされるフルオロカーボンの濃度は、用いられる特定のフルオロカーボンに依存する。例えば、表1からは、HFC-227eaの場合、必要とされる濃度が約1%〜6.5%v/v、好ましくは1%〜6%、最も好ましくは約3%〜6%v/vの範囲であることが分かる。HFC-125の場合(表3)、HFC-125の濃度は、約1%〜8%v/v、好ましくは1%〜7%v/v、最も好ましくは約4%〜8%v/vの範囲である。
【出願人】 【識別番号】502295559
【氏名又は名称】グレート・レイクス・ケミカル・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】GREAT LAKES CHEMICAL CORPORATION
【出願日】 平成19年8月27日(2007.8.27)
【代理人】 【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所


【公開番号】 特開2008−23350(P2008−23350A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2007−219732(P2007−219732)