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【発明の名称】 耐熱構造
【発明者】 【氏名】横山 修

【要約】 【課題】通水を壁面から染み出させる構造を備えず、連結対象となる筒体の径よりも大きい径を有する継ぎ手を火炎の熱から保護できる耐熱構造を提供する。

【構成】本発明にかかる耐熱構造は、通水が壁面から染み出す、変形自在で長尺の筒体(1)と、該筒体の端部に取り付けられた継ぎ手(2)と、対向する縁部(3a)の一組が着脱自在となっている布(3)と、該布を該筒体に固定する一組の締着具(4)とで構成される。該継ぎ手と、該筒体の該継ぎ手近傍において地面から離れている遊離部分(1a)とが、該縁部を接着し筒状とした布に覆われる。また、該布は該筒体の長手方向(X)の全長に亘って接地するとともに、該筒体の長手方向に開口する両端部(3b,3b)が該筒体に該締着具で圧着固定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通水が壁面から染み出す、変形自在で長尺の筒体(1)と、該筒体(1)の端部に取り付けられた継ぎ手(2)と、対向する縁部(3a)の一組が着脱自在となっている布(3)と、該布(3)を該筒体(1)に固定する一組の締着具(4)とで構成され、
該継ぎ手(2)と、該筒体(1)の該継ぎ手(2)近傍において地面から離れた遊離部分(1a)とが、該縁部(3a)を接着し筒状とした該布(3)に覆われ、
該布(3)は、該筒体(1)の長手方向(X)の全長に亘って接地するとともに、該筒体(1)の長手方向(X)に開口する両端部(3b,3b)が該筒体(1)に該締着具(4)で圧着固定されていることを特徴とする耐熱構造。
【請求項2】
通水が壁面から染み出す、変形自在で長尺の筒体(1)と、該筒体(1)の端部に取り付けられた継ぎ手(2)と、該継ぎ手(2)同士を連結する中継継ぎ手(8)と、対向する縁部(3a)の一組が着脱自在となっている布(3)と、該布(3)を該筒体(1)又は該中継継ぎ手(8)に固定する締着具(4)とで構成され、
該継ぎ手(2)と、該中継継ぎ手(8)の本体部(8a)から延出した連結用部(8b)と、該筒体(1)の該継ぎ手(2)近傍において地面から離れた遊離部分(1a)とが、該縁部(3a)を接着し管状とした該布(3)に覆われ、
該布(3)は、該筒体(1)の長手方向(X)の全長に亘って接地するとともに、該筒体(1)の長手方向(X)に開口する端部(3b,3b)が該筒体(1)又は該中継継ぎ手(8)に該締着具(4)で圧着固定されていることを特徴とする耐熱構造。
【請求項3】
通水が壁面から染み出す、変形自在で長尺の筒体(1)と、送水管(9)と、該筒体(1)及び該送水管(9)の端部に取り付けられた継ぎ手(2)と、該継ぎ手(2)同士を連結する中継継ぎ手(8)と、対向する縁部(3a)の一組が着脱自在となっている布(3)と、該布(3)を該筒体(1)又は該送水管(9)に固定する締着具(4)とで構成され、
該継ぎ手(2)と、該中継継ぎ手(8)の本体部(8a)から延出した連結用部(8b)と、該筒体(1)の該継ぎ手(2)近傍において地面から離れた遊離部分(1a)とが、該縁部(3a)を接着し管状とした該布(3)に覆われ、
該布(3)は、該筒体(1)の長手方向(X)の全長に亘って接地するとともに、該筒体(1)の長手方向(X)に開口する端部(3b,3b) が該筒体(1)に、該送水管(9)の長手方向(Y)に開口する端部(3c)が該送水管(9)に、該締着具(4)で圧着固定されていることを特徴とする耐熱構造。
【請求項4】
該布(3)は、耐熱布である請求項1〜3の何れか一つの項に記載の耐熱構造。
【請求項5】
該締着具(4)は、不連続部(4a)を有する弾性変形自在の環状部材で構成されている請求項1〜4の何れか一つの項に記載の耐熱構造。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、火災現場において、通水させる筒体の継ぎ手を火炎の熱から保護しその破損を防止するための耐熱構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
漏油火災(貯蔵設備などから漏れた油に着火して発生する火災) はその物理的科学的性質から火災拡大の速度が極めて速く、しかもその規模が拡大してからではその消火が極めて困難になることから、消火できる態勢が整うまで、とにかく燃焼漏洩油の流出拡大阻止による延焼防止を図ることが重要となる。そこで、本出願人は、漏油火災初期において有効な、延焼防止方法とその方法に使用する延焼防止器具を特願2006−155067号として提案している。
【0003】
この延焼防止方法によれば、変形自在で長尺の筒体を使用して、防災対象領域と発災領域を区切るとともに、その発災領域に連続する誘導領域を形成し、燃焼漏洩油を発災領域から誘導領域に誘導することにより、延焼するおそれのある防災対象領域に火災が拡大することを防止できる。この際、防災対象領域と発災領域を区切り発災領域に連続する誘導領域を形成する筒体の壁面から水を染み出させ、その染み出した水の膜で筒体の壁面を被覆することにより、火炎の熱から筒体を保護しその損傷を防ぎ、防災対象領域と発災領域を区切った状態及び誘導領域を維持することができる。また、発災領域及び誘導領域に染み出した水を溜めておくことにより、燃焼漏洩油を水面で燃焼させて油温を低く保ち、火炎の勢いを抑えることができる。更に、溜めた水の水位を筒体の高さを超えない範囲で保つことにより、燃焼漏洩油が筒体を乗り越えて防災対象領域に流出することもない。
【特許文献1】特願2006−155067号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記延焼防止方法に使用する筒体は、通水が壁面から染み出す、変形自在で長尺のものであればよく、一般の消防ホースから防水内張りを取り除いたものを採用できる。一方、防災対象領域と発災領域とを区切る筒体は、発災した状況に応じて様々な形状で配置できる必要があり、場合によっては連結具を使用し筒体どうしを連結させる必要が生じる場合も考えられる。そこで、その連結具についても、一般の消防ホースに使用されている継ぎ手を採用できれば、消防ホースに代表される公知の通水ホースに関する技術を、上記延焼防止方法に転用することが可能となる。
【0005】
しかしながら、公知の継ぎ手は、通水を壁面から染み出させる構造を備えておらず、染み出した水の膜を利用して火炎の熱から保護することができなかった。また、その径が、連結対象となる筒体の径よりも大きいものとなっており、筒体が継ぎ手近傍において地面から離れることにより隙間が形成されることから、継ぎ手近傍に水を溜めることもできなかった。そのため、公知の継ぎ手を上記延焼防止方法にそのまま採用すると、火炎の熱で損傷するおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、通水を壁面から染み出させる構造を備えず、連結対象となる筒体の径よりも大きい径を有する継ぎ手を火炎の熱から保護できる耐熱構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる第一の耐熱構造は、通水が壁面から染み出す、変形自在で長尺の筒体と、該筒体の端部に取り付けられた継ぎ手と、対向する縁部の一組が着脱自在となっている布と、該布を該筒体に固定する一組の締着具とで構成される。該継ぎ手と、該筒体の該継ぎ手近傍において地面から離れた遊離部分とが、該縁部を接着し筒状とした該布に覆われる。また該布は、該筒体の長手方向の全長に亘って接地するとともに、該筒体の長手方向に開口する両端部が該筒体に該締着具で圧着固定されている。
【0008】
本発明にかかる第二の耐熱構造は、通水が壁面から染み出す、変形自在で長尺の筒体と、該筒体の端部に取り付けられた継ぎ手と、該継ぎ手同士を連結する中継継ぎ手と、対向する縁部の一組が着脱自在となっている布と、該布を該筒体又は該中継継ぎ手に固定する締着具とで構成される。該継ぎ手と、該中継継ぎ手の本体部から延出した連結用部と、該筒体の該継ぎ手近傍において地面から離れている遊離部分とが、該縁部を接着し管状とした該布に覆われる。また、該布は、該筒体の長手方向の全長に亘って接地するとともに、該筒体の長手方向に開口する端部が該筒体又は該中継継ぎ手に該締着具で圧着固定されている。
【0009】
本発明にかかる第三の耐熱構造は、通水が壁面から染み出す、変形自在で長尺の筒体と、送水管と、該筒体及び該送水管の端部に取り付けられた継ぎ手と、該継ぎ手同士を連結する中継継ぎ手と、対向する縁部の一組が着脱自在となっている布と、該布を該筒体又は該中継継ぎ手に固定する締着具とで構成される。該継ぎ手と、該中継継ぎ手の本体部から延出した連結用部と、該筒体の該継ぎ手近傍において地面から離れた遊離部分とが、該縁部を接着し管状とした該布に覆われる。また、該布は、該筒体の長手方向の全長に亘って接地するとともに、該筒体の長手方向に開口する端部が該筒体に、該送水管の長手方向に開口する端部が該送水管に、該締着具で圧着固定されていることを特徴とする耐熱構造。
【0010】
該布は、耐熱布であってもよい。
【0011】
該締着具は、不連続部を有する弾性変形自在の環状部材で構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる第一の耐熱構造によれば、筒体の端部に取り付けられた継ぎ手が、筒状とした布で覆われ、更に、その筒状とした布の開口する両端部が筒体に締着具で圧着固定されているため、継ぎ手の周囲に布で囲まれた空間が形成されることになる。また、この空間は筒体の一部(遊離部分)を包含しているため、筒体の壁面から染み出した水はこの空間に充満する。そのため、継ぎ手は、この空間に充満した水により火炎の熱から保護されることになる。
一方、継ぎ手を覆う筒状の布が筒体の長手方向の全長に亘って接地し、継ぎ手近傍に形成された筒体と地面の隙間と、筒体の壁面から染み出した水が溜まる場所とが不連続状態となる。そして、筒体の壁面から染み出した水は、この隙間を通じて、継ぎ手近傍に充満し、再び筒状の布の表面からも染み出しを開始する。この染み出した水は火炎の熱から筒状布を保護してその損傷を防ぐため、この点からも、火炎の熱から継ぎ手を保護することができる。
【0013】
本発明にかかる第二及び第三の耐熱構造によれば、筒体の端部に取り付けられた継ぎ手が、中継継ぎ手を介して連結される場合、具体的には、三方管継ぎ手を使用して筒体を三叉にする場合等においても、第一の耐熱構造と同様に継ぎ手を保護することができる。
【0014】
まず、第二の耐熱構造の場合、筒体の端部に取り付けられた継ぎ手が、中継継ぎ手の本体部から延出した連結用部とともに、管状とした布で覆われ、更に、その管状とした布の開口する端部が筒体又は中継継ぎ手に締着具で圧着固定されているため、継ぎ手と中継継ぎ手の連結用部の周囲に布で囲まれた空間が形成されることになる。また、この空間は筒体の一部(遊離部分)を包含しているため、筒体の壁面から染み出した水はこの空間に充満する。そのため、継ぎ手は、中継継ぎ手の連結用部とともに、この空間に充満した水により火炎の熱から保護されることになる。なお、本発明において管状とは、周壁で囲まれるとともにその周壁の端部において開口を有する空間を備えた構造であればよく、中空の円柱すなわち筒状のほか、三方管など、三つ以上の開口を有するものも含むものとする。
一方、継ぎ手及び連結用部を覆う管状の布が筒体の長手方向の全長に亘って接地し、継ぎ手近傍に形成された筒体と地面の隙間と、筒体の壁面から染み出した水が溜まる場所とが不連続状態となる。そして、筒体の壁面から染み出した水は、この隙間を通じて、継ぎ手近傍に充満し、再び管状の布の表面からも染み出しを開始する。この染み出した水は火炎の熱から管状の布を保護してその損傷を防ぐため、この点からも、火炎の熱から継ぎ手及び連結用部を保護することができる。なお、中継継ぎ手の本体部は布で覆われることなく露出することになるが、この部位はもともと強度が高いため、火炎の熱により破損する可能性は低く、実施上の問題とはならない。
【0015】
第三の耐熱構造の場合も基本的な作用効果は第二の耐熱構造と同様で、継ぎ手と中継継ぎ手の連結用部の周囲に布で囲まれた、筒体の一部を包含する空間が形成され、筒体の壁面から染み出した水はこの空間に充満し、継ぎ手と連結用部がその水により火炎の熱から保護されることになる。また、その空間に溜まった水が布の表面からも染み出しを開始すれば、その染み出した水が火炎の熱から管状の布を保護してその損傷を防ぐため、この点からも、火炎の熱から継ぎ手と連結用部を保護することができる。ただし、第三の耐熱構造は、通水が壁面から染み出す、変形自在で長尺の筒体の設置されるラインに効率よく水を供給するための送水管が用いられる場合、その送水管側の構成も包含する点において第二の耐熱構造と相違する。火炎と直接向かい合う位置に配置される継ぎ手や連結用部は保護の必要があるが、筒体の火炎に向かい合わない側(背面側)に配置される継ぎ手や連結用部はその必要がない。そのため、筒体を配置するラインに、筒体の背面側から送水管を使用して水を供給する場合、その送水管と送水管に関する継ぎ手及び連結用部は本来保護の必要がなく、従って布で覆う必要もない。しかしながら、火炎と直接向かい合う位置に配置される継ぎ手や連結用部の周囲に水を保持できる空間を形成するための必要上、本来保護が不要な部位も共に覆うこととしている。なお、第二の耐熱構造は布で覆う部位が少なく第三の耐熱構造よりも簡単に構築できる利点がある反面、第三の耐熱構造は中継継ぎ手の本体部も覆うことができるという利点がある。
【0016】
前記布が、耐熱布であれば、継ぎ手を保護する機能をより高いものにできる。
【0017】
また、締着具が、不連続部を有する弾性変形自在の環状部材で構成されるものとすれば、継ぎ手及び筒体を被覆している布の上から嵌め込むだけで、布を短時間で筒体に圧着固定できる。そのため、火災拡大の速度が速い漏油火災の延焼防止方法においても、好適に利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1〜4を参照しながら、本発明にかかる第一の耐熱構造の具体例を説明する。図1は同耐熱構造を示す正面図、図2は同耐熱構造を構成する布を示す斜視図、図3は同耐熱構造を構成する締着具を示す斜視図、図4は同耐熱構造が採用された発災現場の概略を示す平面図である。
【0019】
この具体例は、図4に示すように、可燃性の液体を取り扱う施設において、並べて配置された二つの設備の一つで発災した現場、より具体的には、タンクローリーの油積載施設において並べて配置された2つのアイランドのうち一つで発災した現場に採用したものである。この発災現場では、防災対象領域14が一つのみであり、発災領域15と防災対象領域14が、筒体1を2本連結したもので区切られ、筒体1の壁面から染み出た水は、発災領域15においてアイランドの基礎と筒体1とで囲まれた面に溜まることになる。一方、燃焼漏洩油13を安全に燃焼させることのできる領域である誘導領域17では、筒体1に接する水たまりを形成し、その水たまりが誘導領域17の中で広がっていくことになる。そして、この水たまりとして溜めた水16が、燃焼漏洩油13の誘導を可能とし、また燃焼漏洩油13の油温を低く抑える機能を果たすことになる。なお、この発災現場で燃料漏洩油13を誘導領域17に誘導するには、発災領域15の誘導領域17に接する側を前として、発災領域15の斜め後方から通常の消火ホースを使用した放水を行えばよい。(図4の白抜矢線が放水する方向を示す)
【0020】
2本の筒体1は、それら筒体1の端部に取り付けられた係脱自在の継ぎ手2により連結されている。そして、この継ぎ手2を含む筒体1の連結部11において、この具体例の耐熱構造が採用されている。
【0021】
この耐熱構造は、前記筒体1と、前記継ぎ手2と、対向する縁部3aの一組が着脱自在となっている布3と、この布3を筒体1に固定する一組の締着具4とで構成される。継ぎ手2は係合状態で地面に配置され、筒体1の継ぎ手2近傍において地面から離れている遊離部分1aとともに、縁部3aを接着し筒状とした布3に覆われる。また、筒状とした布3は筒体1の長手方向Xの全長に亘って接地するとともに、筒状とした布3の開口した両端部3b、3bが筒体1に締着具4で圧着固定されている。
【0022】
この耐熱構造によれば、筒体1の端部に取り付けられた継ぎ手2が、筒状とした布3で覆われ、更に、その筒状とした布3の開口する両端部3b、3bが筒体1に締着具4で圧着固定されているため、継ぎ手2の周囲に布3で囲まれた空間5が形成されることになる。また、この空間5は筒体1の一部(遊離部分1a)を包含しているため、筒体1の壁面から染み出した水はこの空間5に充満する。そのため、継ぎ手2は、この空間5に充満した水により火炎の熱から保護されることになる。
一方、継ぎ手2を覆う筒状の布3が筒体1の長手方向Xの全長に亘って接地し、継ぎ手2近傍に形成された筒体と地面の隙間6と、筒体1の壁面から染み出した水が溜まる場所(この具体例では誘導領域17)とが不連続状態となる。そして、筒体1の壁面から染み出した水は、この隙間6を通じて、継ぎ手2近傍に充満し、再び筒状の布3の表面からも染み出しを開始する。この染み出した水は火炎の熱から筒状布を保護してその損傷を防ぐため、結果として火炎の熱から継ぎ手2を保護することができる。
【0023】
布3の対向する縁部3aの一組は、縁3aに沿って設けられた面ファスナー7aによって着脱自在となっている。
また、布3には、窒息消火用の耐熱布(ファイアーストップ:旭ファイバーグラス株式会社製)が採用されている。この場合、耐熱性を備えた布であるため、継ぎ手2を保護する機能をより高いものにできる。ただし、筒体1から染み出した水の水位を保持できる布であれば、耐熱性を備えたものでなくてもよく、通常の密編み布を採用してもよい。
【0024】
締着具4は、弾性材質のリングの一部を切断して形成した、不連続部4aを有する弾性変形自在の環状部材で構成されている。この場合、継ぎ手2及び筒体1を被覆している布3の上から嵌め込むだけで、布3を短時間で固定することが可能となる。そのため、火災拡大の速度が速い漏油火災の延焼防止方法においても、好適に利用できる。ただし、締着具4の構造に制限はなく、筒状とした布3の両開口3bを筒体1に圧着固定できるものであればよい。なお、締着具4は、縫いこむ等して布3と一体としておくと、装着速度を上げることができ好ましい。
【0025】
図5〜8を参照しながら、本発明にかかる第三の耐熱構造の具体例を説明する。図5は同耐熱構造を示す平面図、図6は同耐熱構造が使用状態に無い場合における準備状態を示す平面図、図7は同耐熱構造を構成する布を示す斜視図、図8は同耐熱構造が採用された発災現場の概略を示す平面図である。なお、図1〜4に示す具体例と実質的に同じ部分には同符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0026】
この具体例は、図8に示すように、発災した設備の周囲が全て防災対象領域14となる発災現場に採用したものである。この発災現場では、隣接する設備までの距離があるため、誘導領域17を、防災対象領域14に火炎の影響が及ばない範囲で最大の直径を有する円形としている。そして、筒体1に高圧水を供給し、筒体1の膨潤状態を維持しながら高圧水を筒体1の壁面から染み出させ、染み出した水の膜で壁面を被覆するとともに発災領域15及び誘導領域17に染み出した水を溜め、溜めた水16の水位を筒体1の高さを超えない範囲に保ちながら、燃焼漏洩油13を発災領域15から誘導領域17に誘導している。
【0027】
筒体1は、端部に係脱自在の継ぎ手2が取り付けられた2本が連結部11及び接合部18で連結された環状とされたものとなっており、この継ぎ手2を含む筒体1の連結部11においては、図1〜4に示す具体例と同じ耐熱構造が採用されている。
【0028】
一方、接合部18においては、前記2本の筒体1のそれぞれの端部に取り付けられた継ぎ手2と、通水が壁面から染み出すことのない送水管9の端部に取り付けられた継ぎ手2とが、中継継ぎ手8として採用されている三方管継ぎ手を介して結合されている。そして、この接合部18において、この具体例の耐熱構造が採用されている。
【0029】
この耐熱構造は、図5に示すように、前記筒体1と、前記送水管9と、前記継ぎ手2と、前記中継継ぎ手8と、対向する縁部3aの一組が着脱自在となっている布3と、この布3を筒体1又は中継継ぎ手8に固定する締着具4とで構成される。継ぎ手2と、中継継ぎ手8の本体部8aから延出した連結用部8bと、筒体1の継ぎ手2近傍において地面から離れている遊離部分1aとが、縁部3aを接着し管状とした布3に覆われる。また、布3は、筒体1の長手方向Xの全長に亘って接地するとともに、筒体1の長手方向Xに開口する端部3b、3bが筒体1に、送水管9の長手方向Yに開口する端部3cが送水管9に、締着具4で圧着固定されている。
【0030】
この耐熱構造によれば、筒体1及び送水管9の端部に取り付けられた継ぎ手2が、中継継ぎ手8の本体部8aから延出した連結用部8bととともに、管状とした布3で覆われ、更に、その管状とした布3の開口する端部3b、3cが筒体1又は送水管9に締着具4で圧着固定されているため、継ぎ手2と連結用部8bの周囲に布3で囲まれた空間5が形成されることになる。また、この空間5は筒体1の一部(遊離部分1a)を包含しているため、筒体1の壁面から染み出した水はこの空間5に充満する。そのため、継ぎ手2は連結用部8bとともに、この空間5に充満した水により火炎の熱から保護されることになる。
一方、継ぎ手2及び連結用部8bを覆う管状の布3が筒体1の長手方向Xの全長に亘って接地し、継ぎ手2近傍に形成された筒体1と地面の隙間(図示は省略する)と、筒体1の壁面から染み出した水が溜まる場所とが不連続状態となる。そして、筒体1の壁面から染み出した水は、この隙間を通じて、継ぎ手2及び連結用部8b近傍に充満し、再び管状の布3の表面からも染み出しを開始する。この染み出した水は火炎の熱から管状の布3を保護してその損傷を防ぐため、この点からも、火炎の熱から継ぎ手2及び連結用部8bを保護することができる。
【0031】
この耐熱構造に使用する布3として、例えば、図7に示すように、平坦部3dと筒状部3eで構成されるものを使用してもよい。そして、継ぎ手2と連結用部8bを覆うためには、使用される前の状態にある中継継ぎ手8に予め装着しておけばよい。この際、筒体1及び送水管9の接続作業の妨げとならないよう、図6に示すように、端部3b、3b、3cを本体部8a側にまくりあげておくことが好ましい。また、筒体1及び送水管9に圧着固定したときに、隙間ができないよう、端部3b、3b、3cとなる部位には、切れ込み3fを入れておくことが好ましい。なお、切れ込み3fは、図6に示すように、上面側(中継継ぎ手8が接地する面の反対側)に配置することが好ましく、この場合、切れ込み3fが多少開いても空間5の水は上面側から溢流するのみとなり、空間5に支障なく水を充満させることができる。更に、端部3b、3bをまくりあげることができるよう、縁部3aは、面ファスナーよりも変形しやすい、接離自在の噛み合い歯よりなるファスナー7bにより着脱自在としておくことが好ましい。この際、ファスナー7bは、筒体1の火炎に向かい合わない側(背面側)に配置されるよう、筒状部3eの近傍に設けることが好ましい。
【0032】
図9を参照しながら、本発明にかかる第二耐熱構造の具体例を説明する。図9は同耐熱構造を示す正面図である。なお、図1〜8に示す具体例と実質的に同じ部分には同符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0033】
この耐熱構造は、図5〜8に示す耐熱構造と同じ発災現場に採用されたものであり、円形とした筒体1と送水管9との接合部18におけるものである。ただし、継ぎ手2及び連結用部8bを覆う布3として図1〜4に示す耐熱構造と同様のものが使用され、また燃焼漏洩油13に直接向かい合わない位置に配置される送水管9側の構成が布3で覆われない点において、図5〜8に示す耐熱構造と相違する。すなわち、送水管9を構成に含むことなく、継ぎ手2と連結用部8bの周囲を囲う布3の筒体1の長手方向Xに開口する端部3b、3bが、筒体1又は中継継ぎ手8に締着具4で圧着固定されている。なお、図9において、本体部8aの送水管9側開口は、破線で示す。
【0034】
この耐熱構造の場合、図5〜8に示す耐熱構造と同様に、継ぎ手2及び連結用部8bの周囲に布で囲まれた、筒体1の一部(浮遊部分1a)を含有する空間が形成され、筒体1の壁面から染み出した水はこの空間5に充満し、継ぎ手と連結用部がその水により火炎の熱から保護されることになる。また、その空間に溜まった水が布の表面からも染み出しを開始すれば、その染み出した水が火炎の熱から管状の布を保護してその損傷を防ぐため、この点からも、火炎の熱から継ぎ手と連結用部を保護することができる。しかも、本来保護が不要な部位を覆うことなく簡単に構築できるため、火災拡大の速度が速い漏油火災の延焼防止方法においても、好適に利用できる。なお、中継継ぎ手8の本体部8aは布3で覆われることなく露出することになるが、この部位は強度が高いため、火炎の熱により破損する可能性は低く、実施上の問題とはならない。また、中継継ぎ手8の本体部8aにおける締着具4の取り付け位置には、締着具4に適合する溝を設けておくことが好ましく、その場合、締着具4の位置づれによる漏水を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明にかかる第一の耐熱構造の具体例を示す正面図である。
【図2】同耐熱構造を構成する布を示す斜視図である。
【図3】同耐熱構造を構成する締着具を示す斜視図である。
【図4】同耐熱構造が採用された発災現場の概略を示す平面図である。
【図5】本発明にかかる第三の耐熱構造の具体例を示す平面図である。
【図6】同耐熱構造が使用状態に無い場合における準備状態を示す平面図である。
【図7】同耐熱構造を構成する布を示す斜視図である。
【図8】同耐熱構造が採用された発災現場の概略を示す平面図である。
【図9】本発明にかかる第二耐熱構造の具体例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 筒体
1a 遊離部分
2 継ぎ手
3 布
3a 縁部
3b、3c 端部
3d 平坦部
3e 筒状部
3f 切れ込み
4 締着具
4a 不連続部
5 空間
6 隙間
7a 面ファスナー
7b ファスナー
8 中継継ぎ手
8a 本体部
8b 連結用部
9 送水管
11 連結部
12 高圧水供給源
13 燃焼漏洩油
14 防災対象領域
15 発災領域
16 溜めた水
17 誘導領域
18 接合部
X、Y 長手方向
【出願人】 【識別番号】000186913
【氏名又は名称】昭和シェル石油株式会社
【出願日】 平成18年7月28日(2006.7.28)
【代理人】 【識別番号】100067688
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 公達

【識別番号】100134647
【弁理士】
【氏名又は名称】宮部 岳志


【公開番号】 特開2008−29582(P2008−29582A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−206221(P2006−206221)