| 【発明の名称】 |
使い捨て式防じんマスク |
| 【発明者】 |
【氏名】田中 栄太郎
【氏名】堀口 展也
【氏名】保坂 信行
|
| 【要約】 |
【課題】フィット感のよい使い捨て式防じんマスクの提供。
【構成】使い捨て式防じんマスクがフィルタ部1と、接顔クッション2と、締紐3a,3bとを有する。フィルタ部1の外周縁部40と接顔クッション2の外周縁部2bとは重なりあっている。側方から見たときの防じんマスクの外周縁部2bでは、鼻梁部と接する第1部分31と顎と接する第2部分32とが顔に向かって凹をなしている。外周縁部2bにはまた、第1部分31と第2部分32との間に、凸をなす第3部分33と、凹をなす第4部分と、凸をなす第5部分35とが防じんマスクの上方から下方に向かって順次形成されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鼻部及び口部を覆うように略半球状に成形したフィルタ部と、該フィルタ部の全外周縁部から前記フィルタ部の中央へ延びていて前記鼻部及び前記口部に位置する部分に開口を有する接顔クッションと、前記外周縁部から延びる締紐とを有する使い捨て式防じんマスクであって、 前記接顔クッションは外周縁部が前記フィルタ部の前記外周縁部と重なっており、前記接顔クッションの鼻梁部と接する第1部分が上方となり顎部と接する第2部分が下方となるようにして側方から見たときの前記防じんマスクは、前記フィルタ部と前記接顔クッションとの前記外周縁部が、前記防じんマスクの装着者の顔に向かって、前記第1部分と前記第2部分とにおいては凹をなしていて前記第1部分と前記第2部分との間にある他の部分よりも凹んでおり、前記他の部分においては凸をなす第3部分と凹をなす第4部分と凸をなす第5部分とが前記上方から前記下方へ順に形成されており、 前記接顔クッションの前記外周縁部から前記中央へ延びる部分では、前記接顔クッションが顔の起伏に沿うように、前記外周縁部の前記第1,第2,第3,第4,第5部分それぞれの前記凹または前記凸が前記中央へ延びていることを特徴とする前記マスク。 【請求項2】 前記締紐が前記第4部分と第5部分とに取り付けられている請求項1記載のマスク。 【請求項3】 前記第1部分における最も凹んだ第1点と前記第2部分における最も凹んだ第2点とを結ぶ面と前記第3部分における前記顔に向かって最も突出した第3点との間の垂直方向の距離が5〜40mmである請求項1または2記載のマスク。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、鼻部及び口部を覆うように略半球状に成形したフィルタ部と、該フィルタ部の全外縁から中央へ延び、鼻部,口部に位置する部分に開口を有する接顔クッションとからなる使い捨て式防じんマスクに関するものである。 【背景技術】 【0002】 防じんマスクには、大きく分けて、使用後の集塵能力が低下したろ過材を交換するろ過材取り替え式の防じんマスクと、フィルタ部材からなるマスク全体を廃棄する使い捨て式防じんマスクの2種類がある。前者は、ろ過材,吸気弁,面体及び締紐からなっていて、ろ過材の取り替えが可能であり、後者は、フィルタ部材,面体及び締紐が一体となっている。 【0003】 また、使い捨て式防じんマスクには、接顔クッションなし型と接顔クッション付き型の2種類があり、接顔クッション付き型の方が長所が多い。 【0004】 接顔クッションなし型は、全体が不織布を複数枚積層したフィルタ部材から構成され、装着時にフィルタ部材の内面が顔に接する。したがって、フィルタ部材の顔への接触線より外側の部分はフィルタとして寄与せず、フィルタとしての有効面積が小さくなるので、粉塵捕集性能は低下する。また、吸気抵抗が上昇する等の欠点がある。 【0005】 また、図9に示したような、不織布からなるフィルタ部材を、鼻部及び口部を覆うように略半球状に成形したフィルタ部21を用いたマスクにおいては、締紐22を締めることによってフィルタ部を顔の起伏に追従して変化させるようにするが、素材が不織布であるため弾力性に乏しく、したがって、フィルタ部材の顔に対する接触部分が、顔の起伏に十分追従できないため、フィット感が悪くなったり、顔面、特に鼻梁部とマスクの間から粉じんの漏れが生ずる。この漏れを極力少なくするために、ノーズクリップ23を付ける等の方法もある。しかし、この方法でも、鼻梁部とマスクの間からの漏れは減少するものの、その他の欠点は解消されない。 【0006】 そこで、これら接顔クッションなし型の問題点を解決するために、マスク本体の全外周縁部から内側方向に延設した柔軟性及び弾力性を有する接顔クッションを有する使い捨て式防じんマスクが実公平7−36669号(特許文献1)に開示されている。 【0007】 図5〜図8は、この接顔クッションを有する使い捨て式防じんマスクを示したものである。図5,6,7は、この防じんマスクの側面図と斜視図と正面図であり、図8は、この防じんマスクとこれを着用する顔面との側面図である。これらの図において、11は、鼻部及び口部を覆うように略半球状に成形したフィルタ部、12は、フィルタ部11の全外縁から中央へ延び、鼻部,口部に位置する部分に開口12aを有する接顔クッション、13はマスクの両側から延びた弾性を有する締紐である。 【0008】 この構成のものは、フィルタ部11が直接顔面に触れないため、フィルタ面積が100%有効利用できる。また、接顔クッション12がマスクと顔の接する面積を増やし、さらに柔軟性及び弾力性があるので、顔の起伏に沿ってある程度変形し、フィット感が向上する。さらに、フィルタ部11は、直接肌に触れないため汗を吸収することがなく、汗の吸収により生ずるフィルタの性能劣化が少ないといった長所もある。このように、接顔クッション付き型マスクは、接顔クッションなし型マスクに比較して多くのメリットを有している。 【0009】 ここで、フィット感、装着感について説明する。フィット感、装着感がよい、あるいはフィットする、の意味は、(1)マスクを装着したときに、マスクと顔面との接触面にかかる圧力に偏りがなく、(2)顔面とマスクが密着している、つまり顔面とマスクの間からの粉じんの侵入が少ないことをいう。そして、一般的に、マスクを装着した際のフィット感および装着感は重要である。何故ならば、フィット感および装着感が悪いと、顔面にかかる圧力の偏りによって、装着者に部分的な痛みおよび不快感を与えることになり、また、マスクと顔面との間に隙間ができ、そこから多量の粉じんが侵入するからである。 【特許文献1】実公平7−36669号 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0010】 しかしながら、上記従来の接顔クッションを有するマスクは、図5〜図8から分かるように、接顔クッション12として平板状のものが使用されているため、その形状が顔の起伏と大きく異なっている。したがって、顔面にフィットさせるにはかなりの変形や湾曲を伴う必要がある。また、装着時には最初に接顔クッションが鼻梁部と顎部に当たり、その当接部を支点として折り曲げるようにして顔に装着することになる。しかし、略半球状のフィルタ部が柔軟性をあまり持っていないため、折り曲げても顔の起伏にフィットせず、ある程度の隙間が生ずる。そのため、接顔クッションを有するマスクを完全に顔にフィットさせるには、以下の方法が考えられるが、いずれの場合も、フィット感は向上するものの、フィット感以外のマスクとして必要な要素を犠牲にしなければならない。 【0011】 (1)フィルタ部に柔軟性を持たせることにより顔の形に変形し易くする。この場合、フィット感は問題ないが、フィルタ部が柔らか過ぎるとフィルタ部に凹凸等の変形が生じ易くなり、保形維持性が低下してマスクの外観を損なうことになる。 【0012】 (2)締紐の張力を強くする。この場合、締紐の張力でマスクを強制的に変形または湾曲させてフィット感を向上させようとすると、フィット感は向上するものの、締紐の張力で強制的に顔の形状に合わせることになるので、顔とマスクの形状が合っていない部分があると、装着時にマスクから顔にかかる圧力に大きな偏りが生じて、大きな圧力がかかる部分に痛みおよび圧迫感が生じる。また、締紐の張力を強くするので、締紐が当たる部分にも大きな力がかかり、痛み等を生じて装着感が悪くなる。 【0013】 (3)ノーズクリップを使用する。図9に示したように、従来の接顔クッションのないマスクで採用されているノーズクリップ等の部品を付ければよいが、その場合、部品点数が多くなり、コストが高くなるという欠点が生ずる。 【0014】 また、フィット感の他に、従来品には次のような問題点がある。すなわち、前述のように、フィルタ部が硬いと、マスクが顔の形に追従し難くなり、フィット感が悪くなる。そして、無理に追従させようとすると、顔の起伏に合っていない形状の部分に圧力がかかり、痛みおよび圧迫感を生じる。また、柔らか過ぎると、マスクの外観を損ねてしまう。そのため、フィルタ部は硬さを選択するときの自由度が小さい。 【0015】 また、接顔クッションの形状が顔の起伏とかなり異なる形状をしているため、顔面にフィットさせるにはかなりの変形や湾曲を伴う必要がある。その結果、保形維持特性の低下および、締紐の張力がある程度必要となり、締紐の当たる部分に痛み等を生ずる問題がある。 【0016】 本発明は、上記従来技術の問題点のいくつかを解決しようとするもので、マスクのフィット感がよく、さらにフィット感以外のマスクとしての必要な要素についても、従来の接顔クッションを有するマスクと同等以上の性能を有する使い捨て式防じんマスクの提供を目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0017】 上記目的を達成するために、本発明が対象とするのは、鼻部及び口部を覆うように略半球状に成形したフィルタ部と、該フィルタ部の全外周縁部から前記フィルタ部の中央へ延びていて前記鼻部及び前記口部に位置する部分に開口を有する接顔クッションと、前記外周縁部から延びる締紐とを有する使い捨て式防じんマスクである。 【0018】 このような防じんマスクにおいて、この発明が特徴とするところは、次のとおりである。前記接顔クッションは、外周縁部が前記フィルタ部の前記外周縁部と重なっている。前記接顔クッションの鼻梁部と接する第1部分が上方となり顎部と接する第2部分が下方となるようにして側方から見たときの前記防じんマスクは、前記フィルタ部と前記接顔クッションとの前記外周縁部が、前記防じんマスクの装着者の顔に向かって、前記第1部分と前記第2部分とにおいては凹をなしていて前記第1部分と前記第2部分との間にある他の部分よりも凹んでおり、前記他の部分においては凸をなす第3部分と凹をなす第4部分と凸をなす第5部分とが前記上方から前記下方へ順に形成されている。前記接顔クッションの前記外周縁部から前記中央へ延びる部分では、前記接顔クッションが顔の起伏に沿うように、前記外周縁部の前記第1,第2,第3,第4,第5部分それぞれの前記凹または前記凸が前記中央へ延びている。 【0019】 本発明の実施形態の一つにおいて、前記締紐が前記第4部分と第5部分とに取り付けられている。 【0020】 本発明の実施形態の他の一つにおいて、前記第1部分における最も凹んだ第1点と前記第2部分における最も凹んだ第2点とを結ぶ面と前記第3部分における前記顔に向かって最も突出した第3点との間の垂直方向の距離が5〜40mmである。 【発明の効果】 【0021】 本発明に係る使い捨て式防じんマスクでは、接顔クッションが顔の起伏に沿った立体形状を有するものになるので、接顔クッションの全体が、略均一な圧力で顔面に接するようになる。したがって、接顔クッションを少しだけ変形または湾曲させる程度で防じんマスクが顔にフィットすることになり、また防塵性能も向上する。 【0022】 その結果、顔面における部分的な痛みや圧迫感あるいは違和感が減少するとともに、顔面と接顔クッションとの間の気密性が高くなって、粉じんの侵入が少なくなる。また、装着時のマスクの変形および湾曲を小さくすることもできるので、マスクは型くずれが起きにくくなり、保形維持特性が向上する。さらに、締紐を弱い力で締めて装着しても顔にフィットするので、締紐の締付による痛みも少なくなる。さらにはまた、接顔クッションが顔の起伏に沿った形状であるため、フィルタ部を硬くしても、マスクを着用したときの部分的な痛みや違和感が生じにくくなり、したがって、フィルタ部の硬さを選択するときの自由度が大きくなる。 【0023】 また、締紐が凹をなす第4部分に取り付けられている防じんマスクは、防じんマスクが装着されて締紐に張力が作用すると、凹んでいる第4部分を顔に向かって引き寄せて、接顔クッションと顔との間に間隙ができるのを防ぐことができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0024】 以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1〜図4は、本発明の一実施の形態における使い捨て式防じんマスクを示したものであって、図1はその防じんマスクの側面図であり、図2は図1の防じんマスクの斜視図であり、図3は図1の防じんマスクの正面図であり、図4は図1の防じんマスクと顔面との側面図である。これらの図において、1はフィルタ部、2は接顔クッション、3a,3bは締紐である。フィルタ部1は、マスク装着者の顔50の鼻部51及び口部52を覆うように略半球状に成形されている。接顔クッション2は、フィルタ部1の外周縁部40の全体から中央へ延び、鼻部51、口部52に位置する部分に開口2aを有し、弾力性または伸縮性を有している。図1,4には、防じんマスクの上下方向Pと顔50に向く方向Qとが示されている。 【0025】 図1,2において、この接顔クッション2は、顔50の起伏に沿うような凹凸を有する立体形状となっており、特に、鼻梁部53(図4参照)と接する第1部分31及び顎部54と接する第2部分32が凹をなしていて他の部分よりも凹んでいる。そして、接顔クッション2の外周において、鼻梁部53と顎部54とに接するこれら第1,第2部分31,32においての最も凹んでいる第1,第2点56,57を含む面Aから最も突出した第3点58を通る線Bまでの垂直方向の距離を5〜40mm、好ましくは10〜30mmの範囲とする。接顔クッション2の外周縁部2bは、フィルタ部1の外周縁部40に重なっていて、その外周縁部40が第1部分31と第2部分32とに重なる部分において凹んでいる。 【0026】 図1,2においてはまた、接顔クッション2の外周縁部2bにおける第1部分31と第2部分32との間に、防じんマスク装着者の顔50に向く方向Qに向かって凸をなす第3部分33と、方向Qに向かって凹をなす第4部分34と、方向Qに向かって再び凸をなす第5部分35とが図1の上方から下方に向かって順に形成されている。フィルタ部1の外周縁部40もこれら第1〜第5部分31〜35と同様に凹をなしているかまたは凸をなしている。接顔クッション2はまた、フィルタ部1の外周縁部40の全体から中央へ延びるものであって、その中央へ延びる部分では、第1〜第5部分31〜35それぞれの凹形状または凸形状が中央へ延びている。 【0027】 以上のように構成された本実施の形態における使い捨て式防じんマスクは、次のような利点を有する。 【0028】 (1)マスクの接顔クッションが顔の起伏に沿った立体形状になっているため、装着時に呼吸をする鼻部,口部を取り巻くように顔に密接し、接顔クッションと顔面との間にほとんど隙間ができず、したがって、粉じん等の侵入が少なくなる。 【0029】 (2)接顔クッションが顔の起伏に沿った立体形状になっているため、締紐の張力が小さくても顔によくフィットし、また、締紐の張力が小さいと、顔に痛みや違和感を生ずることがなく、装着感がよい。 【0030】 (3)装着時のマスクの変形あるいは湾曲が小さいので、保形維持特性がよく、外観を損なうことがない。 【0031】 (4)締紐の張力が小さくてもマスクが顔にフィットするので、フィルタ部を多少硬くしても、顔における部分的な痛みや違和感を生ずることがなく、フィルタ部の硬さの自由度も広がる。 【0032】 (5)ノーズクリップのような部品を使用しないので、従来の接顔クッション付きマスクと同じ部品点数で、フィット感を向上することができる。 【0033】 図1,2において明らかなように、防じんマスクがその上方と下方とに締紐3aと締紐3bとを有していて、締紐3aが部材41aを介して第4部分34に取り付けられており、締紐3bが部材41bを介して第5部分35に取り付けられている。この防じんマスクを装着して締紐3a,3bに張力を作用させると、接顔クッション2を顔50に密着させることができるのであるが、締め紐3aはそれが顔50に向かって凹んでいる第4部分34に取り付けられていることによって、凸をなす第3部分33や第5部分35がたとえ先に顔50に接触しても、その凹んでいる第4部分34を顔50に向かって強く引き寄せて、第4部分34と顔50との間に間隙ができることを防ぐことに役立つ。 【図面の簡単な説明】 【0034】 【図1】本発明に係る使い捨て式防じんマスクの側面図。 【図2】図1の防じんマスクの斜視図。 【図3】図1の防じんマスクの正面図。 【図4】図1の防じんマスクと顔との側面図。 【図5】従来例の使い捨て式防じんマスクの側面図。 【図6】図5の防じんマスクの斜視図。 【図7】図5の防じんマスクの正面図。 【図8】図5の防じんマスクと顔との側面図。 【図9】図5とは異なる従来例の使い捨て式防じんマスク。 【符号の説明】 【0035】 1 フィルタ部 2 接顔クッション 2a 開口 2b 外周縁部 3a,3b 締紐 31 第1部分 32 第2部分 33 第3部分 34 第4部分 35 第5部分 40 外周縁部 50 顔 52 口部 53 鼻梁部 54 顎部 56 第1点 57 第2点 58 第3点
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000162940 【氏名又は名称】興研株式会社
|
| 【出願日】 |
平成19年11月9日(2007.11.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100066267 【弁理士】 【氏名又は名称】白浜 吉治
【識別番号】100134072 【弁理士】 【氏名又は名称】白浜 秀二
|
| 【公開番号】 |
特開2008−49194(P2008−49194A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月6日(2008.3.6) |
| 【出願番号】 |
特願2007−292547(P2007−292547) |
|