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【発明の名称】 マイクロ波治療器
【発明者】 【氏名】川端 勲二

【氏名】木下 典郎

【氏名】井上 基喜

【要約】 【課題】インピーダンス調整が簡単で、最適な状態で使用でき、より治療効果の高いマイクロ波治療器を提供する。

【構成】アンテナ4に沿ってスライドできるシースCを設け、これをスライドしてアンテナ4の負荷とのインピーダンスを整合させるようにした。また、アンテナ4の基底部にテーパを付けて伝送線とアンテナ4のインピーダンス整合をとるようにした。このため、簡単に正確にインピーダンス調整ができる。生体からの反射波を検出してそのレベルを表示するようにし、アンテナ4と患部の距離を適切にして効果的な治療をおこなうことができるようにした。さらに、照射部設けたゲージ8又はアンテナカバーを生体に接触させたときアンテナ4と生体との距離が適切になるようにし、誰でも簡単に、アンテナ4を患部から最適な位置にして、効果的な治療をおこなうことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波発生部を内蔵する治療器本体(2)と、
マイクロ波発生部で発生したマイクロ波をアンテナに伝送する伝送線(6)と、
伝送線(6)から送られたマイクロ波を輻射するヘリカルアンテナ(4)と、
治療器本体(2)に設けたアーム(3)を有し、
伝送線(6)やヘリカルアンテナ(4)等からなる照射部(1)をアーム(3)で支持し、アーム(3)を操作して照射部(1)を患部近傍に移動させて治療をおこなうマイクロ波治療器において、
ヘリカルアンテナ(4)と同じヘリカル形状のシース(C)をヘリカルアンテナ(4)に接続し、シース(C)はヘリカルアンテナ(4)に沿って移動させることができるようにし、シース(C)を移動させてヘリカルアンテナ(4)の長さを変えて、アンテナと負荷とのインピーダンスを整合させることができるようにした、マイクロ波治療器。
【請求項2】
請求項1記載のヘリカルアンテナ(4)の基底部にテーパをつけ、伝送線(6)とヘリカルアンテナ(4)のインピーダンスを整合させるようにし、照射部の軽量化と低価格化を実現した、請求項1記載のマイクロ波治療器。
【請求項3】
マイクロ波発生部で発生したマイクロ波をアンテナに伝送する伝送線(6)と、伝送線(6)から送られたマイクロ波を輻射するアンテナ(4)とを有するマイクロ波治療器において、
負荷からの反射波を検出しモニタできるようにしたマイクロ波治療器。
【請求項4】
マイクロ波発生部で発生したマイクロ波をアンテナに伝送する伝送線(6)と、伝送線(6)から送られたマイクロ波を輻射するアンテナ(4)とを有するマイクロ波治療器において、
負荷からの反射波を検出しモニタできるようにした、請求項1又は請求項2記載のマイクロ波治療器。
【請求項5】
マイクロ波発生部で発生したマイクロ波をアンテナに伝送する伝送線(6)と、伝送線(6)から送られたマイクロ波を輻射するアンテナ(4)とを有するマイクロ波治療器において、
ゲージ(G)又はアンテナカバー(9)を生体(S)に接触させたとき、生体とアンテナとの距離が適切になるように設計したゲージ(G)又はアンテナカバー(AC)を使用し、生体とアンテナの距離を適切に保ちながら治療できるようにしたマイクロ波治療器。
【請求項6】
マイクロ波発生部で発生したマイクロ波をアンテナに伝送する伝送線(6)と、伝送線(6)から送られたマイクロ波を輻射するアンテナ(4)とを有するマイクロ波治療器において、
ゲージ(G)又はアンテナカバー(9)を生体(S)に接触させたとき、生体とアンテナとの距離が適切になるように設計したゲージ(G)又はアンテナカバー(AC)を使用し、生体とアンテナの距離を適切に保ちながら治療できるようにした請求項1又は請求項2記載のマイクロ波治療器。
【請求項7】
マイクロ波発生部で発生したマイクロ波をアンテナに伝送する伝送線(6)と、伝送線(6)から送られたマイクロ波を輻射するアンテナ(4)とを有するマイクロ波治療器において、
伝送線(6)の端部に固定金具(7)を設置し、固定金具(7)に回転自在に反射器(5)を接続し、伝送線(6)の被覆線と反射器(5)とを電気的に接続し、伝送線の芯線にアンテナ(4)を接続したマイクロ波治療器。
【発明の詳細な説明】【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
【0001】
本発明は、理学療法分野の温熱治療に使用するマイクロ波治療器のアンテナの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波治療器はマイクロ波を生体に照射して加温する温熱治療器である。図7に従来のマイクロ波治療器の例を示す。図7(A)はマイクロ波治療器を用いた治療の様子を示す。図の71は照射部、72は装置本体、73はアーム、Sは生体、Lはアンテナと生体の距離である。アーム73は照射部を支持し、アンテナを生体Sから距離Lの空間に固定する。図7(B)は、装置の電気的構成図の例である。74はアンテナ、75はマイクロ波の反射器、76は伝送線とアンテナのインピーダンスを整合する整合器、77は伝送線である。装置本体72内のマイクロ波発生部78で発生させたマイクロ波は、伝送線77を経由して、アンテナ74から生体に向けて輻射される。アンテナ74は、図にはヘリカルアンテナを示しているが、他にも各種のアンテナが使用される。
【0003】
伝送線77とアンテナ74はインピーダンスが異なるため、そのまま接続して使用すると接続部で反射が生じ、定在波が生じ、伝送線77の焼損やマイクロ波発生部の破損等の不都合が生じる。そこで、伝送線77とアンテナ74の間にインピーダンス整合器76を挿入して、インピーダンスを整合させるようにしている。
【0004】
アンテナのインピーダンスは、アンテナの負荷(生体)によって変化する。このため、図7のように、インピーダンス整合器76を挿入して、伝送線77とアンテナ74のインピーダンスを整合させても、負荷によって反射波が生じる。
【0005】
これらを勘案して、実際の治療時に反射波が少なくなるように、生産の段階で、図7(A)のように実際の治療の状態にしてインピーダンスの調整をおこなっている。図7(C)はインピーダンス調整をおこなうための回路構成図である。74はアンテナ、76はインピーダンス整合器、77は伝送線、78はマイクロ波発生部、79は定在波モニタである。調整は、インピーダンス整合器76で伝送線77とアンテナ74の整合をとった上で、アンテナの前方に実際の治療のように生体又は生体模擬材(ファントム)を置き、定在波モニタ79で定在波つまり反射波をモニタしながら、アンテナのインピーダンスを調整し、定在波(反射波)が所定の範囲に入るようにしている。図はヘリカルアンテナの例であるが、このインピーダンスはヘリカル長によるため、その先端を少しずつ切断して(アンテナの長さを変えて)インピーダンスを調整していた。
【0006】
治療では、このようにして調整されたマイクロ波治療器を、アンテナ74を生体Sから距離Lだけ離して、非接触で使用する。アンテナと生体との距離が変化すると、生体の電波吸収率が変化し、治療効果も異なるので、適正な距離にアンテナをセットしなければならないが、従来はこの手段がなかったため、施術者の勘によってアンテナを適当な位置において使用されていた。
【0007】
伝送線とアンテナの接続は、伝送線に同軸ケーブルを用い、その芯線にアンテナを、また同軸ケーブルの被覆線に反射器を、それぞれ接続・固定して使用していた。
ヘリカルアンテナは、図7に示すように、導電性の線材をらせん状に成形したもので、ヘリカルの直径rは一定で、その一端を折り曲げてヘリカルの中心にくるようにして同軸ケーブル型伝送線路の芯線に接続していた。
一部には、図7(D)に示すように、金属性回転ジョイントを用い、伝送線の周りをアンテナ及び反射器が自由に回転できるようにしているものもあった。これは伝送線の芯線だけでなくアンテナも回転ジョイントで結合していた。
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
伝送線77とアンテナ74のインピーダンスは異なるので、そのまま接続して使用すると反射波が生じ、伝送線77が焼損したしたりマイクロ波発振器が破損する等の不都合が生じるため、伝送線とアンテナの間にインピーダンス整合器76を挿入してインピーダンスを整合させていたこのため、整合器の価格と、これを組み込む手問と人件費が必要となり、装置のコストアップ要因になっていた。また、整合器76を用いると、照射部71全体の重量が増すので、照射部71をアーム73で支えて使用している間に、アーム73の保持力が甘くなり、照射部が自重で垂れ下がり、治療中に照射部位が患部からずれることがあった。この場合、患部を正しく照射しないので、治療効果が低下するし、照射したくない部位に、場合によっては照射してはならない部位にマイクロ波が照射されるので安全性が損なわれる可能性もある。また、アームの保持力が低下すると、所定の空間に所定の方向に向けてアンテナを固定することが難くなるので、アンテナの位置決めに手間がかかり、治療の効率が低下する。このような不都合を解決することが、本出願の第一の課題である。
【0009】
前述のように、治療を最適な状態でおこなうためには、治療時(負荷が有る状態)に、反射波が所定値以下になるように、アンテナのインピーダンスを調整しなければならない。これを従来は、図7(C)のように、アンテナを無反射終端又は自由空間に向け、反射波をモニタしながら、アンテナの先端部を少しずつ切断し、反射波が所定の範囲以下に納まるようにしていた。しかし、どの程度切断すれば良いのかは事前には不明であるため、調整する人の勘に頼って切断し、切断する毎に反射波を測定し、これを反射波が所定値以下になるまで繰返していた。このため、反射波を所定の範囲にするには手間がかかっていた。また、この方法では最適値にするための連続操作は不可能であるため、製品毎に反射波のばらつきは大きく、精度の良い品質管理はできなかった。さらに、アンテナを切り過ぎると、半波長程度、余分に切り取って調整する必要があるので、アンテナの指向性が変化し、治療効果に差がでることもある。場合によってはアンテナが使用できなくなり、廃棄しなければならなくなる。このような問題を解決することが本出願の第二の課題である。
【0010】
マイクロ波治療では、アンテナを生体からある距離Lだけ離し、非接触的に治療をおこなうが、アンテナと生体の距離が変わると電磁波の反射率が変わる。このため、効果的な治療をおこなうためには、この距離を正しくすることが重要である。しかし、従来はアンテナと生体の距離を正しく設定する手段は無かったため、施術者が勘によって適当な距離にして使用していた。このため、施術者によって、また患者毎に、治療効果はばらついていた。これを解決することが本出願の第三の課題である。
【0011】
マイクロ波治療では、アームとアンテナを操作し、アンテナの位置と向きを正しくして使用しなければならない。このとき、通常は反射器を持って移動したり角度を変えたりするので、伝送線とアンテナを固定しているものでは、伝送線に捩れ力が加わって破損することがある。これを解決するために、図7(D)のように回転ジョイントを用いているものもあるが、使用しているうちに回転部分の接触が甘くなり、故障の原因になる。これを解決することが本出願の第四の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの課題を解決するために、請求項1記載の発明では、ヘリカルアンテナの基底部にテーパをつけて、アンテナと伝送線のインピーダンスを整合させるようにし、インピーダンス整合器を使用しなくてもすむようにした。
【0013】
また、請求項2記載の発明では、アンテナに、アンテナとほぼ同じ形状のシースを接続し、シースはアンテナに沿って移動させることができるようにし、シースを移動させてアンテナのインピーダンスを調整するようにした。
【0014】
さらに、請求項3記載の発明では、反射波を検出してモニタできるようにしたこのため、この技術を用いると、アンテナを適切な距離に保つことができる。また、請求項4記載の発明では、ゲージ又はアンテナカバーを生体に接触させたとき、アンテナと生体との距離が適切になるように設計したゲージ又はアンテナカバーを用い、生体とアンテナとの距離を適切に保って治療できるようにした。
【0015】
第4の課題を解決するために、請求項5記載の発明では、伝送線(6)の端部に固定金具(7)を設置し、固定金具(7)に反射器(5)を回転自在に接続し、伝送線(6)の被覆線と反射器(5)とを電気的に接続し、伝送線の信号線にアンテナ(4)を接続し、反射器を持って操作しても伝送線に捩れ力がかからないように、アンテナは伝送線に直結して接続を確実にした。
【作用】
【0016】
請求項1記載の発明により、ヘリカルアンテナの基底部にテーパをつけ、アンテナと伝送線のインピーダンスを整合させるようにした。このためインピーダンス整合器を使用しなくてもすむ。
【0017】
請求項2記載の発明により、アンテナにシースを接続し、シースはアンテナに沿って移動できるようにし、シースを移動させてアンテナのインピーダンスを調整できるようにした。このため、誰でも簡単に、反射波をモニタしながらアンテナのインピーダンスを連続的に変化させ、反射波が所定値以下になるように調整することができる。
【0018】
請求項3記載の発明により、反射波を検出しモニタできるので、生体からアンテナまでの距離が適切かどうかが判り、誰でも簡単にアンテナと生体との距離を最適にして治療をおこなうことができる。
【0019】
請求項4記載の発明によるゲージ又はアンテナカバーを生体に接触させるだけで、アンテナから生体までの距離を適正に保つことができる。このため、誰でも簡単に最適な治療をおこなうことができる。
【0020】
請求項5記載の発明により、反射器を持ってアンテナの位置と方向を合わせても、反射器が自由に回転するので、伝送線には捩れ力が発生せず、故障を低減できる。しかも、アンテナは伝送線に直付けしているので、信頼性が向上する。
【実施例】
【0021】
図1は本発明によるマイクロ波治療器で治療をおこなっている様子を示す。図1の1は照射部、2は装置本体、3はアーム、Sは生体である。請求項1記載の発明により、アンテナの基底部(伝送線との接続部側)にテーパを付けて伝送線とアンテナのインピーダンス整合をおこなっており、インピーダンス整合器は使用していない。また、図示はしていないが、請求項2記載の発明により、アンテナにシースCを接続し、反射波が所定の範囲内になるように、製造段階でインピーダンス整合を取っている。また、請求項3記載の発明により、反射波検出部7で反射波を検出し、アンテナと生体との間隔が最適になっているかどうかを表示するので、これをもとにアンテナと生体との距離Lを決定している。この代わりに、請求項4記載の発明を用いてもよい。また、請求項5記載の発明により、反射器を回転自在にし、反射器を持って捩っても、伝送線には捩れ力がかからないようにしている。
【0022】
治療まえに、アーム3を操作してアンテナを患部近傍に運び、反射波のレベルを反射波検出部のモニタで確認しながら反射器を持ってアンテナの位置と方向を調整し、適正な距離から垂直に電磁波が照射できるようにする。治療を開始すると、装置本体2でマイクロ波を発生し、照射部1を経由してアンテナから生体に照射し、所定の温熱治療を行う。以下に、請求項別に実施例を詳しく説明する。
【0023】
請求項1記載の発明の実施例を図2に示す。図の4はアンテナ、5は反射器、6は伝送線である。アンテナ4は半径rのヘリカルアンテナで、伝送線6との結合部の近傍、図2のA領域で、半径ゼロからrまで徐々にヘリカル径を拡開、つまりテーパを付けている。アンテナの理論によると、ヘリカルアンテナの入力インピーダンスは、ヘリクス長が2.5波長以上では100〜150Ωと一定になる。また、ヘリカルアンテナに、ヘリクス周が0.75〜1.33のテーパを付けて、インピーダンスが50Ωの伝送線とを結合すると、定在波比を低くすることができることが知られている。そこで、請求項1記載の発明では、このようなテーパを付けたヘリカルアンテナを使用することで、伝送線6とアンテナ4とのインピーダンス整合をおこない、インピーダンス整合器を用いなくてもよいようにした。このような方法は、アンテナの理論では解析されていたが、マイクロ波治療器で応用された例は無かった。
【0024】
従来のマイクロ波治療器は、図7(B)のように、伝送線76とアンテナ74との間にインピーダンス整合器76を用いていたので、前述のような重量やコスト等の様々な問題が生じていた。本請求項記載の発明により、整合器を用いなくても済むため、整合器のコストと、整合器を組み込む手間とコストを無くすことができる。また、重量も低減できるため、アームの耐久性が増し、アームをよりコンパクト且つ低コストに設計することができる。このため照射部位を正しく照射することができ、治療効果と安全性を高くすることができる。
【0025】
請求項2記載の発明の実施例を図3に示す。図はヘリカルアンテナのみ示している。ヘリカルアンテナ4の先端部にパイプ状のシースCにを接続している。シースCの内径はアンテナの線径よりもわずかに大きく(ほぼ同じ)、肉厚の薄いパイプを使用し、これをヘリカルアンテナ4と同じ半径で同じヘリカルピッチに成形している。このため、シースCを移動させるとヘリカルアンテナの長さが変わり、アンテナのインピーダンスを変化させることができる。これを用い、装置を生産する段階で、図7(C)と同様に、反射波(定在波)をモニタしながら、シースCを動かして、反射波が所定の範囲に入るように調整してシースCをアンテナ4に固定するようにした。
【0026】
従来は、図7(B)に示すように、反射波(定在波)をモニタしながら、カット−アンド−トライでアンテナを切断し、反射波が所定の範囲に入るようにしていた。この方法では、反射波をほぼ所定の範囲に収めることはできるが、非常に手間がかかり、調整の効率が悪かった。また、製品毎に定在波のばらつきが大きく、十分に品質管理をおこなうことはできなかった。さらに、切り過ぎて、一旦、反射波のレベルが所定範囲を越えると、次に反射波が最低になる点まで約半波長の長さを切断しなければならないので、アンテナの全長が短くなり、放射パターンが変化して、治療効果が低下し、場合によってはアンテナとして使用できなくなり、廃棄しなければならなくなることもあり、これに伴ってコストが増加していた。
【0027】
本請求項記載の発明により、シースCを移動させるだけで、インピーダンスを最適に整合させることができるので、調整が簡単になり、大幅に手間を省略でき、より精度の高い品質管理が可能になる。また、アンテナを切断する必要がないので、放射パターンが悪化するものは無くなり、生産性も向上し、廃棄処分も無くなるため、治療効果の向上とコスト面での改善が可能になる。この実施例では、パイプ状のシースCに棒状のアンテナを差し込む例を示したが、逆に、ヘリカルアンテナをパイプ状に、シースCを棒状にしてもよい。実質的にヘリカルアンテナのインピーダンスを調整できるものであれば、どのような手段を用いてもよい。シースCをアンテナに固定する方法は、半田、カシメ、ネジ止めその他、実質的にアンテナの性能に影響を与えなければ、どのような手段を用いてもよい。図3には、ヘリカルアンテナの基底部にテーパが入っていない例を示しているが、請求項1記載の発明のアンテナに応用してもよい。また、ダイポールアンテナその他に適応してもよい。本請求項記載の発明は、アンテナの種類は問わない。
【0028】
請求項3記載の発明の実施例を図4に示す。図の4はアンテナ、5は反射器、6は伝送線、7は反射波検出部である。マイクロ波を照射すると生体で反射するが、アンテナと生体との間隔が変わると反射波の強度が変化し、反射波が最小のとき、電磁波は最も多く生体に吸収され、最も効果的な温熱治療が可能になる。そこで本請求項記載の発明では、反射波検出部7を、反射波を検出するセンサと、検出した反射波のレベルを表示する表示部とで構成した。アンテナを生体に近づけると反射波のレベルが変化し、これを表示する。表示部で反射波のレベルをモニタしながらアンテナを患部に近づけ、反射波のレベルが適当と表示されたところにアンテナを置いて治療を行うと、効果的な治療をおこなうことができる。
【0029】
従来は、アンテナの適切な位置を示すインジケータが無かったので、施術者は勘と経験とで、適当と思われる位置にアンテナを置いて治療をおこなっていた。このため、治療毎に電磁波の吸収量が異なり、治療効果にも差があり、最適な治療が行なわれていたとは言い難かった。
【0030】
本発明によると、アンテナを生体に近づけ、適切と表示された位置にアンテナを置いて照射すると、適切な治療をおこなうことができるので、誰でも簡単に、負荷の特性が異なって生体との適切な距離が変化しても、常に最適な効果的な治療をおこなうことができる。反射波検出部7には、センサにループアンテナを、表示器にLEDをそれぞれ用いて、反射波が所定値以下のときLEDを点灯又は消灯するようにすると、本請求項記載の発明を簡単に実現することができる。反射波検出部7のセンサは、この例ではアンテナとしたが、反射波のレベルを検出できるものであればどのようなセンサを用いてもよい。また、表示は量で表してもよいし、有る無しの2値で表してもよい。要は施術者が識別できればよい。また、表示の種類は光や音その他なにを用いてもよい。反射波検出部7の取り付け位置は、図4では反射器5に付けた例を示しているが、アーム3や装置本体2、あるいは装置とは別に取り付けてもよく、反射波を検出できる位置であればどこでもよい。また、センサと表示器を別々の位置に取り付けてもよい。
【0031】
請求項4記載の発明の実施例を図5に示す。図5(A)はアンテナの先端部に、棒状のゲージ8を付けた例である。ゲージの先端を生体Sに接触させたとき、アンテナと生体との距離が、適正な距離になるようにしている。ゲージの長さは理論的に又は経験によって決定してもよいが、ゲージの長さをほぼ妥当な長さにしておき、請求項2記載の発明を用いてシースCを移動させて、反射波のレベルが所定の範囲内に入るようにしてもよい。本請求項記載の発明により、ゲージの先端を生体に接触させたときアンテナと生体との距離が適正な距離になるようにしているので、実際の治療では、アンテナを操作してゲージを患部近傍の皮膚に当てるだけで、アンテナと生体の間隔は適正に保たれ、誰でも簡単に、適切な治療を行うことができる。この例では棒状のゲージを示したが、アンテナと生体の間隔を適正に保つことができればよいので、どのような形状のものでもよい。また、ゲージは、光や音その他で距離を検出するものでもよい。
【0032】
図5(B)は請求項4記載の発明の別の実施例である。この照射部は、反射器5にアンテナカバー9を付けたもので、アンテナカバー9を生体Sに接触させたとき、アンテナと生体の間隔が適性になるように設計している。つまりアンテナカバー自体がゲージになっている。アンテナカバー9は、アンテナカバー9を生体に接触させたとき反射波が所定の範囲内に入るように、理論的に又は経験的に決定すればよい。又は、アンテナカバーの形状を妥当と思われる程度に設計しておき、アンテナカバー9を生体に接触させた状態で、請求項2記載の発明を用いてシースCを移動させて、反射波のレベルが所定の範囲内に入るようにアンテナを調整してもよい。アンテナカバー9を生体に接触させたとき、反射波が所定の範囲内に入ればよいので、アンテナカバーはどのような形状にしてもよい。アンテナカバー内及びアンテナカバー自体が空気と異なる誘電率にすると、アンテナと生体との最適な間隔は変化する。このような場合も、反射波が所定の範囲に納まるようにゲージ又はアンテナカバーの厚さを変えればよい。
【0033】
スリットアンテナやレッヘル型アンテナ、ループアンテナ等も使用されるが、これらはインピーダンスの調整がし難く、アンテナと生体との適切な距離はほぼ決まっている。このため、請求項4記載のゲージ又は設計されたアンテナカバーを用いると、アンテナと生体との距離を適切に保って効果的な治療をおこなうことができる。勿論、これらのアンテナでも、請求項3記載の発明を用いれば、適切な距離にして効果的な治療をおこなうことができる。
【0034】
なお、特許公報第2851654にはアンテナの近傍の物体を検出するマイクロ波治療器の技術が開示されているが、これはアンテナ近傍の物体を検出し、物体が無いときはマイクロ波を出力しないようにして、経済性、安全性、不要輻射の問題等に対応しようとするものである。これに対して本出願の請求項3及び4記載の発明は、反射波が所定値以下になる位置を示すもので、特許公報第2851654とは、目的、作用、効果など全ての点で異なるものである。
【0035】
請求項5記載の発明の実施例を図6に示す。図の4はアンテナ、5は反射器、6は伝送線、7は固定金具、8はバネ座金と回転金具を組み合わせた回転機構部である。伝送線6の端部に固定金具7を設置している。また、反射器5と回転金具9を固定し、固定金具7と回転金具との間にバネ座金を入れ、固定金具7に回転自在に接続して、しかも伝送線6の被覆線と反射器5とを電気的に接続している。一方、伝送線の芯線にアンテナ(4)を直接、接続している。このようにすることで、伝送線6を固定したまま、反射器5を回転させることができる。このため、反射器5を持って移動させても、伝送線には捩れ力は加わらず、破損は生じない。
【0036】
従来は、伝送線の被覆線と反射器とを、また芯線とアンテナとをそれぞれ直接接続していたため、反射器を持って捩りを加えると、伝送線に捩り力が生じ、破損することがあった。しかし本請求項記載の発明により、反射器を回転させても伝送線には捩り力が生じないため、破損することはない。このような捩れによる破損を防止するために、図8のような金属製の回転ジョイントを用いているものもあった。しかしこの方法では、伝送線の芯線だけでなくアンテナも回転ジョイントで結合していたので、何度も使用するうちに、結合部が磨耗し、ジョイントが甘くなり、インピーダンスが変化して反射波が生じ、治療効果が低下することもあった。しかし本請求項記載の発明では、伝送線の芯線とアンテナとを直結し、反射器は伝送線に回転自在にしかも電気的には接続されているため、このような不都合を減らすことができる。
【発明の効果】
【0037】
請求項1記載の発明により、テーパをつけたヘリカルアンテナを用いることで、インピーダンス整合器を使用しなくてもすむので、部品代と組立ての手間及びコストを低減することができる。また、照射部の重量も減らせるので、これを保持するアームの故障が減り、しかもアームをよりコンパクトに設計できるので、総合的なコストダウンが可能になる。さらに、治療中、照射位置がずれる頻度も低くなるので、より効果的で、安全な治療が可能になった。
【0038】
請求項2記載の発明により、アンテナに沿ってシースを連続的に移動させながら反射波が最小になるように調整できるので、この調整にかかる手間を大幅に低減することができる。また、反射波のレベルをより狭い範囲に収めることができるので、品質の揃った、高品質の、治療効果の高い製品にすることができる。さらに、従来はアンテナを切断してインピーダンスを調整していたので、アンテナを切り過ぎて放射パターンが変化し、治療効果が低下することもあった。また、アンテナを切りすぎて、所定の仕様を満たせなくなることもあり、このような場合は廃棄せざるを得ず、全体のコストを高くする要因になっていた。本請求項記載の発明により、放射パターンは低下せず、治療効果を高くすることができ、しかもコストを低減することが可能になった。
【0039】
請求項3及び請求項4記載の発明により、誰でも簡単に、アンテナと生体との距離を最適に保つことができる。このため、施術者による治療効果のばらつきはなくなり、常に、より効果的な治療をおこなうことが可能になった。
【0040】
請求項5記載の発明により、伝送線に捩れ力がかからないように反射器を操作できるので、伝送線の破損や故障が少なくなり、このため、修理にかかる手間とコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるマイクロ波治療で治療をおこなっている様子を示す
【図2】請求項1記載の発明の照射部の実施例である。
【図3】請求項2記載の発明のヘリカルアンテナ先端部の実施例である。
【図4】請求項3及び4記載の発明の実施例である。
【図5】請求項5及び6記載の発明の2つの実施例である。(A)は照射部の先端にゲージを設けた例で、(B)はアンテナカバーを生体に接触させたとき生体とアンテナとの間隔が適切になるようにアンテナカバーを設計した例である。
【図6】請求項7記載の発明の実施例である。
【図7】従来のマイクロ波治療の例で、(A)は治療をおこなっている様子を、(B)は照射部の構造、(C)は反射波を少なくするための調整法を、(D)は伝送線とアンテナ部とを金属製の回転ジョイントで結合したタイプの照射部の例である。
【符号の説明】
1・・・照射部 2・・・治療器本体
3・・・アーム 4・・・アンテナ
5・・・反射器 6・・・伝送線
7・・・反射波検出部 8・・・ゲージ
9・・・アンテナカバー S・・・生体
L・・・アンテナと生体の距離
r・・・ヘリカルアンテナのヘリカル径
C・・・シース
71・・・照射部 72・・・治療装置本体
73・・・アーム 74・・・アンテナ
75・・・反射器 76・・・インピーダンス整合器
77・・・伝送線 78・・・マイクロ波発振部
79・・・反射波(定在波)モニタ
P1、P2、P3・・・切断する点
【出願人】 【識別番号】000114190
【氏名又は名称】ミナト医科学株式会社
【出願日】 平成19年8月14日(2007.8.14)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−43773(P2008−43773A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2007−234724(P2007−234724)