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【発明の名称】 バッテリ給電式の患者の皮下挿入器具
【発明者】 【氏名】シュールマン ジョセフ エイチ

【氏名】デル ロバート ダン

【氏名】ゴード ジョン シー

【要約】 【課題】従来、神経や筋肉のような組織を刺激する装置は、ユーザーが励起コイルに密着して留まっている必要があった。

【構成】本発明は例えば神経や筋肉のような組織を刺激し、かつ/またはパラメタを監視し、かつ/またはデータ通信を行う目的で、患者の皮下に挿入するように構成された器具に関する。本発明に基づく器具は、標準的には軸方向の寸法が60mm、横方向の寸法が6mmであり、コントローラ(130)と、アドレス記憶装置(132)と、データ信号受信機と、入力/出力トランスデューサとを含む電子回路に給電するための再充電可能なバッテリを含んでいる密閉されたハウジング(110)を備えてなっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の皮下に挿入するように構成された器具であって、
軸方向の寸法が60mm未満で、横方向の寸法が6mm未満である密閉された細長いハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも一部が配置された、少なくとも1つの電力入力端子を有する電力消費回路と、
少なくとも1つの電力出力端子を有し、少なくとも1マイクロワット時のエネルギ有することができる再充電可能なバッテリと、
前記電力出力端子を前記電力入力端子と電気的に結合して、前記回路に電力を供給するための手段と、
患者の身体の外部で発生された電磁エネルギに応動して充電電流を発生するための充電回路と、
前記充電電流を前記バッテリに印加する手段と、を備えてなる器具と、
患者の身体の外部に配置されるコイルと、
前記コイルをAC電流で付勢して、前記充電電流にエネルギを供給する交番磁界を発生するための手段と、
を備えてなることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記バッテリが、
ケースと、
該ケース内に実装された第1導電性プレートと、
該第1プレートに対して対向し、間隔を隔てた位置関係で前記ケース内に実装された第2導電性プレートと、
前記第1と第2のプレートの間に配置された電解質とを含み、
前記プレートが間隙を含み、内部の渦電流を抑止するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
患者の身体の皮下に挿入される1つ、またはそれ以上の電力給電器具に交番磁界を供給するための充電装置であって、前記各々の電力給電器具は該器具の各々の内部に実装された再充電可能なバッテリによって給電され、前記再充電装置が、
前記患者の身体の外部の1つ、またはそれ以上の前記電力給電器具の近傍に取付けるように構成されたコイルと、
AC信号を周期的に供給して前記コイルを付勢されるコントローラと、
を備えてなり、
前記コントローラは前記電力給電器具に周期的に制御信号を供給して、選択的に内部に取付けられた前記再充電可能なバッテリの状態を呼掛け、かつそれに応答して状態信号を受信する通信手段を含むことを特徴とする充電装置。
【請求項4】
前記通信手段が前記制御信号で前記AC信号を振幅変調し、かつそれに応答して前記状態信号で振幅変調されたAC信号を受信することを特徴とする請求項3に記載の充電装置。
【請求項5】
変調された出力信号を発信し、かつ変調された入力信号を受信することができるトランスデューサを更に含んでいると共に、前記通信手段が前記トランスデューサの出力を前記制御信号で変調し、かつそれに応答して前記状態信号で変調された入力信号を受信することを特徴とする請求項3に記載の充電装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は患者の皮下に挿入するように構成された器具に関し、特に例えば神経または筋肉のような組織の刺激、および/またはパラメタの監視、および/またはデータ通信を含む種々の目的のために電子回路に給電するためのバッテリを内蔵した上記の器具に関する。
【背景技術】
【0002】
組織の刺激のための皮下挿入器具(すなわちマイクロスティミュレータ)はこの分野では公知である。例えば本明細書に参考文献として引用されている米国特許明細書第5,193,539号;5,193,540号;5,312,439号;5,324,316号;5,358,514号;5,405,367号;5,571,148号を参照されたい。
【0003】
このような公知のマイクロスティミュレータは、間隔を隔てた電極の間に僅かな電流を発生する電子回路を収納した密閉されたハウジングを特徴としている。目標の組織の近傍にマイクロスティミュレータを精密に挿入することによって、電流が神経を刺激して、医学的に有益な結果が得られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
標準的には、このような従来形のマイクロスティミュレータは例えばマイクロスティミュレータの近傍に実装された励振コイルによって発生される外部のAC磁界と誘導的に結合された内部コイルから動作電力を誘導する。内部コイル内に誘導されたAC電圧は整流され、かつ濾波されて、DC動作電圧が生成され、これが電子回路の給電に利用される。このような構成では、組織の刺激を維持するために、ユーザーが励振コイルに密着して留まっている必要がある。
【0005】
【特許文献1】米国特許第5324316号明細書
【特許文献2】米国特許第4414979号明細書
【特許文献3】国際公開第96/20754号
【特許文献4】特開平5−245215号公報
【特許文献5】特開平5−135756号公報
【特許文献6】特開昭63−88757号公報
【特許文献7】特表昭61−501179号公報
【特許文献8】特開平9−37365号公報
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は例えば神経または筋肉のような組織の刺激、および/またはパラメタの監視、および/またはデータ通信の目的のために患者の皮膚の下に挿入するように構成された器具に関する。本発明に基づく器具は、好適には軸方向の寸法が60mm未満、横方向の寸法が6mm未満で、入力/出力トランスデューサを起動するために電力消費回路に少なくとも1マイクロワット時を供給できる自蔵式電源を含む密閉されたハウジングからなっている。各々の器具の回路は好適には遠隔操作でアドレス可能であり、データ信号受信機と器具コントローラとを含んでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
器具の使用意図に応じて、電力消費回路を例えば嚢状組織の刺激のために比較的短期間だけ高負荷電流を要求するように、または例えば骨の成長刺激のために大幅に長い期間、または継続的に低負荷電流を要求するように設計することができる。本発明に基づいて、本発明に基づく電源は、標準的な用途で1時間以上に亘って回路に給電でき、ひいてはユーザーが外部の磁界発生器と継続的に結合されなくても済むように、少なくとも1マイクロワット時の容量を有している。
【0008】
本発明の重要な側面に基づいて、電源は好適には間に電解質を含む一対の導電板によって形成されたバッテリからなっている。バッテリは好適には渦電流の形成が最小限になるように物理的に構成されている。
【0009】
本発明の好適に実施例に基づき、バッテリを再充電するための充電回路が備えられている。充電回路は外部で発生されるAC磁界に応動して充電電流を発生可能である。
本発明の更に別の側面では、外部充電器を使用して前述の充電回路にエネルギを供給するためのAC磁界が周期的に発生され、好適な1実施例はバッテリの状態を表す外部充電器へのデータ信号を発生する手段を含んでいる。
【0010】
本発明の更に別の側面では、システムで使用される各々の皮下挿入器具内に識別アドレスが記憶されていることで、個々の器具のアドレス指定が可能である。すなわち、各器具内のデータ信号受信機はその器具に記憶されているアドレスを識別するデータ信号に応答して、器具の入力/出力トランスデューサを起動する。
【0011】
本発明に基づく入力/出力トランスデューサは好適には少なくとも1つの電極を備えている。神経の刺激用に使用される場合、コントローラは電極に一連の励振パルスを供給して、隣接する神経を刺激する。パラメタ監視用に使用される場合は、電極はある身体状態を示す電気信号を監視するために利用される。
【0012】
本発明の好適な実施例の重要な特徴に基づき、皮下挿入可能な各々の器具は下記の動作モードの1つ、またはそれ以上で選択的に動作するように個々にアドレス指定、およびプログラムされることができる。すなわち、(1)刺激、(2)監視、および/または(3)通信である。
【0013】
本発明の新規な特徴は特に添付の請求の範囲に記載されている。本発明は添付図面を参照した以下の説明から最も明解に理解されよう。
【実施例】
【0014】
本発明は例えば神経または筋肉のような組織の刺激、および/またはパラメタの監視、および/またはデータ通信の目的のために患者の皮下に挿入するように構成された器具に関する。本発明に基づく器具は、好適には軸方向の寸法が60mm未満、横方向の寸法が6mm未満で、電源と、コントローラ、アドレス記憶手段、データ信号受信器、および入力/出力トランスデューサを含む電力消費回路とを含む密閉されたハウジングからなっている。スティミュレータとして使用する場合は、このような器具は例えば苦痛を軽減、または除去し、身体機能を良好にするために特定の筋肉または器官を刺激する(例えば衰弱した、または未調整の筋肉を鍛練するため、または尿失禁を抑制するため))等の神経および関連する神経経路を刺激するための多様な用例で有用である。本発明のマイクロスティミュレータは好適には磁気、無線周波数(RF)または超音波信号を介した制御目的のために個々にアドレス指定可能である。
【0015】
図1は送信機20によって付勢される外部に実装されたコイル19によって発生される交番磁界を介して外部の電源14からの電力を受ける、患者の皮膚12の下に挿入される(前述の米国特許明細書第5,312,439号の図1に示すような)従来形の皮下挿入スティミュレータ10の実施例を示している。スティミュレータ10内では、磁界がコイル22内でAC電流を発生し、これは整流器24によって整流され、かつ調整器28と組み合わせてコンデンサ26内に蓄電されて、論理回路30に給電する電圧を発生する。次に論理回路30を利用して電極32と34の間に刺激電流が発生される。制御論理30は動作電力の供給にはコンデンサ26内に蓄積された電力に依存するので、標準的には外部電源14が除去された後の短期間で、コンデンサ26内に蓄積された電荷が減損するので、論理回路は機能を停止する。その結果、例えば神経経路の痛みを抑制するために継続的な刺激が必要な用例でこのようなスティミュレータ10を使用する場合、外部電源14が継続的に存在し、起動される必要がある。このように継続的に外部電源を備えることは携帯式電源を使用することによって達成できるものの、それが物理的に存在することでライフスタイルに制約が生ずるものと考えられる。
【0016】
これに対して、図2は外部電源を継続的に使用する必要なく、より長い期間、すなわち1時間以上も組織(例えば神経経路または神経)を刺激できる(マイクロスティミュレータとして構成された)本発明の給電式皮下挿入器具100のブロック図を示している。その結果、ある実施例では好適なマイクロスティミュレータ100を使用して外部電源を取り外したかなり後でも、より長い期間に亘って選択された神経の痛みを抑止することができる。本発明のマイクロスティミュレータ100は例えば再充電可能なバッテリ104のような電源102を密閉するための密閉ハウジング206(図5を参照)、および(1)電源102によって給電され、かつ識別アドレス(ID)が記憶されたアドレス記憶回路108を有するコントローラ回路106と、(2)電源102によって給電され、かつコントローラ回路106の制御下で動作して、1つ、またはそれ以上の電極(すなわちトランスデューサ)112に励振パルスを供給するための刺激回路110と、(3)指令およびアドレス識別情報をコントローラ回路106に供給するための受信機114とを含む電力消費回路とを備えてなっている。
【0017】
好適な実施例では、電源102は充電回路と組合わせて使用され、コントローラ回路106と刺激回路110とをより長期間起動させるのに充分な電力を供給するための再充電可能なバッテリ104からなっている。しかし、あるいは本発明の実施例は、養生処置が比較的短期間であり、ひいては電力需要が主バッテリの電力容量内にあるような用例では、再充電可能なバッテリ104の代わりに主バッテリを使用してもよい。
動作時には、コイル116は外部電源118(図3Aを参照)から発生される交番磁界の形式の電力を受け、それに応動してAC電流を整流器120に供給し、この電流は整流されたDC電流として充電回路122に送られる。次に充電回路122はバッテリ104上の電圧Vを監視し、好適な充電特性(電流および電圧)に基づいてバッテリを充電する。後により詳細に説明するように、充電回路122は好適には経路124を経てコントローラ回路106と通信し、一方、このコントローラ回路は磁気、超音波またはRF信号を介して外部電源118と周期的に通信する。
【0018】
標準的な用例(図3Aを参照)では、例えばマイクロスティミュレータのような複数個のこのような器具100が患者の身体の皮膚12の下に挿入され、同時に外部電源118からの交番磁界154にさらされる。従って、充電回路122によってバッテリ104が充分に充電されたことが一旦判定されると、充電回路122は好適には例えばセンタタップ126を分路させ(またはコイルにコンデンサを追加することによって)コイル116を離調させ、ひいては過充電による充電回路122またはバッテリ104内での熱の発生を最小限にする。このように、外部電源118は交番磁界を介して無限に充電電力を供給し続けることができる。しかし、好適な1実施例では、外部電源は挿入された器具の状態に関する情報を周期的にポーリングし、各々の皮下挿入された器具100からそのバッテリ104が充電されたという状態情報を受けるまで電力の充電を継続する。
【0019】
コントローラ回路106(電力入力端子127aを介して)と、刺激回路110(電力入力端子127bを介して)の双方とも、バッテリ104の出力端子128から電力を受ける。皮下挿入された器具100内の回路の電力散逸はCMOSおよびその他のより低電力の論理回路を使用することによって最小限に抑止こされる。従って、バッテリ104の必要な容量は最小限で済む。
【0020】
コントローラ回路106は、コントローラ130と結合されたコンフィギュレーション・データ記憶装置132内のコンフィギュレーション・データに従って、(好適には状態機械またはマイクロプロセッサである)コントローラ130を使用して刺激回路110の動作を制御する。コンフィギュレーション・データはコントローラ130によって制御される刺激回路110によって発生される励振パルスの特性に作用を及ぼす様々なプログラム可能なパラメタ(これについては後述する)を特定する。好適には、各々の皮下挿入器具100、例えばマイクロスティミュレータは外部の単数または複数個の装置との通信を介して起動(使用可能/使用不能)にすることができ、またはその特性を変更することができる。従って、各々の皮下挿入器具100は例えばEEPROM、PROMまたは製造中にプログラムされたその他の不揮発性記憶装置のようなアドレス記憶装置108を使用して、(例えば8ビットまたはそれ以上のビット内で記憶されたIDコードを用いて)それ自体を特定する。あるいは、アドレス記憶装置108はマスク・プログラムされてIDの全て、または一部が形成された集積回路の一部からなっていてもよく、および/またはIDの全て、または残りの一部を指定するレーザー・トリミング・プロセスを利用してもよい。更に別の実施例では、IDは個別に、またはレーザー・トリミング・プロセスと組合わせて使用される例えばワイヤボンドのようなジャンパの選択によって指定することもできる。動作時には、(例えば充電器118のような)外部装置はアドレス欄を含む指令情報を含んだ変調された磁気、超音波またはRF指令信号を発信する。皮下挿入器具100がこの指令信号を受信し、復調して内部の指令情報を受けると、皮下挿入器具は先ず、そのデータの残りを処理する前にそのアドレス記憶装置108内のアドレスと整合するか否かを判定する。否である場合は、指令信号は無視される。
【0021】
第1実施例では、交番磁界154はこの指令信号によって振幅変調される。受信機回路114aは(好適には再充電可能なバッテリ104を充電するために使用こされるものと同じコイルである)コイル116の間で発生された信号を監視することによって、この指令信号を検出し、かつ復調する。復調されたデータは経路136を介してコントローラのデータ入力134に送られ、そこで特定の皮下挿入器具100への使用可能性が判定される。あるいは、指令信号がRF信号を変調し、これがアンテナとしてコイル116を利用して、または別個のアンテナを使用して(RF信号を復調するように構成された)受信機114aによって同様に検出されるようにしてもよい。
【0022】
次に実施例では、超音波信号を利用して各々の皮下挿入器具100に上記の指令信号を送ることができる。この実施例では、器具100内に配置された超音波トランスデューサ138が信号140を発生し、これが超音波復調器114bによって復調される。復調されたこの信号は次に経路144を経て超音波データ入力142に送られ、磁気信号に関して前述したと同様に処理される。超音波を利用した実施例には、患者の身体が主として超音波信号を導通させる液体と組織からなっているという点で重要な利点がある。その結果、患者の身体の内部のいずれかに設置された(または外部ではあるが身体と接触している)制御装置は内部に挿入された各々の器具100と通信することができる。
【0023】
好適な実施例では、皮下挿入器具100は状態とデータとを外部装置に発信する手段を含んでいる。充電モードの例では、各々の器具100が充電器118と個別的に通信でき、その結果、皮下挿入された器具100の全てが完全に充電された場合に、充電器118がその旨を判定できることが好適である。好適には、器具100は前記のデータによって変調された磁気信号を発信する送信機を含んでいる。この送信機はAC電圧を振幅変調し、かつこの変調された信号を、変調された磁気信号を発するコイル116に送る変調器回路147からなっている。変調されたこの信号は充電器118によって利用されるAC信号の搬送波周波数とは異なる周波数を用いることができるものの、通信チャネル、すなわち器具巻の磁界154は図3Bに示したように時分割されていることが好適である。図3Bでは、充電器118は第1の期間148に交番磁界を発する。第1の期間148の終了時に、この交番磁界は選択されたマイクロスティミュレータ100に対応する(すなわち1つの皮下挿入器具のアドレスを含む)ポーリング・データに対応する一連のビットで変調(例えば振幅変調)される。次に充電器118は第2の期間150の間に受信モードに入り、その期間中に選択された器具100はそのバッテリ状態に対応する一連のビットで変調された磁気信号を発する。この充電/ポーリング周期は好適には充電器118の動作範囲内の全ての皮下挿入器具について反復される。器具100の全てが充電されたことを充電器118が判定すると、周期は終了し、好適には例えば視覚的または音響報知器152を利用して患者または医師にその旨が報知される。
【0024】
あるいは、超音波手段を利用して皮下挿入器具100から外部装置に状態またはその他のデータを通信することができる。このような実施例では、コントローラ130の制御下で超音波発信器168が線170上で変調信号を発生し、これが超音波トランスデューサ138によって発信される。前述したように、超音波信号は身体内の液体および組織を効率よく導通するので、これは例えば別のマイクロスティミュレータ100のような患者の身体内に挿入された器具間での通信のための好適な通信手段であり、患者の皮膚と接触する外部装置との通信にも適している。
【0025】
磁気通信または超音波通信手段、すなわち送信機と受信機の使用は互いに排他的なものではなく、実際に好適な皮下挿入器具は双方を含んでいる。図3Aに示した例の場合は、医師のプログラマ172(主として皮下挿入器具100の動作をプログラムする装置)は磁気エミッタ190からの変調された磁気信号を使用してマイクロスティミュレータ100aと通信し、かつそのバッテリ状態を反映する変調磁気信号をマイクロスティミュレータ100aから周期的に受信することができる。このような磁気通信手段は充電モード中は好適であるものの、患者制御ユニット174(例えば代表的には主として埋設された器具100の状態を監視するために使用される“腕時計”の形状の、皮膚と直に接触する装置)は超音波手段を利用した方が好適に通信する。加えて、皮下注入されたマイクロスティミュレータ100の相互間の通信も、例えば主従、またはトランスポンダ従機構造では望ましい。このようなモードでは、超音波信号は身体内の液体を効率よく通過するので超音波手段が好適である。
【0026】
本発明のバッテリ充電式器具100は好適には例えば通信された指令信号を介して複数の動作モードで動作するように構成することができる。あるいは、事前組立てされたバッテリ給電式の皮下挿入器具も本発明の範囲内にあるものとみなされる。第1の動作モードでは、(皮下注射針の形式の挿入器具176を使用して挿入可能なサイズの)器具100はマイクロスティミュレータ(例えば100aおよび100b)に適しているので、スティミレータとして構成される。この実施例では、コントローラ130は刺激回路110に対して電極112を通る励振パルス列を発生して、マイクロスティミュレータ100aまたは100bの挿入位置の近傍の例えば神経のような組織を刺激する。動作時には、プログラム可能なパルス発生機178および電圧増倍器180が所望のパルス列に対応し、かつ(例えば充電されたコンデンサまたは同様に充電されたバッテリ部分を加算することによって)バッテリ電圧をどの程度増倍させるかを指定するパラメタ(表1を参照)と共に成されている。第1FET182は周期的に付勢され、コンデンサ183に電荷を(身体組織を通る低電流の導通速度で第1の方向に)蓄積し、かつ第2FET184は周期的に付勢されて、近傍の神経を刺激するようにより高い電流の導通速度で反対方向にコンデンサ183を放電する。あるいは、前述の参照文献に記載されているように、身体組織内で等価のコンデンサを形成するような電極を選択することもできる。
【0027】
電流:蓄電コンデンサの連続的な充電
充電電流:1、3、10、30、100、250、500μa
電流範囲:公称3.2%段階で0.8から40ma
コンプライアンス電圧:3ボルト段階で3−24ボルトまで選択可能
パルス周波数(PPS):公称30%段階で1から500PPSまで
パルス幅:公称10%段階で5から2000μSまで
バースト・オン時間(BON):公称20%段階で1msから24時間まで
バースト・オフ時間(BOF):公称20%段階で1msから24時間まで
BONまでのトリガ遅延:選択されたBOFまたはパルス幅
バースト反復期間:公称20%段階で1msから24時間まで
ランプ・オン時間:0.1から100秒(1、2、5、10段階)
ランプ・オフ時間:0.1から100秒(1、2、5、10段階)

表1−刺激パラメタ
【0028】
これまでより長期間に亘って組織を刺激することが望ましいことを記載してきたが、故障モードも考えられる。従って、好適には磁気センサ186(好適には例えばホール効果センサのような半導体)がコントローラ130に結合され、これは静磁界にさらされた場合にマイクロスティミュレータ100の機能を修正するために、たとえば動作の中断するために利用できる。このような磁気センサ186はマイクロスティミュレータ100の近傍の患者の皮膚12に(静磁界を発生するために)安全磁石187を配置することによって起動することができる。加えて、そのバッテリ電圧がその下限に達し、それが充電回路122によって判定され、コントローラ回路106に通信された場合(または最高温度に達した場合)、マイクロスティミュレータ100が動作を停止することが望ましい。それによって再充電可能なバッテリ104の信頼できる動作と、有効寿命の延長が保証される。この低電圧状態が検出されると、好適な器具は(好適には遠隔位置で発生される呼掛け/ポーリング信号に応答して)周期的に対応する状態信号を発してバッテリの再充電を要求する。
【0029】
次の動作モードでは、バッテリ給電式の皮下挿入器具100は皮下挿入された器具の環境で1つ、またはそれ以上の生理学的または生物学的なパラメタを検出可能であるセンサ、すなわちマイクロセンサ100cとして動作するように構成することができる。好適な動作モードでは、例えば外部に設置された機器または皮下挿入器具であるシステム・コントローラはアドレス記憶装置108内に記憶されたIDを利用して各々のマイクロセンサ100Cから検出されたデータを周期的に要求し、かつそれに応答して、検出されたデータに従って調整されたマイクロスティミュレータ、例えば100aおよび100bに指令信号を送信する。例えば、センサ188を電極112に結合して、温度、グルコースまたはO2含料のような生物学的なパラメタを測定するために検出、またはその他の方法で使用することができる。あるいは、超音波トランスデューサ138またはコイル116を使用して、一対の皮下挿入器具の間で伝送される信号の磁気、または超音波信号の大きさ(または走行継続期間)をそれぞれ測定し、それによってこれらの器具の相対位置を判定することもできる。この情報は例えば肘または指の曲がった程度のような身体運動の料を判定するために利用でき、ひいては閉ループ運動制御システムの一部を構成することができる。
【0030】
別の動作モードでは、バッテリ給電式皮下挿入器具100はトランスポンダ、すなわちマイクロ・トランスポンダ100dとして動作するように構成することができる。この動作モードでは、マイクロ・トランスポンダは(例えば磁気または超音波の前述の受信手段を介して)システム・コントトローラから第1指令信号を受信し、この信号を(好適には再様式化した後で)、(例えば磁気または超音波の)前述の送信手段を使用して他の皮下挿入器具)(例えばマイクロスティミュレータ、マイクロ送信機、および/またはマイクロ・トランスポンダ)に再送信する。マイクロ・トランスポンダは例えば磁気のような1つの態様の指令信号を受信できるが、例えば超音波のような別の態様で信号を再送信することもできる。例えば、医師のプログラマ172は磁気エミッタ190を使用して皮下挿入器具をプログラム/指令するために変調された磁気信号を発してもよい。しかし、発信された信号の大きさは全ての皮下挿入器具によって良好に受信されるには不十分であることがある。従って、マイクロスティミュレータ100dが変調された磁気信号を受信し、かつこれを(好適には再様式化の後で)より少ない制約で身体を通過できる変調された超音波信号として再送信するようにしてもよい。別の用例では、患者の足に取り付けたマイクロセンサ100Cを監視するために患者制御ユニット174が必要な場合もある。患者の身体内で超音波通信することは効率が高いにも関わらず、それでも超音波信号が患者の足から(患者制御ユニット174を取付ける標準的な部位である)患者の腕まで届くには不十分な場合がある。従って、通信リンクを改善するために患者の胴にマイクロ・トランスポンダ100dを挿入することもできよう。
【0031】
更に別の動作モードでは、別の皮下挿入器具、すなわちマイクロスティミュレータおよびマイクロセンサの動作を閉ループ制御モードで変更することができる主システム・コントローラとして動作するようにバッテリ充電式器具を構成することができる。
図4は前述のバッテリ給電式器具100と通信するためのメッセージ例の基本的様式を示しており、これらの器具は全て識別記憶装置108内に、好適にはその器具独自のアドレス(ID)を伴って事前構成されて、下記の動作モードの1つ、またはそれ以上で動作するようにされている。すなわち、(1)神経を刺激するため、すなわちマイクロスティミュレータとして、(2)生物学的なパラメタ監視のため、すなわちマイクロセンサとして、および/または、(3)他の皮下挿入器具へと再様式化した後で受信した信号を再送信するため、すなわちマイクロ・トランスポンダとして、である。指令メッセージ192は主として(1)開始部分194(メッセージ開始を示し、かつ送信機と受信機間のビット・タイミングを同期化させるための1ビット以上)と、(2)モード部分196(例えばスティミレータ、センサ、トランスポンダまたはグループ・モードのような動作モードを指定)と、(3)アドレス(ID)部分198(識別アドレス108またはプログラムされたグループIDのいずれかに対応)と、(4)データ欄部分200(前述の動作のための指令データを含む)と、(5)エラー・チェック部分202(例えば奇偶ビットを利用してメッセージ192の妥当性を保証する)と、(6)停止部分(メッセージ192の終了を指定する)とからなっている。これらの欄の基本的な定義は下記の表IIに示されている。これらの定義を用いて、各々の器具を患者の身体内の1つ以上の神経経路を制御するためのシステムの一部として、別個に構成、制御および/または制御することができる。
【0032】









モード アドレス(ID)
00 =スティミュレータ 8ビット識別アドレス
01 =センサ 8ビット識別アドレス
02 =トランスポンダ 4ビット識別アドレス
03 =グループ 4ビット・グループ識別アドレス

データ欄部分
プログラム/刺激 =動作モードの選択
パラメタ/
事前構成
選択 =プログラム・モードでプログラム可能パラメタを、または
その他のモードで事前構成された刺激または検出パラメタを
選択
パラメタ値 =プログラム値

表II−メッセージ・データ欄
【0033】
加えて、各々の器具100は構成データ記憶装置132内に記憶されているグループID(例えば4ビット値)でプログラムすることができる。例えばマイクロスティミュレータのような器具100がその記憶されたグループIDと適合するグループIDメッセージを受信すると、器具はメッセージがその識別アドレス108に向けられたものであるかのように応答する。従って、複数個のマイクロスティミュレータ、例えば100aおよび100bには単一のメッセージで指令することができる。このモードは神経群の刺激に際して精密なタイミングを要する場合には特に有用である。
【0034】
図5Aは回路に給電するバッテリ104を内蔵した、本発明に基づいて製造されたマイクロスティミュレータ100の側面図を示している。バッテリ104はマイクロスティミュレータ100を収納している(好適には密閉された)細長い密閉ハウジング206内に簡便に取付けられている。好適な器具100では、軸方向の寸法208は60mm未満であり、横方向の寸法207は6mm未満である。
【0035】
図5Aに示した実施例の場合、バッテリ104は好適には独自のバッテリ・ケース209内に収納され、バッテリ端子は(従来のAAバッテリと同様に)ケース209と一体の部品からなっている。このように、バッテリ104の(図5Aで見た)側部と左端部は例えば負のバッテリ端子のような一方のバッテリ端子210からなり、バッテリ104の右端部は例えば出力端子128として使用されるような正のバッテリ端子であってよい。有利なことには、このようなバッテリ・ケース209は導電性であるので、これをバッテリの一方の側から他方の側へと適切な回路ノードを接続するための、マイクロスティミュレータ100内の回路用の導電体として役立てることができる。より具体的には、図5Aに示した構造では、バッテリ端子210は器具のハウジング206内に格納された全ての回路のために接地点もしくはノードとして機能することができる。従って、電気回路の観点からは回路のアースに簡便に接続されているマイクロスティミュレータ100の左端部の電極112aからのステム212は、バッテリ104の左端部と簡便に接触できる。そこで、バッテリ104の右側の近傍、またはバッテリのリム上で、すなわちハウジング206の右端部内のバッテリ104の右側の(好適には例えばコントローラ106および刺激回路110のような器具の電力消費回路として実施されている)単数または複数個のICチップ216の近傍で、この同じ回路のアース接続を利用できる。このようにしてバッテリ104の導電性ケース209を利用することによって、器具100の右の回路を器具100の左側の電極112aと電気的に接続するために、バッテリ104の周囲に別個の配線、またはその他の導体を通したり取付ける必要がない。
【0036】
図5Bは、マイクロスティミュレータ100'が(身体組織をDC電流が流れることを防止するために使用される)内部結合コンデンサ183を含んでいることを除いては、図5Aに示した器具100と実質的に同一のバッテリ給電式のマイクロスティミュレータ100'を示している。図5Bに示した実施例では内部結合コンデンサ183が使用されているが、その理由はマイクロスティミュレータ100'によって使用されているマイクロスティミュレータの電極112aおよび112bの双方が同じ材料、すなわちイリジウムから製造されているからである。これに対して、図5Aに示したマイクロスティミュレータ100用の電極112aおよび112bは異なる材料から、すなわちイリジウム(電極112b)およびタンタル(電極112a)からなっており、このような材料は性質上、双方の間にかなりのキャパシタンスをもたらすことにより、DC電流の流れを防止する。例えば米国特許明細書第5,324,316号の第11段、26−33行を参照されたい。
【0037】
図5Cおよび5Dは密閉されたハウジング206、バッテリ104、コンデンサ183および(1つ、またはそれ以上のICチップ216上に実施さている)内蔵回路の現時点で好適な構造の2つの破断側面図である。現時点で好適なこのような構造では、ハウジング206は電極112aを形成する第1の端部キャップにろう付け262を介してブレージングされた絶縁セラミック管260からなっている。セラミック管260の他端には、これもセラミック管260にブレージングされた金属リング264が備えられている。内部の回路、すなわちコンデンサ183、バッテリ104、ICチップ216およびばね266は電極112bを形成する反対側の第2端部キャップに取付けられている。コンデンサ183を端部キャップ112aに接着するために導電性エポキシの小滴が使用され、かつ接着剤と共にばね266によって所定位置に保持されている。好適には、ICチップ216は回路板268上に実装され、その上には半円形の細長いフェライト板270が取付けられている。コイル116はフェライト板270の周囲に巻回され、かつICチップ216に取付けられている。内部に進入する水分を吸収することによって器具100の密閉性を高めるために、好適にはばね266の周囲に取付けられたゲッタ272が使用されている。実施例のゲッタ272はその水分容積の70倍を吸収する。回路と端部キャップ112bとを共に保持しつつ、端部キャップ112bをリング164にレーザー溶接することもできる。加えて、身体組織に対する接続インピーダンスを最小限にするため、好適にはプラチナ、イリジウム、またはプラチナ−イリジウムのディスク、またはプレート274が器具100の端部キャップに溶接される。
【0038】
以下に図6−8の説明に関連してバッテリ104をより詳細に説明する。好適には、バッテリ104は好適にはエネルギ密度が約240mW時/cm3のバッテリから構成された、少なくとも1マイクロワット時の電力容量を供給するような適宜の材料からなっている。Li−Iのバッテリによって有利にこのようなエネルギ密度が得られる。あるいは、Li−I−Snのバッテリによって360mW時/cm3にも及ぶエネルギ密度が得られる。これらのバッテリのどれでも、または少なくとも1マイクロワット時の電力容量が得られる他のバッテリのどれでも本発明に使用してもよい。
【0039】
バッテリの実施例のバッテリ電圧Vは公称3.6ボルトであり、これはICチップ(単数または複数)216、および/または器具100内のその他の電子回路を実施するために使用されるCMOS回路を動作するために特に適している。バッテリ電圧Vは一般に、好適には約2.55ボルト以下に放電されてはならず、その場合には永久的な損傷が生ずることがある。同様に、バッテリ104は好適には約4.2ボルト以上のレベルまでは充電されてはならず、その場合にも永久的な損傷が生ずることがある。従って、前述の充電回路122は損傷を生ずる可能性がある放電、または過充電を避けるために利用される。
【0040】
次に図6−9を参照して、皮下挿入器具100内で使用されるバッテリ104に関するその他の点を詳細に説明する。基本的に、バッテリ104は多くの形態を取ることができ、利用できる小さい容積内にバッテリが適合できるかぎり、どの形態のものを使用してもよい。前述のように、バッテリ104は一次電池でも、再充電可能な電池でもよい。一次電池には所定のエネルギ出力において寿命が長いという利点があるが、再充電できないという欠点がある(これは、エネルギを一旦使い尽くすと、器具100はもはや機能しないことを意味する)。しかし、損傷した、または衰弱した筋肉組織に施される一回限りの筋肉リハビリ治療のような多くの用例では、例えばマイクロスティミュレータのような器具100は短期間しか使用する必要がない(その後で、器具は外植又は破棄され、または良性の医療器具のように単に皮下挿入したままで放置することができる)。その他の用例では、マイクロスティミュレータによる組織の刺激は反復性の刺激であるので、再充電可能なバッテリが明らかに好適な種類のエネルギ選択である。
【0041】
皮下挿入器具100のバッテリ104として再充電可能なバッテリを使用することに関する考察は特に「再充電可能なバッテリ、応用ハンドブック」という書籍(設計技師用のEDNシリーズ、ゲーツ・エネルギ・プロダクト社の技術マーケッティング・スタッフ編、ブッターワース・ハイネマン、1992年刊)に記載されている。再充電可能なバッテリの基本的な考察はいずれも高いエネルギ密度と長い寿命に関するものである。リチウムをベースにしたバッテリは歴史的には主として再充電不能バッテリとして使用されてきたものの、最近では再充電可能なバッテリとして市販されているようである。リチウムをベースにしたバッテリのエネルギ密度は標準的には240mW時/cm3ないし360mW時/cm3である。一般に、エネルギ密度は高いほど良いが、1マイクロワット時以上の電力容量を生ずるエネルギ密度が得られるものならば、本発明にはどのバッテリ構造でも適している。
【0042】
本発明の器具100でバッテリ104を使用する際に直面するより困難なハードルの1つは、バッテリを内部に挿入しなければならないハウジング内部のサイズまたは容積が比較的小さいことに関するものである。本発明に基づいて製造された標準形の器具100は好適には長さが約60mm未満であり、直径が6mm未満であり、かつ、例えば長さ15mmで外径が2.2mm(従って内径は約2mm)のより小型の実施例も含まれる。器具のハウジング206内部で利用できる容積の僅か1/4ないし1/2しかバッテリ用に利用できないことを考慮すれば、器具100にはバッテリのための容積がいかに小さく、ひいてはバッテリの蓄電容量がいかに少ないかがより明確に理解されよう。
【0043】
本発明の器具100、例えばマイクロスティミュレータは一般に僅かな電力料しか消費しないように設計されている。マイクロスティミュレータ100の電力消費回路の基本的な電力排出は電極112と接触する組織に印加される刺激電流である。衝撃係数が極めて低い標準的な刺激電流が図10に示されている。例えば、神経を基本的に連続的に刺激するための波形の例は、50ミリ秒(T1)毎に、すなわち20へルツの比率で発生する0.2ミリ秒のパルス(T2)でよい。
【0044】
このような源流パルスのピーク値が5ma(Ip)であり、3.6ボルト(V)の電位で供給された場合、器具によって供給されるワット(W)単位のピーク出力電力(P)は、
P=IV
=(5ma)(3.6V)=18mWであり、
衝撃係数の関数である平均出力電力は、
P(平均)=18mWx0.2/50=0.072mW=72μWである。
長さLが15mmで内径が2mm(従って半径rは1mm)である標準サイズのマイクロスティミュレータを使用する場合、また、利用できる長さの1/3、すなわち5mmをバッテリ(LB)用に利用できるものと想定すると、バッテリの容積は下記のようなものになろう。
VolBAT=πr2B
=π(1mm)2(5mm)(1cm3/1000mm3
=0.0157cm3
このように、バッテリがエネルギ密度240mW時/cm3を呈する材料から製造されたものとすると、完全に充電されたバッテリは72μW(0.072mW)の公称負荷を、
(240mW時/cm3)(0.0157cm3)/(0.072mW)=52.3時間の期間だけサポートすることが判り、これは約2.2日に相当する。このように、少なくとも2の安全係数を用いた場合、バッテリは毎日再充電する必要がある。
【0045】
しかし、別の用例では例えば骨の成長刺激のように衝撃係数がより高いにも関わらず大幅に少ない励振電流(例えば1μa)を必要とする場合もあれば、または毎日数分の神経刺激しか必要としない例えば嚢状器官の刺激、またはその他の用例のように、場合によってはより大きい励振電流(例えば40ma)を必要とする場合もある。本発明の実施例で使用されるバッテリには最小の仕様として1ミリワット時の値が選択されている。しかし、前述のように、本発明の実施例には大幅に高い容量のバッテリも含まれるので、このような実施例はより広範囲の用例を包括することができる。
【0046】
次に図6Aおよび6Bを参照すると、バッテリ板または電極を並列または直列に接続できる態様が図示されている。負の電極220に差し込んだ、もしくは積層した正の電極218の並列接続が図6Aに示されている。このように差し込んだ電極の直列接続が図6Bに示されている。一般に、並列接続における抵抗は直列接続における抵抗よりも低く、これはバッテリの時間定数、すなわち所定の電流レベルにバッテリを放電または充電するのに要する時間は、並列接続の場合よりも直列接続の場合の方が高いこと、すなわち時間が長いことを意味している。放電の時間定数は基本的に(仕様時にはバッテリから僅かな電流しか排出されないので)本発明の目的には重要ではないが、(少なくとも部分的にバッテリを再充電するのにどの程度の時間を要するかがそれによって決まるので)充電の時間定数は重要である。
【0047】
図7Aはバッテリ104の標準的な円筒形の形状を示している。一般に、このような形状には横方向の寸法、すなわち直径Dと、軸方向の寸法、すなわち長さLがある。しかし、その他の形状も可能であり、有利である可能性もあることが判る。例えば、長方形、または柱形の形状のバッテリを使用することもでき、それには例えばハウジング206の周囲の内部領域に実装された刺激回路110用のコントローラ106のような電力消費回路と共に、ハウジング206の全長に延びるバッテリも含まれる。
【0048】
バッテリ104内で使用される電極は一対で配置されており、図7Bに示すように、電極、もしくはプレートが間に電解質を配して対向する関係で取付けられた基本的な位置関係を有している。第1電極222は例えば銅(Cu)のような第1の材料からなっている。第2電極224は第2の材料、例えばアルミニウム(Al)からなっている。ポリプロピレン製のセパレータ226が2つの電極を分離している。セパレータ226は物理的に分離し、かつ電極が互いに接触することを防止することによって、電極間に電子電流が流れることを防止するが、イオンが間を通過できるような間隙を有しており、従ってイオン電流が電極間を流れることができる。適宜の電解ペースト228が電極222を囲んでいる。別の適宜の電解ペースト230が電極224を囲んでいる。このような電解質を製造するのに適した材料は文献に記載されている。標準的にはセパレータと電解ペーストを含む一対の電極の厚さXは0.010ないし0.024インチ程度であり、但しCuとAlの電解の厚さが各々約0.001インチ、セパレータ226の厚さが約0.001インチ未満、そして電極の両側の電解ペーストの厚さが約0.002ないし0.008インチである。セパレータ226、および電解ペースト228と230を含む2個の電極222と224の組合わせによって電極層232が形成される。バッテリは電極層232を利用できるバッテリ用の容積に効率的に配置し、適宜の電流コレクタ(コンダクタ)を正の電極222と負の電極224とに取付けて、これと電気的に接触するようにすることによって形成される。
【0049】
図8A−8Fに示した様々な図面は本発明に必要な円筒形のバッテリ104を形成するために用いられる様々な構造を示している。個々の図面はそれぞれバッテリ容器の(例えば上から見た)横断面図の下の、バッテリ容器の側面断面図である。
図8Aでは、電極層222と224の長さは螺旋状に巻き込まれ、円筒形のコンテナ、もしくはケース234内に長手方向に挿入されている。導電性のワイヤ、すなわちタブ236と238が電極222と224のそれぞれに取付けられ、バッテリ端子としての役割を果たす。
【0050】
図8Bでは、円形の正の電極222と負の電極224の並列接続された差込み式の積層が導電性コンテナ234内に配置されている。セパレータ層(図示せず)が必要に応じて電極の間に配置される。正の電極222は各々、コンテナ234と接触する母線に接続されている。負の電極224はそれぞれ、コンテナ234の導電性の蓋239と接触する母線に接続されている。あるいは、負の電極224をコンテナと接触する母線と接続し、負の電極224を蓋239と接触する母線と接続することもできる。電極をコンテナ234または蓋239に接続する母線用の管路を形成するためにノッチ、もしくは切り込み240を各電極に設けてもよい。絶縁リング241によって、蓋239がケース234と短絡したり、これに接触しないことが確実にされる。このようにしてコンテナ234と蓋239はバッテリ端子として機能する。
【0051】
図8Cは直列接続された差込み式積層を示している。直列接続であることを除いては、図8Cに示した構成は図8Bに示したものと同一である。
図8Dは幅が可変的な長方形の電極条片の並列接続された差込み式の縦の積層を示している。負の電極224は各々が蓋239に接続されている。正の電極222は各々がコンテナ234に接続されている。このようにしてコンテナ234と蓋239とはバッテリ端子としての機能を果たす。
図8Eは電極222と224とが互いの内側に適合する異なる直径の同心管からなっている並列接続の同心電極構造を示している。
【0052】
図8Fは電極222と224とが例えばCuまたはAlのような適宜の材料からなる(長さがほぼLBの)ワイヤから実施されており、負の電極224が正の電極222に隣接するようなアレイで配置されている。セパレータ・スリーブ226'が電極ワイヤ、例えば負の電極ワイヤの上に配置されている。適宜の電解ペーストがそれぞれの電極の周囲の空洞を満たしている。必要に応じて、セパレータ226'は適宜の電極の周囲に適宜の電解ペーストを保持し、別の電解ペーストがその領域の近くに入ることを防止している。負のワイヤ224はコンテナ234の底部に取付けられ、正のワイヤ電極222は蓋239に取付けられている。
【0053】
図8Gは図8Eと同様であるが、円筒形電極が間隙、もしくはスリット242を含んでいる、並列接続された円筒形電極の実施例を示しており、間隙242の両側の円筒形電極222と224とはバッテリ用の電気端子の役割を果たすタブ244および246の共通の接続点を形成している。電極222と224とは適切なセパレータ248によって分離されている。間隙242によって電極内に渦電流が流れることが最小限に抑止される。図8Gに示した実施例では、4個の同心円筒電極222があり、そのうちの外側の電極(最大直径)はバッテリ・ケース234として機能し、3個の同心電極224が電極222の間に差し込まれ、6個の同心円筒形のセパレータ層248が各々の電極222または224を隣接する電極から分離している。
【0054】
変調された指令信号部分を有する磁気信号の部分が加熱したり、またはその他の態様で分路する原因になり得る、バッテリ内での渦電流の流れを最小限にすることが一般に好適である。従って、例えば図8A−8Dおよび8Fに示した構造のように、導通性の閉ループを形成する陽極プレートでバッテリを形成しないことによって渦電流は最小限に抑止される。しかし、加熱が望ましい場合も考えられ、その場合は図8Eの実施例が望ましいであろう。
【0055】
次に図9Aを参照すると、図8Cに示したような直列接続の電極積層として安価な電極を形成する態様が示されている。1組の電極250を公知のような適宜のパターンで厚さ0.002インチの薄板から打ち抜き、切断することができる。相補形の電極252も図示のように同様に打ち抜きおよび切断できる。各組の電極は適宜のタブ254によって接続された基本的に円形の電極を含んでいる。タブ254は1つの電極から次の電極へと離隔されている。次に電極のセットは、離隔されたタブ254が図9Bに示すように互いに妨害しないように折り曲げられ、かつ互いに差し込まれる。各組の電極250、252は次にコンテナ234内に挿入され、セパレータ・スリーブが1組の電極の上方に挿入され、各組の電極と対応するバッテリ端子との間で適宜の電気接続が行われる。
【0056】
ここに開示した発明は特定の実施例と用例について説明してきたが、当業者には請求の範囲に記載した本発明の範囲から離れることなく多くの修正と変化形が可能であろう。例えば、主として磁気および超音波通信手段を説明してきたが、その他の通信手段も可能である。代替実施例では、皮下挿入器具100は電流パルスの導通、すなわち電極を通って発される変調された亜刺激しきい値電流パルス(筋肉や神経を刺激しないパルス)、赤外線を介しても通信可能であり、または皮下挿入器具を皮膚のすぐ下に挿入する場合は、透光性の光学手段を使用することができる。加えて、光学的(例えば太陽電池)および機械的装置を含む他の手段を使用して皮下挿入器具内のバッテリに充電することができ、または適宜の一次電池を形成するために核エネルギの実施例を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】は従来から公知のマイクロスティミュレータのブロック図である。
【図2】外部のコントローラからの指令に応答して1時間以上の期間に亘って器具に給電するためのバッテリを含む、本発明の器具のブロック図である。
【図3A】患者の身体の外部の器具から再充電および制御される環境での、本発明の皮下挿入器具(マイクロスティミュレータ、マイクロセンサおよびマイクロ・トランスポンダ)の使用の簡略化した機能ブロック図である。
【図3B】皮下挿入器具のバッテリ状態を選択的に呼掛けるために充電磁界の発生の周期的な中断を示した簡略化したタイミング図である。
【図4】本発明の皮下挿入マイクロスティミュレータ、マイクロセンサおよびマイクロ・トランスポンダの指令/呼掛けのためのデータ・メッセージの基本様式を示した簡略図である。
【図5A】本発明に基づいて製造された例えばマイクロスティミュレータのようなバッテリ給電式の皮下挿入器具の側面図である。
【図5B】本発明に基づいて製造された内部結合コンデンサを使用した、別のバッテリ給電式皮下挿入器具の側面図である。
【図5C】セラミック製ハウジング内に実装された皮下挿入器具の現時点で好適な実施例の破断側面図である。
【図5D】セラミック製ハウジング内に実装された皮下挿入器具の現時点で好適な実施例の破断側面図である。
【図6A】好適な皮下挿入器具のバッテリ内で使用される電極の概念を示した並列接続図である。
【図6B】好適な皮下挿入器具のバッテリ内で使用される電極の概念を示した直列接続図である。
【図7A】本発明の好適な皮下挿入器具内で使用されるバッテリのほぼ円筒形の形状を示している。
【図7B】本発明の皮下挿入器具のバッテリ内で使用される一対の基本電極を概念的に示している。
【図8】本発明の円筒形のバッテリ内で使用できる一対の基本電極の巻き付け、積層、差込み、またはその他の様々な配置構造を示している。
【図8G】本発明の円筒形のバッテリ内で使用できる一対の基本電極の更に他の配置構造を示している。
【図9A】図8Cに示した種類の直列電極のバッテリ構造内で使用される一対の基本電極の打ち抜きの態様を示している。
【図9B】図8Cに示した種類の直列電極のバッテリ構造内で使用される一対の基本電極の折り重ね、および差込みの態様を示している。
【図10】励振パルスの低い衝撃係数を示した好適なマイクロスティミュレータにより発生される励振パルスの波形例を示している。
【出願人】 【識別番号】500077937
【氏名又は名称】アルフレッド イー マン ファウンデーション フォア サイエンティフィック リサーチ
【出願日】 平成19年9月6日(2007.9.6)
【代理人】 【識別番号】100059959
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔

【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭

【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男

【識別番号】100065189
【弁理士】
【氏名又は名称】宍戸 嘉一

【識別番号】100084009
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信夫

【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜

【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤


【公開番号】 特開2008−23353(P2008−23353A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2007−230996(P2007−230996)