| 【発明の名称】 |
治療用ウイルス免疫原性剤投与の有効性を増強する方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】ダニエル アール. ヘンダーソン
【氏名】ユー チェン
【氏名】デ−チャオ ユー
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| 【要約】 |
【課題】免疫原性ウイルス治療剤に対する予め存在する体液性免疫を減少させるための方法及び組成物をていきょうすること。
【構成】イムノアフェレーシスを用いてアデノウイルスのようなウイルス免疫原性治療剤に対する予め存在する体液性免疫を減少させる方法が開示される。ウイルス免疫原性治療剤に特異的な抗体は、その抗体に特異的に結合する免疫吸着剤との体外的な反応によりウイルス免疫原性治療剤の投与前に個体の血液から選択的に除去される。血液から抗体を選択的に除去した後、血液は患者に再注入され、ウイルス免疫原性治療剤が投与される。本発明は、抗ウイルス抗体の選択的除去のためのキット及び組成物も供する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 明細書に記載される、体液性免疫を減少させる方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 技術分野 本発明はウイルス免疫原性治療剤の投与の分野、特にこのような投与に対するホストの体液性免疫応答を少なくするものに関する。 【背景技術】 【0002】 背景技術 広範囲のヒトの病気が細胞レベルで遺伝子異常に関連する。これらの病気のいくつかには、襄胞性線維症、貧血症、血友病、糖尿病、ハンチントン病、AIDS、異常に高い血清コレステロールレベル、及び特定の免疫欠損症がある。特に、ほぼすべての人の生活に関係している病気は癌である。大規模な研究努力にかかわらず、これらの病気のいずれかを治療することにおいて限られた進展しかない。 【0003】 いくつかの新しい潜在的に見込みのある治療法が現在開発中である。欠損遺伝子又は配列に外来性の配列を補給する遺伝子療法は、癌ばかりでなく、先に列記した病気全てを治療するのに役立ち得る。遺伝子療法は、一般に、ウイルスベクターのような外来性配列のためのデリバリービヒフルを要求する。これらの病気に対して有効なベクターであり得る新しく開発されたウイルス剤には、レトロウイルス及び組換えアデノウイルスがある。報告について、Kimら(1996)Mol.Med.Today 12:519〜527及びSmithら(1996)Gene Therapy 3:496〜502を参照のこと。治療剤として潜在的に役立つ他のウイルスベクターには、キロニーマウス白血病ウイルス(MOMLV)、ポックスウイルス、ヘルペスウイルス、HIV及びアデノ関連ウイルス(AAV)がある。 【0004】 更に、癌において、癌細胞内での選択的複製がこれらの細胞を優先的に破壊するより特異的な弱毒化複製コンピテントウイルスベクターが開発されている。特定の細胞型を優先的に複製する(及びこれにより破壊する)種々の細胞特異的複製コンピテントアデノウイルス構成物が共有の米国特許出願通し番号091033,555,091033,333,60/076,545及び090/033,556に記載されている。別の弱毒化複製コンピテントアデノウイルスはOnyx−015アデノウイルスである。Onyx−015はEIB−55xDaタンパク質中に欠失を有し、通常、細胞p53腫瘍サプレッサータンパク質を阻害する。Onyx−015は、p53欠損ヒト細胞内で複製することができるが、p53陽性細胞内では有効に複製しない(Bischoffら(1996)Science 274:373〜376:Heiseら(1997)Nat.Med.3:639〜645)。 【0005】 安全な治療剤としてアデノウイルスに寄与する有利な因子は次のものがある:(a)アデノウイルスでの感染は、小さな臨床的病気の徴候しか有さない;(b)アデノウイルスは、安定な十分に記述され、キャラクタライズされたゲノムを有する;(c)アデノウイルスは、そのウイルスDNAを宿主DNAに組み込むことができない;(d)アデノウイルスは一時的な遺伝子発現を許容する;(e)アデノウイルスは、分割及び非分割細胞の両方に感染することができる;(f)アデノウイルスは多様なヒト細胞型に感染することができる:アデノウイルスは物理的に安定である;(h)アデノウイルスは高タイター生産になじみやすい。 【0006】 アデノウイルスタイプ5ゲノムは、短い逆方向末端与復を含む35,935塩基対の二本鎖DNA分子である(Chroboczekら(1992)Virology 186:280〜285;Garonら(1972)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 69:2391〜2395)。ゲノムの発現は、最大L遺伝子発現のために要求されるウイルスDNA複製で、早期(E)及び後期(L)にに任意的に分けられる制御されたカスケードである。関連するRNA転写物は、それらが転写されるゲノムの領域に従って、及びそれらの発現のタイミング(E又はL)により分類される。そのE3領域は組織培養における複製のために本質的でなく、この領域は最も最初の世代の治療用アデノウイルスから削除されている。 【0007】 ビリオン表面上のエピトープに対する抗体反応性により区別できるアデノウイルスの47の異なる血清型がある。各々の血清型は5つのサブグループ(A−E)のうちの1つに割り当てられる。サブグループのメンバーは、遺伝子材料を有効に交換(再結合)することができるが、それらは異なるサブグループのメンバーと共に再結合しない。アデノウイルスタイプ1,2,5、及び6はサブグループCのメンバーである。アデノウイルスタイプ5(遺伝子治療に及び他の治療のため典型的に用いられるタイプ)はヒトにおける自己制御性熱性呼吸の病気及び眼の病気に関連する。長期の免疫抑制個体において、アデノウイルス5は、腎障害、肝臓壊死、及び胃のびらんにも関連している(Shieldsら(1985)New England J.Med.312:529〜533;Zahradnikら(1980)Am.J.Med.68:725〜732)。アデノウイルス5及び他のサブグループ(ウイルスは、ほとんど又は全く哺乳動物において発癌可能性がない。(Horowitz(1990)in Virology、(Raven Press,New York,2nd Ed)pp.1679〜1721)。 【0008】 アデノウイルスのようなウイルス治療剤の使用は有望であり続けるが、それらの有効性に対していくつかの大きな障壁がある。治療用ビヒクルとしてのウイルスベースのベクターの主要な制限のうちの2つは、(a)ウイルスに対する予め存在する循環する抗体によるウイルスの不治性化、及び(b)体液性免疫の一次的又は2次的誘導による反復投与の効能の減少である。例えば、アデノウイルスに関して、現在の血清学的調査は、米国の成人集団の57%が、1:2〜1:512の範囲のタイターでアデノウイルス5に対する中和性抗体を有することを示す(Schulickら(1997)J.Clin.Invest.99:209〜219)。中和性抗体は、静脈内アデノウイルス注入の後7〜14日間、特定の抗原性決定基に対して形成される(Zinkernagel(1996)Science 271:173〜178)。これらの抗体は、典型的には、キャプシドタンパク質及び一種とのグロプロテインのようなビリオン上のタンパク質について特異的である(George−Fries et al(1984)Virology 134(1):64−71;Fisher et al.(1997);Eing et al.(1989)J.Med.Virol.27(1):59−65;Highlander et al.(1987)J.Virol.61(11)3356−64;Durali et al.(1998)J.Virol.72(5):3547−53)。アデノウイルスキャプシドタンパク質によるCDチナリンパ球の活性化、感染した細胞におけるMHCクラスt分子の上昇制御も導き、中和性抗体の生産及び(TLによるアデノウイルス感染細胞のクリーニングに寄与する(Yangら(1995)J.Virol.69:2004〜2015)。多くの患者について、治療用アデノウイルスは記憶消失性体液性応答及びCTL応答を誘導し、同じウイルスでのくり返しの静脈内治療の効能を更に減少させる。ヒトの集団の大部分は彼らの寿命の間、アデノウイルスに露出されているので、予め存在する免疫性ウイルスベクターの使用に対する主な障害となり得る。成人のヒトにおけるアデノウイルスに対する中和性抗体のこのような高い普及率は、(例えば遠くの腫瘍部位に)アデノウイルスが広まるのを阻害し、生体内でのアデノウイルスタイプ5ベースの治療の有効性を大きく限定し得る。 【0009】 ウイルス播種への中和性抗体の効果は非経口投与を用いるウイルス治療の成功を決めることにおける主要な問題である。これは特に、静脈内投与が転移性疾患又は孤立した腫瘍のための治療のために要求され得るからである。現在の研究は、予め存在する抗体は(腫瘍退行に関して)腫瘍内ウイルス投与の効能を減少させ得ないことを示すが、ウイルス播種は予め存在する循環する抗体により大きく妨げられるようである。1つのグループは腫瘍内注入後のアデノウイルス−免疫動物の肝臓内のトランスジーン発現は、ネイティブマウスにおいて見い出されるトランスジーン発現と比べて1000超、減少することを見い出した(Bramsonら(1997)Gene Therapy 4:1069−1−76)。別の例において、マウスにおいて、ウイルスベクターの90%が静脈内注入の24時間以内に除去される(Worgallら(1997)Hum.Gene Ther.8:37〜44)。この発見は、ベクターの90%除去を証明する注入後最初の70時間にわたってのサザンブロット分析を用いて肝臓、脾臓及び肺におけるウイルスDNAの定量分析により確認された(Christら(1997)Immunology Letters 57:19〜25)。Schulickら(1997)は、ラットが先にアデノウイルスに静脈内露出することにより免疫化されるなら、アデノウイルスベクターの2回目の静脈内注入は、試された遺伝子転移後3日間、組換え遺伝子発現の証拠を供さないことを見い出した。この観察結果は、アデノウイルスに対する中和性抗体の低い(即ち1:2)タイターの存在下でさえ再現することができた(Schulickら(1997))。別のグループは、肺癌の4人の患者においてアデノウイルスベクターに及び組換え遺伝子発現(β−ガラクトシダーゼタンパク質)に対する免疫応答を検査した(Gahery−Segardら(1997)J.Clin.Invest.100:2218〜2226)。患者1において、アデノウイルス−β−gal注入の前にアデノウイルスに対する高レベルの中和性抗体が検出された(1:400で100%中和)が、患者3においてそれは低く(1;400で30%中和)。他の2人の患者では検出できなかった。患者1を除く全ての患者から30及び60日目に腫瘍傷バイオプシーにおいてPCRにより検出された。これにより、現在の研究は、予め存在する体液性免疫はウイルスの半減期、播種、及び有効性に対する大きな障壁を有し、そして予め存在する抗アデノウイルス中和性抗体は、静脈内投与を介するアデノウイルス媒介治療の治療効能を限定することを確立している。 【0010】 予め存在する免疫性の問題に向けて開発されたストラテジーは大きな制限を有している。現在、アデノウイルスタンパク質の投与に基づく経口寛容化により予め存在する抗アデノウイルス免疫性を下降制御するためのストラテジーが開発されている(Ilanら(1997)(1997)J Clin. Invest.99(5):1098〜1106)。しかしながら、このストラテジーは、主に、この方法が新生児にのみ有効であるという事実のため、現実的でない。 【0011】 アフェレーシスは、特定の血液成分を体外的に除去し、血液を個体に再導入する方法である。典型的なアフェレーシスは、除去されるべき成分が特定の病状に関連している病理的状態を治療するために用いられる。治療用アフェレーシス法は、異常な血液細胞又は血漿成分を迅速に除去することができ、いくつかの血液学的疾患、例えば高白血球性白血病、リンパ腫、血小板血症、血栓性血小板減少性紫斑病、鎌状赤血球貧血症、及び血漿中の病原性タンパク質に関連する異常を治療するために用いられている。その特定の手順は、除去される血液成分に従って(細胞搬出法)、除去されるいずれかの血液細胞について(白血球搬出した、リンパ球搬出法、赤血球搬出法、血小板搬出法、血漿交換法(治療用血漿搬出法)及び免疫搬出法)選択することができよう。例えば米国特許第4,851,126号、4,255,627号、4,086,294号、5,147,290号、及び4,411,792号を参照のこと。 【0012】 現在、アフィニティー吸着アフェレーシスが、自己免疫疾患、例えば血友病、特発性血小板減少性紫斑病、及びループス腎炎の治療のために開発されている(Nilsson et al.(1981)Blood 58(1):38−44;Christie et al.(1993)Transfusion 33:234−242;Richter et al.(1997)ASAIO J.43(1):53−59;Suzuki et al.(1994)Autoimmunity 19:105−112;U.S.Patent No.5,733,254)。ITPは、一般に、皮膚への出血から生ずる障害の出現、血小板数の減少、骨髄中の巨核球の増加及び薬剤露出又は毒性露出の欠如下での血小板関連IgGの増加を特徴とする。最も一般的に用いられるカラムは、シリカ担体に結合したリガンドとしてプロテインAを有するスタフィロコソカスプロテインAカラムである。しかしながら、これらのカラムは(IgGサブクラス1,2及び4について最も大きなアフィニティー及びIgG3,IgM、及びIgAについて最も低いアフィニティーで)広くイムノグロビリン及び免疫複合体に吸着する(Bandarenko(1996)Clinics in Laboratory Medicine 16:907−929)。PROSORBA(登録商標)カラム(IMRE,Inc,San Diego,CA)は、シリカに結合したプロテインAを含み、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)及びHIV関連ITPの治療において臨床的使用について認可されている(Snyderら(1992)Blood 79:2237〜2245;Christie及びHone(1993)Transfusion 33:234〜242)。市販のプロテインAカラムの大きな制限(それらの関連する非特異性に加えて)は、それらの限定された結合能力である(Christieら(1993))。別のアプローチは、ポリクローナルIgG抗体を含むカラムの使用に関する(Richterら(1993)Metabol.Clin.Exp.92:888〜894;Richterら(1997)ASAIO J.43(1):53〜59)。しかしながら、これらのカラムはいずれのIgG分子も除去し、これにより特異的でない。 【0013】 他のアプローチは抗体のような免疫吸着剤をコンジュゲートするための一般的なアフィニティーカラムであるTHERASORB(登録商標)(以前はBaxter Corp,Munich,Germanyにより製造)を利用している。肝臓移植拒絶のモデルにおいて、IgGのより完全な除去(95%が、Sepharose CL−4Bに共有結合したヒツジ抗ヒトIgG抗体からなるTHERASORB(登録商標)カラムの使用で見い出された(Pascherら(1997)Transplantation 63(6):867〜875)。β1 −アドレノレセプター抗体に対する抗体と結合したTHERASORB(登録商標)も、特発性拡張心筋症を治療する別の研究において自己抗体の除去に用いた。イムノアフェレーシスは自己抗体レベルをもとの値の8%にした(Wellukatら(1996)Int′l J.Card.54:191〜195)。 【0014】 アフィニティーアフェレーシスの他の実験的適用には、血友病の管理における抗第VIII因子抗体の枯渇(Nilsson et al.(1981)Blood 58:38;Watson et al.(1989)Cancer 64:1400);セルロースカラムに固定されたポリアニオン性化合物でのループス腎炎に関連するカチオン性抗DNA抗体の除去(Suzuki et al.(1994)Autoimmunity 19:105−112);抗アポリポプロテインBをSepharoseに結合することによる家族性高コレステロール血症の患者からの低密度リポタンパク質(LDL)の枯渇(Richter et al.(1993)Metabol.Clin.Exp.42:888−894; Suzuki et al.(1995)Artificial Organs 20(4):296−302);グッドパスチャー症候群の治療における抗基質膜抗体の除去(Bandarenko(1996)Clinics in Laboratory Medicine 16:907−929);及びシスプラチン及びマイトマイシンC誘導化溶血性尿毒症症候群/血栓性血小板減少性紫斑病(HUS/TTP)の治療(Watoson et al.(1989)Cancer 64:1400;Snyder et al.(1993)Cancer 71:1882−1892)がある。 【0015】 標的特異的治療を促進するウイルス免疫原性治療剤の使用及び効能は、その体自体の免疫系により限定され得る。本発明は、体の免疫防御を部分的に予めなくすことにより治療用ウイルスベクターの能力を増強する方法を供することによりこの制限に取り組む。 本明細書に言及される全ての出版物は、それらの全体が引用により本明細書に組み込まれる。 【発明の開示】 【課題を解決するための手段】 【0016】 発明の開示 本発明は、免疫原性ウイルス治療剤に対する予め存在する体液性免疫を減少させるための方法及び組成物を供する。 従って、1つの態様において、本発明は、ウイルス免疫原性治療剤に対する予め存在する体液性免疫を減少させる方法であり、個体の血液を、ウイルス治療剤に対する抗ウイルス抗体に選択的に結合する免疫吸着剤で体外的に処理(即ち接触)させ;存在するなら、その処理の間に形成された抗体−免疫吸着剤複合体を除去し;そしてその血液を個体にもどすことを含む方法を供する。ウイルス免疫原性治療剤は、アデノウイルスのようないくつかのウイルスのいずれかであり得る。免疫吸着剤は、有機分子及びポリペプチドのような、抗体に特異的に結合するいくつかの物質のいずれかであり得る。ウイルス表面タンパク質が好ましい。 【0017】 別の態様において、本発明は、個体においてウイルス免疫原性治療剤に対する予め存在する体液性免疫を減少させる方法であって、個体の血液がウイルス免疫原性剤に特異的に結合する抗体を除去し、ここで該抗体は該抗体に特異的に結合する免疫吸着剤に前記抗体を体外的に結合させることにより選択的に除去され;存在するなら、免疫吸着剤−抗体複合体を除去し;そして血液を個体にもどすことを含む方法を供する。 【0018】 別の態様において、本発明は、ウイルス治療剤を個体に投与する方法であって、(a)個体の血液を抗体に結合する免疫吸着剤で体外的に処理し;(b)血液から、存在するならその処理の間に形成された抗体−免疫吸着剤、複合体を除去し;(c)血液を個体にもどし;そして(d)ウイルス治療剤を個体に投与することを含む方法を供する。 【0019】 別の態様において、本発明は、これらの方法と一緒に用いるため(即ち抗ウイルス抗体の選択的除去及び/又は検出のため)のキットであって、好適なパッケージング内に除去すべき抗体に特異的に結合する免疫吸着剤を含むキットを供する。 別の態様において、本発明は、個体の血液からウイルス免疫原性剤に特異的に結合する抗体を選択的に除去するための組成物であって、マトリックスに結合した抗体に特異的に結合する免疫吸着剤を含む組成物を供する。 上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下の手段を提供する。 (項目1) 個体においてウイルス免疫原性治療剤に対して予め存在する 体液性免疫を減少させる方法であって、前記ウイルス治療剤に対する抗ウイルス抗体に選択的に結合する吸疫吸着剤で体外的に前記個体の血液を処理し;存在するなら、前記処理の間に形成された血液から抗体−免疫吸着剤複合体を除去し;そして該血液を前記個体にもどすことを含む方法。 (項目2) 前記ウイルス免疫原性治療剤がアデノウイルスである項目1に記載の方法。 (項目3) 前記免疫吸着剤が有機分子である項目1に記載の方法。 (項目4) 前記免疫吸着剤がポリペプチドである項目1に記載の方法。 (項目5) 前記ポリペプチドがウイルス表面タンパク質である項目4に記載の方法。 (項目6) 前記表面タンパク質がキャプシドタンパク質である項目5に記載の方法。 (項目7) 前記表面タンパク質が繊維タンパク質である項目5に記載の方法。 (項目8) 前記表面タンパク質がペントンタンパク質である項目5に記載の方法。 (項目9) 前記免疫吸着剤が抗ウイルス抗体に特異的な抗体である請求項1に記載の方法。 (項目10) 前記抗体が抗イディオタイプ抗体である項目9に記載の方法。 (項目11) 前記免疫吸着剤が、ヘキソンタンパク質、繊維タンパク質、ペントンタンパク質、及びそれらのいずれかの組合せからなる群から選択されるアデノウイルス表面タンパク質である項目2に記載の方法。 (項目12) 前記免疫吸着剤が、アデノウイルスヘキソンタンパク質、繊維タンパク質、及びペントンタンパク質の混合物を含む項目11に記載の方法。 (項目13) 前記繊維タンパク質が3量体である項目11に記載の方法。 (項目14) 処理後の抗ウイルス抗体のタイターが約1:10以上である項目2に記載の方法。 (項目15) 前記個体の処理前の抗ウイルス抗体のタイターが少くとも約1:10である項目2に記載の方法。 (項目16) 前記個体の処理前の抗ウイルス抗体のタイターが少くとも約1:20である項目2に記載の方法。 (項目17) 処理前の抗アデノウイルス抗体の全量が約12μg/mlより多い項目2に記載の方法。 (項目18) ウイルス治療剤を個体に投与する方法であって、 (a)抗体に結合する免疫吸着剤で体外的に個体の血液を処理し; (b)存在するなら、前記処理の間に形成された抗体−免疫吸着剤複合体を除 去し; (c)前記血液を前記個体にもどし;そして (d)前記ウイルス治療剤を前記個体に投与すること を含む方法。 (項目19) 前記免疫吸着剤がプロテインAである項目18に記載の方法。 (項目20) 前記免疫吸着剤がプロテインGである項目18に記載の方法。 (項目21) 前記抗体がIgGである項目18に記載の方法。 (項目22) 前記ウイルス治療剤がアデノウイルスである項目18に記載の方法。 (項目23) 少くとも1の免疫抑制剤を投与することを更に含む項目11に記載の方法。 (項目24) 少くとも1のサイトカインを投与することを更に含む請求項1に記載の方法。 (項目25) 少くとも1のサイトカイン及び少くとも1の免疫抑制剤を投与することを更に含む項目1に記載の方法。 (項目26) 抗T細胞レセプター抗体を投与することを更に含む項目1に記載の方法。 (項目27) 好適なパッケージング内に、除去すべき抗体に特異的に結合する少くとも1の免疫吸着剤を含む項目1に記載の方法に用いるためのキット。 (項目28) 前記免疫吸着剤がアデノウイルスペントンタンパク質である項目27に記載のキット。 (項目29) 項目1に記載の方法とあわせて抗ウイルス抗体の検出に用いるためのキットであって、好適なパッケージング内に除去すべき抗体に特異的に結合する少くとも1の免疫吸着剤を含むキット。 (項目30) 前記免疫吸着剤がアデノウイルスペントンタンパク質である項目29に記載のキット。 (項目31) 個体の血液からウイルス免疫原性剤に特異的に結合する抗体を選択的に除去するための組成物であって、マトリックスにコンジュゲートした抗体に特異的に結合する免疫吸着剤を含む組成物。 (項目32) 前記免疫吸着剤が、ヘキソンタンパク質、繊維タンパク質、ペントンタンパク質、及びそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される項目31に記載のキット。 【発明を実施するための最良の形態】 【0020】 発明の実施の形態 我々は、個体において、ウイルス免疫原性剤、特にウイルス治療剤に対する予め存在する体液性免疫を減少させるために役立つ方法及び組成物を発見した。治療剤として投与する前に個体の血液中のウイルス免疫原性剤に対する抗体を除去することにより、ウイルス免疫原性剤に対する個体のプレ免疫性が減少する。 【0021】 我々は、ウイルス治療剤に特異的な抗体を除去することにより、その処理の有効性が増加することを発見し、それを信じている。ウイルス治療剤の投与に基づき、ウイルス治療剤に特異的に結合する抗体が選択的に除去された後、血液中に治療剤が長期にわたって存在し、播種が増加する。この長期の存在(即ち半減期の増加)は、ウイルス剤の有効性を増加させるはずである。例えば剤は、転移部位により有効に到達することができる。いずれの特定の理論にも結びつけるつもりはないが、予め存在する体液性免疫は抗体の除去により減少し、それによりウイルス治療剤の免疫破壊を遅らせ、これによりより有効な播種及びより長い半減期を許容する。 【0022】 一般的技術 本発明の実施は、特に示さない限り、全てが当業者の範囲内にある、細胞生物学、免疫学、分子生物学、生化学、及びアデノウイルス生物学の慣用的な技術を用いるであろう。このような技術は、“Antibodies:A Laboratory Manual”、(Halon,E.and Lane,D.,1988)“Physical Biochemistry:Applications to Biochemistry and Molecular Biology,”second edition(Freifelder,D.,1982);“Handbook of Experimental Immunology,”(D.M.Wei & C.C.Blackwell,eds);“Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells,”(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.1987);“Current Protocols in Immunology,”(J.E.Coligan et al.,eds.,1991);Felgner and Ringold(1989)Nature 337:387−388;Berkner and Sharp(1983) Nucl.Acids Res.11:6003−6020;Graham(1984)EMBO J.3:2917−2922;Bett et al.(1933)J.Virology 67:5911−5921;Bett et al.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:8802−8806のような文献に十分に説明されている。 【0023】 (複数の形態で交換可能に用いられる)“抗体”は、イムノグロブリン分子の可変領域に位置した少くとも1つ抗体認識部位を介して、ペプチドのような標的に特異的に結合することができるイムノグロブリン分子である。抗体は、それらを生産することができる動物のいずれかのソース、例えばマウス、ラット、ウサギ、又はヒト抗体からのものであり得る。本明細書に用いる場合その用語は、完全な抗体ばかりでなく、そのフラグメント(例えばFab,Fab′、F(ab′)2 ,Fv、一本鎖(ScFv))、その変異体、融合タンパク質、ヒト化抗体、及び要求される特異性の抗原認識部位を含むイムノグロブリン分子のいずれかの他の改変形態も包含する。用語“抗体”は、ポクリローナル抗体及びモノクローナル抗体を含む。“抗イディオタイプ”抗体は、別の抗体が特異的である抗原の構造に擬態する抗体の型をいう。 【0024】 本明細書に用いる用語“抗原”は、抗体及び/又は免疫細胞と立証可能な方法で反応するいずれかの物質である。抗原は、抗原特異性を与えて別の分子の特定の化学基のための分子内に決定基を含む。 本明細書に用いる用語“血液”は、細胞構成物及び血漿を含む体液である。“血液”は全血又はその成分を意味する。“個体の血液”を処理するとは、個体の血液のいずれか又は全てが処理されることを意味する。 【0025】 本明細書に用いる用語“免疫吸着剤”は、抗ウイルス剤抗体に特異的に結合す る分子、即ち抗ウイルス剤抗体に特異的に結合する分子をいう。本明細書に用い る用語“エピトープ”は、抗原決定基のいずれかの形態をいう。 用語“免疫原性ウイルス治療剤”、“ウイルス治療剤”、及び“ウイルス剤” は交換可能に用いられ、個体に導入した時にそのウイルス剤に特異的な循環性抗 体を誘発する、異常な状態又は病状を治療するために個体に投与されるウイルス 又はウイルス構成物(即ちウイルスゲノム由来のもつ)をいう。ウイルス治療剤 の例は本明細書に開示される。 【0026】 本明細書に用いる用語“個体”は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。哺乳動物には、これらに限らないが、家畜、スポーツ(sport)動物、ペット、マウス、サル、チンパンジー及び他の研究動物がある。 本明細書に用いる用語“抗ウイルス抗体”は、ウイルス治療剤に特異的な抗体をいう。“抗ウイルス抗体”は、これらに限らないが、ウイルス治療剤に特異的な中和性抗体を含む。(実施例及び添付図面を含む)明細書中の用語“中和性抗体”のところどころにある使用は、本発明がいわゆる“中和性”抗体に限らないことを示す。 【0027】 本明細書に用いる用語“予め存在する体液性免疫(性)”は、個体においてウイルス治療剤に特異的に結合する抗体の存在をいう。本発明の目的のため、これらの抗体は、治療法のために実際に用いられる剤と同じ型であるか否か(例えば個体は野生型アデノウイルスへの露出によりアデノウイルス剤に対する予め存在する免疫性を有し得る)、及び/又は剤での治療の過程の前からの間があるにかかわらず、免疫原性ウイルス剤への先の露出により、誘発されている。 【0028】 用語“選択的除去”として、好ましくは少くとも約50%、好ましくは少くとも約60%、好ましくは少くとも約80%、好ましくは少くとも約85%、好ましくは少くとも約90%、好ましくは少くとも約95%の、抗体量又はタイターの削減をいう。結合又は中和アッセイのいずれかにより抗体タイターを測定する方法は当業界で公知である。 【0029】 “安定な複合体”は、その形成後に後の検出及び/又は除去を許容するのに十分に持続するものである。 本明細書に用いる“トリマー(三量体)”タンパク質又は“トリマー(三量体)”は、試験管内又は生体内で互いに関連した3つの別個のポリペプチド又はタンパク質鎖を含む多量体タンパク質をいう。トリマータンパク質は、同じ配列の3つのポリペプチド鎖からなり得る。多量体タンパク質は、例えばヘテロダイマー又はヘテロトリマーを形成するために別個の配列を有する1超のポリペプチドから構成されてもよい。 【0030】 本発明の方法 本発明は、ウイルス免疫原性治療剤に対する抗ウイルス抗体を選択的に除去することによりウイルス免疫原性治療剤に対する予め存在する体液性免疫を減少させる方法を供する。一般に、抗ウイルス抗体は、(a)個体の血液(即ちその全て又は一部)を、抗ウイルス抗体に選択的に結合する免疫吸着剤で体外的に処理し又はそれに接触させ;(b)存在するなら、その処理の間に形成された血液から抗体−免疫吸着剤複合体を除去し;(c)そしてその血液を個体にもどすことにより選択的に除去されて、換言すると、ウイルス免疫原性剤に特異的に結合する抗体は、個体の血液から選択的に除去され、ここでこの除去は、抗体に特異的に結合する免疫吸着剤に抗体を体外で結合させ、そして存在するなら形成された免疫吸着剤−抗体複合体を除去することにより達成される。次に、血液は個体にもどされる。細胞成分が血漿(又は血清)から分離されているなら、血漿及び細胞成分は個体に血液を注ぎ込む前に再び組み込まれる。次に、ウイルス治療剤は、そのウイルス剤に対して減少した予め存在する体液性免疫を有する個体に投与される。ウイルス治療剤の例は、これらに限られないが、アデノウイルス、モロニ−マウス白血病ウイルス(MoMLV)、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)、及びHIVを含む(及び/又はそれらから得ることができる)。 【0031】 最初に、血液のサンプルは、通常、抗ウイルス抗体タイターを決定するために採取され、これにより抗体の選択的除去が保証されるか否かを決定し、そしてこの測定及び決定は、本明細書に記載される方法における任意的ステップである。本発明の目的のため、抗体測定は、RIA及び中和アッセイのような当業界の標準的技術を用いて行うことができる。中和アッセイにおいて、(293細胞のような)哺乳動物は、既知の希釈率の血清(抗体)中で予めインキュベートされている既知の感染の多重度のウイルスで感染される。コントロールウイルスは予めインキュベートしない。例えば、Gahery−Segardら(1997)Eur.J.Immunol.27:653〜659を参照のこと。細胞変性効果(CPE)が測定され、コントロールウイルスと比較される。希釈率は、一般に、100%保護(即ち細胞変性効果なし)を達成する希釈率について報告される。アデノウイルスについて用いることができる。試験管内中和アッセイについてのプロトコルの例は次の通りである。ヒト293細胞をウェル当り1×104 細胞で96ウェルプレートに予め種つけし、37℃、5%CO2で一晩、培養する。血清又は血漿サンプルは補体系を不活性化するために20分、56℃でインキュベートされ、次に50μlの完全をRPMIをそのプレートに加える。50μlの希釈していないテストサンプルを異なるプレートに連続的な希釈率で各々のウェルに加える。アデノウイルスは完全RPMIに2×105pfu /mlで希釈され、そして50μlの希釈化ウイルスがウェルに添加され、次に37℃で1時間、インキュベートされる。次にその混合物(ウイルスを含むコントロール及びサンプル)はウェルから除去され、293細胞を含むプレートに添加され、37℃で1時間、インキュベートされる。そのプレートから混合物を除去した後、100μlの新しい媒体が各々のウェルに添加され、次に37℃で5%CO2でインキュベートする(毎日観察)。コントロールウェルは、テストウェルを(293細胞において)CPEについて検査する時点である約5〜7日後に100%CPEを行うと予想されよう。中和性抗体のタイターは、CPEの100%阻害を作り出すために要求される最も低い希釈率の逆数として表される。 【0032】 アデノウイルスの場合、細胞は、1のMOIで感染され、そして抗ウイルス抗体の選択的除去は、そのタイターが約1:10超、より好ましくは約1:20超である場合、治療用ウイルス剤での有効な処理のために推奨される。全抗アデノウイルス抗体に関して、アフェレーシス法のために示される個体は、おおよそ次のいずれかを超える全抗アデノウイルス抗体を有する:12μg/ml;15μg/ml;20μg/ml;25μg/ml;30μg/ml;50μg/ml;60μg/ml;75μg/ml。全抗アデノウイルス抗体は、ELISAのような当業界で知られた方法を用いて決定することができる(Molnar−Kinberら(1998)Human Gene Ther.9:2121−2133)。 【0033】 免疫吸着剤の抗ウイルス抗体への結合 本発明の方法において、血液は、免疫吸着剤に体外的に結合させるために個体から除去される。血液を除去し、それをその構成成分に分離するための装置及び方法は当業界で知られている(例えば米国特許4,086,924;4,223,672号を参照のこと)。次に、血液又はその部分は、抗ウイルス抗体に特異的に結合することができる免疫吸着剤に露出される。この抗ウイルス抗体と免疫吸着剤との間の結合相互作用は、ウイルス治療剤に対する予め存在する体液性免疫を減少させる目的を開始する。 【0034】 免疫吸着剤は、その分子が抗ウイルス抗体との結合活性において必要な特異性を有する限り、いずれの化学成分(生化学物(例えばペプチド)、有機又は無機物)であってもよい。免疫吸着剤は、これらに限らないが、次のいずれかを含んでもよい:ウイルスベクターの抗原性部分(ウイルス自体を含む)、抗ウイルスベクター抗体に特異的なエピトープを含むタンパク質又は他の分子構造、抗ウイルスベクター抗体に特異的な抗イディオタイプ抗体、及び上述の抗体のF′abフラグメント。本発明の目的のため、1又は複数の免疫吸着剤、即ち異なる免疫吸着剤及び/又は単一の免疫吸着剤の組合せを用いることができる。免疫吸着剤は化学合成及び組換え技術のような当業界の標準的技術を用いて行うことができる。 【0035】 一般に、表面タンパク質及びビリオンの遺伝子材料を被包するタンパク質が本発明の方法に記載される免疫吸着剤の調製に用いるために好適である。種々のウイルスについて特異的である抗ウイルス抗体は、大部分は、表面エンベロープタンパク質又はキャプシドタンパク質のいずれかに特異的であるようである。それは、ウイルスの1つの血清型を別のものと区別するこれらのタンパク質でもある。完全な(全体の)ウイルスポリペプチド、そのフラグメント、及び少くともウイルスポリペプチドの免疫反応性部分を含む融合ポリペプチドを、特異的結合活性が存在する限り、用いることができる。特異的結合をテストすることは、ELISA又は免疫沈降法のような当業界において標準的な結合アッセイを用いて直ちに行うことができる。上述の治療用ウイルスの中で、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、AAV及びHIVは、免疫吸着剤として好適な候補であり得る十分にキャラクタライズされた表面及び被包タンパク質を有する。 【0036】 アデノウイルスに関して、抗アデノウイルス中和性抗体に特異的に結合するであろう候補ポリペプチドは表面タンパク質である。概略的に図13はこれらのタンパク質を示す。非エンベロープ化アデノウイルス粒子は、少くとも11の異なるタンパク質を含む(Maizelら(1968)Virology 36:115〜125)が、主にヘキソン及びペントンキャプソンアから構成される。繊維タンパク質はビリオン表面から突き出て、細胞表面に最初に接触し、そして繊維タンパク質配列におけるバリエーションは、異なるアデノウイルス単離物の組織向性に寄与する(Arnbergら(1997)Virology 227:39〜244)。中和性抗体は、ヘキソン及び繊維ポリペプチド上のタイプ特異的抗原決定基と反応する。これらのアデノウイルス表面タンパク質の配列は当業界で知られている。例えばReubelら(1997)Arch.Virol.142(6):1193〜212;Pring−Akerblomら(1995)Res.Virol.146(6).383〜388;Weberら(1994)J.Gen.Virol.75:141〜147を参照のこと。好ましくは、免疫吸着剤は、アデノウイルス表面タンパク質、そのフラグメント、又は抗アデノウイルス抗体に対する結合特異性を保持するその融合ポリペプチドである。より好ましくは、表面タンパク質は、アデノウイルスヘキソンタンパク質、繊維タンパク質、ペントンタンパク質、及びそのいずれかの組合せからなる群から選択される。従って、免疫吸着剤として用いられるアデノウイルス表面タンパク質は、次のいずれかであってもよい:ヘキソンタンパク質;繊維タンパク質;ペントンタンパク質;ヘキソンタンパク質及び繊維タンパク質;ヘキソンタンパク質及びペントンタンパク質;繊維タンパク質及びペントンタンパク質;ヘキソンタンパク質、繊維タンパク質、及びペントンタンパク質。特に有効な免疫吸着剤はヘキソン、繊維及びペントンタンパク質の組合せ、又はトリマーコンホメーションにおいてアセンブルした繊維タンパク質である。その組合せは、逐次的に又は同時に行うことができる(即ち、組合せは、例えば別個の反応を行なうことにより行っても、又は混合物として(例えば単一カラム上で)全部で3つのタンパク質を組合せることにより行ってもよい)。我々は、大腸菌が発現した繊維タンパク質が、一般に生理条件下(例えば界面活性剤なしでの好適な緩衝液の使用)でトリマータンパク質に再びアセンブルすることができることを観察した。図14は、これらの種々のカラム形態を概略的に示す。 【0037】 単純ヘルペスウイルスのための中和性抗体は、グリコプロテインのようなエンベロープタンパク質について見い出されている。単純ヘルペスウイルス1型のための中和性抗体の大部分はグリコプロテインB,C及びEについて特異的である(Eingら(1989)J.Med.Virol.27(1):59〜65)。グリコプロテインDは、中和性抗体のための主要な標的抗原であることが示されている(Highlanderら(1987)J.Virol.61(11)3356−64)。単純ヘルペスウイルスタイプ一般のグリコプロテインA,B及びDは中和性抗体のための標的として機能しこれにより免疫吸着剤の調製に用いるための優れた候補であろう(Vestergaard(1980)Rev.Infect.Dis.2(6):899−913;Browne et al.(1993)J.Gen.Virol.74:2813−2817;Sanchez−Pescador et al.(1993)168(4):844−853;Cohen et al.(1992)Adv.Exp.Med.Biol.327:217−228)。 【0038】 種々のアデノ関連ウイルス(AAV)タイプの抗原性は、それらのキャプシドタンパク質における差から得られ、これにより、キャプシドタンパク質は、中和性抗体への結合のための優れた候補であろう(図13(a))。成人テスト集団の60%がAAVタイプ5の構成成分に対する抗体を有した(George−Friesら(1984)Virology 134(1):64〜71)。新しい血清型のAAV(タイプ6)を記述することにおいて、Rutledgeら(1998)は、タイプ2に対する中和性抗体に対する耐性のような、血清型特異的機能の原因であると考えられるキャプシドタンパク質の部分内の有意な配列バリエーションを見い出した(J.Virol.72(1):309〜19)。 【0039】 高い変異性を有するHIVの表面タンパク質(Env)は中和性抗体の有効な標的である(Duraliら(1998)J.Virol.72(5):3547〜53)。HIVの種々の分岐の中で、いくつかのエピトープ、即ちGagp24,Gagp18、インテグラーゼ及びNefの中央領域状保存されているようである。中和性エピトープは、gp120のV3ループ及びCD4結合ドメイン中にも、並びにgp41のトランスメングレン領域近くにも見い出されている(Hioeら(1997)Int.Immunol.9(9):1281〜90)。HIVをウイルスベクターをして用いるなら、これらの種々のエピトープは、HIVに対する中和性抗体を一時的に減少させるために免疫吸着剤としてイムノアフェレーシスに用いることができる。 【0040】 ウイルス及びそれらの種々の構成物に加えて免疫吸着剤として他の候補が抗イディオタイプ抗体である。抗イディオタイプ抗体はそれらの超可変領域において抗原の構造に擬態する。抗イディオタイプ抗体は、既知の抗ウイルス抗体を用いることによって発生し得る。このような抗体の開発の例は次の通りである:(1)マウスにウイルスベクターを注入して抗ウイルス抗体の生産を誘導し:(2)一次培養物を用いてマウスがB細胞を収集し、その細胞をミエロース細胞と融合してハイブリドースを作り出し;(3)基質としてウイルスベクターと共にELISAシステムを用いることにより抗ウイルス抗体の生産のためにハイブリドースをスクリーニングし;(4)抗ウイルス活性について陽性であるクローンを増殖させ、その抗体を精製し;(5)抗ウイルス抗体をウイルスベクター未処理のマウスに注入して、抗ウイルス抗体に応答する免疫を作り出し、それにより抗イディオタイプ抗体を作り出し;(6)ウイルスベクター未処理マウスからB細胞を収集してハイブリドーマを作り;(7)抗イディオタイプ抗体の生産及び抗ウイルス抗体への特異的結合のためにハイブリドーマをスクリーニングし;(8)免疫吸着剤として用いるための大量の抗イディオタイプ抗体を生長させる。これらの抗体は、そのフラグメントが要求される特定の結合活性を有する領域を含む限り、全体として又は部分的に用いることができる。 【0041】 抗ウイルス抗体の免疫吸着剤への結合は、血液(又は血液構成物)を、免疫吸着剤と、その除去を許容するのに十分に安定な免疫吸着剤抗体複合体の形成を許容する(容易に経験的に決定される)条件下でインキュベートすることにより行うことができる。 免疫吸着剤−抗体複合体の除去 安定な複合体を形成した後、血液又は血漿からこれらの免疫吸着剤−抗体複合体を除去するために2つの一般的な方法を用いることができる。1つは固相系を(即ち免疫吸着剤に結合したマトリックスを用いて)利用し、別の方法は、液相システムを利用する。固相系において、抗ウイルス剤抗ウイルス抗体に特異的な免疫吸着剤は固相マトリックスに結合する(即ち免疫吸着剤が結合した固相支持体)。除去すべき抗体を含む血液又は血漿(又は血清)に固相支持体を通過させる。血液、血漿又は血清は免疫吸着剤−抗ウイルス抗体複合体を残して固相支持体を出て、それにより血液からそれを除去する。液相系において、免疫吸着剤−抗体複合体は、血液又は血漿から免疫沈降される。 【0042】 固相系については、いくつかの固相マトリックスのいずれかを用いることができる。いくつかの市販のマトリックスには、これらに限らないが、アガロース(即ちD−ガラクトース及び改変3,6−アンヒドロガラクトース残基から一般に構成される中性直鎖ポリサッカライド)、例えばSepharose(Pharmacia)、活性化ゲル、ニトロセルロース、ボロシリケート、ガラス繊維フィルター、シリカ、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、およびジアゾ化紙がある。本明細書に用いる用語“アガロース”は、クロマトグラフィーに一般に用いられるものを包含する。 【0043】 免疫吸着剤は、血液又は血漿(又は血清)をマトリックスに流す前に、共有結合又は非共有結合のいずれかでマトリックスに結合(即ちコンジュゲート)される。通常室温より暖かい温度で、免疫吸着剤とのインキュベーションにより非共有結合で結合し得るマトリックスには、これらに限らないが、ニトロセルロース、ボロシリケート、フィルター、ポリビニルクロライド、ポリスチレン及びシアゾ化紙がある。他のマトリックスは、そのマトリックスに免疫吸着剤を共有結合させるために化学反応を要求する。これらの活性化マトリックスの生産は当業界で公知である。例えば米国特許第4,762,787号を参照のこと。活性化マトリックスとのインキュベーションのみを要求するいくつかのもの、例えばエポキシ活性化アブロースは市販されている。他のものには、これらに限らないが、CNBr活性化アガロース、6−アシノヘキサン酸及び1,6−ジアシノヘキサン−アガロース、エポキシ活性化アガロース、チオプロピルアガロース、カルボニルジイシダゾール活性化アガロース、アミノエチル及びヒドラジド活性化ポリアクリルアシドがある。例えば、“Physical Biochemistry:Applications to Biochemistry and Molecular Biology,”second edition(Frejfelder,D.,1982)を参照のこと。 【0044】 ポリペプチド免疫吸着剤が支持体マトリックスに結合している実施形態において、そのポリペプチド免疫吸着剤の分子量は、好ましくは約150kD未満、好ましくは約125kD未満、好ましくは約100kD未満、好ましくは約90kD未満、好ましくは約75kD未満、好ましくは約60kD未満、好ましくは約50kD未満である。小さな分子量ほど立体的障害によるいずれの負の効果も少い。 【0045】 他の本発明の実施形態において、免疫吸着剤に結合した固相マトリックスが粒状物がカラムに入り又はそれから出ることを防止するために両端にフィルターを伴う円柱状容器に含まれているアフィニティーカラムを用いる。これらの実施形態について、個体の血液はその血漿及び細胞成分に分離される。なぜなら全血は、カラムを介して流れるのを妨げ得る細胞及び粒状物(例えば血小板)を含むからである。血漿は、更に、凝固タンパク質を除去することにより血清に処理することができ、それはカラムを介しての流れの効率も改善するであろう。その血漿又は血清は、カラムを通過し、そしてその血漿又は血清は、カラム内に免疫吸着剤−抗体複合体を残して収集される。 【0046】 別の固相実施形態は、免疫吸着剤と共に予めインキュベートしたニトロセルロースシートを含む。血液、好ましくは血漿又は血清は、個体が収集され、免疫吸着剤に結合したニトロセルロースと共にインキュベートされ、そして次にニトロセルロースに結合した免疫吸着剤−抗体複合体を残して収集される。 用いることができる他の固相技術は“パニング”として当業界で一般に知られる。大きなポリスチレンペトリ皿をその表面に結合するまで免疫吸着剤と共にインキュベートする。個体かつ血液、血漿又は血清は、免疫吸着剤が結合したポリスチレンと共にインキュベートされ、デカントされる。抗ウイルスベクター抗体は、ポリスチレンに結合した免疫吸着剤に結合して残る。 【0047】 いくつかの実施形態において、抗体、又はIgGもしくはIgAのような抗体のクラスのプレクリアランスは、抗ウイルス抗体の選択的除去の前に行われる。次に、特定の抗ウイルス抗体が抗体のより大きなプールから抽出することができる。残りの抗体は個体に再灌流される血液に再構成される。これらの方法は、血漿内の他の成分と共に発生し得る非特異的結合を減少させることに加えて、問題の抗体について特異的な免疫吸着剤を通過させなければならない容量を減少させる。例えば、非特異的プロテインA又はプロテインG Sepharoseカラム、例えばPROSORBA(登録商標)(IMRE,Munich,Germany)を用いて血漿からの他のクラスの抗体のいくらかの除去と共に、IgG抗体の有意な部分を除去することができる。この抗体は、次に“Antibodies:A Laboratory Manual,”(Harlow,E.及びLane,D.,1988)の方法のように、当業界で知られたプロトコルに従って溶出し、精製することができる。次にその精製された抗体は、ウイルスベクター、好ましくはアデノウイルスベクターに特異的な免疫吸着剤に結合した固相マトリックスを通過させ、それにより他の型の抗体から抗ウイルス抗体を分離することができる。次にその溶出液は、血漿に再構成されて細胞構成物と混合され、個体に再導入されるここで抗ウイルス抗体は除去されている。 【0048】 抗体の一般的なプレクリアランス(即ち単離)は、イオン交換クロマトグラフィー、カプリル酸、DEAE−マトリックス(イオン交換クロマトグラフィー)、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、又はゲルろ過(Sepharose)と共に硫酸アンモニウム沈殿を用いて行うこともできる。これらの技術は、当業界で公知である(Harlow,E及びLane,D,1988)。抗体を単離し、可溶化した後、それは、上述のようにマトリックスに結合した免疫吸着剤に露出させることができる。次に、得られた溶出液は、個体への再導入のために処理することができる。 【0049】 本発明のいくつかの実施形態において、ウイルス治療剤の投与の方法が供される。ここで、個体の血液は、抗体に結合する免疫吸着剤で体外的に処理され、(存在するなら)その処理の間に形成された抗体−免疫吸着剤複合体が除去され、血液が個体にもどされ、そしてウイルス治療剤が個体に投与される。免疫吸着剤は、プロテインA又はプロテインGのような、(抗体のタイプ又はクラスを含む)いずれかの抗体と反応する(上述のような)いずれの材料であってもよい。同様に、これらの方法で除去された抗体は、いずれの又は全ての型又はクラスであってよい。好ましくは、ウイルス治療剤はアデノウイルスである。 【0050】 本発明の別の実施形態において、抗ウイルス抗体に特異的な免疫吸着剤は脂質ベシクルに結合する。これらの液体ベシクル−免疫吸着剤は、次に結合するように個体の血漿又は血清と混合され、そして次にその血漿又は血清は液体ベシクル−免疫吸着剤−抗体複合体を除去するためにろ過される(米国特許第4,643,718号)。 【0051】 他の実施形態において、免疫吸着剤−抗体複合体は(固体と反対の)液相を用いて除去される。例えば、免疫吸着剤はハプテンにコンジュゲートされる。ハプテンは、これらに限らないが、ジニトロフェノール又はフルオレセインであり得る。ハプテン−免疫吸着剤複合体は、個体の血液、好ましくは血漿又は血清と混合される。ハプテン−免疫吸着剤複合体は抗ウイルス抗体に結合する。免疫複合体は、ハプテン−免疫吸着剤−抗体複合体に結合する抗ハプテン抗体の導入に伴って形成される。これらの複合体は、例えば、遠心を用いて血漿又は血清から分離することができるポリエチレングリコール(PEG)を用いて沈殿される。例えば米国特許第4,551,435号を参照のこと。個体への再導入の前に残留ポリエチレングリコールを除去するための血漿又は血清の処理は当業界で知られている。 【0052】 抗ウイルス抗体のタイターは、通常、十分な抗体が除去されているか否かを評価するために選択的な除去の後に決定され、この決定は、本明細書に記載される方法において任意的ステップである。一般に、回収(即ち生産)がウイルス感染に対して後の保護を許容するような十分な抗体を維持しながら、ウイルス効能への体液性免疫応答の効果を減少させるために十分な除去が好ましい。抗ウイルス抗体の完全な除去は、必要でないか、又は必要に応じて好ましい。(上述の)中和アッセイに基づき、抗アデノウイルス抗体の選択的除去後のタイターは(即ち少くとも)約1:50以上、好ましくは約1:20以上、好ましくは約1:15以上、好ましくは1:10以上、より好ましくは1:5以上、更により好ましく約1:1以上である。有効であるために要求される除去の範囲及び程度は、実験的に直ちに決定することができ、治療すべき特定の病状、個体の状態、用いるウイルス剤の性質及び型(及び治療プロトコル)、及び/又はウイルス剤と共に他の治療剤を用いるか否かに依存して多様であり得る。 【0053】 従って、特定の実施形態において、本発明は、抗ウイルス抗体の選択的除去の方法であって、処理後の抗ウイルス抗体のタイターが1:20以上、好ましく1:10以上である方法を供する。本発明は、処理前(即ち選択的除去の前)の抗ウイルス抗体の個体のタイターが少くとも約1:10又は少くとも約1:20である方法も供する。特定の実施形態において、用いるべきウイルス治療剤はアデノウイルスである。特定の実施形態において、抗ウイルス抗体はアデノウイルスペントンタンパク質である。 【0054】 血液を個体にもどすこと 抗ウイルス抗体−免疫吸着剤複合体を選択的に除去した(又は特定の実施形態に従って、1つの抗体−免疫吸着剤を除去した)後、血液は個体に再導入され、又は血漿又は血清に血液の細胞構成物が再び組み込まれ、それが個体にもどされる(アフェレーシス)。血液の除去及びその個体への返送は当業界で公知であり、先に列記した特許及び出版物に記載される。一般的に用いられる2つの方法は、連続的及び非連続的方法である。連続的方法は、規則的な流れで個体が血液を除去し、その細胞構成物から血漿を分離し、その血漿を処理し、その血漿を細胞構成物と組み合せ、そして次に個体に再注入することに関する。不連続法は、少量の血液を除去し、その特定容量の細胞構成物から血漿を分離し、その容量の血漿を処理し、それら2成分を再構成し、そしてその容量を個体に再注入することに関する。 【0055】 治療用ウイルス剤の投与 抗ウイルス抗体−免疫吸着剤複合体が選択的に除去された(又は特定の実施例に従って、1つの抗体−免疫吸着剤が除去された)後、ウイルス治療剤は種々の方法で投与することができる。ウイルス剤は、それを再組み込みされた血液に加えて個体に再注入することにより投与することができる。あるいは、ウイルス剤は、静脈内、筋内、皮下、及び腫瘍内注入のような注入を介して投与することができる。他の投与の方法には、経口投与、坐剤、又は吸入剤がある。投与の方法は、一般に、ウイルス剤の標的の位置に依存するであろう。例えば、標的が肺であるなら、吸入剤が静脈内注入より好ましい。標的が血液中又は多重転移部位にあるなら、静脈内注入が好ましいであろう。 【0056】 投与は、抗ウイルス抗体タイターが有意に増加する前におこるはずである。このタイターが有意に増加する比率は、個体の状態及び用いるウイルス剤のようないくつかの変数のいずれかに依存する。好ましくは、ウイルス治療剤は、抗ウイルス抗体の選択的除去の1週間以内、より好ましくは抗ウイルス抗体の選択的除去の3日以内、より好ましくは選択的除去の2日以内、より好ましくは選択的除去の1日以内、より好ましくは選択的除去の24時間以内、より好ましくは選択的除去の12時間以内、更により好ましくは選択的除去の6時間以内、更により好ましくは選択的除去の3時間以内に投与される。 【0057】 一般に、選択的除去は、1〜2週間までの間、有効であり得、治療用ウイルス(例えばアデノウイルス)は、循環内で、3〜4週間又はそれ以上、有効に存在することが必要であり得る。これにより、治療用ウイルス剤での処理の後、抗ウイルス抗体タイターは、一般に規則的な時点(例えば1週間に1日)で任意にモニターされる。アデノウイルスの場合、及び上述の中和アッセイで測定して、約1:10を超える、好ましくは約1:20を超えるタイターは、ウイルス側の治療レベルを維持するために抗ウイルス抗体を選択的に減少させるための別の処理を示し得る。 【0058】 投与すべきウイルス治療剤の量(即ち投与量)は、多様な因子、例えばこれらに限らないが、治療すべき病気、個体の状態、及び/又は体液性免疫の減少の程度に依存するであろう。一般に、抗ウイルス抗体の減少の程度が大きくなると、投与量はより少くなる。(部分的に免疫無防備状態の個体へのウイルスの投与による)許容できない副作用を与えることなく、有効な量のウイルスを投与することに注意を払わなければならない。好ましくは、循環性抗体の残留タイターが存在する。 【0059】 個体が有意に又は激しく免疫抑制されている場合、ウイルス治療剤での処理の後に十分な時間の後、抗ウイルス抗体の再注入が望ましい。この文脈における“十分な時間”は、ウイルス治療剤が有効であることができることを意味し、これは用いるウイルス剤、個体の状態、投与量、及び/又は治療すべき病気に大きく依存し得る。例えば、アデノウイルスの場合、2〜3週間の期間が抗ウイルス抗体を投与する前に許容されるべきである。 【0060】 免疫抑制剤及びサイトカインのコンビネーション治療 本明細書に記載される方法は、免疫抑制を行う他の剤又は方法と一緒に用いることができる。ウイルス免疫原性治療剤の投与の前に、又はそれと同時に、T細胞活性化のために必要なT細胞レセプター又は同時刺激経路のいずれかをブロックする免疫抑制剤、サイトカイン、又はモノクローナル抗体を投与することができる。抗ウイルス抗体の選択的除去により行われる体液性免疫の減少に加えて、免疫抑制剤、サイトカイン又はモノクローナル抗体の先の投与は、ウイルス剤の投与により発生するであろう細胞応答を予め回避し得る。インターロイキン−12(IC−12)及びインターフェロン(IFN)のようなサイトカインはB細胞によるIgA抗体の生産をブロックする。これらのサイトカインの使用は、ベクターの投与が肺を介するなら特に重要である。なぜなら肺を介してのウイルス侵入に対する体の通常の応答は抗ウイルス抗体としてのIgAの増加を含むからである(米国特許第5,652,224号)。免疫抑制剤には、これらに限らないが、CD8+T細胞の補充をブロックするCyclosporine A(CsA)(Sandoz Pharmaceuticals Corp.,N.J.);T細胞分化及び増殖を防ぐFK506;B細胞による抗体の生産を防ぐDeoxyspergualin(DSG)(Nippon Kayaku Co.,Ltd,Japan);及び抗体の生産を防ぐシクロホスファシド(CyP)がある。T細胞レセプター及び同時刺激経路に特異的であり、抗ウイルス抗体生産を減少させることによりアジノウイルスベクターで長期のトランスジーン発現を有するチノクローナル抗体が、Christら(1997)Immunology Letters 57:19〜25;Sanchuckら(1996)Hum.Gene.Ther.7:499〜506;Gueretteら(1996)Hum.Gene Ther.7:1455〜1463:Kayら(1995)Nature Genet.11:191〜197)。イムノアフェレーシスと組み合わせたT細胞レセプター又は同時刺激経路に特異的な免疫抑制剤、サイトカイン及び/又はモノクローナル抗体の使用は、ウイルス免疫原性治療剤の投与に対する体の免疫応答を減少させる。 【0061】 本発明のキット及び組成物 本発明は、本明細書に記載される方法と組み合わせて用いるためのキット及び組成物も含む。特定の実施形態において、そのキット及び組成物に、免疫吸着剤−抗ウイルス抗体複合体の体外的な選択的形式及び/又は除去を行う。これらのキット及び組成物は、ウイルス治療剤に対する抗体について特異的な構成物を含み、治療剤に対する予め存在する体液性免疫を減少させるために血液からの体外的な除去を助けて、他の実施形態において、抗ウイルス抗体の検出に用いるためのキット及び組成物を供する。これらのキット及び組成物は、(a)個体が抗ウイルス抗体の選択的除去について必要であるか否か(例えばそのタイターが要求されるしきい値を超えると考えられるか否か)を評価し;(b)更に十分な除去が行われるか否か及び/又は更に必要であるか否か(例えば除去から時間が経過している、抗ウイルス抗体のタイターが必要なしきい値に上がっている又はそれを過ぎている、及びウイルス治療剤での処理がまだ必要である場合)を決定するために処理(即ち選択的除去)の後、個体をモニターし;(c)個体が作り出す抗ウイルス抗体を評価する(これは、1又は複数の抗体が選択的に除去されるべきであることを示す)のを助ける。これらのキット及び組成物は、ウイルス治療剤に対する抗体に特異的な構成物を含み、検出及び/又はモニターを助ける。 【0062】 これらのキット、特に抗ウイルス抗体の選択的除去を行うために用いられるものは、“システム”でもあり、そう呼ぶことができることが理解される。 本発明のキットは、好適なパッケージング内に除去されるべき抗ウイルス抗体に特異的に結合する免疫吸着剤を含む。好ましくは、そのキットはその使用のための説明書も含む。免疫吸着剤は先に議論される。キットは、1又は複数のこのような免疫吸着剤を含み得る。更に、キットは、別個の装置(即ち1又は複数の別個の装置)を含み得る。キットに含まれ得る別個の製造の例は、アフェレーシス装置に適合した免疫吸着剤に予め結合した予め充填されたクロマトグラフィーカラムである。別個の装置の別の例は、免疫吸着剤に予め結合していない予め充填されたカラムである。このようなキットにおいて、免疫吸着剤の選択を供することができ、使用者がカラムの特異性を規定するのを許容する。他の分離装置には、これらに限らないが、ニトロセルロース、ポリスチレン、及びガラス繊維フィルターのような上述のような他の固相支持体がある。 【0063】 本発明のキットは、免疫吸着剤に予め結合したマトリックスを含んでも含まなくてもよい。免疫吸着剤がマトリックスに予め結合していない場合、キットは、任意に、マトリックスの活性化及び免疫吸着剤のマトリックスへの結合のための予め測定された緩衝液も含み得て、予め測定された緩衝液は、直ちに用いるための十分に構成された形態で利用できるか、又は好適な希釈率を要求する予め測定された材料を構成し得る。特定の実施例において、免疫吸着剤は、アデノウイルスペントンタンパク質である。キット内に、1又は複数の免疫吸着剤が存在し得る。 【0064】 本発明のキットは、更に、個体に投与すべき免疫原性ウイルス治療剤を含み得る。このようなキットにおいて、ウイルス剤に適合する免疫吸着剤が供されよう。キットは、モニター目的のために役立つであろう、抗ウイルス抗体の存在(及び/又はレベル)についてテストするための試薬も含み得る。 本発明は、個体の血液からウイルス免疫原性剤に特異的に結合する抗体を選択的に除去するための組成物であって、マトリックスに結合した抗体に特異的に結合する免疫吸着剤を含む組成物も供する。マトリックスは先に議論されている。本発明の別の組成物は、免疫吸着剤がハプテンにコンジュゲートしているものである。 【0065】 以下の例は本発明を説明するために供され、本発明を限定するためではない。 【実施例】 【0066】 〔実施例〕 実施例1 アデノウイルス効能への予め存在する体液性免疫の効果 我々は、予め存在するアデノウイルス免疫性に着目するいくつかの動物実験を行った。我々は、抗腫瘍治療の効能が、前立腺細胞において選択的に複製する複製コンピテンスアデノウイルスの静脈内投与の後に、我々の動物モデルにおいて、高タイター抗アデノウイルスタイプ5抗体の存在下で大きく影響を与けることを観察した(図3)。有効な治療は、低いタイターの中和性抗アデノウイルスタイプ5抗体の存在下又はより高い負荷のウイルスの投与で達成された(図4及び8)。全体として、これらの動物研究からの結果は、患者の血液、血漿又は血清からの抗アデノウイルス抗体のような抗ウイルス抗体の除去のための特定の免疫吸着システムの開発のための必要性を支持する。 【0067】 前立腺癌の患者における中和性抗体の存在 我々は、抗原及びウエスタン・ブロット分析として全アデノウイルス粒子を用いて、中和性抗アデノウイルスタイプ5抗体の存在について28人の前立腺の血漿をテストした。結果を図1に示す。中和性抗体は、1:5(n=5)〜1:640(n=1)の範囲のタイターで、28サンプルのうちの13(46%)で見い出された。 【0068】 中和性抗体の特異性の性質を、ウエスタン・ブロット分析により同定したタンパク質の分子量を評価することにより、3人の患者(1:160タイターの2人の患者(#1及び#16)、及び抗体タイターのない1人の患者(#1))について評価した。結果を表1に示す。高タイターの両方の患者が有意な抗ペントン活性を示した。抗繊維のための特定の反応を示す抗ウイルス抗体活性のない患者は、この患者が以前にアデノウイルスに露出されていないことを示す。この患者においてヘキソン及びペントン抗体を検出できないのは、衰えた免疫性を示す。 【0069】 【表1】
【0070】 予め存在する抗アデノウイルスタイプ5抗体の動物モデルの開発 複製マンピテントアデノウイルスベースの抗腫瘍治療の結果に基づいて予め存在する抗アデノウイルスタイプ5抗体の効果を研究するために、無胸腺BALB/c/nu/nuマウス(“ヌードマウス”)に静脈内注入によりウサギから生じた精製した抗アデノウイルスタイプ5中和性抗体を授与した。ヌードマウスは免疫適格性でない。それは、それらに抗ウイルス抗体が非固有的に供されるからである。これは、免疫適格性であり、アデノウイルスベクターへの露出に対する応答を備えることができるであろうアデノウイルス治療を受ける潜在的な患者と対照的である。最初の血液サンプルを、抗体の注入前にヌードマウスから収集した。更なる血液サンプルは、抗体の授与後1時間、4時間、8時間、12時間、24時間、48時間、5日、10日、15日及び30日に収集した。 【0071】 異なる時間点からの抗アデノウイルスタイプ5抗体のタイターを、ヌードマウスの血液循環内のウサギ抗アデノウイルスタイプ5抗体の安定性を決定するため試験管内中和アッセイにより測定した。用いた中和性アッセイは、Gahery−Segardら(1997)Eur.J.Immunol 27:653〜659に記載されるのと同様であった。結果を図2に示す。高レベルの循環する抗アデノウイルスタイプ5抗体がウサギ血清の投与後1時間にヌードマウス内に存在した。その高レベルの抗体は投与の最初の週において極めて安定であり、10日目に下降し始めた。抗体のタイターは投与後30日までに0に降下した。抗アデノウイルスタイプ5活性は、0時点からの血液サンプルがいずれの抗体活性も示さなかったので、極めて特異的であるようである。これにより、ウサギ抗アデノウイルスタイプ5抗体の外的投与は、アデノウイルス治療への予め存在する免疫の効果を分析するための極めて優れた動物モデルを作り出した。 【0072】 抗ウイルス抗体の保護効果は血液循環において抗ウイルス抗体のタイターに依存する 抗ウイルス抗体の存在下でより高い投与量のアデノウイルスを許容することができるか否かを決定するために、我々は、予め存在するウサギ抗−Ad−5抗体と共に、ヌードマウスにCN706(前立腺特異的抗原(PSA)プロモーター及びEIA転写ユニットの上流のエンハンサー転写調節因子(PSE−TRE)をアデノウイルス血清型5に挿入することにより作り出した弱毒化複製コンピテントアデノウイルス)を静脈内投与することにより範囲を見い出す研究を行った。CN706は、試験管内及び生体内でPSA発現性細胞に対する選択的細胞毒性を示した。抗ウイルス抗体の欠如下で、ヌードマウスで見い出されるLD50投与量の2.5倍である5×1011のCN706ウイルス粒子の投与後に全ての動物(n=4)は死んだ。典型的には、3×1011の投与量は、ヌードマウスにおいて100%致死率であろう。しかしながら、全ての動物が循環血液中のタイター1:80〜1:160の範囲である場合、正常であるようであった(表2)。これは、高ウイルス抗体がアデノウイルスベクターの効能に対して及ぼす有意な効果を示す。血清アラニソアンノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを、ヌードマウスの肝臓機能を評価するためにもモニターした。抗体のない動物のグループにおいて、2回目の投与量注入後24時間に、循環血液中で極めて高レベルのALTを検出することができた(1,410ユニット)。ALTレベルは、2回目の注入後3日に12,650ユニットに達した(表2)。しかしながら、抗体の動物のグループにおいて、ALTのレベルは正常であるようであった(表2)。これにより、より高い程度の抗アデノウイルスタイプ5抗体の存在は、ヌードマウスにおけるアデノウイルスの典型的な致死投与量から保護する。 【0073】 【表2】
【0074】 我々は、免疫適格性ヌードマウスにおいて動物生存率及び血液中のALTのレベルを比較することにより、低タイターの抗アデノウイルス抗体の存在下でアデノウイルスについての保護効果もテストした。低タイターの抗体(1:10)の全ての動物は、2.5×1011粒子のCN706(LD50投与量より多い投与量)を与えた後、死んだが、高タイターの抗体(1:80)の動物は、2.5×1011粒子のCN706を与えた後、正常であるようであった。CN706の静脈内注入後2日、3日、4日、5日及び6日目に血液サンプル中に感染性ウイルス粒子は見い出されなかった。これは中程度の量の抗体でさえ相対的に高い投与量のウイルス粒子を迅速に中和することができることを証明する。ALTは、低タイターの抗体の動物のグループにおいて極めて高いレベル(2日目;1,955ユニット、3日目:13,450ユニット)に達した。対照的に、ALTは高タイターの抗体の動物のグループにおいて通常の範囲内であるようであった。これにより、抗ウイルス抗体の保護効果は、投与量に依存する様式であり、より高いタイターの抗体(1:80〜1:160)はLD50投与量より多いアデノウイルスの投与量が動物を保護し、より低いタイターの抗体(1:10)は保護効果を有さないようであった。これらの結果は治療用ウイルスベクターのクリアランスへの抗ウイルス抗体の効果を示す。これらの結果は、アデノウイルスを用いて効能ある治療のために推漿される抗ウイルス抗体、特に抗アデノウイルス抗体のレベルは約1:80未満であるべきであることも示す。 【0075】 ヌードマウスと異なり、ヒト患者は免疫適格性であり、循環中のアデノウイルスの存在に対する応答において、より多くの抗体を生じさせることができるであろうことに注目することが重要である。それゆえ、ヌードマウスにおいて致死的であろうアデノウイルスの投与量は必ずしもヒトにおいて致死性を示さないであろう。 【0076】 【表3】
【0077】 抗アデノウイルスタイプ5抗体の存在及び欠如下におけるヌードマウスの循環血液中の感染性アデノウイルス粒子の差 抗ウイルス抗体の存在及び欠如下でヌードマウスの循環血液中の感染性アデノウイルス粒子の半減期を決定するために、我々は、ヌードマウスの血液サンプルから活性なウイルスを定量化するためにTCID50アッセイを行った。異なる時間点からの血液サンプルを、CN706の静脈内投与の後に、予め存在するウサギ抗アデノウイルスタイプ5あり及びなしで動物から収集し、TCID50アッセイにより感染性ウイルス粒子を検出した。TCID50からの結果(表3)は、血液循環における活性をウイルスの量が、CN706の2.5×1011粒子の静脈内投与後最初の24時間にわたって定常的な下降を示した。4時間目に、感染性ウイルス粒子は3.75×105 TCID50ユニットであり、24時間目には、その量の0.2%(7.2×102TCID50ユニット)のみが存在した。循環血液中の活性アデノウイルスの損失の同様のパターンが、各々CN706の2.5×1010,2.5×109、及び2.5×108粒子を与えた動物において観察され、それは投与量依存様求で2.5×1011粒子のものと平行して各々の時点で相対的に少い量であった。これにより、感染性ウイルス粒子の99.5%超が投与後最初の24時間でマウスの血液循環から失われた。更に、この損失の時間依存性パターンは、予め存在する抗体の動物において見い出された。1:10の抗体タイターのマウスにおいて、感染性ウイルス粒子は2.5×1011粒子のCN706の投与後4時間、1.2×105TCID50であり、24時間目に、活性ウイルスの量の0.3%(3.75×102 TCID50ユニット)のみが血液循環中に存在した。高タイターの抗体(1:80)のマウスにおいて、感染性ウイルス粒子は2.5×1011粒子のCN706の投与後4時間で3.7×102TCID50であり、それは抗体の欠如下でのマウスのものより1000倍少かった。これらの実験は、ウイルスの循環を浄化することにおいて、抗ウイルス抗体がいかに有効化を示す。免疫適格性個体における抗ウイルス抗体の選択的除去なしで、相対的に低いレベルの抗ウイルス抗体がむしろより迅速にウイルスを浄化することができ、その治療価値を減少させることができよう。 【0078】 【表4】
【0079】 LNCaP腫瘍を有するヌードマウスにおける静脈内に投与したCN706の効能への抗アデノウイルスタイプ5抗体の効果 複製コンピテントアデノウイルスベースの抗腫瘍治療の結果への予め存在する抗ウイルス抗体の効果を決定するために、LNCaP腫瘍を有するBALB/cnu/nuマウスに、両肩の間に、50%MEM培地及び50%Matrigelに懸濁したLNCaP細胞を注入した。移植後4週間目に、明白な腫瘍を有する動物に、ウサギ抗アデノウイルスタイプ5抗体を静脈内注入して血液循環中の予め存在する抗体に擬態した条件を確立した。これらの動物における抗アデノウイルスタイプ5抗体のタイターは約1:80〜1:160であった。抗体の投与後1日目に、静脈内注入によりCN706をヌードマウスに導入した。腫瘍体積を毎週、測定した。予め存在する抗体なしで1×1011粒子のCN706で処理したグループの腫瘍は、腫瘍の成長が有意に阻害されたが、同じ量のCN706+1:100のタイターの予め存在する抗体で処理したグループは腫瘍の有意な成長を示した。しかしながら、同じレベルの予め存在する抗体で、CN706投与量を動物当り3×1011粒子まで3倍に増加させた場合、腫瘍成長は有意に阻害された(図3)。これにより、予め存在する抗ウイルス抗体はウイルス治療剤の効能を減少させるようであった。 【0080】 抗体タイターを変えることにより効果を更に許容した。固定した投与量のCN706(1×1011)を、3つの異なる中和性抗体タイター(1:10,1:20,1:80)を有する動物にデリバリーした。毎週、腫瘍体積を測定することにより抗腫瘍タイターを測定した。結果を図4に示す。より高いタイターの抗体を有する動物及びコントロールグループの腫瘍は進行的に成長したが、より低いタイターの抗体を有する動物における腫瘍の成長は処理の後、阻害された(図8)。これらの動物における治療効能はCN706のみで処理した動物のものと等価である。これにより、アデノウイルスタイプ5に対する予め存在する抗体のより低いタイターは我々の動物モデルにおいてアデノウイルス治療の効能を阻害しなかった。 【0081】 IV投与後のアデノウイルス播種及び分布の分析 我々は、静脈内投与後のアデノウイルスの生体分析を評価した。CN706ウイルス(2.5×1011粒子)をヌードマウスに静脈内に投与し、我々は、プローブとしてE4DNAを用いるスロットブロット分析により種々の時間点後に、種々の器官(肝臓、脾臓、肺、腎臓、心臓)においてアデノウイルスDNAの存在を分析した。2つのマウスを各々の時間点についてテストした。結果を図5に示す。肝臓は、最も多い量のアデノウイルスDNAを有し、次に脾臓であった。他の器官は無視できる量のアデノウイルスDNAしか有さなかった。 【0082】 抗アデノウイルス抗体あり及びなしでのマウスにおける肝臓中のアデノウイルスの保持の評価 CN706(2.5×1011粒子)を、予め投与した抗アデノウイルス抗体(1:80)あり及びなしでヌードマウスに静脈内投与した。アデノウイルスDNAを、スロットブロット分析(各々の時点について2つのマウス)によりアデノウイルス投与後種々の時点で(上述のように)肝臓で測定した。結果を図6に示す。アデノウイルスDNAの量は、アデノウイルス投与後30分及び2時間で予め存在する抗体あり及びなしのマウスの間で極めて類似した。しかしながら、24時間目に、予め投与した抗体のないマウスは有意なレベルのアデノウイルスを示し、抗体予め存在するマウスではアデノウイルスDNAの有意な量は見出だされなかった。我々は、肺、心臓、腎臓及び血液のような他の器官において有意な量のアデノウイルスDNAが検出されないことも見い出し、これは、抗体が予め存在するマウスにおける肝臓でのアデノウイルスDNAの迅速な損失がウイルス再分布のためでないことを示唆する。抗体が予め存在するマウスにおける肝臓からのアデノウイルスDNAの迅速な損失は、抗体が予め存在する動物がなぜ抗体が予め存在しないマウスより高いウイルス投与量(LD投与量)を許容することができるかを説明することができる。 【0083】 アデノウイルスの投与後に投与した抗体の腫瘍成長への影響の評価 アデノウイルスベクターの抗腫瘍効能へのアデノウイルスへの後に存在する抗アデノウイルス抗体の効果を決定するために、ウサギ抗アデノウイルス抗体を、CN706(1×1011粒子)の投与後14及び15日目にヌードマウスに静脈内注入した。CN706の投与後15日目に高タイターの抗体(1:300)が観察された。 【0084】 結果を図7に示す。投与後の抗体はCN706の抗体が腫瘍成長を抑制することに対して有意な負の効果を有さないようであり、このことは、ウイルス複製が(即ち腫瘍のような標的組織において)開始することができる限り、循環血液中の抗ウイルス抗体がウイルスベクターの抗腫瘍効能を除去しないことを示唆する。 【0085】 実施例2 アフィニティーカラムを用いる抗アデノウイルス抗体除去 個体から抗アデノウイルス抗体を除去するための手順を始める前に、血液の少量サンプルを、抗アデノウイルス抗体のタイターを決定するために採取する。 アデノウイルス繊維及び/又はペントンタンパク質免疫吸着剤を、アデノウイルスからコポリメラーゼ鎖反応(PCR)を用いて、繊維及びペントンタンパク質をコードする遺伝子を増幅することにより調製する。次に、遺伝子材料を組換えバキュロウイルス発現系にクローン化する。次に、バキュロウイルスを用いて昆虫細胞SF9(Invitrogen,Curlsbad,CA)に感染させ、アデノウイルスタンパク質を作らせる。そのタンパク質を、当業界で知られた方法を用いて精製し、重炭酸緩衝液に希釈する。 【0086】 アフィニティーカラムを以下の通り調製する。活性化マトリックスに適用なカップリング溶液を、アデノウイルス繊維及び/又はペントンタンパク質を5mg/mlの濃度で、滅菌重炭酸緩衝液pH8.3に溶かすことにより調製する。そのカップリング溶液を、必要になるまで4℃で保存する。マトリックスを膨潤させ、洗浄し、そして活性化するために用いる洗浄溶液状4℃の4〜6Lの滅菌1mMHClである。約400mlのCNBr活性化Sepharose 4 Fast Flow Matrix(Pharmacia Biotech,Piscatanay,NJ)を最初に、10〜15容量の1mMHClで洗い、各々の洗浄について10〜15分、混合物を平衡化させて、その活性化マトリックスを先に調製したカップリング溶液と混合し、その混合物を10分毎にガラス棒で撹拌しながら2時間、室温でインキュベートするか、又は静かに撹拌しながら4℃で一晩、インキュベートする。カップリングの後、本反応の基を数時間、Tris緩衝液又はエタノールアミンを用いてマトリックス上でブロックする。そのカップリングした媒体を交互に低及び高pHのアセテートのpH3〜4又はTrisHClpH8〜9を用いて洗浄する。洗浄を3容量のTrisで、次に3容量のアセテートで行い、そしてTris/アセテート洗浄を3回、くり返す。カラムを、均一なパッキングを確実にするために、後に血漿を充填するのに用いられるのと同じ条件でポンプを用いてパッキングする。カラム及びSepharoseに付随する文献及び説明が、カラムを充填することについての詳細について引用されるべきである。カラムを、生性pHで塩類溶液を用いて平衡化する。 【0087】 血液を、17ゲージ針を用いて得て、ヘパリン及びクエン酸ナトリウムを用いて抗凝固処理し、そして遠心により血漿を得る。 血漿を、各々がアデノウイルス繊維タンパク質及び/又はペントンタンパク質のいずれかに結合したCNBr活性化Sepharose 4 Fast Flow Matrixを含む275ml容量の2つのガラスカラムLXK50120カラム;Pharmacia Biotech,Piscatanay,NJ)に連続的にくみ出す。血漿中に存在するアデノウイルス中和性抗体は、カラムの固相マトリックスに結合したアデノウイルスタンパク質に結合することにより除去される。血漿及び血液細胞は、2回目の静脈アクセスを介して個体にもどされる。カラムから溶出した血液又は血漿の少量サンプルを抗体タイターについてテストした。そのカラムをRichterら(1997)ASAIO43(1):53〜59の方法に記載されるように再生する。 【0088】 実施例3 種々のアフィニティーカラムを用いる抗アデノウイルス抗体の除去 我々は、いくつかの免疫吸着剤をテストし、それらのヒト血漿から抗アデノウイルス抗体を除去する能力を比較した。これらの免疫吸着剤は単独で又は全て一緒に用いる、プロテインA、及びアデノウイルスヘキソン、ペントン、繊維タンパク質を含む。 【0089】 6×ヒスチジンタグイヒアデノウイルスヘキソン、繊維又はペントンタンパク質免疫吸着剤を、6×ヒスチジンリソカープライマーを用いてこれらのタンパク質をコードする遺伝子を増幅することにより調製した。次に遺伝子材料をタンパク質発現のために大腸菌に導入した。その大腸菌が発現したアデノウイルスヘキソン、繊維又はペントンタンパク質を、次に、製造元の説明(Qjage内からのQIA発現システム)に従って精製した。全大腸菌ライゼート及び精製した画分の電気泳動は組換えヘキソン、繊維及びペントンタンパク質の豊富さ及び純度を確認した(図12を参照のこと)。 【0090】 QIAカラム(上述)がヒスチジンテールを介してマトリックスにタンパク質を結合させるための基盤を形成する組換えヘキソン、繊維又はペントンタンパク質を含むアフィニティーカラムを、当業界で知られた方法を用いて調製した。各々のカラムについて、約200〜400μgのタンパク質(約1ml中)を約0.5mlのマトリックスと混合した。繊維、ヘキソン、及びペントンタンパク質の組合せを用いる実験を、3つの別個の連続的カラム(1つのカラムの流出物が次のカラムに流れる)を走らせることにより行った。ヘキソン−又はペントン−アフィニティーカラムは対応する表面タンパク質と反応する抗体のいくつかを浄化する(図15〜16を参照のこと)が、繊維、ヘキソン、及びペントンタンパク質の組合せを用いる場合に抗アデノウイルス抗体のより有効な枯渇が観察された(図18及び20;表3)。特に、そのコンビネーションアプローチは、高い予め存在する中和性抗体タイターで通常のヒト血漿中に存在する全抗アデノウイルス抗体を除去することにおいて約3〜5倍、より有効であった(図17)。CN706を注入した患者から収集した血漿を用いた場合に同様の結果が観察された(図19)。その混合したアフィニティーカラムは全抗アデノウイルス抗体の約80%を枯渇させ、血清から中和活性を実質的に除去した。 【0091】 【表5】
【0092】 我々は、精製した繊維タンパク質が再アセンブルしてトリマー構造を形成することを観察した(図21)。図22及び表5に示す通り、トリマー繊維はモノマー繊維より優れた免疫吸着剤として機能する。この結果は、抗繊維抗体の認識のための繊維マニホメーション及び/又はコンフィグレーションの重要性を示す。まとめると、我々の結果は、アデノウイルス表面タンパク質、特に繊維タンパク質は、ベースラインの抗アデノウイルス抗体及び2回目の免疫応答から生じた抗体を除去することにおいて有効であることを示す。 【0093】 一般的な免疫吸着剤プロテインAは、ヒト血漿中に存在する抗アデノウイルス抗体を枯渇させることにおいて極めて有効である(図9〜11)が、一般にアフィニティー吸着アフェレーシスのために適していない。プロテインAはIgGからIgM分子の範囲の広範囲のイムノグロブリンと反応し、それは、患者の免疫系を抑制する顕著な危険性を供する。特に、我々は、プロテインAアフィニティーカラムは、典型的に、患者の全血漿中に存在するIgG1及びIgG2の92%、IgG4の70%、及びIgG3及びIgM分子の50%程度を浄化することを見い出した。 【0094】 実施例4 ウイルス治療剤に対する患者の予め存在する体液性免疫のレベルの測定 約40人の患者に関する統計的な研究は、低い又は検出できない中和性抗体活性を有する患者の約95%が20μg/ml未満の平均全抗アデノウイルス抗体含有量を有することを示した。(図23及び24)。この研究において、患者の約2/3は前立腺癌であり、残りの1/3は本明細書に記載の治療用ウイルス剤CN706でも処理した。このデータは、抗アデノウイルス抗体の測定が、個体における中和性抗体の程度の信頼できるインジケーターであり得ることを示し、検出及びモニター目的のためのより簡単なアッセイシステムを許容する。 【0095】 本発明は、明確に理解させる目的のため説明及び例によりいくらか詳細に記載されているが、特定の変化及び改変を行うことができることが当業者に明らかであろう。それゆえ、本記載及び例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきでなく、それは、添付の請求の範囲により示される。 【図面の簡単な説明】 【0096】 【図1】前立腺癌患者における抗アデノウイルス抗体(アデノウイルス血清型5)の普及率を示すグラフである。グラフは、1:5(n=5)〜1:640(n=1)の範囲のタイターで28のサンプルのうちの13(46%)で抗ウイルス抗体が見い出されたことを示す。 【図2】マウスにおけるウサギ抗アデノウイルス抗体の存在の時間経過を示す棒グラフである。無胸腺BALB/c/nu/nuマウスにウサギ抗アデノウイルス(血清型5)抗体を静脈内注入した。示される時間点で、血液サンプルを採取し抗体タイターを、試験管内中和アッセイにより測定した。 【図3】LNCaP腫瘍を有するヌードマウスにおける前立腺細胞特異的複製コンピテントアデノウイルス(CN706)の効能への抗アデノウイルス抗体(1:100)の効果を示すグラフである。ダイヤの黒線、抗体のみ;四角の黒線、ウイルス(CN706)のみ;三角の白線、CN706を伴う抗体(3×1011);“×”の黒線、CN706を伴う抗体(1×1011)。 【図4】LNCaP腫瘍を有するヌードマウスにおけるCN706の効能への中和性抗アデノウイルス抗体タイターの効果を示すグラフである。ダイヤの黒線、コントロール;四角の黒線、CN706(1×1011);三角の白線、抗体(90μl)+CN706(1×1011);“×”の黒線、抗体(30μl)+CN706(1×1011);星の黒線(10μl)+CN706(1×1011)。 【図5】CN706(2.5×1011)の静脈内投与後の(ヌードマウスの)種々の器官におけるアデノウイルスDNAの量を示すグラフである。誤差棒も示す。 【図6】抗アデノウイルス抗体を予め投与し又は投与したいCN706(2.5×1011)の投与後の(ヌードマウスの)肝臓中のアデノウイルスDNAの星を示す棒グラフである。左側の棒は抗体なしのマウスの示し;右側の棒は抗体のあるマウスを示す。 【図7】CN706を与えたマウス及びウイルス注入後第2週に抗体を投与した(三角)マウスにおける相対的な腫瘍容量を示すグラフである。 【図8】LNCaP腫瘍を有するヌードマウスにおける前立腺細胞特異的複製コンピテントアデノウイルス(CN706)の効能への低タイター抗アデノウイルス抗体(1:20〜1:10)の効果を示すグラフである。ダイヤの黒線、コントロール;円の黒線、ウイルスCN706(1×1011)のみ;黒ぬり四角の黒線、CN706(1×1011)を伴う抗体(1×1011);中抜き四角の黒線、CN706(1×1011)を伴う抗体(1:20)。 【図9】プロテインAアフィニティーカラムを用いるヒト血漿からの抗アデノウイルス5抗体の枯渇を示すイムノブロットの再生である。画分2及び3(F2,F3)はアデノウイルス表面タンパク質ヘキソン、ペントン及び繊維に結合することができる抗体を含まないが、同じ個体からの未処理の血漿は、矢印で示すこれらの表面タンパク質と反応性の抗体を含む。 【図10】プロテインAカラムを用いるヒト血漿からの全抗アデノウイルス5抗体の除去を示す棒グラフである。レーン“Neat”は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー前のヒト血漿中に存在する全抗アデノウイルス5抗体を示す。レーンF2及びF3は、プロテインAアフィニティーカラムから収集した第2及び第3の画分の抗アデノウイルス5抗体濃度を示す。 【図11】プロテインAカラムを用いるヒト血漿からの中和性抗体の除去を示すグラフである。“Neat”は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー前のヒト血漿中に存在する中和性抗体を示す。F2及びF3は、プロテインAアフィニティーカラムから収集した第2及び第3の画分中で検出された中和性抗体活性を示す。 【図12】大腸菌からの組換えヘキソン、ペントン及び繊維タンパク質の発現及び精製を示す、イムノブロットの再生である。 【図13(a)】アデノウイルス粒子の概略図である。 【図13(b)】モノマーアデノウイルス繊維タンパク質の構造の概略図である。 【図14】各々がペントン、三量体繊維、単量体繊維、ヘキソンタンパク質のみ、又はペントン、ヘキソン及び繊維タンパク質の混合物を含むアデノウイルスのための種々のアフィニティーカラムの適用を示す図である。 【図15】ペントン−アフィニティーカラムを用いるヒト血漿から抗ペントン抗体の枯渇を示すイムノブロットである。ペントンタンパク質は、アフィニティークロマトグラフィー前(レーン(−))に検出され後(レーン(+))に検出されなかった。 【図16】ヘキソン−アフィニティーカラムを用いるヒト血漿ライゼートからの抗ヘキソン抗体の除去を示すイムノブロットである。ヘキソンタンパク質は、アフィニティークロマトグラフィー前(レーン(−))に検出され、後(レーン(+))に検出されなかった。 【図17】高い予め存在する中和性抗体タイターを有する正常なヒト血漿(HSO331)から全抗アデノウイルス抗体を浄化することにおける種々のイムノソルベントの相対的効能を示す棒グラフである。正常なヒト血漿は、非癌患者から得た。 【図18】免疫吸着剤ヘキソン、ペントン及び繊維タンパク質の混合物を充填したアフィニティーカラムを用いる正常なヒト血漿(HSO331)中に存在する中和性抗体の枯渇を示す棒グラフである。 【図19】治療用アデノウイルスCN706を注入した後15日に収集したCN706患者の血漿(GG/003)から全抗アデノウイルス抗体を浄化することにおける種々の免疫吸着剤の相対的効能を示す棒グラフである。 【図20】GG/103中に存在する中和性活性を浄化することにおける種々の免疫吸着剤の相対的効能を示すグラフである。 【図21】モノマーからのトリマーアデノウイルス繊維タンパク質のアセンブリーを示すイムノブロットの再生である。 【図22】トリマー繊維アフィニティーカラムを用いる患者の血漿からの抗アデノウイルストリマー繊維の枯渇を示すイムノブロットの再生である。 【図23】CN706患者の血漿中に存在する予め存在する中和性抗体活性の量及び全抗アデノウイルス5抗体の量の補正を示すグラフである。 【図24】前立腺癌患者の血漿中に予め存在する中和性抗体活性の量及び全抗アデノウイルス5抗体の量の補正を示すグラフである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】597078983 【氏名又は名称】セル ジェネシス インコーポレイテッド
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| 【出願日】 |
平成19年10月17日(2007.10.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078282 【弁理士】 【氏名又は名称】山本 秀策
【識別番号】100062409 【弁理士】 【氏名又は名称】安村 高明
【識別番号】100113413 【弁理士】 【氏名又は名称】森下 夏樹
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| 【公開番号】 |
特開2008−55195(P2008−55195A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月13日(2008.3.13) |
| 【出願番号】 |
特願2007−270723(P2007−270723) |
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