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【発明の名称】 二重電圧加熱回路を有する腹膜透析器及びその動作方法
【発明者】 【氏名】カルウィンダー エス プラヘイ

【氏名】カルロス イー メディナ

【氏名】ジョゼフ マイケル ファロン

【要約】 【課題】世界中の様々な電源電圧に対応する可搬型腹膜透析器用の加熱回路の提供。

【構成】可搬型腹膜透析システムは、腹膜透析液を患者に送出する前に腹膜透析液を加熱するために同じワット量を送るために、110VAC又は220VACの検出に応じて加熱回路を自動的に再構成する二重電圧加熱システムを有する。これにより、米国及び欧州での同じ機器の使用が容易になる。加熱要素が、電気的に相互接続された抵抗加熱コイルであることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹膜透析液供給源と、
患者の腹腔への及び患者の腹腔からの前記腹膜透析液を通すための患者ラインと、
前記患者ラインを通して前記患者の腹部に所定量の腹膜透析液を送出するためのコントローラと、
前記腹膜透析液を前記患者に送出する前に該腹膜透析液を加熱する加熱器であって、センタータップを介して電気的に直列に接続された少なくとも2つの加熱要素を有する加熱器と、
入力される電源線に接続され、電源電圧が220VACであるか又は110VACであるかを検出し、該電源電圧を示す出力を生成する電圧検出回路と、
220VAC又は110VACのいずれの電圧においても、前記加熱器によってほぼ同じワット量が自動的に生成され、前記腹膜透析液がほぼ同じ率で加熱されるように、前記電圧検出回路の前記出力に応答して、直列接続された前記加熱要素に220VACを印加する又は並列接続された前記加熱要素に前記センタータップを介して110VACを印加するスイッチ回路と
を備えることを特徴とする可搬型腹膜透析器。
【請求項2】
前記電圧検出回路が、前記スイッチ回路に、一方が220VACの電源電流の存在を示し他方が110VACの電源電流の存在を示す2つの相補的な相互排他的論理出力を供給することを特徴とする請求項1記載の可搬型腹膜透析器。
【請求項3】
前記加熱要素が、電気的に相互接続された抵抗加熱コイルであることを特徴とする請求項1記載の可搬型腹膜透析器。
【請求項4】
前記腹膜透析液供給源が腹膜透析液袋であり、前記可搬型腹膜透析器が加熱袋と該加熱袋を受容するための前記コントローラ上のトレーとを更に含み、前記加熱袋を温めるために前記加熱器が前記トレーと動作的に並置されることを特徴とする請求項1記載の可搬型腹膜透析器。
【請求項5】
前記加熱要素が、前記トレーに埋め込まれた抵抗加熱コイルであることを特徴とする請求項1記載の可搬型腹膜透析器。
【請求項6】
前記加熱器が、センタータップを介して直列に接続された1対の補助加熱要素を更に含み、前記スイッチ回路が、220VAC又は110VACのいずれの電圧においても前記補助加熱要素によってほぼ同じワット量が自動的に生成されるように、直列接続された前記補助加熱要素に220VACを印加する又は並列接続された前記補助加熱要素に前記センタータップを介して110VACを印加することを特徴とする請求項1記載の可搬型腹膜透析器。
【請求項7】
前記スイッチ回路が、スイッチ制御回路と、前記電源電圧及びニュートラルを前記加熱要素と相互接続させる複数のスイッチとを含むことを特徴とする請求項1記載の可搬型腹膜透析器。
【請求項8】
前記腹膜透析液の加温を開始又は停止させるために、前記スイッチ制御回路が、個別に生成される加熱器オン/オフ信号に応答して、前記スイッチが前記電源電圧及びニュートラルを前記加熱要素に接続するよう制御することを特徴とする請求項1記載の可搬型腹膜透析器。
【請求項9】
前記複数のスイッチが第1、第2、第3及び第4のスイッチを含み、前記第1のスイッチが閉じると前記加熱要素のうち一方の加熱要素の端部が220VACの電源電圧に接続され、前記第2のスイッチが閉じると前記加熱要素のうちの一方の加熱要素の端部がニュートラルに接続され、前記第3のスイッチが閉じると前記電源電圧が前記センタータップに接続され、前記第4のスイッチが閉じると前記加熱要素のうち他方の加熱要素の端部がニュートラルに接続され、前記電圧検出回路の前記出力が電圧電源が110VACであることを示す場合には前記スイッチ制御回路が前記第2、第3及び第4のスイッチを閉じ、前記電圧検出回路の前記出力が、電圧電源が220VACであることを示す場合には前記スイッチ制御回路が前記第1及び第4のスイッチを閉じることを特徴とする請求項7記載の可搬型腹膜透析器。
【請求項10】
前記腹膜透析液の加温を開始又は停止させるために、前記スイッチ制御回路が、個別に生成される加熱器オン/オフ信号に応答して、前記スイッチに、前記電源電圧及びニュートラルを前記加熱要素に接続させることを特徴とする請求項9記載の可搬型腹膜透析器。
【請求項11】
腹膜透析液供給源を設ける工程と、
注入前に前記腹膜透析液を加熱するよう構成された、相互接続された複数の加熱要素を設ける工程と、
電源電圧を自動的に検出する工程と、
少なくとも2つの実質的に異なる電源電圧において前記腹膜透析液を加熱するための同じワット量を供給するために、前記検出された電源電圧に応答して、前記電源電圧及びニュートラルと前記相互接続された複数の加熱要素との接続を自動的に再構成する工程と、
前記再構成された加熱要素を用いて前記腹膜透析液を加熱する工程と、
患者に前記腹膜透析液を注入する工程と
を備えることを特徴とする腹膜透析を行う方法。
【請求項12】
前記設けられる加熱要素が、少なくとも1つの接合部を介して直列接続され、前記再構成する工程が、一方の電源電圧では直列接続された前記加熱要素に該電源電圧を自動的に印加し、他方の電源電圧では並列接続された前記加熱要素に該電源電圧を自動的に印加することを特徴とする請求項11記載の方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、腹膜透析システム及びそれに関連する方法に関する。
【0002】
本発明は、一般的に、腎不全患者に腹膜透析を行うための装置に関し、具体的には、米国におけるAC110ボルト(VAC)及び欧州における220VACを含む異なる電源電圧又は本線電圧に対応するよう設計された腹膜透析器用の加熱回路に関する。
【背景技術】
【0003】
腹膜透析(PD)は、天然の半透過膜として作用する患者自身の腹膜(腹部の体腔の内膜)を用いる。PDにおいては、患者の腹腔、即ち腹膜腔に、PD液(腹膜透析液)と呼ばれる無菌の水溶液が満たされ、即ち注入され、一定時間後に除去、即ち排出される。PD液は、血液透析で用いられる透析液と似ているが、その処方及びプロセスはかなり異なる。PDでは、腹膜内又は腹膜付近の血流、即ち動脈及び静脈の毛細血管床と、腹部内に滞留しているPD液自体との間で、拡散及び浸透による交換が行われる。注入−滞留−排出のサイクルで複数回の交換が行われ得る。この交換により、通常であれば各腎臓が過剰な水と共に尿管に排出するが、正常な腎機能が無いために患者の血流内に溜まった、尿素及びクレアチニン等の毒性のある老廃物が除去される。腎臓には、ナトリウム等といった他の物質の適切なレベルを維持する機能もあり、これらは透析によって、電解質の適切なバランスの維持を試みるべく調節される。透析中の腹膜への水及び溶質の拡散は、限外ろ過とも呼ばれる。
【0004】
自由行動下連続PD(CAPD:continuous ambulatory PD)では、腹壁を通して挿入された専用の恒久的なカテーテルを用いて、透析液が腹膜腔に導入される。液の注入後、透析を達成するために、液は、一般的に1時間以上程度の或る滞留時間だけ適切な位置に残され、その後、同じカテーテルを通して排出されることによって除去される。このプロセスは繰り返すことができる。
【0005】
PDサイクラーと呼ばれる自動PD器は、この全プロセスを制御するよう設計されており、治療スタッフが付き添わなくても、このプロセスを自宅で夜間にいつも行うことができる。このプロセスはCCPD(continuous cycler-assisted PD:連続的サイクラー補助PD)と呼ばれる。サイクラーは、一般的に5リットルまでのPD液を各々が収容した多数の液袋を管理するよう設計されており、透析器は、PD液をポンプで送るか、又はいわゆる重力システムではPD液を流れさせることにより、患者ラインを通して患者にPD液を送る。しかし、温度衝撃を回避するために、PD液は、注入前にはいつも、まず、患者の体温に近くなるよう加熱されなければならない。
【0006】
PD液を加熱する1つの手法は、加熱コイル及び温度センサを備えた加熱トレー上に専用加熱袋を配置することである。この構成では、患者に向かう全ての液は、この加熱袋からのものでなければならない。滞留時間中に、透析器に接続された複数のPD液袋の1つから加熱袋にPD液を補給して、患者への次の注入用に加温することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、世界中の様々な電源電圧に対応する加熱回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
簡潔に述べると、本発明は1つの態様において、腹膜透析を行うために腹膜透析器と患者との間で予熱された液体を送る装置に関し、特に、110V又は220Vの電源電圧を検出して腹膜透析器のPD液加熱要素への接続を安全に再構成するための自動システムに関する。
【0009】
本発明は、腹膜透析液供給源と、患者の腹腔への及び患者の腹腔からの腹膜透析液を通すための患者ラインと、患者ラインを通して患者の腹部に所定量の腹膜透析液を送出するためのサイクラーと、腹膜透析液を患者に送出する前に該腹膜透析液を加熱するための直列接続された複数の加熱要素を有する加熱器と、電源電圧を検出し、直列接続された要素に220VACを印加するスイッチ回路又は並列接続された要素に110VACを印加するスイッチ回路への電源電圧を示す出力を生成するよう接続された電圧検出回路とを備える可搬型腹膜透析器を含み得る。この構成により、220VAC又は110VACのいずれの電圧においても、加熱器によってほぼ同じワット量が自動的に生成され、腹膜透析液がほぼ同じ率で加熱されることが確実になる。
【0010】
加熱コイルの一実施形態では、抵抗加熱コイルが対にされ、110VACでは電源電圧がセンタータップに印加されることが好ましい。電圧検出回路は、1つの状態において一方が220VAC電源電流の存在を示し、1つの状態において他方が110VAC電源電流の存在を示す、2つの相補的な相互排他的論理出力を有するのが好ましい。
【0011】
一実施形態では、腹膜透析液は、サイクラーのトレーに載置された加熱袋内で加熱される。加熱袋を加温するために、例えば抵抗加熱コイルをトレーに埋め込むことにより、加熱器がトレーに並置される。
【0012】
別の実施形態では、更に1組の補助加熱要素が直列に接続され、スイッチ回路は直列接続された補助加熱要素及び主加熱要素に220VACを印加するか、又は、並列接続された補助加熱要素及び主加熱要素に110VACを印加する。一実施形態では、スイッチ回路は、スイッチ制御回路によって制御される複数の(例えば4つの)電源スイッチを有する。腹膜透析液の加温を開始又は停止させるために、スイッチ制御回路は、個別に生成される制御信号に応答して、スイッチが電源電圧及びニュートラルを加熱要素に接続するよう制御する。複数のスイッチは第1、第2、第3及び第4のスイッチを含んでもよく、第1のスイッチが閉じると加熱要素のうち一方の加熱要素の端部が220VACの電源電圧に接続され、第2のスイッチが閉じると加熱要素のうちの一方の加熱要素の端部がニュートラルに接続され、第3のスイッチが閉じると電源電圧がセンタータップに接続され、第4のスイッチが閉じると加熱要素のうち他方の加熱要素の端部がニュートラルに接続され、電圧検出回路の出力が、電圧電源が110VACであることを示す場合にはスイッチ制御回路が第2、第3及び第4のスイッチを閉じ、電圧検出回路の出力が電圧電源が220VACであることを示す場合にはスイッチ制御回路が第1及び第4のスイッチを閉じる。
【0013】
本発明の別の態様は、腹膜透析液の注入前に該腹膜透析液を加熱するよう構成された、相互接続された複数の加熱要素を設ける工程と、電源電圧を自動的に検出する工程と、少なくとも2つの実質的に異なる電源電圧において腹膜透析液を加熱するための同じワット量を供給するために、検出された電源電圧に応答して、電源電圧及びニュートラルと相互接続された複数の加熱要素との接続を再構成する工程と、再構成された加熱要素を用いて腹膜透析液を加熱する工程と、患者に加温された腹膜透析液を注入する工程とを備える、腹膜透析を行う方法を含む。再構成する工程は、一方の電源電圧では直列接続された前記加熱要素に該電源電圧を自動的に印加し、他方の電源電圧では並列接続された前記加熱要素に該電源電圧を自動的に印加するのが好ましい。
【0014】
本発明の長所は以下を含む。自動電圧検出及び加熱回路間の切り替えにより、広範囲の様々な電圧を有する全ての場所に、同じPDサイクラーを、回路を変更することなく供給及び分配できる。PDサイクラーの長所の1つは可搬性である。患者はこれらを携行して旅行することもある。従って、例えば、透析患者は、本発明の加熱回路を備えた、いつも用いている自分のPDサイクラーを伴って、米国と欧州とを自由に旅行でき、プラグアダプタや交換用の電源コードを持ち運ぶこと以外には電圧に関する心配をしなくてよい。
【0015】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載される。本発明の他の特徴、目的及び長所は、これらの説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
各種図面中、同一参照番号は同一要素を示す。
【0017】
以下に説明する加熱回路の実施形態は、2005年2月28日に出願された「腹膜透析療法のための可搬型装置(Portable Apparatus for Peritoneal Dialysis Therapy)」という名称の米国特許出願第11/069195号に開示されているタイプのPDサイクラー用に特に設計されたものであり、この特許文献の全体を参照することにより本願明細書に組み込む。上記特許出願は本願と同じ譲受人に譲渡されるものであり、図1に示されているPDサイクラーの実施形態の詳細がある程度記載されている。
【0018】
サイクラー
図1には、複数のPD液袋及びそれらに関連する配管に対応するよう設計されたカート12に載置された、可搬型PDサイクラー10が示されている。サイクラー10の前部には、患者によって操作されるよう設計されたユーザインターフェイスを提供するコントロールパネル12と、ヒンジで連結されたドア14の後ろにある与圧されたカセット室とが設けられている。カセット(図示せず)は、複数のチャネルと、複数の柔軟なバルブドームと、隔壁で覆われた複数のポンプ室とを有する。これらは、空気弁とピストンとの組み合わせがカセット室と相互作用することによって作動され、袋からのPD液の流れを、サイクラーを通して患者に向かわせ、患者から排出管に向かわせる。上記カセット及びカセット室の更なる詳細は、上述の米国特許出願第11/069195号に開示されている。カセットは、その下縁部に沿って配列された複数の配管コネクタ16を有する。図1に示されるように、コネクタはドア14の下方に延出し、配管に接続される。
【0019】
図示されるように、PD液袋18は、カート12の側方のフィンガー部から吊り下げられる。図示されている加熱袋20は、加熱トレー22を構成する浅い凹部内に載置されている。加熱トレー22のサイズ及び形状は、一般的な5リットルのPD液袋に対応するものである。加熱トレー22は、表面下に埋め込まれた複数の加熱コイル(図示せず)を有する。図2によりよく示されるように、加熱トレー22の表面は右に向かって僅かに下方に傾斜しており、出口が右側に配置された加熱袋が空になるのを補助するようになっている。加熱袋の出口は、加熱トレー22の表面に位置する温度センサ24に隣接しており、温度センサ24は、PD液を所望の温度に保つために加熱コイルを必要に応じてオン/オフするサーモスタット制御回路のために、加熱袋内の液の温度を検出する。加熱トレー22は、加熱袋内のPD液の量をサイクラー制御システムに知らせるためにPD液袋の中身の重量を示す電気信号を供給するロードセル(図示せず)を備えた支持体上に載置される。
【0020】
図3に示されるように、サイクラー10の後部パネル26は、ここでは米国用の110VACプラグとして図示されている3つのさし込み先がある接地付プラグを有する取り外し可能な電源コード30用の電源コードソケット28を有する。欧州で用いる場合には、通常、220VACの電源電流用に設計されたプラグを有する類似の電源コードと単純に置き換えられる。このコードが無い場合には、3つのさし込み先があるプラグを有する適切なアダプタを単に用いることもできる。ソケット28の上方には、サイクラー10の主電源オン/オフスイッチ32がある。後部パネルには、例えばファン通気口34や各種データポート等も設けられ得る。
【0021】
加熱回路
図4〜図6は、110又は220VACにおける加熱回路の全体的な動作の概要を示し、図7〜図11は、回路の実装例即ち実施形態を説明するための詳細な模式図である。
【0022】
図4の右上に示されるように、入力されたAC電源電圧は、電圧にとらわれないパワーエントリーモジュール40を介してAC配電盤42に送られる。回路は、50〜60Hzで85〜265VACの任意の電圧を扱うように設計されるのが好ましい。AC配電盤は、110V/220V検出器44を有する。検出器44の出力は二値の論理値であり、一方のレベルは電源電流が110VACであることを示し、他方のレベルは電源電流が220VACであることを示す。図4に示されるように、電圧検出器44の出力は、110Vモードコントローラ46に渡され得る。電圧検出器44の出力は、一度に110又は220の一方のモードのみが作動されることを確実にするために、インバータ48を介して220Vモードコントローラ回路50にも渡される。作動状態のモードコントローラ46又は50の出力は、加熱器制御回路52を作動させる。加熱器制御回路52は、I/Oボード加熱オン/オフコントローラ54からのオン/オフ信号に応答して、加熱トレー56の加熱コイルを通る電流を電源電圧に応じて異なる方法でゲートする。コントローラ54は、サイクラー制御システムの制御下でエネルギー効率のよい適切な方法で温度制御を開始及び終了させつつ、温度センサ24に応答して、加熱袋内の設定温度を保つために加熱コイルのオン/オフサイクルを制御する。例えば、最後の袋が温められて患者に用いられたら、サイクラー制御システムはI/Oボードからの加熱オン出力を無効にしてもよい。
【0023】
図5及び図6は、電源線と加熱コイルとの接続に対して、110V又は220Vの電源電圧を検出した結果をそれぞれ示している。図5は、使用可能な電源電圧が110VACである場合の体制に対応する。加熱トレー56は、説明の目的で、センタータップ64を介して直列に接続された1対の同じ50オームの加熱コイル60及び62を有する。電力は、AC配電盤42の2本のワイヤ又はレール、即ち電源電圧線及びニュートラル線に入力される。図5では、110VAC線は一番上に示され、ニュートラル線は一番下に示されている。加熱コイルへの電源及びニュートラルの接続は、図5及び図6で#1、#2、#3及び#4の同じ番号で示されている1組の4つのスイッチによって達成される。これらのスイッチは、加熱スイッチ制御52からの信号に応じて開く(非導通)又は閉じる(導通)ことができる。モードの違いを明らかにするために、図5及び図6では、加熱スイッチ制御52からの出力線は、スイッチが閉じているもののみが示されており、開いているものは示さない。スイッチ#1は220V電源線スイッチであり、110Vモード(図5)では開いている。スイッチ#2は110Vニュートラルスイッチであり、110Vモードでは閉じている。スイッチ#3は110V電源線スイッチである。110Vモードでは、対応する電源線スイッチ#3が閉じている(導通)。最後のスイッチ#4はニュートラル断路スイッチであり、110Vモード及び220Vモードのいずれにおいても閉じている。このように、110VACモード(図5)では、I/Oボード加熱コントローラ54が、サイクラー制御システムが加熱器に加熱袋を温めることをコマンドしていることと感知された温度が所望の設定点より低いこととを示す加熱器ON信号を加熱器制御52に印加したら、スイッチ#2、#3及び#4は閉じられ、スイッチ#1は開かれる。このスイッチ構成により、110Vモードでは以下のことが達成される。110VAC電源線がスイッチ#3を介してセンタータップ64に接続され、加熱コイル60及び62の両方の遠位端部がスイッチ#2及び#4を介してニュートラルに接続される。この構成では、全ての110VAC電流が両方向に流れて50オームコイルをそれぞれ通り、118VACで約500ワットの電力を生じる。従って、110Vモードでは、閉じているスイッチ#3がセンタータップ/電源電圧になり、閉じているスイッチ#2及び#4がニュートラル帰還路になることで、加熱コイル60及び62が並列接続される。
【0024】
或いは、図6に示されるように、220Vモードでは、加熱スイッチ制御52によってスイッチ#1及び#4が閉じられる。スイッチ#1は、コイル60の端部に電源電圧を供給し、スイッチ#4は、他方のコイル62の反対側の端部をニュートラル帰還路に接続することにより、直列接続された両方の加熱コイルに電源電圧を印加する。即ち、220VAC電流が(一方向に)コイル60を通って流れ、次にコイル62を通って流れ、ニュートラル(接地)に帰還する。この構成は、220VACで約475ワットの電力を生じる。
【0025】
図7〜図11は、2対のコイル(一方は、例えば、加熱袋の温度を細かく制御するための低い抵抗を有するオプションの補助加熱コイル対である)を有する特定の加熱コイル構成のために開発されたPD加熱トレー電圧切り替え制御システム用のAC配電盤の好ましい具体的な実施形態を示す。図7は、AC配電盤の最上位のブロック図であり、回路の3つの主要な機能ブロック間の関係及び信号路が示されている。最初の電源線回路70は、AC電源線をフィルタリングし、電源電圧を検出し、内部回路の動作用の5VDC及び18VDCの低電圧DC供給電力を供給する。真ん中のブロックの加熱器制御論理72は、図4〜図6の加熱モード制御52に対応し、検出された電圧レベルからキューを取得して、電源電圧及びニュートラルに対して加熱コイルを直列又は並列に接続するためにスイッチを動作させるための論理出力を供給する。図7の右側に示されている最後のブロックは、加熱器制御論理ブロック72の制御下でセンタータップ又は直列接続されたコイルの一端部に電流を通す加熱器リレーを有する。しかし、電流はまず、加熱コイルアセンブリ(図示せず)に内蔵された回路ブレーカを通らなければならない。更に、電源コード30(図3)の標準的な3つのさし込み先があるプラグの、他のピンより長い接地ピンに接続された保護接地(PROT_GND)が設けられる。
【0026】
図8−1に示されるように、電源線インターフェイスはコネクタJ2を介して電源コード30に接続する。図示されるように、LINE(電源線)及びNEUTRAL(ニュートラル)は保護ツェナー・ブレークダウン・ダイオードを介して接続されて、加熱器制御論理回路72及びリレー制御回路74に供給されるHEATER LINE(加熱器線)及びNEUTRAL LINE(ニュートラル線)を設け、これにより加熱コイルに直接接続される。LINEは、図8−2及び図8−3の線A(円内)によって、図8−3の電圧検出器回路76及び電源周波数CLK回路78、並びに図8−4の5VDC及び18VDC電力供給79にタップされる。電圧検出器76の心臓部は集積回路U1であり、集積回路U1はDET_120V_Nへの出力を生成する。LINEが110VACである場合には、この出力の論理値は低である。
【0027】
図9−1の加熱器制御論理では、図9−2に示されている4つの光結合器によって、加熱器制御及び状態分離(status isolated)インターフェイス80が設けられる。演算増幅器U4DへのHEATER_BKR入力は、リレー制御回路の図10−2の加熱トレー内の回路ブレーカの整流された出力を介して入力される。図9−3に示されている加熱器制御論理の部分は、起動時にフリップフロップU3Aをリセットして、低電圧の出力を禁止するよう設計されている。この回路には、電圧検出器のDET_120_N出力と図8−1のLINE_CLKとが入力される。フリップフロップU3Aは、リセットされるまで電圧の状態を記憶する。フリップフロップU3Aの出力は、フリップフロップU6を介して、リレー回路74への基本入力、即ち240V_ON、110V_ON及びAUX_ONを生成する1組の3つのゲートU7A、U7B及びU7Cに印加される。240V_ON信号及び110V_ON信号は、I/Oボード加熱器オン/オフコントローラ54(図4〜図6)によって生成されるHEATER_ON信号(加熱器オン信号)によってゲートされ、コネクタJ3から図9−2の光結合器80を介して渡される。AUX_ON信号(補助加熱器オン信号)が用いられる場合には、サイクラー制御システムによる要求に応じてI/Oボード加熱コントローラによってAUX_ON信号も生成され、コネクタJ3から光結合器を介して渡される。
【0028】
図9−4には、補助加熱器リレー用のリレー信号82、120V電源線リレー用の信号84及び220V電源線リレー用の信号86と、それらに関連付けられたサービスLEDとが示されている。
【0029】
図9−1の論理回路によって生成されるリレー制御信号は、図10−2に示されているトライアック半導体スイッチアレイに渡される。図10−3に示されるように、加熱コイルへの接続は、円内のA−Hの文字で示される線を介して行われる。尚、加熱プレートアセンブリは、端子1及び2を有する熱回路ブレーカを有する。図10−3のThermalBrkr1は、HEATER_LINE(即ち、電源コード30からの電源電流)に直接接続され、ThermalBrkr2は、線Cを介して、図10−2の110V及び220V電源線スイッチに直接接続される。このように、電流はHEATER_LINEから回路ブレーカを通り、電源電圧に応じたリレーの状態に応じて、110V又は220V電源線スイッチを通ってコイル対のセンタータップ又は端部に向かい、コイルを通って図10−3のHTRニュートラルを通りニュートラルに帰還する。
【0030】
オプションの補助加熱コイルがAUX_ON(図9−3)によって作動された場合には、補助加熱コイルは上記と同様に並列動作するが、主加熱コイルより低い抵抗を有する。
【0031】
以上、本発明を特定の実施形態に関して説明した。他の実施形態も添付の特許請求の範囲に包含される。例えば、加熱器用のコイル対が開示されているが、直列又は並列に交代して作動可能な、任意の複数の直列接続されたコイルを実装することもできる。更に、上述の実施形態は加熱トレー上に載置された加熱袋を有したが、液袋の中身を、患者ラインへの途中にある急速加熱器(例えば、液体が加熱プレートの周囲を迷路のように何度か巡る)を通して空けることもできる。本発明の二重電圧調節のための同じ解決法は、静止した加熱袋だけでなく、この加熱システムを通る流れにも対応できる。更に、上述の実施形態は、PDサイクラーと共に用いられるよう設計されている。しかし、本発明は、注入前にPD液を予熱する任意のタイプの腹膜透析器で用いることができる。本願明細書で用いる110VAC及び220VACという用語は、今日、米国及び欧州で電源電圧として通常遭遇する範囲内の電圧をそれぞれ示すことを意図したものである。
【0032】
本発明の複数の実施形態を説明した。それにも関わらず、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく様々な変形がなされ得ることを理解されたい。従って、他の実施形態も添付の特許請求の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】加熱トレー上の加熱袋と、カートから吊り下げられた更なる交換用の更なるPD液袋とを有する専用カート上のPDサイクラーの斜視図。
【図2】図1のPDサイクラーの加熱トレーを上から見た斜視図。
【図3】オン/オフスイッチ及び電源コードを示す図1のPDサイクラーの後面図。
【図4】図1〜図3のPDサイクラーの加熱トレーと関連付けられたAC電圧加熱器制御回路の概要を示すブロック図。
【図5】110VACモードにおける図4の加熱器制御回路のブロック図。
【図6】220VACモードにおける図4の加熱器制御回路のブロック図。
【図7】図4〜図6の加熱回路システムを実装するためのAC配電盤の特定の実施形態の最上位のブロック図。
【図8−1】図7の配電盤の電圧検出器を有する電源線インターフェイスの詳細な電気的模式図であり、図8−1は、図8−2、図8−3及び図8−4の3つの下位図面に分割され、それらの相互関係は図8−1及びこれら下位図面を相互接続する線を示す円内の文字によって示される。
【図8−2】図8−1の下位図面。
【図8−3】図8−1の下位図面。
【図8−4】図8−1の下位図面。
【図9−1】図7の配電盤の加熱器制御論理の詳細な電気的模式図であり、図9−1は、図9−2、図9−3及び図9−4の3つの下位図面に分割され、それらの相互関係は図9−1及びこれら下位図面を相互接続する線を示す円内の文字によって示される。
【図9−2】図9−1の下位図面。
【図9−3】図9−1の下位図面。
【図9−4】図9−1の下位図面。
【図10−1】図7の配電盤の1組の加熱器リレー(トライアック電源線スイッチ)の詳細な電気的模式図であり、図10−1は、図10−2及び図10−3の2つの下位図面に分割され、それらの相互関係は図10−1及びこれら下位図面を相互接続する線を示す円内の文字によって示される。
【図10−2】図10−1の下位図面。
【図10−3】図10−1の下位図面。
【図11】図10−1のトライアック半導体リレーの1つの電気的模式図。
【符号の説明】
【0034】
10 PDサイクラー
12 カート
18 PD液袋
20 加熱袋
22 加熱トレー
24 温度センサ
42 AC配電盤
44 電圧検出器
46 110Vモードコントローラ
50 220Vモードコントローラ
52 加熱器制御回路(加熱スイッチ制御)
60、62 加熱コイル
【出願人】 【識別番号】507115779
【氏名又は名称】フレセニアス メディカル ケア ホールディングス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】FRESENIUS MEDICAL CARE HOLDINGS, INC.
【出願日】 平成19年8月31日(2007.8.31)
【代理人】 【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史

【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛


【公開番号】 特開2008−55177(P2008−55177A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2007−225715(P2007−225715)