| 【発明の名称】 |
薬剤吐出装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】小林 雅也
【氏名】今井 満
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| 【要約】 |
【課題】利用者がマウスピースから吸入する薬剤量を一定にする。
【構成】マウスピース4の気流路20内に薬剤を吐出する吐出ヘッド8aには、連結管8bを介してタンク7内の薬剤が供給される。吐出ヘッドのノズル(オリフィス)に薬剤が付着して吸入量が減少するのを補うために、吸入ごとにタンク内の薬剤の残量を歪ゲージ37を用いて計測し、次回の吸入時における吐出ヘッドの吐出動作期間を調整して所定の薬剤吐出量を維持する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 利用者が吸入するための薬剤を吐出する薬剤吐出装置において、 前記薬剤を吐出する薬剤吐出部と、 前記薬剤吐出部から吐出された薬剤吐出量を計測する計測部と、 前記計測部の計測値に基づいて、投与すべき薬剤の量と前記吐出された薬剤吐出量との差を補う量の薬剤を吐出するように、前記薬剤吐出部を駆動するための制御部と、を有することを特徴とする薬剤吐出装置。 【請求項2】 前記計測部は、残量測定手段により前記薬剤を収容するタンク内の薬剤残量を測定することで薬剤吐出量を計測することを特徴とする請求項1記載の薬剤吐出装置。 【請求項3】 前記計測部は、前記薬剤吐出部の単位時間あたりの吐出量を測定する光学手段を有することを特徴とする請求項1記載の薬剤吐出装置。 【請求項4】 前記制御部は、前記薬剤吐出部の吐出周波数、吐出パルス幅、駆動電圧または吐出動作期間を含む駆動条件を調整することを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の薬剤吐出装置。 【請求項5】 前記制御部は、前記利用者による1回の吸入において計測された前記計測部の計測値に基づいて、次回の吸入における前記薬剤吐出部の吐出動作期間を調整することを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の薬剤吐出装置。 【請求項6】 前記制御部は、前記利用者による1回の吸入において測定された前記計測部の計測値に基づいて、前記1回の吸入における前記薬剤吐出部の吐出動作期間を調整することを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の薬剤吐出装置。 【請求項7】 前記薬剤吐出部は、前記薬剤に熱エネルギーを付与する電気熱変換素子または前記薬剤に機械エネルギーを付与する電気機械変換素子を有することを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項記載の薬剤吐出装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、薬剤等を吐出して利用者に吸入させるための吸入装置などを含む薬剤吐出装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 薬剤吐出装置により、電子カルテなどの情報データベースを活用できる最適な利用者への処置が具現化できる。薬剤吐出装置は、利用者のカルテ及び処方箋の情報を含む利用者個人に関する情報を格納する記憶手段と、薬剤を微小液滴として吐出する吐出手段を有する。例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されたように、処方箋の情報に従って、利用者が薬剤を吸入できるように、吸気プロファイルに応じて吸入器を制御して薬剤を吐出させる吐出制御手段を有するものが知られている。 【0003】 このような薬剤吐出装置は、薬剤の投与量や投与インターバルを処方箋に従って正確に管理できると共に、個々の利用者に効率良く薬剤を投与できなければならない。 【0004】 【特許文献1】国際公開WO95/01137号公報 【特許文献2】国際公開WO02/04043号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 そこで、インクジェット方式の吐出原理を利用して、マウスピースから吸入される空気流の中に薬剤を適正な小滴として所定数吐出させる方法が考案され、粒径の均一化が、可能となってきている。しかし、体内に吸入させるには、液滴径が数ミクロンと非常に微小であることが重要であり、それに伴って、吐出ヘッドのオリフィス径も数ミクロンが要求されている。そのために、同一の吐出ヘッドにて複数回の吸入を行う場合、前回の薬剤吐出後に残った薬剤がいくつかのオリフィス(ノズル)の内壁に付着して、オリフィスを塞ぎやすく、次の吸入の際に吐出するオリフィスの数が少なくなる。その結果、同じ期間だけ吐出ヘッドを駆動しても所定の吐出量よりも少ない吐出量となることがあった。 【0006】 また、吐出ヘッドの液室内に薬剤を充填する際に液室の内壁面の濡れ性が悪いと、液室内に薬剤が充分に充填されない状態が発生する。このために、吐出初期では吐出量が少なくなる傾向がある。通常の熱エネルギーまたは圧電エネルギーを利用したプリンタ等の吐出ヘッドにおいては、出荷時にエージングを行い、充分にインクと吐出素子面をなじませ、さらにインクを充填して出荷しているので、この問題は回避されている。 【0007】 一方、薬剤を吸入する吸入装置では、薬剤の変質防止目的で、吸入時に初めて、吐出ユニット部に薬液の充填を行う。その時に初めて液室の内壁面に薬液を接触させることとなり、上記の問題が発生しやすくなる。その結果、所定量の吐出ができず、所定量の薬剤を吸入させることが難しくなる。 【0008】 つまり、不変の駆動条件で吐出ヘッドを駆動し、薬剤を吐出した場合には、吐出動作期間を通じて単位時間あたりの薬剤吐出量が一定であるという前提で、当初決めた駆動条件のままで吐出を行うと、実際には所定量の薬剤が吐出できないことが多いと懸念される。前述したような要因により、不変の駆動条件で薬剤を吐出しても、単位時間あたりの薬剤吐出量が一定にならないためである。 【0009】 吐出ヘッドから吐出された薬剤の量をその場で正確に測定した上で、所定の量だけ薬剤が吐出されたら吐出ヘッドの駆動を停止することができれば問題はないが、現状ではこれは困難である。 【0010】 このように、予め設定された吐出量がオリフィスより吐出されないために、必要量の薬剤を吸入できないという未解決の課題があり、実用化が難しいのが実情である。 【0011】 本発明は、上記従来の技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであり、マウスピースの気流路に吐出される薬剤吐出量を安定化し、利用者に対する薬剤の投与量を適切に管理することができる薬剤吐出装置を提供することを目的とするものである。 【課題を解決するための手段】 【0012】 本発明の薬剤吐出装置は、利用者が吸入するための薬剤を吐出する薬剤吐出装置において、前記薬剤を吐出する薬剤吐出部と、前記薬剤吐出部から吐出された薬剤吐出量を計測する計測部と、前記計測部の計測値に基づいて、投与すべき薬剤の量と前記吐出された薬剤吐出量との差を補う量の薬剤を吐出するように、前記薬剤吐出部を駆動するための制御部と、を有することを特徴とする。 【発明の効果】 【0013】 本発明の薬剤吐出装置によれば、利用者が吸入すべき薬剤の量を従来よりも精度良く、より確実に吐出することができる。 【0014】 例えば、前回の吸入における薬剤吐出量を計測し、次回以後の吐出動作期間を調整することで安定した薬剤吐出量を維持し、利用者に対する薬剤の投与量を適切に管理することが可能となる。 【0015】 また、計測部においてタンク内の薬剤残量を計測することで薬剤残量を利用者に告知するように構成すれば、利用者が安心して使用することができる。吐出性を回復するために捨てられていた予備吐出量の削減も可能となり、タンク内の薬剤を効率的に吸入できるために利用者の経済的負担も軽減できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 (実施形態1) 図1は、本発明の薬剤吐出装置の一例としての吸入装置の外観を示す斜視図である。吸入装置本体は、ハウジングケース1およびアクセスカバー2で外装を形成している。図2に示すように、アクセスカバー2はロック用のフック部3を備えており、マウスピース4は、ハウジングケース1内に着脱自在に装着される。 【0017】 アクセスカバー2のフック部3が、バネによって付勢されたロック解除ボタン5と一体になって作動するフック引っ掛け軸に止まるように構成される。アクセスカバー2を開ける時には、ロック解除ボタン5を押す。これによってフックの掛かりが外れて、アクセスカバー2が開く方向に付勢するバネの力によって、アクセスカバー2が開く。アクセスカバー2には、投与量、時刻、エラー表示等を行うための表示ユニット10を設けている。 【0018】 また、利用者が設定を行うためのメニュ切替えボタン11、設定ボタンのアップボタン12、ダウンボタン13、決定ボタン14を設けている。 【0019】 図2は、アクセスカバー2が開いた状態を示すもので、アクセスカバー2が開くと、吐出部と薬剤タンク部が一体となった薬剤吐出ユニット6と、マウスピース4とが見えてくる。薬剤吐出ユニット6は装置に対して着脱可能となっていて、吸入時毎に脱着するか、または、複数回の吸入の後に薬剤残量が少なくなったときに交換する。 【0020】 図3に示すように、薬剤吐出ユニット6は、薬剤を可とう性の容器で包含するタンク(薬剤タンク)7と、薬剤を吐出する薬剤吐出部としての吐出ヘッド部8と、を備える。また、吐出ヘッド部8に設けたヒータに熱エネルギーを発生させるための電力を供給する電気接続面9aを有する電気接続部材9を備え、吸入装置本体の内部に保持している2次電池として充電可能なバッテリが、電気接続面9aに電気を供給する。 【0021】 なお、図3においては、薬剤を収容するタンク7と薬剤を吐出する吐出ヘッド8が一体として構成された薬剤吐出ユニット6はカートリッジ状になっているが、タンク7と吐出ヘッド8はそれぞれ別体として構成されていても良い。 【0022】 本発明において、薬剤吐出部(吐出ヘッド部8)は任意の吐出エネルギー発生素子を有する。すなわち、吐出原理としては、限定ではないが、粉末放出、MDI方式、ジェット式ネブライザー、超音波式ネブライザー、メッシュ式ネブライザー、カムによる押し出し方式、インクジェット方式、を含む。当該インクジェット方式とは広義の意味であり、薬剤を吐出する場合を含むものである。吐出エネルギー発生素子としては、薬剤に熱エネルギーを付与する電気熱変換素子又は機械エネルギーを付与する電気機械変換素子を好ましく例示できる。薬剤の吐出方法としては、電気熱変換素子を用いて薬剤に熱エネルギーを付与して吐出口から吐出させる方法(サーマルジェット方式)、薬剤に機械エネルギーを付与する電気機械変換素子(例えば圧電素子)の振動圧を用いて吐出口から薬剤を吐出する方法がある。吐出方法については、薬剤の種類などに応じて選択可能である。 【0023】 サーマルジェット方式を用いた場合、個々の薬剤吐出ユニットについて、吐出口の口径、吐出に利用される熱パルスの熱量、電気熱変換素子としてのマイクロ・ヒーターなどのサイズ精度、再現性を高くすることが可能である。このため、狭い液滴径分布を達成することが可能である。また、ヘッドの製作コストが低く、ヘッドを頻繁に交換する必要がある小型の装置への適用性も高い。従って、薬剤吐出装置に携帯性や利便性が求められる場合には、特に、サーマルジェット式の吐出装置が好ましい。 【0024】 本発明に用いられる薬剤とは、薬理的、生理的な作用を示す医薬用化合物の薬剤のみならず、医薬用化合物に加えて更に、嬌味嬌臭目的の成分、香料、染料、顔料なども含まれる概念である。そして、薬剤は液体でも粉末でも構わない。 【0025】 また、本発明に用いられる薬液とは、液体の薬剤、または薬剤を含む液媒体を言う。また、任意の添加剤を含んでよい。液中の薬剤の状態は、溶解、分散、乳化、懸濁、スラリーのいずれでも良く、液中に均一化されていればなお良い。 【0026】 薬剤として薬液を用いる場合、液の主媒体は水または有機物が好ましく、生体に投与されることを考慮すると水が主媒体であることが好ましい。 【0027】 図4は、図1の装置を断面で示すもので、マウスピース4は、吸入用の気流路20と、薬剤吐出ユニット6から吐出された液滴を気流路20内の吸入気流にのせるための開口部21等、を有する。また、気流路20のうちマウスピース4とは反対側の端部は、利用者が吸入を行った際に気流が発生するように、外気を取り入れるための空気取り入れ口となっている。効率的に薬剤の吸入を行うために、利用者の吸入と液滴の吐出を同期させるのが良い。そのために、利用者の吸入を検知し、吸入検知信号を元に吐出を開始するのが良く、利用者の吸入により気流路20内に発生する負圧を検知するセンサとして圧力センサ17をコントロール基板(制御部)18に設けている。また、マウスピスース4には、圧力センサ17が気流路20に連通する連通穴22が設けてあり、連通穴22は圧力検知ノズル16を介して圧力センサ17と連通する。 【0028】 コントロール基板18には、3軸加速度方式による傾き検知センサ19を配置し、薬剤残量の測定の正確性を増す補正に利用しているが、良好な姿勢で吸入を行わせるためでもある。傾き検知センサ19による検知結果は、吸入装置の姿勢異常をアクセスカバー2に設けた表示ユニット10で表示するとともに、音や振動モータによる振動やLED等のよる照明で利用者に告知するのが良い。さらに、処方箋データ等を保存するRAMとフラッシュROM、吸入装置の動作プログラムを記憶するROMとこのROM、RAMのデータから吸入装置をコントロールするCPU等が、最低でもコントロール基板18上に配置されている。以下に説明する吐出動作期間をはじめとする吐出条件の算出、吐出ヘッドの駆動の制御なども制御部としてのコントロール基板18により行われる。 【0029】 なお、薬剤吐出ユニット6の中のタンク7と吐出ヘッド部8は、吸入装置本体に装着する前は、連結されていない。これは、薬剤の変質等を防ぐためであって、薬剤の安全性を考慮している。タンク7の吐出ヘッド部側には、アルミ箔等の薄膜フィルムが接着され、タンク7からの薬剤の漏れ出しを防いでいる。吐出ヘッド部8は、ヒータと液室とノズル(オリフィス)で構成された吐出ヘッド(吐出手段)8aを有し、吐出ヘッド8aに薬液を充填するための連結管8bの先端は、尖った形状を有し、タンク7の薄膜フィルムを突き破って薬剤を充填することになる。薄膜フィルムは、液漏れを防いで連通可能であれば目的は達成されるので厚みのあるゴムでもよい。その場合は、連結管8bを注射針のように材質がステンレスで細い形状として良く、この構成にすると連結管8bの複数回の抜き差しも可能となる。長時間を空けて次の吸入を行うような場合、薬剤の空気の接触を防止しなければならなくなる。このような場合には、非常に有効な接続方法である。 【0030】 ハウジングケース1内に配設された昇降加圧モータ33は、タンク7を吐出ヘッド部8の連結管8bに近づけるためにモータギア34を回転させ、従動ギア35が回転する。従動ギア35の内径側にネジ形状が形成されていて、このネジ形状に噛み合うようにスクリュウ軸36を配置している。スクリュウ軸36の先端には、計測部である歪ゲージ(残量測定手段)37が配置される。歪ゲージ37を囲うようにスクリュウ軸36と一体に形成したタンク押し上げ部38を介して、タンク7を吐出ヘッド部8の連結管8bと連結する。この時に、歪ゲージ37にかかる荷重をモニターして、吐出ヘッド8aまでの薬剤の充填を行う。この薬剤充填完了状態を図5に示す。 【0031】 本実施形態による吸入装置の動作を図6に示すフローチャートに沿って説明する。 【0032】 ステップS001で、利用者によって電源スイッチが押されるなどの動作により使用開始状態となる。使用開始後、薬剤吐出ユニット6の有無をチェックし(S002)、なければ薬剤吐出ユニット6がないことを利用者に知らせる警告表示を出し(S016)、電源OFF(S018)を経て、終了する(S019)。 【0033】 薬剤吐出ユニット6の検出手段としては、例えば薬剤吐出ユニット6がサーマルジェット方式によって吐出を行う場合、吐出エネルギー発生手段となるヒータの抵抗値を測定することで実現できる。 【0034】 薬剤吐出ユニット6がある場合、装置本体内のバッテリの残量をチェックし(S003)、足りなければ、バッテリ交換や充電を促す表示を行い(S017)、電源OFF(S018)を経て、終了する(S019)。バッテリ残量が少なくとも一回の吸入動作を実行できると判断された場合、電源をONし(S004)、初期設定を行う(S005)。 【0035】 初期設定完了後、利用者が投与すべき薬剤の量を自分で入力する場合もある(S005−1)。通常は、医者の処方箋データの投与量が自動的に設定されるが、例えば、インスリンは、利用者が、吸入時のカロリー摂取量、カロリー消費量を加味して変更することがある。 【0036】 昇降加圧モータ33がタンク7を吐出ヘッド8a側に移動する方向に駆動させ、モータギア34、従動ギア35、スクリュウ軸36、タンク押し上げ部38を介して、タンク7が吐出ヘッド8a側に移動する。タンク7が移動するとタンク7に貼り付けられた薄膜フィルムを連結管8bが突き破り、吐出ヘッド部8に薬剤の充填が始まる。さらに、昇降加圧モータ33を移動させ、吐出ヘッド8aのノズルへの充填工程となる。ノズルは、数ミクロンの穴径であるためにノズルへの充填時には、歪ゲージ37にかかる荷重が大きく変化する。この変化を監視して吐出ヘッド8aへの充填完了と判断する(S006、S007)。 【0037】 次に、薬剤の減量測定を行う(S008)。ここでは、タンク内にある薬剤の残量(薬剤残量)を測定し、前回測定の残量値と比較することにより、吐出による減量、すなわち薬剤吐出量を算出する。すなわち、本実施形態においては残量測定手段(歪ゲージ37)が、吐出ヘッド8aによる薬剤吐出量を計測する計測部にあたる。昇降加圧モータ33には、ロータリーエンコーダ39が接続されており、タンク7の下端位置が、ロータリーエンコーダ39の出力値を基に、コントロール基板18上のCPUによって薬剤残量が算出される。この下端位置を検出するのに歪ゲージ37を使用し、残重量とヘッド8aのノズル充填時の負荷荷重を加算した値になった位置を下端としている。なお、昇降加圧モータ33に接続されているロータリーエンコーダ39は、薬剤の残量検知のために必須の構成ではない。ただし、ロータリーエンコーダ39を設けることでタンク押し上げ部38の位置検出が可能となる。したがって、タンク押し上げ部38を任意の所定量押し上げることができ、そのときに歪ゲージ37の荷重が変化しない場合等は昇降加圧モータ33からスクリュウ軸36までのタンク押し上げ機構が異常であることが検出できる。 【0038】 さらに、携帯性の小型吸入器においては、歪ゲージ37での荷重測定時に吸入装置本体が傾いている場合があるので、装置本体の傾きによって薬剤の重量分の補正を行い、薬剤残量測定の正確性を向上させている。つまり、歪ゲージ37に対してタンク7が上方にあって、装置本体の傾きが鉛直方向から大きく傾けば傾く程、重量成分が少なくなる。このため傾き度合いによって、吐出ヘッド8a内に薬剤が充填されたにも関わらず、歪ゲージ37の出力が下がってしまうことになる。そこで、鉛直方向を基準とすると傾きによる重量分を加算することで傾き補正を行っている。 【0039】 本発明は、計測部の計測値に基づいて、投与すべき薬剤の量と吐出された薬剤の量との差に相当し、これを補う量の薬剤を吐出するように、吐出ヘッドの駆動を行なうことを特徴とする。 【0040】 このように、常に一定の薬剤吐出量を実現するための具体的な例を、投与すべき薬剤の量を2回に分けて吸入する設定とした場合で説明する。投与すべき薬剤の量とは、一連の吸入で利用者が摂取する薬剤投与量であり、前述のように利用者あるいは医師が設定入力する値である。以下、全体投与量ということもある。まずは、残量検知を行い(S008)、前回の残量と比較して、減量を算出する(S009)。今回は、1回目の吸入なので減量はゼロである。次に、全体投与量の1/2の投与量を吐出させるための吐出動作期間を算出し(S010)、吸入開始を待つ(S011)。ここで、「吐出動作期間」とは、一回の吸入動作に必要な期間内において、吐出エネルギー発生素子に最初のパルスを与えてから、最後のパルスを与え終わるまでの時間、すなわち吐出エネルギー発生用パルス列が供給される期間を意味する。 【0041】 吸入が検知されると吐出を実行する(S012)。このときに吐出中であることを表示する(S013)。振動モータによる振動、音で利用者に告知する手段を有しても良い。第1回の吸入として算出された吐出動作期間の経過後、吐出が終了する(S014)。次に再びステップS006のモータ駆動加圧工程に戻り、タンク7を加圧し、残量を検知する(S008)。薬剤残量は、約半分程度減っているはずであるが、吐出ヘッド8aによる初回の薬剤吐出量のバラツキにより予定の減量と違う。実際に吐出された薬剤吐出量を算出された吐出動作期間で割ることにより、第1回の吸入の単位時間あたりの吐出量を算出することができる。そこで、2回目(次回)の吸入と合わせて全体投与量の薬剤を吐出できるように、吐出ヘッド8aによる2回目の吐出動作期間を算出する(S010)。具体的には、2回目の吐出においては、第1回の単位時間あたりの吐出量とほぼ同じペースで吐出が行われることが期待できるため、(全体投与量−第1回目の実際の薬剤投与量)/(第1回の単位時間あたりの吐出量)を計算すると、2回目の吐出動作期間となる。その後の工程は、1回目と同じである。これにより、薬剤吐出量の誤差を補償するように、すなわち、全体の吐出量を常に一定にするように吐出手段に対し制御をかけることができる。3回目の薬剤残量チェック工程(S009)で残量がなし、つまり、薬剤減量が投与量と一致もしくは、越えた場合に残量がなくなったとして、薬剤残量をコントロール基板18上のフラッシュROMに記憶して、電源OFFし(S018)、終了に至る(S019)。 【0042】 もし、薬剤残量があるとなれば、ステップS010で吐出動作期間を算出し、再吸入となる。ステップS005−1にて、子供、老人、性別等で肺活量の個人差がある場合に利用者に合わせて吸入回数の設定を行えるようにしても良い。 【0043】 上記の説明では1回目の吸入で、全体投与量の1/2を吐出するようにしたが、1回目の吐出量はこれに限定されるものではない。例えば、1回目に全体投与量の2/3を吐出しても良い。この場合は、1回目の吸入による減量(全体投与量の約2/3の重量に相当する)と吐出動作期間から吐出速度を算出し、その速度に基づいて、残りの約1/3の投与にかかる吐出動作期間を算出する。より精度良く全体投与量を吐出するには、第1回目の吸入では、全体投与量の1/2以上を吐出することが好ましい。 【0044】 また、同様の原理により、吸入を3回以上に分けても良い。 【0045】 以下、具体的な数値を用いて実施例1を説明する。全体投与量が21μLと設定されており、一回目の吸入では10.5μL吐出するために駆動周波数10kHzにて1.2秒間吐出を行うことが算出された(S010)。1.2秒間の吐出後に歪ゲージ37により薬剤吐出量を測定したところ(S008)、実際には9μL吐出されていた。つまり、単位時間あたりの薬剤吐出量は9÷1.2=7.5(μL/秒)であった。そこで、第2回目の吐出動作期間を以下の算出式により算出した(S010)。 (21−9)÷7.5=1.6 sec そして、1.6秒だけ吐出するように制御部により吐出ヘッドの駆動を行うことで、全体投与量を精度良く確実に吐出することができる。 【0046】 (実施形態2) 図7は、実施形態2による吸入装置を断面で示す。利用者の1回の吸入における薬剤吐出量としてタンク7の薬剤残量を測定する歪ゲージ37の代わりに、薬剤吐出ユニット6の吐出速度(単位時間あたりの吐出量)を光学的に計測するための光学手段である投光器41、42および受光器43、44を用いた。それ以外は、実施形態1と同様の構成である。 【0047】 マウスピース4には、薬剤吐出ユニット6の吐出された液滴をマウスピース4内の吸入気流にのせるための開口部21があいている。効率的に薬剤の吸入を行うために利用者の吸入と液滴の吐出を同期させるのが良い。そのために、利用者の吸入を検知し、吸入検知信号を元に吐出を開始するのが良く、吸入検知センサとして圧力センサ17をコントロール基板18に設けている。マウスピスース4には、吸入用の気流路20に連通する連通穴22が設けてあり、連通穴22は圧力検知ノズル16を介して圧力センサ17と連通する。 【0048】 薬剤吐出ユニット6の中のタンク7と吐出ヘッド部8は、吸入装置本体に装着する前は、連結されていない。これは、薬剤の変質等を防ぐためであって、薬剤の安全性を考慮している。 【0049】 昇降加圧モータ33は、タンク7を吐出ヘッド部8の連結管8bに近づけるためにモータギア34を回転させ、従動ギア35が回転する。従動ギア35の内径側にネジ形状が形成されていて、このネジ形状に噛み合うようにスクリュウ軸36を配置している。スクリュウ軸36の先端には、タンク7のパッキン7aを押すためのプレート40を配置している。昇降加圧モータ33を回転させてスクリュウ軸36を下方向に移動することによりプレート40がパッキン7aを押して、連結管8bが薄膜フィルム7bを破り、吐出ヘッド部8の連結管8bとタンク7を連結する。連結後、ロータリーエンコーダ39によりスクリュウ軸36の移動量を制御して、吐出ヘッド8aまで所定量の薬剤の充填を行う。この薬剤充填完了状態を図8に示す。 【0050】 図8の吐出開始状態から徐々に薬剤のレベルが下がっていき、投光器(第1レベル)41から受光器(第1レベル)43に信号光が到達した状態を図9の(a)に示す。さらに吐出を続けると薬剤のレベルが下がっていき、投光器(第2レベル)42から受光器(第2レベル)44に信号光が到達した状態を図9の(b)に示す。 【0051】 これらの投光器と受光器は、信号対雑音比(S/N)を十分得ることができれば、図10に示すような反射型の投受光器(第1レベル)45と投受光器(第2レベル)46に替えることも可能である。 【0052】 本実施形態での動作を図11に示すフローチャートに沿って説明する。 【0053】 まず、利用者によって電源スイッチが押されるなどの動作により使用開始状態となる(S001)。使用開始後、薬剤吐出ユニット6の有無をチェックし(S002)、なければ薬剤吐出ユニット6がないことを利用者に知らせる警告表示を出し(S016)、電源OFF(S018)を経て、終了する(S019)。 【0054】 薬剤吐出ユニット6の検出手段としては、例えば薬剤吐出ユニット6がサーマルジェット方式によって吐出を行う場合、吐出エネルギー発生手段となるヒータの抵抗値を測定することで実現できる。 【0055】 薬剤吐出ユニット6がある場合、装置本体内のバッテリの残量をチェックし(S003)、足りなければ、バッテリ交換や充電を促す表示を行い(S017)、電源OFF(S018)を経て、終了する(S019)。バッテリ残量が少なくとも一回の吸入動作を実行できると判断された場合、電源をONし(S004)、初期設定を行う(S005)。 【0056】 初期設定完了後、利用者が投与量を自分で入力する場合もある(S005−1)。通常は、医者の処方箋データの投与量が自動的に設定されるが、例えば、インスリンは、利用者が、吸入時のカロリー摂取量、カロリー消費量を加味して変更することがある。 【0057】 昇降加圧モータ33がタンク7を吐出ヘッド8a側に移動する方向に駆動させ、モータギア34、従動ギア35、スクリュウ軸36を介して、タンク7が吐出ヘッド8a側に移動する。タンク7が移動するとタンク7に貼り付けられた薄膜フィルム7bを連結管8bが突き破り、吐出ヘッド部8に薬剤の充填が始まる。さらに、昇降加圧モータ33を移動させ、吐出ヘッド8aのノズルへの充填工程となる。ロータリーエンコーダ39によりモータの回転数を判断して所定の投与量分の薬液が液体吐出ユニット6に供給されて吐出ヘッド8aへの充填完了と判断する(S006)。モータが回転中にスクリュウ軸36の回転終端検知信号の有無チェックする(S020)。検知信号がONされるとこれ以上スクリュウ軸を回転できないため、タンク7が空になったことを利用者に知らせる警告表示を出し(S027)、電源OFF(S018)を経て、終了する(S019)。スクリュウ軸36の回転終端検知信号がOFFの場合、吸入の準備ができたのでREADY状態となる(S011)。吸入ONスイッチを押すと(S012)、吐出ヘッド8aから薬剤の吐出が開始される(S013)。 【0058】 次に、薬剤の吐出速度測定工程について説明する。 【0059】 薬剤の吐出が開始され(S013)、薬剤が徐々に減っていくとまず第1レベルを検知し(S021)、検出時間を計測する(S022)。さらに薬剤が減っていくと第2レベルを検知し(S023)、検出時間を計測する(S024)。薬剤吐出ユニット6内の、図9に示す第1レベルと第2レベル間の薬剤体積がわかっているので、第1レベルから第2レベルに移行する時間を測定することにより、この間の単位時間あたりの吐出量を計算することができる。予め第2レベルと吐出ヘッド8aの表面までの薬剤体積は既知であるから、第2レベルと吐出ヘッド8aの表面までの薬剤体積を上記算出された単位時間あたりの吐出量で割ることにより、残りの吐出動作期間を計算する。これにより、薬剤吐出量の誤差を補償するように、すなわち、全体の吐出量を常に一定にするように吐出手段に対し制御をかけることができる。 【0060】 さらに、残りの吐出動作期間の計測が開始され(S025)、タイムアップしているか判断する(S026)。タイムアップがYESであれば、吐出を終了する(S014)。その際薬剤残量や薬剤吐出の記録(吐出時刻と吐出量)をコントロール基板18上のフラッシュROMに記憶して、電源OFF(S018)を経て、終了に至る(S019)。 【0061】 第1レベルから第2レベルまでの時間を計測したり、吐出ヘッドの駆動時間(吐出動作期間)を管理する時間計測部(タイマー)は、コントロール基板18のCPU内の時計機能を用いる。これは実施形態1においても同様である。 【0062】 子供、老人、性別、人種等で肺活量の個人差があるので、第1レベルと第2レベルの距離は利用者に合わせて1回の吸入量の中で測定が完結するような距離とすることが肝要である。吸入検知信号が予め設定した検知レベル以下となり、十分な吸入ができない場合は吸入を中断する。吸入が1回の中で完結しない場合は複数回に分けることが可能で、残りの吐出動作期間分だけ吐出を実行する。 【0063】 以下、具体的な数値を用いて実施例2を説明する。全体投与量が21μLと設定されており、当初の駆動条件としては駆動周波数10kHzにて吐出を行うよう設定された。なお、第1レベルと第2レベル間の薬剤体積は10μLである。吐出を行い第1レベルから第2レベルに移行する時間が1.0秒であったため、第1レベルから第2レベルまでの単位時間あたりの吐出量は10μL/secと算出された。第2レベルと吐出ヘッド8aの表面までの薬剤体積は6μLであるため、残りの吐出動作期間は 6÷10=0.6secである。制御部は、薬剤が第2レベルを通過してから0.6秒だけ吐出ヘッドを駆動させることで、全体投与量を精度良く確実に吐出することができる。 【0064】 本実施例によれば、吐出ヘッド8aを複数回使用しているうちにノズルの一部が詰まって、単位時間当たりの薬剤吐出量が経時的に変化しても吐出動作期間を調整することにより正規の薬剤吐出量を確保することができる。 【0065】 なお、単位時間あたりの吐出量を「吐出速度」ということもある。 【0066】 所定の吐出量を確保するために吐出動作期間を調整するだけでなく、吐出周波数、吐出パルス幅、駆動電圧のパラメータ(駆動条件)を変更することも可能である。ここで、「吐出周波数」とは、単位時間あたりに吐出圧発生素子に与える薬剤を吐出するためのパルス信号の数に相当する。また、「パルス幅」とは、一回のパルス信号付与における通電時間である。パルス幅を長くすることにより、一回のパルス信号に応じて吐出する薬剤の量が増加する。また、これら複数の方法を組み合わせて変化させて、必要な投薬量を達成するための駆動条件を決定しても良い。ただし、吐出周波数などは各装置において機能上の制約がある場合があるので、吐出動作期間を変更するように調節する方法が簡便ではある。 【0067】 図12は、吐出補正部の回路構成図を示すもので、駆動条件読出し回路102と、駆動条件テーブル103とを有する。駆動条件テーブル103は、吐出残量に対する駆動電圧、パルス幅、周波数の吐出補正テーブルである。この駆動電圧、パルス幅、周波数とも値を高くすることは、補正吐出量を増やす方向である。 【0068】 駆動パルス制御回路104は、吐出補正開始を指示されると、駆動条件要求信号303によって駆動条件読出し回路102に駆動条件を要求する。なお、駆動条件要求信号303は新たな駆動条件が必要となってから、駆動条件が設定されるまで真となる論理レベルの信号である。 【0069】 駆動条件読出し回路102は、駆動条件要求信号303毎に駆動条件テーブル103から駆動条件データ1301を順次読出し、駆動条件設定信号1201によって駆動パルス制御回路104に駆動条件を設定する。 【0070】 駆動パルス制御回路104は駆動条件設定信号1201によって駆動条件が設定されると、駆動条件要求信号303を一端取下げ、設定された駆動条件によって駆動パルス信号302を制御して吐出ヘッド30の薬剤吐出を行う。 【0071】 駆動パルス制御回路104に設定される駆動条件には駆動パルス信号302のON期間条件とOFF期間条件、ON/OFF繰返し回数、および継続・終了フラグがある。駆動パルス制御回路104は設定されたON期間およびOFF期間で駆動パルス信号302のON・OFFを繰返し回数分実施する。繰返し回数分の駆動パルス信号302の制御が終了したのち、継続・終了フラグが継続を示していた場合には、駆動条件要求信号303によって駆動条件読出し回路に新たな駆動条件を要求する。継続・終了フラグが終了を示していた場合は、新たな要求は行わず、吐出制御を終了する。 【0072】 上記の実施形態はいずれも熱エネルギーを用いる吐出ヘッドを搭載しているが、圧電エネルギーによる吐出ヘッドを用いることもできることは言うまでもない。 【産業上の利用可能性】 【0073】 本発明は、薬剤吸入用の他に例えば、芳香剤などの噴霧状吐出装置、ニコチンなどの嗜好品の吸入装置、などにも適用することができる。 【図面の簡単な説明】 【0074】 【図1】本発明の薬剤吐出装置の一実施形態である吸入装置(実施形態1)を示す外観斜視図である。 【図2】図1の装置のアクセスカバーを開いた状態を示す外観斜視図である。 【図3】図1の装置の薬剤吐出ユニットのみを示す外観斜視図である。 【図4】図1の装置において薬剤充填前の状態を示す断面図である。 【図5】図1の装置において薬剤充填後の状態を示す断面図である。 【図6】実施形態1による吸入工程を示すフローチャートである。 【図7】実施形態2による吸入装置の薬剤充填前の状態を示す断面図である。 【図8】図7の装置において薬剤充填後の状態を示す断面図である。 【図9】図7の装置において単位時間あたりの吐出量を光学的に計測する計測部の動作を説明する図である。 【図10】実施形態2の一変形例を示す図である。 【図11】実施形態2による吸入工程を示すフローチャートである。 【図12】吐出補正部の回路構成を示す図である。 【符号の説明】 【0075】 1 ハウジングケース 2 アクセスカバー 4 マウスピース 5 ロック解除ボタン 6 薬剤吐出ユニット 7 タンク 8 吐出ヘッド部 8a 吐出ヘッド 8b 連結管 9 電気接続部材 9a 電気接続面 17 負圧センサ 18 コントロール基板 19 傾き検知センサ 20 気流路 33 昇降加圧モータ 37 歪ゲージ 38 タンク押し上げ部 39 ロータリーエンコーダ 40 プレート 41、42 投光器 43、44 受光器 45、46 投受光器
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001007 【氏名又は名称】キヤノン株式会社
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| 【出願日】 |
平成19年7月26日(2007.7.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095991 【弁理士】 【氏名又は名称】阪本 善朗
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| 【公開番号】 |
特開2008−55147(P2008−55147A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月13日(2008.3.13) |
| 【出願番号】 |
特願2007−193998(P2007−193998) |
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