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【発明の名称】 体外循環回路圧力モニター用保護フィルター
【発明者】 【氏名】河合 克教

【氏名】山口 晃伸

【要約】 【課題】体外血液回路内に血液の脈動が生じても、その圧力変動による疎水性フィルターへの負荷を軽減し、フィルター膜を損傷せずに安定したフィルター膜の性能を発揮する構成とした体外循環回路圧力モニター用保護フィルターを提供する。

【構成】透析装置側ハウジング2と、体外循環回路側ハウジング3と、両ハウジングの間に狭持される気体の通過は許容するが液体の通過は許容しない疎水性フィルター4とを有してなる体外循環回路圧力モニター用保護フィルター1であって、両ハウジングにはそれぞれ疎水性フィルター4を支持しうる複数のリブ25および37が設けられており、体外循環回路側ハウジング3に設けられたリブ37と疎水性フィルター4の間にはリブ37と疎水性フィルター4との直接接触を防止するための保護部材5が介装されてなることを特徴とする体外循環回路圧力モニター用保護フィルター1。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通する内腔を有する透析装置側ハウジングと、貫通する内腔を有する体外循環回路側ハウジングと、両ハウジングの間に狭持される気体の通過は許容するが液体の通過は許容しない疎水性フィルターとを有してなる体外循環回路圧力モニター用保護フィルターであって、両ハウジングにはそれぞれ疎水性フィルターを支持しうる複数のリブが設けられており、体外循環回路側ハウジングに設けられたリブと疎水性フィルターの間にはリブと疎水性フィルターとの直接接触を防止しうる保護部材が介装されてなることを特徴とする体外循環回路圧力モニター用保護フィルター。
【請求項2】
前記保護部材は、円盤状または管状であることを特徴とする請求項1に記載の体外循環回路圧力モニター用保護フィルター。
【請求項3】
前記体外循環回路側ハウジングのリブは、板状部材であり、体外循環回路側ハウジングの軸を中心として疎水性フィルター側に向かって放射状に立設されており、前記保護部材は少なくともリブの疎水性フィルター側端面の軸側端部を保護しうるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の体外循環回路圧力モニター用保護フィルター。
【請求項4】
前記保護部材は、疎水性フィルターとともに両ハウジング間に狭持されることを特徴とする請求項1または2に記載の体外循環回路圧力モニター用保護フィルター。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、体外循環回路圧力モニター用保護フィルターに関し、特に、血液浄化療法での血液の脈動による疎水性フィルターへの負荷を軽減しうる体外循環回路圧力モニター用保護フィルターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
血液透析等の血液浄化療法において、血液ポンプを用いて体外循環回路に血液を循環させる時には、従来、体外循環回路内の圧力を測定して圧力変動を感知することが行われている。また、体外循環回路内の圧力は、ドリップチャンバーなどで血液と接触する空気に伝達される圧力を、圧力モニターラインを介して透析装置内に設けられた圧力計で測定している。
【0003】
通常、圧力が伝達される圧力モニターラインには空気のみが充満しているが、循環する血液流量の増加や、体外循環回路内または人工腎臓内での血液凝固などにより、体外循環回路内部に過圧力が生じた場合、血液がこの圧力モニターラインに侵入してしまうことがある。さらに血液が透析装置内の圧力計まで到達すると、正確に体外循環回路内の圧力を測定できなくなってしまうおそれがある。また、圧力計内部に侵入してしまった血液または血液由来物質が後に逆流することになれば、感染事故につながってしまうおそれもある。
【0004】
そのために、従来の体外循環回路圧力モニターには、透析装置側ハウジングと体外循環回路側ハウジングと、両ハウジングの間に狭持される疎水性フィルターとから構成される保護フィルターを設けて、血液ポンプの圧力変動や血液等の侵入を防止する構成とされている(例えば、特許文献1参照)。従来の保護フィルターは、疎水性フィルターをハウジング内に支持するためにハウジングに保護板が立設されている。この保護板は、疎水性フィルターの膨らみを抑え、なおかつフィルターの破れを防ぐために形成されているが、体外循環回路内を流れる血液の脈動により疎水性フィルターが振動すると、フィルターの保護板と接触する部分が摩擦によって破損し、そこから血液が漏出するおそれがある。
【0005】
また、フィルターの破損を防止する工夫がなされた保護フィルターも開発されている(例えば、特許文献2参照)。この保護フィルターは、体外循環回路側からの圧力の変動により直接フィルターに負荷がかからないようにするために、ハウジングに空気圧緩衝部材を形成して圧力を分散させている。しかしながら、この保護フィルターにおいても、血液の脈動によるフィルターの振動で、フィルターと空気圧緩衝部材とが接触することによりフィルターが破損するおそれがあり、血液漏出の問題は依然として残されている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−129079号公報
【特許文献2】特開2004−337287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記問題を解決するために、体外循環回路内で血液の脈動が生じても疎水性フィルターが破損することなく、安定したフィルター膜の性能を発揮可能とした体外循環回路圧力モニター用保護フィルターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意検討を行った結果、疎水性フィルター破損の主な原因である、疎水性フィルターとハウジングに立設されたリブとの接触を防止するべく、疎水性フィルターとリブとの間に保護部材を介装することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち本発明は、
(1)貫通する内腔を有する透析装置側ハウジングと、貫通する内腔を有する体外循環回路側ハウジングと、両ハウジングの間に狭持される気体の通過は許容するが液体の通過は許容しない疎水性フィルターとを有してなる体外循環回路圧力モニター用保護フィルターであって、両ハウジングにはそれぞれ疎水性フィルターを支持しうる複数のリブが設けられており、体外循環回路側ハウジングに設けられたリブと疎水性フィルターの間にはリブと疎水性フィルターとの直接接触を防止しうる保護部材が介装されてなることを特徴とする体外循環回路圧力モニター用保護フィルター、
(2)前記保護部材は、円盤状または管状であることを特徴とする(1)に記載の体外循環回路圧力モニター用保護フィルター、
(3)前記体外循環回路側ハウジングのリブは、板状部材であり、体外循環回路側ハウジングの軸を中心として疎水性フィルター側に向かって放射状に立設されており、前記保護部材は少なくともリブの疎水性フィルター側端面の軸側端部を保護しうるものであることを特徴とする(1)または(2)に記載の体外循環回路圧力モニター用保護フィルター、
(4)前記保護部材は、疎水性フィルターとともに両ハウジング間に狭持されることを特徴とする(1)または(2)に記載の体外循環回路圧力モニター用保護フィルター
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の体外循環回路圧力モニター用保護フィルターは、疎水性フィルターと体外循環回路側ハウジングのリブとの間に保護部材を設ける構成としたことにより、体外血液回路内で血液の脈動が生じて、その圧力変動によって疎水性フィルターが振動しても、疎水性フィルターがリブと直接接触しないため疎水性フィルターが破損するおそれがなく、安定したフィルター膜の性能を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の好ましい実施態様を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は本発明の体外循環回路圧力モニター用保護フィルターの斜視図である。図2の(a)は本発明の体外循環回路圧力モニター用保護フィルターの一実施例を示す断面図であり、(b)は(a)において点線Aで囲まれた部分の拡大断面図である。また、図3の(a)は本発明の体外循環回路圧力モニター用保護フィルターの他の実施例を示す断面図であり、(b)は(a)において点線Aで囲まれた部分の拡大断面図である。
【0012】
先ず、本発明に係る体外循環回路圧力モニター用保護フィルターの全体構成について図1に示される斜視図を用いて説明する。図示されるように、本発明にかかる体外循環回路圧力モニター用保護フィルター1は、透析装置内の圧力計につながるチューブに接続される透析装置側ハウジング2と、体外循環回路へとつながるチューブに接続される体外循環回路側ハウジング3を備えている。また、両ハウジングの間には、図2および図3に示されるように疎水性フィルター4が狭持されている。さらに、体外循環回路側ハウジング3と疎水性フィルター4の間には保護部材5が介装される。
【0013】
前記透析装置側ハウジング2は、図2に示されるように、透析装置内の圧力計につながるチューブに接続される接続部21と、疎水性フィルター4を支持しうるフィルター支持部22とから形成され、それぞれ透析装置側ハウジング2にハウジングの軸を中心とする貫通する内腔が形成されるよう構成されている。前記接続部21はチューブ末端に設けられた接続具とロック機構によって接続されうるようにねじ部23が形成されていてもよいし、テーパー部24が形成されていてもよい。前記透析装置側ハウジング2は、熱可塑性樹脂のポリカーボネート、ポリプロピレン、ABS、ポリ塩化ビニル等の硬質樹脂により成形される。
【0014】
前記透析装置側ハウジング2のフィルター支持部22は、疎水性フィルター4の表面全体を支持しうる大きさを有しており、その縁部には疎水性フィルター4の縁部を溶着固定しうるように凸部が形成されていることが好ましい。またその外周面は、後述する体外循環回路側ハウジング3のフィルター支持部32に嵌合され、嵌合部が溶着されることにより強固に接続される。
【0015】
さらに、前記フィルター支持部22には、血液の脈動による疎水性フィルター4の振動を抑止するべく、複数のリブ25が疎水性フィルター4側に向かって立設されている。前記リブ25は板状部材であり、透析装置側ハウジング2の軸を中心として放射状に立設されている。前記リブ25の数は特に限定されないが、図示される実施形態では8個設けられている。
【0016】
前記体外循環回路側ハウジング3は、図2に示されるように、体外循環回路へとつながるチューブに接続される接続部31と、疎水性フィルター4を支持しうるフィルター支持部32とから形成され、それぞれ体外循環回路側ハウジング3にハウジングの軸を中心とする貫通する内腔が形成されるよう構成されている。前記接続部31もまた透析装置側ハウジング2の接続部21と同様に、チューブ末端に設けられたルアーロックタイプの接続具が接続されうるようにねじ部33やテーパー部34が形成されていてもよい。前記体外循環回路側ハウジング3もまた、熱可塑性樹脂のポリカーボネート、ポリプロピレン、ABS、ポリ塩化ビニル等の硬質樹脂により成形される。
【0017】
前記体外循環回路側ハウジング3のフィルター支持部32には、前記疎水性フィルター4が溶着された透析装置側ハウジング2のフィルター支持部22を収容しうる大きさの第一凹部35が形成されている。前記第一凹部35の縁部は、透析装置側ハウジング2のフィルター支持部22の外周面と嵌合し、その嵌合部分が溶着されることにより、透析装置側ハウジング2と体外循環回路側ハウジング3とは疎水性フィルター4を狭持した状態で強固に接続される。このとき、透析装置側ハウジング2の内腔と体外循環回路側ハウジング3の内腔は疎水性フィルター4を介して連通しているため、気体透過が妨げられることはない。
【0018】
さらに、前記フィルター支持部32の第一凹部35の中央部分には、一段窪んだ第二凹部36が形成されると共に、血液の脈動による疎水性フィルター4の振動を抑止するべく、複数のリブ37が疎水性フィルター4側に向かって立設されている。前記リブ37は板状部材であり、体外循環回路側ハウジング3の軸を中心として放射状に立設されている。前記リブ37の数は特に限定されないが、図示される実施形態では6個設けられている。
【0019】
疎水性フィルター4は、気体の通過は許容するが、血液や生理食塩水等の液体の通過は許容しない疎水性フィルターであり、好ましくは円盤形状を有する。前記疎水性フィルター4の素材としては、微生物や浮遊塵などの通過も許可しないものが好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等を採用することができる。前記疎水性フィルター4は、片面にポリエチレンテレフタレート等で形成された支持膜41が重ね合わされて強度が増されたものを用いてもよい。疎水性フィルター4は透析装置側ハウジング2と体外循環回路側ハウジング3の気体透過に際して圧力損失を生じないものである必要があることが好ましい。
【0020】
前記体外循環回路側ハウジング3と疎水性フィルター4の間に介装される保護部材5は、円盤状または環状の多孔質体である。前記保護部材5は、疎水性フィルター4を介する透析装置側ハウジング2と体外循環回路側ハウジング3の気体透過に際して圧力損失を生じないものである必要がある。したがって前記保護部材5には、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリウレタン、ポリスチレン等の多孔質体、またはポリエチレンテレフタレート等の不織布等が好ましく用いられる。また前記保護部材5は気体透過に際する圧力損失を考慮すると、ポアサイズが1〜100μmで、フィルター膜厚が0.1〜1mmであることが好ましい。
【0021】
図2(b)に示されるように、体外循環回路内での血液の脈動から生じる疎水性フィルター4の振動による破損は、主に体外循環回路側ハウジング3に設けられたリブ37の疎水性フィルター側端面の軸側端部Bとの接触により生じる。したがって、前記保護部材5は疎水性フィルター4と軸側端部Bとの直接接触を防止するために設けられるものである。前記保護部材5は、例えば図2(b)に示されるように、体外循環回路側ハウジング3の第二凹部36内でリブ37の疎水性フィルター側端面上に介装される形状を有する。このような保護部材5は、疎水性フィルター4が溶着された透析装置側ハウジング2と体外循環回路側ハウジング3とを嵌合する際に、リブ37の疎水性フィルター側端面上に戴置されることにより、両ハウジングの間に介装される。これにより、疎水性フィルター4は体外循環回路側ハウジング3に設けられたリブ37との直接接触が防止されるため、体外循環回路内での血液の脈動により疎水性フィルター4が破損するおそれがない。
【0022】
また、前記保護部材5は、少なくともリブ37の疎水性フィルター側端面の軸側端部Bを保護しうるものであればよく、例えば体外循環回路側ハウジング3の軸を中心として軸側端部B部分のみを覆う円盤状または環状の部材であってもよい。
【0023】
さらに、前記保護部材5は、図3に示されるように、疎水性フィルター4と同形状であり、疎水性フィルター4とともに両ハウジング間に狭持されるものであってもよい。このような保護部材5は、疎水性フィルター4が溶着された透析装置側ハウジング2と体外循環回路側ハウジング3とを嵌合する際に、体外循環回路側ハウジング3の第一凹部35内に対置されることにより、疎水性フィルター4とともに両ハウジングの間に狭持される。これにより、疎水性フィルター4は体外循環回路側ハウジング3に設けられたリブ37との直接接触が防止されるため、体外循環回路内での血液の脈動により疎水性フィルター4が破損するおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明にかかる体外循環回路圧力モニター用保護フィルターの斜視図である。
【図2】本発明にかかる体外循環回路圧力モニター用保護フィルターの一実施例を示す断面図であり、(a)は全体断面図、(b)は部分拡大断面図である。
【図3】本発明にかかる体外循環回路圧力モニター用保護フィルターの他の実施例を示す断面図であり、(a)は全体断面図、(b)は部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 体外循環回路圧力モニター用保護フィルター
2 透析装置側ハウジング
21 接続部
22 フィルター支持部
23 ねじ部
24 テーパー部
25 リブ
3 体外循環回路側ハウジング
31 接続部
32 フィルター支持部
33 ねじ部
34 テーパー部
35 第一凹部
36 第二凹部
37 リブ
4 疎水性フィルター
41 支持膜
5 保護部材
【出願人】 【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
【出願日】 平成18年9月4日(2006.9.4)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−55100(P2008−55100A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−238796(P2006−238796)