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【発明の名称】 動静脈シャント
【発明者】 【氏名】グレゴリー・エイ・コピア

【要約】 【課題】静脈側の圧力を低減するために構成された動静脈シャントを提供する。

【構成】動静脈グラフトは、血液の回収および/または再導入ができるように、動脈と静脈との間の接続に用いられる。静脈側の静圧を動脈側の静圧に近いレベルまで低下させるために、圧力を低下させる多くのグラフト構造を利用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動静脈シャントにおいて、
部材であって、この部材の一端が動脈に接続され、かつ前記部材のもう一つの端が静脈に接続された場合に、前記部材の長さにわたる圧力の低下を生じさせるように構成された内径を有する、部材、
を備えた、動静脈シャント。
【請求項2】
動静脈シャントにおいて、
先細の細長い構造体、
を備え、
前記構造体は、第1の直径を有する第1の端部、および第2の直径を有する第2の端部を有し、
前記第1の直径は、前記第2の直径よりも大きく、
前記第1の端部は、動脈と接続するように構成され、かつ前記第2の端部は、静脈と接続するように構成されている、動静脈シャント。
【請求項3】
請求項2に記載の動静脈シャントにおいて、
前記先細の細長い構造体は、生体適合性材料を含む、動静脈シャント。
【請求項4】
請求項3に記載の動静脈シャントにおいて、
前記生体適合性材料は、ポリテトラフルオロエチレンを含む、動静脈シャント。
【請求項5】
請求項2に記載の動静脈シャントにおいて、
前記先細の細長い構造体の少なくとも一部に添加された、治療用量の少なくとも1種の薬剤、
をさらに含む、動静脈シャント。
【請求項6】
請求項3に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、抗炎症薬剤を含む、動静脈シャント。
【請求項7】
請求項3に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、抗再狭窄剤を含む、動静脈シャント。
【請求項8】
請求項3に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、抗血栓症薬を含む、動静脈シャント。
【請求項9】
請求項3に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、前記先細の細長い構造体の前記少なくとも一部の表面に直接添加される、動静脈シャント。
【請求項10】
請求項3に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、ポリマー材料に組み込まれており、前記先細の細長い構造体の前記少なくとも一部に添加される、動静脈シャント。
【請求項11】
動静脈シャントにおいて、
細長い構造体、
を備え、
前記構造体は、第1の直径を有する第1の部分、第2の直径を有する第2の部分、および前記第1の部分と前記第2の部分との間に位置する第3の直径を有する第3の部分を有し、
前記第1および第2の直径は、実質的に等しく、かつ前記第3の直径よりも大きく、
前記第1の部分は、動脈と接続するように構成され、かつ前記第2の部分は、静脈と接続するように構成されている、動静脈シャント。
【請求項12】
請求項11に記載の動静脈シャントにおいて、
前記第1、第2および第3の部分が、実質的に環状の構造を備える、動静脈シャント。
【請求項13】
請求項11に記載の動静脈シャントにおいて、
前記細長い構造体は、生体適合性材料を含む、動静脈シャント。
【請求項14】
請求項13に記載の動静脈シャントにおいて、
前記生体適合性材料は、ポリテトラフルオロエチレンを含む、動静脈シャント。
【請求項15】
請求項11に記載の動静脈シャントにおいて、
前記細長い構造体の少なくとも一部に添加された、治療用量の少なくとも1種の薬剤、
をさらに含む、動静脈シャント。
【請求項16】
請求項15に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、抗炎症薬剤を含む、動静脈シャント。
【請求項17】
請求項15に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、抗再狭窄剤を含む、動静脈シャント。
【請求項18】
請求項15に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、抗血栓症薬を含む、動静脈シャント。
【請求項19】
請求項15に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、前記細長い構造体の前記少なくとも一部の表面に直接添加される、動静脈シャント。
【請求項20】
請求項15に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、ポリマー材料に組み込まれており、前記細長い構造体の前記少なくとも一部に添加される、動静脈シャント。
【請求項21】
動静脈シャントにおいて、
第1および第2の端部を有する細長い構造体であって、前記第1の端部は動脈に接続するように構成され、かつ、前記第2の端部は静脈に接続するように構成された、細長い構造体と、
前記細長い構造体の中に取り付けられた減圧装置であって、前記第2の端部における静圧が前記第1の端部における静圧よりも低くなるように、前記血液の静圧を前記細長い構造体中で低下させるように構成された、減圧装置と、
を含む、動静脈シャント。
【請求項22】
請求項21に記載の動静脈シャントにおいて、
前記減圧装置は、少なくとも1つの開口部を有する実質的にディスク形の装置を含む、動静脈シャント。
【請求項23】
請求項21に記載の動静脈シャントにおいて、
前記細長い構造体は、生体適合性材料を含む、動静脈シャント。
【請求項24】
請求項23に記載の動静脈シャントにおいて、
前記生体適合性材料は、ポリテトラフルオロエチレンを含む、動静脈シャント。
【請求項25】
請求項21に記載の動静脈シャントにおいて、
前記細長い構造体の少なくとも一部に添加された、治療用量の少なくとも1種の薬剤、
をさらに含む、動静脈シャント。
【請求項26】
請求項25に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、抗炎症薬剤を含む、動静脈シャント。
【請求項27】
請求項25に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、抗再狭窄剤を含む、動静脈シャント。
【請求項28】
請求項25に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、抗血栓症薬を含む、動静脈シャント。
【請求項29】
請求項25に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、前記細長い構造体の前記少なくとも一部の表面に直接添加される、動静脈シャント。
【請求項30】
請求項25に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、ポリマー材料に組み込まれており、前記細長い構造体の前記少なくとも一部に添加される、動静脈シャント。
【発明の詳細な説明】【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
〔1.発明の分野〕
本発明は、動静脈シャントに関し、さらに詳しくは、動静脈シャントであって、このシャントの静脈側の圧力を低減するように構成された動静脈シャントに関する。
【0002】
〔2.関連技術の考察〕
患者から血液を抜き取り、体外血液循環路を通す治療法には、数多くの種類がある。そのような治療法には、例えば、血液透析、血液ろ過、血液透析ろ過、血漿交換、血液成分の分離および酸素化などが挙げられる。一般に、血液はアクセス部位において血管から抜き取られ、同じ血管または体内の他の場所の血管の、いずれかに戻される。
【0003】
血液透析および類似の治療法において、アクセス部位はフィステル、すなわち通路の性質を持つように、外科用に作られる。血液は前記フィステルから動脈針を経て抜き取られ、血液は静脈針を経てフィステルへと戻される。
【0004】
高血流を提供する能力を有し、かつ数年間、さらには数十年間の間さえもずっと、機能的に作用する永続的なアクセス部位を作り出す一般的な方法には、動静脈フィステルの提供がある。動静脈フィステルは、前腕の高さの橈骨動脈を橈側皮静脈と手術によって接続することによって作られる。前記フィステルの静脈側は数ヶ月の間に肥厚し、それによって、繰り返し透析針を挿入することを可能にする。
【0005】
患者の静脈が細く、機能するフィステルへとつながらない場合には、血管のアクセスは、皮下に埋め込まれた生物学的チューブまたは人工チューブを介して達成されてよい。前記チューブは、針の穿刺および血液アクセスのために繰り返し利用することができる人工静脈となる。グラフトはフィステルほど発展する必要が無いために、前記グラフトはより迅速に利用することができる。グラフトは、フィステルと比較して凝固および/または感染の問題がより多い傾向にあるが、手入れが十分行き届いたグラフトは数年間持ちこたえることもある。
【0006】
前記動静脈フィステルの代替は、例えば手首の橈骨動脈から尺側皮静脈への接続部が作り出される動静脈グラフトである。前記接続部は、自家伏在静脈から、またはポリテトラフルオルエチレン(polytetrafluorethylene)などの非生物材料から構築された、実質的に管状のグラフトで作ることができる。この構造においては、針はフィステルよりもむしろグラフトの中に挿入される。
【0007】
他の代替には、大静脈の一つに外科的に埋め込まれた二重管腔カテーテルの使用、および/または標準的なポリテトラフルオロエチレングラフト(polytetrafluorethylene graft)に接続されているT字管(T-tube)を具備する無針動静脈グラフトの使用、が含まれる。この代替においては、T字管(T-tube)が皮膚の中に埋め込まれ、プラスチックプラグをねじって外すか、またはT字管(T-tube)の中隔を針で穿刺することにより血管アクセスが得られる。アクセスを得る他の方法は、医療技術において公知である。
【0008】
血液透析中は、150〜500ml/分またはさらに速い一定の血流速度が得られることが望ましい。従って、前記アクセス部位は、このような速い血流速度をもたらすように作られることが好ましい。動静脈フィステルにおける血流は800ml/分、あるいはそれよりも速いことが多く、前記血流によって、所望の範囲の血流速度をもたらすことが可能になる。しかしながら、順方向の血流が十分でないと、体外循環路の血液ポンプは、静脈針を介してフィステルに入ろうとする既に処理された血液の一部を吸い上げ、治療結果が好ましくないものとなる。
【0009】
動静脈フィステルにおける流れの悪さの最もよくある原因は、多数回に及ぶ静脈穿刺のために二次的に生じる線維症に起因する静脈側の部分的閉塞である。さらに、狭窄はまた、アクセス部位の血流の低下を引き起こす可能性もある。
【0010】
動静脈グラフトまたはシャントによって、血流に関する問題が発展する可能性もある。動静脈グラフトまたはシャントは、長期にわたると、特に静脈側に、厚く強固な新生内膜を発現させる可能性があり、これは次には、徐々に血管を閉塞させ、最終的には血栓症が起こる可能性がある。
【0011】
〔発明の概要〕
本発明は、簡潔に上述したような方法および装置に関連する不利な点を克服する。
【0012】
一実施形態では、本発明は、ある部材を備えた動静脈シャントであって、この部材が、かかる部材の一端が動脈に接続され、前記部材のもう一つの端が静脈に接続された場合に、前記部材の長さにわたる圧力の低下を引き起こすように構成された内径を有する、動静脈シャントを対象とする。
【0013】
別の実施形態では、本発明は、先細の細長い構造体を備える動静脈シャントであって、この構造体が、第1の直径を有する第1の端部、および第2の直径を有する第2の端部を有し、前記第1の直径は、前記第2の直径よりも大きく、前記第1の端部は動脈と接続するように構成され、かつ前記第2の端部は静脈と接続するように構成されている、動静脈シャントを対象とする。
【0014】
さらに別の実施形態では、本発明は、細長い構造体を備える動静脈シャントであって、この構造体が、第1の直径を有する第1の部分、第2の直径を有する第2の部分、および第1の部分と第2の部分との間に位置する第3の直径を有する第3の部分を有し、前記第1および第2の直径は、実質的に等しく、かつ前記第3の直径よりも大きく、前記第1の部分は動脈と接続するように構成され、かつ前記第2の部分は静脈と接続するように構成されている、動静脈シャントを対象とする。
【0015】
さらに別の実施形態では、本発明は、動静脈シャントにおいて、細長い構造体であって、第1および第2の端部を有し、前記第1の端部は動脈と接続するように構成され、かつ、前記第2の端部は静脈と接続するように構成された、細長い構造体と、前記細長い構造体の中に取り付けられた減圧装置であって、第2の端部における静圧が前記第1の端部における静圧よりも低くなるように、血液の静圧を前記細長い構造体中で低下させるように構成されている、減圧装置と、を備える動静脈シャントを対象とする。
【0016】
本発明は、動静脈グラフトまたはシャントを対象とする。動静脈グラフトは、体外血液治療を受けているか、あるいは、繰り返される血液の抜き取りおよび/または返還を経験している患者において、血液の抜き取りおよび返還のためのシャントを動脈と静脈との間に作るために、一般に利用されている。針は、患者の動脈および/または静脈よりも、むしろ前記グラフトの中に挿入することができる。
【0017】
動静脈グラフトを用いて動脈循環を静脈循環と接続することは、静脈側を超生理学的な圧力に曝すため、静脈側に形成される可能性のある強固な新生内膜は、適応機構であるという仮説がたてられている。従って、本発明は、適応性の新生内膜形成を防ぐために、前記グラフトの短い距離にわたって血液の静圧を低減するための様々な手段を利用する。
【0018】
本発明の上記および他の特徴ならびに利点は、添付の図面に例示された本発明の好ましい実施形態のより詳しい説明により明らかとなろう。
【0019】
〔好ましい実施形態の詳細な説明〕
本発明は、動静脈グラフトの改良された設計を対象とする。動静脈グラフトは、血液透析および/または他の体外血液治療法を受けている患者における、血液の抜き取りおよび再受け入れの領域を作る目的で、動脈と静脈との間にシャントを作るために用いることができる。透析処置のための血液を得るために、患者の動脈および静脈に繰り返し針を穿刺するよりも、動静脈シャントを用いることにより、針をグラフトに挿入することができる。しかしながら、動静脈グラフトは、長期にわたると、厚く強固な新生内膜を発現させる可能性があり、この新生内膜は徐々に血管を閉塞させ、最終的には血栓症が起こる可能性がある。この新生内膜は静脈側により多く見られる。この現象は、動静脈グラフトの交換の必要性をもたらす。
【0020】
動静脈グラフトを用いて動脈循環を静脈循環に接続することは、静脈側を超生理学的圧力に曝すため、形成する強固な新生内膜は、適応機構である、との仮説がたてられている。従って、静脈の新生内膜形成を制限する一つの可能性のある手段は、前記グラフトの長さにわたって圧力の低下を引き起こすように、動静脈グラフトの直径の一部を制限すること、または他の何らかの設計上の特徴を制限することであろう。このことは、動静脈グラフトの静脈側に対する圧力を低下させ、それにより適応性の新生内膜形成を軽減できる可能性がある。これらの設計の修正は、透析中の血液の抜き取りおよび返還のために利用される針穿刺を妨害することの無いように配置されることが好ましい。
【0021】
図1に関しては、本発明の動静脈グラフトの第1の例示的な実施形態が図示されている。前記動静脈グラフト100は、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)製であることが好ましい。しかしながら、グラフトが構築される材料によって本発明が制限されることを意図するものではない。前記グラフトは、有利にも、現在公知または後に開発される、柔軟性および強度において所望の物理的特性を有する様々な生体適合性材料から作製されてよいことが意図される。
【0022】
前記動静脈グラフト100は、動脈へ接続するように形成および/または構成された第1の端部102と、静脈へ接続するように形成および/または構成された第2の端部104とを具備する。図示されているように、前記動静脈グラフト100は、第1の端部102における直径がより大きく、その直径は第2の端部104におけるより小さな直径へと連続的に減少し、直円錐台を形成している。ベルヌーイの法則(Bernoulli's Principle)によれば、直径が変化する導管を通って流体が移動するにつれて、流体の速度および圧力も変化する。より具体的に言えば、ベルヌーイの法則(Bernoulli's Principle)は、流体の速度が上がるにつれて、流体中の静圧は低下することを示している。従って、図1に図示されている例示的な実施形態においては、第1の端部102から第2の端部104へ血液が流れるときに、血液の速度が増加して、血液中の圧力は低下する。従って、この設計は結果として静脈側の圧力を低下させ、それによって起こり得る新生内膜形成を軽減する可能性がある。
【0023】
次に図2に関しては、本発明の動静脈グラフトの第2の例示的な実施形態が図示されている。上述したように、動静脈グラフト200はポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)製であることが好ましいが、柔軟性および強度を示す他の任意の適切生体適合性材料から作製されてよい。前記の例示的な動静脈グラフト200は、動脈へ接続するように形成および/または構成された第1の部分202と、静脈へ接続するように形成および/または構成された第2の部分204と、前記第1の部分202と前記第2の部分204との間に位置する第3の部分206と、を具備する。前記第1の部分202および前記第2の部分204は、好ましくは、実質的に等しい直径を有する直円柱として構成される。第3の部分206もまた、好ましくは、直円柱として構成されるが、第1の部分202および第2の部分204よりも直径は小さい。このより小さな直径の第3の部分206は、血液中の圧力を低下させ、結果として静脈側の圧力を低下させ、それによって起こり得る新生内膜増殖を軽減する。前記第3の部分206は基本的に、単一抵抗回路における抵抗器と類似した様式で作動する。言い換えれば、抵抗器を通過すると電圧が降下するように、流れが制限された第3の部分206を通過すると圧力が低下する。さらに、電気回路と同様に、一度圧力が低下すると、系にエネルギーを与えなければ第2の部分204において圧力が上がる可能性はない。
【0024】
図3は、本発明の動静脈グラフトのさらに別の例示的な実施形態を図示する。この例示的な実施形態において、前記動静脈グラフト300は、直円柱302と、直円柱302中の所定の位置に配置可能な少なくとも1つの流量制限器304と、を具備する。一つの例示的な実施形態では、前記流量抵抗器304は、前記直円柱302の内径と実質的に等しい直径を有し、厚さtで、それぞれが前記直円柱302の内径よりもかなり小さい直径を有する複数の開口部または穴308を有する、ディスク306を具備する。血流が前記穴308を通るにつれて、血液中の圧力は低下する。実際に、前記ディスク306の厚さtが増加するほど、流れに対する抵抗が増し、それによりさらに圧力が低下する。穴または開口部308の数は、圧力を変えるためにサイズ、形、および数ならびに厚さtが変化してよいことは重要である。例えば、前記ディスク306は、実質的に卵形の開口部310を具備していてもよい。前と同じように、圧力の低下は結果として静脈側の圧力の低下をもたらす。
【0025】
上記からわかるように、新生内膜の形成をコントロールするためには、動脈端部から静脈端部へと圧力の低下をもたらすいずれの設計も適切であろう。また、特定の形および構造は、例示のみを目的としたものであり、それらの形および設計は変化してよい。これらの設計の特徴に加え、静脈側の新生内膜の形成を予防することを、または遅らせることを助けるために、治療薬を用いてよい。例えば、新生内膜の増殖を阻害するために、ラパマイシンを単独で、またはヘパリンと組み合わせて、前記動静脈グラフトに直接、または高分子塗膜を介して添加(affix)してよい。
【0026】
動静脈グラフトの例示的な実施形態が本明細書に記載されているが、多数の医療用装置を用いた多様な病態を治療するために、あるいは、前記装置の機能および/または寿命を向上させるために、薬剤/薬剤群の局所送達を利用してもよいことに注意しなくてはならない。例えば、白内障手術後の視力回復のために挿入される眼内レンズは、続発性白内障の形成により障害が起きることが多い。後者は、レンズ表面上の細胞の過剰増殖の結果引き起こされることが多く、薬剤または薬剤群を前記装置と組み合わせることにより最小限度に抑えることができる可能性がある。透析グラフト、人工肛門袋取り付け装置(colostomy bag attachment devices)、耳のドレナージ管(ear drainage tubes)、ペースメーカー用リード線、および埋め込み型除細動器などの、前記装置の中、上、周囲における組織の増殖またはタンパク性物質の蓄積によりしばしば不全をきたす他の医療用装置も、前記装置と薬物を併用する方法によって利益を得ることができる。組織または器官の構造および機能の改善に役立つ装置はまた、適切な薬剤または薬剤群と組み合わせると、有益性を示す可能性もある。例えば、埋め込み型装置の安定化を強化する整形外科装置の骨接合の改善は、骨形態形成タンパク質などの薬剤と組み合わせることにより達成し得る。同様に、他の外科用装置、縫合糸、ステープル、吻合器、椎間板、骨固定用ピン、縫合糸アンカー、止血バリア、鉗子、ネジ、プレート、クリップ、血管インプラント、組織接着剤およびシーラント(sealants)、組織スカフォールド(tissue scaffolds)、各種タイプのドレッシング、代用骨、管腔内装置、および血管内支持具はまた、この薬剤−装置併用法を使用することによって、患者への利益を高めることもできる。血管周囲ラップは、単独で、または他の医療用装置との併用で、特に有利である可能性がある。前記血管周囲ラップは、治療部位への追加薬剤を供給することができる。基本的に、いずれのタイプの医療用装置も、薬剤または複合薬を用いて何らかの方法でコーティングすることができ、前記装置または医薬品の単独使用に勝る治療を充実させる。
【0027】
種々の医療用装置に加えて、これらの装置上のコーティングを用いて治療薬および医薬品を送達してもよく、かかる治療薬および医薬品としては、ビンカアルカロイド(すなわちビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、およびビノレルビン(vinorelbine))などの天然製品、パクリタキセル、エピジポドフィロトキシン(epidipodophyllotoxins)(すなわち、エトポシド、テニポシド)、抗生物質(ダクチノマイシン(アクチノマイシンD(actinomycin D))、ダウノルビシン(daunorubicin)、ドキソルビシン(doxorubicin)、およびイダルビシン)、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、およびマイトマイシン、酵素(全身的にL−アスパラギン(L-asparagine)を代謝し、独自のアスパラギン合成能を持たない細胞を破滅させるL−アスパラギナーゼ(L-asparaginase))を含む抗増殖剤/細胞分裂抑制剤;例えば、G(GP)llb/llla阻害剤およびビトロネクチン受容体拮抗剤などの抗血小板剤;例えば、ナイトロジェンマスタード(nitrogen mustards)(メクロレタミン、シクロホスファミドおよび類似体、メルファラン、クロラムブシル(chlorambucil))、エチレンイミン、およびメチルメラミン(ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ(thiotepa))、アルキルスルホン酸−ブスルファン(alkyl sulfonates-busulfan)、ニトロソ尿素(カルムスチン(carmustine)(BCNU)および類似体、ストレプトゾシン)、トラゼン−ダカルバジニン(trazenes-dacarbazinine)(DTIC)などの抗増殖剤/細胞分裂抑制アルキル化剤;葉酸類似体(メトトレキサート(methotrexate))、ピリミジン類似体(フルオロウラシル(fluorouracil)、フロクスウリジン(floxuridine)、およびシタラビン)、プリン類似体および関連阻害剤(メルカプトプリン、チオグアニン(thioguanine)、ペントスタチン(pentostatin)、および2−クロロデオキシアデノシン(2-chlorodeoxyadenosine){クラドリビン(cladribine)})などの抗増殖剤/細胞分裂抑制代謝拮抗物質;白金配位錯体(platinum coordination complexes)(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン(procarbazine)、ヒドロキシ尿素(hydroxyurea)、ミトタン(mitotane)、アミノグルテチミド(aminoglutethimide);ホルモン(すなわち、エストロゲン);抗凝固剤(ヘパリン、合成ヘパリン塩類および他のトロンビン阻害剤);繊維素溶解剤(例えば、組織プラスミノーゲン活性化因子、ストレプトキナーゼ、およびウロキナーゼ)、アスピリン、ジピリダモール(dipyridamole)、チクロピジン(ticlopidine)、クロピドグレル(clopidogrel)、アブシキシマブ(abciximab);抗遊走剤;分泌抑制剤(ブレベルジン(breveldin));抗炎症剤:例えば、副腎皮質ステロイドadrenocortical steroids)(コルチゾール、コルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾンprednisone)、プレドニゾロン(prednisolone)、6α−メチルプレドニゾロン6α-methylprednisolone)、トリアムシノロン(triamcinolone)、ベタメタゾンbetamethasone)、およびデキサメタゾン(dexamethasone))、非ステロイド剤(サリチル酸誘導体(salicylic acid derivative)、すなわちアスピリン;パラ−アミノフェノール誘導体、すなわちアセトアミノフェン;インドールおよびインデン酢酸(indene acetic acids)(インドメタシン、スリンダク(sulindac)およびエトダラック(etodalac))、ヘテロアリール酢酸(トルメチン、ジクロフェナク、およびケトロラック)、アリールプロピオン酸(arylpropionic acids)(イブプロフェンおよび誘導体)、アントラニル酸(メフェナム酸、およびメクロフェナム酸)、エノール酸(enolic acids)(ピロキシカム、テノキシカム、フェニールブタゾン、およびオキシフェンタトラゾン(oxyphenthatrazone))、ナブメトン(nabumetone)、金化合物(オーラノフィン、オーロチオグルコース(aurothioglucose)、金チオリンゴ酸ナトリウム(gold sodium thiomalate));免疫抑制剤:(シクロスポリン、タクロリムス(FK−506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル);血管形成剤:血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor)(VEGF)、繊維芽細胞増殖因子(fibroblast growth factor)(FGF);アンジオテンシン受容体阻害薬(angiotensin receptor blocker);酸化窒素供与体;アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびその配合剤;細胞周期阻害剤、mTOR阻害剤、および増殖因子受容体シグナル伝達キナーゼ阻害剤(growth factor receptor signal transduction kinase inhibitors);レテノイド(retenoid);サイクリン/CDK阻害剤;HMG補酵素レダクターゼ阻害剤(HMG co-enzyme reductase inhibitors)(スタチン);およびプロテアーゼ阻害剤が挙げられる。
【0028】
提示および説明されたものは最も実際的で好ましい実施形態であると考えられるものであるが、説明および提示された特定の設計および方法からの逸脱を当業者が思いつき、本発明の精神および範囲から逸脱することなく使用できることは明らかである。本発明は、説明および例示された特定の構築物に限定されるものではないが、添付された特許請求の範囲内に入ることができる全変更態様に矛盾しないように構成する必要がある。
【0029】
〔実施の態様〕
(1)動静脈シャントにおいて、
部材であって、この部材の一端が動脈に接続され、かつ前記部材のもう一つの端が静脈に接続された場合に、前記部材の長さにわたる圧力の低下を生じさせるように構成された内径を有する、部材、
を備えた、動静脈シャント。
(2)動静脈シャントにおいて、
先細の細長い構造体、
を備え、
前記構造体は、第1の直径を有する第1の端部、および第2の直径を有する第2の端部を有し、
前記第1の直径は、前記第2の直径よりも大きく、
前記第1の端部は、動脈と接続するように構成され、かつ前記第2の端部は、静脈と接続するように構成されている、動静脈シャント。
(3)実施態様2に記載の動静脈シャントにおいて、
前記先細の細長い構造体は、生体適合性材料を含む、動静脈シャント。
(4)実施態様3に記載の動静脈シャントにおいて、
前記生体適合性材料は、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)を含む、動静脈シャント。
(5)実施態様2に記載の動静脈シャントにおいて、
前記先細の細長い構造体の少なくとも一部に添加された、治療用量の少なくとも1種の薬剤、
をさらに含む、動静脈シャント。
【0030】
(6)実施態様3に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、抗炎症薬剤を含む、動静脈シャント。
(7)実施態様3に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、抗再狭窄剤を含む、動静脈シャント。
(8)実施態様3に記載の動静脈シャントにおいて、
前記の少なくとも1種の薬剤は、抗血栓症薬を含む、動静脈シャント。
(9)実施態様3に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、前記先細の細長い構造体の前記少なくとも一部の表面に直接添加される、動静脈シャント。
(10)実施態様3に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、ポリマー材料に組み込まれており、前記先細の細長い構造体の前記少なくとも一部に添加される、動静脈シャント。
【0031】
(11)動静脈シャントにおいて、
細長い構造体、
を備え、
前記構造体は、第1の直径を有する第1の部分、第2の直径を有する第2の部分、および前記第1の部分と第2の部分との間に位置する第3の直径を有する第3の部分を有し、
前記第1および第2の直径は、実質的に等しく、かつ前記第3の直径よりも大きく、
前記第1の部分は、動脈と接続するように構成され、かつ前記第2の部分は、静脈と接続するように構成されている、動静脈シャント。
(12)実施態様11に記載の動静脈シャントにおいて、
前記第1、第2および第3の部分が、実質的に環状の構造を備える、動静脈シャント。
(13)実施態様11に記載の動静脈シャントにおいて、
前記細長い構造体は、生体適合性材料を含む、動静脈シャント。
(14)実施態様13に記載の動静脈シャントにおいて、
前記生体適合性材料は、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)を含む、動静脈シャント。
(15)実施態様11に記載の動静脈シャントにおいて、
前記細長い構造体の少なくとも一部に添加された、治療用量の少なくとも1種の薬剤、
をさらに含む、動静脈シャント。
【0032】
(16)実施態様15に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、抗炎症薬剤を含む、動静脈シャント。
(17)実施態様15に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、抗再狭窄剤を含む、動静脈シャント。
(18)実施態様15に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、抗血栓症薬を含む、動静脈シャント。
(19)実施態様15に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、前記細長い構造体の前記少なくとも一部の表面に直接添加される、動静脈シャント。
(20)実施態様15に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、ポリマー材料に組み込まれており、前記細長い構造体の前記少なくとも一部に添加される、動静脈シャント。
【0033】
(21)動静脈シャントにおいて、
第1および第2の端部を有する細長い構造体であって、前記第1の端部は動脈に接続するように構成され、かつ、前記第2の端部は静脈に接続するように構成された、細長い構造体と、
前記細長い構造体の中に取り付けられた減圧装置であって、前記第2の端部における静圧が前記第1の端部における静圧よりも低くなるように、前記血液の静圧を前記細長い構造体中で低下させるように構成された、減圧装置と、
を含む、動静脈シャント。
(22)実施態様21に記載の動静脈シャントにおいて、
前記減圧装置は、少なくとも1つの開口部を有する実質的にディスク形の装置を含む、動静脈シャント。
(23)実施態様21に記載の動静脈シャントにおいて、
前記細長い構造体は、生体適合性材料を含む、動静脈シャント。
(24)実施態様23に記載の動静脈シャントにおいて、
前記生体適合性材料は、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)を含む、動静脈シャント。
(25)実施態様21に記載の動静脈シャントにおいて、
前記細長い構造体の少なくとも一部に添加された、治療用量の少なくとも1種の薬剤、
をさらに含む、動静脈シャント。
【0034】
(26)実施態様25に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、抗炎症薬剤を含む、動静脈シャント。
(27)実施態様25に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、抗再狭窄剤を含む、動静脈シャント。
(28)実施態様25に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、抗血栓症薬を含む、動静脈シャント。
(29)実施態様25に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、前記細長い構造体の前記少なくとも一部の表面に直接添加される、動静脈シャント。
(30)実施態様25に記載の動静脈シャントにおいて、
前記少なくとも1種の薬剤は、ポリマー材料に組み込まれており、前記細長い構造体の前記少なくとも一部に添加される、動静脈シャント。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1の例示的な本発明の動静脈グラフトの図である。
【図2】第2の例示的な本発明の動静脈グラフトの図である。
【図3】第3の例示的な本発明の動静脈グラフトの図である。
【出願人】 【識別番号】597041828
【氏名又は名称】コーディス・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Cordis Corporation
【出願日】 平成19年8月9日(2007.8.9)
【代理人】 【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延

【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭

【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音


【公開番号】 特開2008−49155(P2008−49155A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2007−208165(P2007−208165)