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【発明の名称】 薬剤吐出装置
【発明者】 【氏名】浜野 宗二

【氏名】信谷 俊行

【氏名】川原 敬祐

【氏名】杉田 賢

【要約】 【課題】喉・気管支・肺に薬剤を投与する薬剤吐出装置において、簡単な構成で薬剤が付着した気流路を清潔な状態に保つ。

【構成】吸入口を介して利用者に吸入させるための薬剤を吐出する本発明の薬剤吐出装置は前記吸入口に連結し、前記利用者の吸入により前記薬剤を吸入口へと導く気流路を形成しうる流路部材と、前記流路部材内に着脱可能に装着しうる、前記気流路の内壁を形成するための内壁面形成部材とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入口を介して利用者に吸入させるための薬剤を吐出する薬剤吐出装置であって、
前記吸入口に連結し、前記利用者の吸入により前記薬剤を吸入口へと導く気流路を形成しうる流路部材と、
前記流路部材内に着脱可能に装着しうる、前記気流路の内壁を形成するための内壁面形成部材とを有することを特徴とする薬剤吐出装置。
【請求項2】
前記流路部材内に形成された前記気流路に対して前記薬剤を吐出する薬剤吐出部を有することを特徴とする請求項1に記載の薬剤吐出装置。
【請求項3】
前記薬剤吐出部が前記内壁面形成部材と一体として構成されていることを特徴とする請求項2に記載の薬剤吐出装置。
【請求項4】
前記内壁面形成部材は、可撓性を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の薬剤吐出装置。
【請求項5】
前記内壁面形成部材は、前記流路部材内に密着しうるフィルムを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤吐出装置。
【請求項6】
前記フィルムが複数層重ねられた状態で前記流路部材内に密着することを特徴とする請求項5に記載の薬剤吐出装置。
【請求項7】
前記内壁面形成部材は、前記気流路内で折り返すことがシートを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤吐出装置。
【請求項8】
吸入口を介して利用者に吸入させるための薬剤を吐出する薬剤吐出装置であって、
前記吸入口に連結し、前記利用者の吸入により前記薬剤を吸入口へと導く気流路を形成しうる流路部材と、
前記流路部材内に形成された前記気流路に対して前記薬剤を吐出する薬剤吐出部と、
前記薬剤吐出部から吐出され、前記気流路の内壁に付着した薬剤を除去するための除去手段とを有することを特徴とする薬剤吐出装置。
【請求項9】
前記除去手段は、前記薬剤の吐出後に前記気流路の内壁を清拭するワイピング手段であることを特徴とする請求項8に記載の薬剤吐出装置。
【請求項10】
前記ワイピング手段は、前記気流路の内壁を清拭するのと共に、前記薬剤吐出部の吐出口面をもワイプすることができることを特徴とする請求項9に記載の薬剤吐出装置。
【請求項11】
前記薬剤吐出部は、前記薬剤に熱エネルギーを付与する電気熱変換素子または前記薬剤に機械エネルギーを付与する電気機械変換素子を有することを特徴とする請求項2乃至10のいずれかに記載の薬剤吐出装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に吸入させる薬剤を吐出する薬剤吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2に開示された薬剤吐出装置により、電子カルテなどの情報データベースを組み合わせて活用する利用者への処置が具現化しつつある。こうした薬剤吐出装置は、利用者のカルテ及び処方箋の情報を含む利用者個人に関する情報を格納する記憶手段を有する。また、この薬剤吐出装置は、薬剤を利用者に吸入させる吸入器を兼ね備えた携帯端末でもある。そして、前記処方箋の情報にしたがって利用者が薬剤を吸入できる様に、利用者の吸気プロファイルに応じて吸入装置を制御して薬剤を噴霧させる噴霧制御手段を有するものである。
【特許文献1】国際公開WO95/01137号公報
【特許文献2】国際公開WO02/04043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような薬剤吐出装置の内部には通常、装置内の薬剤を吐出する箇所から利用者の体内に投与されるまでに、霧化された薬剤が運ばれる通路(以下、本明細書においては「気流路」という)が存在する。この場合、吐出された薬剤の一部は気流路の内壁面に付着してしまうことが考えられる。これを放置すると、薬剤が付着した気流路内壁に雑菌が繁殖するなど、衛生的に好ましくない。すなわち、従来の薬剤吐出装置では、患者が吸入を行う都度、装置内の気流路内壁が汚れるため、気流路を形成する部材自体を取り外して洗浄するか、又は新品に交換しなければならないという未解決の課題があった。
【0004】
本発明は、上記従来の技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであり、薬剤吐出装置内の気流路の汚染に容易に対応できる薬剤吐出装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑み、本発明の薬剤吐出装置は、吸入口を介して利用者に吸入させるための薬剤を吐出する薬剤吐出装置であって、前記吸入口に連結し、前記利用者の吸入により前記薬剤を吸入口へと導く気流路を形成しうる流路部材と、前記流路部材内に着脱可能に装着しうる、前記気流路の内壁を形成するための内壁面形成部材とを有することを特徴とする。
【0006】
また、上記課題に鑑み、本発明の別の薬剤吐出装置は、吸入口を介して利用者に吸入させるための薬剤を吐出する薬剤吐出装置であって、前記吸入口に連結し、前記利用者の吸入により前記薬剤を吸入口へと導く気流路を形成しうる流路部材と、前記流路部材内に形成された前記気流路に対して前記薬剤を吐出する薬剤吐出部と、前記薬剤吐出部から吐出され、前記気流路の内壁に付着した薬剤を除去するための除去手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の薬剤吐出装置によれば、気流路内にさらに新しい内壁面を形成しうる、着脱可能な内壁面形成部材を設けたので、吸入後に利用者が該内壁面形成部材を取り外せば、容易に付着した薬剤を除去することができる。その結果、簡単な操作で気流路を清潔に保つことができる。
【0008】
また、本発明の別の薬剤吐出装置によれば、薬剤吐出装置の使用後に、気流路内に付着した薬剤を除去することが出来るので、装置内の気流路を衛生的に保つことが出来る。また、気流路を形成する部材を洗浄したり、または毎回交換する手間を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の薬剤吐出装置の一実施形態として、利用者が携帯して所持できるようにした吸入装置を例にして説明する。図1に本発明の一実施形態としての吸入装置の構成図を示す。また、図2には、図1に示した吸入装置の電気的構成を表すブロック図を示す。吸入装置は、装置本体1に対して、流路部材3及び利用者が吸入するために口または鼻などをつける吸入口(マウスピース)2が取り付けられた構成である。流路部材3の一端は、利用者が吸入口2から吸入を行うと流路部材3内に気流が形成されるように開口(空気取り入れ口4)が設けられている。流路部材3の他端は吸入口2に連結している。利用者が吸入を行うと、空気取り入れ口4から吸入口2の向きに気流が発生する。そのとき、流路部材3内の気流路に対して薬剤を吐出すると、薬剤が吸入口2の方へと運ばれ、利用者の口内に投与される。
【0010】
ここで本明細書において「流路部材」とは、薬剤吐出装置内で薬剤が吐出された箇所から吸入口までの薬剤の通り道である気流路を形成する部材を意味する。すなわち、流路部材内に形成された空間が「気流路」となる。
【0011】
しかし、気流路内に吐出された薬剤の一部は、気流路の内壁に付着したまま残ってしまうことが懸念される。流路部材3及び吸入口2を装置本体に対して、着脱可能とすれば、毎回洗浄することもできる。しかし、本吸入装置は、気流路の内壁に付着した薬剤を除去する機構を有し、流路部材3を毎回洗浄する必要がない。流路部材3を構成する材料は特に限定されず、薬剤吐出装置の仕様によって任意に選びうる。例として、ブラスチック、金属、ゴム部材などが挙げられる。なお、流路部材と吸入口とは互いに連結可能に別体として構成されていても良いし、一体的に構成されていても良い。
【0012】
図2に示す制御部8は、装置本体1内に設けられ、吐出ヘッド6aの駆動を始めとして、吸入装置全体の動作を制御するCPUである。利用者の吸入によって、気流路内に発生する負圧を検知するための圧力センサー7から、吸入を検知した信号が出力されると、それと同期して薬剤の吐出を開始するべく、制御部8は吐出ヘッド6aに駆動信号を送信する。その他、吸入装置の操作、吐出条件など任意の情報を利用者の視覚により認識させるための表示部(ディスプレイ)9を設けても良い。10は電源スイッチ、11は吸入装置の電源が入っている場合に点灯する電源表示LEDである。
【0013】
本発明において、薬剤吐出部(吐出ヘッド)は任意の吐出エネルギー発生素子を有する。吐出エネルギー発生素子としては、薬剤に熱エネルギーを付与する電気熱変換素子又は機械エネルギーを付与する電気機械変換素子を例示できる。すなわち、薬剤の吐出方法としては、電気熱変換素子を用いて薬剤に熱エネルギーを付与して吐出口から吐出させる方法(サーマルジェット方式)、薬剤に機械エネルギーを付与する電気機械変換素子(例えば圧電素子)の振動圧を用いて吐出口から薬剤を吐出する方法を例示できる。吐出方法については、薬剤の種類などに応じて選択可能である。
【0014】
サーマルジェット方式を用いた場合、個々の液体吐出ユニットについて、吐出口の口径、吐出に利用される熱パルスの熱量、電気熱変換素子としてのマイクロ・ヒーターなどのサイズ精度、再現性を高くすることが可能である。このため、狭い液滴径分布を達成することが可能である。また、ヘッドの製作コストが低く、ヘッドを頻繁に交換する必要がある小型の装置への適用性も高い。従って、薬剤吐出装置に携帯性や利便性が求められる場合には、特に、サーマルジェット式の吐出装置が好ましい。
【0015】
本発明において、吐出ヘッドは、薬剤を収容する薬剤タンクと一体として薬剤吐出カートリッジを構成していても良いし、薬剤タンクとは別体として構成されていても良い。薬剤吐出カートリッジは、図1においては後述する内壁面形成部材5と一体となっているが、一般的には装置本体1内に取り付けることが可能なように取付け部が設けられており、吐出ヘッドは気流路内に薬剤を吐出できるように、気流路内に向けられている。
【0016】
本発明に用いられる薬剤とは、薬理的、生理的な作用を示す医薬用化合物の薬剤のみならず、医薬用化合物に加えて更に、嬌味嬌臭目的の成分、香料、染料、顔料なども含まれる概念である。そして、薬剤は液体でも粉末でも構わない。
【0017】
また、本発明に用いられる薬液とは、液体の薬剤、または薬剤を含む液媒体を言う。薬液には、任意の添加剤を含んでよい。液中の薬剤の状態は、溶解、分散、乳化、懸濁、スラリーのいずれでも良く、液中に均一化されていればなお良い。
【0018】
薬剤として薬液を用いる場合、液の主媒体は水または有機物が好ましく、生体に投与されることを考慮すると水が主媒体であることが好ましい。
【0019】
本発明の特徴である、気流路内に付着した薬剤を除去する機構としては、以下のようなものが挙げられる。一つは、薬剤の吐出後に、薬剤が付着してしまった気流路の内壁面に対して新たな内壁面を形成することである。また、別の方法としては、薬剤の吐出後に、薬剤が付着してしまった気流路の内壁面を清拭するワイピング手段を設けることが挙げられる。
【0020】
気流路の内壁面は、薬剤が運ばれる気流に接するので衛生的である必要があるが、上記のような方法によれば、次回の使用時にも清潔な気流路に対して薬剤を吐出することができる。かつ、毎回流路部材3を交換ないし取り外して洗浄する必要がないので、ユーザーフレンドリーである。
【0021】
以下に、具体的な実施形態を示す。
【0022】
(実施形態1)
図1に示すように、本実施の形態による吸入装置は、装置本体1と、装置本体1に支持された流路部材3及びマウスピース2と、流路部材3内に着脱自在に嵌挿された内壁面形成部材5を有する。
【0023】
内壁面形成部材5は、流路部材3及びマウスピース2に対して着脱可能に構成され、マウスピース2は、装置本体1に対して着脱可能に構成されている。内壁面形成部材5の少なくとも一部分は可撓性のある材料で作られているため、流路部材3及びマウスピース2に対する着脱は容易である。
【0024】
ここで本明細書において「内壁面形成部材」とは、流路部材の内壁に薬剤が直接付着することを防止できる作用を有するものであればよく、特に流路部材に着脱可能に構成され、流路部材に装着された場合には気流路の内壁を形成する部材を意味する。すなわち、図1を見れば明らかなように、内壁面形成部材5を装着しない場合は流路部材3の表面の一部が「気流路の内壁」を形成するが、内壁面形成部材5を装着した場合は、本部材が気流路の内壁を形成する。なお、内壁面形成部材は流路部材の内壁面全体にわたっていることが好ましいが、汚染の程度によってはこれに限定されず、一部分でも構わない。
【0025】
このような吸入装置を用いて利用者は例えば1日3回薬剤を吸入する。そして内壁面形成部材5は、吸入毎に交換する。また、流路部材3及びマウスピース2は、例えば1日に1回交換して使用するものとする。
【0026】
内壁面形成部材5の材料は、特に限定されないが、流路部材3に着脱しやすく、また、薬剤が付着しても薬剤と化学反応を起こさない材料であることが好ましい。典型的には、プラスチック材料、ゴム材料などが考えられる。図示したような円筒形で中がくりぬかれた部材は、樹脂成形などで容易に製造可能である。
【0027】
吸入のたびに内壁面形成部材5を交換することで、毎回清潔な気流路に対して薬剤を吐出することが可能である。
【0028】
図1に示したように、薬剤吐出部としての吐出ヘッド6a及び薬剤タンク6bが、内壁面形成部材5と一体として構成されていることも好ましい。吐出ヘッド及び薬剤タンクが毎回使い捨ての場合、内壁面形成部材5の取り外しと一度で吐出ヘッド等の取り外しが可能となるからである。
【0029】
流路部材3あるいは内壁面形成部材5の内側に形成される気流路の形状は、図1においては円柱となっているが、特に限定されず、角柱などでも良い。
【0030】
図3は、吸入装置の動作を説明するフローチャートである。
【0031】
まず、利用者は、流路部材3及びマウスピース2と装置本体1を合体させる。さらに利用者は、吐出ヘッド6aと薬剤タンク6bを内蔵している内壁面形成部材5を、マウスピース2に合体させる。
【0032】
利用者によって、電源スイッチが押され(ステップS001)、電源オン状態となる(ステップS002)。電源がオンすることで電源表示LED11が点灯する。制御部8は、装置内部の初期設定を実行する(ステップS003)。その後、内壁面形成部材5が付いているか否かを電気信号によって検出する(ステップS004)。内壁面形成部材5を検出できなければ、NOと判断、ステップS007に遷移して、自動的に電源オフし、ステップS008で終了する。
【0033】
内壁面形成部材5を検出できたならYESと判断し、ステップS005に遷移する。ステップS005では、患者の吸入動作を圧力センサー7で検出する。患者の吸入動作を検出できなければ、NOとし、ステップS005に戻る。患者の吸入動作を検出できれば、YESと判断し、ステップS006に遷移する。ステップS006では、表示部9に“吐出中”を表示し、薬剤タンク6bに収容された薬液を吐出ヘッド6aから所定量吐出するように制御し、ステップS007に遷移する。ステップS007で、制御部8は装置電源をオフし、ステップS008で終了する。装置電源がオフするので、電源表示LEDは滅灯し、LCD表示部の表示も全て消える。吸入終了後、利用者は、吐出ヘッド6aと薬剤タンク6bを内蔵している内壁面形成部材5を、マウスピース2と装置本体1から外す。また、例えば1日3回の吸入後、利用者はマウスピース2を装置本体1から外して操作を終了する。
【0034】
(実施形態2)
本発明の第2の実施形態を表した吸入装置の斜視図を図4に示す。図5は、図4に示した吸入装置の断面図である。
【0035】
本実施形態では、実施形態1で示した内壁面形成部材5を薄いフィルム12に変えた。内壁面形成部材としてのフィルム12は、流路部材3の表面の一部である気流路の内壁面に密着しており、気流路の形状にほとんど影響を与えない。したがって、フィルム12を備えた気流路の場合も、そうでない場合も、吸入により発生する気流は変化せず、同様の吸入状態を実現できる。吸入後利用者が、薬剤が付着したフィルム12をはがせば、付着した薬剤を気流路から除去することができ、フィルム剥離後には新たな気流路の内壁面が形成される。
【0036】
その際、フィルム12は複数層重ねて設けておくことがより好ましい。一回の吸入で一枚のフィルムを剥がしていくことにより、流路部材3及びマウスピース2の交換回数をより少なくすることができる。
【0037】
図4に示すように、本実施形態による吸入装置は、吸入装置本体1と、当該装置本体1に支持された流路部材3と、流路部材3の内壁面に密着する、内壁面形成部材としてのフィルム12と、を有する。吐出ヘッド6aと薬剤タンク6b(合わせて薬剤吐出カートリッジを構成する)は、装置本体1内に取り付けられ、吐出ヘッド6は気流路内に薬剤を吐出できるように方向付けられている。
【0038】
流路部材3内には、利用者の吸入により気流が発生する。
【0039】
フィルム12は、図4に示されているように、ロール状になっており、流路部材3の表面の一部である気流路の内壁面に対して複数層で密着している(図4では2層を示している)。利用者がフィルムを一層ずつ剥離できるように、フィルム12には一層ごとにフィルムつまみ14が設けられている。利用者は、吸入後にフィルムつまみ14を引っ張ることで、気流路の内壁面1周分のフィルムを剥がす。このようにすれば、次回の吸入時にも清潔な気流路に薬剤を吐出することが可能である。一層ごとに剥離しやすいよう、切り込み13を入れるとより良い。
【0040】
そして、フィルムの最後が、吸入によって汚れたとき流路部材3を交換する。また、吐出ヘッド6aと薬剤タンク6bを内蔵する薬剤吐出カートリッジ6は、薬剤タンク6bに1週間分の薬液を収容しておけば、1週間に一回交換すればよい。例えば、一日3回吸入する場合には、フィルムを21層としておくと、流路部材3と薬剤吐出カートリッジ6の交換を同時に行うことできる。
【0041】
吸入装置の電気的構成や装置の操作順序などは、実施形態1と同様なので省略する。
【0042】
フィルムの張り方は特に限定されない。図4に示したように、切り込み13を介してロール状に繋がっている構成でも良いし、各層のフィルムがそれぞれ分離していても良い。また、フィルムつまみ14の位置も任意である。図4では吸入口2側に設けたが、空気取り入れ口12側に設けても良い。この場合は、フィルムつまみ14が吸入の邪魔になることがないため、好ましい形態である。
【0043】
一方、気流路の内壁面に密着しているフィルム12を吸入口2の部分まで設けることもできる。そのような実施形態の吸入装置の断面図を図6に示す。利用者が口をつける部分にもフィルム12があり、使用後にはフィルムを剥離するため、吸入口を清潔に保つことも可能となる。その場合には、フィルムの剥がしやすさの観点から、フィルムつまみは一層ごとに複数設けることが好ましい(フィルムつまみ14及び15)。
【0044】
(実施形態3)
本発明の第3の実施形態を表した吸入装置の斜視図を図7に示す。図8は、図7に示した吸入装置の断面図である。
【0045】
本実施形態では、実施形態2で示したようにフィルム12を剥離する構成ではなく、内壁面形成部材としてのシート15を吸入後に気流路内で折り返す構成である。シート15は、人間の力で容易の折り曲げることが可能な程度の軟らかさを有するプラスチックシートなどが好ましく用いられる。シート15は気流路の内壁面に密着しており、気流路の形状にほとんど影響を与えない。したがって、シート15を備えた気流路の場合も、そうでない場合も、吸入により発生する気流は変化せず、同様の吸入状態を実現できる。吸入後利用者が、シートつまみ16を上に持ち上げると、シート15は切り込み17を境に折れ曲がり、吸入時には気流路の内壁面を形成していた面同士が接するようになる。その結果、気流路内壁表面から付着した薬剤が除去され、新たな気流路の内壁面が形成される。次回吸入時に薬剤が運ばれる気流は、薬剤が付着していない清潔な内壁面に生じる。
【0046】
図9には、空気取り入れ口4方向から見た吸入装置であり、シート15を折り返した状態を示している。気流路内の対向した位置2箇所に切り込みが入っており、所定の力以上の力でシート15を持ち上げると、一気に反対側へと折れ曲がる。
【0047】
図示はしていないが、シートつまみ16は空気取り入れ口4側だけではなく、吸入口2側にも設け、両方のつまみを上に持ち上げるようにすれば、より簡単にシート15を折り返すことができる。
【0048】
切り込み17を境にして気流路内壁の上半分には接着剤18を塗っておいても良い。この場合、折り返した後に、シート15同士が接着されるので、吸入後の誤操作によりシート15が元に戻ってしまい、それに気がつかないなどの弊害が防止できる。接着剤18の材料は特に限定されないが、指などが触れても指に接着剤がついてしまわない程度の粘度であることが好ましい。また、ポリビニルアルコールを原料とした切手の裏ののりのようなものを塗っておいても良い。これは液体に接触すると接着力を生じるので、吸入前は接着力がないが、薬液の吐出を行い、シート15に薬液が付着することにより接着力が生じるので、好都合である。
【0049】
シート15は複数層として、繰り返し折り返すようにしても良い。その場合、シートごとにつまみを用意する必要がある。
【0050】
(実施形態4)
実施形態2及び実施形態3ではつまみを利用してフィルム等を剥がすないしは折り返す方法を採用したが、利用者の簡単な操作で、自動的にフィルムがはがれるような構成にしても良い。
【0051】
そのような吸入装置の一例としてフィルムをロール状に巻き取る方法を例示する。
【0052】
図10には、空気取り入れ口4の方向から見た吸入装置の断面のうち、装置本体1を除いた部分を示す。流路部材3の外側上部には巻き取り用のロール19とロール室20が設置され、流路部材3と接続されている。使用後のフィルムは気流路内からロール19へ巻き取られて行く。気流路内からロール室20へのフィルムの移動は次のように行われる。気流路内では支持板22が回転し、フィルムの移動を促す。ロール19には導入膜21があり、導入膜21は予め支持板22と接してあり、支持板22が回転することで使用済みのフィルムを移動させ、導入膜へ接合させる。ポッチ23を押すことで、ポッチ23にある爪が使用済みフィルムを積層してある状態から離型し、同ポッチによって使用済みフィルムが支持板上の導入膜へ接合される。この際に使用面フィルムが導入膜へ接合するようにフィルム端付近に接合剤を設けておくと良い。接合剤は接着性の材料でよく、また静電作用での接合でも良い。流路部材3の外周面にはポッチ23の通路を設けておく。これによりロール19を回転させて支持板22が連動して回転し、使用済みフィルムが更に連動して移動し、ロール19に巻き取られて行く。この時にブロック24によってポッチ22はフィルムから離れ、回転に従って初期位置に戻る仕組みとなっている。一連の動作を繰り返す際は前回の使用済みフィルムが次回のための導入膜となる。
【0053】
ロール19の制御は使用者自身がしてもよく、モーターなどの回転機構を設けた上で制御部を介してプログラムに基づいて自動で行われても良い。使用者が動作させる場合、ロール19に回転用のレバーを設け、レバーを回転させてロール19が回転し、上記の動作が実行される。
【0054】
巻き取る方式として流路部材3の内部で巻き取る方式を図11に例示する。
図10の場合と同様にポッチ23によって積層フィルムから使用済みフィルムを離型し、支持板22の外周に沿ってポッチ23によって使用済みフィルムを移動させる。ポッチ23の通路やブロック24などは同様に構成することで、ポッチ22は初期位置に戻る。
【0055】
これにより、使用面フィルムは支持板22の外周面に移動し、一連の動作を繰り返すと支持板22の外周面に使用済みフィルムが積層して行く。この動作についても前記と同様にモーターやギアレールなどの回転機構を設けた上で制御部を介してプログラムに基づいて自動で行われても良い。
【0056】
流路部材3の内部に巻き取る方式において、流路部材3の外周面にポッチ23を引導するためのレールやリード部材を1周半設け、且つ半周分は切り替えてスイッチバックできる複線構造としても良い。これにより、ポッチ23の移動経路は流路部材3外周の半周を往復するだけで使用面フィルムは1周分移動して新しい面に変えることができる。
【0057】
(実施形態5)
本発明の第5の実施形態を表した吸入装置の断面図を図12に示す。本実施形態の吸入装置は、流路部材3により形成された気流路の内壁面に付着した薬剤の除去手段として、流路内壁面に当接しているワイパー25を有している。ワイパー25により気流路内壁面に付着した薬剤をふき取る。ワイパー25の構成としては、薬剤を拭き取ることができれば、特に限定されない。ワイパー25には、薬剤を吸入できるような吸収体を備えても良い。また、ブレード状の構造として、別途薬剤の回収機構を設けても良い。
【0058】
なお、ワイパー25に替えて吸引ポンプを有する吸引パイプを採用しても構わない。
【0059】
ワイパー25はワイパー支持棒26によって支持されている。ワイパー支持棒26は、図12において折曲がっている部分がばね機構となっており、ワイパー25が気流路内壁面に常に当接するように、付勢されている。なお、図12においてワイパー19及びワイパー支持棒20を実線で表している状態は、流路内壁面に当接している状態であり、破線で表している状態は、図13で後述する退避位置に収納されている状態を表す。利用者の吸入が終わり、薬剤の吐出が停止すると、制御部8は、モーター支持柱28によって支持されたステッピングモーター27に動作信号を送信する。ワイパー25は、ステッピングモーター27によって気流路の内壁面を一周回転し、付着した薬剤を拭き取る。(図13には、ステッピングモーター27を含む本実施形態の吸入装置の電気的構成をブロック図で示す。)
図13は、図12の吸入装置を吸入口2側から見た図である。流路部材3及び吸入口2の一部分は、ワイパー25を収納するために一部欠けた構造となっており、そこにスライドカバー29がある。ワイパー25は、利用者が吸入を行っている間は、スライドカバー29付近の空間に収納されている(図14)。
【0060】
制御部8は、ワイパー25が図14に示したワイパー25の位置(退避位置)から、図13において左回りで気流路内壁面を清拭しながら1回転するように、ステッピングモーター27の回転を制御する。これにより、ワイパー25は、流路内壁面に付着した薬剤を拭き取り、前記退避位置に戻るように制御される。
【0061】
このように、吐出終了のたびにワイパー25が、前記回転動作を繰り返すことで気流路内壁面を清潔な状態に保つことができる。
【0062】
そして、例えば1日3回吸入した後、利用者がスライドノブ30をもち、スライドカバー29を吸入口2方向にスライドさせる。流路部材にあいた開口部からワイパー25をタオルなどで拭き取り、アルコール洗浄などを施し、清掃する。その後、スライドカバー29を元に戻す。これにより、ワイパー25を清潔な状態に戻すことができる。
【0063】
ワイパー25は、付着した薬剤を拭き取ることが目的なので、吐出ヘッド6aよりも吸入口2側を拭き取ることができるように配置されていれば良い。しかし、図12に示したように吐出ヘッド6aも拭き取ることができる長さにしておくと、気流路内壁の拭き取りと共に、吐出ヘッドの吐出口面のワイプを兼ねることができて好都合である。すなわち、ワイパー25は流路部材3内において、吐出ヘッド6aの位置から吸入口2までの長さであることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態による吸入装置を示す外観図である。
【図2】図1の吸入装置の電気的構成を説明するブロック図である。
【図3】吸入装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態による吸入装置を表す斜視図である。
【図5】図4に示した吸入装置の断面図である。
【図6】図4に示した吸入装置の変形例であり、フィルム12を吸入口2の部分まで設けた吸入装置の断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態による吸入装置を表す斜視図である。
【図8】図7に示した吸入装置の断面図である。
【図9】空気取り入れ口4方向から見た図7に示す吸入装置であり、シート15を折り返した状態である。
【図10】本発明の第4の実施形態による吸入装置における気流路付近の断面図である。
【図11】図10の変形例を示す吸入装置の断面図である。
【図12】本発明の第5の実施形態による吸入装置を表す斜視図である。
【図13】図12の吸入装置を吸入口2側から見た図である。
【図14】図13においてワイパー19の退避位置を拡大した図である。
【図15】ステッピングモーター21を含む、図12に示した吸入装置の電気的構成を説明するブロック図である。
【符号の説明】
【0065】
1 装置本体
2 マウスピース
3 流路部材
4 空気取り入れ口
5 内壁面形成部材
6 薬剤吐出カートリッジ
6a 吐出ヘッド
6b 薬剤タンク
7 圧力センサー
8 制御部
9 表示部
10 電源スイッチ
11 LED
12 フィルム
13 切り込み
14 フィルムつまみ
15 シート
16 シートつまみ
17 切り込み
18 接着剤
19 ロール
20 ロール室
21 導入膜
22 支持板
23 ポッチ
24 ブロック
25 ワイパー
26 ワイパー支持棒
27 ステッピングモーター
28 モーター支持柱
28 スライドカバー
30 スライドノブ
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【出願日】 平成19年6月6日(2007.6.6)
【代理人】 【識別番号】100090538
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 恵三

【識別番号】100096965
【弁理士】
【氏名又は名称】内尾 裕一


【公開番号】 特開2008−43732(P2008−43732A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2007−150303(P2007−150303)