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【発明の名称】 バルーンカテーテル
【発明者】 【氏名】為則 洋一

【氏名】北原 慎一郎

【氏名】古川 岳

【要約】 【課題】検査や治療のために生体内に挿入して組織の剥離を円滑に行うことができるバルーンカテーテルを提供する。

【構成】バルーンカテーテルAは、先端に膨張収縮可能なバルーン4を一体的に設けている本体シャフト1と、この本体シャフト1のルーメン11内を貫通し且つ先端部がバルーン4の先端部に一体化されてなる操作棒2と、バルーン4内において基端部が本体シャフト1の先端部に且つ先端部が操作棒2の先端部に一体化され、操作棒2の本体シャフト1に対する基端側への相対変位によってバルーン4の径方向の対向内面に圧接して圧接部分を他の部分よりも大きく膨張させる一対の拡張フレーム5、5とからなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に膨張収縮可能なバルーンを一体的に設けている本体シャフトと、この本体シャフトのルーメン内を貫通し且つ先端部が上記バルーンの先端部に一体化されてなる操作棒と、上記バルーン内において基端部が上記本体シャフトの先端部に且つ先端部が上記操作棒の先端部に一体化されていると共に上記操作棒の上記本体シャフトに対する基端側への相対変位によって上記バルーンの径方向の対向内面に圧接して圧接部分を他の部分よりも大きく膨張させる一対の拡張フレームとからなることを特徴とするバルーンカテーテル。
【請求項2】
一対の拡張フレームは細幅長方形状の平板からなり、これらの拡張フレームをその長さ方向を操作棒の長さ方向に向け且つ上記操作棒を挟んで互いに反対側に配設していることを特徴とする請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、検査や治療のために生体内に挿入して用いられ、狭窄部の拡張及びその拡張状態の維持、組織の剥離及びその剥離状態の維持、並びに、組織の持ち上げ或いはこの持ち上げ状態の維持を円滑に行なうことができるバルーンカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、カテーテルや内視鏡を用いた低侵襲治療法が広く用いられており、血管、気管、消化管などの生体腔の狭窄部の拡張や組織の剥離を行うことを目的として各種バルーンカテーテルが提案され用いられている。そして、このようなバルーンカテーテルとして、特許文献1には、バルーンのテーパ部上の至るところでテーパー部の膜厚が所定の式を満たすバルーンカテーテルが提案されている。
【0003】
しかしながら、血管、器官、消化管などの生体腔は、断面が真円形状であることは稀であり、生体腔の殆どは断面楕円形状となっている一方、上記バルーンカテーテルは、そのバルーンを偏りなく均一に膨張させることを目的としており、バルーンは、その膨張時において断面真円形状となっている。
【0004】
従って、上記バルーンカテーテルのバルーンを生体腔内において膨張させた場合、膨張状態のバルーンが生体腔にうまく馴染まないことがあり、このような場合、患者に負担をかける虞れがあるといった問題点を有していた。
【0005】
又、組織に切込みを入れ、この切込みからバルーンカテーテルのバルーンを組織内に挿入し、バルーンを膨張させ組織を持ち上げて治療を行うことがあり、このような治療の場合、組織を幅広い範囲にて持ち上げる方が治療を円滑に行いやすい。
【0006】
しかしながら、上記バルーンカテーテルでは、そのバルーンが断面真円形状に膨張することから、組織を幅広い範囲にて持ち上げるためにはバルーンを大きく膨張させなければならず、このようにバルーンを大きく膨張させると、組織の持ち上げ方向へのバルーンの膨張も大きくなってしまって組織を必要以上に持ち上げてしまい、患者に負担をかけることがある一方、患者への負担を軽減するためにバルーンの膨張を抑えると、組織を幅広い範囲にて持ち上げることができないといった問題点を生じていた。
【0007】
【特許文献1】特開平2003−144553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、検査や治療のために生体内に挿入して、狭窄部の拡張及びその拡張状態の維持、組織の剥離及びその剥離状態の維持、並びに、組織の持ち上げ或いはこの持ち上げ状態の維持を円滑に行なうことができるバルーンカテーテルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のバルーンカテーテルは、先端に膨張収縮可能なバルーンを一体的に設けている本体シャフトと、この本体シャフトのルーメン内を貫通し且つ先端部が上記バルーンの先端部に一体化されてなる操作棒と、上記バルーン内において基端部が上記本体シャフトの先端部に且つ先端部が上記操作棒の先端部に一体化されていると共に上記操作棒の上記本体シャフトに対する基端側への相対変位によって上記バルーンの径方向の対向内面に圧接して圧接部分を他の部分よりも大きく膨張させる一対の拡張フレームとからなることを特徴とする。
【0010】
そして、上記バルーンカテーテルにおいて、一対の拡張フレームは細幅長方形状の平板からなり、これらの拡張フレームをその長さ方向を操作棒の長さ方向に向け且つ上記操作棒を挟んで互いに反対側に配設していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のバルーンカテーテルは、先端に膨張収縮可能なバルーンを一体的に設けている本体シャフトと、この本体シャフトのルーメン内を貫通し且つ先端部が上記バルーンの先端部に一体化されてなる操作棒と、上記バルーン内において基端部が上記本体シャフトの先端部に且つ先端部が上記操作棒の先端部に一体化されていると共に上記操作棒の上記本体シャフトに対する基端側への相対変位によって上記バルーンの径方向の対向内面に圧接して圧接部分を他の部分よりも大きく膨張させる一対の拡張フレームとからなることを特徴とするので、バルーンを生体腔の断面形状に馴染ませた状態に膨張させることができ、患者に負担をかけることなく、血管、気管、消化管などの生体腔の狭窄部の拡張及びその拡張状態の維持や、組織の剥離及びその剥離状態の維持を円滑に行うことができる。
【0012】
しかも、組織に切込みを入れ、この切込みからバルーンカテーテルのバルーンを組織内に挿入し、バルーンを膨張させ組織を持ち上げて治療を行う場合には、組織の持ち上げ方向に直交する方向へのバルーンの膨張を大きくして組織の持ち上げ範囲を十分に確保しつつ、組織の持ち上げ方向へのバルーンの過度な膨張を抑えることができ、組織に負担をかけることなく広範囲に亘って組織の持ち上げを行って円滑な治療を進めることができる。
【0013】
そして、本発明のバルーンカテーテルは、そのバルーンの径方向の対向内面への拡張フレームの圧接及びその圧接力を操作棒の操作によって行っていることから、拡張フレームのバルーン内面への圧接度合いを精度よく調整することができ、よって、バルーンを治療や検査に適した断面楕円形状に正確に膨張させて患者に不必要な負担をかけることなく治療又は検査を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のバルーンカテーテルの一例を図面を参照しつつ説明する。バルーンカテーテルAを構成している本体シャフト1は、図1に示したように、生体腔内に円滑に挿入することができるように可撓性を有し且つ基端部での操作力を先端側に円滑に伝達できる剛性を備えた一定長さを有する円筒状体からなり、その内部には全長に亘ってルーメン11が形成されている。
【0015】
なお、本体シャフト1を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリブロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのエチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体などのポリオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、シリコーンゴム等の可撓性を有する高分子材料が挙げられ、ポリウレタン、ポリアミドが好ましい。
【0016】
そして、本体シャフト1のルーメン11内には操作棒2が本体シャフト1を貫通し且つ本体シャフト1に対して該本体シャフト1の軸芯方向に相対的に変位可能に配設されている。なお、操作棒2は、生体腔内に円滑に挿入することができるように可撓性を有し且つ基端部での操作力を先端側に円滑に伝達できる剛性を備えており、本体シャフト1を構成している上述と同様の材料で形成されている。
【0017】
更に、本体シャフト1の基端開口部はコネクタ3が気密的に着脱自在に装着されることによって閉塞され、操作棒2がコネクタ3を摺動自在にして気密的に貫通して操作棒2の基端部が外方に突出した状態に構成されており、コネクタ3から突出した操作棒2の基端部を操作部21に形成している。なお、コネクタ3には気密的に開閉自在な流体注入口31が形成されており、この流体注入口31から本体シャフト1のルーメン11を通じて後述するバルーン4内に流体を圧入することができるように構成されている。
【0018】
又、上記本体シャフト1の先端部には、図1に示したように、膨張、収縮可能なバルーン4が一体的に設けられている。具体的には、長さ方向及び直径方向に均一に伸長自在な弾性材料からなる円筒状のバルーン4がその基端開口部を本体シャフト1の先端部外周面に気密的に固着一体化され且つ先端開口部を操作棒2の先端部に形成された拡大頭部22の外周面に気密的に固着一体化されており、本体シャフト1のルーメン11の先端開口部がバルーン4内に連通した状態に形成されている。
【0019】
そして、コネクタ3の流体注入口31及び本体シャフト1のルーメン11を通じてバルーン4内に流体を供給、排出することによって、バルーン4が膨張、収縮するように構成されている。なお、上記流体としては、空気などの気体や、水、生理食塩水、ゲル状の薬剤などの液体が挙げられ、この流体をバルーン4内に供給する手段としては、従来から用いられている注射筒などの流体調整具が用いられる。
【0020】
なお、上記バルーン4を本体シャフト1の先端部外周面及び操作棒2の先端部に一体化させる方法としては、特に限定されず、熱融着による方法、接着剤を用いる方法、糸で縛る方法などが挙げられる。
【0021】
又、上記バルーン4を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、天然ゴム;シリコーンゴム;ウレタンゴム;ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなどの熱可塑性エラストマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体などのエチレン-α-オレフィン共重合体、プロピレン-α-オレフィン共重合体などのポリオレフィン系樹脂;エチレン-酢酸ビニル共重合体、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリイソプレンなどが挙げられ、生体腔内でバルーンの膨張、収縮が容易に行なえることから、天然ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴムが好ましい。
【0022】
なお、バルーン4の厚みは、薄いと、バルーン4の強度が低下する一方、厚いと、バルーンカテーテルの生体腔内への挿入性が低下するので、50〜300μmが好ましい。
【0023】
更に、バルーン4内には、図1及び図2に示したように、直状の細幅長方形状で且つ全体的に均一な厚みを有する超弾性合金製拡張フレーム5、5が一対、その長さ方向を本体シャフト1の長さ方向に指向させた状態にして操作棒2を挟んで互いに反対側の位置にそれぞれ配設されており、拡張フレーム5、5は、それらの基端部が本体シャフト1の先端開口端面に且つ先端部が操作棒2の拡大頭部22の基端面に固着一体化されている。
【0024】
そして、操作棒2の操作部21を操作して、操作棒2を本体シャフト1に対して相対的に基端側に変位させて、操作棒2の先端部を本体シャフト1の先端開口部内に引き込むと、図3及び図4に示したように、拡張フレーム5、5にその長さ方向に圧縮力が作用し、この圧縮力を受けて拡張フレーム5、5は、中央部になるにつれて外方(バルーン4側)に、即ち、操作棒2から離間する方向に向かって凸円弧状に弾性的に湾曲した状態となり、拡張フレーム5、5はこれに対向するバルーン4の内面、即ち、バルーン4の直径方向の対向内面に圧接し、この圧接部分を外方に向かって押圧することによって他の部分よりも大きく膨張するように構成されている。
【0025】
一方、上記状態から、操作棒2をその操作部21を操作して本体シャフト1に対して相対的に先端側に変位させて、操作棒2の先端部を本体シャフト1の先端開口部から押し出し、拡張フレーム5に作用している圧縮力を解除すると、図1及び図2に示したように、拡張フレーム5は、それ自身の弾性復元力によって元の直状状態に復元するように構成されている。
【0026】
次に、上記バルーンカテーテルAの使用要領について説明する。以下では、このバルーンカテーテルAを用いて血管、気管、消化管などの生体腔内の狭窄部の拡張を行う場合を例に挙げて説明する。
【0027】
先ず、図1及び図2に示したように、バルーンカテーテルAの操作棒2をその操作部21を操作して本体シャフト1に対して相対的に先端側に移動させ、操作棒2の先端部を本体シャフト1の先端開口部から押出して、拡張フレーム5、5を直状状態にし且つバルーン4もその内部に流体を供給せずに収縮した状態とする。そして、バルーンカテーテルAを生体腔内に挿入し、生体腔の狭窄部にバルーンカテーテルAの先端部を位置させる。
【0028】
次に、図3及び図4に示したように、操作棒2を本体シャフト1に対して相対的に基端側に変位させて、操作棒2の先端部を本体シャフト1の先端開口部内に引き込んで、拡張フレーム5、5にその長さ方向に圧縮力を加えて、拡張フレーム5、5をその中央部が操作棒2から離間する方向、即ち、バルーン4に近接する方向に凸円弧状に弾性的に湾曲させ、拡張フレーム5、5をバルーン4の直径方向における対向内面にそれぞれ圧接させ、バルーン4を圧接面から拡張フレーム5、5によって外方に向かって押圧して扁平な状態に変形させる。
【0029】
しかる後、上記バルーンカテーテルAのバルーン4内にコネクタ3の流体注入口31から流体を供給して、本体シャフト1のルーメン11を通じてバルーン4内に流体を圧入する。
【0030】
すると、バルーン4は、図5及び図6に示したように、流体圧によって拡張フレーム5、5の押圧方向に直交する方向に膨張し、この膨張力によって拡張フレーム5、5が互いに近接する方向に押圧されながらも、全体としては、拡張フレーム5、5によるバルーン4の押圧方向を長軸とした断面楕円形状に膨張する。
【0031】
このように、バルーンカテーテルAは、そのバルーン4が生体腔の内部形状に馴染み易い断面楕円形状に膨張するので、バルーン4によって生体腔の狭窄部を患者に負担をかけることなく円滑に拡張することができる。
【0032】
なお、上記では、操作棒2を操作して拡張フレーム5、5を凸円弧状に湾曲させた後にバルーン4内に流体を圧入した場合を説明したが、バルーン4内に流体を圧入して断面真円形状に膨張させた上で、操作棒2を操作して拡張フレーム5、5を凸円弧状に湾曲変形させてバルーン4を断面楕円形状に変形させてもよく、又、操作棒2の操作と、バルーン4内への流体の圧入とを同時に行ってもよい。
【0033】
そして、治療又は検査が終了した後は、操作棒2の操作部21を操作して操作棒2を本体シャフト1に対して相対的に先端側に変位させて拡張フレーム5、5に作用している圧縮力を解除して拡張フレーム5、5をそれ自身の弾性復元力によって直状状態に復帰させてバルーン4の内面から離脱させると共に、本体シャフト1のルーメン11及びコネクタ3の流体注入口31を通じてバルーン4内に圧入した流体を抜き取り、バルーン4を収縮させた後に生体腔内からバルーンカテーテルAを抜き取ればよい。
【0034】
上記では、長さ方向の全長に亘って一定厚みを有する拡張フレーム5について説明したが、図7に示したように、拡張フレーム5における長さ方向の中央部の操作棒2に対向した面に二条の溝部51、51を所定間隔を存して拡張フレーム5の幅方向の全長に亘って形成し、拡張フレーム5をその溝部51、51において屈曲し易くなるように構成しておいてもよい。
【0035】
又、上記では、拡張フレーム5、5が常態において直状状態となる場合を説明したが、拡張フレーム5、5を常態においてその中央部になるにつれてバルーン4方向に、即ち、操作棒2から離間する方向に凸円弧状に湾曲させておき、操作棒2の本体シャフト1に対する基端側への相対変位によって拡張フレーム5、5がバルーン4側に向かって凸円弧状に更に円滑に湾曲変形するように形成しておいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のバルーンカテーテルを示した断面図である。
【図2】拡張フレームを示した斜視図である。
【図3】本発明のバルーンカテーテルを示した断面図である。
【図4】拡張フレームを凸円弧状に湾曲させた状態を示した斜視図である。
【図5】本発明のバルーンカテーテルを示した断面図である。
【図6】バルーンを膨張させた状態を示した斜視図である。
【図7】本発明のバルーンカテーテルを示した断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 本体シャフト
2 操作棒
3 コネクタ
4 バルーン
5 拡張フレーム
11 ルーメン
21 操作部
31 流体注入口
51 溝部
A バルーンカテーテル
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成18年7月31日(2006.7.31)
【代理人】 【識別番号】100103975
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 拓也


【公開番号】 特開2008−29675(P2008−29675A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−207754(P2006−207754)