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【発明の名称】 医療的に有用なペイロードを運搬する医療用運搬システム。
【発明者】 【氏名】ロバート・バーガーマイスター

【氏名】マシュー・クレバー

【氏名】ラメシュ・ブイ・マレイ

【氏名】ダニエル・オルセン

【要約】 【課題】医療的に有用なペイロードを血管系中に通して患者の体内の関心のある部位まで運搬する運搬システムを提供する。

【構成】本発明は、医療的に有用なペイロードは、治療用器具、例えばステント(30)であってもよく、診断用ツール、例えば画像化器具であってもよい。本発明の運搬システム(10)は、その構造的属性により、医学的ペイロードを血管系に運搬しまたは血管系中を通して血管系の枝分かれ領域(即ち、分岐部)に運搬するのに好適である。また、かかる器具は、それ自体曲率を呈する案内要素、例えばガイドワイヤ上でこれに沿って血管中を移動するのに好適である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具であって、前記器具に位置付けされた医療的に有用なペイロードを患者の導管内の関心のある場所まで運搬する器具において、
患者の導管内の関心のある場所まで移動するような寸法形状になっている管腔内要素と、
前記管腔内要素の遠位端部に位置付けされた可撓性要素と、
を具備し、
前記可撓性要素は、実質的に一方向に曲がる能力を示し、
前記可撓性要素は、非直線状経路に遭遇すると、前記非直線状経路に適合した許容された前記方向に曲がる、器具。
【請求項2】
医療的に有用なペイロードを患者の導管内の関心のある場所まで運搬する器具において、
導管内の関心のある場所まで移動するような寸法形状になっている管腔内要素と、
前記管腔内要素の遠位端部に実質的に回転可能に結合された可撓性要素と、
を具備し、
前記可撓性要素は、実質的に一方向に曲がる能力を示し、
前記可撓性要素は、非直線状経路に遭遇すると、必要に応じて回転を生じて、前記非直線状経路に適合した許容された前記方向に曲がる、器具。
【請求項3】
医療的に有用なペイロードを患者の導管内の関心のある場所まで運搬する器具において、
導管内の関心のある場所まで移動するような寸法形状になっている管腔内要素と、
前記管腔内要素の遠位端部に位置付けされた可撓性要素と、
を具備し、
前記可撓性要素は、実質的に対称的な横断面を有し、
前記可撓性要素は、実質的に一方向に曲がる能力を示し、
前記可撓性要素は、非直線状経路に遭遇すると、前記非直線状経路に適合した許容された前記方向に曲がる、器具。
【請求項4】
医療的に有用なペイロードを患者の導管内の関心のある場所まで運搬する器具において、
導管内の関心のある場所まで移動するような寸法形状になっている管腔内要素と、
前記管腔内要素の遠位端部に実質的に回転可能に結合された可撓性要素と、
を具備し、
前記可撓性要素は、実質的に対称的な断面を有し、
前記可撓性要素は、実質的に一方向に曲がる能力を示し、
前記可撓性要素は、非直線状経路に遭遇すると、必要ならば回転しながら非直線状経路に適合した許容された前記方向に曲がる、器具。
【請求項5】
医療用インプラント、選択的にはステントを、患者の分岐血管まで運搬する器具において、
ガイドワイヤ入口ポートと、
前記分岐血管まで移動するような寸法形状になっている管腔内要素と、
前記管腔内要素内に位置付けされており、前記ガイドワイヤ入口ポートと連通状態にあるルーメンと、
ガイドワイヤ出口ポートと、
ガイドワイヤであって、前記ガイドワイヤ入口ポート内へ入り、前記ガイドワイヤ出口ポートから出て、前記器具を越えて遠位側に延びている、ガイドワイヤと、
前記管腔内要素の遠位端部に位置決めされた可撓性要素であって、
前記可撓性要素は、実質的に一方向に曲がる能力を示し、
前記可撓性要素は、前記可撓性要素の内部に前記ガイドワイヤを収容することができるようになっている、
可撓性要素と、
前記管腔内要素または前記可撓性要素の一部分に被せて位置付けされる医療用インプラントと、
を具備し、
前記可撓性要素は、前記患者の血管内に位置する非直線状経路に遭遇すると、前記非直線状経路に適合して曲がり、
前記曲がりは、前記可撓性要素の回転を引き起こし、これにより、前記医療用インプラントは、分岐部の部位で配備のための標的場所の方へ向けられる、器具。
【請求項6】
請求項1、2、または5記載の器具において、
前記可撓性要素は、実質的に対称的な横断面を有する、器具。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の器具において、
前記可撓性要素は、実質的に円形の横断面を有する、器具。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載の器具において、
前記可撓性要素は、前記可撓性要素の長手方向軸線を横切る方向で前記可撓性要素の大部分の周りに延びる開口部、および実質的に長手方向の領域によって画定される、複数個のセグメントを含み、
前記可撓性要素のセグメントは、一方の側で互いに結合されている、器具。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれかに記載の器具において、
前記可撓性要素は、複数個のセグメントの状態に切断された管を含み、
前記セグメントの相互間に設けられた開口部が、前記可撓性要素の周囲の大部分の周りに延び、
峡部様コネクタが、前記開口部の相互間に設けられており、前記可撓性要素の一方の側に沿って実質的に長手方向に延びている、器具。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれかに記載の器具において、
前記可撓性要素は、溶接部または他の連結手段によって互いに連結された複数個のセグメントを含む、実質的に一方向に曲がる一方向曲がり部材を備える、器具。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれかに記載の器具において、
前記曲がり要素は、管であり、
前記管は、曲げ抵抗を付与するように前記管の壁上または壁内のあらかじめ選択された領域に埋め込まれた補剛材料を有し、
少なくとも1つの領域は、相当量の剛性付与材料を備えていない、器具。
【請求項12】
請求項11記載の器具において、
前記補剛材料は、前記管の壁周囲の大部分の中に埋め込まれ、
相当量の剛性付与材料を備えていない前記少なくとも1つの領域は、前記管の壁周囲の僅かな部分である、器具。
【請求項13】
請求項11記載の器具において、
前記補剛材料は、前記管の壁周囲の僅かな部分の中に埋め込まれ、
相当量の剛性付与材料を備えていない前記少なくとも1つの領域は、前記管の壁周囲の大部分である、器具。
【請求項14】
請求項1〜5のいずれかに記載の器具において、
前記可撓性要素は、実質的に一方向に曲がる一方向曲がり部材の構成を有し、この構成は、補剛材料を前記一方向曲がり部材内に手により配置するか、または変位させることにより得られる、器具。
【請求項15】
請求項1〜5のいずれかに記載の器具において、
前記可撓性要素は、実質的に一方向に曲がる一方向曲がり部材の構成を有し、この構成は、前記一方向曲がり部材の少なくとも一部分を熱により改質することにより得られる、器具。
【請求項16】
請求項1〜5のいずれかに記載の器具において、
前記可撓性要素は、実質的に一方向に曲がる一方向曲がり部材の構成を有し、この構成は、前記一方向曲がり部材の少なくとも一部分を化学的に改質することにより得られる、器具。
【請求項17】
請求項1〜5のいずれかに記載の器具において、
前記可撓性要素は、実質的に一方向に曲がる一方向曲がり部材の構成を有し、この構成は、前記一方向曲がり部材の材料の相変化、弾性率の変化、または降伏応力の変化に電気的にばらつきを誘発させることにより得られる、器具。
【請求項18】
請求項1〜5のいずれかに記載の器具において、
前記ペイロードは、診断用ツール、超音波変換器(IVUS)、圧力変換器、赤外線センサ、および内視鏡レンズから成る群から選択される、器具。
【請求項19】
請求項1〜5のいずれかに記載の器具において、
前記ペイロードは、治療用器具、ステント、アテローム切除器具、近接照射療法源、脱出または限局性バンプバルーン、注射針、レーザ、および熱焼灼器具から成る群から選択される、器具。
【請求項20】
器具の組み合わせにおいて、
前記器具は、長さを有するワイヤ部材に被せて位置付けされる、請求項1〜4のいずれかに記載の器具であり、
前記ワイヤ部材は、前記ワイヤ部材の長さに沿うあらかじめ選択された場所に曲げ可能な区分を有する、組み合わせ。
【請求項21】
請求項5記載の運搬器具において、
前記管腔内要素は、第2のガイドワイヤを受け入れる第2のルーメン、および第2のガイドワイヤ出口ポートをさらに備える、運搬器具。
【請求項22】
請求項5記載の運搬器具において、
前記運搬器具は、
前記運搬器具の近位端部に設けられたインフレーションポートと、
前記運搬器具の遠位端部に設けられたインフレーションバルーンと、
前記管腔内要素を通るインフレーション流体通路と、
をさらに具備し、
前記インフレーション流体通路は、前記インフレーションポートおよび前記インフレーションバルーンと流体連通状態にある、運搬器具。
【請求項23】
請求項5記載の運搬器具において、
前記インプラントは、前記可撓性要素により支持される、運搬器具。
【請求項24】
請求項5記載の運搬器具において、
前記可撓性要素は、前記管腔内要素に実質的に回転可能に結合されている、運搬器具。
【請求項25】
請求項5記載の運搬器具において、
前記可撓性要素は、横断面が実質的に対称的である、運搬器具。
【請求項26】
請求項5記載の運搬器具において、
前記可撓性要素は、横断面が実質的に円形である、運搬器具。
【請求項27】
請求項5記載の運搬器具において、
前記運搬器具は、前記運搬器具の近位端部に位置付けされていて、前記運搬器具の遠位端部に位置付けされたインフレーションバルーンと流体連通状態にあるインフレーション流体ポートをさらに備える、運搬器具。
【請求項28】
患者に医療処置を施す方法において、
請求項1記載の器具を患者の体内の導管内に挿入するステップと、
前記器具を診断または治療部位まで移動させるステップと、
前記器具が前記導管内の定位置に向くことができるようにするステップと、
ペイロードを配備して前記診断または治療を行なうステップと、
前記器具を前記患者の体内から取り除くステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】【開示の内容】
【0001】
〔関連出願の参照〕
本願は、2006年1月6日に出願された現在係属中の米国仮特許出願第60/757,123号に関連している。
【0002】
〔発明の分野〕
本発明は、医療的に有用なペイロード(payload)を患者の体内の通路、例えば血管系に通して関心のある部位まで運搬する運搬システムに関する。医療的に有用なペイロードは、治療用器具、例えばステントであってもよく、診断用ツール、例えばカメラであってもよい。本発明の運搬システムは、その構造的属性により、医学的ペイロードを血管系に運搬しまたは血管系中を通して血管系の枝分かれ領域(即ち、分岐部)に運搬するのに好適である。また、かかる器具は、それ自体曲率を呈する案内要素、例えばガイドワイヤの周りに血管が来るようにを介して血管中を移動するのに好適である。
【0003】
〔発明の背景〕
血管系の疾患、例えば血管および他の体内導管中の狭窄、絞窄、または動脈瘤は、ペイロード、例えばステント、グラフト等を疾患部位のところに植え込むことにより治療できる。かかるペイロードを運搬装置により植え込み部位まで運搬することができ、かかる運搬装置は、ペイロードを運搬して配備するためのカテーテルを有している。カテーテルは、ペイロードを比較的長い距離にわたり、多くの場合、患者の鼡径部に設けられた切開部から血管系を通して行為が必要な場所まで運搬することが期待できる。例えば、患者の心臓付近の部位は、ペイロード配備の標的である場合がある。
【0004】
切開部から配備部位まで、経路は、カテーテルが通らなければならない血管の内部により定められる。血管は、通過するのが困難なセグメントを有する場合がある。血管中のカーブまたは分岐部は、かかる問題を提起する場合のある2つの特定の種類のセグメントを例示している。同様に、配備部位は、湾曲している場合があり、あるいは、分岐部が、配備部位に存在している場合がある。
【0005】
血管中の分岐部は、血管が2つの枝管または部分に分かれる場所である。血管分岐部は、一般に、周方向非対称性を有する。すなわち、枝分かれした血管は、一般に、主血管が1本または2本以上の枝管に分かれる箇所においてこれらの周囲の周りに非対称を示す。かくして、側枝血管が主枝血管に接合する側枝血管中の開口部は、非対称である場合がある。側枝血管は、斜めの角度で主枝血管に接合する場合があり、これは、分岐部の断面の非対称性に寄与する場合がある。
【0006】
先行技術の分岐部運搬器具の一形式は、多数のガイドワイヤを採用し、かつ/または臨床医が運搬器具を分岐部に対して配向し、操作するようにする。例えば、運搬器具の回転を生じさせて血管の解剖学的構造に合致させるために2本のワイヤまたはワイヤ状要素(分岐部の各枝部内に1つずつ)を用いることによってのみこれを達成する試みが行なわれた。この方式には欠点がある。第1に、(実質的に運搬全体のためには)医療器具を2本のワイヤの周りに分岐部が来るように分岐部の場所に運搬することが必要なので、ワイヤの巻き付きの恐れが大幅に増大する。これにより、運搬器具の完全な運搬が阻止され、この結果、臨床医は、ワイヤを引っ込め、そして血管中に再びワイヤを通さなければならない場合があり、それにより、相当な処置の遅延および患者に対するリスクが生じる。
【0007】
第2に、器具を配向させるために2本のワイヤを利用することは、典型的には、医療器具全体と側枝口(特に、分岐部の隆起部(carina)(または頂点)の近位側の運搬器具の部分)との完全かつ適正な整列を保証するには不十分である。分岐部の両方の枝管にワイヤを通し、医療器具を隆起部に着座させた場合でも、ワイヤは、ペイロードの長さ全体を整列するのに十分な回転作用を運搬器具に及ぼすことができない。
【0008】
いずれにせよ、血管曲率部、分岐部を通ってペイロードを運搬すること、またはペイロードをかかる場所に配備することは、配備部位を横切りまたはこれにアクセスする観点において、難題をもたらす場合がある。さらに、ペイロードが特定の向き(例えば、ペイロードの治療効果または診断目的を最高度に発揮するための向き)にあることが必要な場合、かかる曲率部または分岐部内に所望の向きを達成することは、当業者にとって更に別の難題をもたらす。
【0009】
「バイアス付きシャフトを有するカテーテル(Catheter With Biased Shaft)」と題する、米国特許第6,544,218号明細書が、関連の参照文献として挙げられる。
【0010】
〔発明の概要〕
本発明は、医療的に有用なペイロードを患者の体内の標的部位まで運搬するための可撓性カテーテルに関する。一例を挙げると、医療的に有用なペイロードは、ステントであってもよく、または、アテローム切除部材であってもよい。これらの場合、医療的に有用なペイロードは、患者の血管内の疾患部位まで運搬される。さらに別の例では、医療的に有用なペイロードは、カメラ、光源、またはこれら両方であってもよく、これらを、医学的診断を行なうことを目的とした観察が保証される部位まで運搬することもできる。本発明の一特徴では、可撓性領域は、運搬器具の遠位端部に設けられ、この可撓性領域は、優先的な曲がり方向を示す。すなわち、可撓性領域の構造は、実質的に一方向のみの曲がりを可能にする。可撓性遠位領域は、運搬器具が辿って動くことができる血管またはガイドワイヤ(湾曲セグメントを備えている場合)の形状に従って運搬器具が曲がることができる好ましい方向に湾曲するか、または曲がることができる。
【0011】
かくして、本発明の運搬器具は、医療ペイロード(例えばステント)を、湾曲および/または分岐されている血管、または別の血管形態、例えば配向された器具を配備することにより、より良好に対処される偏心的な病変部のある血管形態まで、運搬するように構成されている。すなわち、運搬器具は、分岐部、曲率部、または別の血管特徴部に対して特有な方法で配向されるか、あるいは、場合によってはガイドワイヤ内の曲がり部に応答して配向されることが望ましい状況が存在する。かかる配向は、本発明により達成できる。
【0012】
本発明の別の特徴では、好ましい曲がり方向を備えた一方向曲がり部材が、運搬器具上の遠位側に配置されおり、運搬器具に結合されていて、これにより、運搬器具の他の部分に対して一方向曲がり部材の或る程度の捩り運動を可能にする。すなわち、一方向曲がり部材は、この一方向曲がり部材を配向し、一方向曲がり部材が配置されている、運搬器具の遠位端部を血管系の形状に適合させるのに必要なだけ一方向曲がり部材が回転できるように運搬器具に取り付けられ、これにより、ペイロードが正しく配向され得るようにペイロードを配備または運搬する。
【0013】
本発明の別の特徴では、ペイロードを一方向曲がり部材と共に配置されてもよい。例えば、ステントは、一方向曲がり部材内または上に位置付けされてもよい。変形構成例では、ペイロードは、一方向曲がり部材と共には配置されないが、一方向曲がり部材の向きに応答して配向を行なうのに十分な介在構造体を介して一方向曲がり部材に結合される。
【0014】
本発明の特定の特徴では、一方向曲がり部材は、その構造的属性および/または構成により、実質的に一方向にのみ曲がることができる。この種の構造的構成は、1つのみの部材セグメント、または部材が曲がることができる中心となる側部を提供した結果として得られる。この特定の部材セグメントまたは側部は、曲がり部の内側または短い方の側部となる。
【0015】
本発明のより特定の特徴では、部材が曲がることのできる中心となる曲がり部材側部から見て反対側に位置付けされる可能性が最も高い別の曲がり部材側部は、部材セグメントが、部材が曲がる中心となる外方側部として機能することができるようにする構造的属性を備えていてもよい。この特定の部材セグメントまたは側部は、曲がり部の外側または長い方の側部となる。
【0016】
部材は、複数個のセグメントの状態に切断され、この場合、部材の一方の側に設けられた隣り合うセグメントは、互いに連結され、セグメントは、この連結部と反対側の側部では互いに連結されず、実質的に一方向のみの曲がりを示す。相互に連結された側部は、曲がり部の内側または短い方の側部であり(部材は、相互連結部を中心として曲がる)、開いた側部は、曲がり部の外側または長い方の側部である。
【0017】
上述の構成では、部材は、実質的に一方向にのみ、即ち、相互連結部を中心として曲がることができる。相互連結部は、相互連結部が曲がり部の長い方の側部に位置決めされる仕方で部材が曲がるのを阻止するほど十分剛性がある。かくして、部材は、実質的に一方向にのみ曲がることができる。理解されるべきこととして、本発明の自在の曲がり部材は、中実であってよいが、管状であってもよい。管状の構成は、製作するのが容易な場合があり、さらに、案内要素、例えばガイドワイヤに沿って動くことができまたは違ったやり方でガイドワイヤに被せて位置付けできる。かくして、或る特定の構成では、管状の一方向曲がり部材が好ましい場合がある。
【0018】
本発明の一方向曲がり部材の実質的に一方向の曲がり特性は、器具が(1)血管中の湾曲部または分岐部、(2)ガイドワイヤ中の湾曲部または曲がり部、または、(3)部材を湾曲経路内に入らせる、血管内に位置する他の偏心部、を通過する際に、器具の配向を容易にする。一方向曲がり部材が十分な回転自由度を備えている限り、かかる一方向曲がり部材は、その移動中、最も抵抗の少ない経路を取り、それにより、それ自体回転/配向して血管中の曲がり部に適合することになる。かくして、ペイロードを一方向曲がり部材に連結しまたは関連付けることにより、ペイロードの配向を一方向曲がり部材により行なわれる配向動作の結果として達成できる。
【0019】
血管系中の曲がり部または湾曲部を比較的容易に通過するよう構成されていることとは別に、自己配向式(self-orienting)一方向曲がり部材を多くの有利な仕方で使用することができる。分岐部の部位または分岐部の付近に配備されるステントは、分岐部、特に、側枝口に適合するようになった非対称的な設計特徴部を有していてもよい。かかるステントは、かかるステントを一方向曲がり部材に結合し、次に、この部材をそれ自体血管内で配向させることができるようにすることにより得ることができる結果としての正しい向きに配備されなければならない。同様に、一方向曲がり部材に結合されたカメラまたは他の診断用ツール、例えば超音波変換器(IVUS)、圧力変換器、赤外線センサ、内視鏡レンズを一方向曲がり部材の配向の結果として正しく配向させることができる。さらに、曲がり部がいわばカテーテルを通るガイドワイヤによって作られる場合、自己配向性が有用である。例えば、一方向曲がり部材は、分岐部の側枝中に通されたガイドワイヤ上でこれに沿って移動することができ、ステントを側枝内でその適正な向きで配備することができる。さらに別の例では、あらかじめ曲げられた区分を持つガイドワイヤを用いると、血管特性が配向を生じさせる性質のものではない状況においても一方向曲がり部材の配向を行なうことができる。換言すると、ガイドワイヤ中の曲がり部を所望の場所に位置付けすることにより、一方向曲がり部材は、これが曲がり部を通過する際にそれ自体配向することになる。この構成は、比較的真っ直ぐな血管セグメント内での配向を達成することが望ましい場合に有利である。いずれの場合においても、これらの構成では、配備目的のためであるにせよ他の医療的に有用な目的のためであるにせよ、ペイロードの位置付けのための一方向曲がり部材の回転が容易になる。さらに、理解されるべきこととして、本発明の一方向曲がり部材では、正しく配向されるのは、ペイロードだけではない。例えば、分岐血管の場合、側枝ガイドワイヤ出口ポートを側枝血管の口に向くよう配向することができる。換言すると、一方向曲がり部材が回転すると、側枝ガイドワイヤ出口ポートは、一方向曲がり部材の向きに応じて、側枝口に向いた側枝ガイドワイヤ要素と整列する。この構成により、運搬器具が分岐部の隆起部に着座した場合に、一方向曲がり部材が、側枝の解剖学的構造に対して正しく配向することを可能にする。また、この構成により、側枝ガイドワイヤを運搬カテーテルから出して側枝中に前進させるのが容易になる。
【0020】
運搬器具の可撓性部分を多くの他の仕方で構成することができる。例えば、一方向曲がり部材の周囲に沿って所望の場所の可撓性を高めるために、材料の方向性の機械的特性を操ることができる。変形例として、運搬器具の周方向周りに材料特性を分布させ、それにより、好ましい曲がり方向を生じさせてもよい。曲がり部の優先的方向の融通性を生じさせるために、構造の幾何学的形状もまた変更可能である。本発明の詳細な説明において説明されるように、運搬器具のコンポーネントに関して好ましい曲がり方向、特に1方向の曲がり方向を達成するのに多くのやり方が存在する。
【0021】
化学的手段、電気的/熱的手段、または機械的手段を、一方向曲がり部材の剛性を変えるために用いることができ、これにより、一方向曲がり部材を横方向に変位させることができ、その結果、好ましい曲がり配向状態が得られるようになる。例えば、一方向曲がり部材には、一方向曲がり部材内に補剛材料を手により配置するか、または変位させることにより、実質的に一方向に曲がる一方向曲がり部が設けられていてもよい。一方向曲がり部は、一方向曲がり部材の少なくとも一部分を熱的に改質することにより実現してもよい。一方向曲がり部は、一方向曲がり部材の少なくとも一部分を化学的に改質することにより実現してもよい。一方向曲がり部は、一方向曲がり部材の材料の相変化、弾性率の変化、または降伏応力の変化に電気的にばらつきを誘発させることにより実現してもよい。
【0022】
〔発明の詳細な説明〕
図1および図2は、分岐部を治療するのに適した種類のカテーテル10を示しており、ペイロードは、バルーン拡張型ステントである。カテーテル10は、インフレート可能なバルーンを有し、従って、バルーン拡張型ステントの配備に有用である。ただし、理解されるべきこととして、本明細書において説明する運搬システムを自己拡張型ステントに用いることができ、この場合、インフレーションバルーンおよびインフレーション流体を運搬するルーメンは不要である(注目されるべきこととして、ペイロードが自己拡張型ステント、例えば、ニチノール材料で作られたステントである場合、運搬器具は、ステントに被せて配置される外側拘束シースを必要とする)。カテーテル10は、主要構成要素として、近位端部12、遠位端部13を備えた細長いカテーテルシャフト11を有している。少なくとも1つのガイドワイヤルーメン14が、ガイドワイヤを受け入れて通すよう構成されている。なお、第2のガイドワイヤルーメン18が、図示されている。カテーテルシャフト11の近位端部に設けられたインフレーションポート20が、外部源からインフレーション流体を受け入れる開口部を有している。インフレーションポートは、シャフト11内に設けられた開放した環状空間16と流体連通状態にある。ガイドワイヤ入口ポート25が、運搬器具の近位端部に見受けられ、かかるガイドワイヤ入口ポートは、以下に説明するガイドワイヤルーメン14または18と連通状態にあってよい。RXガイドワイヤルーメンポート19が、図1に示すように近位端部12と遠位端部13との間に設けられている。RXガイドワイヤルーメンポート19は、ガイドワイヤルーメン14または18のうちの他方と連通状態にある。
【0023】
図1の実施形態では、シャフト11は、典型的には、環状空間16内に存在する少なくとも1つのガイドワイヤルーメン14および場合によっては第2のガイドワイヤルーメン18を備えた状態で押出成形されまたは別の方法で形成された多ルーメンシャフト(multiple-lumen shaft)である。環状空間は、その外部がシャフト11の壁により密封され、従って、バルーンインフレーション流体を移送する導管としての役目を果たす。この場合、運搬器具が分岐部の部位のところへのステントの運搬を意図している場合、少なくとも2本のガイドワイヤ32,33を受け入れてこれを通すことができるカテーテルを採用することが、絶対に必要であるというわけではないが、有利である。カテーテルシャフトは、主枝ガイドワイヤおよび側枝ガイドワイヤのためのルーメン、例えば、それぞれ符号14,18で示されたルーメンを備えている。
【0024】
環状空間16の遠位端部は、ガイドワイヤルーメン14,18の遠位端部の近位側に位置している。インフレート可能なバルーン17が、カテーテルシャフト11の遠位区分に設けられ、シャフト11に固定され、密着された近位端部および遠位端部を有している。バルーンの近位端部に設けられた開口部は、インフレーション流体が外部源からインフレーションポート20を通り、環状空間16を通ってバルーン17内に流れる際にバルーンがインフレーション流体を受け入れてこれを保持することができるよう環状空間16と流体連通状態にある。ステント30が、バルーン17に被せて取り付けられている。これについては図3を参照されたい。また、側枝ガイドワイヤ32が図示されており、ペイロードが側枝ガイドワイヤに追随し、かくして、ペイロード配備が分岐血管の側枝口に隣接して行なわれることが示されている。このことは、いかなる意味においても本発明の範囲を制限しようとするものではない。というのは、ペイロードは、主枝ガイドワイヤを辿って動くものとして示されており、即ち、分岐部の主枝内に配備されるようになっているからである。
【0025】
一方向曲がり部材50が、カテーテル10の遠位端部に設けられている。一方向曲がり部材50は、シャフト11の遠位端部に取り付けられている。特定の構成例では、シャフト11の近位端部は、カテーテルの一方向曲がり部材部分が運搬器具を配向させるのに必要な回転を行なうことができるほど十分に高い捩り撓み性を示す材料で作られている。一方向曲がり部材50の近位側の領域でシャフトを構成するためにエラストマー材料を採用することは、この結果を得る一手法である。他の構成例では、シャフト11の寸法は、一方向曲がり部材がカテーテルに接合する領域に捩り撓み性を与えるために様々であってよい。例えば、シャフト11の壁厚は、シャフト11が一方向曲がり部材50に接合する場所の近位側の領域では減少していてもよく、または、変形例として、この領域ではシャフト11の直径が減少していてもよい。さらに別の構成例では、一方向曲がり部材は、ガイドワイヤルーメン14または18のうちの一方の端部に突き合わせ溶接される。
【0026】
主枝ガイドワイヤおよび側枝ガイドワイヤのための出口ポート27,29が、側枝ガイドワイヤ(図示せず)のための変位ペイロードのほぼ中間部分および主枝ガイドワイヤのためのカテーテル先端部(35)に設けられている。
【0027】
図4に示すように、一方向曲がり部材50は、主枝ガイドワイヤ33と同軸に配置されている、即ち、ガイドワイヤは、一方向曲がり部材50内に同軸に配置されている。一方向曲がり部材50は、バルーン17内を延び、一方向曲がり部材50の長さの一部分についてはバルーン17(図1)と同一の場所に設けられており、ステント30は、バルーンおよび一方向曲がり部材部分に被せられた状態で支持されている。一方向曲がり部材50の一部分は、運搬器具およびペイロードを配備のために差し向けるためにペイロードの十分に遠位側にまで延びている。一方向曲がり部材は、バルーンに配置されているが、配備を制限するほどバルーンの周りに完全に配置されているわけではない。
【0028】
図5〜図10は、本発明に用いるのに適した一方向曲がり部材50の特定の実施形態を示しており、この一方向曲がり部材は、その名称によって示唆されるように、実質的に一方向に曲がる。一方向曲がり部材50は、実質的に対称的であり、図示のようにより具体的には、その断面が実質的に円形である。本明細書で用いる「実質的に対称的」という表現は、全体として一様な材料の場所(即ち、部材がその周囲沿いに切断されている場所ではない場所、または換言すると、図5Cの線H−Hが存在している場所で見た場合)における一方向曲がり部材50の断面を意味し、また、(1)部材が実質的に等しい側長さを有するか、または(2)部材が実質的に等しい直径または半径を有するか、または(3)部材が円または正方形内に嵌まるよう寸法決めされており、これにより、部材の外周部の最も外側の部分の全てのところで、一方向曲がり部材は、円または正方形の壁に接触するようになっている、非曲げ状態の一方向曲がり部材50の断面を意味する。(3)のかかる例は、形状が五つ星または六つ星の部材のものであり、この部材は、点(即ち、外周部)が全て、円またはボックスの壁に実質的に接触し、実質的に壁を越えて延びることも、実質的に壁に達しないこともない状態でボックスまたは円内に嵌まる。
【0029】
さらに、上述の条件下において、「実質的に対称的」という用語は、米国特許第6,544,218号明細書に開示されているような大小の横方向を示す部材を排除している。
【0030】
一方向曲がり部材50は、その長さに沿って互いに連結されているが、レーザまたは産業上の適用性を有する他の好適な切断装置によって、複数の連結されたセグメントに分割されており、かかる装置は、切れ目を作り、これらの切れ目は、これらの切れ目の間にセグメントを画定する。図5〜図10に示すように、これらセグメントは、ほぼ同一長さのものである。ただし、理解されるべきこととして、様々な長さのセグメントを有する一方向曲がり部材を作ることができ、また、理解されるべきこととして、独特な曲がり特性は、セグメントを様々な長さに切断した結果として得られる。
【0031】
部材セグメントは、部材をこの部材の周囲の周りの幾つかの場所で切断することにより分割されている。周方向の切れ目(図では52により代表的に示されている)は、各セグメント54を画定している。図示の実施形態では、切れ目は、部材の周囲の一部分の周りに延び、本発明の特定の特徴では、切れ目は、部材の周囲の大部分、例えば、周囲の約300°にわたって延びる。非切断部分または中実部材部分が、各切れ目の終端53の相互間に存在している。この構成は、図5A、図5B、および図5Cに見ることができる。図5AのD−D線矢視断面図である図5Bでは、州方向切れ目が作られており、この図5Bは、部材50のセグメントを長手方向に連結するコネクタまたは連結部分57を示している。図5AのH−H線矢視断面図である図5Cは、第2の切れ目55によってのみ途切れている実質的に中実の管の構成を示している。すなわち、第2の切れ目55は、各周方向に延びる切れ目52の終端のところで部材軸線の長手方向に軸方向に延びている。図示のように、各周方向に延びる切れ目52について1対の第2の軸方向に延びる切れ目55が設けられている。切れ目相互間の中実部材部分は、峡部様コネクタ57として特徴付けることができる。この峡部様コネクタ57は、部材の端から端までの部材相互連結状態を維持する。
【0032】
図7〜図10に具体的に示されているように、管は、峡部様コネクタ57の周りで撓むか、または曲がり、これにより、かかるコネクタを曲がり部の内側または短い方の側部上に位置決めする。同様に、周方向切れ目52は、曲がり部の外側または長い方の側部での曲がる間に開く。また、曲がる間には、長手方向に延びる切れ目55は、図9に示すように僅かに開き、終端53のところの応力を除去する。図10では、ガイドワイヤ(符号は付けられていない)が、一方向曲がり部材を貫通した状態で切れ目52の開口部を通して見ることができる。加うるに、長手方向に延びる切れ目は、管が所望の方向とは逆に曲がる傾向を減少させる。すなわち、長手方向に延びる切れ目は、管に十分な可撓性を与えるのに必要な周方向切れ目の数を減少させる。かくして、周方向切れ目の数の減少は、切れ目により形成される多くの隙間の閉鎖に起因して、逆の曲がりが管に生じる可能性を減少させることができる。
【0033】
上述の構成例では、曲がり部材は、一方向にのみ、即ち、相互連結部周りの一方向にのみ曲がることができる。また、コネクタ57は、管が曲がって、相互連結部が不都合にも曲がり部の長い方の側部上に位置するようになるのを阻止するのに十分に剛性がある。
【0034】
一方向曲がり部材50が曲がる仕方は、運搬器具が(1)血管内の湾曲部または分岐部、(2)ガイドワイヤ内の湾曲部または曲がり部、または(3)管が湾曲経路内に入ることを強いる、血管内に位置する他の偏心部を通過する際の運搬器具の配向を容易にする。一方向曲がり部材が十分な回転自由度を備えている限り、一方向曲がり部材は、血管を通過する際に、最も抵抗の少ない経路を取り、これにより、一方向曲がり部材自体を回転/配向させて、曲がり部(bend)を一方向曲がり部材の経路に適合させることになる。
【0035】
変形例として、図5〜図10に示す実施形態の管は、管の実質的に全長にわたって延びる長手方向切れ目を備えていてもよい。長手方向切れ目またはスロットは、管に存在する必要はなく、かくして、本発明にとって必要ではないが、長手方向スロットが設けられていることにより、管が周方向に切断される程度および必要な周方向切れ目の数が減少する。かくして、長手方向切れ目を設けた結果として、生産効率を向上させることができる。
【0036】
別の実施形態としての一方向曲がり部材では、管を図11に示すように螺旋コイルの溶接セグメントから形成することにより、レーザ切断管に類似した構成を得ることができる。すなわち、管50′は、コイル状リボンに類似して螺旋に切断され、螺旋切れ目90相互の間の空間は、管の一方の側部に設けられた1つの連続した軸方向に延びるセグメントに施されたはんだ等(符号95で示されている)により溶接閉鎖される。溶接部は、螺旋の隣り合うターンを互いに連結する。上述の構成の場合と同様、管は、溶接部の周りに撓みまたは曲がり、それにより、かかる連結部を曲がり部の内側に沿って位置決めする。管の外側は、管の周囲に巻き付いた螺旋切れ目に沿って開く。
【0037】
本発明の特定の一特徴では、セグメントは、互いに溶接されたばねセグメントから形成される。
【0038】
さらに別の構成では、一方向曲がり部材は、切れ目およびコネクタが設けられている必要はなく、その代わりに、好ましい曲がり方向が得られるよう構成されたコンポーネントを管壁内に埋め込むことにより一方向撓み機能が与えられた非セグメント状管で構成されてもよい。変形例として、このコンポーネントは、好ましい曲がり方向をもたらすために管の表面上に位置付けされてもよい。例えば、図12に示すように、繊維状材料60は、管の周囲および長さの少なくとも一部にわたり管の壁内に埋め込まれていてもよい。管は、埋め込まれる繊維状材料が剛性を付与する材料である場合、かかる繊維が埋め込まれた領域ではより高い剛性を示すことになる。かかる剛性付与材料60は、金属ワイヤのアレイであってもよく、それにより、繊維の軸線を横切って延びる方向の曲げに抵抗する。これとは逆に、繊維が設けられていない領域62または比較的少ない数の繊維のみが設けられている領域63(図13参照)では、管は、かかる領域において管を横切って曲がる傾向を示すことになる。理解されるべきこととして、剛性を付与する繊維の密度が比較的高い場合、より高い剛性がその領域では示される。図13に示す更に別の構成では、繊維は、管の壁内にその周囲に沿って埋め込まれるが、かかる繊維の密度は、周囲に沿って変化し、従って、管の他のセグメントよりも低い繊維密度を有する、管周囲のセグメントは、撓み傾向を示すようになっている。より低い繊維密度を有するかかるセグメントのうちの少なくとも2つが互いに管を横切って整列された場合、管は、より低い繊維密度を有する領域にわたって曲がって撓む優先性を示すことになろう。
【0039】
図14A〜図14Fは、一方向曲がり部材の追加の実施形態を示している。図14Aでは、一方向曲がり部材は、周囲の残部に対して高い軸線方向の剛性を有する単一の領域を備えている。図14Bでは、管は、周囲の残部に対して低い軸線方向の剛性を有する単一の領域を備えている。図14Cは、高い軸線方向の剛性を有する領域が互いに180°の間隔を置いて位置付けされている管を示している。図14Dは、高い軸線方向の剛性を有する領域と、低い軸線方向の剛性を有する領域とが、90°の向きで交互に位置している管を示している。図14Eは、低い軸線方向の剛性を有する領域が互いに180°の間隔を置いて位置付けされた管を示している。図14Fは、管の周囲に沿って進むにつれて軸線方向の剛性が高から低へ(またはその逆の状態に)変化する管を示している。
【0040】
図15に示すさらに別の例示の実施形態では、一方向曲がり部材50は、シャフト11′を設けることにより好ましい方向に曲がるよう構成されていてもよく、この場合、内部ルーメン14′,18′および内部ルーメン140′,180′をシャフト11′の壁160′内に位置付けし、構成することにより優先的な曲がり方向が作られ、これにより、外側管の好ましい曲がり方向が提供される。例えば、ルーメンは、所望の方向に可撓性をもたらすよう外側管の内周部に沿って設けられてもよい。かかる管が剛性を提供する場合、一方向曲がり部材は、内側管を介した曲がりが妨げられる。しかしながら、内周部に沿った場所から内側管を選択的に省くことは、その場所を介した曲がりの妨げを取り除き、これにより、管が曲がることができる好ましい方向を作りだす。
【0041】
また、一方向曲がり部材の剛性を変えるために化学的手段、電気的手段、または機械的手段が用いられてもよく、これにより、一方向曲がり部材を横方向に変位させることができ、その結果、好ましい曲がり配向が得られる。好ましい曲がり方向および向きを得るために、材料の相変化、弾性率の変化、または降伏応力の変化を管に電気的に誘発させることができる。同様に、運搬器具に軸線方向シフトまたは変位をもたらすコンポーネントが一方向曲がり部材の構成に設けられていてもよい。
【0042】
図16は、主枝曲がり部および主枝曲がり部の外側で分かれた側枝を有する血管の解剖学的構造を示している。図17は、主枝曲がり部および主枝曲がり部の内側で分かれた側枝を有する血管の解剖学的構造を示している。理解されるべきこととして、図5〜図15の一方向曲がり部材の実施形態を利用した請求項1に記載の器具は、ペイロード、例えばステントを種々の枝構造、例えば上に示した枝構造に配備することができる。すなわち、一方向曲がり部材を管の回転により配向させ、側枝が血管内の曲がり部の内側に位置付けされているか、または外側に位置付けされているかとは無関係に、側枝口に向けて(または、側枝口に対して正しく配向された状態で)ペイロードを配備することができる。
【0043】
具体的に言えば、図4に示すように、ペイロードを分岐血管の主枝に運搬するのに好適な構成が示されている。この場合、一方向曲がり部材50は、主枝ガイドワイヤ33と一方向曲がり部材50の両方が、バルーン17(このバルーンは、ガイドワイヤのための適当なルーメンを備えている)を貫通した状態で、主枝ガイドワイヤ33に被せて支持される。さらに、ステント30は、これらコンポーネントに被せて支持される。ステント30のほぼ中点のところで、側枝ガイドワイヤ32は、側枝ガイドワイヤ出口ポート29から出て、ステント30の側壁を貫通し、そして分岐血管の側枝内に延びている。
【0044】
カテーテルは、カテーテルの遠位端部に設けられた一方向曲がり部材が血管曲がり部を通過する際に曲がって回転する(必要に応じて)場合、正しく配向できる。運搬器具は、一方向曲がり部材が回転すると、それ自体、ステントと共に、主枝および側枝口に向くよう配向された側枝ガイドワイヤ出口ポート内に配備可能に構成され、従って、側枝ガイドワイヤを側枝内に通すことができるようになっている。
【0045】
図4および図5〜図10の実施形態に関する図面に示すように、Aは、一方向曲がり部材50が例えば連結部57により互いに連結されているかかる部材の場所を示している。Bは、一方向曲がり部材50が開いている(即ち、上述の要素52)場所を示している。かくして、運搬器具のこの特定の向きでは、図4では、部材50の近位端部が紙面から出ていることに留意して、部材50は、側枝ガイドワイヤが図15に示すように曲がり部の外側の側枝内に延びるよう位置付けされた状態で、右側に曲がることになる。
【0046】
図4Aは、図4の構成とは本質的に逆の構成を示しており、この構成では、管は、連結側部Aが図の左側に位置し、開放側部Bが図の右側に位置した状態で配向されている。運搬器具のこの特定の向きでは、部材50の近位端部が紙面から出た状態で、部材は、側枝ガイドワイヤが図16に示すように曲がり部の内側の側枝内に延びるよう位置付けされた状態で、左側に曲がることになる。
【0047】
さらに、側枝内の植え込みは、運搬器具の融通性(versatility)に基づき同様に達成できることが容易に理解できる。例えば、図4Bに示すように、主枝ガイドワイヤ33を可撓性管50(この管は、ペイロードの外部に位置決めされている)中に通すことにより、バルーン17および側枝ガイドワイヤ32がペイロード(ステント)30内に位置した状態で、可撓性管が血管内の曲がり部を通過する際に可撓性管が運搬器具の遠位端部を回転させることができるようにすることにより、運搬器具を正しく配向させることができる。この構成では、ステントを側枝の口の中に入れ、次に側枝内に配備できる。
【0048】
本発明は、多くの点で、例示に過ぎないことは理解されよう。本発明の範囲から逸脱することなく、種々の部分の細部、特に、形状、寸法、材質、および配置に関する変更を行なうことができる。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められる。
【0049】
〔実施の態様〕
本発明の具体的な実施態様は、次の通りである。
(1)器具であって、前記器具に位置付けされた医療的に有用なペイロードを患者の導管内の関心のある場所まで運搬する器具において、
患者の導管内の関心のある場所まで移動するような寸法形状になっている管腔内要素と、
前記管腔内要素の遠位端部に位置付けされた可撓性要素と、
を具備し、
前記可撓性要素は、実質的に一方向に曲がる能力を示し、
前記可撓性要素は、非直線状経路に遭遇すると、前記非直線状経路に適合した許容された前記方向に曲がる、器具。
(2)医療的に有用なペイロードを患者の導管内の関心のある場所まで運搬する器具において、
導管内の関心のある場所まで移動するような寸法形状になっている管腔内要素と、
前記管腔内要素の遠位端部に実質的に回転可能に結合された可撓性要素と、
を具備し、
前記可撓性要素は、実質的に一方向に曲がる能力を示し、
前記可撓性要素は、非直線状経路に遭遇すると、必要に応じて回転を生じて、前記非直線状経路に適合した許容された前記方向に曲がる、器具。
(3)医療的に有用なペイロードを患者の導管内の関心のある場所まで運搬する器具において、
導管内の関心のある場所まで移動するような寸法形状になっている管腔内要素と、
前記管腔内要素の遠位端部に位置付けされた可撓性要素と、
を具備し、
前記可撓性要素は、実質的に対称的な断面を有し、
前記可撓性要素は、実質的に一方向に曲がる能力を示し、
前記可撓性要素は、非直線状経路に遭遇すると、前記非直線状経路に適合した許容された前記方向に曲がる、器具。
(4)医療的に有用なペイロードを患者の導管内の関心のある場所まで運搬する器具において、
導管内の関心のある場所まで移動するような寸法形状になっている管腔内要素と、
前記管腔内要素の遠位端部に実質的に回転可能に結合された可撓性要素と、
を具備し、
前記可撓性要素は、実質的に対称的な断面を有し、
前記可撓性要素は、実質的に一方向に曲がる能力を示し、
前記可撓性要素は、非直線状経路に遭遇すると、必要ならば回転しながら非直線状経路に適合した許容された前記方向に曲がる、器具。
(5)医療用インプラント、選択的にはステントを、患者の分岐血管まで運搬する器具において、
ガイドワイヤ入口ポートと、
前記分岐血管まで移動するような寸法形状になっている管腔内要素と、
前記管腔内要素内に位置付けされており、前記ガイドワイヤ入口ポートと連通状態にあるルーメンと、
ガイドワイヤ出口ポートと、
ガイドワイヤであって、前記ガイドワイヤ入口ポート内へ入り、前記ガイドワイヤ出口ポートから出て、前記器具を越えて遠位側に延びている、ガイドワイヤと、
前記管腔内要素の遠位端部に位置決めされた可撓性要素であって、
前記可撓性要素は、実質的に一方向に曲がる能力を示し、
前記可撓性要素は、前記可撓性要素の内部に前記ガイドワイヤを収容することができるようになっている、
可撓性要素と、
前記管腔内要素または前記可撓性要素の一部分に被せて位置付けされる医療用インプラントと、
を具備し、
前記可撓性要素は、前記患者の血管内に位置する非直線状経路に遭遇すると、前記非直線状経路に適合して曲がり、
前記曲がりは、前記可撓性要素の回転を引き起こし、これにより、前記医療用インプラントは、分岐部の部位で配備のための標的場所の方へ向けられる、器具。
【0050】
(6)実施態様(1)、(2)、または(5)記載の器具において、
前記可撓性要素は、実質的に対称的な横断面を有する、器具。
(7)実施態様(1)〜(5)のいずれかに記載の器具において、
前記可撓性要素は、実質的に円形の横断面を有する、器具。
(8)実施態様(1)〜(4)のいずれかに記載の器具において、
前記可撓性要素は、前記可撓性要素の長手方向軸線を横切る方向で前記可撓性要素の大部分の周りに延びる開口部、および実質的に長手方向の領域によって画定される、複数個のセグメントを含み、
前記可撓性要素のセグメントは、一方の側で互いに連結されている、器具。
(9)実施態様(1)〜(5)のいずれかに記載の器具において、
前記可撓性要素は、複数個のセグメントの状態に切断された管を含み、
前記セグメントの相互間に設けられた開口部が、前記可撓性要素の周囲の大部分の周りに延び、
峡部様コネクタが、前記開口部の相互間に設けられており、前記可撓性要素の一方の側に沿って実質的に長手方向に延びている、器具。
(10)実施態様(1)〜(5)のいずれかに記載の器具において、
前記可撓性要素は、溶接部または他の連結手段によって互いに連結された複数個のセグメントを含む、実質的に一方向に曲がる一方向曲がり部材を備える、器具。
(11)実施態様(1)〜(5)のいずれかに記載の器具において、
前記曲がり要素は、管であり、
前記管は、曲げ抵抗を付与するように前記管の壁上または壁内のあらかじめ選択された領域に埋め込まれた補剛材料を有し、
少なくとも1つの領域は、相当量の剛性付与材料を備えていない、器具。
(12)実施態様(11)記載の器具において、
前記補剛材料は、前記管の壁周囲の大部分の中に埋め込まれ、
相当量の剛性付与材料を備えていない前記少なくとも1つの領域は、前記管の壁周囲の僅かな部分である、器具。
(13)実施態様(11)記載の器具において、
前記補剛材料は、前記管の壁周囲の僅かな部分の中に埋め込まれ、
相当量の剛性付与材料を備えていない前記少なくとも1つの領域は、前記管の壁周囲の大部分である、器具。
(14)実施態様(1)〜(5)のいずれかに記載の器具において、
前記可撓性要素は、実質的に一方向に曲がる一方向曲がり部材の構成を有し、この構成は、補剛材料を前記一方向曲がり部材内に手により配置するか、または変位させることにより得られる、器具。
【0051】
(15)実施態様(1)〜(5)のいずれかに記載の器具において、
前記可撓性要素は、実質的に一方向に曲がる一方向曲がり部材の構成を有し、この構成は、前記一方向曲がり部材の少なくとも一部分を熱により改質することにより得られる、器具。
(16)実施態様(1)〜(5)のいずれかに記載の器具において、
前記可撓性要素は、実質的に一方向に曲がる一方向曲がり部材の構成を有し、この構成は、前記一方向曲がり部材の少なくとも一部分を化学的に改質することにより得られる、器具。
(17)実施態様(1)〜(5)のうちいずれかに記載の器具において、
前記可撓性要素は、実質的に一方向に曲がる一方向曲がり部材の構成を有し、この構成は、前記一方向曲がり部材の材料の相変化、弾性率の変化、または降伏応力の変化に電気的にばらつきを誘発させることにより得られる、器具。
(18)実施態様(1)〜(5)のいずれかに記載の器具において、
前記ペイロードは、診断用ツール、超音波変換器(IVUS)、圧力変換器、赤外線センサ、および内視鏡レンズから成る群から選択される、器具。
(19)実施態様(1)〜(5)のいずれかに記載の器具において、
前記ペイロードは、治療用器具、ステント、アテローム切除器具、近接照射療法源、脱出または限局性バンプバルーン(herniated or focal bump balloon)、注射針、レーザ、および熱焼灼器具から成る群から選択される、器具。
【0052】
(20)器具に組み合わせにおいて、
前記器具は、長さを有するワイヤ部材に被せて位置付けされる、実施態様(1)〜(4)のいずれかに記載の器具であり、
前記ワイヤ部材は、前記ワイヤ部材の長さに沿うあらかじめ選択された場所に曲げ可能な区分を有する、組み合わせ。
(21)実施態様(5)記載の運搬器具において、
前記管腔内要素は、第2のガイドワイヤを受け入れる第2のルーメン、および第2のガイドワイヤ出口ポートをさらに備える、運搬器具。
(22)実施態様(5)記載の運搬器具において、
前記運搬器具は、
前記運搬器具の近位端部に設けられたインフレーションポートと、
前記運搬器具の遠位端部に設けられたインフレーションバルーンと、
前記管腔内要素を通るインフレーション流体通路と、
をさらに具備し、
前記インフレーション流体通路は、前記インフレーションポートおよび前記インフレーションバルーンと流体連通状態にある、運搬器具。
(23)実施態様(5)記載の運搬器具において、
前記インプラントは、前記可撓性要素により支持される、運搬器具。
(24)実施態様(5)記載の運搬器具において、
前記可撓性要素は、前記管腔内要素に実質的に回転可能に結合されている、運搬器具。
(25)実施態様(5)記載の運搬器具において、
前記可撓性要素は、横断面が実質的に対称的である、運搬器具。
(26)実施態様(5)記載の運搬器具において、
前記可撓性要素は、横断面が実質的に円形である、運搬器具。
(27)実施態様(5)記載の運搬器具において、
前記運搬器具は、前記運搬器具の近位端部に位置付けされていて、前記運搬器具の遠位端部に位置付けされたインフレーションバルーンと流体連通状態にあるインフレーション流体ポートをさらに備える、運搬器具。
【0053】
(28)患者に医療処置を施す方法において、
実施態様1記載の器具を患者の体内の導管内に挿入するステップと、
前記器具を診断または治療部位まで移動させるステップと、
前記器具が前記導管内の定位置に向くことができるようにするステップと、
ペイロードを配備して前記診断または治療を行なうステップと、
前記器具を前記患者の体内から取り除くステップと、
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の器具の斜視図である。
【図2】本発明の一特徴の断面図である。
【図3】本発明の別の特徴の断面図である。
【図4】本発明の別の特徴の断面図である。
【図4A】本発明の別の特徴の断面図である。
【図4B】本発明の別の特徴の断面図である。
【図5】本発明の一方向曲がり部材の実施形態の斜視図である。
【図5A】図5に示す一方向曲がり部材の平面図である。
【図5B】図5AのD−D線矢視断面図である。
【図5C】図5AのH−H線矢視断面図である。
【図6】図5に示す実施形態の詳細図である。
【図7】図5に示す実施形態を撓んでいる状態で示す斜視図である。
【図8】図5に示す実施形態を撓んでいる状態で示す平面図である。
【図9】図5に示す実施形態を撓んでいる状態で示す詳細図である。
【図10】図5の実施形態を撓んだ状態で示す側面図である。
【図11】本発明の一方向曲がり部材の変形実施形態の斜視図である。
【図12】本発明の一方向曲がり部材の変形実施形態の断面図である。
【図13】本発明の一方向曲がり部材の更に別の変形実施形態の断面図である。
【図14A】本発明の一方向曲がり部材の追加の実施形態の断面図である。
【図14B】本発明の一方向曲がり部材の追加の実施形態の断面図である。
【図14C】本発明の一方向曲がり部材の追加の実施形態の断面図である。
【図14D】本発明の一方向曲がり部材の追加の実施形態の断面図である。
【図14E】本発明の一方向曲がり部材の追加の実施形態の断面図である。
【図14F】本発明の一方向曲がり部材の追加の実施形態の断面図である。
【図15】本発明の一方向曲がり部材の変形実施形態の断面図である。
【図16】患者の血管系中の第1の分岐部の形態の断面図である。
【図17】患者の血管系内の第2の分岐部の形態の断面図である。
【出願人】 【識別番号】597041828
【氏名又は名称】コーディス・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Cordis Corporation
【出願日】 平成19年7月17日(2007.7.17)
【代理人】 【識別番号】100066474
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 博昭

【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延

【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭

【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音


【公開番号】 特開2008−23336(P2008−23336A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2007−186011(P2007−186011)