| 【発明の名称】 |
ホルムアルデヒドを含有する不凍液を用いた殺菌装置、及び殺菌方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】林 延弘
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| 【要約】 |
【課題】組織薄切装置等といった冷凍温度を常時維持する被殺菌装置に用い、被殺菌装置の停止を伴わず、また被殺菌装置の使用時には、即座に殺菌を中断して、被殺菌装置を使用できる殺菌装置等の提供。
【構成】制御部と、殺菌不凍液供給手段と、殺菌不凍液蒸散手段とを備え、不凍液蒸散手段は、不凍液を保持する保持部と、保持部内の不凍液を蒸散させる蒸散部を備え、制御部からの制御によって、一定量の殺菌不凍液を保持部へ滴下し、滴下された殺菌不凍液を前記蒸散手段を用いて蒸散する殺菌装置を解決手段とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 制御部と、殺菌不凍液供給手段と、殺菌不凍液蒸散手段とを備え、 前記不凍液蒸散手段は、不凍液を保持する保持部と、保持部の不凍液を蒸散させる蒸散部を備え、 制御部からの制御によって、一定量の殺菌不凍液を保持部へ滴下し、滴下された殺菌不凍液を、蒸散部を用いて蒸散する構成としたことを特徴とする殺菌装置。 【請求項2】 請求項1記載の殺菌装置と、該殺菌装置で生ずる廃液を無害化する廃液処理装置とを備えたことを特徴とする殺菌廃液処理装置。 【請求項3】 冷凍温度に維持された被殺菌装置内で、殺菌力を有する不凍液を蒸散し、被殺菌装置内を殺菌することを特徴とする殺菌方法。 【請求項4】 蒸散して滴状となった殺菌力を有する不凍液を、液状で回収することを特徴とする請求項3記載の殺菌方法。 【請求項5】 殺菌後に回収した使用済み不凍液に対して、その液性を弱アルカリ性とするアルカリ性剤を加え、次いで、酸性剤を加えて、前記使用済み不凍液の液性を中性とする廃液処理工程を備えることを特徴とする請求項3又は4記載の殺菌方法。 【請求項6】 殺菌力を有する不凍液は、ホルムアルデヒドとエチルアルコールを含有することを特徴とする請求項3、4又は5記載の殺菌方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は冷凍温度で温度保持、使用される医療機器等の殺菌装置と殺菌方法に関する。 【背景技術】 【0002】 現在の医療において、人体の一部の組織を観察することによって所見を判断する病理検査が、行われている。この病理検査では、組織標本を作製し、これを検査する。組織標本は、冷凍温度下において、生の組織を薄さ2マイクロメートル乃至4マイクロメートル程度に薄切する。 【0003】 この薄切作業は、冷凍温度(多くは−20℃乃至−30℃環境)に保持された閉鎖空間を有する組織薄切装置(ミクロトーム)を使用する。組織薄切装置の閉鎖空間内に組織を載置し、同閉鎖空間内に設置されたカッターを外部から操作して薄切を行うのが通常である。 【0004】 ところで、医療機器等に対する殺菌消毒を行うものとしては、ホルムアルデヒド及びその水溶液であるホルマリンを用いたものが多数提案されているところである。このような装置の一例としては、被殺菌空間であるチャンバへ所定の濃度で所定の水蒸気量を含むホルムアルデヒドを発生させるホルムアルデヒド発生器と、前記チャンバ内部の気体を循環させるための循環用ファンと、当該循環するホルムアルデヒドを加熱する保温用ヒータと、前記ホルムアルデヒドを前記チャンバから排気するための真空ポンプと、排気時に前記ホルムアルデヒドを無害化するための排気触媒と、排気触媒を動作温度に加熱するための排気ヒータとを備えたホルムアルデヒド殺菌装置(例えば、特許文献1参照。)がある。 【0005】 【特許文献1】特開2006−122166号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 上記特許文献1に係る発明のように、従来のホルマリン(若しくはホルムアルデヒド)を用いた殺菌装置は、常温下若しくは高温化において、その効果を発揮するものであり、約−20℃以下の環境ではホルマリンが凍結するため、殺菌効果が期待できないものであった。即ち、約−20℃以下の環境下でホルマリンを前記した組織薄切装置内で燻蒸すると、ホルマリンが周辺で凝固した状態となり、閉鎖空間内全てを殺菌できない状態となる。 【0007】 このため、従来、組織薄切装置を殺菌するためには、一旦当該装置を停止させ、一定時間放置した後、常温とした上で、行う必要があった。しかしながら、この組織薄切装置は、その性質上、例えば組織に悪性の疑いが生じた際等には、緊急に使用しなければならないことがある。このような緊急時を想定すると、前記したように殺菌を行うには、常に装置の停止を伴い、装置が使用できなくなる時間が多大となるから、容易には、組織薄切装置の殺菌に時間をかけることができない現状がある。 従って、結局、多くの利用施設では、組織薄切装置を何ヶ月も停止させることなく温度を維持した状態としており、殺菌を行う頻度が、一年に一、二回程度というように非常に低下している。 【0008】 そして、組織薄切装置で処理される組織は、病原菌を含むこともあり、作業者が取り扱い時に、病原菌を吸引する虞もあることから、殺菌頻度の低下は、作業者に対する病原菌の感染を助長する虞がある。 【0009】 本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであり、組織薄切装置等といった冷凍温度を常時維持する被殺菌装置に用い、当該被殺菌装置の停止を伴わず、また被殺菌装置の使用時には、即座に殺菌を中断停止して、被殺菌装置の本来の使用を可能とすることができる、殺菌装置、及び殺菌方法の提供を、発明が解決しようとする課題とする。 【0010】 また、本発明は、殺菌後の廃液を廃棄可能な状態に処理する廃液処理装置を、上記殺菌装置の構成に加えた殺菌廃液処理装置の提供を、発明が解決しようとする課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0011】 冷凍温度に維持された被殺菌装置内で、殺菌力を有する不凍液を蒸散し、被殺菌装置内を殺菌することを特徴とする殺菌方法、及び、制御部と、殺菌不凍液供給手段と、被殺菌装置内に配置される殺菌不凍液蒸散手段とを備え、前記不凍液蒸散手段は、不凍液を保持する保持部と、保持部の不凍液を蒸散させる蒸散部を備え、制御部からの制御によって、一定量の殺菌不凍液を保持部へ滴下する構成としたことを特徴とする殺菌装置を、基本とする。 【発明の効果】 【0012】 請求項1に係る発明によれば、制御部と、殺菌不凍液供給手段と、殺菌不凍液蒸散手段とを備え、前記不凍液蒸散手段は、不凍液を保持する保持部と、保持部の不凍液を蒸散させる蒸散部を備え、制御部からの制御によって、一定量の殺菌不凍液を保持部へ滴下し、これを前記蒸散部で蒸散する構成としたことで、温度を常温へ戻す必要がなくなるから、当該被殺菌装置の停止を伴う必要を生じずに、冷凍温度下での殺菌剤の蒸散によって殺菌処理を行うことができる。 【0013】 また、殺菌処理中であっても、被殺菌装置を使用する必要が生じたときは、被殺菌装置の外部に配置される制御部を操作することで、即座に殺菌を中断停止して、被殺菌装置の本来の使用を可能とすることができる。そして、このように即座に殺菌を中断停止して、被殺菌装置の使用を行う際には、冷凍温度環境下であるから、殺菌剤の揮発もなく、作業者の安全性を確保することができる。 【0014】 更に請求項2に係る発明は、請求項5に係る発明の構成に加えて廃液を無害化する廃液処理装置を兼備したことにより、上記効果に加えて、廃液を容易に無害化、廃棄することができるため、利便性に富み、被殺菌装置の殺菌から廃液の廃棄までの一連の作業を容易にできる。そして、これによって、殺菌、廃液処理をより高い頻度で行うことができたため、被殺菌装置の衛生的な使用に資することができる。 【0015】 請求項3に係る発明によれば、冷凍温度に維持された組織薄切装置等の被殺菌装置内で、殺菌力を有する不凍液を蒸散し、被殺菌装置内を殺菌する方法を確立したことによって、温度を常温へ戻す必要がなくなるから、当該被殺菌装置の停止を伴う必要を生じずに、殺菌処理を行うことができる。また、殺菌処理中であっても、被殺菌装置を使用する必要が生じたときは、殺菌を中断停止して、被殺菌装置の本来の使用を可能とすることができる。そして、このように殺菌を中断停止して、被殺菌装置の使用を行う際には、冷凍温度環境下であるから、殺菌剤の揮発もなく、作業者の安全性を確保することができる。 【0016】 請求項4に係る発明のように、蒸散して滴状となった殺菌力を有する不凍液を、冷凍温度下においても液状で回収できることから、回収容器への使用済み不凍液の導入を効率的且つ容易とすることができる。 【0017】 請求項5に係る発明のように、殺菌後に回収した使用済み不凍液に対して、その液性を弱アルカリ性とするアルカリ性剤を加え、次いで、酸性剤を加えて、前記使用済み不凍液の液性を中性とする廃液処理工程を備える工程を有することで、使用済み不凍液の毒性を完全になくし、外部への廃棄を容易とすることができる。 【0018】 請求項6に係る発明のように、殺菌力を有する不凍液は、ホルマリンとエチルアルコールを含有することによって、ホルマリンに含有されるホルムアルデヒドの優れた殺菌力と、エチルアルコールの冷凍温度下での不凍性を備えるだけでなく、これら相互の親和性が高く、また凍結温度ではエチルアルコールはその引火温度に達することもないので安全性が高く、取扱いが容易で、安価に量産できる利点を、請求項1乃至3に係る発明に適用することができ、本発明の実効性を高めることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0019】 冷凍温度に維持された被殺菌装置内で、殺菌力を有する不凍液であるホルマリンとエチルアルコールの混合液を蒸散し、被殺菌装置内を殺菌し、殺菌後に回収した使用済み不凍液に対して、その液性を弱アルカリ性とするアルカリ性剤を加え、次いで、酸性剤を加えて、前記使用済み不凍液の液性を中性とする廃液処理工程を備える殺菌方法によって、冷凍温度に維持された状態で使用できるから被殺菌装置を停止させることなく、エチルアルコールとの混合により良好に蒸散されたホルムアルデヒドによって殺菌することができ、不凍液を用いるために使用済みの不凍液も無害化して容易に回収でき、そして、殺菌中であっても、容易に殺菌作業を停止し、作業者の安全性を確保することができる殺菌装置を実現した。 【実施例】 【0020】 図1は本発明の実施例に係る殺菌廃液処理装置の主要構成を示す斜視図、図2は同実施例に係る殺菌廃液処理装置から殺菌装置、廃液貯留容器を分離した状態を示す斜視図、図3は同実施例に係る殺菌装置を被殺菌装置上に設置した状態を示す斜視図、図4は実施例に係る殺菌廃液処理装置における殺菌装置の各構成部分相互の関係を示す参考図、図5は実施例に係る廃液処理装置の各構成部分相互の関係を示す参考図、図6は実施例に係る殺菌装置を示す簡略図、図7は実施例に係る殺菌装置における不凍液蒸散手段を示す斜視図、図8は実施例に係る廃液処理装置を示す簡略図である。 【0021】 本発明の実施例に係る殺菌装置1は、殺菌に用いた廃液を処理するための廃液処理装置2と組合わされて、殺菌廃液処理装置3としてなるものである。 機能的には、図4及び図5に示すように、殺菌装置1と廃液処理装置2は夫々独立している。そして、図1に示すように、殺菌装置1は廃液処理装置2の上部に載置して着脱自在に設けられている。廃液処理装置2は下部にキャスタ50を備えており、床上を移動可能な構成としている。このため、殺菌装置1は廃液処理装置2上に載置することで、廃液処理装置2とともに移動することができる。以下、殺菌装置1、廃液処理装置2の夫々の構成について、説明する。 【0022】 本発明の実施例に係る殺菌装置1は、図1、図2、図6に示すように、直方体形状の筐体10内に制御部11、不凍液貯留容器保持部12、送液ポンプ13を備えている。また、筐体10の上部には制御部11に対して入力を行う操作スイッチ類を配列した操作部14を設けてある。更に筐体10から外部下方へは、送液管15及び不凍液蒸散手段16を設けてある。 【0023】 本実施例に係る殺菌装置1は、電力の供給手段として着脱式ソケットを備えており、電力供給ケーブルを筐体10に対して着脱自在としている。また、筐体10の上部には、殺菌装置1の利便性を向上するために金属製の把手17を設けている。 【0024】 本実施例における前記操作スイッチ類としては、運転開始スイッチ140、リセットスイッチ141がある。また、これらの操作スイッチ類に併設して、制御部11からの出力によって点灯表示可能な運転表示ランプ142、完了ランプ143が配置してある。 【0025】 不凍液蒸散手段16は、不凍液4を保持する保持部161と、保持部161を支える保持腕部162と、保持部161を加熱して不凍液Aを蒸散させる蒸散部として前記保持部161に接触した状態でヒーターパネル160を設けている。本実施例における前記保持部161は皿状体とし、その下部に前記ヒーターパネル160を設けてある。 【0026】 保持腕部162は高さ調節機構を備えている。図7に示すように、保持腕部162は、同一中心軸を有し且つ相互に摺動可能となる二本の中空棒状部材162a,162bを連結した構成である。 【0027】 一方の中空棒状部材163には一箇所のみに貫通穴166が設けてあり、他方の中空棒状部材164には、長手方向に複数の螺子穴165を列設してある。取付螺子167を、前記一方の中空棒状部材163の貫通穴166を通して、他方の中空棒状部材164の一の螺子穴165に螺合することで、連結する。複数あるうちから選択した螺子穴165の位置によって、保持腕部162全体の長さを変更し、高さを調節することができる。 【0028】 本実施例では、蒸散手段であるヒーターパネル160への電力の供給と、保持部161への不凍液4の送液は、保持腕部162の中空棒状部材163,164と並行して電力を供給するケーブル及び送液用の配管を設けた構成としてある。このうち送液用の配管15は、中空棒状部材163,164内を通している。 【0029】 制御部11は、バスによって相互を接続したCPU110、不揮発性メモリ111、メインメモリ112を備えている。不揮発性メモリ111には、殺菌工程をCPU110(中央演算処理装置)が不揮発性メモリ111上の自動運転プログラムを読み出してメインメモリ112上で実行し、送液ポンプ13の動作及び停止、バルブの切換、内部タイマーの動作及び停止、蒸散手段であるヒーターパネル160の操作及び停止を行い、殺菌装置1としての処理機能を果たすものである。 【0030】 不凍液貯留容器保持部12は、不凍液貯留容器120を保持固定する空間を有する。不凍液貯留容器120は、本実施例では上端に送液管15を備えた合成樹脂製容器を用いている。不凍液貯留容器120内には、100cm3の不凍液Aを貯留している。貯留された不凍液Aは、ホルムアルデヒドの38重量%水溶液であるホルマリンと局方(日本薬局方)エチルアルコール(78重量%水溶液)との重量比1:2の混合液である。 【0031】 送液ポンプ13は不凍液貯留容器内の不凍液を不凍液蒸散手段へ輸送するための手段であり、前記制御部11からの動作信号によって動作し、停止信号によって停止する。 【0032】 次に、本実施例に係る廃液処理装置2について説明する。図2、図8に示すように、廃液処理装置2は、廃液処理制御部20、中和剤貯留容器設置部21、消臭剤貯留容器設置部22、殺菌装置載置部23、廃液貯留容器格納部26、廃液処理制御部20、廃液処理装置操作部27を備えている。 【0033】 当該廃液処理装置2の上部には、一部に前記廃液処理装置操作部27を含む廃液処理制御部20と、中和剤貯留容器設置部21と、消臭剤貯留容器設置部22が併設されている。 中和剤貯留容器設置部21には中和剤貯留容器21aを設置し、消臭剤貯留容器設置部22には、消臭剤貯留容器22aを設置する。 【0034】 中和剤貯留容器21aは、本実施例においては中和剤として用いるアンモニア水溶液を貯留するものである。アンモニア水溶液は、ホルマリンに対して投入することで、全体の液性を弱アルカリ性とする量に調製してある。 【0035】 消臭剤貯留容器21bは、本実施例においては消臭剤として用いるリンゴ酸水溶液を貯留するものである。リンゴ酸水溶液は、ホルマリンとアンモニア水溶液との混合液の全体の液性を中和するための量に調製してある。 【0036】 図8に示すように、前記中和剤貯留容器21aの下端には中和液用送液管25aを連結している。また、消臭剤貯留容器22aの下端は、消臭剤用送液管25bを連結している。前記中和液用送液管25aと消臭液用送液管25bはY字管に接続して一本の送液管25eに連結した構成である。当該送液管25eの先端には逆止弁を有するカプラ25hを取付けた構成としている。当該構成は、廃液貯留容器24と前記送液管の先端とを接続していない状態であっても、送液管からの液体の漏れを防止するものである。 【0037】 一方、中和剤貯留容器21aの上端には中和剤用エア供給管25cを連結している。また、消臭剤貯留容器22aの上端は、消臭剤用エア供給管25dを連結している。中和剤用エア供給管25cと消臭剤用エア供給管25dはY字管に接続して一本のエア供給管25fに連結した構成である。当該エア供給管25fの先端には逆止弁を有するカプラ25gを取付けた構成としている。当該構成は、廃液貯留容器24と前記エア供給管25fの先端とを接続していない状態であっても、エア供給管25fからの液体の漏れや揮発成分の放散を防止するものである。 【0038】 実施例に係る廃液処理装置の下部には、廃液貯留容器格納部を設けている。廃液貯留容器格納部には、廃液貯留容器24を格納する。廃液貯留容器24は、キャスタ60を有する容器移動台6上に載置している。廃液貯留容器24は上部に蓋部24aを有している。 該蓋部24aには、前記廃液処理装置の送液管25a,25b及びエア供給管25c,25dの夫々の先端との接続手段24b、24cと、廃液処理容器内の廃液を循環、バブリングを行うためのエアポンプ28を介した循環用配管28cの先端のカプラ28a、28bとの接続手段(入口側24d、出口側24e)を備えている。 【0039】 実施例に係る殺菌廃液処理装置3は、廃液処理装置操作部から廃液処理制御部への入力信号と、廃液処理制御部からの各機器類への出力信号によって、稼動する。即ち、廃液処理制御部が、CPU(中央演算処理装置)が不揮発性メモリ上の自動運転プログラムを読み出して主記憶装置上で実行するものである。入力信号に応じて、CPUが当該プログラムを実行し、各機器類へ出力信号を発することで、条件に応じたバルブの開閉、エアポンプ28の動作及び停止等を行うものである。 【0040】 以下に、本実施例における殺菌廃液処理装置3(即ち、殺菌装置1及び廃液処理装置2)の使用方法及び動作について説明する。 【0041】 本実施例に係る殺菌装置1を、殺菌廃液処理装置3上から被殺菌装置9上に移す。被殺菌装置9は上部にスライド式の開閉扉を有しており、図3に示すように、殺菌装置1の下部に設けた送液管15及び不凍液蒸散手段16を前記開閉扉から被殺菌装置の内部に入れる。このとき、前記スライド式の開閉扉は僅かに隙間を生ずることから、隙間を塞ぐための目張り部材8を設けることができる。 【0042】 脱着式ソケットに電源ケーブルを接続して、電源を投入する。次いで、操作部における運転開始スイッチ140の押圧操作によって、殺菌工程が開始する。 尚、運転開始スイッチ140の押圧操作とともに、殺菌開始信号を制御部11(制御部中のCPU)へ出力し、当該信号を受信した制御部11のCPU110は、ヒーターパネル160を作動させ、保持部が蒸散に十分な温度まで加熱されるまでの所定時間(本実施例においては5分間)を内部タイマーによってカウントする。また、運転開始スイッチ140の押圧操作とともに、運転表示ランプ142が点灯する。 【0043】 内部タイマーのカウント終了後にCPU110は送液ポンプ13を動作させ、10mlの不凍液4を、不凍液貯留保持部12から供給し、保持部161へ滴下する。10mlの不凍液4が全て蒸散するタイミング(約5分)で、繰返し、10mlずつ同様に、不凍液4を、不凍液貯留容器保持部12から供給し、保持部161へ滴下する。本実施例では、合計100mlの不凍液を蒸散する。この蒸散は、約1時間程度行うこととなる。 【0044】 被殺菌装置9内で、予定された全ての不凍液を蒸散した後、一定時間その状態で静置する。静置によって、ホルムアルデヒドが菌を包み込み、菌に浸漬することで、優れた殺菌効果を得ることができる。この静置時間は、本実施例では2時間としており、内部タイマーでの当該静置時間の経過によって、制御部11が完了ランプ143を点灯させる。以上のように、蒸散に1時間程度、静置に2時間程度で合計3時間程度で一連の処理を行うことができる。 【0045】 尚、殺菌装置1の稼働中に、リセットスイッチ141を押すことで、殺菌工程を初期の状態に戻すことができる。リセットスイッチ141を押した後、再度運転開始スイッチ140を押すことで、上記に説明した工程を最初から行うことができる。 【0046】 保持部161でのヒーターパネル160による蒸散は若干の庫内の温度上昇を伴うが、加熱される部分が局所的であるから、(更には、被殺菌装置9自体が通常庫内の温度制御装置を備えていることから、)庫内の温度を急激に上昇させることなく、庫内温度を常に−15℃以下に保つことができ、冷凍温度環境下での殺菌を実現している。 【0047】 本実施例における廃液処理装置2は、廃液量が一定量(5リットル)となった時点で処理するものである。回収した一定量のホルマリン廃液を貯留した廃液貯留容器24を、廃液処理装置2の下部に格納する。処理対象となる廃液には、上記殺菌装置を使用して得られるホルマリン廃液のほか、他の装置等で使用した組織固定用のホルマリン廃液を用いることができる。これらの廃液は混合して処理することができる。廃液を混合する際には、各廃液中のホルムアルデヒドの濃度が同じであれば、処理するための後記中和剤、消臭剤の投入量が容易に判断できるため、非常に好ましい。 【0048】 廃液貯留容器24の蓋部24aに設けた、前記廃液処理装置2の送液管及びエア供給管の夫々の先端との連結手段と、廃液処理容器内の廃液に対して循環及びバブリングを行うためのエアポンプ28を介した循環用配管との接続手段を、夫々前記送液管、エア供給管、循環用配管と夫々接続する。 【0049】 中和剤貯留容器設置部21に中和剤であるアンモニア水溶液を入れた中和剤用容器を設置する。また、消臭剤貯留容器設置部に消臭剤であるリンゴ酸水溶液を入れた消臭剤用容器を設置する。 【0050】 電源を投入し、廃液処理装置操作部に設けた廃液処理装置運転開始スイッチを押すことで、廃液処理工程を開始する。 【0051】 実施例に係る殺菌廃液処理装置3は、廃液処理装置操作部から廃液処理制御部への入力信号によって、廃液制御処理部は、中和剤用のモータバルブと、エアポンプを運転させる。エアポンプは工程の完了まで終始運転状態としている。また、中和剤用のモータバルブは、内部タイマーによって一定時間(本実施例では150秒)動作し、開放状態を保持する。中和剤を自然落下によって、廃液貯留容器24内へ導入する。中和剤用のモータバルブは、前記一定時間動作後閉状態となる。 【0052】 廃液貯留容器24内に導入した中和剤は、エアポンプの動作によって20分間バブリングがなされ、十分な攪拌状態により確実に中和反応を進めることができる。アンモニア水溶液を添加することによって、廃液全体の液性が弱アルカリ性となる。尚、このときの中和反応によって生成するヘキサメチレンテトラミンは無害且つ水溶液中での安定性があり、廃液の安全性を確保できる。 【0053】 次に、消臭剤用のモータバルブを運転させる。前記したように、工程終了までエアポンプは終始運転状態としている。消臭剤用のモータバルブは、内部タイマーによって一定時間(本実施例では150秒)動作し、開放状態を保持する。消臭剤を自然落下によって、廃液貯留容器24内へ導入する。消臭剤用のモータバルブは、前記一定時間動作後閉状態となる。 【0054】 廃液貯留容器24内に導入した消臭剤は、エアポンプの動作によって10分間バブリングがなされ、十分な攪拌状態により液性が弱アルカリ性であった廃液を中性とすることができる。 【0055】 以上によって廃液処理の工程が完了すると、内部タイマーを参照して廃液処理制御部がブザー270へ出力し、報知動作を行う。 【0056】 尚、殺菌装置1と同様に、リセットスイッチ141を押すことで、殺菌工程を初期の状態に戻すことができる。リセットスイッチ141を押した後、再度運転開始スイッチ140を押すことで、上記に説明した工程を最初から行うことができる。 【0057】 上記工程を経て処理された廃液は、汚水処理系の排水口へ流すことで廃棄することができる。そして、本実施例に係る殺菌廃液処理装置は、以上の工程全てを約3時間程度で行うことができる。 【0058】 上記実施例では、−20℃乃至−30℃の温度範囲での環境で行っているが、本発明における冷凍温度とは、当該−20℃乃至−30℃の温度範囲に限るものではなく、通常のホルマリンの凝固点以下の温度であればよい。即ち、本発明は、従来、ホルマリンが使用できなかった低温環境で、ホルマリンを用いた殺菌を行うことができる点において優れるのであり、この結果、これまで殺菌時に停止せざるを得なかった被殺菌装置9を、停止させることなく、常に使用できる状態を保つことができる。 【0059】 また、上記実施例における殺菌装置1の操作スイッチ類は、基本的に運転開始スイッチ140の入力で一連の殺菌処理が開始され、リセットスイッチ141の入力で殺菌処理を停止して、初期状態に復帰する構成のみとしたが、自動運転回路と手動運転回路とを切り換え可能な構成として、手動運転回路で、例えば、個別にポンプの動作や停止、バルブの切換え、タイマーの設定時間の変更、タイマーの動作及び停止、ヒーターパネル160の作動及び停止等を行う構成とすることもできる。 【0060】 本実施例では、殺菌装置1の使用時における位置は、本実施例のように被殺菌装置9上に配置した例を示したが、この他、被殺菌装置9のそばに載置用台7を設けて殺菌を行うこともできる。また、載置用台7は、図9に示すように、それ自体が台として独立したものとすることもできるし、廃液洗浄装置に引き出し可能なスライドテーブルを設けてその上に載置するとすることもできる。載置用台7が被殺菌装置9から独立したものとする際には、キャスタ70等の移動手段を備えた構成とすることができる。 【0061】 更に、蒸散に使用する蒸散手段は電熱線を用いたヒーターパネル160に限らず、超音波発振器を用いた構成とすることもできる。超音波発振器を熱源として使用すると、より局所的な蒸散を行うことができ、庫内全体に対する温度制御に殆ど影響を与えないものとすることができる。 【図面の簡単な説明】 【0062】 【図1】本発明の実施例に係る殺菌廃液処理装置の主要構成を示す斜視図である。 【図2】本発明の実施例に係る殺菌廃液処理装置から殺菌装置、廃液貯留容器を取り外した状態を示す斜視図である。 【図3】本発明の実施例に係る殺菌装置を被殺菌装置上に設置した状態を示す斜視図である。 【図4】本発明の実施例に係る殺菌廃液処理装置における殺菌装置の各構成部分相互の関係を示す参考図である。 【図5】本発明の実施例に係る廃液処理装置の各構成部分相互の関係を示す参考図である。 【図6】本発明の実施例に係る殺菌装置を示す簡略図である。 【図7】本発明の実施例に係る殺菌装置における不凍液蒸散手段を示す斜視図である。 【図8】本発明の実施例に係る廃液処理装置を示す簡略図である。 【図9】本発明の他の実施例に係る殺菌装置を載置用台上に載置し、被殺菌装置に対して設置した状態を示す斜視図である。 【符号の説明】 【0063】 1 殺菌装置 10 筐体 11 制御部 110 CPU 111 不揮発性メモリ 112 主記憶(メインメモリ) 12 不凍液貯留容器保持部 120 不凍液貯留容器 13 送液ポンプ 14 操作部 140 運転開始スイッチ 141 リセットスイッチ 142 運転表示ランプ 143 完了ランプ 15 送液管 16 不凍液蒸散手段 160 ヒーターパネル 161 保持部 162 保持腕部 163 中空棒状部材 164 中空棒状部材 165 螺子穴 166 貫通穴 167 取付螺子 17 把手 2 廃液処理装置 20 廃液処理制御部 21 中和剤貯留容器設置部 21a 中和剤貯留容器 22 消臭剤貯留容器設置部 22a 消臭剤貯留容器 23 殺菌装置察載置部 24 廃液貯留容器 24a 蓋部 24b 接続手段 24c 接続手段 24d 接続手段 24e 接続手段 25a 中和液用送液管 25b 消臭剤用送液管 25c 中和剤用エア供給管 25d 消臭剤用エア供給管 25e 送液管 25f エア供給管 25g カプラ 25h カプラ 26 廃液貯留容器格納部 27 廃液処理装置操作部 270 ブザー 28 エアポンプ 28a カプラ 28b カプラ 29 電磁弁 3 殺菌廃液処理装置 4 不凍液 50 キャスタ 6 容器移動台 60 キャスタ 7 載置用台 70 キャスタ 8 目張り部材 9 被殺菌装置
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| 【出願人】 |
【識別番号】395013348 【氏名又は名称】株式会社アスカメディカル
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| 【出願日】 |
平成18年8月25日(2006.8.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100070507 【弁理士】 【氏名又は名称】石田 俊男
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| 【公開番号】 |
特開2008−48979(P2008−48979A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月6日(2008.3.6) |
| 【出願番号】 |
特願2006−229643(P2006−229643) |
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