| 【発明の名称】 |
医療用処置材 |
| 【発明者】 |
【氏名】安齋崇王
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| 【要約】 |
【課題】本発明は室温でも安定に保存できる架橋性多糖誘導体からなる医療用処置材を提供することにある。
【構成】多糖側鎖に導入された活性水素含有基と反応しうる活性エステル基を少なくとも1つ有し、 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 多糖側鎖に導入された、活性水素含有基と反応しうる活性エステル基を少なくとも1つ有し、アルカリ条件下での水との接触により、前記活性エステル基と活性水素含有基との共有結合による架橋物を形成しうる架橋性多糖誘導体とトレハロースからなる医療用処置材。 【請求項2】 前記医療用処置材におけるトレハロースの含有率が10重量%から50重量%である請求項1に記載の医療用処置材 【請求項3】 前記医療用処置材の製造方法が架橋性多糖誘導体とトレハロースの混合物水溶液の凍結乾燥法である請求項1に記載の医療用処置材
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、架橋性多糖誘導体とトレハロースからなる医療用処置材に関する。 【背景技術】 【0002】 外科手術において、医療用処置材には重要な役割があり、術後の合併症の防止等に貢献するものである。 【0003】 医療用処置材の一例として、癒着防止材が挙げられる。外科手術において、手術操作により生体組織に侵襲があった場合、その部位の組織治癒過程での炎症により癒着が起こり、その癒着により組織や臓器の正常な動作を妨げることにより、術後の合併症として問題となることがある。 【0004】 たとえば腹腔領域では、術後に腸管と腹膜での癒着が原因で起こる腸閉塞は重篤な合併症である。このような術後の癒着を防止する目的として、組織や臓器間のバリア効果を期待して、生体吸収性の癒着防止材を使用することがある。 【0005】 これまで癒着防止材の材料として、たとえば、微生物が生産する線維状セルロースを用いるもの、アニオン性基(カルボキシル基、スルホン酸基)を有する酸性多糖と、カチオン性基(アミノ基)を有する塩基性多糖:たとえばキトサンとのポリイオンコンプレックスの乾燥フィルムを用いるもの、カルボキシ含有ポリサッカロイドとポリエーテルの高分子間複合体の膜を用いるもの、ポリサッカロイドデキストリンを含む水性製剤を用いるものなどが提案されている。 【0006】 前述の通り、癒着防止材は、臨床上の要求を満たすことはもちろんのこと、安全性の面でも、非生体由来材料を利用することによる感染症等のリスク回避、合成材料を利用することによる成分自体またはその分解物の毒性の低減、および生体分解吸収性を有するように材料設計されることが重要である。 【0007】 さらには、手術中に用時を予め見計らって行う準備操作を少なくし、急な適用に対して迅速に対応でき、その使用にあたり特別な装置が不要であることが望ましい。 【0008】 我々は、上述した要求を同時に満たす医療用処置材を実現するために、1分子鎖中に(A)活性エステル基および(B)活性水素含有基を有し、該活性エステル基と該水酸基とが、共有結合を作り架橋構造を形成する、多糖誘導体、その組成物および製造方法を提案している(特許文献1)。 【0009】 しかし、この架橋性多糖誘導体は常温で保管した場合、次第に水への溶解性が低下し、流動性がなくなる。そのため、保管条件が乾燥固体状態での4℃以下での冷蔵保管が必要であり、製品化した場合、流通保管の面で難点があった。 【0010】 本発明で使用するトレハロースについて説明する。トレハロースは、2分子のD−グルコースが1,1結合した形の非還元性二糖類の一種であり、保湿作用、保存作用等を持つことから、食品や医薬品などの新しい添加物として最近注目されている。 【0011】 トレハロースの効果としては、澱粉の老化防止効果、食品・医薬品・化粧品の腐敗防止効果、そして、香料等の揮散防止効果が知られている。 【0012】 【特許文献1】WO2004-081055 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0013】 本発明は、架橋性多糖誘導体の常温保管を実現することを目的としている。 【課題を解決するための手段】 【0014】 このような目的は、下記(1)から(3)の本発明により達成される。 (1)多糖側鎖に導入された、活性水素含有基と反応しうる活性エステル基を少なくとも1つ有し、アルカリ条件下での水との接触により、前記活性エステル基と活性水素含有基との共有結合による架橋物を形成しうる架橋性多糖誘導体とトレハロースからなる医療用処置材。 (2)前記医療用処置材におけるトレハロースの含有率が15重量%から50重量%である(1)に記載の医療用処置材 (3)前記医療用処置材の製造方法が架橋性多糖誘導体とトレハロースの混合物水溶液の凍結乾燥法である(1)に記載の医療用処置材 【発明の効果】 【0015】 トレハロースを添加することで、室温で保存可能な架橋性多糖誘導体を提供することが出来る。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 以下に、本発明を具体的に説明する。 まず本発明の医療用処置材に係る架橋性多糖誘導体について説明する。架橋性多糖誘導体は、多糖側鎖に導入された、活性水素含有基と反応しうる活性エステル基を少なくとも1つ有する。 【0017】 この活性エステル基が導入される多糖(原料)については後述するが、多糖分子は本質的に水酸基を自己保有し、すなわち活性水素含有基を有するため、該多糖に活性エステル基が導入された多糖誘導体は、1分子鎖内に活性エステル基および活性水素含有基を両具し、反応条件下で自己架橋性を示す。 【0018】 この自己架橋性は、活性エステル基と活性水素含有基とが、多糖誘導体の1分子内でまたは分子間で反応して、共有結合を形成することをいう。 【0019】 本明細書において、このような架橋性多糖誘導体は、活性エステル化多糖と称することもあり、以下では、単に多糖誘導体ということもある。なお「1分子鎖」または「分子内」の分子とは、共有結合により連続した結合で繋がった範囲の1つの分子を意味する。 【0020】 本発明に係る多糖誘導体は、活性エステル化された多糖であり、本質的に多糖骨格を保持している。したがって以下には、多糖誘導体を、多糖の活性エステル化方法(多糖誘導体の製造方法)と並列的に説明することがある。 【0021】 本発明において、多糖に導入される活性エステル基は、アルカリ条件下の水存在下で、活性水素含有基と反応して共有結合を形成できるものであればよい。 【0022】 このような活性エステル基は、通常、多糖分子が自己保有するか、または酸型化によって導入されたカルボキシ基またはメチルカルボキシ基のカルボニル炭素に、通常のエステルに比して強い求電子性基を結合させた基である。 【0023】 具体的にこの活性エステル基を「−COOX」で表した時、アルコール部位「−OX」を形成する上記求電子性基は、N−ヒドロキシアミン系化合物から導入される基であることが好ましい。N−ヒドロキシアミン系化合物は、比較的安価な原料であるため、活性エステル基導入の工業的に実施が容易であるからである。 【0024】 前記「−OX」を形成するためのN−ヒドロキシアミン系化合物としては、具体的に、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ酢酸エチルエステル、2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ酢酸アミド、N−ヒドロキシピペリジン等が代表的なものとして挙げられる。 【0025】 本発明において、多糖誘導体の活性エステル基は、1種単独でも2種以上が存在していてもよい。 このような活性エステル基の中でも、スクシンイミドエステル基が好ましい。 【0026】 本発明で使用する多糖誘導体は、分子内に上記活性エステル基を少なくとも1つ有するが、架橋マトリックスを形成するためには、通常、1分子中に2以上有する。使用目的によっても異なるが、その乾燥重量1gあたりの活性エステル基量で表したとき、0.1〜2mmol/gであることが好ましい。 【0027】 本発明において、活性エステル基が導入され、多糖誘導体の主骨格を構成する多糖は、主骨格に単糖構造を2単位以上有するものであればよく、特に制限されない。 【0028】 このような多糖は、アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類;トレハロース、スクロース、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース等の二糖類;ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトース、スタキオース等の三糖以上の多糖類が、共有結合することにより形成されたもの、およびこれに対して、さらに官能基を導入したものが挙げられる。 【0029】 本発明において、このような多糖は、天然に存在するものでも、人工的に合成されたものでもよい。また、本発明に係る多糖誘導体は、1種単独の、または2種以上の多糖の骨格とすることができる。 【0030】 多糖誘導体の主骨格となる多糖の重量平均分子量に特に制限はない。好ましくは、上記の単糖類、二糖類または三糖以上の多糖類が、数十〜数千個結合したものに相当する重量平均分子量5,000〜250万の多糖である。このような多糖であれば、本発明に係る多糖誘導体が架橋した後のゲルの硬度を調整しやすく、活性エステル基および活性水素含有基を1分子鎖に複数導入しやすいからである。より好ましくは、重量平均分子量10,000〜100万の多糖である。 【0031】 多糖誘導体の主骨格を形成する原料多糖は、上記の構成成分を持ち、活性エステル化前駆段階で、活性エステル基「−COOX」を形成するためのカルボン酸基を有する多糖(以下、酸基含有多糖と称することもある)が好ましい。ここでのカルボン酸基は、カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基(以下、これらをカルボン酸基と称することもある)をいい、カルボキシアルキル基とは、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシイソプロピル基、カルボキシブチル基等に例示されるように、カルボキシ基がアルキル骨格に結合している官能基のことである。 【0032】 上記原料多糖は、架橋性多糖誘導体の前駆段階で酸基含有多糖であればよく、カルボン酸基を自己保有する天然多糖であってもよく、それ自体はカルボン酸基を有さない多糖に、カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基を導入した多糖であってもよい。 【0033】 このようなカルボン酸基含有多糖の中でも、カルボキシ基を有する天然多糖、カルボキシ基を導入したカルボキシ化多糖、カルボキシメチル基を導入したカルボキシメチル化多糖、カルボキシエチル基を導入したカルボキシエチル化多糖が好ましい。より好ましくは、カルボキシ基を有する天然多糖、カルボキシ基を導入したカルボキシ化多糖、カルボキシメチル基を導入したカルボキシメチル化多糖である。 【0034】 上記カルボン酸基を自己保有する天然多糖としては、特に限定されないが、ガラクツロン酸を含むペクチンやヒアルロン酸等が挙げられる。 【0035】 例えば、ペクチンはCP Kelco社(デンマーク)の「GENUE pectin」、また、ヒアルロン酸は紀文社(日本)の「ヒアルロン酸FCH」が挙げられ、一般的に商業流通しているものを利用できる。ペクチンはガラクツロン酸を主成分とする多糖である。ペクチンの約75〜80%以上がガラクツロン酸からなり、その他の成分としては、主に他の糖からなる。ペクチンは、上記の割合でガラクツロン酸と他の糖が結合してなる多糖である。 【0036】 ヒアルロン酸は、眼科用手術補助剤や変形性膝関節症治療薬等に使用されている。ヒアルロン酸はガラクツロン酸を含まない。 【0037】 本発明では、多糖誘導体のカルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基は、塩が配位していない「非塩型」であることが望ましく、最終的に得られる多糖誘導体が塩形態ではないことが望ましい。 【0038】 ここで「塩」とは、アルカリ金属、アルカリ土類金属などの無機塩、テトラブチルアンモニウム(TBA)などの四級アミン、ヨウ化クロロメチルピリジリウムなどのハロゲン塩などを包含する。「非塩型」とは、これらの「塩」が配位していないことであり、「塩形態ではない」とは、これらの塩を含まないことを意味する。 【0039】 上記カルボキシ基および/またはカルボキシアルキル基が導入される多糖としては、特に限定されないが、デキストラン、プルラン、デキストリンが挙げられる。 【0040】 上記デキストランは、代用血漿剤として使用されている。デキストランとしては、アマシャムバイオサイエンス社(日本)の「Dextran T fractions」、プルランは林原社(日本)の「Pullulan PI−20」、デキストリンは和光純薬工業社の「デキストリン水和物」が挙げられる。 【0041】 プルランは、経口薬を含む医薬添加剤として使用されており、エンドトキシン等の生物学的コンタミネーションが少ないものが好適である。いずれの多糖も、本発明においては、一般的に商業流通しているものを利用できる。上記医療用途で実績のある多糖は、本発明においては安全性面で好適に利用できる多糖である。 【0042】 多糖のカルボキシ化反応は、公知の酸化反応を利用して、特に制限なく行うことができる。カルボキシ化反応の種類は、特に限定されないが、例えば、四酸化二窒素酸化、発煙硫酸酸化、リン酸酸化、硝酸酸化、過酸化水素酸化が挙げられ、各々、試薬を用いて通常知られた反応を選択して酸化することができる。各反応条件はカルボキシ基の導入量により適宜設定することができる。 【0043】 例えば、原料となる多糖をクロロホルムあるいは四塩化炭素中に懸濁させ、四酸化二窒素を加えることにより、多糖の水酸基を酸化してカルボキシ化多糖(多糖のカルボキシ化体)を調製することができる。 【0044】 また、カルボキシアルキル化反応は、公知の多糖のカルボキシアルキル化反応を利用することができ、特に限定されないが、具体的にカルボキシメチル化反応の場合には、多糖をアルカリ化した後にモノクロル酢酸を使用した反応を選択することが可能である。その反応条件はカルボキシメチル基の導入量により適宜設定することができる。 【0045】 本発明では、多糖にカルボン酸基を導入する方法として、上記カルボキシ化またはカルボキシアルキル化のいずれの方法も利用でき、特に限定されないが、カルボキシ基導入反応による多糖の分子量の低下が小さく、カルボキシ基の導入量を比較的コントロールしやすい点で、カルボキシアルキル化、特にカルボキシメチル化が好適である。 【0046】 また本発明では、カルボン酸基の導入は、それ自身カルボン酸基をもたない多糖への導入に特に制限されない。それ自身カルボン酸基を有する天然多糖、たとえば、前記ヒアルロン酸などに、さらにカルボキシ基および/またはカルボキシメチル基を導入してもよい。 【0047】 上記のような酸基含有多糖のカルボキシ基および/またはカルボキシメチル基を活性エステル化するに際して、酸基含有多糖は、単独で使用しても良いし、2種以上のものを併用して使用しても良い。 【0048】 活性エステル化に使用される酸基含有多糖は、その乾燥重量1gあたりのカルボン酸基(該基を1分子とみなして)量が、通常、0.1〜5mmol/g、好ましくは0.4〜3mmol/g、より好ましくは0.6〜2mmol/gである。このカルボン酸基量の割合が、0.1mmol/gより少ないと、該基から誘導され架橋点となる活性エステル基数が不充分になる場合が多い。一方、カルボン酸基量の割合が、5mmol/gより多くなると、多糖誘導体(未架橋)が水を含む溶媒に溶解しにくくなる。 【0049】 上記酸基含有多糖の活性エステル化方法(多糖誘導体の製造方法)は、特に制限されず、たとえば、上記の酸基含有多糖を、脱水縮合剤との存在下で、求電子性基導入剤と反応させる方法、活性エステル基を有する化合物から活性エステル基を多糖に導入するエステル交換反応を用いる方法等が挙げられる。これらの中でも、前者の方法が本発明には好適であり、以下、主として、この方法(本発明の方法ともいう)について説明する。 【0050】 本発明の上記好ましい方法を行うに際しては、通常、上記酸基含有多糖を、非プロトン性極性溶媒の溶液に調製して反応に供する。 【0051】 より具体的には、該方法は、カルボキシ基またはカルボキシアルキル基を有する多糖を非プロトン性極性溶媒に溶解させる溶液調製工程、および該溶液に求電子性基導入剤と脱水縮合剤を添加して多糖のカルボキシ基またはカルボキシアルキル基を活性エステル化させる反応工程を行う方法、さらに反応生成物の精製工程および乾燥工程を行う方法が挙げられる。 【0052】 溶液調製工程においては、多糖を溶媒に加え、60℃〜120℃に加熱することによって、多糖の非プロトン性極性溶媒への溶解が達成される。 【0053】 したがって、この方法で活性エステル化される酸基含有多糖として、上記に例示した多糖のうちでも、60℃〜120℃の間の温度で非プロトン性極性溶媒に溶解するものが好ましく使用される。 【0054】 具体的に、求電子性基導入のための反応に用いられる多糖は、非プロトン性極性溶媒への溶解性の点から、カルボキシ基またはカルボキシメチル基が酸型であることが好ましい。 【0055】 「酸型」とは、カルボキシ基またはカルボキシメチル基のカウンターカチオン種がプロトンであることをいう。酸型のカルボキシ基を有する多糖を酸型 (原料) 多糖という。 【0056】 例えば、カルボキシ基を有する多糖であるペクチンを酸型ペクチンという。酸型のカルボキシメチル基を有するカルボキシメチルデキストランを酸型カルボキシメチル(CM)デキストラン(酸型CMデキストラン)という。「酸型」は、カウンターカチオン種がプロトンであり、塩形態ではない点で前記「非塩型」と同義である。 【0057】 「非プロトン性極性溶媒」とは、電気的に陽性な官能基を有する求核剤と水素結合を形成できるプロトンを持たない極性溶媒である。本発明に係る製造方法で使用できる非プロトン性極性溶媒は、特に限定されないが、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが例示される。多糖の溶媒への溶解性が良好であることから、ジメチルスルホキシドが好適に利用できる。 【0058】 反応工程では、酸型多糖溶液に、求電子性基導入剤と脱水縮合剤とを添加して、多糖のカルボキシ基および/またはカルボキシメチル基を活性エステル化させる。活性エステル化させる時の反応温度は、特に限定されないが、好ましくは0℃〜70℃、より好ましくは、20℃〜40℃である。反応時間は反応温度により様々であるが、通常は1〜48時間、好ましくは12時間〜24時間である。 【0059】 「求電子性基導入剤」は、カルボキシ基またはカルボキシアルキル基に、求電子性基を導入し、それらを活性エステル基へ変化させる試薬をいう。求電子性基導入剤としては、特に限定されないが、ペプチド合成に汎用されている活性エステル誘導性化合物が利用でき、その一例として、N−ヒドロキシアミン系活性エステル誘導性化合物が挙げられる。 【0060】 N−ヒドロキシアミン系活性エステル誘導性化合物としては、特に限定されないが、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ酢酸エチルエステル、2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ酢酸アミド、N−ヒドロキシピペリジン等が挙げられる。このなかでも、N−ヒドロキシスクシンイミドが、ペプチド合成分野での実績があり、商業上入手し易いことより好適である。 【0061】 「脱水縮合剤」は、カルボキシ基またはカルボキシアルキル基に求電子性基導入剤を使用して活性エステル基とする際に、カルボキシ基またはカルボキシアルキル基と、求電子性基導入剤との縮合で生成する水分子を1つ引き抜き、すなわち脱水して、両者をエステル結合させるものである。 【0062】 脱水縮合剤としては、特に限定されないが、例えば、1−エチル−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)、1−シクロヘキシル−(2−モルホニル−4−エチル)−カルボジイミド・メソp−トルエンスルホネート等が挙げられる。このなかでは、1−エチル−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)が、ペプチド合成分野での実績があり、商業上入手し易いことより好適である。 【0063】 精製工程においては、反応工程終了後、反応溶液より、通常の再沈、ろ過および/または洗浄等の手段により、未反応の求電子性基導入剤、脱水縮合剤、および反応副生成物を除去し、本発明に係る多糖誘導体を得ることができる。 【0064】 乾燥工程においては、前記精製工程で得られた多糖誘導体から洗浄溶媒を除去するため、通常使用される方法により乾燥させればよい。 【0065】 本発明では、前述したように、最終的に多糖誘導体の活性エステル基量は、0.1〜2mmol/gであることが好ましく、上記においては、このような多糖誘導体が得られるように、活性エステル化原料多糖のカルボキシ基への活性エステル基導入量を制御することができる。 【0066】 活性エステル基の導入量を制御するためには、前記反応工程において、求電子性基導入剤と脱水縮合剤の混合量を調整することができる。 【0067】 具体的には、多糖の全カルボキシ基のモル数(Xmmol)に対する脱水縮合剤のモル数(Zmmol)の比(Z/X)が、前述の反応温度において、0.1<Z/X<50を満たす添加条件であることが好ましい。Z/Xが0.1より小さい場合、脱水縮合剤の添加量が少ないため反応効率が低く、所望の活性エステル基導入率を達成し難くなり、Z/Xが50より大きい場合、脱水縮合剤の添加量が多いため、活性エステル基の導入率は高くなるものの、得られた多糖誘導体が水に溶解しにくくなるからである。 【0068】 多糖の全カルボキシ基のモル数(Xmmol)に対する求電子性基導入剤のモル数(Ymmol)は、活性エステル基の導入率に応じた反応量以上を添加すれば良く、特に限定されないが、0.1<Y/X<100を満たす添加条件であることが好ましい。 【0069】 本発明に係る多糖誘導体は、活性エステル基が導入された後も、通常、グルコピラノース環が有する水酸基を多糖骨格分子内に有し、したがって活性水素含有基を自己保有するが、分子内の活性水素含有基は、これに限定されず、必要に応じて分子内に導入した活性水素含有基をさらに有していてもよい。この場合、多糖誘導体の有する活性水素含有基は、1種であっても2種以上であってもよい。 【0070】 本発明に係る多糖誘導体は、上記活性エステル基および活性水素含有基に加え、本発明の特性を損なわない範囲であれば、公知の元素、原子団等の官能基を広く含むことができる。 【0071】 このような官能基として具体的には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素;カルボキシ基;カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシイソプロピル基等のカルボキシアルキル基;シリル基、アルキレンシリル基、アルコキシシリル基、リン酸基等が挙げられる。このような官能基は、1種単独でも2種以上が導入されていてもよい。 【0072】 活性エステル基の導入率(%)は、活性エステル化原料の多糖が有するカルボキシ基含有モル量およびカルボキシメチル基含有モル量(以下、全カルボキシ基(TC)と表記する)に対して、得られた多糖誘導体中の活性エステル基含有量モル量(AE)の比(AE/TC)に100を乗することで表すことができる。 活性エステル基導入率は、例えば、Biochemistry Vol. 14, No.7(1975), p1535−1541に記載の方法により決定することができる。 【0073】 特に、上記100%未満の活性エステル基の導入率で活性エステル基が導入された場合に残存する原料多糖の有するカルボキシ基および/またはカルボキシメチル基を有していてもよい。 【0074】 「架橋構造」とは、本発明に係る多糖誘導体の1分子鎖内および/または複数分子鎖間で共有結合を形成し、結果として多糖誘導体の分子鎖が網目状の三次元構造をとることを意味する。 【0075】 この架橋により、活性エステル基と活性水素含有基とは、1分子鎖内で結合することもできるが、複数分子間で共有結合して架橋されてもよい。 【0076】 架橋形成反応前は水溶性である本発明に係る多糖誘導体は、反応が進行するとともに架橋構造を形成し、流動性が低下して、水不溶性の塊状物(含水ゲル)となり、多糖架橋体を形成する。特に他の架橋剤を使用することなく、自らの分子鎖内、または分子鎖間で共有結合により架橋構造を形成することができる性質を「自己架橋性」と定義すると、本発明に係る多糖誘導体は、自己架橋性多糖である。 【0077】 本発明において、活性エステル基との反応に関与する活性水素含有基は、本発明特定の反応条件下で、上記活性エステル基と反応して共有結合を形成しうる基であれば特に限定されない。本発明においても一般的な活性水素含有基として例示のものに準ずることができる。 【0078】 具体的には、水酸基、アミノ基、チオール基等が挙げられる。ここで、アミノ基は、第1級アミノ基と第2級アミノ基を含む。これらの中でも、活性水素含有基が水酸基、第1級アミノ基である場合には、活性エステル基との反応性が良好で、架橋してゲル化するまでの時間が短いため好ましい。 【0079】 本発明において、上記多糖誘導体の架橋反応は、活性エステル基と活性水素含有基との反応による共有結合の形成に基づく。具体的には、多糖誘導体を、アルカリ条件下で、水、水蒸気、水を含む溶媒等の水分存在下に供することにより架橋させるか、多糖誘導体の溶液にpH調整剤を添加して架橋する方法等が挙げられる。 【0080】 より具体的には、pH7.5〜12、好ましくはpH9.0〜10.5の水存在下に供することで多糖誘導体を架橋させることができる。その際、水のpHが7.5より低いと、自己架橋性が低く、十分な架橋度が得られない。一方、pH12より高いものの適用は架橋反応は進行するものの、生理的条件の点で好適ではない。 【0081】 本発明において、「アルカリ条件」とは、pHが少なくとも7.5以上の水分が存在する条件をいう。本発明に係る架橋性多糖誘導体では、熱の架橋反応への寄与が実質的に大きくないため、「アルカリ条件」の温度は、特に限定されないが、例えば10℃〜40℃の範囲であることができる。 【0082】 「アルカリ条件の水と接触させる」とは、多糖誘導体をアルカリ条件のいかなる形態の水分と接触させ、多糖誘導体をアルカリ条件におくことを意味する。 【0083】 多糖誘導体の形態が粉体である場合は、予めアルカリ条件に調整した水を添加したり、または多糖誘導体の粉とpH調整剤を混合された状態に水を添加することができる。 【0084】 多糖誘導体の形態が水溶液である場合は、予めアルカリ条件に調整した水を添加したり、またはpH調整剤を添加することができる。これらの操作により多糖誘導体がアルカリ性環境下に置かれ、架橋反応が開始する。 【0085】 すなわち、多糖誘導体はアルカリ条件の水分と接触することによりその架橋反応が開始し進行する。したがって、アルカリ条件の水分と多糖誘導体との混合物のpHはアルカリ条件であってもよいが、必ずしもアルカリ条件でなくてよい。多糖誘導体はアルカリ条件の水分と接触することにより架橋の形成が開始され、UV(紫外線)や加熱により架橋反応は実質的に開始されず、UVや熱により架橋の形成は実質的に進行しない。 【0086】 本発明に用いるトレハロースは、2分子のD−グルコースが1,1結合した形の非還元性二糖の一種であり、グリコシド結合がα、α−結合であるもの(ミコース、α-D-glucopyranosyl α-D-glucopyranoside)、α、β−結合であるもの(ネオトレハロース、β-D-glucopyranosyl α-D-glucopyranoside)及びβ、β−結合であるもの(イソトレハロース、β-D-glucopyranosyl β-D-glucopyranoside)の3種類の異性体を含めたトレハロースを意味するものである。 【0087】 これらのトレハロースの異性体を単独で用いてもよく、混合物の状態にて使用してもよいが、グリコシド結合がα、α−結合であるトレハロースを用いることが好ましい。尚、グリコシド結合がα、α−結合であるトレハロースが最も安価に入手可能である。また、本発明のトレハロースは無水のトレハロースを用いても、含水のトレハロースを使用してもよい。 【0088】 トレハロースの医療用処置材への配合量は、医療用処置材の全量に対して10重量%(以下%は特に断りのない限り重量%を表わす)〜50%がよく、15重量%〜40重量%が好ましい。10重量%に満たない場合、もしくは50重量%を超える場合は、添加の効果はみられない。 【0089】 医療用処置材の製造方法としては、あらかじめ、トレハロースの水溶液を調製後、任意の割合で架橋性多糖誘導体と混合し凍結乾燥する方法が挙げられる。 【0090】 以下に、実施例をもって本発明を一層具体的に説明するが、これらは一例として示すものであり、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。 【0091】 (合成例1) 原料多糖(酸型多糖)の調製 活性エステル化多糖誘導体の原料となる原料多糖としてカルボキシメチルデキストリン(酸型CMデキストリン)を調製した。デキストリン(和光純薬工業社製、重量平均分子量25000)10gに、純水62.5gを添加し溶解した後、36%水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム、和光純薬工業社製)62.5gを添加し25℃で90分間攪拌し溶解した後、15%モノクロル酢酸(W/V)(モノクロル酢酸、和光純薬工業社)75gを添加して、60℃で6時間攪拌した。その後、20%塩酸を使用して反応溶液をpH1.0に調整し、25℃で2時間攪拌した。反応溶液を90vol%エタノール水溶液(100%エタノール、和光純薬工業社製)5Lに滴下し、吸引ロートを用いて析出物を回収した。90vol%エタノール水溶液3Lを使用して得られた析出物を洗浄して、最後にエタノールで置換した後、減圧乾燥した。これにより酸型CMデキストリンを調製した。 【0092】 (2)カルボキシ基、あるいはカルボキシメチル基の定量 上記(1)で得られた酸型CMデキストリン(原料多糖)について、これらのカルボキシ基、あるいはカルボキシメチル基の定量を行なった。原料多糖0.2g(A(g))を秤取り、0.1mol/L 水酸化ナトリウム水溶液20mlと80vol%メタノール水溶液10mlとの混合溶液に添加し、25℃で3時間攪拌した。得られた溶液に、指示薬として、1.0%フェノールフタレイン(W/V)90vol%エタノール水溶液を3滴添加し、0.05mol/l硫酸を用いて酸塩基逆滴定を行い、0.05mol/l硫酸の使用量(V1 ml)を測定した(フェノールフタレイン、和光純薬工業社製)。また、原料多糖を添加しない以外は同様にして行なったブランクでの0.05mol/l硫酸の使用量(V0 ml)を測定した。下記式(1)に従い、原料多糖のカルボキシ基およびカルボキシメチル基の基量(Bmmol/g)を算出したところ、1.26mmol/gであった。なお、使用した0.1mol/l 水酸化ナトリウム水溶液、0.05mol/l 硫酸の力価は、ともに1.00であった。 B=(V0-V1)×0.1÷A………・(1) A:原料多糖の質量(g) B:カルボキシ基およびカルボキシメチル基の基量(mmol/g) 上記(1)で得られたCMデキストランのカルボキシメチル基量は、1.26mmol/gであった。 【0093】 (3)活性エステル化CMデキストリンの調製 酸型CMデキストリンの活性エステル化反応には、反応溶媒はDMSO、求電子性基導入剤はN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)(和光純薬工業社製)、脱水縮合剤は1-エチル-3-ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(和光純薬工業社製)を使用し、活性エステル化多糖を調製した。上記(1)で得られたCMデキストリン(カルボキシメチル基量1.26mmol/g)3.0gをDMSO90gに添加し、70℃で3時間攪拌して溶解した。その後、NHS 4.35g(37.8mmol)とEDC7.22g(37.8mmol)を添加して、25℃で24時間攪拌した。反応溶液を無水アセトン2Lに滴下し、吸引ロートを用いて析出物を回収した。無水アセトン1Lを使用して得られた析出物を洗浄して、減圧乾燥した。これにより、活性エステル化CMデキストリンを調製した。Z/XおよびY/Xの比は下記の通りである。 Z/X=10、Y/X=10 【0094】 (4)活性エステル化多糖(多糖誘導体)のNHS導入量の算出 (3)で得られた活性エステル化CMデキストリンについて、以下のようにして求めたNHS導入量は、0.8mmol/gであった。 NHS導入量は、多糖誘導体の単位重量あたりに存在するNHS含有量である。 Nヒドロキシスクシンイミド(NHS)の検量線を作成するため、0.1、0.2、0.5、1.0、2.5mMのNHS標準水溶液を調製した。各NHS標準水溶液1mlに2N水酸化ナトリウム水溶液0.2mlを添加し、60℃で加熱して10分間攪拌した。放冷後、0.85N塩酸1.5ml、および0.5%FeCl3/1N塩酸溶液0.5mlを添加し、分光光度計を用いて吸収波長500nmの吸光度を測定した(FeCl3 和光純薬工業社製)。各NHS水溶液の濃度をX軸、吸光度をY軸としてプロットし、線形近似を行い、下記のNHS濃度算出するための数式(2)を得た。 Y=αX+β………・・(2) X:NHS濃度(mM) Y:波長500nmにおける吸光度 α=0.178(傾き) β=0.021(切片) γ=0.995(相関係数) 吸光度を元にNHS濃度、X(mM)が算出される。
次に(3)の活性エステル化多糖0.01g(C(g))を秤取り、純水1mlに添加して、25℃で3時間攪拌した後、2N水酸化ナトリウム水溶液0.2mlを添加して、60℃で過熱して10分間攪拌を行なった。室温まで放冷した後、0.85N塩酸1.5mlを添加した。不溶物を含む、得られた溶液から、ろ過綿を用いて不溶物を除去した後、0.5%FeCl3/1N塩酸溶液0.5mlを添加し、分光光度計を用いて吸収波長500nmの吸光度を測定した(FeCl3 和光純薬工業社製)。吸光度測定値が、NHS標準溶液の濃度が5mMの時の吸光度を上回るときは、純水で希釈した(希釈倍率H)。前記NHS濃度算出する数式(2)を利用して吸光度測定値より、活性エステル化多糖のNHS濃度(D mmol)を算出した。続いて下記の数式(3)より、活性エステル化多糖のNHS基導入量を求めた。 NHS基導入量(mmol/g)=(D×H)×0.001÷C…………(3) 【0095】 (5)活性エステル化多糖誘導体の自己架橋性 上記で得られた活性エステル化多糖が自己架橋性であることを、以下の試験により確認した。容量10mlの清浄試験管(ラルボLT-15100、テルモ社製)に、活性エステル化多糖0.2gを秤取り、純水1mlを添加して混合した。次にpH調整剤として、8.3%炭酸水素ナトリウム水溶液(W/V)(炭酸水素ナトリウム、和光純薬工業社製)1ml(pH8.3)を添加し、試験管ミキサー(MT-31、ヤマト科学社製)を用いて約2000rpmで約1分間混合した。その混合前後での試験管内容物の状態を目視にて確認した。これにより、活性エステル化CMデキストリンは、混合後の試験管内容物が塊状物(含水ゲル)になっており、「自己架橋性あり」と判定した。 (実施例1)医療用処置材(凍結乾燥物)の調製 【0096】 トレハロース(林原生物化学研究所製)0.1gを蒸留水1.9gに溶解した。得られたトレハロース水溶液に合成例1で調製した活性エステル化CMデキストリン0.5gを加え、目に見える粒子が無くなるまで攪拌溶解した。ガラス製バイアルに入れ、凍結乾燥を行い、凍結乾燥物を得た。 (実施例2)医療用処置材(凍結乾燥物)の調製 【0097】 トレハロース0.2gを蒸留水1.8gに溶解した以外は、実施例1と同様に調製した。 (実施例3)医療用処置材(凍結乾燥物)の調製 【0098】 トレハロース0.5gを蒸留水1.5gに溶解した以外は、実施例1と同様に調製した。 (比較例1)医療用処置材(凍結乾燥物)の調製 【0099】 トレハロース1.0gを蒸留水1.0gに溶解した以外は、実施例1と同様に調製した。 (比較例2)医療用処置材(凍結乾燥物)の調製 【0100】 トレハロース0.02gを蒸留水1.98gに溶解した以外は、実施例1と同様に調製した。 (比較例3)医療用処置材(凍結乾燥物)の調製 【0101】 活性エステル化CMデキストリン0.5gに蒸留水2.0gを加え、目に見える粒子が無くなるまで攪拌溶解した。ガラス製バイアルに入れ、凍結乾燥を行い、凍結乾燥物を得た。 【0102】 保管試験 実施例1〜3、比較例1〜3の医療用処置材をガラス製サンプル管に入れ、密栓した状態で50℃恒温オーブンに7日間放置した。放置後のものをそれぞれ0.2gをガラス製試験管に入れ、注射用蒸留水0.8gを添加、5分間攪拌した。目に見える粒子がなく、試験管を傾けたときに流動性を有する場合を溶解、吸水し膨潤、試験管を傾けたときに流動性が見られない場合を不溶とみなした。
【0103】 癒着防止機能試験 ラットの盲腸擦過モデルにおける癒着防止評価 上記実施例1〜3で得た医療用処置材を癒着防止材として以下の実験に供した。Sprague-Dawley(SD)系ラットをネンブタール麻酔下で切開して開腹し、盲腸のみを切開創から取り出し、盲腸片側表面の漿膜をメスを用いて機械的に剥離後に乾燥ガーゼを用いて表面を出血を生ぜしめるまで擦過した。この部位全体を覆うように医療用処置材の20wt%水溶液を0.3ml被覆し、その上に1molのNa2HPO4 0.3mlを噴霧し、ゲル化させた。その後、切開創が塗布後の医療用処置材の直上になるように盲腸を腹腔内に格納し、切開創を縫合した。被覆適用1週間後、2週間後に開腹して盲腸表面における癒着の程度を肉眼で観察し、組織標本を作製して組織学的に検討した。なお、同様の損傷部位を作製して被覆適用しなかったものをコントロールとした。その結果、医療用処置材を被覆適用したものでは1週間後及び2週間後のいずれのサンプルでも腹壁と盲腸間および盲腸と他臓器間の癒着は発生せず、1週間後の組織ではゲルの残存が観察され毛細血管および細胞の浸潤は少なかった。2週間後では盲腸表面は治癒し正常と変わらずサンプルは消失していた。 一方、コントロールでは1週間後及び2週間後のいずれのサンプルでも腹壁と盲腸間および盲腸と他臓器間の癒着が発生し、組織学的には1週間後で腸管壁外側に繊維状物が観察され、毛細血管などの新生も観察された。2週間後には毛細血管などは減少していたものの繊維状物の量は増え、繊維密度も増して強固な癒着形成が認められた。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000109543 【氏名又は名称】テルモ株式会社
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| 【出願日】 |
平成19年6月19日(2007.6.19) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−29824(P2008−29824A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月14日(2008.2.14) |
| 【出願番号】 |
特願2007−160886(P2007−160886) |
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