トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 腱または靱帯固定用インターフェアランススクリュー、および、腱または靱帯固定セット
【発明者】 【氏名】敷波 保夫

【要約】 【課題】移植腱または移植靱帯の端部の移植骨片の癒合期間を短縮でき、生体骨と全置換されて空洞が残らない状態で固定部分を復元できる腱または靱帯固定用インターフェアランススクリュー、及び、腱または靱帯固定セットを提供する。

【構成】腱または靱帯固定用インターフェアランススクリューは、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなるインターフェアランススクリュー1に貫通孔1cが穿孔され、該貫通孔に上記ポリマーの気孔質複合体からなる詰め物2が充填され、該詰め物に生物学的骨成長因子が含浸された構成とする。腱または靱帯固定用セットはスクリューと詰め物と骨成長因子の組合わせ、スクリューと骨成長因子含浸の詰め物の組合わせ、スクリューと骨成長因子未含浸の詰め物の組合わせとする。骨成長因子で骨癒合期間を短縮しバイオセラミックス粉体で生体骨置換を促進する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなるインターフェアランススクリューにキルシュナーワイヤを挿通する貫通孔が穿孔され、この貫通孔に、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなる詰め物が充填され、この詰め物に生物学的骨成長因子が含浸されていることを特徴とする、腱または靱帯固定用インターフェアランススクリュー。
【請求項2】
インターフェアランススクリューを構成する緻密質複合体のバイオセラミックス粉体の含有率が30〜60質量%であり、詰め物を構成する気孔質複合体のバイオセラミックス粉体の含有率が60〜80質量%であることを特徴とする請求項1に記載の腱または靱帯固定用インターフェアランススクリュー。
【請求項3】
詰め物を構成する気孔質複合体の気孔率が60〜90%であって、連続気孔が気孔全体の50%以上を占め、連続気孔の孔径が50〜600μmであることを特徴とする請求項1に記載の腱または靱帯固定用インターフェアランススクリュー。
【請求項4】
生物学的骨成長因子が、BMP(Bone Morphogenic Protein)、TGF−β(Transforming Growth Factor-b)、EP4(Prostanoid Receptor)、b−FGF(basic Fibroblast Growth Factor)、PRP(platelet-rich plasma)のいずれか単独又は二種以上の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の腱または靱帯固定用インターフェアランススクリュー。
【請求項5】
生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなり、キルシュナーワイヤを挿通する貫通孔が穿孔されたインターフェアランススクリューと、
生体内吸収性かつ生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなり、上記貫通孔に充填される詰め物と、
上記詰め物に含浸される生物学的骨成長因子と、
を組み合わせたことを特徴とする腱または靱帯固定用セット。
【請求項6】
生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなり、キルシュナーワイヤを挿通する貫通孔が穿孔されたインターフェアランススクリューと、
生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなる詰め物であって、生物学的骨成長因子が含浸され、上記貫通孔に充填される詰め物と、
を組み合わせたことを特徴とする腱または靱帯固定用セット。
【請求項7】
生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなり、キルシュナーワイヤを挿入する貫通孔が穿孔されたインターフェアランススクリューと、
生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなり、上記貫通孔に充填される詰め物と、
を組み合わせたことを特徴とする腱または靱帯固定用セット。
【請求項8】
インターフェアランススクリューを構成する緻密質複合体のバイオセラミックス粉体の含有率が30〜60質量%であり、詰め物を構成する気孔質複合体のバイオセラミックス粉体の含有率が60〜80質量%であることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の腱または靱帯固定セット。
【請求項9】
詰め物を構成する気孔質複合体の気孔率が60〜90%であって、連続気孔が気孔全体の50%以上を占め、連続気孔の孔径が50〜600μmであることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の腱または靱帯固定セット。
【請求項10】
生物学的骨成長因子が、BMP(Bone Morphogenic Protein)、TGF−β(Transforming Growth Factor-b)、EP4(Prostanoid Receptor)、b−FGF(basic Fibroblast Growth Factor)、PRP(platelet-rich plasma)のいずれか単独又は二種以上の混合物であることを特徴とする請求項5または請求項6のいずれかに記載の腱または靱帯固定セット。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、腱または靱帯の再建固定に使用される生体内分解吸収性のインターフェアランススクリュー、および、腱または靱帯固定セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、腱や靱帯の再建固定には、金属製又はセラミックス製のインターフェアランススクリューが使用されている。しかしながら、これらのスクリューは弾性率が高く、特に、金属製のインターフェアランススクリューは金属イオンの溶出によって生体に害を与える恐れがあるため、治癒後早期に体外に取り出す再手術をしなければならないという問題があった。
【0003】
このような事情から、本出願人は、生体内分解吸収性ポリマーからなるインターフェアランススクリューであって、その中心線上にキルシュナーワイヤを挿通する貫通孔を形成し、この貫通孔の上部(スクリュー頭部側の部分)を回転具嵌挿用の大きい長円形孔部とした、腱または靱帯固定用インターフェアランススクリューを既に提案した(特許文献1)。
【0004】
この腱または靱帯固定用インターフェアランススクリューは、その貫通孔にキルシュナーワイヤ(スクリューを精度良く所望の方向に導入してねじ込むためのガイド用のワイヤ)を挿通すると共に、回転具の先端部を該貫通孔の長円形孔部に嵌合して回転させながら、移植再建すべき腱や靱帯の端部を挿入した骨関節の孔(骨関節の上下双方の骨に形成した孔)に該スクリューを適正な方向にねじ込んで、腱や靱帯の端部の移植骨片を孔の内面に圧接、固定するものであり、体液との接触により生体内分解吸収性ポリマーが加水分解して生体内に吸収されるため、再手術をして体外に取り出す必要がないものであった。
【特許文献1】特開2000−166937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のインターフェアランススクリューで腱または靱帯を固定しても、腱または靱帯の端部の移植骨片が骨に開けた孔の内面と癒合(骨癒合)するまでに、他の材質である金属やバイオセラミックと同様に時間がかかるという問題があり、また、骨癒合が得られた後に、スクリューが完全に生体骨と置換して消失するまでに長期間を要するという問題があった。一方、生体骨との置換、再生を促進するにはBMP(Bone Morphogenic Protein)などの生物学的骨成長因子が有効であることは周知であるが、このような生物学的骨成長因子は生体内分解吸収性ポリマーのスクリューに直接的に含有させることはできない。なぜなら、生体内分解吸収性ポリマーのスクリューを強化、成形製造する工程で低くても摂氏100度以上の熱履歴を伴うので、これら生物学的骨成長因子が熱変性して、効力を失うからである。
【0006】
また、上記インターフェアランススクリューの貫通孔には骨組織が侵入、成長(bone ingrowth)しにくいために、該スクリューがほとんど分解吸収されて、骨置換されるまでの期間、幾分かは空洞のままで残るという問題もあった。そのために、他の部位から採取した自家骨粒を詰めることも考えられるが、採取部位は欠損部位として残るので、更に人工骨粒片の充填を計らなければならず、自骨による完全な修復にはならない。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決し得る腱または靱帯固定用インターフェアランススクリュー、および、腱または靱帯固定セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る腱または靱帯固定用インターフェアランススクリューは、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなるインターフェアランススクリューにキルシュナーワイヤを挿通する貫通孔が穿孔され、この貫通孔に、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなる詰め物が充填され、この詰め物に生物学的骨成長因子が含浸されていることを特徴とするものである。
【0009】
そして、上記の目的を達成する本発明の請求項5に係る腱または靱帯固定セットは、(1)生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなり、キルシュナーワイヤを挿通する貫通孔が穿孔されたインターフェアランススクリューと、(2)生体内吸収性かつ生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなり、上記貫通孔に充填される詰め物と、(3)上記詰め物に含浸される生物学的骨成長因子と、を組み合わせたことを特徴とするものであり、
本発明の請求項6に係る腱又は靱帯固定セットは、(1)生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなり、キルシュナーワイヤを挿通する貫通孔が穿孔されたインターフェアランススクリューと、(2)生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなる詰め物であって、生物学的骨成長因子が含浸され、上記貫通孔に充填される詰め物と、を組み合わせたことを特徴とするものであり、
本発明の請求項7に係る腱又は靱帯固定セットは、(1)生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなり、キルシュナーワイヤを挿入する貫通孔が穿孔されたインターフェアランススクリューと、(2)生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなり、上記貫通孔に充填される詰め物と、を組み合わせたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の腱または靱帯固定用インターフェアランススクリュー、および、腱または靱帯固定セットにおいては、インターフェアランススクリューを構成する緻密質複合体のバイオセラミックス粉体の含有率が30〜60質量%であり、詰め物を構成する気孔質複合体のバイオセラミックス粉体の含有率が60〜80質量%であることが好ましい。そして、詰め物を構成する気孔質複合体の気孔率が60〜90%であって連続気孔が気孔全体の50%以上を占め、連続気孔の孔径が50〜600μmであることが好ましい。また、生物学的骨成長因子としてBMP(Bone Morphogenic Protein)、TGF−β(Transforming Growth Factor-b)、EP4(Prostanoid Receptor)、b−FGF(basic Fibroblast Growth Factor)、PRP(platelet-rich plasma)のいずれか単独又は二種以上の混合物が好適に含浸される。
【発明の効果】
【0011】
骨関節の上下双方の骨に形成した孔に、例えば移植腱の端部の移植骨片を挿入し、この移植骨片と孔の内面との間に本発明の腱または靱帯固定用インターフェアランススクリューをねじ込むことによって移植骨片を孔の内面に圧接、固定すると、バイオセラミックス粉体を含有させた生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体よりなるインターフェアランススクリュー自体は、貫通孔を穿孔した中空体でありながら充分な機械的強度を持ち、体液による加水分解が早くないため通常の骨癒合に必要な少なくも3カ月以上の期間その強度を維持して確実に移植腱端部の移植骨片を孔の内面に圧接、固定できる。一方、インターフェアランススクリューの貫通孔に挿入された、バイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなる詰め物は、海綿骨様の多孔体であって、体液や骨芽細胞が連続気孔を通じて気孔質複合体の内部に浸透し、バイオセラミックス粉体の生体活性により骨伝導性と骨誘導性を発揮しながら、緻密質複合体のスクリューよりも早く分解、吸収される。そして、この分解、吸収に先行ないしは並行して、担持しているBMPなどの生物学的骨成長因子が徐々に放出されるので、生体骨(自家骨)の誘導形成が効率良く促進され、通常の骨癒合に必要な期間である3カ月よりもかなり早く、数週間程度で骨癒合が完成されて、移植骨片と孔の内面(生体骨)とが固定されるようになる。その後、スクリューと詰め物は更に分解、吸収が進行し、最終的には骨伝導ないし骨誘導により形成された生体骨と完全に置換して、スクリューの貫通孔が空洞として残らない元の状態に復元される。また、気孔質複合体からなる詰め物に含浸されている生物学的骨成長因子は、スクリュー製造時の熱履歴がないので熱変性の心配はなく、加えて、芯材や骨接合材本体に含まれるバイオセラミックス粉体は生体内吸収性であるため、置換した生体骨に残存、堆積したり、軟組織や血管内に浸出、残存することもない。また、インターフェアランススクリューの表層部は、加水分解に伴って伝導形成される骨組織により、移植腱の端部の移植骨片や孔の内面と早期に結合するため、スクリューの緩み等を防止することもできる。
【0012】
また、本発明の請求項5に係る腱または靱帯固定セットは、次の要領で腱や靱帯の再建固定に用いられる。まず、骨関節の上下双方の骨に形成した孔に例えば移植腱の端部の移植骨片を挿入し、インターフェアランススクリューの貫通孔にキルシュナーワイヤと回転具の先端部を挿入して回転させながら、骨に形成した孔の内面と移植骨片との間にインターフェアランススクリューを適正な方向にねじ込んで移植骨片を該孔の内面に圧接固定する。次いで、回転具とキルシュナーワイヤをインターフェアランススクリューの貫通孔から抜き取って、この貫通孔に詰め物を充填し、この詰め物を充填した後、または、充填する前に、BMPなどの生物学的骨成長因子を詰め物に注入、含浸させる。このように請求項5の腱または靱帯固定セットを用いて腱の移植、再建を行うと、前述した請求項1の腱または靱帯固定用インターフェアランススクリューと同様の作用効果が得られる。
【0013】
本発明の請求項6の腱または靱帯固定セットは、請求項5の腱または靱帯固定セットと同じ要領で、そのインターフェアランススクリューを孔の内面と移植腱端部の移植骨片との間にねじ込んで移植骨片を固定した後、生物学的骨成長因子が含浸された詰め物をスクリューの貫通孔に充填して使用するものであり、このように使用することによって前述した請求項1の腱または靱帯固定用インターフェアランススクリューと同様の作用効果が得られる。
【0014】
更に、本発明の請求項7の腱または靱帯固定セットは、請求項5の腱または靱帯固定セットと同じ要領で、そのインターフェアランススクリューを孔の内面と移植腱端部の移植骨片との間にねじ込んで移植骨片を固定した後、スクリューの貫通孔に詰め物を充填してこれに生物学的骨成長因子を注入、含浸させるか、或いは、先に生物学的骨成長因子を詰め物に含浸させてこれをスクリューの貫通孔に充填することにより使用されるものであり、このように使用することによって上記請求項1の腱または靱帯固定用スクリューと同様の作用効果が得られる。
【0015】
そして、インターフェアランススクリューを構成する緻密質複合体のバイオセラミックス粉体の含有率を30〜60質量%とし、詰め物を構成する気孔質複合体のバイオセラミックス粉体の含有率を60〜80質量%とし、気孔質複合体の気孔率を60〜90%とし、その連続気孔が気孔全体の50%以上を占めるようにし、連続気孔の孔径を50〜600μmとしたものは、インターフェアランススクリューや詰め物に必要な強度を損なうことなく、良好な骨伝導性、骨誘導性を発揮して生体骨と置換、再生することができ、また、詰め物に対して生物学的骨成長因子を容易かつ速やかに含浸させることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0017】
図1は本発明に係る腱または靱帯固定用インターフェアランススクリューの一実施形態を示すもので、(a)はその正面図、(b)はその縦断面図、(c)はその平面図である。
【0018】
この腱または靱帯固定用インターフェアランススクリューは、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなるインターフェアランススクリュー1(以下、単にスクリューと記す)の中心線上にキルシュナーワイヤを挿通する貫通孔1cが穿孔され、この貫通孔1cに、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなる詰め物2が充填され、この詰め物2に生物学的骨成長因子が含浸されたものである。
【0019】
このスクリュー1は、スクリュー頭部1aが略半球形に形成されており、スクリュー頭部1aの直径はネジ山1bの外径と略同一になっている。そして、ネジ山1bの頂部は切削されて平坦面とされ、特に、スクリュー先端に近いネジ山1bの頂部は大きく切削されて外径が小さくなっており、骨関節の骨にあけた孔の内面とこの孔に挿入される移植腱などの端部の移植骨片とにネジ山頂部の平坦面が圧接しながら孔の内部に深くスムーズにねじ込むことができるスクリュー形状となっている。
【0020】
このスクリュー1の中心線CL上には、キルシュナーワイヤを挿通する貫通孔1cが穿孔されており、この貫通孔1cは、キルシュナーワイヤのみを挿通する真円形孔部1eと、その上側の回転具の先端部をも嵌挿する大きい長円形孔部1dが連続して形成されたものである。回転具の先端部を嵌挿する孔部1dは長円形孔部に限定されるものではなく、例えば、楕円形、四角形、六角形の孔など、回転具の先端部が空回りしないで回転力をスクリュー1に伝達できる形状の孔部であればよい。
【0021】
このスクリュー1には、腱または靱帯固定用のスクリューとして必要な強度を維持できる範囲内で、貫通孔1c(1d,1e)に連通する複数の小孔(不図示)を穿設してもよい。このような小孔を穿設すると、体液や骨芽細胞が該小孔を通じて貫通孔内に充填された詰め物2に侵入し易くなると共に、詰め物2の分解、吸収に伴って、含浸されている生物学的骨成長因子が放出し易くなるので、生体骨の成長や骨癒合を一層促進できる利点がある。
【0022】
このスクリュー1は、既述したように生体内吸収性かつ生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなるものであって、骨関節の上下の骨(硬骨)と同等もしくはそれ以上の大きい強度が要求されるものであるから、原料の生体内分解吸収性ポリマーとしては、結晶性のポリ−L−乳酸やポリグリコール酸などが適しており、特に、粘度平均分子量が15万以上、望ましくは20万〜60万程度のポリ−L−乳酸は極めて好ましく使用される。
【0023】
スクリュー1を構成する緻密質複合体に含有させるバイオセラミックス粉体としては、生体活性があり、生体内吸収性で生体に全吸収されて骨組織と完全に置換され、良好な骨伝導(誘導)能と良好な生体親和性を有する、未仮焼かつ未焼成のハイドロキシアパタイト、未仮焼かつ未焼成のリン酸カルシウム、ジカルシウムホスフェート、トリカルシウムホスフェート、テトラカルシウムホスフェート、オクタカルシウムホスフェート、カルサイト、セラバイタル、ジオプサイト、天然珊瑚等の粉体が好ましく使用される。その中でも、未仮焼かつ未焼成のハイドロキシアパタイト、トリカルシウムホスフェート、オクタカルシウムホスフェートは、生体活性が極めて高く、骨伝導能に優れ、為害性が低く、短期間で生体に吸収されるので、最適である。これらのバイオセラミックス粉体は、生体内分解吸収性ポリマーへの分散性や生体への吸収性を考慮すると、30μm以下、好ましくは10μm以下、更に好ましくは0.1〜5μm程度の粒径を有するものが使用される。
【0024】
スクリュー1を構成する緻密質複合体のバイオセラミックス粉体の含有率は、30〜60質量%の範囲内であることが好ましく、60質量%を上回ると、緻密質複合体が脆弱化してスクリュー1の強度不足を招く恐れがあり、30質量%を下回ると、バイオセラミックス粉体による骨伝導形成が不充分になって、スクリュー1が骨組織と全置換するのに長期間を要するといった不都合が生じる。このバイオセラミックス粉体の含有率は、30〜60質量%の範囲内で、スクリュー1を構成する緻密質複合体の全体に亘って一定していてもよいし、また、緻密質複合体の中心部から外周に向かって順次高くなるように連続的に変化していてもよい。後者のようにバイオセラミックス粉体の含有率が傾斜した緻密質複合体よりなるスクリュー1は、バイオセラミックス粉体の含有率が高い外周部分(スクリュー頭部1aの外周部分やスクリュー軸部の外周部分)に骨組織が早期に伝導形成され、骨関節の上下の骨に形成した孔の内面や該孔に挿入した移植腱端部の移植骨片と早期に結合するため、スクリュー1に緩みなどを生じなくなる利点がある。
【0025】
上記のスクリュー1は、バイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーを成形して円柱状の緻密質複合体の成形塊を造り、この成形塊を図1に示すようなスクリュー形状に切削加工することによって製造される。その場合、圧縮成形や鍛造成形の手段により緻密質複合体の成形塊を造って切削加工すると、緻密質複合体が圧縮されて緻密の程度が更に高くなると共に、ポリマー分子や結晶が三次元に配向するため、強度が一段と大きいスクリュー1を得ることが可能となる。また、延伸成形によってポリマー分子を一軸配向させた成形塊を切削加工してスクリュー1を製造してもよい。
【0026】
一方、詰め物2は、スクリュー1の貫通孔1cに対応合致した柱状に形成されている。即ち、この詰め物2は、キルシュナーワイヤのみを挿通する真円形孔部1eに対応合致した真円形の断面と長さを有する柱状部2bと、その上側の回転具も嵌挿される大きい長円形孔部1dに対応合致した長円形の断面と長さを有する柱状部2aとを上下に一体化した形状とされている。
【0027】
この詰め物2は、既述したように生体内吸収性かつ生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなるものであって、内部に連続気孔を有し、この連続気孔の内面や気孔質複合体の表面にバイオセラミックス粉体が一部露出している。
【0028】
この詰め物2を構成する気孔質複合体は、緻密質複合体からなるスクリュー1のような大きい強度が必要でなく、スクリュー1の貫通孔1cに充填する際に壊れない程度の強度と柔軟性があれば足るものであり、且つ、速やかに分解して生体骨との全置換が早期に行われることが必要なものであるから、気孔質複合体の原料となる生体内分解吸収性ポリマーとしては、安全で、分解が速く、あまり脆くない、非晶質もしくは結晶と非晶の混在したポリ−D,L−乳酸、L−乳酸とD,L−乳酸の共重合体、乳酸とグリコール酸の共重合体、乳酸とカプロラクトンの共重合体、乳酸とエチレングリコールの共重合体、乳酸とパラ−ジオキサノンの共重合体などが適しており、これらは単独で、或いは二種以上混合して使用される。これらの生体内分解吸収性ポリマーは、気孔質複合体からなる詰め物2に必要な強度や生体内での分解吸収の期間などを考慮すると、5万〜60万程度の粘度平均分子量を有するものが好ましく使用される。
【0029】
詰め物2を構成する気孔質複合体は、必要な物理的強度、生物学的骨成長因子の含浸性、骨芽細胞の侵入及び安定化などを考慮すると、その気孔率が60〜90%、好ましくは65〜85%であって、連続気孔が気孔全体の50%以上、好ましくは70〜90%を占めており、連続気孔の孔径が50〜600μm、好ましくは100〜400μmであることが望ましい。気孔率が90%を上回り、孔径が600μmより大きくなると、気孔質複合体の物理的な強度が低下して詰め物2が脆くなる。一方、気孔率が60%を下回ると共に、気孔が気孔全体の50%を下回り、孔径が50μmよりも小さくなると、適量の生物学的骨成長因子を速やかに注入、含浸させることが難しくなり、また、体液や骨芽細胞の侵入も困難になって、気孔質複合体の加水分解や骨組織の誘導形成が遅くなるため、生体骨との全置換によりスクリュー1の貫通孔1cが埋まるまでに要する時間が長くなる。但し、上記の好適な孔径と併存して1〜0.1μmのサブミクロン程度微細な連続気孔が存在すると、骨誘導性が発現されることが見出されている。
【0030】
詰め物2を構成する気孔質複合体の気孔率は、60〜90%の範囲内で、該複合体の全体に亘って一定していてもよいし、外周面や上下両端面に近づくほど気孔率が連続的に高くなっていてもよい。また、連続気孔の孔径は、50〜600μmの範囲内で、該複合体の全体に亘って一定していてもよいし、外周面や上下両端面に近づくほど順次大きくなっていてもよい。気孔率や孔径が上記ように傾斜した気孔質複合体からなる詰め物2は、気孔率や孔径が大きい上下両端面や外周面から適量の生物学的骨成長因子を速やかに注入、含浸させることができ、上下両端面や外周面からの加水分解が速く、骨芽細胞の侵入、骨組織の誘導形成が活発であるため、生体骨との置換が更に促進されるようになる。
【0031】
詰め物2を構成する気孔質複合体に含有させるバイオセラミックス粉体は前述のスクリュー1を構成する緻密質複合体に含有させるバイオセラミックス粉体と同じものが使用されるが、特に、0.1〜5μm程度の粒径を有するバイオセラミックス粉体は、後述する方法で気孔質複合体を作製する際にスプレー等の手段で形成される繊維を短く切断する心配がなく、また、生体への吸収性も良好であるため、好ましく使用される。
【0032】
詰め物2を構成する気孔質複合体のバイオセラミックス粉体の含有率は、60〜80質量%であることが好ましく、この範囲内で気孔質複合体の全体に亘って含有率が一定していてもよいし、外周面や上下両端面に近づくほど含有率が連続的に高くなっていてもよい。含有率が80質量%を上回ると、気孔質複合体の気孔率が高いことと相俟って、気孔質複合体よりなる詰め物2の物理的強度の低下を招くという不都合が生じ、60質量%を下回ると、気孔質複合体の生体活性が低下するため、骨組織の誘導形成が遅くなって、生体骨との全置換に要する時間が長くなるという不都合が生じる。バイオセラミックス粉体の更に好ましい含有率は、60〜70質量%である。また、含有率が上記のように傾斜した気孔質複合体は、含有率の高い表層の生体活性が大きく、骨芽細胞や骨組織の誘導形成が特に活発となるため、生体骨との置換が一層促進される。
【0033】
気孔質複合体よりなる詰め物2に含浸させる生物学的骨成長因子としては、BMP(Bone Morphogenic Protein)、TGF−β(Transforming Growth Factor-b)、EP4(Prostanoid Receptor)、b−FGF(basic Fibroblast Growth Factor)、PRP(platelet-rich plasma)などがあり、これらは単独で、又は、二種以上混合して含浸される。また、これらの生物学的骨成長因子に生体由来の骨芽細胞を加えて詰め物2に含浸させることも好ましい。これらの生物学的骨成長因子や、生体由来の骨芽細胞を加えたものは、注射液や点滴液として可溶化、あるいは懸濁された状態で、芯材2に含浸される。
【0034】
これらの生物学的骨成長因子や骨芽細胞を芯材2に含浸させると、芯材2の加水分解に先行ないしは並行して生物学的骨成長因子等が滲出し、骨芽細胞の増殖、成長を大幅に促進するので、数週間程度で骨癒合(例えば移植腱端部の移植骨片と、関節の上下の骨にあけた孔の内面との癒合)が完成すると共に、詰め物2を構成する気孔質複合体の表層部分に骨組織が形成されるようになり、その後すみやかに気孔質複合体の全体が生体骨と全置換されて、スクリュー1の貫通孔1cが生体骨で埋まるようになる。上記の生物学的骨成長因子のうち、BMP、EP4は硬骨の成長に特に有効である。また、PRPは、血小板が豊富に濃縮された血漿であり、これを添加すると、新生骨の形成が促進される。なお、場合によっては、IL−1、TNF−α、TNF−β、IFN−γなどの他の成長因子を混合してもよい。
【0035】
また、この気孔質複合体よりなる詰め物2の表面には、コロナ放電、プラズマ処理、過酸化水素処理などの酸化処理を施してもよく、このような酸化処理を施すと、詰め物2の表面の濡れ特性が改善され、詰め物2と貫通孔1cとの微小な隙間を通じて骨芽細胞が連続気孔内に一層効果的に侵入して成長するため、生体骨との全置換が更に促進されてスクリュー1の貫通孔1cが早期に生体骨で埋まるようになる。尚、この酸化処理は、緻密質複合体よりなるスクリュー1の表面に施しても勿論よい。
【0036】
上記の気孔質複合体よりなる詰め物2は、例えば次の方法によって作製することができる。まず、揮発性溶媒に生体内分解吸収性ポリマーを溶解すると共に、バイオセラミックス粉体を混合して懸濁液を調製し、この懸濁液をスプレー等の手段で繊維化して繊維の絡み合った繊維集合体を形成する。そして、この繊維集合体を、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジクロロエタン(メタン)、クロロホルムなどの揮発性溶剤に浸漬して膨潤または半溶融状態とし、これを加圧して、スクリュー1の貫通孔1cに対応合致する柱状の多孔質の繊維融着集合体となし、この繊維融着集合体の繊維を収縮、融合させながら実質的に繊維状の形態を消失させてマトリクス化し、繊維間空隙が丸みを有する連続気孔となった気孔質複合体に形態変化させて詰め物2を作製する。
【0037】
以上のような腱又は靱帯固定用インターフェアランススクリューを用いて、骨関節の上下の骨に形成された孔の内面と、この孔に挿入された例えば移植腱の端部の移植骨片との間に、上記スクリュー1をねじ込むことによって、移植骨片を孔の内面に圧接、固定すると、バイオセラミックス粉体を含有させた生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体よりなるスクリュー1自体は、貫通孔を穿孔した中空体でありながら充分な機械的強度を持ち、体液による加水分解が早くないため、移植腱端部の移植骨片と孔の内面の生体骨との骨癒合に必要な少なくも3カ月以上の期間その強度を維持して確実に移植腱端部の移植骨片を孔の内面に圧接、固定できる。一方、スクリュー1の貫通孔1cに挿入された、バイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなる詰め物2は、体液や骨芽細胞が連続気孔を通じて気孔質複合体の内部に浸透し、バイオセラミックス粉体の生体活性により骨伝導性ないし骨誘導性を発揮しながら、緻密質複合体のスクリューよりも早く分解、吸収される。そして、この分解、吸収に先行ないしは並行して、担持しているBMPなどの生物学的骨成長因子が徐々に放出されるので、通常の骨癒合に必要な期間である3カ月よりもかなり早く、部位や骨成長因子によっても異なるが、数週間程度で骨癒合が完成されて、移植骨片と孔の内面(生体骨)とが固定されるようになると共に、詰め物2への生体骨の誘導形成が効率良く促進される。その後、スクリュー1と詰め物2は更に分解、吸収が進行し、最終的には骨伝導ないし骨誘導により形成された生体骨と完全に置換して、スクリュー1の貫通孔1cが空洞として残らない元の状態に復元される。また、気孔質複合体からなる詰め物に含浸されている生物学的骨成長因子は、スクリュー製造時の熱履歴がないので熱変性の心配はなく、加えて、芯材や骨接合材本体に含まれるバイオセラミックス粉体は生体内吸収性であるため、置換した生体骨に残存、堆積したり、軟組織や血管内に浸出、残存することもない。更に、スクリュー1の表層部は、加水分解に伴って伝導形成される骨組織により、移植腱の端部の移植骨片や孔の内面と早期に結合するため、スクリュー1の緩み等を防止することもできる。
【0038】
図2は本発明に係る腱または靱帯固定セットの一実施形態を示すもので、(a)は同セットのインターフェアランススクリューの正面図、(b)は同セットの詰め物の正面図、(c)は同セットの生物学的骨成長因子を入れた容器の正面図である。
【0039】
この腱または靱帯固定セットは、中心線上にキリシュナーワイヤを挿通する貫通孔1cが穿孔されたスクリュー1と、この貫通孔1cに充填される詰め物2と、アンプルなどの容器6に封入された生物学的骨成長因子とを組み合わせ、例えば袋やケースなどに詰めるようにしたものである。このスクリュー1は、前述した図1のスクリュー1と同じものであり、芯材2も前述した図1の芯材2と同じものであるので、図2において、対応する部分に対応する符号を付して説明を省略する。また、生物学的骨成長因子も、前述した図1の芯材2に含浸された生物学的骨成長因子と同じものであり、注射液や点滴液として可溶化、あるいは懸濁された状態で容器6に封入されたものであるので、説明を省略する。
【0040】
このような腱または靱帯固定セットを用いて、例えば膝関節の腱の移植再建を行う場合は、図4に示すように、大腿骨3と脛骨4に孔3a,4aをあけ、両端に移植骨片5a,5aを有するように採取した移植腱5をこれらの孔3a,4aに通す。そして、スクリュー1の貫通孔1cにキルシュナーワイヤ(不図示)と回転具(不図示)の先端部を挿入してスクリュー1cを回転させながら、一方の孔3aの内面と移植骨片5aとの間の適正な位置にスクリュー1を適正な方向にねじ込むことによって、移植骨片5aを孔3aの反対側内面に圧接固定する。次いで、回転具とキルシュナーワイヤを抜き取り、スクリュー1の貫通孔1cに詰め物2を充填した後、容器6を開けて生物学的骨成長因子を詰め物2に含浸させるか、或いは、詰め物2を充填する前に容器6を開けて生物学的骨成長因子を詰め物2に含浸させる。同様に、他方の孔4aの内面と移植骨片5aとの間にもスクリュー1をねじ込んで移植骨片5aを圧接固定し、貫通孔1cへの詰め物2の充填と、詰め物2への生物学的骨成長因子の含浸を行って、腱の移植、固定作業を完了する。尚、靱帯の移植固定も上記とほぼ同様の作業で行われる。
【0041】
上記のようにして移植腱を固定すると、スクリュー1が移植骨片5aと孔3a,4aの内面との骨癒合に通常必要な少なくとも3カ月の期間、充分な強度を保持して骨接合部分を確実に固定し、一方、詰め物2は速やかに加水分解されながら生物学的骨成長因子を放出するため、部位や骨成長因子によっても異なるが、数週間程度で移植骨片5aと孔3a,4aの内面との骨癒合が完成し、かつ、バイオセラミックス粉体の生体活性によって比較的早期に詰め物2が生体骨と置換するため貫通孔1cbが生体骨で埋まるようになる。そして、最終的にスクリュー1も生体骨と全置換して消失し、貫通孔1cが空洞として残らない状態で復元される。
【0042】
図3は本発明に係る腱または靱帯固定セットの他の実施形態を示すもので、(a)は同セットのスクリューの縦正面図、(b)同セットの詰め物の縦断面図である。
【0043】
この腱または靱帯固定セットは、スクリュー1の貫通孔1cがスクリュー全長に亘って長円形の開口断面を有する直孔に形成されている点、これに対応して詰め物2も長円形の断面形状を有する柱状に形成されている点、および、容器などに封入した生物学的骨成長因子を組合わせの構成材料としないで、スクリュー1と詰め物2だけを組み合わせて袋やケースなどに詰めるようにした点において、前述の図2に示す腱または靱帯固定セットと相違している。このように貫通孔1cとして長円形の直孔を形成したスクリュー1は、貫通孔1cの切削加工が容易であるが、キルシュナーワイヤを挿通してスクリュー1をねじ込む際に回転中心が多少振れる恐れがあるので、これを防止するために、貫通孔1cの下端部に鎖線で示すようにテーパー1fを設けて貫通孔1cの下端開口1gがキルシュナーワイヤの直径とほぼ同じ孔径を有する真円となるようにし、詰め物2をこれに対応合致する形状とすることが好ましい。
【0044】
尚、このスクリュー1を構成する生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体、含有されるバイオセラミックス粉体、その含有率などは、前述した図1のスクリュー1のそれらと同様であるので、説明を省略する。また、この詰め物2を構成する生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体、その気孔率、連続気孔の占める割合、連続気孔の孔径、含有されるバイオセラミックス粉体、その含有率なども、前述した図1の詰め物2のそれらと同様であるので、説明を省略する。
【0045】
このような腱または靱帯固定セットは、前述した図2の固定セットと同じ要領で、関節の上下の骨に形成した孔の内面と、この孔に挿入した移植腱(又は移植靱帯)の移植骨片との間にスクリュー1をねじ込んでに固定し、キルシュナーワイヤを抜き取った後、スクリュー1の貫通孔1cに詰め物2を充填して、別途準備した生物学的骨成長因子を詰め物2に含浸させるか、或いは、生物学的骨成長因子を詰め物2に含浸させてからスクリュー1の貫通孔1cに詰め物2を充填することによって、移植腱(又は移植靱帯)の固定を行う。このようにすると、前述した図2の腱または靱帯固定セットと同様の作用効果が得られる。
【0046】
また、生物学的骨成長因子を組合わせの構成材料としないもう一つの実施形態に係る腱または靱帯固定セットとしては、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの緻密質複合体からなり、その中心線上にキルシュナーワイヤを挿通する貫通孔が穿孔されたインターフェアランススクリューと、生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなる詰め物であって生物学的骨成長因子が含浸されたものとを組み合わせたセットを挙げることができる。
【0047】
このような腱または靱帯固定セットは、前述した図2の固定セットと同じ要領で、関節の上下の骨に形成した孔の内面と、この孔に挿入した移植腱(又は移植靱帯)の移植骨片との間にスクリューをねじ込んでに固定し、キルシュナーワイヤを抜き取った後、生物学的骨成長因子が含浸された詰め物をスクリューの貫通孔に充填して移植腱(又は移植靱帯)の固定を行うことにより、前述した図2の腱または靱帯固定セットと同様の作用効果が得られる。
【0048】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る腱または靱帯固定用インターフェアランススクリューや、腱または靱帯固定セットを用いて腱や靱帯の再建、固定を行うと、詰め物から放出される生物学的骨成長因子によって、関節の上下の骨に形成した孔の内面と、この孔に挿入された移植腱または移植靱帯の移植骨片との骨癒合期間が大幅に短縮されるため、患者も医者も病院も多大の利益を受けることができ、かつ、スクリューや詰め物に含まれる生体活性なバイオセラミックス粉体の骨伝導ないし骨誘導により生体骨が置換、再生されて空洞が残らない状態で復元されるといった顕著な効果が得られる。
【0049】
尚、以上説明した腱または靱帯固定用インターフェアランススクリュー、腱または靱帯固定セットはいずれも、詰め物2が生体内吸収性で生体活性なバイオセラミックス粉体を含んだ生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体からなるものであるが、バイオセラミックス粉体を含まない生体内分解吸収性ポリマーの気孔質複合体で詰め物2を形成し、この詰め物2に生物学的骨成長因子を含浸させるように構成してもよい。このようにバイオセラミックス粉体を含まない詰め物2に生物学的骨成長因子を含浸させるようにすると、バイオセラミックス粉体を含む芯材に比べて、生体骨の伝導ないし誘導形成は多少劣るようになるのは否めないが、詰め物2に担持された生物学的骨成長因子が放出されることによって、移植腱や移植靱帯の端部の移植骨片の骨癒合が数週間程度で完成するため、患者の離床時期が大幅に短縮されて、患者、医師、病院がともに大きい利益を受けられるようになり、本発明の主たる目的の一つを充分達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る腱または靱帯固定用インターフェアランススクリューの一実施形態を示すもので、(a)はその正面図、(b)はその縦断面図、(c)はその平面図である。
【図2】本発明に係る腱または靱帯固定セットの一実施形態を示すもので、(a)は同セットのインターフェアランススクリューの正面図、(b)は同セットの詰め物の正面図、(c)は同セットの生物学的骨成長因子を入れた容器の正面図である。
【図3】本発明に係る腱または靱帯固定セットの他の実施形態を示すもので、(a)は同セットのスクリューの縦正面図、(b)同セットの詰め物の縦断面図である。
【図4】本発明に係る腱または靱帯固定セットの一使用例の説明図である。
【符号の説明】
【0051】
1 インターフェアランススクリュー
1a スクリュー頭部
1b ネジ山
1c 貫通孔
1d 回転具の先端部を嵌挿する長円形孔部
1e キルシュナーワイヤのみを挿通する真円形孔部
2 詰め物
6 生物学的骨成長因子を封入した容器
CL 中心線
【出願人】 【識別番号】000108719
【氏名又は名称】タキロン株式会社
【出願日】 平成18年7月31日(2006.7.31)
【代理人】 【識別番号】100090608
【弁理士】
【氏名又は名称】河▲崎▼ 眞樹


【公開番号】 特開2008−29746(P2008−29746A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−209013(P2006−209013)