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【発明の名称】 空気調和装置
【発明者】 【氏名】西原 卓郎

【要約】 【課題】湿式による空気除菌機能を備えるとともに、円滑に室内に空調された空気を供給することのできる空気調和装置を提供する。

【構成】空気の吸込口21および一又は複数の吹出口22a、22bを備えた筐体23と、吸込口21から吹出口22a、22bに向けて複数の空気導通経路A、Bをそれぞれ形成する複数の送風ファン25a、25bと、複数の空気導通経路25a、25b上に配置される熱交換器24と、少なくともいずれか一の空気導通経路A上に配置され、空気導通経路Aを介して供給される空気に除菌効果を有する液体を接触させて空気を除菌する空気除菌手段5とを備えた空気調和装置100に、熱交換器24と空気除菌手段5のうち熱交換器24のみが配置される空気導通経路Bを設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の吸込口および一又は複数の吹出口を備えた筐体と、
前記吸込口から前記吹出口に向けて前記筐体内に一又は複数の空気導通経路をそれぞれ形成する複数の送風ファンと、
前記複数の送風ファンにより形成される複数の空気導通経路上に配置される熱交換器と、
少なくともいずれか一の空気導通経路上に配置され、当該空気導通経路を介して供給される空気に除菌効果を有する液体を接触させて空気を除菌する空気除菌手段と、
を備え、
前記複数の送風ファンにより形成される複数の空気導通経路において少なくともいずれか一の空気導通経路には、前記熱交換器と前記空気除菌手段のうち前記熱交換器のみが配置されること、
を特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
空気の吸込口を備えた筐体と、
前記筐体の上部および下部にそれぞれ設けられた上部吹出口および下部吹出口と、
前記吸込口から前記上部吹出口に向けて前記筐体内に上部空気導通経路を形成する上部送風ファンと、
前記吸込口から前記下部吹出口に向けて前記筐体内に下部空気導通経路を形成する下部送風ファンと、
前記上部空気導通経路および下部空気導通経路上に配置される熱交換器と、
前記上部空気導通経路上に配置されて、当該上部空気導通経路を介して供給された空気に除菌効果を有する液体を接触させて除菌する空気除菌手段と、
を備えたことを特徴とする空気調和装置。
【請求項3】
請求項2記載の空気調和装置において、
前記上部空気導通経路上に上流側から下流側に向けて前記熱交換器、空気除菌手段の順に配置されていること、
を特徴とする空気調和装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の空気調和装置において、
前記熱交換器の幅と前記空気除菌手段の幅とは略同一に形成されており、前記熱交換器の高さに対して前記空気除菌手段の高さは約1/2〜約1/4に形成され、
前記筐体内において、前記空気除菌手段は前記熱交換器の上部側に配置されており、
前記熱交換器の上端部側に前記上部送風ファンが、前記熱交換器の下端部側に前記下部送風ファンが配置されること、
を特徴とする空気調和装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気調和装置において、
前記熱交換器の下部に配設されるドレンパンと、
前記空気除菌手段から排出される前記液体を受けるサブドレンパンと、
前記サブドレンパンに接続され、前記サブドレンパンにおいて受けた前記液体を前記ドレンパンに導入するドレン管と、
を備えることを特徴とする空気調和装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、空中浮遊微生物(細菌、ウィルス、真菌(以下、単に「ウィルス等」という。))の除去を行う空気除菌機能を備えた空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アルカリ性電解水などの除菌効果を有する液体に空気を接触させることにより、空気中に含まれる有害物質を分解・除去等して、空気の浄化(除菌)を行う方法が知られている。また、除菌後の空気を空気調和装置に供給し、有害物質の分解・除去が行われた空気に対して冷暖房、除湿等を行い、室内に快適な空気を供給するようにすることも行われている(例えば、「特許文献1」参照。)。
【特許文献1】特開2003−250876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来の空気除菌装置は、空気を除菌する際に、除菌効果を有する液体で湿らせた不織布に空気を接触させていた。この様な湿式による除菌方法を採用した空気除菌機能を空気調和装置に付加する場合、不織布を通風させて除菌後の空気を室内に供給することになるため、不織布等の気液接触部材における通風抵抗が大きく、送風ファンによる風量が減少し、空調された空気を円滑に室内に供給することができず、空調能力が低下する可能性があった。
本発明の課題は、湿式による空気除菌機能を備えるとともに、円滑に室内に空調された空気を供給することのできる空気調和装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明の空気調和装置は、空気の吸込口および一又は複数の吹出口を備えた筐体と、前記吸込口から前記吹出口に向けて前記筐体内に一又は複数の空気導通経路をそれぞれ形成する複数の送風ファンと、前記複数の送風ファンにより形成される複数の空気導通経路上に配置される熱交換器と、少なくともいずれか一の空気導通経路上に配置され、当該空気導通経路を介して供給される空気に除菌効果を有する液体を接触させて空気を除菌する空気除菌手段と、を備え、前記複数の送風ファンにより形成される複数の空気導通経路において少なくともいずれか一の空気導通経路には、前記熱交換器と前記空気除菌手段のうち前記熱交換器のみが配置されること、を特徴とする。
上記構成によれば、筐体に空気の吸込口および一又は複数の吹出口が備えられ、複数の送風ファンにより吸込口から吹出口に向けて筐体内にそれぞれ一又は複数の空気導通経路が形成される。そして、複数の送風ファンにより形成される複数の空気導通経路上に熱交換器が配置され、少なくともいずれか一の空気導通経路に空気除菌手段が配置される。空気導通経路上に配置される空気除菌手段では、空気導通経路を介して供給された空気に除菌効果を有する液体を接触させて、湿式により除菌を行う。ここで、複数形成される空気導通経路において、熱交換器と空気除菌手段のうち、熱交換器のみが配置される空気導通経路を有している。このため、湿式により空気を除菌する際に、空気除菌手段における通風抵抗(空気抵抗)が大きくなり、風量が減少したとしても、熱交換器のみが配置される空気導通経路を有しているので、熱交換器のみが配置される空気導通経路において十分な風量を確保することができ、円滑に室内に空調された空気を供給できる。
【0005】
また、本発明の空気調和装置は、空気の吸込口を備えた筐体と、前記筐体の上部および下部にそれぞれ設けられた上部吹出口および下部吹出口と、前記吸込口から前記上部吹出口に向けて前記筐体内に上部空気導通経路を形成する上部送風ファンと、前記吸込口から前記下部吹出口に向けて前記筐体内に下部空気導通経路を形成する下部送風ファンと、前記上部空気導通経路および下部空気導通経路上に配置される熱交換器と、前記上部空気導通経路上に配置されて、当該上部空気導通経路を介して供給された空気に除菌効果を有する液体を接触させて除菌する空気除菌手段とを備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、筐体に空気の吸込口と上部吹出口と下部吹出口が設けられている。そして、吸込口から吸い込まれた空気は、上部送風ファン又は下部送風ファンにより上部空気導通経路又は下部空気導通経路を経由して上部吹出口または下部吹出口から吹き出される。そして、熱交換器は上部空気導通経路上であって、かつ、下部空気導通経路上に配置されるので、上部空気導通経路および下部空気導通経路を介して上部吹出口および下部吹出口から熱交換後の空調された空気を吹き出させることができる。一方、空気除菌手段は、上部空気導通経路上に配置され、上部空気導通経路を介して供給された空気に除菌効果を有する液体を接触させて、湿式により除菌を行い、除菌後の空気を上部空気導通経路を介して上部吹出口から室内に吹き出させる。このため、湿式により空気を除菌する際に、空気除菌手段が配置される上部空気導通経路において通風抵抗が大きくなり風量が減少したとしても、下部空気導通経路において十分な風量を確保することができるので、下部吹出口から熱交換器により熱交換された空気を室内に円滑に供給できる。
【0006】
上記構成の空気調和装置において、前記上部空気導通経路上に上流側から下流側に向けて前記熱交換器、空気除菌手段の順に配置されていることが好ましい。
【0007】
また、上記構成の空気調和装置において、前記熱交換器の幅と前記空気除菌手段の幅とは略同一に形成されており、前記熱交換器の高さに対して前記空気除菌手段の高さは約1/2〜約1/4に形成され、前記筐体内において、前記空気除菌手段は前記熱交換器の上部側に配置されており、前記熱交換器の上端部側に前記上部送風ファンが、前記熱交換器の下端部側に前記下部送風ファンが配置されることが好ましい。
【0008】
また、上記構成の空気調和装置において、前記熱交換器の下部に配設されるドレンパンと、前記空気除菌手段から排出される前記液体を受けるサブドレンパンと、前記サブドレンパンに接続され、前記サブドレンパンにおいて受けた前記液体を前記ドレンパンに導入するドレン管と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、熱交換器の下部に配設されるドレンパンには、サブドレンパンにおいて受けた除菌効果を有する液体がドレン管により導入されるので、ドレンパンに貯留されたドレン水に雑菌が発生すること等が防止される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、湿式により空気を除菌する際に、空気除菌手段において通風抵抗が大きくなったとしても、熱交換器のみが配置される空気導通経路を有しているので、熱交換器のみが配置される空気導通経路により、室内に空調された空気を円滑に供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の空気調和装置100を説明する。
図1に本実施の形態における空気調和装置100の概略構成を示す。本実施の形態の空気調和装置100は、室外ユニット1と室内ユニット2とを備えた分離型のヒートポンプ式空気調和装置である。室外ユニット1の室外冷媒配管10と室内ユニット2の室内冷媒配管20とが連結配管を介して連結され、これら室外ユニット1および室内ユニット2は制御装置4によって運転制御される。
【0011】
室外ユニット1は、室外に設置されるもので、図1に示すように、室外冷媒配管10に圧縮機11が配設され、圧縮機11にはその吸込側にアキュムレータ12が接続され、その吐出側には四方弁13と室外熱交換器14と電動膨張弁15とが順に接続されている。また、室外ユニット1には、室外熱交換器14へ向かって送風する室外ファン16が配設されている。
【0012】
室内ユニット2は、室内に設置されるもので、図1に示すように、空気の吸込口21および2つの吹出口22a、22bを備えた筐体23内に室内熱交換器24と、空気の吸込口21から一方の吹出口22aに向けて筐体23内に空気を導通(送風)させる一の送風ファン25aと、空気の吸込口21から他方の吹出口22bに向けて筐体23内に空気を導通させる他の送風ファン25bと、一の送風ファン25aにより形成される筐体23内の一の空気導通経路A内に配置され、室内熱交換器24により熱交換された空気に活性酸素種を含む電解水(除菌効果を有する液体)を接触させて空気の除菌を行う空気除菌部5(空気除菌手段)とを備えている。
【0013】
上記空気調和装置100では、四方弁13を切り換えることにより冷媒回路100aを流れる冷媒の流れを切り換えて冷房運転と暖房運転を切り換えるよう構成されている。冷房運転時には図中に示す実線矢印Cの方向に冷媒が流れ、室外熱交換器14が凝縮器として機能し、室内熱交換器24が蒸発器として機能する。一方、暖房運転時には波線矢印Dの方向に冷媒が流れ、室外熱交換器14が蒸発器として機能し、室内熱交換器24が凝縮器として機能する。
【0014】
このように、湿式により空気を除菌する際に、空気除菌部5における通風抵抗(空気抵抗)が大きくなり、風量が減少したとしても、室内熱交換器24のみが配置される空気導通経路Bを有しているので、室内熱交換器24のみが配置される空気導通経路Bにおいて十分な風量を確保することができ、円滑に室内に空調された空気を供給できる。
【0015】
次に、図2および図3を参照して、室内ユニット2のより具体的な構成について説明する。本実施の形態の室内ユニット2はいわゆる床置き型(図3参照)のもので、家屋の床などに設置されるものである。
【0016】
図2および図3に示すように、吸込口21は室内ユニット2の筐体23の前面中央に形成され、1に示した一方の吹出口22aは上部吹出口22aとして筐体23の上部に、他方の吹出口22bは下部吹出口22bとして筐体23の下部に形成されている。また、図2に示すように、吸込口21から上部吹出口22aに向けて送風し、筐体23内の上部に空気の導通経路(以下、「上部空気導通経路A」という。)を形成する一の送風ファン25aが上部送風ファン25aとして配置され、吸込口21から下部吹出口22bに向けて送風し、筐体23内の下部に空気の導通経路(以下、「下部空気導通経路B」という。)を形成する他の送風ファン25bが下部送風ファン25bとして配置されている。
【0017】
上部送風ファン25aおよび下部送風ファン25bは、それぞれクロスフローファン(貫流送風機)であり、吸込口21を介して筐体23内に導入される空気を羽根車の一方の半径方向から吸い込み、反対側の半径方向から送風することにより上記上部空気導通経路Aまたは下部空気導通経路Bを形成する。クロスフローファンの回転は室内の空調負荷に応じて、高速、中速、低速等に制御できるようになっている。また、筐体23内には上部送風ファン25aおよび下部送風ファン25bにより形成される上部空気導通経路Aおよび下部空気導通経路Bによる空気の流れを案内するための送風機ケーシング26a、26bを備えている。
【0018】
上部吹出口22aには、筐体23内から吹き出す空気の風向きを変更するための風向変更装置27が設けられている。この風向変更装置27は、例えば、図2に示すように、上下に回動する横羽根27aと、左右に回動する縦羽根27bとから構成することができる。また、下部吹出口22bには、上下に回動する補助羽根28が配設され、この補助羽根28の後方にはオートルーバー29が配設されている。このオートルーバー29は、図4(A)、(B)に示すように、回転軸29aと、この回転軸29a周りに回転軸29aに対して斜交するように装着された偏向翼29bとを備え、偏向翼29bを回転軸29a周りに回転させることで下部空気導通経路Bを介して供給された空気を左右に分散させるように構成されている。なお、左右に分散された空気は補助羽根28に案内されて下部吹出口22bから室内に吐出される。
【0019】
一方、吸込口21の内側には空気清浄フィルター41が配設され、その内側に室内熱交換器24が配設されている。室内熱交換器24は上記の上部空気導通経路Aおよび下部空気導通経路B上に位置している。すなわち、吸込口21から吸い込まれた室内の空気は、室内熱交換器24により熱交換が行われ、上部空気導通経路Aまたは下部空気導通経路Bを介して上部吹出口22aまたは下部吹出口22bから吐出されるようになっている。また、上部空気導通経路A上であって、室内熱交換器24の風下側には空気除菌部5が配置されている。室内熱交換器24の幅と空気除菌部5の幅とは、図5(A)、(B)に示すように、略同一(W)に形成されており、室内熱交換器24の高さ(H)に対して空気除菌部5の高さは約1/4(H)となっている。そして、図2に示すように、空気除菌部5は室内熱交換器24の1/2の高さ(1/2H)の位置に当該空気除菌部5の下端部が位置するように室内熱交換器24に対して略平行配置されており、室内熱交換器24の上部側および下部側にそれぞれ上部送風ファン25aおよび下部送風ファン25bが配置され、空気除菌部5は上部送風ファン25aと下部送風ファン25bの間に、上部送風ファン25a側に偏って配置されている。
【0020】
室内熱交換器24はフィンチューブ型の熱交換器(図5(A)参照)であり、箱状にプレス加工されたケーシング(図示略)を備え、複数枚積層状に配列されたフィン241に、図2に示すように、冷媒管(ヘアピンチューブ)242a〜242hが貫通しており、冷媒管242a〜242hは、フィン241の側端部においてU字状の接続管により接続された構造となっている。また、フィン241の端部に位置する冷媒管242a、冷媒管242iには室内冷媒配管20が接続されている。なお、冷媒管242iには冷媒管242gと冷媒管242hが接続されている。
【0021】
室内熱交換器24において、暖房時には冷媒管242aから冷媒管242bに向かう方向にフィン241内を蛇行して冷媒が流れ、次いで冷媒管242bから冷媒管242cに向かう方向に、そして、冷媒管242cから冷媒管242dと冷媒管242eに分岐しながら同様にフィン241内を冷媒が蛇行して流れ、冷媒管242dからは冷媒管242f、冷媒管242gに向かい、冷媒管242eからは冷媒管242hに向かう方向に冷媒がフィン241内を蛇行しながら流れ、冷媒管242gと冷媒管242hとは冷媒管242iに合流し、室内冷媒配管20に冷媒が流入される。一方、冷房時には、上記と逆の順に冷媒が室内熱交換器24を流れ、室内冷媒配管20から冷媒管242iから冷媒管242aに向かう方向に冷媒が流れるようになっている。なお、図2において冷媒回路100aは図示を省略している。
【0022】
また、室内熱交換器24の下方にはドレンパン42が配設されており、ドレンパン42にはドレンホース43が接続され、ドレンパン42内に貯留したドレン水を外部に排出できるようになっている。
【0023】
空気除菌部5には電解水供給配管61を介して電解ユニット62と接続され、電解水供給配管61から電解水が供給される。空気除菌部5は、図4に示すように、保水性の高い気液接触部材51と、この気液接触部材51の上部に配置される分散皿52を備え、気液接触部材51の下方には水受け皿(サブドレンパン)44が配置されている。
【0024】
気液接触部材51は、例えばアクリル繊維やポリエステル繊維等で作製された不織布で構成することができる。また、気液接触部材51の素材として、電解水に対する反応性の少ない素材が好ましく、他にポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、PFA、ETFE等)、セルロース系材料またはセラミックス系材料等を用いることができる。
【0025】
本実施の形態では、気液接触部材51に対しては親水処理が施されており、電解水に対する親和性が高められている。これにより、気液接触部材51の電解水の保水性(湿潤性)が保たれ、電解水と導入された空気との接触が長時間持続される。
【0026】
分散皿52は、その側面に電解水供給配管61が接続される接続口が形成されるとともに、当該電解水供給配管61を通じて供給された電解水を滴下して、気液接触部材51に分散させるための孔(不図示)が、上記分散皿52の底面に多数形成されている。
【0027】
また、水受け皿44は、気液接触部材51を下方から保持するとともに、当該気液接触部材51を通過した電解水を貯留可能とする。この水受け皿44の底面には、電解水をドレンパン42に導くドレン管45が接続されている(図2参照)。
【0028】
電解ユニット62は、図5に示すように、電解水供給配管61に接続される電解槽62aと、この電解槽62aに配置される二の電極62b、62cとを備えている。この二対の電極62b、62cは、通電された場合、電解槽62aに導入された水道水を電気分解して活性酸素種を含む電解水を生成させる。この電解水が除菌用水として空気除菌部5に供給される。ここで、電解水に導入する水道水は、例えば、電解槽62aに水道水供給管63を介して貯留タンク(図示略)と接続する構成とし、貯留タンクに貯留した水道水を電解槽62aに導入する構成としてもよいし、水道水供給管63に直接水道管を接続して、電解槽62aに水道水を直接導入する構成としてもよい。
【0029】
ここで、活性酸素種とは、通常の酸素よりも高い酸化活性を持つ酸素分子と、その関連物質のことであり、スーパーオキシドアニオン、一重項酸素、ヒドロキシルラジカル、或いは過酸化水素といった、いわゆる狭義の活性酸素に、オゾン、次亜ハロゲン酸等といった、いわゆる広義の活性酸素を含めたものとする。
【0030】
電極62b、62cは、例えばベースがTi(チタン)で皮膜層がIr(イリジウム)、Pt(白金)から構成された2枚の電極板を用いることができる。
【0031】
上記電極62b、62cにより水道水に通電すると、カソード電極では、
4H++4e-+(4OH-)→2H2+(4OH-
の反応が起こり、アノード電極では、
2H2O→4H++O2+4e-
の反応が起こると同時に、水に含まれる塩素イオン(水道水に予め添加されているもの)が、
2Cl-→Cl2+2e-
のように反応し、さらにこのCl2は水と反応し、
Cl2+H2O→HClO+HCl
となる。
【0032】
この構成では、電極62b、62cに通電することにより、殺菌力の大きいHClO(次亜塩素酸)が発生し、この次亜塩素酸を含んだ電解水が供給された気液接触部材51に空気を通過させることにより、当該気液接触部材51を通過する空気中に浮遊するウィルス等を不活化させて、空気を除菌することができるとともに、この気液接触部材51で雑菌が繁殖することを防止することができる。また、臭気も気液接触部材51を通過する際に、電解水中の次亜塩素酸と反応し、イオン化して電解水中に溶解することにより、空気中から除去されるため、脱臭することができる。
【0033】
この電極62b、62cに所定の電流密度の電流(例えば、20mA/cm2等)を通電すると、所定の水量の水道水を電気分解して、所定の濃度の活性酸素種(次亜塩素酸)(例えば、遊離残留塩素濃度1mg/l等)を含む電解水を生成することができる。また、電極62b、62c間に流す電流の値を調整することで電解水中に含まれる活性酸素種の濃度を調整することができ、基本的には電流値を高くすれば、電解水中の活性酸素種の濃度を高くすることができる。
【0034】
次に、本実施の形態の動作について説明する。
この空気調和装置100は、室外ユニット1に設けられた四方弁13が冷房側あるいは暖房側に切り換えられることにより、冷媒回路100aにおける冷媒の流れが切り換わり、冷房運転又は暖房運転が行われる。
【0035】
そして、上部送風ファン25aにより、吸込口21から筐体23内に吸い込まれた室内の空気は室内熱交換器24により熱交換されて、図1および図2に示すように、空調後の空気が上部空気導通経路Aを介して空気除菌部5に供給される。空気除菌部5には除菌用水供給配管を介して電解ユニット62から除菌用水が供給される。空気除菌部5に供給された空気は、気液接触部材51において除菌用水に接触され、ウィルス等が不活化され除菌される。除菌後の空気は風向変更装置27に案内されて、図3に示すように、上部送風ファン25aにより上部吹出口22aから吹き出される。
【0036】
一方、下部送風ファン25bにより、吸込口21から筐体23内に吸い込まれた室内の空気は室内熱交換器24により熱交換されて、図1および図2に示すように、下部空気導通経路Bを通ってオートルーバー29にて上下左右方向に分散される。そして、補助羽根28により案内されて、左右方向に分散した空気が図3に示すように、下部吹出口22bから室内の下方に吹き出される。
【0037】
このように、上部空気導通経路Aを経由して上部吹出口22aから室内に吐出される空気を風向変更装置27で案内させ、下部吹出口22bから吐出される空気をオートルーバー29で左右方向へ自動的に案内させることで、図3の矢印に示すように、空調された空気を筐体23の下部から室内に向けて吐出させ、空調され、かつ、除菌された空気を筐体23の上部から室内に向けて吐出させるようにしている。
【0038】
以上、説明した本実施の形態によれば、筐体23に空気の吸込口21と上部吹出口22aと下部吹出口22bとを設け、吸込口21から吸い込まれた空気を、上部送風ファン25a又は下部送風ファン25bにより上部空気導通経路A又は下部空気導通経路Bを経由して上部吹出口22aまたは下部吹出口22bから吹き出させる構成としている。そして、室内熱交換器24は上部空気導通経路A上であって、かつ、下部空気導通経路B上に配置されるので、上部空気導通経路Aおよび下部空気導通経路Bを介して上部吹出口22aおよび下部吹出口22bから熱交換後の空調された空気を吹き出させることができる。
【0039】
一方、空気除菌部5は、上部空気導通経路Aと下部空気導通経路Bのうち、上部空気導通経路A上に配置され、上部空気導通経路Aを介して供給された空気に活性酸素種を含む電解水を接触させて、湿式により除菌を行い、除菌後の空気を上部空気導通経路Aを介して上部吹出口22aから室内に吹き出させる。このため、湿式により空気を除菌する際に、空気除菌部5が配置される上部空気導通経路Aにおいて通風抵抗が大きくなり風量が減少したとしても、下部空気導通経路Bにおいて十分な風量を確保することができるので、下部吹出口22bから室内熱交換器24により熱交換された空気を室内に円滑に供給できる。
【0040】
また、本実施の形態の空気除菌部5では、例えば、室内の空気にインフルエンザウィルスが侵入した場合、その感染に必須の当該ウィルスの表面タンパク(スパイク)を活性酸素種が破壊、消失(除去)する機能を持ち、これを破壊すると、インフルエンザウィルスと、当該ウィルスが感染するのに必要な受容体(レセプタ)とが結合しなくなり、これによって感染が阻止される。衛生環境研究所との共同による実証試験の結果、インフルエンザウィルスが侵入した空気を本構成の気液接触部材51に通した場合、当該ウィルスを99%以上除去できることが判明した。また、臭気も気液接触部材51を通過する際に、電解水中の次亜塩素酸と反応し、イオン化して電解水中に溶解することにより、空気中から除去されるため、脱臭することができる。
【0041】
また、本実施形態では上部空気導通経路Aを経由して上部吹出口22aから室内に吐出される空気を風向変更装置27で案内させ、下部吹出口22bから吐出される空気をオートルーバー29で左右方向へ自動的に案内させることで、図3の矢印に示すように、空調された空気を筐体23の下部から室内に向けて吐出させている。このように、上部吹出口22aからと出された空気と、下部吹出口22bからと出される空気とを合流させることにより、居住空間の温度の均一化を図るとともに、除菌された空気をシャワーのように室内の上部から供給することができ、室内の快適性を向上することができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、次亜塩素酸を含んだ電解水は、空気除菌部5の下方からドレンパン42に排出される。このため、ドレンパン42に溜まったドレン水に電解水が混入することにより、当該ドレン水に雑菌が発生することが防止され、ドレンパン42上にスライムの発生することが防止される。このため、ドレンパン42の清掃およびメンテナンスの頻度が減少し、これら清掃およびメンテナンスの労力の軽減を図ることができる。
また、ドレン水はドレンホース43を介して外部に排出されるので、メンテナンスの手間を省力することができる。
【0043】
また、本実施の形態の空気調和装置100の様に、上部送風ファン25aにより吸込口21から上部吹出口22aに向かって上部空気導通経路Aを形成し、この上部空気導通経路Aにおいて空気除菌部5を室内熱交換器24に対して下流側に配置することにより次の様な効果が得られる。すなわち、本実施形態の空気調和装置100を冷房運転させる際には、室内熱交換器24により冷却され、相対湿度が高くなった空気が空気除菌部5に供給され、暖房運転時には、室内熱交換器24により加温され、相対湿度が低くなった空気が空気除菌部5に供給される。したがって、空気除菌部5において供給された空気に電解水を接触させても、冷房運転時は既に相対湿度の高い空気が供給されているため、空気除菌後の空気の相対湿度の増加を抑えることができる。また、暖房運転時には相対湿度の低い空気が供給されているため、空気除菌部5において電解水に接触させることにより、空気除菌後の空気の相対湿度を増加させることができる。したがって、湿式にて空気の除菌・浄化を行うとともに、四方弁13を切り換えて運転を冷房運転と暖房運転とを切り換えるだけで、空調の負荷を増大させることなく、空気調和時の加湿量を自動的に制御することができ、室内の空気環境を快適に保つことができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、空気除菌部5は、筐体23内における上部空気導通経路Aの上部吹出口22a側に設けているため、この空気除菌部5から吹き出される空気に含まれる次亜塩素酸は、直接室内熱交換器24導入されることがない。このため、次亜塩素酸によって室内熱交換器24が腐食することを防止できる。
【0045】
以上説明した実施の形態は本発明の一態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能なのは勿論である。
例えば、上記実施形態では、床置き型の室内ユニット2を例に挙げて説明したが、本発明の空気調和装置100の室内ユニット2は床置き式に限定されるものではなく、壁掛け型のものであってもよいし、天井吊り下げ型のものであってもよく、要は、図1に示すように、筐体23内に複数の空気導通経路(A、B)を設け、室内熱交換器24と空気除菌部5のうち、室内熱交換器24のみが配置される空気導通経路(A)を有する構成であればよい。このように、室内熱交換器24のみが配置される空気導通経路(A)を設けることにより、空気除菌部5において湿式にて空気を除菌する際に、例えば、気液接触部材51などのフィルター部材に空気を通過させることで、通風抵抗が大きくなった場合でも、室内熱交換器24のみが配置された空気導通経路(A)から、室内熱交換器24により熱交換された空調後の空気を円滑に室内に供給することができる。
【0046】
また、上記実施形態においては、筐体23に上部吹出口22aと下部吹出口22bの二つを設けた例について説明したが、吹出口の数が限定されるものではなく、室内ユニットの構成に応じて適宜設けることができる。また、吹出口を一つにした場合においても、筐体23内に複数の送風ファンにより複数の空気導通経路が設けられ、少なくとも何れか一つの空気導通経路には室内熱交換器24のみが配置される構成であればよい。
【0047】
また、例えば、上記実施形態では、活性酸素種として次亜塩素酸を発生させる構成について説明したが、活性酸素種としてオゾン(O3)や過酸化水素(H22)を発生させる構成としても良い。この場合、電極62b、62cとして白金タンタル電極を用いると、イオン種が希薄な水からでも、電気分解により高効率に安定して活性酸素種を生成できる。
このとき、アノード電極では、
2H2O→4H++O2+4e-
の反応と同時に、
3H2O→O3+6H++6e-
2H2O→O3+4H++4e-
の反応が起こりオゾン(O3)が生成される。またカソード電極では、
4H++4e-+(4OH-)→2H2+(4OH-
2-+e-+2H+→H22
のように、電極62b、62c反応によりO2-が生成したO2-と溶液中のH+とが結合して、過酸化水素(H22)が生成される。
【0048】
この構成では、電極62b、62cに通電することにより、殺菌力の大きいオゾン(O3)や過酸化水素(H22)が発生し、これらオゾン(O3)や過酸化水素(H22)を含んだ電解水を作ることができる。そして、この電解水中におけるオゾンもしくは過酸化水素の濃度を、対象ウィルス等を不活化させる濃度に調整し、この濃度の電解水が供給された気液接触部材51に空気を通過させることにより、空気中に浮遊する対象ウィルス等を不活化することができる。また、臭気も気液接触部材51を通過する際に、電解水中のオゾンまたは過酸化水素と反応し、イオン化して電解水中に溶解することにより、空気中から除去されるため、脱臭することができる。
なお、上記実施の形態では、除菌効果を有する液体として、活性酸素種を含む電解水を例に挙げて説明したが、本発明に係る除菌効果を有する液体は電解水に限る趣旨ではない。
【0049】
また、水道水を電気分解することにより、電極62b、62c上(カソード)にスケールが堆積した場合、電気伝導性が低下し、継続的な電気分解が困難となる。この場合、電極62b、62cの極性を反転(電極62b、62cのプラスとマイナスを切り換える)させることが効果的である。カソード電極をアノード電極として電気分解することで、カソード電極上に堆積したスケールを取り除くことができる。この極性反転制御では、例えばタイマを利用して定期的に反転させてもよいし、運転起動の度に反転させる等、不定期的に反転させてもよい。また、電解抵抗の上昇(電解電流の低下、あるいは電解電圧の上昇)を検出し、この結果に基づいて、極性を反転させてもよい。
【0050】
また、上記形態では、空気除菌部5の高さは室内熱交換器24の約1/4の高さであるとしたが、空気除菌部5の高さは室内熱交換器24の約1/2〜約1/4程度の高さであればよい。これは筐体23内において室内熱交換器24に対して平行に、かつ、室内熱交換器24の上半分に位置するように配置することにより、上部空気導通経路Aにより室内熱交換器24により熱交換した空気を空気除菌部5に供給するとともに、下部空気導通経路Bに空気除菌部5が配置されるのを避けるためである。
【0051】
また、本実施の形態では、空気除菌部5を室内熱交換器24に対して略平行に配置するものとしたが、室内熱交換器24に対して空気除菌部5を傾斜するように配置してもよい。
【0052】
また、上記形態では、室内熱交換器24の風下側に空気除菌部5を配置するものとしたが、室内熱交換器24の風上側に空気除菌部5を配置してもよい。
【0053】
また、ドレンパン42にドレンホース43を接続し、ドレンホース43を介して外部にドレン水を排出する構成について記載したが、ドレンホース43を設けず、室内熱交換器24による熱等を利用してドレン水を自然蒸発させる構成としてもよいし、ドレンパン42を取り出し自在に構成し、ドレンパン42を筐体23から取り出して内部に貯留されたドレン水をユーザが排出する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本実施の形態における空気調和装置の概略構成を示す図である。
【図2】本実施の形態における室内ユニットの概略構成を示す図である。
【図3】本実施の形態における室内ユニットの設置状態を示す図である。
【図4】室内ユニットの下部吹出口に設けられるオートルーバーの構成を示す図である。
【図5】室内熱交換器と、空気除菌部の構成および配置を説明するための図である。
【符号の説明】
【0055】
1 室外ユニット
2 室内ユニット
5 空気除菌部(空気除菌手段)
21 吸込口
22a 上部吹出口(吹出口)
22b 下部吹出口(吹出口)
23 筐体
24 室内熱交換器(熱交換器)
25a 上部送風ファン(送風ファン)
25b 下部送風ファン(送風ファン)
42 ドレンパン
43 ドレンホース
44 水受け皿(サブドレンパン)
45 ドレン管
A 上部空気導通経路(空気導通経路)
B 下部空気導通経路(空気導通経路)

【出願人】 【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
【出願日】 平成18年7月18日(2006.7.18)
【代理人】 【識別番号】100091823
【弁理士】
【氏名又は名称】櫛渕 昌之

【識別番号】100101775
【弁理士】
【氏名又は名称】櫛渕 一江


【公開番号】 特開2008−22898(P2008−22898A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−195574(P2006−195574)