| 【発明の名称】 |
脱臭フィルタ及び脱臭フィルタの再生方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】辻 由浩
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| 【要約】 |
【課題】アルデヒド類などの中性ガスの脱臭能力に優れた脱臭フィルタを提供することを目的とする。また、簡便な方法で性能が低下した脱臭フィルタを再生でき、長寿命な脱臭フィルタを提供することを目的とする。
【構成】ガスの流れに対して上流側に、少なくとも2つ以上の多孔質吸着剤を組み合わせた複合脱臭剤で形成された酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭フィルタ2を配置し、下流側に、中性ガスを化学吸着する添着剤を添着した多孔質吸着剤で形成された中性ガス用脱臭フィルタ3を配置した脱臭フィルタ1。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 中性ガス、酸性ガス、塩基性ガスそれぞれに対応した脱臭剤を組み合わせた脱臭フィルタにおいて、ガスの流れに対して上流側に酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤を配置し、最下流側に中性ガス用脱臭剤を配置することを特徴とする脱臭フィルタ。 【請求項2】 中性ガス用脱臭剤が、多孔質吸着剤に中性ガスを化学吸着する添着剤を添着したものであることを特徴とする請求項1記載の脱臭フィルタ。 【請求項3】 前記多孔質吸着剤が、活性炭あるいは/および活性炭素繊維を主成分とすることを特徴とする請求項2記載の脱臭フィルタ。 【請求項4】 前記多孔質吸着剤が、活性炭素繊維に粉末活性炭を抄き込んだものであることを特徴とする請求項2記載の脱臭フィルタ。 【請求項5】 前記添着剤がアミン類であることを特徴とする請求項2記載の脱臭フィルタ。 【請求項6】 酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤が少なくとも2つ以上の多孔質吸着剤を組み合わせた複合脱臭剤であることを特徴とする請求項1記載の脱臭フィルタ。 【請求項7】 酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤が、活性炭、活性炭素繊維の内、少なくとも1つと、ゼオライト、シリカ、セピオライトの内、少なくとも1つから選ばれることを特徴とする請求項6記載の脱臭フィルタ。 【請求項8】 酸性ガス用及び塩基性ガス脱臭剤に光触媒を担持することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の脱臭フィルタ。 【請求項9】 酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤で構成される脱臭フィルタと、中性ガス用脱臭剤で構成される脱臭フィルタをそれぞれ形成し、ガスの流れに対して上流側に酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭フィルタを配置し、最下流側に中性ガス用脱臭フィルタを配置することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の脱臭フィルタ。 【請求項10】 酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤をシート状に加工したことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の脱臭フィルタ。 【請求項11】 酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤を発泡ウレタンフォームに担持することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の脱臭フィルタ。 【請求項12】 請求項1乃至11のいずれかに記載の脱臭フィルタを搭載した脱臭機。 【請求項13】 請求項1乃至11のいずれかに記載の脱臭フィルタと、集塵フィルタを搭載した空気清浄機。 【請求項14】 酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤で構成される脱臭フィルタを水で洗浄することを特徴とする脱臭フィルタの再生方法。 【請求項15】 中性ガス用脱臭フィルタの再生時に、酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤で構成される脱臭フィルタと、中性ガス用脱臭剤で構成される脱臭フィルタの上流、下流を逆にして通風することを特徴とする脱臭フィルタの再生方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、様々な悪臭ガスの除去に適応し、とりわけこれまで性能が不十分であったアルデヒド類などの中性ガスの脱臭能力に優れた脱臭フィルタに関する。また、簡便な方法で性能を回復できる脱臭フィルタの再生方法に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、活性炭やゼオライトなどの多孔質な脱臭剤を用いた脱臭フィルタが提案されている。特に活性炭は様々な臭気に対して脱臭性能を有しており、それらを充填したものや、あるいは基材に担持してフィルタとしたものが工業用、家庭用問わず、現在も多くの分野で利用されている。しかし、活性炭の場合は広い細孔分布を活かした物理吸着による脱臭が主であり、また、表面が疎水性であるため、疎水性のガスや酸性のガスには効果が高いが、例えばタバコの煙に含まれるアンモニアなどの親水性ガスやアセトアルデヒドなどの中性ガスには効果が低いという課題があった。これらを解決するために、たとえば特許文献1のような脱臭フィルタが提案されている。すなわち、上記特許文献1に示されるものにあっては、酸吸着シートと塩基吸着シート、あるいは塩基吸着シートと中性ガス吸着シートあるいは酸吸着シートと中性ガス吸着シートをそれぞれ交互にコルゲート加工した複合コルゲートとなった脱臭フィルタであり、低い圧力損失で効率よく多種類の悪臭ガスを除去するものである。 【特許文献1】特開2000−262844号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 上記特許文献1に示される従来例にあっては、中性ガス吸着シートに添着活性炭を塗工したものを用いており、本来物理吸着しにくいアセトアルデヒドといった極性の低いガスは添着剤による化学吸着で脱臭している。化学吸着剤は吸着速度に優れ、且つ化学結合により悪臭ガスを吸着するために再放出しないという利点があるが、吸着容量としてはそれほど大きくない。したがって、いかに添着剤を添着した活性炭量を増やすかが脱臭能力に影響するが、上記従来例では酸性ガス吸着剤を含有する酸吸着シート、あるいは塩基性ガス吸着剤を含有する塩基吸着シートをライナー部に用い、中性ガス吸着シートを中しん部に用いて交互に積層したフィルタ構成をとっているために、フィルタ全体の添着活性炭量としては半分程度しか占めておらず、初期の脱臭性能が優れていたとしても、連続使用による耐久性に課題があった。また、添着剤と悪臭ガスとの化学吸着の場合、まず活性炭に物理吸着された悪臭ガスが次いで添着剤と化学吸着するという順序で脱臭されることが一般的に知られており、物理吸着サイトである活性炭の細孔及び外表面の表面積が重要となる。上記従来例では例えばタバコの煙のような多成分ガスを脱臭する場合において、中性ガス吸着シートが中性ガスだけでなく、酸性ガスや塩基性ガスまでもが物理吸着サイトに吸着することで、結果として吸着可能な中性ガスの吸着容量が減少し、耐久性が悪くなるという課題があった。また、上記従来例では酸吸着シート及び塩基吸着シートにも化学吸着剤を使用しており、一旦化学吸着したガスは脱離し難く、ガスを吸着し続けることで吸着サイトが減少するにつれて性能は急激に低下し、且つ、酸やアルカリなどの添着剤は大半が水溶性であるため、洗浄などの再生手段がとれず、その結果、寿命が短くなるという課題があった。 【0004】 本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、様々な悪臭ガスの除去に適応し、とりわけこれまで性能が不十分であったアルデヒド類などの中性ガスの耐久性に優れた脱臭フィルタを提供することを目的とする。また、簡便な方法で性能が低下した脱臭フィルタを再生でき、長寿命な脱臭フィルタを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0005】 上記目的を達成するために本発明の脱臭フィルタは請求項1記載のとおり、中性ガス、酸性ガス、塩基性ガスそれぞれに対応した脱臭剤を組み合わせた脱臭フィルタにおいて、ガスの流れに対して上流側に酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤を配置し、最下流側に中性ガス用脱臭剤を配置することを特徴とするものである。 【0006】 また、請求項2記載の脱臭フィルタは、前記中性ガス用脱臭剤が、多孔質吸着剤に中性ガスを化学吸着する添着剤を添着したものであることを特徴とするものである。 【0007】 また、請求項3記載の脱臭フィルタは、前記多孔質吸着剤が活性炭あるいは/および活性炭素繊維を主成分とすることを特徴とするものである。 【0008】 また、請求項4記載の脱臭フィルタは、前記多孔質吸着剤が、活性炭素繊維に粉末活性炭を抄き込んだものであることを特徴とするものである。 【0009】 また、請求項5記載の脱臭フィルタは、前記添着剤がアミン類であることを特徴とするものである。 【0010】 また、請求項6記載の脱臭フィルタは、前記酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤が少なくとも2つ以上の多孔質吸着剤を組み合わせた複合脱臭剤であることを特徴とするものである。 【0011】 また、請求項7記載の脱臭フィルタは、前記酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤が、活性炭、活性炭素繊維の内、少なくとも1つと、ゼオライト、シリカ、セピオライトの内、少なくとも1つから選ばれることを特徴とするものである。 【0012】 また、請求項8記載の脱臭フィルタは、前記酸性ガス用及び塩基性ガス脱臭剤に光触媒を担持することを特徴とするものである。 【0013】 また、請求項9記載の脱臭フィルタは、前記酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤で構成される脱臭フィルタと、前記中性ガス用脱臭剤で構成される脱臭フィルタをそれぞれ形成し、ガスの流れに対して上流側に前記酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭フィルタを配置し、最下流側に前記中性ガス用脱臭フィルタを配置することを特徴とするものである。 【0014】 また、請求項10記載の脱臭フィルタは、前記酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤をシート状に加工したことを特徴とするものである。 【0015】 また、請求項11記載の脱臭フィルタは、前記酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤を発泡ウレタンフォームに担持することを特徴とするものである。 【0016】 また、請求項12記載の脱臭機は、請求項1乃至11のいずれかに記載の脱臭フィルタを備えることを特徴とするものである。 【0017】 また、請求項13記載の空気清浄機は、請求項1乃至11のいずれかに記載の脱臭フィルタと、集塵フィルタを備えることを特徴とするものである。 【0018】 また、請求項14記載の脱臭フィルタの再生方法は、前記酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤で構成される脱臭フィルタを水で洗浄することを特徴とするものである。ここで、脱臭フィルタは請求項1乃至11のいずれかに記載の脱臭フィルタであっても良い。 【0019】 また、請求項15記載の脱臭フィルタの再生方法は、中性ガス用脱臭フィルタの再生時に、前記酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤で構成される脱臭フィルタと、前記中性ガス用脱臭剤で構成される脱臭フィルタの上流、下流を逆にして通風することを特徴とするものである。ここで、脱臭フィルタは請求項1乃至11のいずれかに記載の脱臭フィルタであっても良い。 【発明の効果】 【0020】 本発明によれば、脱臭フィルタの上流側で酸性ガス及び塩基性ガスを素早く脱臭することで、下流側の中性ガス用脱臭フィルタの物理吸着サイトが減少することを防ぎ、アルデヒド類などの中性ガスに対して耐久性の優れた脱臭フィルタを提供することができる。また、酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭フィルタは化学吸着剤を使用していないため、水洗などの簡便な方法で脱臭性能を回復でき、長寿命な脱臭フィルタを提供できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0021】 本発明の請求項1記載の発明は、中性ガス、酸性ガス、塩基性ガスそれぞれに対応した脱臭剤を組み合わせた脱臭フィルタにおいて、ガスの流れに対して上流側に酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤を配置し、最下流側に中性ガス用脱臭剤を配置することを特徴とするものである。室内空間や自動車内などで発生する悪臭は、例えばタバコの臭いや調理臭、ペットや体臭など、様々な発生源が挙げられるが、これらはほとんどが多種類のガス成分が入り混じった複合臭である。その種類は実に多様で、性質の異なるガス同士が混ざっている場合も多い。例えばタバコの臭いに含まれる成分としては、酢酸、アンモニア、アセトアルデヒドがタバコ3大成分として挙げられ、これらはそれぞれ酸性、塩基性、中性の性質を示す。このように脱臭をする上では、1つのガス成分を考えるだけでは足らず、幾種類もの性質の異なるガスについて対応することが重要となる。そのためには、各ガスの性質に合った脱臭剤を選定することも有効な手段となるが、ただそれらの脱臭剤を混ぜて充填するだけでは効率が良いとは言えず、限られたスペースでいかに効率よく全ての臭気ガスを脱臭できるかを考えたときに、各性質のガスを脱臭する順序を制御することで脱臭効率を向上できることを見出した。すなわち本発明によると、上流側の脱臭剤で酸性ガス及び塩基性ガスを先に脱臭することで、中性ガス用脱臭剤中の、本来中性ガスが吸着可能な物理吸着サイトの減少を抑制することができ、中性ガスの脱臭性能を長期間維持する効果を有する。 【0022】 また、請求項2記載の発明は、中性ガス用脱臭剤が、多孔質吸着剤に中性ガスを化学吸着する添着剤を添着したものであることを特徴とするものである。中性ガスの中でも特にアセトアルデヒドやホルムアルデヒドなどのアルデヒド類については、近年、室内環境汚染への関心が高まる中、タバコの煙に含まれる悪臭物質や、建材などから発生するVOCの一種として問題視されてはいるが、これらの化学物質は極性をもつ低分子物質で揮発性が高く、分子間力によって吸着剤の細孔近傍までは引き付けられるものの、細孔の内部にまでは入り難い。また、たとえ細孔内部に入ったとしても容易に出ていってしまうため、物理吸着による吸着は困難である。つまり、アセトアルデヒドやホルムアルデヒドなどの低分子中性ガスを脱臭するためには、一度細孔内部に侵入したガス分子をしっかりと保持し、再放出できなくすることが重要であり、本発明によれば多孔質吸着剤に中性ガス用の添着剤を添着することで、多孔質吸着剤の細孔内部に添着剤がコーティングされ、細孔内部に侵入した中性ガスは添着剤との化学反応により化学吸着され、脱臭することができる。また、中性ガス用の添着剤のみを添着しているために中性ガスの脱臭能力を高めることができ、また、上流側で酸性ガス及び塩基性ガスの大半が脱臭されているために、効率よく迅速に中性ガスを脱臭することができるという作用を有する。 【0023】 また、請求項3記載の発明は、前記多孔質吸着剤が、活性炭あるいは/及び活性炭素繊維を主成分とすることを特徴とするものである。活性炭及び活性炭素繊維は他の多孔質吸着剤と比べて比表面積が大きく、原料や製造方法によっては1500m2/gにまで達する。比表面積の大きさはそのまま添着剤の担持場の大きさに反映されるため、中性ガス用添着剤の添着量を増加させることができるという作用を有する。 【0024】 また、請求項4記載の発明は、前記多孔質吸着剤が、活性炭素繊維に粉末活性炭を抄き込んだものであることを特徴とするものである。活性炭素繊維においてはミクロ孔(細孔径2nm以下)が多く存在する構造となっており、低分子、低濃度のガスに優れた吸着性能を持つことが知られている。また、外表面積が大きく、ガスとの接触効率が高いため、吸着速度が速いことが特徴である。一方、活性炭においては原料や賦活化方法により細孔分布は変動するが、一般的にミクロ孔とメソ孔(細孔径2nm〜50nm)の両方が発達しており、低分子からある程度分子量の大きい物質まで広く吸着性能を持つ。つまり、これら活性炭素繊維と活性炭はどちらも高い比表面積を持ちながらも、細孔構造の違いにより若干性質が異なる。本発明では活性炭素繊維に粉末の活性炭を抄き込んだものを中性ガス用脱臭剤に用いることで、低分子からある程度分子量の大きいガスまで幅広く、且つ迅速に脱臭可能であるという作用を有する。また、高い比表面積と細孔容積を有するため、上流で脱臭し切れなかった酸性ガス及び塩基性ガスも確実に下流側で脱臭できるという作用を有する。また、粉末活性炭は活性炭繊維内部の、繊維の隙間に絡まるように担持されていることから、多量のバインダーを使用しなくとも粉落ちを防ぐことが可能であるという作用を有する。 【0025】 また、請求項5記載の発明は、前記添着剤がアミン類であることを特徴とするものである。アミンとはアンモニア(NH3)の水素原子を炭化水素基(−R)で一つ以上置換した化合物の総称であり、置換した炭化水素基の数によりそれぞれ第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンと呼ばれる。これらアミン類は中性ガスであるアセトアルデヒドやホルムアルデヒドのアルデヒド基と化学反応することで、アルデヒドを化学吸着することが一般的に知られている。アミン類として、エチレンジアミン、エチレン尿素、モルホリン、スルファニルアミド、タウリン、アニリン、p−アミノ安息香酸、p−アミノベンゼンスルホン酸などを用いることができる。 【0026】 また、請求項6記載の発明は、酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤が、少なくとも2つ以上の多孔質吸着剤を組み合わせた複合脱臭剤であることを特徴とするものである。吸着剤がどのようなガスを選択的に吸着できるかは、その吸着材料の性質によるところが大きい。例えば活性炭は、前述したように表面が疎水性であるため、ある程度分子量の大きい炭化水素化合物や有機塩素化合物には優れた吸着能力を示す。しかし、アンモニア、硫化水素などの揮発性の高い親水性ガスに対する吸着能力はそれほど高いものではない。また、ゼオライトやシリカなど表面に水酸基が存在する吸着剤は親水性であり、アンモニアや硫化水素といった親水性ガスに対して優れた吸着能力を示す。このように各吸着剤によって、吸着し易いガスと、吸着し難いガスがあり、一種類の吸着剤だけでは多種のガスを同時に脱臭することは困難である。そこで、化学吸着剤を添着することで、物理吸着だけでは吸着することができなかったガスでも選択的に化学吸着による脱臭が可能となるが、添着剤が細孔を覆ってしまい、もともとの物理吸着性能を犠牲にすることにもなる。そこで、本来の吸着能力を失わずに、多種のガスを吸着するためには、性質の異なる吸着剤を複数用いることができればよい。こうすることで化学吸着剤などの添着剤を使わなくとも、酸性ガス及び塩基性ガスの脱臭性能を確保することができる。また、本発明によれば酸性ガス及び塩基性ガスは、吸着剤の物理吸着のみで脱臭するため、簡易的な再生方法で容易に脱離させることができるという作用を有する。 【0027】 また、請求項7記載の発明は、酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤が、活性炭、活性炭素繊維の内少なくとも1つと、ゼオライト、シリカ、セピオライトの内少なくとも1つから選ばれることを特徴とするものである。中性ガス用脱臭フィルタを長寿命化するためには、中性ガス用脱臭フィルタの上流側に配置される脱臭フィルタにより酸性ガス及び塩基性ガスをいかに素早く脱臭できるかが重要となる。前述したように、活性炭及び活性炭素繊維は、炭化水素化合物や有機塩素化合物に優れた吸着能力を示し、幅広い脱臭に適している。且つ、活性炭素繊維は外表面積が大きく、接触効率が高いために吸着速度が速いことが特徴である。一方、ゼオライトやシリカ、セピオライトはアンモニアや硫化水素などの親水性ガスに優れた吸着能力を示す。特にゼオライトはシリカの四面体およびアルミナの八面体の組み合わせと、介在する1または2価の金属イオンとによる多様な三次元構造体を形成する結晶性化合物であり、極めて均一な細孔径をもった細孔を有する。その構造上の性質から、吸着できるガスの選択性は限られるが、特定のガスには非常に優れた吸着能力と吸着速度を有する。本発明によると、幅広いガスに対して吸着能力を発揮する活性炭材料と、選択性は限られるが、特定のガスには極めて高い吸着能力を発揮するゼオライト、シリカ、セピオライトなどのシリカ化合物とを組み合わせることで、酸性ガス及び塩基性ガスの吸着能力と吸着速度を向上させ、上流の1パスで素早く脱臭することで、下流の中性ガス用脱臭フィルタにはほとんどガスを漏らさず、その結果中性ガスの脱臭能力を長時間維持できるという作用を有する。 【0028】 また、請求項8記載の発明は、酸性ガス用及び塩基性ガス脱臭剤に光触媒を担持することを特徴とするものである。光触媒としては二酸化チタンが一般的に用いられるが、粉体あるいは錯体溶液の状態で吸着剤に担持することができる。一旦吸着剤に吸着されたガスは光触媒によって酸化分解され、無害化される。こうすることで、吸着したガスを分解し、酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤の性能を長時間維持することができる。尚、光触媒を励起させる光源は、脱臭フィルタの近傍に紫外線ランプやブラックライトを配置しても良いし、天日干しによる太陽光を照射する方法でも良い。 【0029】 また、請求項9記載の発明は、酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤で構成される脱臭フィルタと、中性ガス用脱臭剤で構成される脱臭フィルタをそれぞれ形成し、ガスの流れに対して上流側に酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭フィルタを配置し、最下流側に中性ガス用脱臭フィルタを配置することを特徴とするものである。こうすることで、中性ガス用脱臭フィルタに中性ガス以外のガス成分が吸着してしまうことで、本来中性ガスが吸着可能な吸着サイトの減少を抑制することができ、中性ガスの脱臭性能を長期間維持する効果を有する。また、中性ガス用脱臭フィルタと酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭フィルタを分離することができるため、例えば酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭フィルタのみを取り外して再生処理を行うことができるという作用を有する。 【0030】 また、請求項10記載の発明は、酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤をシート状に加工したことを特徴とするものである。こうすることでプリーツ加工やコルゲート加工など使用条件や圧力損失などに合わせて様々な形状のフィルタを形成することができるという作用を有する。 【0031】 また、請求項11記載の発明は、酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤を発泡ウレタンフォームに担持することを特徴とするものである。こうすることで、圧力損失の低い脱臭フィルタを作製できるという作用を有する。 【0032】 また、請求項12記載の脱臭機は、上記請求項1乃至11に記載の脱臭フィルタを備えることを特徴とするものである。送風機を搭載した本体に、上記請求項1乃至11に記載の脱臭フィルタを搭載した脱臭機は室内空間の様々な悪臭ガスの除去に有効であり、とりわけタバコの煙に含まれるアセトアルデヒドや、建材などから発生するホルムアルデヒドなどの中性ガスに対して高い脱臭能力を発揮できる。また、性能が低下してきた脱臭フィルタについては、水で洗えば再び脱臭能力が回復でき、長期間にわたって高い脱臭能力を維持できる。 【0033】 また、請求項13記載の空気清浄機は、上記請求項1乃至11に記載の脱臭フィルタを備えることを特徴とするものである。送風機と集塵フィルタとを搭載した本体に、上記請求項1乃至11に記載の脱臭フィルタを搭載した空気清浄機は室内空間の様々な悪臭ガスの除去に有効であり、とりわけタバコの煙に含まれるアセトアルデヒドや、建材などから発生するホルムアルデヒドなどの中性ガスに対して高い脱臭能力を発揮できる。また、性能が低下してきた脱臭フィルタについては、水で洗えば再び脱臭能力が回復でき、長期間にわたって高い脱臭能力を維持できる。 【0034】 また、請求項14記載の発明は、酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤で構成される脱臭フィルタを水で洗浄することを特徴とする脱臭フィルタの再生方法である。本発明による酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭フィルタは、化学吸着剤などの添着剤を使用せずに吸着剤の物理吸着のみで脱臭するため、水洗という極めて簡易的な再生方法で、吸着しているガスを容易に脱離させることができるという作用を有する。ここで、脱臭フィルタは請求項1乃至11のいずれかに記載の脱臭フィルタであっても良い。 【0035】 また、請求項15記載の発明は、中性ガス用脱臭フィルタの再生時に、酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤で構成される脱臭フィルタと、中性ガス用脱臭剤で構成される脱臭フィルタの上流、下流を逆にして通風することを特徴とするものである。本発明による酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭フィルタは、酸性ガス及び塩基性ガスに対して優れた吸着性能を有してはいるが、それでも完全に脱臭することは難しく、若干のガスが中性ガス用脱臭フィルタにまで流れ、中性ガス用脱臭剤の物理吸着により脱臭される。これが長時間使用となると少しずつではあるが、中性ガス用脱臭剤の物理吸着サイトを埋めてしまうため、その結果中性ガスの脱臭性能が低下することになる。ところが、中性ガス用脱臭フィルタは水溶性の化学吸着剤を添着しているために、水洗による再生手段や、光触媒担持による分解再生手段が行えない。そこで、本発明によると、酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭剤で構成される脱臭フィルタと、中性ガス用脱臭剤で構成される脱臭フィルタの上流、下流を逆にして通風することで、上流側の中性ガス用脱臭フィルタに物理吸着した酸性ガス及び塩基性ガスは空気の流れの圧力により脱離し再生されるという作用を有する。脱離したガスは下流側の酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭フィルタによって再び吸着される。ここで、脱臭フィルタは請求項1乃至11のいずれかに記載の脱臭フィルタであっても良い。 【0036】 以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。 【0037】 (実施の形態1) 本発明の実施の形態1の脱臭フィルタを図1に示す。図1に示すように、脱臭フィルタ1は酸性ガス及び塩基性ガス用脱臭フィルタ2と中性ガス用脱臭フィルタ3を備えており、ガスの流れに対して上流側に酸性ガスおよび塩基性ガス用脱臭フィルタ2を配置し、下流側に中性ガス用脱臭フィルタ3を配置している。矢印はガスの流れ方向を示している。 【0038】 酸性ガス及び塩基性ガス用脱臭フィルタは活性炭素繊維にゼオライトを抄き込んだシート4をプリーツ状に折ってある。また、中性ガス用脱臭フィルタは活性炭素繊維に粉末活性炭を抄き込んだものに中性ガス用添着剤を添着し、プリーツ状に折ってある。それぞれのフィルタの形状について特に制限はなく、例えばシート状にしたものをコルゲート加工し、積層してハニカム構造とすることで圧力損失を下げることもできる。酸性ガス及び塩基性ガス用脱臭フィルタ2と中性ガス用脱臭フィルタ3はそれぞれ独立しており、酸性ガスおよび塩基性ガス用脱臭フィルタ2については水などで洗浄することが可能である。中性ガス用添着剤としては、エチレンジアミンなどのアミン類などがある。 【0039】 本実施の形態1によって、上流側の脱臭フィルタで酸性ガスおよび塩基性ガスを素早く脱臭することで、中性ガス用脱臭剤中の、本来中性ガスが吸着可能な物理吸着サイトの減少を抑制することができ、中性ガス用脱臭フィルタの耐久性を向上させることができる。また、酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭フィルタは、化学吸着剤などの添着剤を使用せずに吸着剤の物理吸着のみで脱臭するため、水洗という極めて簡易的な方法で、吸着しているガスを容易に脱離させることで再生し、脱臭フィルタを長寿命化できる。 【0040】 (実施の形態2) 実施の形態1と同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。本発明の実施の形態2の脱臭フィルタを図2に示す。図2に示すように、脱臭フィルタ1は酸性ガス及び塩基性ガス用脱臭フィルタ2と中性ガス用脱臭フィルタ3を備えてなり、ガスの流れに対して上流側に酸性ガス及び塩基性ガス用脱臭フィルタ2を配置し、下流側に中性ガス用脱臭フィルタ3を配置している。 【0041】 酸性ガス及び塩基性ガス用脱臭フィルタは、粉末活性炭とゼオライトとに酸化チタンを混ぜたものをバインダーと一緒にスラリーにし、発泡ウレタンシート5に浸漬担持したものであり、中性ガス用脱臭フィルタは活性炭素繊維に粉末活性炭を抄き込んだものに中性ガス用添着剤を添着し、プリーツ状に折ってある。酸性ガス及び塩基性ガス用脱臭フィルタ2の上流側には酸化チタンを励起させるための光源であるブラックライト6を設置している。 【0042】 本実施の形態2によって、上流側の脱臭フィルタで酸性ガス及び塩基性ガスを素早く脱臭することで、中性ガス用脱臭剤中の、本来中性ガスが吸着可能な物理吸着サイトの減少を抑制することができ、中性ガス用脱臭フィルタの耐久性を向上させることができる。また、酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭フィルタは、化学吸着剤などの添着剤を使用せずに吸着剤の物理吸着のみで脱臭するため、水洗という極めて簡易的な方法で、吸着しているガスを容易に脱離させることで再生し、脱臭フィルタを長寿命化できる。 【0043】 (実施の形態3) 実施の形態1または2と同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。本発明の実施の形態3の脱臭機の側面図を図3に示す。脱臭機7において、送風ファン9を搭載し送風ファン9の前方に脱臭フィルタが配置され、空気の流れに対して上流側から酸性ガスおよび塩基性ガス用脱臭フィルタ2、中性ガス用脱臭フィルタ3の順番に並んでいる。 【0044】 吸い込み口8より導入された悪臭ガスを含んだ空気が、酸性ガス及び塩基性ガス用脱臭フィルタ2で酸性ガス及び塩基性ガスが脱臭され、次いで中性ガス用脱臭フィルタ3にて中性ガスが脱臭され、清浄化された空気が吹き出し口10より送風される。性能が低下し始めた酸性ガス及び塩基性ガス用脱臭フィルタ2は取り出して水洗することで再生処理される。 【0045】 本実施の形態3によって、上流側の脱臭フィルタで酸性ガス及び塩基性ガスを素早く脱臭することで、中性ガス用脱臭剤中の、本来中性ガスが吸着可能な物理吸着サイトの減少を抑制することができ、耐久性に優れた中性ガス用脱臭フィルタを搭載した脱臭機となる。また、酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭フィルタは、化学吸着剤などの添着剤を使用せずに吸着剤の物理吸着のみで脱臭するため、水洗という極めて簡易的な方法で、吸着しているガスを容易に脱離させることで再生し、脱臭フィルタを長寿命化できる。 【0046】 図4は中性ガス用脱臭フィルタの再生時の様子を表したものである。つまり、酸性ガス及び塩基性ガス用脱臭フィルタ2と中性ガス用脱臭フィルタ3を入れ替えることで、上流、下流が逆になっている。中性ガス用脱臭フィルタは水溶性の化学吸着剤を添着しているために、水洗による再生手段や、光触媒担持による分解再生手段が行えないが、この方法により、上流側の中性ガス用脱臭フィルタに物理吸着した酸性ガス及び塩基性ガスは空気の流れの圧力により脱離し再生することができる。また、脱離したガスは下流側フィルタによって再び吸着される。 【0047】 (実施の形態4) 実施の形態1乃至3のいずれかと同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。本発明の実施の形態4の空気清浄機の側面図を図5に示す。集塵フィルタ12と送風ファン9を搭載した空気清浄機11において、集塵フィルタ12と送風ファン9の中間に脱臭フィルタが配置されており、空気の流れに対して上流側から酸性ガス及び塩基性ガス用脱臭フィルタ2、中性ガス用脱臭フィルタ3の順番に並んでいる。 【0048】 吸い込み口8より導入された空気が集塵フィルタ12で除塵された後、酸性ガス及び塩基性ガス用脱臭フィルタ2で酸性ガス及び塩基性ガスが脱臭され、次いで中性ガス用脱臭フィルタ3にて中性ガスが脱臭され、清浄化された空気が吹き出し口10より送風される。性能が低下し始めた酸性ガス及び塩基性ガス用脱臭フィルタ2は取り出して水洗することで再生処理される。 【0049】 本実施の形態によって、上流側の脱臭フィルタで酸性ガス及び塩基性ガスを素早く脱臭することで、中性ガス用脱臭剤中の、本来中性ガスが吸着可能な物理吸着サイトの減少を抑制することができ、耐久性に優れた中性ガス用脱臭フィルタを搭載した空気清浄機となる。また、酸性ガス用及び塩基性ガス用脱臭フィルタは、化学吸着剤などの添着剤を使用せずに吸着剤の物理吸着のみで脱臭するため、水洗という極めて簡易的な方法で、吸着しているガスを容易に脱離させることで再生し、脱臭フィルタを長寿命化できる。また、図4と同様に、酸性ガス及び塩基性ガス用脱臭フィルタ2と中性ガス用脱臭フィルタ3を入れ替えることで、上流側の中性ガス用脱臭フィルタに物理吸着した酸性ガス及び塩基性ガスは空気の流れの圧力により脱離し再生され、脱離したガスは下流側フィルタによって再び吸着される。 【産業上の利用可能性】 【0050】 本発明の脱臭フィルタを用いることにより、様々な悪臭ガスの除去に適応し、とりわけこれまで性能が不十分であったアルデヒド類などの中性ガスの脱臭能力に優れた脱臭フィルタを提供できる。また、簡便な方法で性能が低下した脱臭フィルタを再生でき、長寿命な脱臭フィルタを提供できる。また、脱臭フィルタを搭載した空気清浄器を提供できる。 【図面の簡単な説明】 【0051】 【図1】本発明の実施の形態1の脱臭フィルタの概略断面図 【図2】本発明の実施の形態2の脱臭フィルタの概略断面図 【図3】本発明の実施の形態3の脱臭機の概略断面図 【図4】同脱臭機の脱臭フィルタ再生時の概略断面図 【図5】本発明の実施の形態4の空気清浄器の概略断面図 【符号の説明】 【0052】 1 脱臭フィルタ 2 酸性ガス及び塩基性ガス用脱臭フィルタ 3 中性ガス用脱臭フィルタ 4 シート 5 発泡ウレタンシート 6 ブラックライト 7 脱臭機 8 吸い込み口 9 送風ファン 10 吹き出し口 11 空気清浄機 12 集塵フィルタ
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005821 【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年7月12日(2006.7.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100097445 【弁理士】 【氏名又は名称】岩橋 文雄
【識別番号】100109667 【弁理士】 【氏名又は名称】内藤 浩樹
【識別番号】100109151 【弁理士】 【氏名又は名称】永野 大介
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| 【公開番号】 |
特開2008−17983(P2008−17983A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月31日(2008.1.31) |
| 【出願番号】 |
特願2006−191424(P2006−191424) |
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