| 【発明の名称】 |
アパタイト系材料を含有する生体用部材及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】井上 博文
【氏名】村上 稔宜
【氏名】平前 勇
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| 【要約】 |
【課題】金属粒体を焼結にて多孔質の焼結体とし、該焼結体にアパタイト系材料の粒子を残留させてなる、生体内で骨組織などを結合させる際に用いる生体用部材に関し、アパタイト系材料の粒子を焼結体の内方深部まで均一に定着させた生体用部材を提供することを目的とする。
【構成】アパタイト系材料の粒子を残留させる際にアパタイト系の材料を媒体と共に加圧して焼結体に送る加圧手段と、減圧して焼結体から媒体を吸引する減圧手段との間に前記焼結体が配置されて生成されること。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属粒体を焼結にて多孔質の焼結体とし、該焼結体にアパタイト系材料の粒子を残留させてなる生体用部材において、アパタイト系材料の粒子を残留させる際にアパタイト系の材料を媒体と共に加圧して焼結体に送る加圧手段と、減圧して焼結体から媒体を吸引する減圧手段との間に前記焼結体が配置されて生成されることを特徴とする生体用部材。 【請求項2】 金属粒体を焼結にて多孔質の焼結体とし、該焼結体を圧力容器内に備えさせ、加圧手段でアパタイト系の材料を媒体と共に加圧して焼結体に送ると共に、減圧手段で減圧して焼結体から媒体を吸引することで焼結体の空隙へアパタイト系の材料の粒子を残留させることを特徴とする生体用部材の製造方法。 【請求項3】 前記焼結体が、中心部に一端のみが外方に開放された中空部を備え、該中空部の開放部分に減圧手段が接続されることを特徴とする請求項1記載の生体用部材。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、生体内で骨組織などを結合させる際に用いるアパタイト系材料を含有する部材、例えば骨組織同士を固定させるためのビスなどの生体用部材及びその製造方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 医療分野において、チタン及びチタン合金は、その生体無毒性、耐食性、機械的強度に優れ、人工骨や関節構造部材などのインプラント部材の材料として多く用いられている。 ところが、チタン及びチタン合金は、生体親和性が十分でなく、骨組織との結合性が乏しい。 これらの問題点を解消するため、金属部材の表面に物理あるいは化学的な方法でアパタイト系材料の層を定着させている。このアパタイト系材料は、骨組織と強固に結合する性状を有しているアパタイトやリン酸三カルシウム系セラミックなどの生体親和性に優れたカルシウム材料である。 【0003】 生体用部材であるチタン材料の表面にアパタイト系材料をコーティングする方法として、特開2002−320667号公報に示されるような多孔質の金属材料で生体用部材を形成し、この生体用部材にアパタイト系材料の水溶液を含浸させる方法が行なわれている。 チタンなどの金属材料を無数の微細な空隙を表面に連通させる多孔質状態となるように焼結成形し、この多孔質の金属焼結体を密閉容器内のアパタイト系材料の水溶液に浸漬させる。 その後、密閉容器内を加圧することで、金属焼結体の内方深部まで水溶液を浸透させ、その後に乾燥させることで水分を取り除きアパタイト系材料の粒子のみを金属焼結体の内方に付着させる。 また、前述の含浸による方法の他にも化学的あるいは物理的方法で焼結体の内方にアパタイト系材料を表面処理する技術も開発されている。 【0004】 【特許文献1】特開2002−320667号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 前記のような含浸させる方法では、媒体である水溶液を部材の内方深部まで浸透させ、粒子を焼結体の内方深部まで送り込む必要がある。 しかしながら、焼結体の内方深部までには水溶液が充分に行き渡りにくい。従来の方法では含浸の際、密閉状態で加圧しているが、金属焼結体の内方深部まで水溶液が行き渡らず、確実に金属焼結体の内部まで含浸させてアパタイト粒子を定着させることができない。 いかに高圧で加圧しても、焼結体の外方部分と内方部分には浸透度合いに違いが出てくる。焼結体の外方部分では水溶液が容易に浸透して粒子が高密度に分布し、逆に焼結体の内方部分には水溶液が浸透しにくく、粒子の密度が低くなる。 【0006】 従来の方法のように高圧で加圧して行なう含浸による金属焼結体への粒子の浸透には、金属焼結体の内方へ粒子を均一に付着させることが非常に困難であるという問題があった。また、前述の含浸による方法に限らず他の方法においても、前記の課題は同様に問題となっている。 従って、本発明は、アパタイト系材料の粒子を焼結体の内方深部まで均一に定着させた生体用部材を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 前記の課題を解決するために、本発明は、金属粒体を焼結にて多孔質の焼結体とし、該焼結体にアパタイト系材料の粒子を残留させてなる生体用部材において、アパタイト系材料の粒子を残留させる際にアパタイト系の材料を媒体と共に加圧して焼結体に送る加圧手段と、減圧して焼結体から媒体を吸引する減圧手段との間に前記焼結体が配置されて生成されることを特徴とする生体用部材である。 【0008】 また、金属粒体を焼結にて多孔質の焼結体とし、該焼結体を圧力容器内に備えさせ、加圧手段でアパタイト系の材料を媒体と共に加圧して焼結体に送ると共に、減圧手段で減圧して焼結体から媒体を吸引することで焼結体の空隙へアパタイト系の材料の粒子を残留させることを特徴とする生体用部材の製造方法である。 【0009】 また、前記焼結体が、中心部に一端のみが外方に開放された中空部を備え、該中空部の開放部分に減圧手段が接続されることを特徴とする生体用部材である。 【発明の効果】 【0010】 本発明によれば、アパタイト系材料の粒子が多孔質焼結体の最深部まで均一に残留できるので、はく離を起こさずにアパタイト系材料の生体親和性が損なわれることなく生体用部材が骨組織と結合しやすくなる。 また、高い強度を有し且つ生体親和性が優れたチタン−アパタイト材料の生体用部材を得ることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0011】 次に本発明の実施の形態について図を用いて説明する。 図1は、本発明の生体用部材の製造方法と従来の含浸による製造方法を比較した作用説明図である。 図1(1)には従来の含浸によるアパタイト系材料の粒子の付着過程を示し、図1(2)には本発明のアパタイト系材料の粒子の付着過程を概略的に示している。 図1(1)の従来の含浸による方法においては、加圧によりアパタイト系材料の粒子を送り込んでいるが、焼結体の外方部分では水溶液が容易に浸透して粒子が高密度に分布し、逆に焼結体の内方部分には水溶液が浸透しにくく、粒子の密度が低くなる。したがって、焼結体内にはアパタイト系材料の粒子がまばらに存在することとなり、焼結体の最深部になると粒子の分布が希薄となり、アパタイト系材料の粒子が焼結体全体で均一に残留できない。 【0012】 一方、図1(2)に示す本発明による方法においては、加圧した媒体を減圧させることで媒体を焼結体の内部を通過させるようになしてアパタイト系材料の粒子を焼結体内に残留させる。あたかも、焼結体をフィルタのごとく設け、そのフィルタである焼結体の多孔質内部に媒体を通過させて焼結体の空隙部位にアパタイト系材料の粒子を残留させるものである。 焼結体内部を通過する媒体は、焼結体内へ送られる際には加圧され、さらに焼結体外へ出される際には減圧されて作用するので、媒体は焼結体内を一様に通過でき、焼結体内部で偏り無く均一に浸透できる。そのため、媒体により送られるアパタイト系材料の粒子は、焼結体の内方深部にも確実に到達でき、内方深部まで均一に分布される。 【0013】 本発明の生体用部材は金属の焼結体1から構成される。焼結体1は、金属粒体11を焼結により成形して作られる。焼結により形成されるため、焼結体1は無数の微細な空隙12を有する多孔質状態で形成されている。金属粒体11はチタン、チタン合金などが用いられる。用いられる金属粒体には粒径が20μmであるものが望ましく用いられる。 【0014】 金属粒体11の焼結には、成形金型に金属粒体11を充填し加熱焼結する粉末冶金法や、金属粉末射出成形法などで行なわれる。ただし前述の方法に限らず、金属粒体11の焼結方法には、無数の微細な空隙12を有する多孔質状態で形成される他の焼結方法でも成形することができる。 【0015】 生体用部材は、前述の焼結体1にアパタイト系材料2の粒子3を付着させて生体親和性を高めたものである。アパタイト系材料2は、骨組織と強固に結合する性状を有しているアパタイトやリン酸三カルシウム系セラミックなどの生体親和性に優れたカルシウム材料である。用いられるアパタイト系材料の粒子には粒径が1〜5μmであるものが望ましく用いられる。 アパタイト系材料2の粒子3を付着する際には、アパタイト系材料2の粒子3を焼結体1へ圧力をかけて送り易くするために媒体5と共に送るようにする。媒体としては例えば液中に溶かして水溶液とし液圧で送り、また気体に混合して空圧で送るようにする。 【0016】 次に図を示して多孔質の焼結体1の空隙12にアパタイト系材料2の粒子3を付着させる工程を説明する。 図2は、本発明の生体用部材の製造方法を示す説明図である。 チタンなどの金属材料を無数の微細な空隙を表面に連通させる多孔質状態となるように焼結成形し、骨組織同士を固定させるためのビスを焼結体1として造形する。 圧力容器13の中に焼結成形させた多孔質の焼結体1を固定させて備えさせる。圧力容器13は、圧力容器13の内を加圧する加圧手段6として媒体5を圧力容器13へ送る加圧ポンプ7と、加圧ポンプ7から送られる媒体を圧力容器13に通す加圧側配管15が設けられている。 圧力容器13内に固定された焼結体1には減圧手段8が連接して設けられている。減圧手段8は、焼結体1から媒体5を減圧させて引き込ませる。減圧手段8には、焼結体1を介して圧力容器13内を減圧させ媒体5を吸引する減圧ポンプ9と、焼結体1に連接して設けられ吸引される媒体5を減圧ポンプ9まで送る減圧側配管16が設けられている。 【0017】 加圧手段6によって圧力容器13に送られる媒体5は、アパタイト系材料2の水溶液が用いられる。このアパタイト系材料2の水溶液が圧力容器13に加圧されて送られ、圧力容器13に備えられた焼結体1に向けてアパタイト系材料2の水溶液が送られる。 アパタイト系材料2の水溶液が送り込まれた状態で焼結体1には加圧ポンプ7により加圧されたアパタイト系材料2の水溶液が外方全域から焼結体1の多孔質部位の空隙12へ送り込まれる。それと同時に、減圧側配管16を介して焼結体1に連接する減圧ポンプからアパタイト系材料2の水溶液が吸引される。 焼結体1には、加圧手段からアパタイト系材料2の水溶液が送り込まれる押し込み作用と、減圧手段よりアパタイト系材料2の水溶液が吸引される引き込み作用が同時に作用するので、焼結体1の多孔質の空隙12にアパタイト系材料2の水溶液が通り抜けるようになされる。 【0018】 これにより、多孔質の焼結体1に設けられた空隙12へアパタイト系材料2の水溶液が全域に渡って均一に浸透され、水溶液中のアパタイト系材料2の粒子3が焼結体1の空隙12に残留することで、アパタイト系材料2の粒子3が焼結体1の内方深部まで均一に分布する生体用部材が得られる。 【0019】 [第二実施例] 図3は、本発明の第二実施例を示す説明図である。 第二実施例は、焼結体1の形状において中心部へ窪みを設けた中空部17を備え、この中空部17へ減圧手段8を連接させて生体用部材を得ることに特徴がある。 媒体5を焼結体1へ浸透させる際において、加圧手段6の圧力で押し込まれる媒体5が焼結体1を通過して減圧手段8の減圧側配管16に達するまでの距離、つまり加圧手段6と減圧手段8との間にある焼結体1部分を小さくすることで、媒体5を焼結体1の全域にまんべんなく浸透し易くする。 そのため、焼結体1の減圧手段8と接続している所から遠い部位や端部などの媒体5中の粒子3が残留し難い部位にも媒体5が浸透し、アパタイト系材料2の粒子3を焼結体1の空隙12に残留させることができる。 【0020】 [第三実施例] 図4は、本発明の第三実施例を示す説明図である。 前記実施例においては、加圧手段6と減圧手段8に用いるポンプをそれぞれ別に設けているが、本実施例ではこれを一つのポンプで行なうものである。図4に示すように圧力容器13に焼結体1を固定させ、加減圧ポンプ10から加圧側配管15を連結させて媒体5を圧力容器13へ送り込むように構成されている。 圧力容器には、減圧側配管16が焼結体1に連接して設けられ、さらには前記加減圧ポンプ10の減圧側接続部に連結されて媒体5を加減圧ポンプ10の吸引側へ戻すようになされている。 これにより媒体5が加減圧ポンプ10により循環され、より効率良く媒体5内のアパタイト系材料2の粒子3を焼結体1に残留させることができる。またひとつのポンプのみで実施できるので、低コストで設置スペースをとらないコンパクトな装置にすることができる。 【0021】 前述の実施例において、媒体5として、アパタイト系材料2の水溶液を用いる例を説明しているが、例えば媒体5に気体を用いて粉末状や粒状のアパタイト系材料を圧力容器へ送ることもできる。 これによれば、アパタイト系材料の粒子3を焼結体1の空隙12へ直接送ることができる。 【0022】 また、媒体5として付着性の高いバインダーを用いることで、焼結体1の空隙12へのアパタイト系材料2の粒子3が残留する度合いを増やすことができる。これにより粒子3の焼結体1からの剥がれ等の防止も可能となり、より生体親和性の高い生体用部材を求める事ができる。 また他の例としては、粒子の電気的特性を利用して、粒子3を電荷させて電気的に焼結体1へ付着させる方法もある。 【0023】 また前述の実施例においては、加圧手段6により加圧された媒体5が圧力容器13へ送り込まれる例を説明しているが、媒体5を圧力容器13へ送る際にヒーターなどの加熱手段を設け、加圧手段6により加圧された媒体5を加熱することで、圧力容器13内へ媒体5を送り込み易くし、より効率良く媒体5に送り込み作用を起こさせることができる。 【図面の簡単な説明】 【0024】 【図1】本発明の生体用部材の製造方法と従来の含浸による製造方法を比較した作用説明図である。 【図2】本発明の第一実施例の製造方法を示す説明図である。 【図3】本発明の第二実施例の製造方法を示す説明図である。 【図4】本発明の第三実施例の製造方法を示す説明図である。 【符号の説明】 【0025】 1 焼結体 3 アパタイト系材料の粒子 5 媒体 7 加圧ポンプ 9 減圧ポンプ 10 加減圧ポンプ 13 圧力容器 14 蓋 15 加圧側配管 16 減圧側配管 17 中空部
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| 【出願人】 |
【識別番号】000154901 【氏名又は名称】株式会社北川鉄工所
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| 【出願日】 |
平成18年7月5日(2006.7.5) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−12032(P2008−12032A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月24日(2008.1.24) |
| 【出願番号】 |
特願2006−185485(P2006−185485) |
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