| 【発明の名称】 |
義歯床裏装用硬化材料 |
| 【発明者】 |
【氏名】梶原 鉄平
【氏名】橋口 昌尚
【氏名】中田 聖士
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| 【要約】 |
【課題】含有するラジカル重合性単量体由来による口腔粘膜への特有の刺激や不快感を効果的に抑制させうる新規な義歯床裏装用硬化材料を提供することを目的とする。
【構成】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)ラジカル重合性単量体からなり且つ吸水度が20wt%以下のモノマー成分100質量部、(B)水 0.5〜10質量部、(C)界面活性剤 0.1〜20質量部、(D)有効量のラジカル重合開始剤、及び(E)非水溶性ポリマー 50〜500質量部を含んでなる義歯床裏装用硬化材料。 【請求項2】 前記モノマー成分(A)が、吸水度が5wt%以下である強疎水性重合性単量体(a−1)と、吸水度が100wt%以上である強親水性重合性単量体(a−2)との混合物であることを特徴とする請求項1記載の義歯床裏装用硬化材料。 【請求項3】 前記界面活性剤(B)が、アニオン性界面活性剤(b−1)とノニオン性界面活性剤(b−2)とからなることを特徴とする請求項1記載の義歯床裏装用硬化材料。 【請求項4】 さらに水溶性ポリマー(F)を、前記モノマー成分(A)100質量部当り、0.00001〜10質量部の量で含有していることを特徴とする請求項1記載の義歯床裏装用硬化材料。 【請求項5】 前記モノマー成分(A)を主成分として構成される液材と、前記非水溶性ポリマー(E)を主成分として構成される粉材の2つの包装形態で別々に保存され、これらを練和して使用されるものである請求項1〜4記載の義歯床裏装用硬化材料。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、ラジカル重合によって硬化体を形成する義歯床裏装用硬化材料に関するものであり、更に詳しくは、含有するラジカル重合性単量体等の由来による口腔粘膜への特有の刺激や不快感を効果的に抑制させうる新規な義歯床裏装用硬化材料に関する。 【背景技術】 【0002】 義歯床裏装用硬化材料は、長期間の使用により患者の口蓋に適合しなくなった義歯を改床し、再度使用できる状態に修正するための義歯床裏装材を、硬化させて形成させる材料である。このような材料に用いる硬化材料としては、ラジカル存在下で重合が可能な単量体、ラジカル重合開始剤からなるラジカル重合性硬化材料が広く用いられている。 【0003】 このような材料は、口腔外で加熱して硬化させたり、口腔内で直接硬化させたりして用いられるが、後者に示したような、直接患者の口腔に挿入、口腔粘膜面との適合を図った後、口腔内で保持したまま重合硬化させて修正する、いわゆる直接法といわれる手法で用いられる場合が多い。 【0004】 従来、そのような裏装材としては、一般にメチルメタクリレート等のラジカル重合性化合物等の単量体、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、メチルメタクリレートとエチルメタクリレートの共重合体等の非水溶性ポリマー、及び有機過酸化物などに代表されるラジカル重合開始剤で構成された硬化材料が用いられてきた。 【0005】 このような硬化材料は、各成分を混合した際に非水溶性ポリマーがラジカル重合性単量体へ溶解やラジカル重合性単量体に膨潤することにより、増粘してペースト化し、義歯への盛り付けおよび口腔内での賦形を可能とすると同時に、ラジカル重合開始剤が混合されることによりラジカルが発生し、混合から所定の時間が経過した後、重合硬化が進行する機能を有する。 【0006】 上記材料で使用されているモノマー成分は、ポリマー成分と接触させると短時間でその一部を溶解すると共にポリマー成分中に浸透して膨潤させる(以下、この様な作用を単にポリマー膨潤性ともいう)。このため、モノマー成分とポリマー成分との混合物の粘度を適度に調節することができ、臨床上又は技工上の操作を容易にすることができるという利点を有する。 【0007】 しかしながら硬化材料がラジカル重合によって硬化体を形成するものである場合、重合工程を空気中で行うと、硬化体の空気に露出した表面には未重合層が生じる。これは、硬化材料の空気に露出した表面では、空気中の酸素が硬化材料と結合して過酸化物ラジカルとなり、重合の進行を停止するからである。 【0008】 さらに上記ラジカル重合性単量体は総じて、(1)刺激臭がある、(2)口腔内粘膜、皮膚等に強い刺激がある、(3)重合時の発熱が大きい等の問題がある。 【0009】 上記のような問題は、例えば歯科用接着充填材料(いわゆる歯科用セメント)においては、口腔内粘膜、皮膚等に直接触れることが少なく、また触れたとしても使用量が少ないため特に問題にならないが、義歯床裏装材のように患者の口腔内粘膜上で多量に直接硬化させることがある場合には大きな問題となる。 【0010】 それに対して、ラジカル重合性単量体に界面活性剤を添加することにより、歯牙等の硬組織に対する接着剤として使用した場合、歯髄に与える刺激が少なく且つ歯質への浸透の少ない硬化材料を得られることが報告されている 特許文献1には、さらに希釈溶媒として水を配合し得ることが開示されているが、このような希釈溶媒は、界面活性剤成分をプライマーとして使用する場合に用いられるものであり、例えば、水及び界面活性剤を含むプライマー(ラジカル重合性単量体を含むこともある)を歯牙等に塗布、乾燥した後に、ラジカル重合性単量体及び重合開始剤を含む成分を塗布して重合硬化が行われる。従って、特許文献1においては、硬化時には水は存在しておらず、水が刺激の抑制に影響を与えることはない。 【0011】 【特許文献1】特開平7−316391号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0012】 以上の背景にあって本発明は、重合時の表面未重合の生成を抑制し、且つ含有するラジカル重合性単量体由来による口腔粘膜への特有の刺激や不快感を効果的に抑制させうる新規な義歯床裏装用硬化材料を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0013】 本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行なった。その結果、特定のラジカル重合性単量体を用いた場合に、少量の水と界面活性剤とを併用することにより、硬化材料の表層に界面活性剤の膜を形成する現象があることを見出し、かかる新規知見に基づき、本発明を完成するに至った。 【0014】 すなわち、本発明によれば、 (A)ラジカル重合性単量体からなり且つ吸水度が20wt%以下のモノマー成分 100質量部; (B)水 0.5〜10質量部; (C)界面活性剤 0.1〜20質量部; (D)有効量のラジカル重合開始剤;及び (E)非水溶性ポリマー 50〜500質量部 を含んでなる義歯床裏装用硬化材料である。 尚、本発明において、モノマー成分の吸水度とは、23℃において飽和吸水させたラジカル重合性単量体からなるモノマー成分の含水量をカールフィッシャー法により求めた値から計算されるものであり、以下の式で与えられる。 吸水度=含水量(g)/モノマー成分(A)の重量(g)×100 【発明の効果】 【0015】 本発明の義歯床裏装用硬化材料は、硬化時に別の材料を使用しなくても、硬化時の表面未重合の生成を抑制するとともに、含有するモノマーなどから由来される刺激や不快感をより効果的に抑制させることのできる上記硬化材料を得ることができる。このような義歯床裏装用硬化材料は、義歯補修時に口腔内で直接口腔粘膜の形状を義歯床裏装材に印記させる際に患者に対してより負荷を与えずに速やかに義歯の補修を行うことができることから極めて有用である。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 本発明の義歯床裏装用硬化材料は、ラジカル重合性単量体からなるモノマー成分(A)と重合開始剤(D)とを含有するものであるが、特に重要な特徴は、モノマー成分(A)の吸水度が一定値以下(20wt%以下)となるように特定のラジカル重合性単量体を選択的に使用すること、及びこのように吸水度が調整されたモノマー成分(A)と組み合わせて、水(成分B)及び界面活性剤(成分C)を併用した点にある。 【0017】 即ち、このような義歯床裏装用硬化材料においては、重合開始剤の作用によりラジカル重合性単量体からなるモノマー成分(A)が重合し硬化体を与えるが、重合が水と界面活性剤との存在下で進行するため、ラジカル重合性単量体が硬化する際に界面活性剤と水の層が硬化体の表面に形成される。この界面活性剤と水よりなる層が、本硬化材料と空気が直接接するのを防ぐ役割を果たすと考えられる。またさらに本硬化材料を、義歯の補修を目的として義歯に盛り付けた後で口腔粘膜に対して直接接するように押し当てた際にラジカル重合成単量体と口腔粘膜とが直接接することを防ぐ役割を果たすと考えられる。ただし、重合に伴って生成される硬化体表面には、一定のバランスで水と界面活性剤とが存在する必要があり、例えば、水或いは界面活性剤が極端に多く存在する場合には、硬化体強度が低下したり、場合によっては全く硬化しなくなったりする。従って、本発明では、モノマー成分(A)の吸水度を一定の範囲に調整し、また、モノマー成分(A)当りの水(成分B)及び界面活性剤(成分C)の量も、一定の範囲に設定することが必要となる。以下、これら各成分につき詳述する。 <モノマー成分(A)> 本発明において、モノマー成分(A)としては、ラジカル重合性単量体が使用されるが、このようなモノマー成分(A)は、前述した方法で測定される吸水度が20wt%以下でなければならない。従って、モノマー成分(A)としては、吸水度が20wt%以下のラジカル重合性単量体を1種単独で使用されるか、或いは、吸水度が20wt%以下のラジカル重合性単量体と吸水度が20wt%よりも大きいラジカル重合性単量体とを併用し、吸水度が20wt%以下に調整された混合物がモノマー成分(A)として使用される。従って、ヒドロキシエチルメタクリレートのように、単独では吸水度が高い(吸水度が100以上である)親水性のラジカル重合性単量体も、吸水度が低い疎水性のラジカル重合性単量体と組み合わせて吸水度が20wt%以下の混合物の形でモノマー成分(A)として使用することができる。 【0018】 即ち、本発明においては、モノマー成分(A)の吸水度が20wt%よりも大きいときには、おそらく、重合硬化の進行に伴って形成される硬化体の表面に水の層を生成することができないものと考えられ、この結果、ラジカル重合性単量体を一層覆うことができずに、表面未重合及び刺激の抑制効果が得られないものと考えられる。 【0019】 本発明の硬化材料において、硬化体表面での水と界面活性剤よりなる層が効果的に生成するためには、上記のようなモノマー成分(A)の吸水度は0.1〜15wt%であることがより好ましく、最も好適には、0.5〜5wt%の範囲にあることが好ましい。 【0020】 上述したように、吸水度が上記範囲内に調整されている限り、種々のラジカル重合性単量体をモノマー成分(A)として使用することができるが、特に重合性に優れ、室温近辺でも硬化させやすい点で、(メタ)アクリル系重合性単量体が好適に使用される。このような(メタ)アクリル系重合性単量体は、その吸水度に応じて、モノマー成分(A)の吸水度が上記範囲内となるように、単独或いは2種以上の組み合わせで使用される。 【0021】 尚、モノマー成分(A)の吸水度は、先に述べたようにカールフィッシャー法により求めることができるが、簡単な目安として、重合性単量体100質量部と水20質量部とを混合して、均一となるか否かで、吸水度が20wt%以下であるか、そうでないかを判定することができる。即ち、均一になった場合は、吸水度が20wt%より大きく、不均一の場合には、吸水度が20wt%以下と判定することができる。単独での吸水度が20wt%以下の疎水性の(メタ)アクリル系重合性単量体としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。括弧内の値は、吸水度である。 【0022】 オキシエチレン基の平均数が6であるポリエトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレート(5〜10wt%) オキシエチレン基の平均数が10であるエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(5〜10wt%) オキシエチレン基の平均数が13であるエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(10〜20wt%) オキシエチレン基の平均数が9であるポリエトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレート(10〜20wt%) ヒドロキシペンチルメタクリレート(10〜20wt%) ヒドロキシブチルメタクリレート(10〜20wt%) グリセリンジメタクリレート(10〜20wt%) 上記例示した(メタ)アクリル系重合性単量体は、単独での吸水度が前記特定するものの中で、比較的大き目の値を有するものであるが、本発明においては、さらに、吸水度が5wt%以下の強疎水性の(メタ)アクリル系重合性単量体(a−1)、即ち、以下のものがより好適に使用される。 強疎水性の(メタ)アクリル系重合性単量体(a−1): (1)単官能ラジカル重合性単量体 エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート、1H,1H,6H−デカフルオロヘキシルメタクリレート及び1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート等の含フッ素(メタ)アクリレート、下記式(a)〜(g)で示される(メタ)アクリレート等が挙げられる。 【0023】 【化1】
【0024】 【化2】
【0025】 【化3】
【0026】 なお、上記各式中のR1は、水素原子又はメチル基であり、R2及びR3はそれぞれ独立なアルキレン基であり、R4はアルキル基であり、mは0または1〜10の整数であり、nは1〜10の整数(但し、m+nは2〜10の整数である。)である。上記R2又はR3としてのアルキレン基は特に限定されないが、後述するような非水溶性ポリマーを用いる場合、該ポリマーへの膨潤性、或いは溶解性を勘案すると、前記式(a)〜(e)で示される化合物においては、メチレン基、エチレン基、エチリデン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、1−メチルトリメチレン基、1,2−ジメチルエチレン基及びヘキサメチレン基等の炭素数1〜6のアルキレン基、これらの中でも特に炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましい。また、前記式(a)〜(g)に示される化合物におけるR4のアルキル基としては同じ理由により、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基、これらの中でもメチル基又はエチル基であるのが好適である。また、同様の理由により前記式(f)のmおよびnの総和は10以下、さらには5以下であることが好ましく、前記式(g)におけるnは10以下、さらには5以下であることが好ましい。 (2)二官能ラジカル重合性単量体 エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、2,2−ビス(メタクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(3−メタクリロキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル]プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシジプロポキシフェニルプロパン、2−(4−メタクリロキシエトキシフェニル)−2−(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2−(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)−2−(4−メタクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−メタクリロキシジプロポキシフェニル−2−(4−メタクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシイソプロポキシフェニルプロパン、及びこれらのアクリレート等が挙げられる。 (3)三官能ラジカル重合性単量体 トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。 (4)四官能ラジカル重合性単量体 ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が挙げられる。 【0027】 本発明においては、このようなラジカル重合性単量体は単独で用いてもよく、また2種類以上のラジカル重合性単量体を併用してもよい。さらに、ラジカル重合性を有する官能基数が異なる複数種の組み合わせも自由に選択しうる。 【0028】 特に本発明の硬化材料を義歯床裏装用材料として用いる場合には、単官能ラジカル重合性単量体と二官能ラジカル重合性単量体とを組み合わせて用いるのが好適であり、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートや、以下の化合物AE−1〜AE−3 【0029】 【化4】
【0030】 等の単官能ラジカル重合性単量体と、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート等の二官能ラジカル重合性単量体の中からそれぞれ1種類ずつ選び、20/80〜80/20の質量比で組み合わせたものがより好適である。 【0031】 また、吸水度が20wt%よりも大きいラジカル重合性単量体には種々のものがあるが、本発明では、特に吸水度が100wt%以上の強親水性のラジカル重合性単量体(a−2)を選択し、これを、前述した吸水度が20wt%以下の疎水性のラジカル系重合性単量体、特に吸水度が5wt%以下の強疎水性のラジカル重合性単量体(a−1)と組み合わせて吸水度が20wt%以下(好ましくは0.1〜15wt%、最も好適には0.5〜5wt%)の混合物の形で使用することが好適である。また、そのときに用いる強親水性ラジカル重合性単量体は強疎水性ラジカル重合性単量体に対して0.5wt%以上添加されていることが好ましく、1.0wt%以上添加されていることが更に好ましい。このような疎水性ラジカル重合性単量体と親水性ラジカル重合性単量体とを組み合わせて使用する態様は、硬化体表面での水と界面活性剤の膜が生成する効果が高く、特に強疎水性の(メタ)アクリル系重合性単量体と強親水性(メタ)アクリル系重合性単量体との組み合わせは、後述する実施例に示されているように、刺激を効果的に低減させることができる。このような吸水度が100wt%以上の強親水性(メタ)アクリル系重合性単量体(a−2)としては、以下のものを例示することができる。 強親水性(メタ)アクリル系重合性単量体(a−2): アクリル酸)、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル−1,3−ジ(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル−1,2−ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、2−トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルクロライド、(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、平均分子量400以上のポリエチレングリコールのジメタクリレート、平均分子量400以上のポリエチレングリコールのメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、オキシエチレン基の平均数が25以上であるエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート 尚、本発明において、このように疎水性ラジカル重合性単量体と親水性ラジカル重合性単量体とを併用した場合に、表面未重合及び刺激性や不快感を低減させる効果が高まる理由は定かではないが、親水性ラジカル重合性単量体が含有されることにより、硬化材料に対する水の分散性が向上し、それにより該硬化材料の硬化時に表面に形成される、界面活性剤と水よりなる層の均一性が高まるからではないかと推察される。 【0032】 尚、上記のように2種以上のラジカル重合性単量体の混合物をモノマー成分(A)として使用した場合、該混合物のおおよその吸水度は、個々のラジカル重合性単量体の吸水度から算術平均により算出できるので、これを目安に混合比を調節してモノマー成分(A)の吸水度を前述した範囲に調整すればよい。例えば、強疎水性のラジカル重合性単量体と強親水性のラジカル重合性単量体との混合物をモノマー成分(A)として使用するときには、吸水度を前述した範囲に調整するためには、強疎水性のラジカル重合性単量体を多量に使用すればよい。 【0033】 また、本発明においては、モノマー成分(A)の吸水度(即ち、用いるラジカル重合性単量体全体の吸水度)が前述した範囲に調整されている限り、各種のラジカル重合性単量体を単独あるいは2種以上の組み合わせで使用することができるが、特に、二官能或いは三官能以上の単量体を多く使用することにより、最終的に得られる硬化体の強度や耐久性などの機械的物性も良好なものとすることができる。 【0034】 さらに、本発明の硬化材料においては、前記(メタ)アクリル系重合性単量体に加えて、重合の容易さ、粘度の調節、あるいはその他の物性の調節のために、上記(メタ)アクリル系重合性単量体以外の他のラジカル重合性単量体を混合して用いることも可能である。無論この場合にも、ラジカル重合性単量体成分の吸水度を20wt%以下にする必要がある。これら他のラジカル重合性単量体を例示すると、フマル酸モノメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エステル類;スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレンあるいはα−メチルスチレン誘導体;ジアリルテレフタレート、ジアリルフタレート、ジアリルジグリコールカーボネート等のアリル化合物等を挙げることができる。これら他のラジカル重合性単量体もまた単独でまたは二種以上を一緒に使用することができる。 <水(成分B)> 本発明の義歯床裏装材用硬化材料においては、前述したモノマー成分(A)からなるマトリックス中に水が分散されており、このような水が分散された状態でラジカル重合による硬化が行われ、硬化体が形成される。即ち、水が、後述する界面活性剤とともに分散されている状態でラジカル重合が行われるため、重合の進行とともに形成される硬化体の表面に適度の水層(界面活性剤含有)が形成され、この水層が本硬化材料と空気が直接接することを防ぎ、且つラジカル重合性単量体と口腔粘膜が直接接することを抑制する働きを示すものと考えられる。この結果として、それら表面未重合を低減させ、且つ刺激性、不快感を効果的に緩和させるものである。 【0035】 このような水の配合量は、前述したモノマー成分(A)100質量部当り、0.5〜10質量部である。配合量が0.5を下回る場合には水と界面活性剤の膜が生成しづらく表面未重合や刺激の低減効果が得られず、また10を上回る場合には低減効果は得られるが硬化体の強度が低下してしまう。好ましくは2〜7質量部の範囲である。また、水を配合せず、水中で重合硬化を行うような場合には、膜を形成させて刺激を抑制させるという観点からは問題はないが、硬化体の機械的特性を著しく低減させ、硬化を不十分とさせる恐れがあるばかりか、硬化材料を水中に浸漬することが必要となるため、硬化材料の用途が著しく制限されてしまい、義歯床裏装材の用途には適用できなくなってしまう。従って、本発明では、上記のような量で水を硬化材料中に分散させるわけである。 <界面活性剤(成分C)> 本発明の硬化材料においては、水とともに、界面活性剤が配合される。即ち、界面活性剤の使用により、重合の進行と共に生成する硬化体の表面に水の層を分布させることができ、硬化体表面での水との膜生成を引き起こすことができるのである。 【0036】 このような界面活性剤は、前述したモノマー成分(A)100質量部当り、0.1〜20質量部の量で使用される。即ち、水と同様、界面活性剤の配合量が多いほど、表面での水と界面活性剤の膜を生成しやすくして刺激を低減できるが、硬化体の機械的特性が低下してしまう。このため、界面活性剤の配合量を上記範囲とする。 【0037】 また、界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、両性型などのイオン型界面活性剤や、ノニオン性界面活性剤のいずれをも使用することができる。このような界面活性剤の具体例は、これに限定されるものではないが以下の通りである。 ・アニオン性界面活性剤: デシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩;ヘキサンスルホン酸ナトリウム、デシルスルホン酸ナトリウムなどのアルキルスルホン酸塩;デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムなどの脂肪族カルボン酸金属塩類;ラウリルアルコールとエチレンオキサイドの付加物を硫酸化したラウリルエーテル硫酸エステルナトリウムなどの高級アルキルエーテル硫酸エステルの金属塩類;スルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸ジエステル類;高級アルコールエチレンオキサイド付加物のリン酸エステル塩類; ・カチオン性界面活性剤: ドデシルアンモニウムクロリドなどのアルキルアミン塩類;トリメチルドデシルアンモニウムブロミドなどの4級アンモニウム塩類; ・両性イオン界面活性剤: ドデシルジメチルアミンオキシドなどのアルキルジメチルアミンオキシド類;ドデシルカルボキシベタインなどのアルキルカルボキシベタイン類;ドデシルスルホベタインなどのアルキルスルホベタイン類;ラウラミドプロピルアミンオキシドなどのアミドアミノ酸塩; ・ノニオン性界面活性剤: ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;脂肪酸ポリオキシエチレンラウリルエステルなどの脂肪酸ポリオキシエチレンエステル類;ポリオキシエチレンソルビタンラウリルエステルなどのポリオキシエチレンソルビタンエステル類; 本発明において、上述した界面活性剤は、それぞれ、1種単独或いは2種以上を組み合わせて使用することができるが、特に好適には、アニオン系界面活性剤(c−1)とノニオン性界面活性剤(c−2)とを組み合わせで使用するのがよい。即ち、後述する実施例から明らかな通り、このように2種の界面活性剤を併用した場合には、重合硬化に際しての硬化体表面での水との膜の生成が、界面活性剤を単独で使用する場合に比して著しく向上する。 【0038】 また、アニオン系界面活性剤が配合されている硬化材料では、低温での保存安定性が低いという問題がある。即ち、ラジカル重合性単量体と重合開始剤とが配合された硬化材料では、保存中に重合硬化が促進されてしまうことがあり、このため、冷蔵保存(例えば0〜10℃)しておき、使用時に室温に戻して重合硬化を行うことがある。このような場合、アニオン系界面活性剤が配合されていると、これが析出してしまい、この結果、膜の生成能力が低下することがある。しかるに、上記のようにアニオン系界面活性剤(c−1)とノニオン性界面活性剤(c−2)とを組み合わせで使用したときには、冷蔵保存に際してのアニオン性界面活性剤の析出を有効に防止することができ、硬化材料の保存安定性を高めることができる。 【0039】 アニオン系界面活性剤(c−1)とノニオン性界面活性剤(c−2)とを併用する場合において、用いるアニオン性界面活性剤(c−1)としては、前記で例示した化合物の中でも、HLB(親水性親油性バランス)が20〜50、特に30〜50のものが、表面での膜の生成を促進させる上で好適であり、最も好適には、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩(これらの中でもアルキル基の炭素鎖が6〜16のもの)が使用される。また、ノニオン性界面活性剤(c−2)としては、前記で例示した化合物の中でも、HLBが3以上、特に6〜18のものが好適である。さらに、これらの界面活性剤を併用する場合には、前記モノマー成分(A)100質量部当り、アニオン性界面活性剤(c−1)を0.1〜10質量部、特に0.3〜3質量部の量で使用し、ノニオン性界面活性剤(c−2)を0.1〜10質量部、0.3〜3質量部の範囲とするのが、膜の生成促進と保存安定性の観点から好適である。 <ラジカル重合開始剤(成分D)> 本発明の義歯床裏装材用硬化材料には、前記モノマー成分(A)を重合させるためのラジカル重合開始剤が配合される。当該ラジカル重合開始剤としては、モノマー成分(A)として用いるラジカル重合性単量体を重合、硬化させることができるものであれば何ら制限なく使用可能であり、公知の重合開始剤が使用可能である。例えば、歯科分野で用いられるラジカル重合開始剤としては、化学重合開始剤(常温レドックス開始剤)、光重合開始剤、熱重合開始剤等があるが、口腔内で硬化させることを考慮すると、化学重合開始剤及び/又は光重合開始剤が好ましい。以下、各種のラジカル重合開始剤について説明する。
−化学重合開始剤− 化学重合開始剤は、2成分以上からなり、使用直前に全成分が混合されることにより室温近辺で重合活性種を生じる重合開始剤である。このような化学重合開始剤としては、アミン化合物/有機過酸化物系のものが代表的である。 【0040】 このような化学重合開始剤として使用されるアミン化合物の例としては、 N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエタノール−p−トルイジンなどの芳香族アミン化合物を挙げることができる。 【0041】 また、化学重合開始剤として使用される有機過酸化物の代表的なものには、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリールパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネートなどがあり、具体的には、以下のものを例示することができる。 ・ケトンパーオキサイド: メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等。 ・パーオキシケタール: 1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等。 ・ハイドロパーオキサイド: P−メタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等。 ・ジアルキルパーオキサイド: α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3等。 ・ジアシルパーオキサイド: イソブチリルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、スクシニックアシッドパーオキサイド、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等。 ・パーオキシカーボネート: ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート等。 ・パーオキシエステル: α,α−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート等。 ・その他の有機過酸化物: t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等。 【0042】 使用する有機過酸化物は、適宜選択して使用すればよく、単独又は2種以上を組み合わせて用いても何等構わないが、中でもハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステル及びジアシルパーオキサイドが重合活性の点から特に好ましい。さらにこの中でも、硬化材料としたときの保存安定性の点から10時間半減期温度が60℃以上の有機過酸化物を用いるのが好ましい。 【0043】 このような有機過酸化物とアミン化合物からなる化学重合開始剤にさらに、ベンゼンスルフィン酸やp−トルエンスルフィン酸及びその塩などのスルフィン酸、或いは5−ブチルバルビツール酸などのバルビツール酸系開始剤を配合しても何ら問題なく使用できる。 【0044】 また、アリールボレート化合物が酸により分解してラジカルを生じることを利用した、アリールボレート化合物/酸性化合物系の化学重合開始剤を用いることもできる。 【0045】 アリールボレート化合物は、分子中に少なくとも1個のホウ素−アリール結合を有する化合物であれば特に限定されず公知の化合物が使用できるが、その中でも、保存安定性を考慮すると、1分子中に3個または4個のホウ素−アリール結合を有するアリールボレート化合物を用いることが好ましく、さらには取り扱いや合成・入手の容易さから4個のホウ素−アリール結合を有するアリールボレート化合物がより好ましい。このようなアリールボレート化合物としては、以下のものを例示することができる。 ・1分子中に3個のホウ素−アリール結合を有するボレート化合物: かかるアリールボレート化合物としては、以下のホウ素化合物のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリブチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩又はブチルキノリニウム塩等を挙げることができる。 【0046】 モノアルキルトリフェニルホウ素、 モノアルキルトリス(p−クロロフェニル)ホウ素、 モノアルキルトリス(p−フルオロフェニル)ホウ素、 モノアルキルトリス(3,5−ビストリフルオロメチル)フェニルホウ素、 モノアルキルトリス[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、 モノアルキルトリス(p−ニトロフェニル)ホウ素、 モノアルキルトリス(m−ニトロフェニル)ホウ素、 モノアルキルトリス(p−ブチルフェニル)ホウ素、 モノアルキルトリス(m−ブチルフェニル)ホウ素、 モノアルキルトリス(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、 モノアルキルトリス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、 モノアルキルトリス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、 モノアルキルトリス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素など。 【0047】 (ただし、いずれの化合物においてもアルキルはn−ブチル、n−オクチル又はn−ドデシルのいずれかを示す。 ・1分子中に4個のホウ素−アリール結合を有するボレート化合物: かかるアリールボレート化合物としては、以下のホウ素化合物のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリブチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩又はブチルキノリニウム塩等を挙げることができる。 【0048】 テトラフェニルホウ素、 テトラキス(p−クロロフェニル)ホウ素、 テトラキス(p−フルオロフェニル)ホウ素、 テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチル)フェニルホウ素、 テトラキス[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、 テトラキス(p−ニトロフェニル)ホウ素、 テトラキス(m−ニトロフェニル)ホウ素、 テトラキス(p−ブチルフェニル)ホウ素、 テトラキス(m−ブチルフェニル)ホウ素、 テトラキス(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、 テトラキス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、 テトラキス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、 テトラキス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素など。 (ただし、いずれの化合物においてもアルキルはn−ブチル、n−オクチル又はn−ドデシルのいずれかを示す) 上記で例示した各種のアリールボレート化合物は2種以上を併用しても良い。 【0049】 また、上記のアリールボレート化合物と併用される酸性化合物としては、酸性基含有ラジカル重合性単量体が好適に使用できる。このような酸性化合物として使用されるラジカル重合性単量体は、1分子中にラジカル重合性不飽和基及び酸性基を、それぞれ、少なくとも1つ有しているものであればよい。この酸性基は、ラジカル重合性単量体の水溶液又は水懸濁液が酸性を呈するように作用するものであり、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスフィニコ基{=P(=O)OH}、ホスホノ基{−P(=O)(OH)2}等を挙げることができる。また、このような酸性基は、2つの酸性基が脱水縮合した酸無水物構造の形で分子中に存在していてもよいし、あるいは酸性基のヒドロキシル基がハロゲンに置換された酸ハロゲン化物基として分子中に存在していてもよい。 【0050】 上記のような酸性基含有ラジカル重合性単量体としては、モノマー成分(A)の項で例示した(メタ)アクリル酸系のラジカル重合性単量体が好適である。 【0051】 尚、このような酸性基含有ラジカル重合性単量体をアリールボレート化合物と組み合わせて重合開始剤として使用する場合、この酸性基含有ラジカル重合性単量体は、モノマー成分(A)に含まれるものであるから、この酸性基含有ラジカル重合性単量体を含む形で、モノマー成分(A)の吸水度を前述した範囲に調整することが必要である。 【0052】 上述したアリールボレート化合物/酸性化合物系の重合開始剤には、更に、有機過酸化物及び/又は遷移金属化合物を組み合わせて用いることもできる。この有機過酸化物としては前記した通りである。また、遷移金属化合物としては+IV価或いは+V価のバナジウム化合物が好適である。このようなバナジウム化合物の具体例としては、四酸化二バナジウム(IV)、酸化バナジウムアセチルアセトナート(IV)、シュウ酸バナジル(IV)、硫酸バナジル(IV)、オキソビス(1−フェニル−1,3−ブタンジオネート)バナジウム(IV)、ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)、五酸化バナジウム(V)、メタバナジン酸ナトリウム(V)、メタバナジン酸アンモン(V)等を挙げることができる。
−光重合開始剤− 光重合開始剤としては、以下のものを単独或いは2種以上の組み合わせで使用することができる。 ・アシルホスフィンオキサイド誘導体: 2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、 2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、 2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、 2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、 2−メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、 ピバロイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、 ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、 ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、 ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、 ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、 ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、 ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、 ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、 ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、 ビス−(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイドなど。 ・α−ジケトン: ジアセチル、 アセチルベンゾイル、 ベンジル、 2,3−ペンタジオン、 2,3−オクタジオン、 4,4'−ジメトキシベンジル、 4,4'−オキシベンジル、 カンファーキノン、 9,10−フェナンスレンキノン、 アセナフテンキノン等。 ・ベンゾインアルキルエーテル: ベンゾインメチルエーテル、 ベンゾインエチルエーテル、 ベンゾインプロピルエーテル等。 ・チオキサンソン誘導体: 2,4−ジエトキシチオキサンソン、 2−クロロチオキサンソン、 メチルチオキサンソン等。 ・ベンゾフェノン誘導体: ベンゾフェノン、 p,p'−ジメチルアミノベンゾフェノン、 p,p'−メトキシベンゾフェノン等。 【0053】 上記光重合開始剤の中でも、重合活性の良さ、生体への為害性の少なさ等の点からα−ジケトン類が好ましい。またα−ジケトンを用いる場合には、第3級アミン化合物と組み合わせて用いることが好ましい。α−ジケトンと組み合わせて用いることのできる第3級アミン化合物としては、以下のものを例示することができる。 ・第3級アミン化合物: N,N−ジメチルアニリン、 N,N−ジエチルアニリン、 N,N−ジ−n−ブチルアニリン、 N,N−ジベンジルアニリン、 N,N−ジメチル−p−トルイジン、 N,N−ジエチル−p−トルイジン、 N,N−ジメチル−m−トルイジン、 p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、 m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、 p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、 p−ジメチルアミノアセトフェノン、 p−ジメチルアミノ安息香酸、 p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、 p−ジメチルアミノ安息香酸アミルエステル、 N,N−ジメチルアンスラニリックアシッドメチルエステル、 N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、 N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、 p−ジメチルアミノフェネチルアルコール、 p−ジメチルアミノスチルベン、 N,N−ジメチル−3,5−キシリジン、 4−ジメチルアミノピリジン、 N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、 N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、 トリブチルアミン、 トリプロピルアミン、 トリエチルアミン、 N−メチルジエタノールアミン、 N−エチルジエタノールアミン、 N,N−ジメチルヘキシルアミン、 N,N−ジメチルドデシルアミン、 N,N−ジメチルステアリルアミン、 N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、 N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、 2,2’−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等。 【0054】 上述した各種の重合開始剤は、それぞれ単独で使用されるだけでなく、必要に応じて複数の種類を組み合わせて併用することもできる。 【0055】 本発明において、これらのラジカル重合開始剤の配合量は、前述したラジカル重合性単量体からなるモノマー成分(A)を重合して硬化させる量であれば特に限定されず、用いたラジカル重合開始剤の種類やモノマー成分(A)の組成に応じて、公知の配合量を適宜選択すればよい。一般的には、モノマー成分(A)100質量部当り、0.01〜30質量部、特に0.1〜5質量部である。但し、前記酸性基含有ラジカル重合性単量体のように、ラジカル重合性の化合物をラジカル重合開始剤の一成分として用いる場合には、該化合物はモノマー成分(A)に含まれるものであるため、該化合物以外のラジカル重合開始剤成分の量を上記範囲とする。 <非水溶性ポリマー(成分E)> 本発明の義歯床裏装用硬化材料においては、重合して得られる硬化体の機械的強度その他物性を義歯床裏装材に適応できる物性に向上させるため、非水溶性ポリマーを用いる。ここで非水溶性であるとは義歯床裏装材の使用温度、即ち口腔内での平均的な温度である37℃での水に対する溶解度が5質量%以下であることを意味し、好ましくは3質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以下である。 【0056】 該非水溶性ポリマーは、上記に示したような非水溶性の要件を満たすものであれば特に制限なく用いることができるが、使用直前の粘度を適度なものにコントロールし易いことから、上記モノマー成分(成分A)に膨潤するものであることが好ましい。一般に化学的安定性、透明性などの点でPMMA、PEMA、P(EMA−MMA)、ポリブチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステルの実質的に非架橋の重合体又は前記した他のモノマーである各種(メタ)アクリル酸エステル類の実質的に非架橋の共重合体が好適に使用される。中でもPEMAはモノマー成分により特に膨潤しやすいので、PEMA、P(EMA−MMA)、或いはこれらの重合体と他の実質的に非架橋の重合体の混合物を用いることが好ましい。 【0057】 上記非水溶性ポリマーの分子量は特に制限されないが、得られる硬化体の機械的強度やモノマー成分への溶解性や膨潤性等を勘案すると、5〜100万の範囲であることが好ましく、通常は粉末状のものが配合される。その平均粒子径は10〜100μmであることが好ましい。 【0058】 非水溶性ポリマーの添加量は、前記した重合して得られる硬化体の機械的強度やその他物性を良好にする観点からは、モノマー成分(A)量100質量部に対し、非水溶性ポリマー量を50〜500質量部であり、100〜200質量部の範囲で用いることがより好ましい。 <水溶性ポリマー(成分F)> また、本発明においては、上述した(A)〜(E)成分に加えて、水溶性ポリマーを配合することができ、これにより、ラジカル重合性単量体由来の特有の刺激や不快感をさらに大幅に低減することができる。即ち、水溶性ポリマーは、水に溶解し、界面活性剤とともに、硬化体表面に形成された水層中に分布する。表面未重合や刺激の抑止効果が向上するものと思われる。 【0059】 尚、本発明における水溶性ポリマーとは、23℃における水に対する溶解度が1g/L以上であるポリマーを言う。 【0060】 このような水溶性ポリマーの例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、セルロース誘導体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム、ゼラチン、アルキルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、アクリル−スチレン共重合体、ウレタン系樹脂塩化ビニリデン樹脂等が挙げられる。このうち、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸等を用いるのが、安価で入手が容易である観点から特に好ましい。これら水溶性ポリマーは単独でまたは二種以上を一緒に使用することができる。 【0061】 また、上記の水溶性ポリマーは、水に対する溶解度が上記範囲にあるものであれば特に制限されないが、分子量が大きくなりすぎると、義歯床裏装材用硬化材料の粘度が高くなりすぎて操作性が低下する場合がある。従って、ポリスチレン換算での重量平均分子量が、1000〜500,000のものが好適である。 【0062】 本発明において、上記水溶性ポリマーの配合量は、モノマー成分(A)100質量部当り、0.00001〜10質量部、特に好ましくは0.0001〜1質量部、最も好ましくは0.0005〜0.5質量部の範囲とするのがよい。配合量が多いほど、硬化体表面での水と界面活性剤の層に分散され表面未重合や刺激を抑制させる効果が向上するが、一方で配合量が少ない方が硬化体の物性に与える影響が小さい。 <その他の配合成分> 本発明の義歯床裏装用硬化材料には、前記したモノマー成分(A)や界面活性剤(C)などの分の他にも必要に応じて、流動性を改良したり、得られる硬化体の諸物性及び操作性をコントロールするために無機フィラー;エタノール、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等のアルコール又は可塑剤;ブチルヒドロキシトルエン、メトキシハイドロキノン等の重合禁止剤;4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−(2−ベンゾトリアゾール)−p−クレゾール等の紫外線吸収剤、α−メチルスチレンダイマー等の重合調整剤;色素、顔料、香料等を添加することができる。 <義歯床裏装用硬化材料> 本発明の義歯床裏装用硬化材料は、上述した各種成分を均一に混合し、(B)〜(E)の成分、及び必要に配合される成分(F)の水溶性ポリマーやその他の任意成分を、モノマー成分(A)中に分散させることにより調製され、用いた重合開始剤(D)の種類に応じて適宜加熱し、或いは光照射することにより、重合硬化して硬化体を形成する。 【0063】 また、保存時の安定性を考慮して、0〜10℃程度の温度に冷蔵保存し、使用時に室温に戻して重合硬化を行うこともできる。特に界面活性剤(C)として、アニオン性系界面活性剤(c−1)とノニオン性界面活性剤(c−2)とが組み合わせで配合されている硬化材料は、先にも述べたように、冷蔵保存性が良好であり、アニオン性界面活性剤の析出などによる性能低下を有効に回避することができる。 【0064】 通常は、重合が開始しないように成分をいくつかに分けて包装、保存し、使用時にそれらを混合するのが一般的である。このときの分離保存形態は重合が開始しない形態であれば特に限定されないが、各成分の計量のし易さ、取り扱いの容易さの観点から、非水溶性ポリマーを主とする粉材と、ラジカル重合性単量体を主とする液材とに分けて包装し、それぞれに重合開始剤を構成する各成分を分配して各々所定の割合で配合すればよい。 【0065】 また、2ペースト型の義歯床裏装材料とするには、複数の成分を組み合わせることでラジカル重合を開始させるようなラジカル重合開始剤系を分包して用いると良い。即ち、ラジカル重合性単量体、ラジカル重合開始剤(成分1)、及びフィラーからなるペーストと、ラジカル重合性単量体、ラジカル重合開始剤(成分2)、及びフィラーからなるペーストをそれぞれ別の容器へ収容して保存し、これら容器をキットとして用いる方法も好適である。 【0066】 このようなキットとした場合には、使用時に各容器から所定量の粉末および液体の組み合わせあるいは2種のペーストをそれぞれ所定量取り出して混和し、所定の型枠中に入れ、もしくは形を整えて、常温ないし口腔内にて硬化させればよい。 【0067】 また、本発明の義歯床裏装材用硬化材料は、上記のように口腔内での使用する場合に限らず、口腔外部の石膏模型上で裏装操作を行なう、いわゆる間接法と呼ばれる術式用の材料として用いることもできる。 【実施例】 【0068】 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に示すが、本発明はこれら実施例によって何等制限されるものではない。 【0069】 尚、実施例および比較例で使用した化合物とその略称、並びに調製された硬化材料の評価方法を以下に示す。 [ラジカル重合性単量体] AAEM; アセトアセトキシエチルメタクリレート(吸水度:1.4wt%) ND; 1,9−ノナンジオールジメタクリレート(吸水度:0.1wt%) HEMA; ヒドロキシエチルメタクリレート(吸水度:任意に溶解) 14G; 分子量600のポリエチレングリコールのジメタクリレート (吸水度:任意に溶解) [アニオン界面活性剤] SLS; ラウリル硫酸ナトリウム(HLB:40) SDS; デシル硫酸ナトリウム(HLB:41) SOS; オクタンスルホン酸ナトリウム LBS; ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム [カチオン界面活性剤] LDAGCl; 塩酸ラウリルジアミノエチルグリシン(HLB:30) LTMACl; ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド(HLB:11) [ノニオン界面活性剤] POEL; ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル(HLB:14) POEL4; ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル(HLB:10) POEO2; ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル(HLB:8) POEO7; ポリオキシエチレン(7)オレイルエーテル(HLB:11) POEO15; ポリオキシエチレン(15)オレイルエーテル(HLB:16) [ラジカル重合開始剤] (有機過酸化物) BPO; ベンゾイルパーオキサイド パーオクタH; 1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド (アミン化合物) DEPT; N,N−ジエタノール−p−トルイジン DMPT; N,N−ジメチル−p−トルイジン PEAT; N,N−ジエチル−p−トルイジン DMBE; ジメチル安息香酸エチル (α−ジケトン) CQ;カンファーキノン (アリールボレート化合物) PhBTEOA; テトラフェニルホウ素トリエタノールアミン塩 (バナジウム化合物) VOAA; 酸化バナジウム(IV)アセチルアセトナート [非水溶性ポリマー] PEMA; ポリエチルメタクリレート 平均粒径:35μm、重量平均分子量 50万 水への溶解度: 1wt%以下(37℃) P(EMA−MMA) ポリ(エチルメタクリレート−メチルメタクリレート)共重合体 平均粒径:50μm、重量平均分子量 50万 水への溶解度: 1wt%以下(37℃) [水溶性ポリマー] PVA1000; ポリビニルアルコール (部分ケン化物、平均重合度1000 平均分子量50000) 〔吸水度測定方法〕 ラジカル重合性単量体(若しくはその混合物)を23℃において水と混合し、飽和吸水させた該単量体の含水量をカールフィッシャー(MODEL CA−02、三菱化学社製)により測定し、下記式により吸水度を求めた。 【0070】 吸水度(%)= 含水量(g)/単量体(若しくはその混合物)の重量(g)×100 〔表面未重合量測定方法〕 直径50mm、厚さ1mmの孔を有するポリアセタール製の型に、各実施例或いは比較例で調製された硬化材料を填入し、37℃湿潤条件下恒温槽中で15分間放置することにより硬化を行った。但し、実施例18では可視光線照射器(トクヤマ社製、パワーライト)により光照射を30秒間行うことにより硬化を行った。 【0071】 その後、得られた硬化体の表面をエタノールで洗浄して未重合層を除去した。型内に填入した硬化材料の重量から、未重合層が除去された硬化体の重量を引いたものを未重合量とし、表面積あたりの重さとして求めた。 〔口腔粘膜刺激・味覚試験〕 硬化材料の各成分を混合して得られたペースト2gを口腔へ挿入し、口腔内でペーストが硬化するまで放置した。その間の粘膜の刺激性によって評価した。試験は被験者3人で行い、以下に示す評価基準に従ってスコア化し、その平均点で評価した。 【0072】 スコア3 刺激や味が強く、不快である スコア2 刺激や味があり、やや不快に感じる程度 スコア1 わずかに刺激や味を感じる程度 スコア0 不快を感じない 〔曲げ強度測定方法〕 幅4mm、厚さ2mm、長さが40mmの長方形の孔を有するポリアセタール製の型に硬化材料を填入し未重合量の測定の場合と同様に硬化を行った。 【0073】 得られた硬化体について、強度試験機(島津製作所社製、オートグラフ)を用い、クロスヘッド速度1mm/分、スパン距離15mmの条件で、3点曲げ試験を行い曲げ強度を求めた。 〔保存安定性試験〕 硬化材料を、4℃の冷蔵庫に1週間保存した後、界面活性剤の析出を調べて、以下の2段階で評価した。 【0074】 ○:界面活性剤が析出していない ×:界面活性剤が析出している 実施例1 ラジカル重合性単量体として、吸水度が0.1wt%であるNDを用い、以下の処方により、2部材をそれぞれ調製した。 【0075】 第1部材(液材)の処方: ND(モノマー成分(A)); 100質量部 水; 3質量部 SLS(アニオン界面活性剤); 1.5質量部 DMPT(アミン化合物); 1.5質量部 第2部材(粉材)の処方: PEMA(非水溶性ポリマー成分); 150質量部 BPO(有機過酸化物); 3質量部 上記のような組成を有する第1部材と第2部材とを混合し、下記組成の硬化材料を調製した。 【0076】 硬化材料の組成; ND(モノマー成分(A)); 100質量部 水; 3質量部 SLS(界面活性剤); 1.5質量部 BPO(有機過酸化物); 3質量部 DMPT(アミン化合物); 1.5質量部 PEMA(非水溶性ポリマー成分); 150質量部 この硬化材料の表面未重合量及び口腔粘膜刺激を、先に述べた方法で評価した。その結果を上記実施例とともに表1に示した。 【0077】 表1に示したように、表面未重合量は15μm/mm2であり、3人のスコアはそれぞれ、0、0、1であり、表1に示したように平均スコアは0.3であった。 【0078】 【表1】
【0079】 実施例2 ラジカル重合性単量体としてNDのかわりにAAEM/NDの1:1混合物(質量比)を使用した以外は、実施例1と同様にして硬化材料を調製し、口腔粘膜刺激の評価を行った。その結果を表1に示した。 【0080】 表1に示したように、表面未重合量は12μm/mm2であり、3人のスコアはそれぞれ、0、0、1であり、表1に示したように平均スコアは0.3であった。 実施例3〜6 用いる界面活性剤の種類を、表1に記載するように変化させた以外は、実施例2と同様にして硬化材料を調製し、口腔粘膜刺激の評価を行った。結果を表1に示した。 【0081】 表1に示したように、いずれの表面未重合とも少ない量であり、またいずれの平均スコアとも1.0以下で不快を感じるような訴えはなかった。 比較例1〜3 水または/及び界面活性剤を表1に示したように、加えずに実施例2と同様にして硬化材料を調製し、口腔粘膜刺激の評価を行った。それらの結果を表1に示した。 【0082】 表1に示したようにいずれの場合でも、表面未重合量が極めて大きく、また刺激がありやや不快である結果であった。 実施例7〜12 ラジカル重合性単量体として表2に示したように、強疎水性モノマーと強親水性モノマーを組み合わせて使用した。また実施例10では水の量を変えて評価した。硬化材料の調製方法は実施例2と同様である。その結果を表2に示した。 【0083】 【表2】
【0084】 表2に示したように、いずれの表面未重合とも少ない量であり、またいずれの平均スコアとも1.0以下で不快を感じるような訴えはなかった。 比較例4〜7 ラジカル重合性単量体として表2に示したように、強疎水性モノマーと強親水性モノマーを組み合わせて使用し、水及び界面活性剤を加えずに硬化材料を調製した。その結果を表2に示した。 【0085】 表2に示したようにいずれの場合でも、表面未重合量が極めて大きく、また刺激がありやや不快である結果であった。 比較例8〜9 吸水度が20wt%を越えるようにラジカル重合性単量体を組み合わせ、それ以外は実施例2と同様にして硬化材料を調製した。その結果を表2に示した。 【0086】 表2に示したようにいずれの場合でも、表面未重合量が極めて、また刺激がありやや不快である結果であった。 実施例13〜16 水または界面活性剤の量を表3に示したように変化させ、それ以外は実施例2と同様にして硬化材料を調製した。それらの表面未重合量、口腔粘膜刺激の評価、及び硬化体の曲げ強度を測定した。それらの結果を表3に示した。 【0087】 【表3】
【0088】 表3に示したように、いずれも表面未重合量は少なく、また平均スコアとも1.0以下で不快を感じるような訴えはなかった。また曲げ強度もいずれの硬化体とも50MPaを越えており、義歯床裏装材として好適に使用できる強度を有していることがわかった。 比較例10〜11 水の量を表3に示したように変化させ、それ以外は実施例2と同様にして硬化材料を調製した。それらの表面未重合量、口腔粘膜刺激の評価、及び硬化体の曲げ強度を測定した。それらの結果を表3に示した。 【0089】 表3に示したように、水の量が少ない場合には表面未重合量が増加して刺激がありやや不快に感じる結果であり、また水の量が多い場合には表面未重合量は少なく不快性もないものの、曲げ強度が著しく低下することがわかった。 実施例17〜20 ラジカル重合開始剤の種類や非水溶性ポリマーの種類を表4に示したようにかえて硬化材料を作製した。なお、実施例18の光重合開始剤についてのみ、すべての成分を遮光下で混合練和した後、口腔内に挿入し、その状態で歯科用ハロゲンライトを用いて30秒間照射して硬化させた。それらの結果を表4に示した。 【0090】 【表4】
【0091】 表4に示したように、いずれも表面未重合量は少なく、また平均スコアとも1.0以下で不快を感じるような訴えはなかった。 実施例21〜28 界面活性剤を表5に示したようにアニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤の組み合わせで用いる以外は実施例2と同様にして硬化材料を調製した。それらの口腔粘膜刺激を評価するとともに、それらの界面活性剤の析出度合いの測定による保存安定性の評価を行った。結果を表5に示した。 【0092】 【表5】
【0093】 表5に示したように、いずれの場合も表面未重合量が少なく、口腔粘膜刺激試験において極めて良好な平均スコアを示していた。また冷蔵保存によっても界面活性剤の析出が見られず良好な保存安定性を有していることも示唆された。 【0094】 なお、比較として実施例2で保存安定性の評価をおこなったのでその結果も合わせて表5に示した。その結果、前述のように表面未重合量及び刺激に関しては良好な結果が得られたが、冷蔵保存によって界面活性剤の析出が見られた。ノニオン性界面活性剤を組み合わせることにより、界面活性剤の析出が抑えられることがわかった。 実施例29 ノニオン性界面活性剤を用いる代わりに、アニオン界面活性剤を2倍量配合して同様に硬化材料を調製した。その口腔粘膜刺激を評価するとともに、界面活性剤の析出度合いの測定による保存安定性の評価を行った。結果を表5に示した。 【0095】 表5に示したように、表面未重合量及び刺激に関しては良好な結果が得られたが、冷蔵保存によって界面活性剤の析出が見られた。ノニオン性界面活性剤を組み合わせることにより、界面活性剤の析出が抑えられることがわかった。 実施例30〜31 実施例8や12で示したような強疎水性モノマーと強親水性モノマーを組み合わせて吸水度20wt%以下となるようにして試験した組成において、界面活性剤をアニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤の組み合わせで用いて硬化材料を調製した。その組成を表6に示した。また、それらの表面未重合量及び口腔粘膜刺激を評価するとともに、それらの界面活性剤の析出度合いの測定による保存安定性の評価を行った。結果を表6に示した。 【0096】 【表6】
【0097】 表6に示したように、いずれの場合も表面未重合量が少なく、口腔粘膜刺激試験において極めて良好な平均スコアを示していた。また冷蔵保存によっても界面活性剤の析出が見られず良好な保存安定性を有していることも示唆された。 実施例32〜36 新たに水溶性ポリマーを加えて、実施例2と同様にして硬化材料を調製し表面未重合量及び口腔粘膜刺激を評価した。それらの組成と評価結果を表7に示した。 【0098】 【表7】
【0099】 表7に示したように、いずれの場合も表面未重合量が少なく、口腔粘膜刺激試験において極めて良好な平均スコアを示していた。 比較例12 実施例32において界面活性剤を加えずに硬化材料を調製し、同様に表面未重合量及び口腔粘膜刺激を評価した。その組成と評価結果を表7に示した。 【0100】 表7に示したように、いずれの場合でも表面未重合量が多く、刺激がありやや不快である結果であった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】391003576 【氏名又は名称】株式会社トクヤマデンタル
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| 【出願日】 |
平成18年9月13日(2006.9.13) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−69098(P2008−69098A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月27日(2008.3.27) |
| 【出願番号】 |
特願2006−248123(P2006−248123) |
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