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【発明の名称】 エアゾール型シェービング剤組成物
【発明者】 【氏名】堀 隆

【要約】 【課題】泡持ちが良く、かつきめの細かいこくのある良質な泡が得られ、剃毛時における肌への負担が少ないエアゾール型シェービング剤組成物を提供すること。

【構成】(A)アニオン界面活性剤4〜21質量%、及び(B)モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、及びジステアリン酸ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種の非イオン界面活性剤0.5〜3質量%を含有するエアゾール型シェービング剤組成物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アニオン界面活性剤4〜21質量%、及び(B)モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、及びジステアリン酸ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種の非イオン界面活性剤0.5〜3質量%を含有するエアゾール型シェービング剤組成物。
【請求項2】
(A)成分としてリン酸モノアルキルエステル塩を含む請求項1記載のエアゾール型シェービング剤組成物。
【請求項3】
(A)成分として脂肪酸塩を含む請求項1又は2に記載のエアゾール型シェービング剤組成物。
【請求項4】
リン酸モノアルキルエステル塩と脂肪酸塩の質量比が5:2〜5:4である請求項3に記載のエアゾール型シェービング剤組成物。
【請求項5】
さらに、(C)水溶性高分子を含有する請求項1〜4に記載のエアゾール型シェービング剤組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、髭やむだ毛等の体毛を剃刀で剃る際に使用するエアゾール型シェービング剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
剃刀で髭や体毛を剃る際には、シェービング剤が用いられる。シェービング剤には、脂肪酸石鹸を主基剤としたものが多くあり、例えば、一般的な固形又は粉末状の石鹸(シェービングソープ)のほかに、シェービングクリーム、エアゾール型シェービングフォーム、後発泡ゲルクリーム等がある(非特許文献1)。
【0003】
これらのシェービング剤は泡の状態で使用される。これは、肌上で液垂れをしにくくさせるため、さらに剃刀が肌に当り過ぎて傷つけることを防ぐためである。
シェービングソープは、主に業務用に用いられ、濃厚で持続性のある泡を生成する。しかし、シェービングソープは粉末等の固形物なので、使用時に水を加えて泡立てる必要がある。また、固形物の状態では吸湿性が強いため、保存中に固化しやすいという問題もある。また、泡の持続性や保形性が十分ではなく、シェービングの途中で泡を塗り足す必要が生じる。
【0004】
一方、エアゾール型シェービングフォームや後発泡ゲルクリームは、特に男性の髭剃り時のシェービング剤として多くの消費者に使用されている。
エアゾール型のシェービングフォームは、噴射剤の気化により物理的に泡を立てるものである。
【0005】
また、エアゾール型後発泡ゲルクリームは、シェービング剤であるゲルベースに沸点の高い液化ガスを混合して容器に充填したものである。ゲルベースが容器から皮膚上に噴射されると、液化ガスが気化して泡立つ。
【0006】
ところで剃刀で髭や体毛を剃る際には、肌の古い角質層も削り取られるため、刺激等の影響を受けやすいと考えられる。従ってシェービング剤自体、肌に対する影響が小さいことが好ましい。
従来より、一般的なシェービング剤に主基剤として用いられている脂肪酸石鹸は、肌に対する影響が比較的大きいため(非特許文献2)、脂肪酸石鹸を主基剤としたシェービング剤で剃毛した場合、かさつき、つっぱり感、剃刀負け等を起こす懸念がある。また水中のカルシウムイオンと反応し皮膚上に吸着するが、結果として急速にカミソリ滑りを低下させる。
【0007】
このような皮膚トラブルを軽減させるために、脂肪酸石鹸よりも低刺激性の界面活性剤であるリン酸モノエステル誘導体を主基剤としたシェービング剤組成物が提案されている(特許文献1、特許文献2)が、泡のきめの点で若干脂肪酸より劣る。
また、リン酸モノエステル誘導体において、モノパルミチルリン酸、モノステアリルリン酸を用いるときめの細かい良質な泡が得られるが、原料の結晶性が高いため、溶解する際に高温を保持する時間が長くなる点が製造上の課題となる。
【0008】
【非特許文献1】南山堂、新化粧品学、第2版 392ページ〜396ページ
【非特許文献2】芋川玄爾、Fragrance Journal、68、21ページ〜28ページ(1984)
【特許文献1】特開平4−169518号公報
【特許文献2】特開平4−234310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、泡持ちが良く、かつきめの細かい、こくのある良質な泡が得られ、剃毛時における肌への負担が少ないエアゾール型シェービング剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、アニオン界面活性剤に特定のノニオン界面活性剤を配合することで上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、(A)アニオン界面活性剤4〜21質量%、及び(B)モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、及びジステアリン酸ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種の非イオン界面活性剤0.5〜3質量%を含有するエアゾール型シェービング剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のエアゾール型シェービング剤組成物は、泡持ちが良く、かつきめの細かいこくのある良質な泡が得られるため剃毛時における肌への負担が少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に用いられる(A)アニオン界面活性剤は、泡立ちに重要な成分であり、本発明ではリン酸モノアルキルエステル、脂肪酸、N−アシルアミノ酸、アルキル硫酸などを塩基で中和した成分を好適に用いることができる。これらのアニオン界面活性剤は、エアゾール型製剤として噴射させた際に外観及び感触が優れた泡を提供することができる。これらの(A)アニオン界面活性剤は1種単独で又は2種以上を併用することができる。
【0013】
上記(A)アニオン界面活性剤のうち、本発明においては、リン酸モノアルキルエステル塩を含むことが特に好ましい。リン酸モノアルキルエステル塩は泡立ちが良好であるとともに、肌に対する作用が穏やかである。
リン酸モノアルキルエステルとしては、直鎖アルキルリン酸、分岐鎖アルキルリン酸、グルコース−1−リン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、1−アルキルグリセロ−3−リン酸、2−ヒドロキシアルキルリン酸、グルコース−1−グリセロ−3−リン酸、多糖類リン酸等が挙げられる。
さらに具体的には、泡立ち性の観点から、ラウリルリン酸、ミリスチルリン酸、炭素数11,13,15のアルキル基を有するアルキルリン酸、炭素数12〜15のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸が好ましく、これらを単独で又は適宜組合せて配合することができる。
【0014】
また、本発明では(A)成分を構成する成分として脂肪酸の塩を用いることが好ましい。脂肪酸の塩は泡の持続性に対して効果が高く、特に上記リン酸モノアルキルエステル塩と併用することにより、肌に優しく、持続性の高い泡を得ることができる。リン酸モノアルキルエステル塩と脂肪酸塩の質量比としては、肌への刺激性と泡の持続性のバランスの観点から、5:2〜5:4の範囲であることが好ましい。
【0015】
本発明の(A)成分を構成する脂肪酸としては、炭素数10〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和脂肪酸が挙げられる。これらの中で、泡立ち性の観点から、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びこれらの脂肪酸を多く含む天然油脂由来の脂肪酸が好ましく、単独で又は適宜組合せて配合することができる。
【0016】
また、本発明の(A)成分を構成するN−アシル−アミノ酸は、アミノ酸と脂肪酸塩化物とのSchotten-Baumann反応で得る方法等により得られる。アミノ酸の例としてはグリシン、α−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、システイン、シスチン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、トリプトファン、ヒスチジン、β−アラニン、ε−アミノカプロン酸、ザルコシン、DL−ピログルタミン酸等が挙げられ、脂肪酸の例としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸等が挙げられる。
【0017】
本発明の(A)成分を構成するアルキル硫酸としては、ラウリル硫酸、ミリスチル硫酸、パルミチル硫酸等を挙げることができる。
【0018】
また、上記アニオン界面活性剤における中和塩基としては、特に限定されないが、例えば、水酸化アルカリ金属等の無機塩基、アルカノールアミンや塩基性アミノ酸等の有機塩基が挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、L−アルギニン等が挙げられる。
【0019】
本発明のエアゾール型シェービング剤組成物において(A)アニオン界面活性剤は、シェービング剤組成物(噴射剤を除くエアゾール原液)全量に対して4〜21質量%とすることが好ましい。4質量%以上であると十分な泡立ちが得られ、21質量%以下であると皮膚への刺激性の点で好ましい。充分な泡立ちと皮膚刺激性のバランスを考慮すると特に8〜15質量%の範囲が好ましい。
【0020】
本発明のエアゾール型シェービング剤組成物は、上記(A)成分に、(B)成分として、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、及びジステアリン酸ポリエチレングリコールのうち少なくとも1種を配合するものである。これらの成分は、単独で又は適宜組合せて配合することができ、特に、モノラウリン酸ポリエチレングリコールとモノステアリン酸ポリエチレングリコールを組合せることが最も有効であり、その比が3:1から1:3であることが好ましい。
【0021】
本発明のシェービング剤組成物において、(B)成分の含有量は、シェービング剤組成物(噴射剤を除くエアゾール原液)全量に対して0.5〜3質量%の範囲であることが好ましい。(B)成分の含有量が0.5質量%以上であると泡の感触を良好なものとする等の効果を十分に奏することができ、3質量%以下であると剃った後のさっぱり感を適度に残せる点で好ましい。以上の点から、(B)成分の含有量は0.7〜2.5質量%の範囲がさらに好ましい。
【0022】
本発明のエアゾール型シェービング剤組成物は、さらに(C)成分として、水溶性高分子を配合することができる。水溶性高分子を配合することで、泡の滑りを向上させることができる。
(C)水溶性高分子としては、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、キサンタンガム、プルラン、カラギーナン等の天然多糖類、カルボキシメチルキチン、ヒドロキシプロピルキトサン等のキチン系高分子化合物、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子化合物、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース系高分子化合物、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子化合物が挙げられる。これらの中でグアーガム、アラビアガム、キサンタンガム、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルが好ましく、カラギーナンがより好ましい。これらは、単独で又は適宜組み合わせて配合することができる。
【0023】
(C)成分のシェービング剤組成物(噴射剤を除くエアゾール原液)中における配合量は0.1〜5質量%の範囲が好ましい。0.1質量%以上であると十分な剃刀滑り性が得られ、シェービング剤としての適性粘度を確保して好適な髭剃り使用感が得られる。一方、5質量%以下であると洗い流す際にべたつき感がなく好ましい。以上の点から(C)成分の配合量は、0.1〜2.5質量%の範囲がより好ましく、0.2〜2.5質量%の範囲が特に好ましい。
【0024】
本発明のシェービング剤組成物は、上記(A)、(B)、(C)成分の溶媒(溶剤)として、精製水と、必要に応じてプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール等のポリオール類が配合される。ポリオール類は、単独で又は適宜組み合わせて配合することができる。
本発明のシェービング剤組成物の配合は、精製水を中心(ベース)とする溶媒を調製し、これに前記のモノアルキルリン酸等の(A)成分と中和用塩基成分、及び以下に記す剤を必要に応じて配合し、撹拌して調合される。
【0025】
さらに、本発明のシェービング剤組成物には、通常、化粧料等に配合される、抗炎症剤、清涼剤、香料などを配合でき、これらの配合により、清涼感、香りを楽しむことができる。
また、殺菌剤を配合すれば、剃刀使用前にシェービング剤を塗布した段階で、肌を清浄にできるので、皮膚への病菌の侵入を防止できる。
【0026】
本発明のエアゾール型シェービング剤組成物は、圧力容器に、上記のシェービング剤原液とともに(D)噴射剤が配合され、使用時にシェービングフォームの形成が可能となる。
本発明で使用される(D)噴射剤としては、液化石油ガス(LPG)、液化天然ガス(LNG)、あるいは水に対する溶解性の低い圧縮ガスが用いられる。圧縮ガスの具体例としては、窒素ガス、酸素ガス、ネオンガス、空気及びそれらの混合ガスからなる群から選ばれた少なくとも1種を挙げることができ、複数のものを併用することもできる。中でもLPGが、適度な噴射圧力を与える点で好ましい。この(D)噴射剤の使用量は、特に限定されるものではないが、得られるエアゾール製品において、35℃における噴射圧が、例えば0.2〜0.8MPaとなる量であり、通常エアゾール型シェービング剤組成物の1〜10質量%の割合となる量である。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1〜11及び比較例1〜5
表1に示す処方のエアゾール型シェービング剤原液を常法に従って製造した。この原液をスプレー容器に充填後、噴射剤を圧入して試験品を得た。
なお、(D)噴射剤は、次のものを使用した。
LPG(大洋液化ガス社製、商品名脱臭精製LPG、20℃噴射圧0.44Mpa)
【0028】
(評価方法)
実施例1〜11及び比較例1〜5のエアゾール型シェービング剤組成物を用いて、10名の成人男性パネルに髭剃りをさせ、「泡持ち」、「泡の感触」、「剃刀の滑り性」、及び「仕上がり感」の評価項目について以下の評価基準に従って官能評価させた。その結果を表1に示す。なお、実際の髭剃りは、洗顔し、タオルで水気をふき取った後、恒温恒湿度(20℃、65%RH)条件下で、シェービング剤組成物を手で髭に適用し、2枚刃の安全剃刀を用いて行った。なお、エアゾール原液とLPGの質量比は96:4とした。
【0029】
(1)泡持ち
A:泡持ちが良好と評価したパネルの人数が8名以上
B:泡持ちが良好と評価したパネルの人数が6〜7名
C:泡持ちが良好と評価したパネルの人数が4〜5名
D:泡持ちが良好と評価したパネルの人数が3名以下
【0030】
(2)泡の感触
A:泡の感触が良好と評価したパネルの人数が8名以上
B:泡の感触が良好と評価したパネルの人数が6〜7名
C:泡の感触が良好と評価したパネルの人数が4〜5名
D:泡の感触が良好と評価したパネルの人数が3名以下
【0031】
(3)剃刀の滑り性
A:剃刀の滑り性が良好と評価したパネルの人数が8名以上
B:剃刀の滑り性が良好と評価したパネルの人数が6〜7名
C:剃刀の滑り性が良好と評価したパネルの人数が4〜5名
D:剃刀の滑り性が良好と評価したパネルの人数が3名以下
【0032】
(4)仕上がり感
A:仕上がり感が良好と評価したパネルの人数が8名以上
B:仕上がり感が良好と評価したパネルの人数が6〜7名
C:仕上がり感が良好と評価したパネルの人数が4〜5名
D:仕上がり感が良好と評価したパネルの人数が3名以下
【0033】
【表1】


【0034】
*1 炭素数11,13,15のアルキル基を有するアルキルリン酸カリウム
*2 炭素数12〜15のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸
*3 MAP;モノアルキルリン酸エステル又はその塩
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明のエアゾール型シェービング剤組成物は、泡持ちが良く、かつきめの細かいこくのある良質な泡が得られるため剃毛時における肌への負担が少ない。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【出願日】 平成19年7月26日(2007.7.26)
【代理人】 【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保

【識別番号】100081765
【弁理士】
【氏名又は名称】東平 正道

【識別番号】100089185
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 誠

【識別番号】100119666
【弁理士】
【氏名又は名称】平澤 賢一


【公開番号】 特開2008−63325(P2008−63325A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2007−194876(P2007−194876)