トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 エアゾール型シェービング剤組成物
【発明者】 【氏名】堀 隆

【要約】 【課題】剃毛時における剃刀の滑りを向上させ、かつ髭剃り後の洗い流し時のぬるつきのないエアゾール型シェービング剤組成物を提供する。

【構成】(A)アニオン界面活性剤4〜21質量%、及び(B)カラギーナン0.1〜5質量%を含むエアゾール原液に、さらに(C)噴射剤を含有してなるエアゾール型シェービング剤組成物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アニオン界面活性剤4〜21質量%、及び(B)カラギーナン0.1〜5質量%を含むエアゾール原液に、さらに(C)噴射剤を含有してなるエアゾール型シェービング剤組成物。
【請求項2】
(A)アニオン界面活性剤が、リン酸モノエステル塩、脂肪酸塩、N−アシル化アミノ酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のエアゾール型シェービング剤組成物。
【請求項3】
さらに(D)ノニオン界面活性剤を含有する請求項1又は2記載のエアゾール型シェービング剤組成物。
【請求項4】
(D)ノニオン界面活性剤が、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、及びジステアリン酸ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種である請求項3記載のエアゾール型シェービング剤組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、髭やむだ毛等の体毛を剃刀で剃る際に使用するエアゾール型シェービング剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
剃刀で髭や体毛を剃る際には、シェービング剤が用いられる。シェービング剤には、脂肪酸石鹸を主基剤としたものが多くあり、例えば、一般的な固形又は粉末状の石鹸(シェービングソープ)のほかに、シェービングクリーム、エアゾール型シェービングフォーム、後発泡ゲルクリーム等がある(非特許文献1)。
【0003】
これらのシェービング剤は泡の状態で使用される。これは、肌上で液垂れをしにくくさせるため、さらに剃刀が肌に当り過ぎて傷つけることを防ぐためである。
シェービングソープは、主に業務用に用いられ、濃厚で持続性のある泡を生成する。しかし、シェービングソープは粉末等の固形物なので、使用時に水を加えて泡立てる必要がある。また、固形物の状態では吸湿性が強いため、保存中に固化しやすいという問題もある。また、泡の持続性や保形性が十分ではなく、シェービングの途中で泡を塗り足す必要が生じる。
【0004】
一方、エアゾール型シェービングフォームや後発泡ゲルクリームは、特に男性の髭剃り時のシェービング剤として多くの消費者に使用されている。
エアゾール型のシェービングフォームは、噴射剤の気化により物理的に泡を立てる。
また、エアゾール型後発泡ゲルクリームは、シェービング剤であるゲルベースに沸点の高い液化ガスを混合して容器に充填したものである。ゲルベースが容器から皮膚上に噴射されると、液化ガスが気化して泡立つ。
【0005】
泡の状態で用いられる従来のシェービング剤では、泡質や泡持ちを重視しているが、泡から供給された活性剤水溶液の液膜で剃刀と肌の摩擦を低減させるものである。従って、一度剃った場所は泡がなくなるため、繰り返し剃ろうとすると、滑りが急に悪くなる。
【0006】
一方、起泡性の主基剤を用いないシェービング剤として、非発泡性のゲル状シェービング剤組成物(特許文献1、特許文献2)がある。
【0007】
該ゲル状シェービング剤組成物は、泡立てずに髭や体毛を剃る部位に直接塗布して使用するもので、多量の水分を含み、髭や体毛そして肌に密着して柔軟化させることで、なめらかに髭や体毛を剃ることができる。
しかしゲル状シェービング剤組成物は、肌上に剤を保たせるために高粘度であり、泡の感触に慣れているエアゾール型シェービングフォームや後発泡ゲルクリームの愛用者には、ぬるつきやべとつきと感じてしまうため受け入れられ難い。
【0008】
近年、若年層を中心とした身だしなみ意識の向上により、髭や体毛を剃る機会が多くなっている。そうした時流の中で、剃毛時における剃刀の滑りを向上させ、誰にでも簡単に仕上げることができる、良好な発泡系シェービング剤が求められていた。
【0009】
【非特許文献1】南山堂、新化粧品学、第2版 392ページ〜396ページ
【特許文献1】特開平9−132516号公報
【特許文献2】特開平10−87454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、剃毛時における剃刀の滑りを向上させ、かつ髭剃り後の洗い流し時のぬるつきのないエアゾール型シェービング剤組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、アニオン界面活性剤に特定の水溶性高分子を配合したエアゾール型シェービング剤により上記課題が達成されることを見出した。
すなわち、本発明は、(A)アニオン界面活性剤4〜21質量%、及び(B)カラギーナン0.1〜5質量%を含むエアゾール原液に、さらに(C)噴射剤を含有してなるエアゾール型シェービング剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のエアゾール型シェービング剤組成物は、良好な剃刀滑りが持続するため、剃刀が髭や肌に引っかかりにくく、かつ髭剃り後の洗い流し時のぬるつきがないので、簡単に良好な仕上がりが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に用いられる(A)アニオン界面活性剤は、起泡性の基剤となる成分であり、リン酸モノエステル塩、脂肪酸塩、N−アシル化アミノ酸塩、アルキル硫酸塩、及びポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの塩は、単独又は2種以上を適宜組み合わせて含有させることができる。
【0014】
前記リン酸モノエステル塩を構成するリン酸モノアルキルエステルとしては、直鎖アルキルリン酸、分岐鎖アルキルリン酸、グルコース−1−ホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート、1−アルキルグリセロ−3−ホスフェート、2−ヒドロキシアルキルホスフェート、グルコース−1−グリセロ−3−ホスフェート、多糖類ホスフェート等が挙げられる。
さらに具体的には、泡立ち性の観点から、リン酸モノラウリル、リン酸モノミリスチル、リン酸モノセチル、炭素数11,13,15のアルキル基を有する混合アルキルリン酸、炭素数12〜16のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸等が好ましく、これらを単独で又は適宜組み合わせて使用することができる。
【0015】
前記脂肪酸塩を構成する脂肪酸としては、炭素数10〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和脂肪酸が挙げられる。これらの中で、泡立ち性の観点から、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びこれらの脂肪酸を多く含む天然油脂由来の脂肪酸が好ましく、単独で又は適宜組み合わせて配合することができる。
【0016】
また、前記N−アシル化アミノ酸塩を構成するN−アシル化アミノ酸は、アミノ酸と脂肪酸塩化物とのSchotten-Baumann反応で得る方法等により得られる。アミノ酸の例としてはグリシン、α−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、システイン、シスチン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、トリプトファン、ヒスチジン、β−アラニン、ε−アミノカプロン酸、ザルコシン、DL−ピログルタミン酸等が挙げられ、脂肪酸の例としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸等が挙げられる。
【0017】
前記アルキル硫酸塩を構成するアルキル硫酸としては、ラウリル硫酸、ミリスチル硫酸、パルミチル硫酸等を挙げることができる。
【0018】
また、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を構成するポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル硫酸等を挙げることができる。
【0019】
また、上記アニオン界面活性剤における中和塩基としては、特に限定されないが、例えば、水酸化アルカリ金属等の無機塩基、アルカノールアミンや塩基性アミノ酸等の有機塩基が挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、L−アルギニン等が挙げられる。
【0020】
本発明のエアゾール型シェービング剤組成物において(A)アニオン界面活性剤の含有量は、通常、泡立ち性の点からシェービング剤組成物(噴射剤を除くエアゾール原液)全量に対して4〜21質量%とすることが好ましく、特に8質量%以上であれば充分な泡立ちが得られ、21質量%以下であれば皮膚刺激性も少なく好ましい。
【0021】
本発明に用いる(B)カラギーナンは、紅藻類に多く含まれる天然高分子材料である。
通常、紅藻類の抽出により得られるカラギーナンは、原料の違いや抽出方法の違いによって、κタイプ、ιタイプ、λタイプの3種類に分けられる。何れのタイプも使用可能であるが、λタイプが過度な粘度上昇を起こすことなく剃刀滑り性を賦与できる点で好ましい。
【0022】
(B)カラギーナンのシェービング剤組成物(噴射剤を除くエアゾール原液)中における含有量は、少なすぎると剃刀滑り性を向上させず、また多すぎると洗い流す際にべたつき感が出てくる。
このように、作用と使用感の観点から、含有量は好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.1〜2.5質量%、さらに好ましくは0.2〜2.5質量%である。0.1質量%以上であれば剃刀滑り性が確保でき、5質量%以下であれば洗い流す際のべたつき感を抑えることができる。
【0023】
本発明のエアゾール型シェービング剤組成物は、耐圧容器に、上記のシェービング剤とともに(C)噴射剤が配合されて製品化される。
本発明で使用される(C)噴射剤としては、液化石油ガス(LPG)、液化天然ガス(LNG)、あるいは水に対する溶解性の低い圧縮ガスが用いられる。圧縮ガスの具体例としては、窒素ガス、酸素ガス、ネオンガス、空気及びそれらの混合ガスからなる群から選ばれた少なくとも1種を挙げることができ、複数のものを併用することもできる。中でもLPGが、適度な噴射圧力を与える点で好ましい。この(C)噴射剤の使用量は、特に限定されるものではないが、得られるエアゾール製品において、35℃における噴射圧が、例えば0.2〜0.8MPaとなる量であり、通常エアゾール型シェービング剤組成物の1〜10質量%の割合となる量である。
【0024】
本発明のエアゾール型シェービング剤組成物には、さらに必要に応じて、(D)ノニオン界面活性剤を含有させることができる。
(D)ノニオン界面活性剤を含有させることによって、シェービング剤の泡をよりきめ細かくし、こくのある感触の良好な泡が得られる。
このような、ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリグリセリンアルキルエーテル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド類等が挙げられる。このうち、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類が好ましく、より具体的には、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコールが好ましい。
また、(D)ノニオン界面活性剤の含有量は、シェービング剤の安定性、使用時の泡立ち性、キメ細かくて柔らかい泡質の点から、本発明のシェービング剤(噴射剤を除くエアゾール原液)中の0.2〜10質量%が好ましく、更には0.5〜7質量%、特に1〜5質量%が好ましい。
【0025】
上記ノニオン界面活性剤は、2種以上を併用してもよく、特に、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコールを組み合わせることがより好ましい。また、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコールを組み合わせる際の両者の比は、3:1〜1:3であることが好ましい。
【0026】
本発明のシェービング剤組成物は、上記(A)、(B)、(D)成分の溶剤として、精製水と、必要に応じてプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール等のポリオール類が使用される。ポリオール類は、単独で又は適宜組み合わせて配合することができる。
本発明のシェービング剤組成物は、精製水を主体とする溶媒に前記の各成分を加えて、撹拌、混合して調製される。
【0027】
さらに、本発明のシェービング剤組成物には、通常、化粧料等に配合される、抗炎症剤、清涼剤、香料などを配合でき、これらの配合により、清涼感、香りを楽しむことができる。
また、殺菌剤を配合すれば、剃刀使用前にシェービング剤を塗布する段階で、肌を清浄にできるので、皮膚への病菌の侵入を防止できる。
【実施例】
【0028】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1〜17及び比較例1〜5
表1に示す処方のエアゾール型シェービング剤原液を製造した。この原液をスプレー容器に充填後、噴射剤を圧入して試験品を得た。
なお、(B)カラギーナン及び(C)噴射剤は、次のものを使用した。また、エアゾール原液と噴射剤の質量比は、96:4とした。
・λ−カラギーナン(MRCポリサッカライド社製、商品名:ソアギーナLX22K)
・LPG(大洋液化ガス社製、商品名脱臭精製LPG、20℃噴射圧0.44MPa)
【0029】
(評価方法)
実施例1〜17及び比較例1〜5のエアゾール型シェービング剤組成物を用いて、10名の成人男性パネルに髭剃りをさせ、「剃刀の滑り性」、「洗い流し時のぬるつきの無さ(濯ぎ性)」、「泡の感触」の評価項目について以下の評価基準に従って官能評価させた。
その結果を表1に示す。
【0030】
なお、実際の髭剃りは、洗顔し、タオルで水気をふき取った後、恒温恒湿度(20℃、65%RH)条件下で、エアゾール噴射されたシェービング剤組成物を手で髭に適用し、2枚刃の安全剃刀を用いて行った。
【0031】
評価基準
(1)「剃刀の滑り性」
ランク:状態
A:剃刀の滑りが良好と評価したパネルの人数が9名以上の場合
B:剃刀の滑りが良好と評価したパネルの人数が7〜8名の場合
C:剃刀の滑りが良好と評価したパネルの人数が5〜6名の場合
D:剃刀の滑りが良好と評価したパネルの人数が3〜4名の場合
E:剃刀の滑りが良好と評価したパネルの人数が2名以下の場合
【0032】
(2)「洗い流し時のぬるつきの無さ(濯ぎ性)」
ランク:状態
A:洗い流し時のぬるつきが無いと評価したパネルの人数が9名以上の場合
B:洗い流し時のぬるつきが無いと評価したパネルの人数が7〜8名の場合
C:洗い流し時のぬるつきが無いと評価したパネルの人数が5〜6名の場合
D:洗い流し時のぬるつきが無いと評価したパネルの人数が3〜4名の場合
E:洗い流し時のぬるつきが無いと評価したパネルの人数が2名以下の場合
【0033】
(3)「泡の感触」
A:泡の感触が良好と評価したパネルの人数が8名以上
B:泡の感触が良好と評価したパネルの人数が6〜7名
C:泡の感触が良好と評価したパネルの人数が4〜5名
D:泡の感触が良好と評価したパネルの人数が3名以下
【0034】
【表1】


【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明のエアゾール型シェービング剤組成物は、良好な剃刀の滑り性を有するので皮膚を荒らさず、かつ髭剃り後の洗い流し時のぬるつきのないすぐれた使用感を有する。
従って、エアゾール型シェービング剤組成物としてきわめて有用である。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【出願日】 平成19年7月26日(2007.7.26)
【代理人】 【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保

【識別番号】100081765
【弁理士】
【氏名又は名称】東平 正道

【識別番号】100089185
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 誠

【識別番号】100119666
【弁理士】
【氏名又は名称】平澤 賢一


【公開番号】 特開2008−63324(P2008−63324A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2007−194872(P2007−194872)