| 【発明の名称】 |
ビタミン溶出材およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】浅山 友則
【氏名】宮坂 明秀
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| 【要約】 |
【課題】水に溶けない基体に水溶性ビタミンまたはその誘導体を混入させることで、繰り返し手軽に使用できるビタミン溶出材であって、水溶性ビタミンまたはその誘導体の溶出の持続性が高く、また非使用時の水溶性ビタミンまたはその誘導体の流出が少なく、さらに、水溶性ビタミンまたはその誘導体が分解されることなく混入されているビタミン溶出材を提供する。
【構成】水中に入れられた際に、水中に水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体を溶出させるビタミン溶出材において、所定形状に成型された固形パラフィンに、水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体が混入されて成る。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水中に入れられた際に、水中に水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体を溶出させるビタミン溶出材において、 所定形状に成型された固形パラフィンに、水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体が混入されて成ることを特徴とするビタミン溶出材。 【請求項2】 粉末状の固形パラフィンと粉末状の水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体とが混合された粉末状の混合物が、所定形状に圧縮成型されて成ることを特徴とする請求項1記載のビタミン溶出材。 【請求項3】 前記固形パラフィンは、ポーラス状に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のビタミン溶出材。 【請求項4】 加熱して溶融させた固形パラフィンに水溶性ビタミンが混合され、該溶融した固形パラフィンと水溶性ビタミンとの混合物が、所定形状の型内で冷却されて固形化されて成ることを特徴とする請求項1記載のビタミン溶出材。 【請求項5】 前記固形パラフィンの融点は、前記水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体の分解温度よりも低いことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項記載のビタミン溶出材。 【請求項6】 前記水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体は、ビタミンCまたはビタミンC誘導体であることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項記載のビタミン溶出材。 【請求項7】 前記水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体の含有量が、15〜25重量%であることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項記載のビタミン溶出材。 【請求項8】 貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか一項記載のビタミン溶出材。 【請求項9】 所定形状の固形パラフィンに水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体が混入されて成り、水中に入れられた際に、水中に水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体を溶出させるビタミン溶出材の製造方法であって、 粉末状の固形パラフィンと粉末状の水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体とを混合し、 該粉末状の混合物を所定形状に圧縮成型することを特徴とするビタミン溶出材の製造方法。 【請求項10】 前記圧縮成型は、常温で行うことを特徴とする請求項9記載のビタミン溶出材の製造方法。 【請求項11】 前記圧縮成型は、前記混合物を、前記固形パラフィンの融点よりも低い温度の範囲で加熱して行うことを特徴とする請求項9記載のビタミン溶出材の製造方法。 【請求項12】 前記混合物を5t〜10tの圧力で圧縮成型することを特徴とする請求項9〜11のうちのいずれか一項記載のビタミン溶出材の製造方法。 【請求項13】 所定形状の固形パラフィンに水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体が混入されて成り、水中に入れられた際に、水中に水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体を溶出させるビタミン溶出材の製造方法であって、 加熱して溶融させた固形パラフィンに水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体を混合し、 該溶融した固形パラフィンと水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体との混合物を、所定形状の型内で冷却して固形化して成型することを特徴とするビタミン溶出材の製造方法。 【請求項14】 前記固形パラフィンを溶融させる際の加熱温度は、前記水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体の分解温度よりも低いことを特徴とする請求項13記載のビタミン溶出材の製造方法。 【請求項15】 前記混合物における前記水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体の含有量が、15〜25重量%となるよう、固形パラフィンと水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体とを混合することを特徴とする請求項9〜14のうちのいずれか一項記載のビタミン溶出材の製造方法。 【請求項16】 前記水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体は、ビタミンCまたはビタミンC誘導体であることを特徴とする請求項9〜15のうちのいずれか一項記載のビタミン溶出材の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、水中に入れられた際に、水中に水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体を溶出させるビタミン溶出材、およびその製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 従来より、人体の皮膚にビタミンやビタミン誘導体を供給することにより、皮膚の状態を好適に整えることができることが知られている。例えば、特許文献1には、ビタミンC誘導体を皮膚に供給して皮膚の状態を好適に整える技術が記載されている。また、特許文献2,3には、それぞれ、ビタミンB3、ビタミンB6を皮膚に供給して皮膚の状態を好適に整える技術が記載されている。 【0003】 皮膚にビタミンを供給するにあたっては、化粧品等の形態の他に、入浴剤の成分として、水溶性ビタミンや水溶性ビタミン誘導体を配合することが行われている。 例えば、特許文献4には、入浴剤の組成物としてビタミンCを採用することが記載されている。ビタミンCには塩素除去効果もあることから、ビタミンCを入浴剤として浴水中に供給することにより、皮膚の状態を整える美肌効果に加えて、皮膚をはじめ人体に有害な塩素を浴水から除去する効果も得られる。 浴水中に水溶性ビタミンや水溶性ビタミン誘導体を供給する方法としては、水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体が配合された粉末状の入浴剤を浴水に溶解させる方法が代表的である。 【0004】 また、特許文献4には、粉末状の入浴剤の他に、殺菌作用を有する銀粉末と、水分子の集団であるクラスターを小さくするというトルマリン鉱石粉末と、バインダとしてのガラス粉末とを焼成したり、麦飯石、ゼオライト、陶土等の鉱石を焼成したものを基体とし、この基体の表面に、銀粉末とトルマリン鉱石粉末とガラス粉末とをコーティングしたりして、所定形状の成形入浴剤を構成する技術が記載されている。 さらに、特許文献4には、このような成形入浴剤を、浴槽の浴水中だけでなく、例えばシャワーヘッドの通水路内に設ける技術も記載されている。 【0005】 このように、ガラス粉末をバインダとして成形体を焼成すると、銀粉末がバインダ中に分散した状態になるため、成形体でありながら銀が水中に溶出し、水に存在する細菌(例えば、大腸菌やブドウ球菌等)を殺菌することができるものとしている。 この成形入浴剤ような、所定の形状を維持しつつ、水中に有効成分を溶出させる技術は、粉末状の入浴剤のような有効成分を粉末状に形成したものに比較して、繰り返し手軽に使用できるという有利な点を有する。 【0006】 さらに特許文献5には、ビタミンC類と鉱物とを混合し、比較的低温度で焼成して、ビタミンC類を含有したセラミックスを得る技術が記載されている。特許文献5においては、このビタミンCを含有したセラミックスを水中に入れると、溶出するビタミンCの作用により水中の塩素等を中和することができるものとされている。 【0007】 【特許文献1】特開2001−139447号公報 【特許文献2】特開2002−212053号公報 【特許文献3】特表2005−521708号公報 【特許文献4】特開2004−269427号公報 【特許文献5】特開平11−290867号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 特許文献4に記載された成形入浴剤や、特許文献5に記載されたビタミンC類を含有したセラミックスのように、基体が水に溶けない材料で所定形状に形成され、基体に混入された銀やビタミンC類等の有効成分を水中に溶出させる溶出材には、前述の通り、有効成分を粉末状として溶解させてしまうものに比較して、繰り返し手軽に使用できるという有利な点を有する。 【0009】 しかしながら、上記溶出材においては、基体が陶土、ガラス粉末または鉱物等を焼成したセラミックス等の焼成物であり、無数の大径の孔部から成るポーラスが形成されている。したがって、基体の通水性が高く、そのためにビタミン等の有効成分が水中に早く溶出する。 よって、上記従来の溶出材においては、基体に混入または付着している有効成分が早く消費されてしまい、溶出の持続時間が短いという課題がある。 【0010】 また、上記溶出材は、使用が終わって水中から引き上げた後には、基体のポーラスの各孔部内に浸入していた水が流出して、それとともに有効成分が流出してしまう。すなわち、非使用状態においても有効成分が流出して消費されてしまい、有効な使用可能時間が短くなってしまうという課題がある。 【0011】 また、特許文献5においては、ビタミンCと鉱物とを混合し、それを比較的低温度で焼成して、ビタミンCを含有したセラミックスを得るとしているが、ビタミンCは加熱によって分解しやすいため、実際には鉱物を焼成する温度まで加熱した際にほとんどのビタミンCが分解されてしまい、使用時に有効な効果を奏しにくいという課題のあることが推測される。 【0012】 本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、水に溶けない基体に水溶性ビタミンまたはその誘導体を混入させることで、繰り返し手軽に使用できるビタミン溶出材であって、水溶性ビタミンまたはその誘導体の溶出の持続性が高く、また非使用時の水溶性ビタミンまたはその誘導体の流出が少なく、さらに、水溶性ビタミンまたはその誘導体が分解されることなく混入されているビタミン溶出材を提供することにある。また、そのビタミン溶出材の製造方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0013】 本発明に係るビタミン溶出材は、上記課題を解決するため、以下の構成を備える。 すなわち、水中に入れられた際に、水中に水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体を溶出させるビタミン溶出材において、所定形状に成型された固形パラフィンに、水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体が混入されて成ることを特徴とする。 これによれば、基体が固形パラフィンで構成されるため、セラミックス等の基体のように大径の孔部から成るポーラスがなく、また撥水性を有する。したがって、従来のビタミン溶出材と比較し、水溶性ビタミンまたはその誘導体の流出を少なく(遅く)抑えることができ、溶出の持続時間を長くすることができる。また、水中から引き上げた際に表面に水が付いてくることがなく、また従来のように大径のポーラスから水が流出することもないから、非使用時の水溶性ビタミンまたはその誘導体の流出はほとんどない。さらに、製造工程で焼成等の高温の加熱が不要であるから、水溶性ビタミンまたはその誘導体が分解されることなく、混入されている。 【0014】 さらに、粉末状の固形パラフィンと粉末状の水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体とが混合された粉末状の混合物が、所定形状に圧縮成型されて成ることを特徴とする。 これによれば、前記粉末状の混合物が圧縮されて固められているから、固形パラフィンから成る基体には、従来のセラミックス等の基体よりはるかに小径のポーラスが形成され、水溶性ビタミンまたはその誘導体を、従来よりも少ない適度な量(早さ)で溶出させることができる。また、高温の加熱が不要であるから、水溶性ビタミンまたはその誘導体が分解されることがない。 【0015】 また、前記固形パラフィンは、ポーラス状に形成されていることを特徴とする。 これによれば、ポーラスを通じて水溶性ビタミンまたはその誘導体を好適に溶出させることができる。なお、固形パラフィンは撥水性を有するから、従来のセラミックス等の基体と比べ、ポーラス内に浸入する水は少量で抑えることができる。よって、溶出の持続時間を長くすることができ、また、またポーラスから流出する水も少ないから、非使用時の水溶性ビタミンまたはその誘導体の流出が少ない。 【0016】 また、加熱して溶融させた固形パラフィンに水溶性ビタミンが混合され、該溶融した固形パラフィンと水溶性ビタミンとの混合物が、所定形状の型内で冷却されて固形化されて成ることを特徴とする。 これによれば、固形パラフィンから成る基体にはポーラスが形成されず、水溶性ビタミンまたはその誘導体の流出をより少なく(遅く)抑えることができる。 【0017】 また、前記固形パラフィンの融点は、前記水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体の分解温度よりも低いことを特徴とする。 これによれば、製造工程における水溶性ビタミンまたはその誘導体の熱分解を防ぐことができる。 【0018】 また、前記水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体は、ビタミンCまたはビタミンC誘導体であることを特徴とする。 これによれば、ビタミンCの作用により、水中の塩素の除去効果、および、その水を皮膚につけた際の皮膚の状態を整える効果等を得ることができる。 【0019】 また、前記水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体の含有量が、15〜25重量%であることを特徴とする。 これによれば、適切な基体の硬度および強度を確保できるとともに、水溶性ビタミンまたはその誘導体の溶出量(溶出速度)を適度に設定することができる。 【0020】 また、貫通孔が形成されていることを特徴とする。 これによれば、ビタミン溶出材の表面積を増すことができる。また、貫通孔に紐を通してフック等に掛けたり持ち運んだりするのを容易にできる。また、複数のビタミン溶出材の貫通孔に紐を通して数珠繋ぎとすることもできる。 【0021】 また、本発明に係るビタミン溶出材の製造方法は、上記課題を解決するため、以下の構成を備える。 すなわち、所定形状の固形パラフィンに水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体が混入されて成り、水中に入れられた際に、水中に水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体を溶出させるビタミン溶出材の製造方法であって、粉末状の固形パラフィンと粉末状の水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体とを混合し、該粉末状の混合物を所定形状に圧縮成型することを特徴とする。 さらに、前記圧縮成型は、常温で行うことを特徴とする。 これによれば、前記粉末状の混合物が圧縮されて固められているから、固形パラフィンから成る基体には、従来のセラミックス等の基体よりはるかに小径のポーラスが形成され、水溶性ビタミンまたはその誘導体を、従来よりも少ない適度な量(早さ)で溶出させることができる。また、高温の加熱が不要であるから、水溶性ビタミンまたはその誘導体が分解されることがない。 【0022】 また、前記圧縮成型は、前記混合物を、前記固形パラフィンの融点よりも低い温度の範囲で加熱して行うことを特徴とする。 これによれば、加熱により、粉末状の固形パラフィンの粒の外周部だけが少量溶融され、または、固形パラフィンの硬度が低くなり、したがって、圧縮成型の際、固形パラフィンをより強固に成型することができる。 【0023】 また、前記混合物を5t〜10tの圧力で圧縮成型することを特徴とする。 これによれば、固形パラフィンを、形状を保持可能な適度な硬度に形成できるとともに、粉末状の粒子間に適度な径のポーラスを形成することができる。 【0024】 また、所定形状の固形パラフィンに水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体が混入されて成り、水中に入れられた際に、水中に水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体を溶出させるビタミン溶出材の製造方法であって、加熱して溶融させた固形パラフィンに水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体を混合し、該溶融した固形パラフィンと水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体との混合物を、所定形状の型内で冷却して固形化して成型することを特徴とする。 これによれば、固形パラフィンから成る基体にはポーラスが形成されず、水溶性ビタミンまたはその誘導体の流出をより少なく(遅く)抑えることができるビタミン溶出材を得ることができる。 【0025】 さらに、前記固形パラフィンを溶融させる際の加熱温度は、前記水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体の分解温度よりも低いことを特徴とする。 これによれば、水溶性ビタミンまたはその誘導体が分解されることがない。 【0026】 また、前記混合物における前記水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体の含有量が、15〜25重量%となるよう、固形パラフィンと水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体とを混合することを特徴とする。 これによれば、得られるビタミン溶出材において、適切な基体の硬度および強度を確保できるとともに、水溶性ビタミンまたはその誘導体の溶出量(溶出速度)を適度に設定することができる。 【0027】 また、前記水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体は、ビタミンCまたはビタミンC誘導体であることを特徴とする。 これによれば、得られるビタミン溶出材において、ビタミンCの作用により、水中の塩素の除去効果、および、その水を皮膚につけた際の皮膚の状態を整える効果等を得ることができる。 【発明の効果】 【0028】 本発明に係るビタミン溶出材によれば、水溶性ビタミンまたはその誘導体の溶出の持続性が高く、また非使用時の水溶性ビタミンまたはその誘導体の流出が少なく、さらに、水溶性ビタミンまたはその誘導体が分解されることなく混入されている。 また、本発明に係るビタミン溶出材の製造方法によれば、そのビタミン溶出材を好適に製造できる。特に、水溶性ビタミンまたはその誘導体を高温の加熱で分解することなく、好適に固形パラフィンに混入させることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0029】 (第一の実施の形態) 本発明の第一の実施の形態に係るビタミン溶出材、およびビタミン溶出材の製造方法を説明する。 【0030】 まず、第一の実施の形態に係るビタミン溶出材の製造方法を説明する。 始めに、粉末状の固形パラフィンと、粉末状の水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体とを用意する。 【0031】 水溶性ビタミンとしては、例えば、ビタミンB1,ビタミンB12,ビタミンB2,ビタミンB3,ビタミンB6,ビタミンC,ビタミンH,またはビタミンMを用意する。水溶性ビタミンの中から何を選択するかは、水中に溶出させたい水溶性ビタミンの効能によって、適宜選択する。また、複数のビタミンを組み合わせて混合させてもよい。また、水溶性ビタミンそのものでなく、水溶性ビタミン誘導体を用いてもよい。 例えば、皮膚の状態を整える美肌効果や塩素除去効果を得たい場合には、ビタミンC(アスコルビン酸)や、ビタミンC誘導体(例えば、リン酸アスコルビル3ナトリウム,アスコルビルリン酸ナトリウム,リン酸アスコルビルマグネシウム)の粉末体を用意する。 【0032】 次に、粉末状の固形パラフィンと粉末状の水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体とを混合する。混合割合は、その粉末状の混合物における水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体の含有量が、15〜25重量%となるようにすると好適である。 【0033】 次に、その粉末状の混合物を、常温中で、所定形状に圧縮成型する。 例えば、所定形状の金型で粉末状の混合物を挟み込んで所定の圧力を掛ける。この圧力は、5t〜10t程度とする。 これにより、粉末状の固形パラフィンの粒子同士がくっつき合い、図1に示すような円盤状(所定形状)の固体のビタミン溶出材2を得る。 なお、ビタミン溶出材の形状は、円盤状に限定されるものではなく、前記金型の形状により、例えば、球状、円筒状、または多面体状等、任意の形状を選択できる。 【0034】 なお、前記圧縮成型は、前記混合物を、固形パラフィンの融点よりも低い温度の範囲で加熱して行っても良い。これによれば、加熱により、粉末状の固形パラフィンの粒の外周部だけが少量溶融され、または、固形パラフィンの硬度が低くなり、圧縮成型の際、固形パラフィンをより強固に成型することができる。なお、この加熱温度は、採用する水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体の分解温度よりも低い温度とすることが望ましい。 【0035】 また、図2に示すように、本ビタミン溶出材2に貫通孔4を形成してもよい。貫通孔4は、前記金型により圧縮成型の段階で形成しても良いし、圧縮成型後にドリルやポンチ等により形成してもよい。 これによれば、ビタミン溶出材2の表面積を増すことができる。また、貫通孔4に紐を通してフック等に掛けたり持ち運んだりするのを容易にできる。また、複数のビタミン溶出材2,2・・の貫通孔4,4・・に紐を通して数珠繋ぎとすることもできる。 【0036】 上記製造方法により、水中に入れられた際に、水中に水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体を溶出させるビタミン溶出材2を得ることができる。 【0037】 第一の実施の形態に係るビタミン溶出材2によれば、基体が固形パラフィンで構成されるため、従来技術におけるセラミックス等の基体のように大径の孔部から成るポーラスがなく、また撥水性を有する。したがって、従来のビタミン溶出材と比較し、水溶性ビタミンまたはその誘導体の流出を少なく(遅く)抑えることができ、溶出の持続時間を長くすることができる。また、水中から引き上げた際に表面に水が付いてくることがなく、また従来のように大径のポーラスから水が流出することもないから、非使用時の水溶性ビタミンまたはその誘導体の流出はほとんどない。さらに、製造工程で焼成等の高温の加熱が不要であるから、水溶性ビタミンまたはその誘導体が分解されることなく、混入されている。 【0038】 また、前記粉末状の混合物が圧縮されて固められているから、固形パラフィンから成る基体には、従来のセラミックス等の基体よりはるかに小径のポーラスが形成され、水溶性ビタミンまたはその誘導体を、従来よりも少ない適度な量(早さ)で溶出させることができる。また、高温の加熱が不要であるから、水溶性ビタミンまたはその誘導体が分解されることがない。 【0039】 (第二の実施の形態) 次に、本発明の第二の実施の形態に係るビタミン溶出材、およびビタミン溶出材の製造方法を説明する。 【0040】 まず、第二の実施の形態に係るビタミン溶出材の製造方法を説明する。 始めに、固形パラフィンと、粉末状の水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体とを用意する。 固形パラフィンは、融点が、採用する水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体の分解温度よりも低いものを用意する。例えば水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体としてビタミンCを採用する場合には、融点が70℃以下、例えば60〜70℃のものを採用するとよい。固形パラフィンのその他の構成は、第一の実施の形態のものと同様でよいが、特に粉末状に形成されている必要はない。 【0041】 また、水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体は、第一の実施の形態と同様のものを採用できるため説明を省略する。 【0042】 次に、固形パラフィンを加熱して溶融させ、そこに粉末状の水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体を混合する。なお、固形パラフィンを溶融させる際の加熱温度は、採用した水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体の分解温度よりも低くなるよう設定する。また、混合割合は、その混合物における水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体の含有量が、15〜25重量%となるようにすると好適である。 【0043】 次に、その溶融した固形パラフィンと水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体との混合物を、所定形状の金型内で冷却して固形化して成型する。これにより、金型に応じた所定形状の固体のビタミン溶出材を得る。 なお、第一の実施の形態と同様、ビタミン溶出材の形状は、金型の形状により、任意の形状を選択できる。 また、本ビタミン溶出材に貫通孔を形成してもよい。貫通孔の形成方法や作用効果については、第一の実施の形態と同様であるため説明を省略する。 【0044】 上記製造方法により、水中に入れられた際に、水中に水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体を溶出させるビタミン溶出材を得ることができる。 【0045】 第二の実施の形態に係るビタミン溶出材によれば、溶融させた固形パラフィンを冷却して固化させるから、固形パラフィンから成る基体にはポーラスが形成されず、第一の実施の形態に係るビタミン溶出材に比較して、水溶性ビタミンまたはその誘導体の流出をより少なく(遅く)抑えることができる。 なお、ポーラスの有無よる効果の相違を除き、その他の作用効果については、第一の実施の形態に係るビタミン溶出材と同様であるため説明を省略する。 【実施例】 【0046】 次に、本発明に係るビタミン溶出材およびビタミン溶出材の実施例、ならびに、それと従来品との比較実験結果について述べる。 【0047】 採用した固形パラフィンは、炭素数分布が20〜40、分子量が300〜500であり、約90%がノルマルパラフィン、融点が60〜70℃のものを使用した。また、固形パラフィンの粉末の粒径は500〜850μmである。 また、粉末状の水溶性ビタミンとして、粉末状のビタミンCを用いた。 【0048】 そして、粉末状の固形パラフィンと粉末状のビタミンCとを混合した。 混合割合は、その粉末状の混合物におけるビタミンCの含有量が、20重量%となるようにした。 次に、常温中で、金型でその粉末状の混合物を挟み込んで7.5tの圧力を掛け、球状のビタミン溶出材を形成した。ビタミン溶出材は、重さが0.5gの球体となるよう形成した。 【0049】 また、比較実験用に、球状のセラミックにビタミンCを含有させたビタミン溶出材を用意した。これは重さが約0.14gの球体となるよう形成した。 【0050】 次に実験方法について説明する。 二つの容器に、それぞれ塩素濃度約0.5mg/lの水100mlの水を注ぎ、各容器の水中にそれぞれ、本実施例のビタミン溶出材と、比較実験用の基体がセラミックの前記ビタミン溶出材を投入する。なお、投入するビタミン溶出材の重量は、それぞれ約2gとした。すなわち、本実施例に係るビタミン溶出材は1個0.5gであるから、4個を投入する。また、セラミックの基体のビタミン溶出材は、1個0.14gでるから、15個を投入する。 そして、それぞれの容器の水を1分間撹拌後、各水の残留塩素濃度を同時に測定する。なお、測定機は水道工機株式会社製のCHLORINE CHECKER CRT-1000を用い、指示薬としてと0.1% o-トリジン溶液を用いた。 【0051】 測定後、各水中にビタミン溶出材を入れたまま、一日放置する。 そして、翌日の同時刻に、二つの容器の水を廃棄し、両容器にそれぞれ塩素濃度約0.5mg/lの水100mlを改めて注ぎ、それぞれに各ビタミン溶出材を投入して同様に撹拌し、同様の測定を行う。 これを25日間繰り返し行った。 【0052】 この実験により測定された残留塩素濃度の推移を、図3に示す。 ビタミンCには塩素除去効果があることから、残留塩素濃度が少ないほど、ビタミン溶出材から溶出したビタミンCが多いことになる。 図3から読み取れるように、セラミックの基体のビタミン溶出材では、10日後(10回目)には残留塩素が検出され、5日ごとにその残留濃度が大きく増加し、25日後には、処理前の塩素濃度0.5mg/lの水に対して、処理後の残留塩素濃度が0.44mg/lと、ほとんど塩素除去効果がなくなった。 他方、本実施例に係る、固形パラフィンを基体としたビタミン溶出材では、15日後にわずかな残留塩素が検出されたものの、その後も残留塩素濃度は低い値を保ち、25日後においても残留塩素濃度が0.16mg/lとなった。 【0053】 このように、本実施例に係る固形パラフィンを基体としたビタミン溶出材では、従来のセラミックを基体としたビタミン溶出材に比較して、ビタミンの溶出量が小さく(溶出速度が遅く)抑えられ、溶出の持続時間が長いことが確認された。 【産業上の利用可能性】 【0054】 本発明に係るビタミン溶出材は、例えば、浴水中に投入して入浴剤として用いたり、シャワー内の通水路中に配設したりすることで、水溶性ビタミンの作用(例えば皮膚の状態を好適に整えたり、水中の残留塩素を取り除いたりする作用)を奏することができる。また、その用途に限定されず、水中に水溶性ビタミンまたは水溶性ビタミン誘導体を溶出させるあらゆる用途に適用できる。 【図面の簡単な説明】 【0055】 【図1】本実施の形態に係るビタミン溶出材の外観図である。 【図2】本実施の形態に係るビタミン溶出材に貫通孔を設けた例を示す外観図である。 【図3】実施例に係るビタミン溶出材と、セラミックスを基体に用いた従来のビタミン溶出材との比較実験結果(残留塩素測定結果)を示す表である。 【符号の説明】 【0056】 2 ビタミン溶出材 4 貫通孔
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| 【出願人】 |
【識別番号】392025559 【氏名又は名称】株式会社長野セラミックス
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| 【出願日】 |
平成18年9月11日(2006.9.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077621 【弁理士】 【氏名又は名称】綿貫 隆夫
【識別番号】100092819 【弁理士】 【氏名又は名称】堀米 和春
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| 【公開番号】 |
特開2008−63308(P2008−63308A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月21日(2008.3.21) |
| 【出願番号】 |
特願2006−245669(P2006−245669) |
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