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【発明の名称】 アトピー性皮膚炎治療用水和ゲル及びその製造方法
【発明者】 【氏名】ヤン−チャン・ンホ

【氏名】ヨウン−ムック・リム

【氏名】スン−ジュン・アン

【氏名】ユン−ヒェ・キム

【要約】 【課題】アトピー性皮膚炎治療用水和ゲルを提供する。

【構成】詳細には、生体適合性高分子、多価アルコール、薬用植物抽出物を含むアトピー性皮膚炎治療用水和ゲルに関するもので、本発明による水和ゲルは、持続的に薬物を伝達することができ、清涼感を与えて、滲出液を適切に吸収して、ゲル強度が優れていて、バクテリアから細菌感染を予防するだけではなく、放射線の照射を利用することで保存性と滅菌効果を同時に満足させることができ、残留開始剤や架橋剤を使用しないので毒性残留の問題点が全くなく、皮膚に付着させるのが容易でかつ取り扱いが簡単で、親水性不織布と通気性ポリエチレンフィルムを合紙したものを追加して水分放出を抑制して保湿効果を有するため、接触性皮膚炎またはアトピー性皮膚炎に効果的に使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体適合性高分子、多価アルコール、薬用植物抽出物を含む、アトピー性皮膚炎治療用水和ゲル。
【請求項2】
生体適合性高分子の含量が1〜50重量%であり、多価アルコールの含量が1〜20重量%であり、薬用植物抽出物の含量が1〜30重量%である、請求項1に記載のアトピー性皮膚炎治療用水和ゲル。
【請求項3】
生体適合性高分子が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびポリエチレンオキサイドからなる群より選択される1種以上の合成高分子、ならびにカラギナン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ゼラチン、寒天、アルギン酸塩およびキトサンからなる群より選択される1種以上の天然高分子、からなる群より選択される1種または2種以上の混合物である、請求項1または2に記載のアトピー性皮膚炎治療用水和ゲル。
【請求項4】
ポリビニルアルコールの含量が1〜50重量%であり、ポリビニルピロリドンの含量が1〜30重量%であり、ポリアクリル酸の含量が1〜20重量%であり、カラギナンの含量が1〜5重量%である、請求項3に記載のアトピー性皮膚炎治療用水和ゲル。
【請求項5】
多価アルコールが、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールからなる群より選択される、1種または2種以上の混合物である、請求項1〜4のいずれかに記載のアトピー性皮膚炎治療用水和ゲル。
【請求項6】
薬用植物抽出物が、魚腥草、ニレ、柿の葉、くさのおう、松葉、刀豆およびハーブからなる群より選択される、1種または2種以上の混合抽出物である、請求項1〜5のいずれかに記載のアトピー性皮膚炎治療用水和ゲル。
【請求項7】
ハーブが、ローズマリー、ラベンダー、スペアミント、カモマイルおよびルイボスからなる群より選択される、1種または2種以上である、請求項6に記載のアトピー性皮膚炎治療用水和ゲル。
【請求項8】
薬用植物混合抽出物の薬用植物の混合割合が、魚腥草5〜25重量%、ニレ5〜25重量%、柿の葉5〜25重量%、くさのおう5〜25重量%、松葉5〜25重量%、刀豆5〜10重量%およびハーブ5〜30重量%である、請求項6または7に記載のアトピー性皮膚炎治療用水和ゲル。
【請求項9】
アトピー性皮膚炎治療用水和ゲルが、さらに水分蒸発防止膜を含む、請求項1〜8のいずれかに記載のアトピー性皮膚炎治療用水和ゲル。
【請求項10】
水分蒸発防止膜が、親水性不織布および通気性ポリエチレンフィルムを合紙してなる、請求項9に記載のアトピー性皮膚炎治療用水和ゲル。
【請求項11】
生体適合性高分子および多価アルコールを薬用植物抽出物に溶解させた後、キャスティングする工程(工程a);
該工程aでキャスティングされたゲルを凍結および解凍させる工程(工程b);および
該工程bで解凍した水和ゲルに放射線を照射して架橋及び滅菌させる工程(工程c)を含む、アトピー性皮膚炎治療用水和ゲルの製造方法。
【請求項12】
生体適合性高分子および多価アルコールを薬用植物抽出物に溶解させて、水溶液を製造する工程(工程1);
該工程1の水溶液を、親水性不織布および通気性ポリエチレンフィルムを合紙した水分蒸発防止膜に塗布してキャスティングし、予備水和ゲルを成形する工程(工程2);
該工程2の予備水和ゲルを包装する工程(工程3);および
該工程3の包装されたゲルに放射線を照射して滅菌する工程(工程4)を含む、アトピー性皮膚炎治療用水和ゲルの製造方法。
【請求項13】
工程2が、工程1の水溶液を親水性不織布および通気性ポリエチレンフィルムの合紙に塗布した後、キャスティングを遂行して形成されたゲルを、常温または凍結および解凍させることにより、予備水和ゲルを形成させる、請求項12に記載のアトピー性皮膚炎治療用水和ゲルの製造方法。
【請求項14】
凍結温度が−100〜−15℃であり、解凍温度が5〜50℃である、請求項11または13に記載のアトピー性皮膚炎治療用水和ゲルの製造方法。
【請求項15】
放射線が、ガンマ線、電子線、X線、紫外線からなる群より選択されるいずれか一種である、請求項11〜14のいずれかに記載のアトピー性皮膚炎治療用水和ゲルの製造方法。
【請求項16】
放射線の照射量が、2〜200kGyである、請求項11〜15のいずれかに記載のアトピー性皮膚炎治療用水和ゲルの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、生体適合性高分子、多価アルコール、薬用植物抽出物を含む、アトピー性皮膚炎治療用水和ゲルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
アトピー疾患は、一般的にアレルギー反応を伴い、その中でアトピー性皮膚炎は、慢性あるいは再発性皮膚炎として、皮膚病変の特徴的な模様及び分布と個人的あるいは家族的なアトピー病歴を有する遺伝的素因を示す。すなわち、生れつきアトピー性体質を持つ場合に発生する、非常によくみられる皮膚疾患である。大部分、乳児期または幼児期から、特に生後2ヶ月前後に胎熱の形態で始まって約50%が生後2歳以前に発生し、5歳以前には症状を示す。大人になって初めて症状の現れる例は極めて珍しく、大部分は成長とともに症状が緩和されたり消滅したりして、幼児期発生患者の半分が2歳以前に好転することが知られている。
【0003】
前記アトピー性皮膚炎の症状には、大きく分けて、掻痒症(かゆみ症)、慢性的皮膚乾燥、滲出液漏出、剥皮の形成などがあり、この中で皮膚剥皮、剥奪などは掻痒症で掻ことによって生じ、2次細菌感染の原因になり得る。また、アトピー性皮膚炎は、大部分が皮膚乾燥症を伴う。乾燥皮膚は、掻痒症を悪化させて、掻痒症による皮膚刺激がまたアトピー性皮膚炎を悪化させる。したがって、アトピー性皮膚炎を治療するためには皮膚の乾燥を防ぐことが重要である。
【0004】
前記のアトピー皮膚疾患の正確な病態生理は、いまだにまったく理解されていないが、遺伝的素因とともに免疫学的、非免疫学的機序が関与すると考えられている。アトピー性皮膚炎の大部分を占める外因性アトピー性皮膚炎は、免疫グロブリンE(IgE)と連関した免疫機序によって発生し、特定アレルゲンに対する続発性免疫反応よりも、T−細胞異常による原発性免疫反応が関与し、アトピー性皮膚炎患者において、細胞媒介性免疫機能障害が免疫グロブリンEの増加と関連があることが明らかにされ、続発性免疫反応の外にも原発性免疫反応がアトピー性皮膚炎の病因として関与すると考えられている。
【0005】
アトピー性皮膚炎患者における細胞媒介性免疫障害は、約80%の患者に発生することが知られており、ウイルス及び皮膚糸状菌などによる皮膚感染症に対して感受性が増加して、接触アレルゲンに対する感受性が減少する傾向を示す。過去には、T−細胞成熟欠乏説、CD8+抑制T−細胞の数的減少などが報告されたことがあるが、最近では、CD4+T−細胞の役割がより重要であることが知られている。すなわち、B細胞から免疫グロブリンEの生成を誘導または促進するインターロイキン(interleukin)4、5および増幅させるインターロイキン6等を分泌するT−細胞は、CD4+T−細胞の中でTh2細胞であり、アトピー疾患者の皮膚では、Th1細胞に比べてTh2細胞が多く存在することが明らかにされた。このようなサイトカイン(cytokine)は、肥満細胞、大食細胞、好塩球などの免疫細胞を刺激して、ヒスタミン(histamine)、ロイコトリエン(leukotrien)、プロスタグランジン(prostaglandin)、一酸化窒素(NO)などの分泌を促進するようになって、これら炎症媒介物質が皮膚の炎症反応を促進すると知られている。
【0006】
前記のように現在まで知られたアトピー性皮膚炎の病因、機序、症状などを勘案してアトピー性皮膚炎に対する治療剤が開発され、その結果、天然または合成の免疫抑制剤、ステロイド剤、抗ヒスタミン剤など多数が開発された。しかし、従来のアトピー性皮膚炎に対する治療剤として使用するステロイド剤及び抗ヒスタミン剤などは、症状を一時的に緩和する効果はあるが、持続的な効果を維持することはできない。
【0007】
また、アトピー性皮膚炎治療で重要なことの一つは、皮膚の乾燥を防ぐことであり、現在まで発売開始された保湿剤、例えばビーズワックス(bees wax)、グリセリン(glycerine)、プロピレングリコール(propylen glycol)、脂肪酸などは、水分蒸発を効果的に制御することができず、保湿効果を効果的に維持することができない。
【0008】
一方、水和ゲルは、湿潤状態が持続的に要求される火傷治療または皮膚再生を目的に使用される材料であり、たいてい60%以上の水分を含んではじめて前記目的に利用することができる。前記水和ゲルは、血液、体液及び生体組職と親和性があり、傷用ドレッシングとして使用することができる。それ以外にもコンタクトレンズ及び軟骨にも使用することができる。
【0009】
前記目的に利用できる水和ゲルを製造するためには、水和ゲルを形成することができる高分子の選択が先行されなければならない。前記高分子は、3次元の網状構造を有していなければならず、−カルボキシル基(COOH)、−アミド基(CONH)、−スルホン酸基(SOH)などの親水性官能基を含んで水を吸収しながらも、水に溶解してはいけない。より詳細には、前記水和ゲルに使用することができる高分子は、構造の特性上、毛細管及び浸透圧現象によって水を吸収して水分を含むようになり、静電気的、親油性相互作用だけではなく、大抵は高分子鎖間の共有結合構造のため水に溶解しない特徴を持たなければならない。
【0010】
一般的に、水和ゲルに使用する高分子は、合成高分子、天然高分子またはそれらを混合して製造され、前記合成高分子は、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルピロリドンなどの親水性の合成高分子を選択して使用することができ、前記天然高分子は、カラギナン、ゼラチン、寒天(agar)、アルギン酸塩(alginate)、コラーゲン、キトサンなどから選択して使用することができる。
【0011】
このような水和ゲルの製造方法としては、化学的な方法及び放射線照射技術を利用する方法がある。これらの中で、化学架橋剤または開始剤を添加して製造する化学的方法より、放射線を照射することで、化学架橋剤または開始剤を除去する必要がなく、これらの物質の残留による毒性問題を解決し、架橋と同時に滅菌を兼ねることができる、放射線照射技術を利用する方法が注目をあびている。また、放射線照射技術を利用する方法は、架橋過程で熱を加えなくてもよいだけではなく、凍結状態でも架橋が可能であるという長所があり、組成物を変化させる必要なしに放射線照射量の調節だけで物理的特性を自由に調節することができる。
【0012】
前記水和ゲルに対する従来技術としては、特許文献1に放射線架橋法を利用した傷治療用ドレッシングの製造方法を開示している。前記製造方法は、ポリビニルピロリドンに寒天、ポリエチレンオキサイドを混合して、それに放射線を照射し架橋して成立する。前記発明は、放射線架橋法の特徴、すなわち架橋と滅菌を同時に推進することができる長所があるが、ポリビニルピロリドンと寒天の混合時、水和ゲルの強度が低く、混用性が良くないため、強度が弱くて破れるという問題点がある。
【0013】
また、特許文献2では、粘着剤が付着した高分子フィルムに、ポリビニルピロリドン水溶液をキャスティングして、放射線を照射して製造された水和ゲルを開示している。前記発明の水和ゲルは、強度は弱いけれど、粘着性がとても強いため、傷に水和ゲル製造時のポリビニルピロリドンが残留するという問題点がある。
【0014】
さらに、特許文献3では、ポリビニルアルコールを基本素材にし、そこに他の積層剤を添加して物性を改善する技術を開示している。前記発明は、単純に放射線の照射により製品を製造するため物性改善に限界があり、放射線照射をしなければ包装材に形態を維持させながら入れることができないので、2回にわたって放射線を照射しなければならない。
【0015】
また、特許文献4で、ポリビニルピロリドン合成高分子を、キトサン、キトサンとポリエチレンオキサイド、またはアルギン酸ナトリウムとポリエチレンオキサイドに混合して水溶液を製造する工程(工程1);前記工程1の水溶液をシート形態に成形する工程(工程2);前記工程2のシートを包装する工程(工程3);及び前記工程3の包装されたシートに放射線を照射する工程(工程4)からなる傷治療用水和ゲルドレッシングの製造方法を開示し、特許文献5では、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、及びキトサン、それらの混合物からなる群より選択される生体適合性高分子の水溶液または前記生体適合性高分子とグリセリンの混合物水溶液を、膜状に塗布して凍結及び解凍を遂行して予備水和ゲルを成形する工程;膜状に成形された予備水和ゲルを包装材料を使用して包装する工程;及び前記包装された予備水和ゲルに放射線を照射して製造する傷治療用水和ゲルの製造方法を開示し、特許文献6では、ポリビニルピロリドン、多価アルコール及びカラギナンからなる組成物を含む水和ゲルドレッシング、トレー及び放射線の照射によるその製造方法及びそれを利用した傷治療用ドレッシングまたは皮膚の美容パック剤を開示している。
【0016】
しかし、これらは、12時間以上空気中に露出すると、水分が蒸発して傷治療の機能を果たせないため、使用可能時間が短いという問題点がある。
【0017】
前記問題を解決するために特許文献7では、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、カラギナンまたはそれらの混合物からなる群より選択された生体適合性高分子の水溶液を、エチレンビニルアセテート共重合体(EVA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)フィルムまたはポリウレタン膜上に塗布して予備水和ゲルを成形し、放射線を照射して架橋を形成させることにより製造する水分蒸発防止層を含んだ、傷治療用水和ゲルを開示している。
【0018】
前記発明は、水分放出時間を60時間程度に長続きさせる効果があるが、使用されたフィルムは通気性がないので、アトピー性皮膚炎に利用することができない。
【0019】
以上のことに鑑みて、本発明者等は、放射線架橋技術を利用した薬用植物抽出物を含んだ水和ゲルが副作用を起こさないため、親水性不織布と通気性ポリエチレンフィルムを合紙することを追加して、ゲル強度が優れ、水分と薬物が長時間持続的かつ効果的に供給され、水和ゲルの表皮層に高分子膜を付着することにより、かゆみの予防と掻くことによる2次的な傷を予防して、接触性皮膚炎またはアトピー性皮膚炎治療に有用に使用することができることを確認して、本発明を完成した。
【特許文献1】米国特許第5,389,376号
【特許文献2】米国特許第5,480,717号
【特許文献3】特開平9−267453号公報
【特許文献4】大韓民国特許公開第2001−0086864号
【特許文献5】大韓民国特許公開第2003−0060458号
【特許文献6】大韓民国特許公開第2004−0085646号
【特許文献7】大韓民国特許第612374号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、アトピー性皮膚炎治療用水和ゲルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記の目的を果たすため、本発明はアトピー性皮膚炎治療用水和ゲルを提供する。
【0022】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明は、生体適合性高分子、多価アルコール、薬用植物抽出物を含む、アトピー性皮膚炎治療用水和ゲルを提供する。
【0023】
本発明による水和ゲルにおいて、前記生体適合性高分子の含量は1〜50重量%で、多価アルコールの含量は1〜20重量%であり、薬用植物抽出物の含量は1〜30重量%であることが好ましい。
【0024】
本発明における水和ゲルにおいて、前記生体適合性高分子は、3次元の網状構造を有していなければならず、親水性官能基を含むことで水を吸収するだけではなく、水に溶解しない特性が求められる。したがって、前記水和ゲルを成す生体適合性高分子では、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキサイドなどの合成高分子、またはカラギナン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ゼラチン、寒天、アルギン酸塩、キトサンなどの天然高分子からなる群より選択されるいずれか一つの高分子を、単独にまたは2つ以上の高分子を混合して使用することができ、好ましくはポリビニルアルコール単独、またはポリビニルピロリドンもしくはポリアクリル酸とカラギナンの混合物を使用することができる。ここで、水和ゲルの強度を適切に維持するという観点で、前記ポリビニルアルコールの含量は1〜50重量%であり、ポリビニルピロリドンの含量は1〜30重量%であり、ポリアクリル酸の含量は1〜20重量%であり、カラギナンの含量は1〜5重量%であることが好ましい。
【0025】
詳細には、前記ポリビニルアルコールは、親水性高分子として生体材料に適合し、機械的及び熱的強度が優れており、凍結及び解凍を数回行なえば物理的方法で架橋が可能な高分子であり、多様な水和ゲル及び膜(membrane)の製造に主に使用される。
【0026】
前記ポリビニルピロリドンは、親水性(water soluble)高分子であると同時に生体適合性を有する高分子であり、生体材料に広く使用される。また、ポリビニルピロリドンは、単位構造内に酸素と窒素を含んでいるので、水分子と水素結合が可能であり、それを通じて網状構造を形成することにより、多量の水分を含むため、アトピー性皮膚炎治療用に適合した高分子である。
【0027】
前記カラギナンは、天然高分子で皮膚などに全く無害であり、皮膚を軟らかくして落ち着かせる作用及び皮膚が赤くなることを防止する特徴がある。
【0028】
それ以外の前記生体高分子も、3次元網状構造を有し、それを通じて水分を含む能力が優れている。
【0029】
また、本発明による水和ゲルにおいて、前記多価アルコールは、本発明の水和ゲルの粘着力及び柔軟性を高める役割をする。但し、生体に及ぼす毒性があってはならない。前記多価アルコールでは、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコールなどのアルコールの中から選択される1種以上で構成することが好ましく、その中でグリセリンがさらに好ましい。
【0030】
また、本発明による水和ゲルにおいて、前記薬用植物抽出物は、かゆみ症と炎症などアトピー性皮膚炎に効果がある植物抽出物であれば使用することができ、好ましくは魚腥草、ニレ、柿の葉、くさのおう、松葉、刀豆、またはローズマリー、ラベンダー、スペアミント、カマモイル、ルイボスなどのハーブなどから選択される1種以上の混合抽出物が使用できる。
【0031】
前記混合抽出物の薬用植物混合の割合は、魚腥草5〜25重量%、ニレ5〜25重量%、柿の葉5〜25重量%、くさのおう5〜25重量%、松葉5〜25重量%、刀豆5〜10重量%及びハーブ5〜30重量%であることが好ましい。前記薬用植物抽出物は、当業者に広く知られた方法によって抽出されたもの、または市販のものを使用することができる。
【0032】
本発明による薬用植物は、栽培したものまたは市販のものなど、制限なしに使用することができ、きれいに洗浄して使用する。乾燥した薬用植物を適当な大きさに粉砕して抽出容器に入れて適当な量の蒸留水または有機溶媒を入れる。それを適当な温度で24〜36時間抽出した後、ろ紙などでろ過して本発明による薬用植物抽出物を得ることができる。
【0033】
ここで、前記蒸留水は、3次蒸留水が好ましくて、前記有機溶媒はエチルアルコールを使用することが好ましい。
【0034】
前記抽出時の温度は、溶媒が蒸留水の場合には80〜100℃が好ましく、有機溶媒の場合には50〜70℃であることが好ましい。
【0035】
前記有機溶媒で抽出する場合には、抽出後、固形分をろ過した後、真空蒸発器などを利用して有機溶媒成分を除去した後、使用することが好ましい。
【0036】
前記乾燥しない薬用植物は、汁を絞って蒸留水に入れることを除き、前記乾燥した薬用植物抽出方法と同じ方法で抽出することができる。
【0037】
前記のような方法で製造された抽出物は、天然成分のため人体に刺激がなく、アトピー性皮膚炎に効果がある。
【0038】
また、本発明による水和ゲルは、水分蒸発防止膜をさらに含むことができる。
【0039】
本発明による水和ゲルにおいて、前記水分蒸発防止膜は、図1に示したように、親水性不織布及び通気性ポリエチレンフィルムの合紙からなることが好ましい。
【0040】
前記親水性不織布は、前記水和ゲルの強度を増加させる役割をし、前記通気性ポリエチレンフィルムは、空気は通過するが水は通過することができない高分子フィルムであり、水分蒸発を防いで水和ゲルの水分を長い間維持させ、空気を通過させて皮膚が呼吸することを維持させる役割をする。
【0041】
前記親水性不織布及び通気性ポリエチレンフィルムの合紙は、特に制限されないが、市販のものまたは一般的な方法によって製造されたものを使用することができる。
【0042】
本発明の一実施形態によるアトピー性皮膚炎治療用水和ゲルは、
生体適合性高分子及び多価アルコールを薬用植物抽出物に溶解させた後、キャスティングする工程(工程a);
前記工程aでキャスティングされたゲルを凍結及び解凍させる工程(工程b);及び
前記工程bで解凍した水和ゲルに放射線を照射して架橋及び滅菌する工程(工程c)を含む方法によって製造することができる。
【0043】
前記工程aは、生体適合性高分子及び多価アルコールを薬用植物抽出物に溶解させた後、キャスティングする工程である。
【0044】
ここで、前記生体適合性高分子水溶液に含有される前記生体適合性高分子の含量は、ゲル強度を適切に維持するため、全体水溶液に対して1〜50重量%になるように濃度を調節することが好ましい。生体適合性高分子の含量が1重量%未満の場合には、傷を治療する薬物を収容することができる程度のゲル強度を維持することができず、50重量%を超過する場合には、水溶液を準備するのに困難がある。
【0045】
また、前記多価アルコールの含量は、全体水溶液に対して1〜20重量%であることが好ましい。多価アルコールの含量が1重量%未満の場合には、粘着力及び柔軟性を充分に高めることができず、20重量%を超過する場合には、薬物を収容することができる程度のゲル強度を維持することができない。
【0046】
前記工程bは、前記工程aでキャスティングされて形態が作られたゲルを、凍結及び解凍させる工程である。
【0047】
前記凍結及び解凍過程を通じて、キャスティングされたゲルに物理的架橋を導入することができる。ここで、適切に厚さが調節された水和ゲル層が形成されるようにすることが好ましく、1〜5mmの厚さになるように調節することがさらに好ましい。効果的な物理的架橋形成のために、前記凍結温度の範囲は、−100〜−15℃であることが好ましく、−70〜−40℃であることがさらに好ましい。また、同じ目的のために前記解凍温度の範囲は、5〜50℃であることが好ましく、20〜30℃であることがさらに好ましい。
【0048】
−100℃より低い温度で凍結させても、物理的架橋形成に大きな差がない一方、−15℃より高い温度では水和ゲルが凍結されない問題がある。また、5℃より低い解凍温度では適当な解凍時間を確保することができず、50℃より高い解凍温度では物理的架橋を弱化させ得るという問題がある。
【0049】
前記凍結過程を遂行する時間は、凍結温度によって変更することができ、通常5分〜1時間が好ましい。凍結時間が5分未満の場合には、効果的な凍結が成立せず、1時間を超過する場合には、水和ゲル製造工程において不必要な時間の浪費のみをもたらすことになる。
【0050】
前記凍結及び解凍過程は、安定した物理的架橋確保のために繰り返し遂行することができる。前記遂行回収は、1〜10回が好ましく、工程の簡素化のためには1〜3回程度が好ましい。
【0051】
次に、前記工程cは、前記工程bで解凍した水和ゲルに放射線を照射して架橋及び滅菌する工程である。
【0052】
前記放射線の照射によって成形される前記水和ゲルは、化学的方法によって製造される水和ゲルに存在する残留毒性の問題がなく、架橋と同時に滅菌効果を得ることができるという長所がある。ここで、使用される放射線は、ガンマ線、紫外線、電子線などを使用することができる。
【0053】
前記放射線の照射線量は、2〜200kGyであることが好ましく、5〜100kGyであることがさらに好ましい。2kGy未満の場合には、放射線の照射による生体適合性高分子間の効果的な架橋形成を期待することができず、200kGyの場合には、架橋量の増加によるゲル強度の増大によって水和ゲルの柔軟性が低下して、高分子の放射線劣化問題が発生する。
【0054】
さらに、本発明の他の一実施形態によるアトピー性皮膚炎治療用水和ゲルは、上述した製造方法で凍結/解凍(工程b)を経ないで、直接放射線の照射による架橋のみを遂行して製造することができる。
【0055】
この場合、照射する放射線の照射線源及び照射線量は、上述した製造方法と等しい線源と線量を使用することができる。
【0056】
さらに、水分蒸発防止膜を含む場合、本発明のもう一つの一実施形態によるアトピー性皮膚炎治療用水和ゲルは、生体適合性高分子及び多価アルコールを薬用植物抽出物に溶解させて水溶液を製造する工程(工程1);
前記工程1の水溶液を、親水性不織布及び通気性ポリエチレンフィルムを合紙した水分蒸発防止膜に塗布してキャスティングし、予備水和ゲルを成形する工程(工程2);
前記工程2の予備水和ゲルを包装する工程(工程3);及び
前記工程3の包装されたゲルに、放射線を照射して滅菌する工程(工程4)を含む方法によって製造することができる。
【0057】
まず、工程1は、生体適合性高分子及び多価アルコールを、薬用植物抽出物に溶解させて水溶液を製造する工程である。
【0058】
ここで、前記生体適合性高分子水溶液に含有される前記生体適合性高分子の含量は、ゲル強度を適切に維持するため、全体水溶液に対して1〜50重量%になるように濃度を調節することが好ましい。生体適合性高分子の含量が1重量%未満の場合には、傷を治療する薬物を収容することができる程度のゲル強度を維持することができず、50重量%を超過する場合には水溶液を準備するのに困難がある。
【0059】
また、前記多価アルコールの含量は、全体水溶液に対して1〜20重量%であることが好ましい。多価アルコールの含量が1重量%未満の場合には、粘着力及び柔軟性を充分に高めることができず、20重量%を超過する場合には、薬物を収容することができる程度のゲル強度を維持することができない。
【0060】
次に、工程2は、前記工程1の水溶液を、親水性不織布及び通気性ポリエチレンフィルムを合紙した水分蒸発防止膜に塗布してキャスティングし、予備水和ゲルを形成させる工程である。
【0061】
詳細には、工程1の水溶液を、親水性不織布及び通気性ポリエチレンフィルム合紙に塗布した後、キャスティングを遂行してトレーの模様によって形成されたゲルを、常温または凍結及び解凍することにより予備水和ゲルを形成させる。
【0062】
ここで、水分蒸発防止層としての、前記親水性不織布及び通気性ポリエチレンフィルムの合紙は、10〜500μmの厚さを使用することが好ましく、市販されたり通常的な方法で製造されたもの(例えばUPC製品)を使用することができる。
【0063】
前記凍結及び解凍過程を通じてキャスティングされたゲルは、物理的架橋を導入することができる。ここで、適切に厚さが調節された水和ゲル層が形成されるようにすることが好ましく、1〜5mmの厚さになるように調節することがさらに好ましい。効果的な物理的架橋形成のために、前記凍結温度の範囲は、−100〜−15℃であることが好ましく、−70〜−40℃であることがさらに好ましい。また、同一目的のために前記解凍温度の範囲は、5〜50℃であることが好ましく、20〜30℃であることがさらに好ましい。
【0064】
−100℃より低い温度で凍結させることは、物理的架橋形成に大きな差がない一方、−15℃より高い温度では水和ゲルが凍結されない問題がある。また、5℃より低い解凍温度では適当な解凍時間を確保することができず、50℃より高い解凍温度では物理的架橋を弱化させ得るという問題がある。
【0065】
前記凍結過程を遂行する時間は、凍結温度によって変更することができ、通常5分〜1時間が好ましい。凍結時間が5分未満の場合には効果的な凍結が成り立たず、1時間を超過する場合には水和ゲル製造工程において不必要な時間浪費のみをもたらすことになる。
【0066】
前記凍結及び解凍過程は、安定した物理的架橋確保のために繰り返し遂行することができる。前記遂行回収は、1〜10回が好ましく、工程の簡素化のためには1〜3回程度が好ましい。
【0067】
次に、工程3は、前記工程2の予備水和ゲルを包装する工程である。
【0068】
ここで、包装には通常の包装材料を使用することができる。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリエステルなどの高分子フィルムや、アルミ箔またはアルミニウムと高分子フィルムのラミネートを使用することができる。
【0069】
次に、工程4は、前記工程3の包装されたゲルに放射線を照射して滅菌する工程である。
【0070】
前記放射線の照射によって成形される前記水和ゲルは、化学的方法によって製造される水和ゲルに存在する残留毒性の問題がなく、架橋と同時に滅菌効果を得ることができるという長所がある。ここで、使用される放射線は、ガンマ線、紫外線、電子線などを使用することができる。
【0071】
前記放射線の照射線量は、2〜200kGyであることが好ましく、5〜100kGyであることがさらに好ましい。2kGy未満の場合には、放射線の照射による生体適合性高分子間の効果的な架橋形成を期待することができず、200kGyの場合には、架橋量の増加によるゲル強度の増大によって水和ゲルの柔軟性が低下して、高分子の放射線劣化の問題が発生する。
【発明の効果】
【0072】
前記方法で製造されたアトピー性皮膚炎治療用水和ゲルは、図2に示したとおりであり、前記水和ゲルは製造工程が簡便で、親水性不織布と通気性ポリエチレンフィルムを合紙して含むことにより、水分放出を抑制するので保湿作用を示し、持続的に薬物を伝達することができる。さらに、清涼感を与え、ゲル強度が優れ、バクテリアから細菌感染を予防するだけではなく、放射線の照射を利用することで、保存性と滅菌効果を同時に満足させることができる。さらに、残留開始剤や架橋剤を使用しないので、毒性残留の問題点が全くなく、皮膚に付着が容易であり、取り扱いが簡単である。したがって、本発明による水和ゲルは、接触性皮膚炎またはアトピー性皮膚炎に効果的に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
以下、本発明を下記の実施例によってさらに詳しく説明する。但し、下記の実施例は本発明を例示するだけのものであって、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるものではない。
【0074】
製造例1:薬用植物抽出物製造1
乾いた魚腥草、ニレ、柿の葉、くさのおう、松葉、刀豆及びハーブ(ローズマリー、ラベンダー、スピアミント、カモマイルまたはルイボス)20gを、それぞれ3次蒸留水1lに入れて、24時間80℃で加熱した。以後、固形分をろ過して抽出物を得た。
【0075】
製造例2:薬用植物抽出物製造2
製造例1で使用した薬用植物20gを、70%エチルアルコール(水:エチルアルコール=30:70)1lに入れて、24時間60℃で加熱した。以後、固形分をろ過し、残った液体を真空蒸発器を利用してアルコール成分を除去した後、抽出物を得た。
【0076】
製造例3:薬用植物抽出物製造3
製造例1で使用した薬用植物20gを、3次蒸留水1lに入れ、オートクレーブの温度を120℃に調節して1時間抽出して抽出物を得た。
【0077】
製造例4:薬用植物混合抽出物製造
前記の魚腥草8g、ニレ8g、柿の葉2g、くさのおう8g、松葉10g、刀豆1g、ハーブ20gを、1lの3次蒸留水に入れることを除き、製造例1〜3と同じ方法で抽出物を得た。
【0078】
実施例1:凍結/解凍によるポリビニルアルコール水和ゲルの製造1
ポリビニルアルコール20重量%及びグリセリン5重量%を混合して、120℃で製造例1〜4によって製造した薬用植物抽出物に溶解させて製造した溶液を、厚さが1〜3mmになるようにキャスティングした。キャスティングして形態が作られたゲルを−76℃で5〜10分間凍結した後、常温で解凍させた。前記解凍したゲルをCo−60ガンマ線線源を使用して、それぞれ25、35、50及び75kGyの線量を照射し、架橋及び滅菌を実施して、水和ゲルを製造した。
【0079】
実施例2:凍結/解凍によるポリビニルアルコール水和ゲルの製造2
前記ガンマ線線源の代わりに電子線アクセラレーターを使用したことを除き、実施例1と同じ方法で水和ゲルを製造した。
【0080】
実施例3:凍結/解凍によるポリビニルアルコール水和ゲルの製造3
水和ゲル製造溶液に光開始剤を添加し、前記ガンマ線線源の代わりにUV−ランプ(230〜400nm)を利用して紫外線を使用したことを除き、実施例1と同じ方法で水和ゲルを製造した。
【0081】
実施例4:ポリビニルピロリドン水和ゲルの製造1
ポリビニルピロリドン7重量%及びカラギナン3重量%を混合して、薬用植物抽出物(製造例1〜4)に80℃で溶解させて製造した溶液を、厚さが1〜3mmになるようにキャスティングした。前記キャスティングしたフィルムをCo−60ガンマ線線源を使用して、それぞれ25、35、50及び75kGyの線量を照射し、架橋及び滅菌を実施して、水和ゲルを製造した。
【0082】
実施例5:ポリビニルピロリドン水和ゲルの製造2
前記ガンマ線線源の代わりに電子線アクセラレーターを使用したことを除き、実施例4と同じ方法で水和ゲルを製造した。
【0083】
実施例6:ポリビニルピロリドン水和ゲルの製造3
水和ゲル製造溶液に光開始剤を添加した後、前記ガンマ線線源の代わりにUV−ランプ(230〜400nm)を利用して紫外線を使用したことを除き、実施例4と同じ方法で水和ゲルを製造した。
【0084】
実施例7:ポリアクリル酸水和ゲルの製造1
ポリアクリル酸10重量%及びカラギナン3重量%を混合して、薬用植物抽出物(製造例1〜4)に溶解させて製造した溶液を、厚さが1〜3mmになるようにキャスティングした。前記キャスティングしたフィルムを、Co−60ガンマ線線源を使用して、それぞれ25、35、50及び75kGyの線量を照射し、架橋及び滅菌を実施して、水和ゲルを製造した。
【0085】
実施例8:ポリアクリル酸水和ゲルの製造2
前記ガンマ線線源の代わりに電子線アクセラレーターを使用したことを除き、実施例7と同じ方法で水和ゲルを製造した。
【0086】
実施例9:ポリアクリル酸水和ゲルの製造3
水和ゲル製造溶液に光開始剤を添加した後、前記ガンマ線線源の代わりにUV−ランプ(230〜400nm)を利用して紫外線を使用したことを除き、実施例7と同じ方法で水和ゲルを製造した。
【0087】
実施例10:水分蒸発防止膜を含んだ水和ゲル製造1
ポリビニルピロリドン6.5重量%、カラギナン2.5重量%、グリセリン2重量%及び製造例1〜4によって製造された薬用植物抽出液89重量%を混合した後、80℃に加熱して水溶液を製造して、この水溶液を親水性不織布と通気性ポリエチレンフィルムを合紙した水分蒸発防止膜の不織布表面に注ぎ、2mm厚さにキャスティングした。前記キャスティングしたゲルの温度が常温に下がった後に包装して、25kGy、1kGy/hの線量率で放射線照射して水分蒸発防止膜を含んだ水和ゲルを製造した。
【0088】
実施例11:水分蒸発防止膜を含んだ水和ゲル製造2
ポリビニルアルコール20重量%、グリセリン5重量%及び製造例1〜4によって製造された薬用植物抽出液75重量%を混合し、120℃で40分間オートクレーブで加熱して高分子水溶液を製造した。製造された水溶液を親水性不織布と通気性ポリエチレンフィルムを合紙した水分蒸発防止膜の不織布表面に注いで、2mm厚さにキャスティングした。前記キャスティングしたゲルを零下76℃で3分間冷凍した後、また常温で融解して物理的な架橋構造を形成するようにした。架橋されたゲルを包装して、25kGy、1kGy/hの線量率で放射線照射して水分蒸発防止膜を含んだ水和ゲルを製造した。
【0089】
実験例1:接触性皮膚炎動物の皮膚炎減少効果
本発明による水和ゲルの、接触性皮膚炎に与える効果を調べるために、次のような実験を行った。
【0090】
1−1:マウスの背中浮腫の減少効果
図3に示したように、実験群と対照群に、C57BL/6マウスの毛を除去して、DNFB(2,4−dinitrofluorobenzenz、St.Louis、MO、米国)をアセトン:オリーブオイル=4:1混合溶液に希釈して製造した0.5%のDNFB溶液を、マウスの背中(back)に塗布することで浮腫を惹起させた。
【0091】
以後、対照群には何らの措置を取らないで、実験群には感作された部位に実施例1〜11によって製造した水和ゲルを8日間、1日2回塗布した。8日間、皮膚炎の状態を観察してその結果を図4に示した。
【0092】
図4に示したように、何らの措置を取らない対照群(a)は、時間が経つほど浮腫が徐々に大きくなりひどくなる一方、前記水和ゲルを塗布したマウスの感作された部位(b)は、時間が経つほど徐々に小さくなって回復することを確認した。
【0093】
1−2:耳浮腫の減少効果
前記実験後、図3に示したように、実施例1〜11によって製造した水和ゲルを4日間1日2回ずつC57BL/6マウスの耳に塗布して前処理した。4日後、前記水和ゲルを塗布したマウスと、比較群として水和ゲルを塗布しないマウスの耳に0.2%のDNFB溶液を塗布して、耳浮腫を惹起させた。以後、時間経過によって前記実験群及び比較群マウスの耳を図5に示したように耳浮腫測定装置(厚さ測定機、Mitutoyo Corp.,日本)を利用して耳浮腫程度を測定した。その結果を図6に示す。
【0094】
図6に示したように、水和ゲル処理をしないマウスは、時間経過によって耳浮腫が増加して70%程度に到達する一方、本発明による水和ゲルを前処理したマウスは、初めには約20%程度耳浮腫が増加し、徐々に0に至ることから、水和ゲル前処理をした実験群で耳浮腫が減少することを確認した。
【0095】
したがって、本発明による水和ゲルは、接触性皮膚炎を減少させるため、皮膚炎治療剤として有用に使用することができる。
【0096】
実験例2:アトピー性皮膚炎動物の皮膚炎減少効果
本発明による水和ゲルがアトピー性皮膚炎に及ぼす効果を調べるために次のような実験を行った。
【0097】
実施例1〜11によって製造した水和ゲルを、7日間1日2回ずつBALB/cマウスの背中の方の首部位に塗布して前処理した。7日後、前記水和ゲルを塗布したマウスと、比較群として水和ゲルを塗布していないマウスの背中の方の首部位皮膚の真皮内に、50μgのN−メチル−p−メトキシフェネチルアミンとホルムアルデヒドの多重合体(コンパウンド48/80,Sigma,St.Louis,MO,米国,以下コンパウンド48/80とする)を注射した。
【0098】
その結果、図7に示したように、皮膚の発疹が増加してアトピー性皮膚炎が誘発されることを確認した。前記アトピー性皮膚炎が誘発された実験群及び比較群マウスを、ケージに入れて60分間マウスの行動を観察してビデオで撮影した。
【0099】
皮膚かゆみ症の程度を測定するために、オリト(Orito)グループが提案した方法を使用して、マウスが首を掻く行動を観察して時間別にその回数を数えた。その結果を図8に示す。
【0100】
図8に示したように、前記実施例1〜2によって製造された水和ゲルによる前処理なしにアトピー性皮膚炎が誘発されたマウス(比較群)は、30分間に掻く回数が約100回程度で、時間が経つほど徐々に減りはしたが、60分後にも掻く回数が40回程度に至った。しかし、本発明による水和ゲルによる前処理を経たアトピー性皮膚炎が誘発されたマウスは、最高掻く回数が40回以下で、時間が経つほど減って60分後には掻く回数が0に近づくことから、水和ゲル前処理をした実験群で掻く回数が減少することを確認した。
【0101】
したがって、本発明による水和ゲルは、アトピー性皮膚炎によるかゆみ症を緩和するため、アトピー性皮膚炎予防及び治療に有用に使用することができる。
【0102】
実験例3:水和ゲルの乾燥実験
本発明による水分蒸発防止膜を含んだ水和ゲルにおいて、水分蒸発防止膜が水和ゲルの水分蒸発の程度に及ぼす影響を調べるために、次のような実験を行った。
【0103】
前記実施例1で製造した水分蒸発防止膜を含まない水和ゲル、または実施例16で製造した水分蒸発防止膜を含んだ水和ゲルを、図9の乾燥装置に入れて時間による水和ゲルの水分蒸発程度を測定した。前記図9の乾燥装置に溜られている水の温度は37℃に固定し、乾燥装置内部の湿度は60〜80%に維持した。前記乾燥装置の網上に乗せた水和ゲルは、下面は蒸発した水蒸気が触れるようになり、上面は空気と触れるようになる。
【0104】
水和ゲルの水分蒸発の程度(Degree of water evaporation)は下記の数式1によって計算した。
【0105】
数式1
水分蒸発率(%)=(初期ゲル重量−乾燥したゲル重量)/(初期ゲルが含んでいる水重量)×100
【0106】
測定された水和ゲルの水分蒸発程度を図10及び図11に示す。
【0107】
図10は、水分蒸発防止膜を含まない実施例1の水和ゲルの水分蒸発率を示し、図11は、水分蒸発防止膜を含む実施例10〜11の水和ゲルの水分蒸発率を示したものである。
【0108】
図10及び図11に示したように、水分蒸発防止膜を含まない水和ゲルの場合、初期5時間まで早く水分が蒸発して、20時間経過すると水和ゲルが含んでいた水分が全て蒸発するが、水分蒸発防止膜を含む水和ゲルは、45時間の間、水分が維持されることを確認した。
【0109】
したがって、本発明による水分蒸発防止膜を含んだ水和ゲルは、水分が長時間維持されるため、接触性皮膚炎またはアトピー性皮膚炎の治療に有用に使用することができる。
【0110】
実験例4:アトピー性皮膚炎治療用水和ゲルの臨床適用
本発明による水和ゲルが、アトピー性皮膚炎に及ぼす効果を調べるために、次のような実験を行った。
【0111】
実施例1または4によって製造された水和ゲルを、7日間1日2回ずつアトピー性皮膚炎及びその他のアレルギー性皮膚炎がある患者に適用した。毎日適用部位を撮影して水和ゲルのアレルギー性皮膚炎治療効果を確認して、図12に示した。図12に示したように、本発明による水和ゲルは、アトピー性皮膚炎及びその他の皮膚炎の炎症発生を抑制することから、アトピー性皮膚炎治療に効果的に使用できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
以上で詳しく検討したように、本発明による水和ゲルは、持続的に薬物を伝達することが可能で、清涼感を与えて、滲出液を適切に吸収し、かつゲル強度が優れ、バクテリアから細菌の感染を予防するだけではなく、放射線の照射を利用することで、保存性と滅菌効果を同時に満足させることができ、残留開始剤や架橋剤を使用しないため毒性残留の問題点が全くなく、皮膚に付着が容易で、取り扱いが簡単であり、親水性不織布と通気性ポリエチレンフィルムを合紙したものを追加することにより、水分放出を抑制して保湿作用を示すので、接触性皮膚炎またはアトピー性皮膚炎に効果的に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の一実施形態によるアトピー性皮膚炎治療用水和ゲルに含まれる水分蒸発防止膜の写真である。
【図2】本発明の一実施形態による水分蒸発防止膜を含んだアトピー性皮膚炎治療用水和ゲルを示す写真である。
【図3】本発明の一実施例による接触性皮膚炎動物実験方法を示した図面である((a):水和ゲル処理をしない対照群;(b):水和ゲル処理をした実験群;DNFB:2,4−ジニトロフルオロベンゼン、接触性皮膚炎を誘発する試薬;h:時間(例えば、h1は1時間))。
【図4】本発明の一実施例による水和ゲル処理の有無に対して、時間による接触性皮膚炎が発生したマウスの背中の浮腫程度を示した写真である((a):水和ゲル処理をしない対照群;(b):水和ゲル処理をした実験群)。
【図5】本発明の一実施例による接触性皮膚炎が発生したマウスの耳の浮腫を測定した写真である。
【図6】本発明の一実施例による水和ゲルの前処理の有無に対し、時間による接触性皮膚炎が発生したマウスの耳の浮腫発生程度を示したグラフである(−●−:DNFBだけ使用した時;…○…:DNFBを使用後、水和ゲル処理をした時;DNFB:2,4−ジニトロフルオロベンゼン、接触性皮膚炎を誘発する試薬)(n=200、p<0.001)。
【0114】
【図7】本発明の一実施例によるアトピー性皮膚炎が発生したマウスの写真である(コンパウンド48/80:N−メチル−p−メトキシフェネチルアミンとホルムアルデヒドの多重合体)。
【図8】本発明の一実施例による水和ゲルの前処理の有無に対して、時間によるアトピー性皮膚炎が発生したマウスが掻く回数を示したグラフである(−●−:何も投与しない時(対照群);…○…:コンパウンド48/80を投与した時;‥△−:水和ゲル前処理後コンパウンド48/80を投与した時;コンパウンド48/80:N−メチル−p−メトキシフェネチルアミンとホルムアルデヒドの多重合体、アトピー性皮膚炎を誘発する試薬)(n=100、p<0.001)。
【図9】本発明の一実施例による水分蒸発防止膜を含んだアトピー性皮膚炎治療用水和ゲルの蒸発実験装置を示した図面である。
【図10】本発明の一実施例による水分蒸発防止膜を含まない水和ゲルの水分蒸発実験結果を示したグラフである。
【図11】本発明の一実施例による水分蒸発防止膜を含んだ水和ゲルの水分蒸発実験結果を示したグラフである。
【図12】本発明の一実施例による水和ゲルの臨床測定結果を示した写真である。
【出願人】 【識別番号】501399968
【氏名又は名称】韓国原子力研究院
【出願日】 平成19年8月7日(2007.8.7)
【代理人】 【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司


【公開番号】 特開2008−37871(P2008−37871A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2007−205700(P2007−205700)