| 【発明の名称】 |
ジフェンヒドラミン塩含有製剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐藤 実香
【氏名】日吉 正巳
【氏名】柴田 一郎
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| 【要約】 |
【課題】保存安定性に優れ、かつ溶解性が向上したジフェンヒドラミン塩含有製剤を提供すること。
【構成】油状又は懸濁油状のジフェンヒドラミン塩含有製剤であって、ジフェンヒドラミン塩、ビニルピロリドンの架橋重合物、及び食用油を含有するもの。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ジフェンヒドラミン塩、ビニルピロリドンの架橋重合物、及び食用油を含有することを特徴とする油状又は懸濁油状のジフェンヒドラミン塩含有製剤。 【請求項2】 前記ジフェンヒドラミン塩がジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、及びジフェンヒドラミンラウリル硫酸塩からなる群から選ばれる1種以上である請求項1に記載のジフェンヒドラミン塩含有製剤。 【請求項3】 前記食用油が中鎖脂肪酸トリグリセリド、ダイズ油、小麦胚芽油、綿実油、しそ油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリブ油、ツバキ油、ナタネ油、ヤシ油からなる群から選ばれる1種以上である請求項1又は2に記載のジフェンヒドラミン塩含有製剤。 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のジフェンヒドラミン塩含有製剤を内容物として用いたカプセル剤。 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載のジフェンヒドラミン塩含有製剤を内容物として用いた軟カプセル剤。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、保存安定性に優れ、かつ溶解性が向上したジフェンヒドラミン塩含有製剤に関する。 【背景技術】 【0002】 従来からジフェンヒドラミン塩は抗ヒスタミン作用と中枢抑制作用を有し、催眠作用、制吐作用が認められていた。他にも動揺病(乗り物酔い)に対する抑制効果も認められていた。 【0003】 製剤化においては、ジフェンヒドラミン塩の粉末は光によって徐々に、benzophenone又はbenzhydrol及びβ―dimethyl―aminoethanolなどに分解される。 【0004】 また、特許文献1においてもジフェンヒドラミン塩酸塩は光によって分解されるので遮光した箱や包装容器に保管する、或いはその固形剤を遮光物質で被覆することが必要であると記述している。 【特許文献1】特開2003-300872 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 従来のジフェンヒドラミン塩製剤は光安定性が悪く、その固形剤においても遮光物質で被覆することが必要とされ、被覆することで製造工程が増え、更には被覆されているので十分な溶解性が得られないことを想起させるものであった。 【0006】 尚、本発明者らの研究によれば、ジフェンヒドラミン塩を油液中に分散することにより、光による分解を抑制することができる。この場合においてもジフェンヒドラミン塩を固形剤とするためのカプセル皮膜等に、還元性等の化学反応性を有する該ジフェンヒドラミン塩が作用し、その皮膜等を経時劣化させ、皮膜の軟化、カプセル漏れ、皮膜の着色等の発生があることを認めた。 【0007】 本発明の課題は、保存安定性に優れ、かつ溶解性が向上したジフェンヒドラミン塩含有製剤を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 請求項1の発明は、ジフェンヒドラミン塩、ビニルピロリドンの架橋重合物、及び食用油を含有した油状又は懸濁油状のジフェンヒドラミン塩含有製剤である。 【0009】 請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記ジフェンヒドラミン塩がジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、及びジフェンヒドラミンラウリル硫酸塩からなる群から選ばれる1種以上であるようにしたものである。 【0010】 請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において更に、前記食用油が中鎖脂肪酸トリグリセリド、ダイズ油、小麦胚芽油、綿実油、しそ油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリブ油、ツバキ油、ナタネ油、ヤシ油からなる群から選ばれる1種以上であるようにしたものである。 【0011】 請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のジフェンヒドラミン塩含有製剤を内容物として用いたカプセル剤である。 【0012】 請求項5の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のジフェンヒドラミン塩含有製剤を内容物として用いた軟カプセル剤である。 【発明の効果】 【0013】 ジフェンヒドラミン塩を食用油の油液中に溶解又は分散することにより、光による分解を抑制することができ、更にビニルピロリドンの架橋重合物を添加することにより、それらの組成物をカプセル化した場合においても、ジフェンヒドラミン塩がその有効性を損なうことなく、カプセル皮膜等を経時劣化させないことができた。これはジフェンヒドラミン塩が油液中でビニルピロリドンの架橋重合物に包接され、更にビニルピロリドンの架橋重合物が体内胃液等の水液中に放散されることでその包接が解け、ジフェンヒドラミン塩が遊離され速やかに体内に吸収されることとなることが推測された。 【0014】 尚、本発明者らは、ジフェンヒドラミン塩以外の他の生理活性物質であって、他の成分との相互作用が伴なう生理活性物質にビニルピロリドンの架橋重合物を添加すれば、当該生理活性物質を含有しながら安定性に優れる剤を製造できることも認めた。この生理活性物質としては、ベンフォチアミン、L−システイン、リゾチーム塩酸塩、アスコルビン酸、イブプロフェン、有胞子性乳酸菌、ビタミンD類等を挙げることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0015】 本発明のジフェンヒドラミン塩含有製剤において、食用油の好適添加量は、ジフェンヒドラミン塩量16.7重量%に対し30〜80重量%であり、更に好ましくは40〜70重量%である。ビニルピロリドンの架橋重合物の好適添加量はジフェンヒドラミン塩量16.7重量%に対し2〜10重量%であり、更に好ましくは3〜8重量%である。 【0016】 これらジフェンヒドラミン塩、ビニルピロリドンの架橋重合物、及び食用油を含有することを特徴とするジフェンヒドラミン塩含有製剤は、他添加剤として中鎖脂肪酸モノグリセリド、硬化油、レシチン、及び抗酸化剤を含むことができる。中鎖脂肪酸モノグリセリドとしてはグリセリンモノカプロン酸エステル、グリセリンモノカプリル酸エステル、グリセリンモノカプリン酸エステル及びグリセリンモノラウリル酸エステル等の1種又は2種以上が好適に用いられる。硬化油としてはミツロウ、サラシミツロウ、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ラノリンワックス、シンクロワックス、モクロウ等の1種又は2種以上が好適に用いられる。 【0017】 本発明であるジフェンヒドラミン塩含有油状液又は油状懸濁液を製造するにはジフェンヒドラミン塩以外の各成分を混合機に量り取り、必要に応じ約80℃で加温溶解し、冷後ジフェンヒドラミン塩を加える。 【0018】 本発明であるジフェンヒドラミン塩含有油状液又は油状懸濁液は、軟カプセル剤又は硬カプセル剤等の固形剤の内容物として用いられる。 【0019】 本発明であるジフェンヒドラミン塩含有油状液又は油状懸濁液を軟カプセル剤にするとき、ジフェンヒドラミン塩の粒子径は50〜300μmが良い。更に好ましくは80〜150μmである。ジフェンヒドラミン塩の粒子径が50μm未満であると油状液又は油状懸濁液を調合する場合、飛散防止に多大な注意を要し作業効率及び作業者の安全性に留意する必要がある。また、ジフェンヒドラミン塩の粒子径が300μm以上であると軟カプセル剤の製法上不具合が生じる。尚、カプセル皮膜の基剤としてはコハク化ゼラチン、でんぷん、デキストリン及びグリセリンを用いる。 【0020】 軟カプセル剤の製法の一つとしてロータリーダイ式があり、これは皮膜組成物の溶液をカプセル充填機の両側にある回転ドラムに展延することによりシート状とし、その皮膜シートを回転する円筒金型(ダイロール)の間に送り、これと連動するポンプのピストンで内容物を圧入し、両金型の圧切によってカプセルを形成する。もう一つの方法として平板法があり、これは原理的にはロータリーダイ式と同等であり、上下平板金型の間に上下皮膜シート、その上下皮膜シート間に内容物を置き、両金型の圧切によってカプセルを形成する。 【0021】 一方、軟カプセル剤の他の製法である、シームレスカプセルの製法は、外側がカプセル皮膜液、内側がカプセル内容液からなる二層性の液流を、一定間隔で切断しながら疎水性の油液等に導入することにより、球体となる皮膜液により内容物を包んで充填カプセルを作り、次いでその充填カプセルを乾燥して軟カプセル剤を得る。 【0022】 硬カプセル剤の製法としては、ディッピング法があり、これは皮膜組成物の溶液にカプセル形成用ピンを浸漬し、ピン上に溶液を付着させ、ついでピンを引き上げ、乾燥後、フィルムをピンから引き抜いて、硬カプセル剤を得る。 【0023】 以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。 【0024】 (比較例1及び実施例1) 表1に示した比較例1及び実施例1に示す処方に基づき、各成分をガラス製シャーレーに取り、均一に攪拌混和したものに、耐光試験機(Heraeus社製)を用いて光照射(1000ルクス、1、2、4週間相当)した後に評価した。光照射中の耐光試験機内の最大温度は36℃であった。 【0025】 【表1】
【0026】 表1に示す如く、ジフェンヒドラミン塩酸塩の含量(重量)の変化についてみると、光照射後は、比較例1の減量は多量であり、実施例1の減量は少量である。ジフェンヒドラミン塩を油液中に分散することにより、光による分解を抑制できることが認められる。 【0027】 (比較例2及び実施例2〜3) 表2に示した比較例2及び実施例2〜3に示す処方に基づき、ジフェンヒドラミン塩酸塩以外の各成分をビーカーに量り取り、約70〜80℃の湯せんで加温溶解し、冷後ジフェンヒドラミン塩酸塩を加え、均一に攪拌混和したものに、皮膜シート(基剤としてコハク化ゼラチン、グリセリンを使用)を入れ、それを恒温槽(40℃)に入れ1ヶ月後に皮膜シート状態を評価した。 【0028】 【表2】
【0029】 表2に示す如く、皮膜シートの経時変化についてみると、比較例2は軟化(大)であり、実施例1〜2は軟化したもののその程度は僅かである。ジフェンヒドラミン塩にビニルピロリドンの架橋重合物を添加することにより、皮膜シートを軟化させないことが認められる。 【0030】 (比較例3及び実施例4〜5) 表3に示した比較例3及び実施例4〜5に示す処方に基づき、ジフェンヒドラミン塩酸塩以外の各成分をビーカーに量り取り、約70〜80℃の湯せんで加温溶解し、冷後ジフェンヒドラミン塩酸塩を加え、均一に攪拌混和したものに、内容物として中鎖脂肪酸トリグリセリドを封入した軟カプセル(基剤としてゼラチン、グリセリンを使用)を入れ、それを恒温槽(40℃)に入れ1ヶ月後に軟カプセルの状態を評価した。 【0031】 【表3】
【0032】 表3に示す如く、軟カプセルの経時変化についてみると、比較例3は着色(不均一な黄色)があり、実施例4〜5はない。ジフェンヒドラミン塩にビニルピロリドンの架橋重合物を添加したものが、軟カプセルの皮膜を着色させないことが認められる。 【0033】 (比較例4及び実施例6〜7) 表4に示した比較例4及び実施例6〜7に示す処方に基づき、ジフェンヒドラミン塩以外の各成分をアジホモミクサーM型(特殊機化工業(株)製)に量り取り、約80℃で加温溶解し、冷後ジフェンヒドラミン塩を加え、−0.05MPa以下に減圧しながら均一に攪拌混和したものをソフトカプセル充填機(富士カプセル(株)製)を用い軟カプセル剤を得、それを恒温恒湿庫(40℃、75%RH)に入れ3ヶ月後に評価した。 【0034】 【表4】
【0035】 表4に示す如く、軟カプセル剤中のジフェンヒドラミン塩酸塩の含量(重量)の経時変化についてみると、軟カプセル剤の恒温恒湿庫への投入開始(表4の「開始」)から3ヶ月経過(表4の「3ヶ月」)により、比較例4の減量は多量であり、実施例6の減量は少量である。また、カプセルの状態は3ヶ月経過(表4の「3ヶ月」)により、比較例4は皮膜の軟化、カプセル漏れ、皮膜の着色の発生があり、実施例6〜7では皮膜の軟化、カプセル漏れ、皮膜の着色の発生がない。本発明の適用により、ジフェンヒドラミン塩酸塩の劣化を抑制でき、かつ皮膜の軟化、カプセル漏れ、皮膜の着色の発生を防ぐことが認められる。 【0036】 (比較例5及び実施例8) 表5に示した比較例5及び実施例8に示す処方に基づき、ベンフォチアミン、有効成分(X)以外の各成分をアジホモミクサーM型(特殊機化工業(株)製)に量り取り、約80℃で加温溶解し、冷後ベンフォチアミン、有効成分(X)を加え、−0.05MPa以下に減圧しながら均一に攪拌混和したものをソフトカプセル充填機(富士カプセル(株)製)を用い軟カプセル剤を得、それを恒温恒湿庫(40℃、75%RH)に入れ6ヶ月後に評価した。 【0037】 【表5】
【0038】 (有効成分(X)) 有効成分(X)は本例では、リボフラビン酪酸エステル、ピリドキシン塩酸塩、d−α−トコフェノール、γ−オリザノール、加工大蒜、シアノコバラミンの6成分からなる混合物である。本実施例が適用される軟カプセル剤等のカプセル剤に充填できる有効成分(X)は、上述の6成分に限らず、dl−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロール酢酸エステル等のビタミンEエステル類、リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム、リン酸ピリドキサール、ヒドロキソコバラミン、ヒドロキソコバラミン酢酸塩、ヒドロキソコバラミン塩酸塩等であっても良く、またそれらの混合物に限らず、それらの単一成分からなるものでも良い。 【0039】 表5に示す如く、軟カプセル剤中のベンフォチアミンの含量(重量)の経時変化についてみると、軟カプセル剤の恒温恒湿庫への投入開始(表5の「開始」)から6ヶ月経過(表5の「6ヶ月」)により、比較例5の減量は多量であり、実施例8の減量は少量である。本発明の適用により、ビニルピロリドンの架橋重合物を添加することによりベンフォチアミンの劣化を抑制できたことが認められる。 【0040】 (比較例6及び実施例9〜10) 表6に示した比較例6及び実施例9〜10に示す処方に基づき、ベンフォチアミン、有効成分(X)以外の各成分をアジホモミクサーM型(特殊機化工業(株)製)に量り取り、約80℃で加温溶解し、冷後ベンフォチアミン、有効成分(X)を加え、−0.05MPa以下に減圧しながら均一に攪拌混和したものをソフトカプセル充填機(富士カプセル(株)製)を用い軟カプセル剤を得、それを恒温恒湿庫(40℃、75%RH)に入れ1ヶ月、6ヶ月後に評価した。 【0041】 (有効成分(X)) 有効成分(X)は表5におけると同一であり、本例では表5におけると同様の6成分からなる混合物である。ビニルピロリドンの架橋重合物(S)は粒子径が約10μmであり、ビニルピロリドンの架橋重合物(L)は粒子径が約100μmである。 【0042】 【表6】
【0043】 表6に示す如く、軟カプセル剤中のベンフォチアミンの含量(重量)の経時変化についてみると、軟カプセル剤の恒温恒湿庫への投入開始(表6の「開始」)から1ヶ月経過(表6の「1ヶ月」)、6ヶ月経過(表6の「6ヶ月」)により、比較例6の減量は多量であり、実施例9及び実施例10の減量は少量であり、更に実施例9よりも実施例10の減量が少量である。本実施例により、粒子径大のビニルピロリドンの架橋重合物を添加することによりベンフォチアミンの劣化をより抑制できたことが認められる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】391010976 【氏名又は名称】富士カプセル株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年10月17日(2006.10.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081385 【弁理士】 【氏名又は名称】塩川 修治
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| 【公開番号】 |
特開2008−37855(P2008−37855A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月21日(2008.2.21) |
| 【出願番号】 |
特願2006−283111(P2006−283111) |
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