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【発明の名称】 表面処理粉体の製造方法
【発明者】 【氏名】金丸 哲也

【氏名】大野 和久

【氏名】山下 尚義

【要約】 【課題】シリコーン被覆粉体における水素発生を抑制し得る、あるいはアルコキシ基の反応(架橋)を十分に行う手段を確立すること。

【構成】Si-H基を1つ以上有するシリコーン化合物や、特定のアルコキシシランが被覆又は表面吸着されている粉体粒子を、炭化珪素粒子と接触させた状態にて、マイクロ波による加熱を行うことにより、所望するシリコーン処理粉体を得ることが可能であることを見出した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)〜(4)から選ばれる有機珪素化合物で表面処理されている粉体粒子を、炭化珪素粒子と接触させた状態にて、マイクロ波による加熱を行うことを特徴とする、表面処理粉体の製造方法。
(1) Si-H基を1つ以上有するシリコーン化合物
(2) (1)のシリコーン化合物と、Si-H基を有していないシリコーン化合物との混合物
(3) 下記一般式(II)にて表されるアルコキシシラン:
Si(OR’)4−n (II)
[式中、Rは、炭素原子数1〜18の直鎖若しくは分岐のアルキル基、フェニル基、又は、水素原子を表し、R’は、炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は、炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐のヒドロキシアルキル基を表し、nは、1〜3の数を表す]
(4) 下記一般式(III)に表される分岐型シリコーン:
MeSiO‐(RMeSiO)a-(RMeSiO)b-(RMeSiO)c-
(RMeSiO)d-SiMe (III)
(式中、R 及びR は炭素数1〜8のアルキル基を示す。R 及びR の炭素数は同じであっても異なっても構わない。a、bは、整数であり、0≦a+b≦1000である。また、c、dは、整数であり、1≦c、d≦1000である。R は下記式(IV);
−CHCH(RMeSiO)e-(R6MeSiO)f-SiMe (IV)
を示す。式中、R及びRは炭素数1〜8のアルキル基を示す。R及びRの炭素数は同じであっても異なっても構わない。e、fは、整数であり、1≦e+f≦1000である。Rは−H、もしくは下記式(V);−CH−CH−Si−(OR・・・・・(V)を示す。式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基を示す。)に表される分岐型シリコーン
【請求項2】
前記製造方法において、炭化珪素粒子が球状粒子であり、かつ、その平均粒子径が100μm〜1cmであることを特徴とする、請求項1記載の表面処理粉体の製造方法。
【請求項3】
前記製造方法において、有機珪素化合物で表面処理されている粉体の核粒子の平均粒子径が1nm〜150μmであることを特徴とする、請求項1又は2記載の表面処理粉体の製造方法。
【請求項4】
前記製造方法において、有機珪素化合物で表面処理されている粉体粒子と炭化珪素粒子が、両粒子の混合物として接触しており、かつ、当該混合物における表面処理粉体粒子と炭化珪素粒子の混合比が、1:10〜2:1(質量比)の範囲であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理粉体の製造方法。
【請求項5】
前記製造方法において、(1)及び(2)における、Si-H基を有する有機珪素化合物(1)が、下記一般式(I):
(RHSiO)(RSiO)(RSiO1/2 (I)
[式中、R、R及びRは互いに独立に水素原子であるか、又は、少なくとも1個のハロゲン原子で置換可能な炭素原子数1〜10の炭化水素基であり(但し、R、R及びRが同時に水素原子であることはない);R、R及びRは互いに独立に水素原子であるか、又は、少なくとも1個のハロゲン原子で置換可能な炭素原子数1〜10の炭化水素基であり;aは、1以上の整数であり、bは、0又は1以上の整数であり、cは、0又は2であり(但し、2≦a+b+c≦10000である);そしてこの化合物(I)はSi−H基部分を少なくとも1個含むものとする]
にて表されるシリコーン化合物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理粉体の製造方法。
【請求項6】
前記製造方法において、有機珪素化合物(I)が、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体、又は、テトラメチルシクロテトラシロキサンであることを特徴とする、請求項5記載の表面処理粉体の製造方法。
【請求項7】
前記製造方法において、アルコキシシラン(II)が、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、又は、オクタデシルトリエトキシシランであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理粉体の製造方法。
【請求項8】
前記製造方法において、分岐型シリコーン(III)が、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコンであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理粉体の製造方法。
【請求項9】
前記製造方法において、有機珪素化合物(1)〜(4)で表面処理する対象となる粉体粒子が、有機系粉体及び無機系粉体から選ばれる粉体粒子、あるいは、当該有機系粉体及び無機系粉体の複合化粉体粒子であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の表面処理粉体の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の表面処理粉体の製造方法にて製造された処理粉体を含有することを特徴とする、外用組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料等の外用組成物に配合するのに好適な表面処理粉体の製造方法に関する発明である。本発明の製造方法にて製造された表面処理粉体は、安全面、品質保持面等、さらには製造効率(省エネルギー)の観点でも非常に有用である。
【背景技術】
【0002】
従来から粉体の疎水化に関しては多くの方法が知られており、シリコーンオイルの疎水特性を利用して、例えば、疎水性基を持つシランカップリング剤を用いて処理することが知られている(特開平1−90111号公報:特許文献1、特許3014219号公報:特許文献2、特開平11−148028号公報:特許文献3、特開平8−92052号公報:特許文献4等)。
【0003】
上記疎水化処理に用いられるシリコーン化合物とは、分子中にオルガノハイドロジェンポリシロキサンを有し、場合によりジオルガノポリシロキサンも分子中に併せ有するもの、アルコキシシリル基を有するもの、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとジオルガノポリシロキサンの混合物等である。これらが粉体粒子表面に被覆されると粉体粒子の表面活性の影響を受けて、オルガノハイドロジェンポリシロキサン分子のSi−H基結合部分あるいはSi−OR基結合部分が空気中の水分等と反応し、さらに生成したSi−OH基が隣り合う他の分子のSi−H基またはSi−OR基と、あるいはSi−OH基同士が反応し、架橋・重合が進行してシリコーン膜が形成されると考えられる。一方、シランカップリング剤についてもほぼ同様で、Si−OR基部分が加水分解してSi−OH基が生成し、さらにそれらが隣り合う他の分子とシロキサン結合を形成し、又は、粉体粒子表面のOH基と直接結合を形成することで、シリコーン被覆粉体が得られることが知られている。
【0004】
しかしながら、通常行われている方法、すなわちオルガノハイドロジェンポリシロキサンを粉体表面に被覆後、空気中における150〜200℃程度の加熱処理では、分子同士の架橋反応はある程度進行するものの残存Si−H基は完全にはなくならないことが知られている。一方、500℃以上の加熱ではシリコーンが燃焼し始め、シリカに変換されることが知られている(特開平11−199458号公報:特許文献5)。
【0005】
シリコーン被覆粉体は、その性質上、化粧料等の外用組成物に配合されることが多いが、当該粉体において残存するSi−H基やSi−OR基(Rは炭素数1〜4のアルキル基等)は、中・長期間のうちに空気中の水分やメーキャップ製品中の水分、アルコール、アミン等と反応し水素またはアルコールを発生を起こすことが知られている。この現象により、例えば、化粧品等の外用組成物の製造工程中での水素発生による危険性や、製品容器に充填後の経時での容器の膨張や製品の硬化・ひび割れが起こり、問題が生じる可能性が認識されている。また、この水素やアルコール発生に際して新たなシロキサン結合が形成される場合もあり、その結果、特にファンデーションのような粉末固形製品等では、いわゆるケーキングに似た現象が起き、使用し難いといったことも認識されている。
【特許文献1】特開平1−90111号公報
【特許文献2】特許第3014219号公報
【特許文献3】特開平11−148028号公報
【特許文献4】特開平8−92052号公報
【特許文献5】特開平11−199458号公報
【特許文献6】特開昭63−113081号
【特許文献7】特開平8−192101号公報
【特許文献8】特公昭56−43264号公報
【特許文献9】特開平2001−262004号公報
【特許文献10】特公昭55−33617号公報
【特許文献11】特開平6−105668号公報
【特許文献12】特公昭57−42951号公報
【特許文献13】特公昭55−30865号公報
【特許文献14】特開平10−50473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決すべき課題は、上述のようなシリコーン被覆粉体における水素発生を抑制し得る、あるいはアルコキシ基の反応(架橋)を十分に行う手段を確立することにある。本発明者は、この手段として、マイクロ波加熱に着目した。
【0007】
すなわち、物質を温める場合、一般には温めたい物質をなんらかの容器に入れた後、容器の周囲からなんらかの熱源(ガス(火)、ヒーター、オイルあるいは水蒸気等)を供給して容器の外壁を温め、それにより徐々に温めたい物質に熱が伝わっていくことで加熱されていく形式が一般的である。これらの方法は、取り扱い上簡便であるが、外から徐々に加熱されていくために規模が大きくなるほど所定の温度まで加熱するのに時間を要し、エネルギー的に無駄があることと、長時間を要することで被加熱物質の劣化を伴う場合もある。
【0008】
一方、マイクロ波加熱は、急速な加熱が可能な方法として一般化しており、いわゆる電子レンジに代表される家電製品として既に実用化されている。工業分野においては、食品加工技術として応用した例(特許文献10、11)あるいはその装置(特許文献12、13、14)等、非常に多くの先行文献が認められる。
【0009】
しかしながら、化粧料等の外用組成物に配合されるシリコーン被覆粉体は、一般的に誘電率が低く、マイクロ波加熱を行っても容易には加熱され難いという特徴を有しており、その実現は非常に困難であると思われた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、このような状況にもかかわらず、さらに上記課題の解決に向けて鋭意検討を行った結果、マイクロ波加熱に対する加熱媒体として、炭化珪素粒子を用いることにより、効果的にシリコーン被覆粉体の加熱を行うことが可能であり、かつ、本発明の主要な課題である水素発生の低減効果やアルコキシ基の低減(臭い抑制)効果も著しいことを見いだし、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、下記(1)〜(4)から選ばれる有機珪素化合物で表面処理されている粉体粒子を、炭化珪素粒子と接触させた状態にて、マイクロ波による加熱を行うことを特徴とする、表面処理粉体の製造方法(以下、本製造方法ともいう)を提供する発明である。
【0012】
(1) Si-H基を1つ以上有するシリコーン化合物
【0013】
(2) (1)のシリコーン化合物と、Si-H基を有していないシリコーン化合物との混合物
【0014】
(3) 下記一般式(II)にて表されるアルコキシシラン:
【0015】
RnSi(OR’)4−n (II)
[式中、Rは、炭素原子数1〜18の直鎖若しくは分岐のアルキル基、フェニル基、又は、水素原子を表し、R’は、炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は、炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐のヒドロキシアルキル基を表し、nは、1〜3の数を表す]
(4) 下記一般式(III)に表される分岐型シリコーン:
【0016】
MeSiO‐(RMeSiO)a-(RMeSiO)b-(RMeSiO)c-
(RMeSiO)d-SiMe (III)
(式中、R 及びR は炭素数1〜8のアルキル基を示す。R 及びR の炭素数は同じであっても異なっても構わない。a、bは、整数であり、0≦a+b≦1000である。また、c、dは、整数であり、1≦c、d≦1000である。R は下記式(IV);
−CHCH(RMeSiO)e-(R6MeSiO)f-SiMe (IV)
を示す。式中、R及びRは炭素数1〜8のアルキル基を示す。R及びRの炭素数は同じであっても異なっても構わない。e、fは、整数であり、1≦e+f≦1000である。Rは−H、もしくは下記式(V);−CH−CH−Si−(OR・・・・・(V)を示す。式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基を示す。)に表される分岐型シリコーン
【発明の効果】
【0017】
本製造方法により製造される処理粉体は、表面処理を行う有機珪素化合物として、上記(1)〜(2)を用いた場合は、粉体に残存するSi-H基が効率的に消去され、(3)〜(4)を用いた場合には、同アルコキシ基が効率的に消去される。その結果、製品中における安定性に優れた疎水化処理粉体として用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
核粒子
本発明では、有機珪素化合物(1)〜(4)にて表面処理する対象となる粉体粒子を「核粒子」という。
【0019】
本発明で用いる核粒子の粒子径は、特に制限されるものではないが、一般に平均粒子径150μm以下(150μmより大きいものも含まれることがある)の任意に選択される種類の粉体粒子である。また、平均粒子径が0.02μm以下の超微粉体粒子を選択することも可能である(例えば、二酸化チタン粒子であれば、平均粒子径が0.001〜1μm程度であることが好適である)。
【0020】
上記核粒子の素材も特に制限されず、例えば、無機系粉体であれば、タルク、セリサイト、マイカ、無水ケイ酸、窒化ホウ素、合成マイカ、二酸化チタン、低次酸化チタン、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、赤酸化鉄、雲母チタン、雲母、黒酸化チタン、コンジョウ、グンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、酸化亜鉛、アルミニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ニッケル、チタン酸鉄、チタン酸コバルト、リチウムコバルトチタネート、アルミン酸コバルト、オキシ酸ビスマス、等が挙げられる。有機系粉体であれば、例えば、セルロース末、デンプン、シルク末、ナイロン末、ポリアクリル酸、アルキル末、ポリエチレン末、金属石鹸、ポリスチレン末、シリコーン末、弾性ゴム粉末、シリカアルミナ、魚鱗末、色素(タール系色素、レーキ:染料・顔料)が挙げられる。
【0021】
また、核粒子の形状は、特に限定されず、板状、球状、不定形、花びら状、中空構造等、様々な形状の核粒子を選択することが可能である。さらに、当該核粒子は、それ自体1種類の素材で構成されていてもよいが、2種類以上の素材が複合化していてもよい。なお、核粒子の「複合化」とは、2種類以上の素材が組み合わさって核粒子を構成している状態を意味するものであり、例えば、被覆、表面吸着、担持、焼結、積層等の態様での複合化が例示される。
【0022】
有機珪素化合物
上述した有機珪素化合物(1)〜(4)について説明する。
【0023】
(1) 有機珪素化合物(1)、すなわち、Si-H基を1つ以上有するシリコーン化合物は、この条件を満たす限り、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、下記式(I)で表されるシリコーン化合物を挙げることができる。
【0024】
(RHSiO)(RSiO)(RSiO1/2 (I)
[式中、R、R及びRは互いに独立に水素原子であるか、又は、少なくとも1個のハロゲン原子で置換可能な炭素原子数1〜10の炭化水素基であり(但し、R、R及びRが同時に水素原子であることはない);R、R及びRは互いに独立に水素原子であるか、又は、少なくとも1個のハロゲン原子で置換可能な炭素原子数1〜10の炭化水素基であり;aは、1以上の整数であり、bは、0又は1以上の整数であり、cは、0又は2であり(但し、2≦a+b+c≦10000である);そしてこの化合物(I)はSi−H基部分を少なくとも1個含むものとする]
【0025】
上記の定義のうち、「少なくとも1個のハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子)で置換可能な炭素原子数1〜10の炭化水素基」としては、例えば、同炭素原子数の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基、アラルキル基が挙げられる。
【0026】
シリコーン化合物(I)のさらなる具体例としては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体、又は、テトラメチルシクロテトラシロキサン等を挙げることができる。
【0027】
(2) 有機珪素化合物(2)、すなわち、上記有機珪素化合物(1)と、Si-H基を有していないシリコーン化合物との混合物のうち、「Si-H基を有していないシリコーン化合物」としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、アクリル酸アルキル・ジメチルポリシロキサンコポリマー等を挙げることができる。
【0028】
(3) 有機珪素化合物(3)は、上述したように、下記一般式(II)にて表されるアルコキシシランである。
【0029】
Si(OR’)4−n (II)
[式中、Rは、炭素原子数1〜18の直鎖若しくは分岐のアルキル基、フェニル基、又は、水素原子を表し、R’は、炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は、炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐のヒドロキシアルキル基を表し、nは、1〜3の数を表す]
【0030】
Rは、直鎖のアルキル基であることが好適であり、特に、炭素原子数が6以上であることが好適である。また、R’は、メチル基又はエチル基が好適である。nは、1であることが好適である。
【0031】
アルコキシシラン(II)のさらなる具体例としては、例えば、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシランを挙げることができる。
【0032】
(4) 有機珪素化合物(4)は、上述したように、下記一般式(III)に表される分岐型シリコーンである。
【0033】
MeSiO‐(RMeSiO)a-(RMeSiO)b-(RMeSiO)c-
(RMeSiO)d-SiMe (III)
(式中、R 及びR は炭素数1〜8のアルキル基を示す。R 及びR の炭素数は同じであっても異なっても構わない。a、bは、整数であり、0≦a+b≦1000である。また、c、dは、整数であり、1≦c、d≦1000である。R は下記式(IV);
−CHCH(RMeSiO)e-(R6MeSiO)f-SiMe (IV)
を示す。式中、R及びRは炭素数1〜8のアルキル基を示す。R及びRの炭素数は同じであっても異なっても構わない。e、fは、整数であり、1≦e+f≦1000である。Rは−H、もしくは下記式(V);−CH−CH−Si−(OR・・・・・(V)を示す。式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
【0034】
分岐型シリコーン(III)のさらなる具体例としては、例えば、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコンを挙げることが出来る。
【0035】
有機珪素化合物による表面処理
核粒子に対する上記有機珪素化合物(1)〜(4)による表面処理は、常法に従って行うことができる。すなわち、有機珪素化合物(1)〜(4)を、それ自体の蒸気の形態、適当な溶媒に溶かした溶液の形態、またはそれ自体の液体の形態で、核粒子と接触させることにより、シリコーンの表面処理粉体を製造することができる。
【0036】
有機珪素化合物(1)〜(4)を、蒸気の形態で核粒子と接触させる場合、特別な装置は必要なく、例えば、環状オルガノシロキサンと核粒子を、密閉された空間にて別々の容器に入れて上部を開放しておくか、あるいは、気化した有機珪素化合物(1)〜(4)をキャリアガスと混合して、核粒子を装入してある部屋に導入すること等で行うことができる。
【0037】
有機珪素化合物(1)〜(4)を、それ自体の液体の形態で直接核粒子と接触させる場合、適切な混合機、例えば、回転ボールミル、振動式ボールミル、遊星型ボールミル、サンドミル、アトライター、バグミル、ポニミキサー、プラネタリーミキサー、らいかい機、ヘンシェルミキサー等にて、当該有機珪素化合物と核粒子の接触を行い、核粒子を有機珪素化合物にて表面処理することができる。
【0038】
有機珪素化合物(1)〜(4)を、溶液として核粒子と接触させる場合、例えば、アルコール類、水、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の溶媒中に、当該有機珪素化合物を0.3〜50重量%を含有する溶液を調製し、その中に核粒子を分散後加熱して、溶媒を蒸発させると共に有機珪素化合物を、核粒子の表面上で重合させることにより処理可能であり、かかる工程は、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー、ニーダー、媒体攪拌ミル(ビーズミル等)等を用いて行うことができる。
【0039】
なお、粉体(核粒子からなる)に対する有機珪素化合物(1)〜(4)の質量は、特に限定されるものではないが、概ね、粉体質量に対して当該有機珪素化合物が0.5〜20質量%程度であり、好適には、同1〜15質量%程度である。
【0040】
炭化珪素粒子
特に粒状の炭化珪素(SiC)は、マイクロ波を吸収して発熱する高温発熱体として知られている(特許文献14)。しかしながら、本製造方法、すなわち、有機珪素化合物(1)〜(4)にて表面処理した粉体と、粒状の炭化珪素を接触させた状態で、マイクロ波加熱を行うことにより得られる被加熱粉体が、水素発生が著しく抑制されるという特長を有していることについては、特許文献14には、記載も示唆もなされていない。
【0041】
炭化珪素粒子の大きさは、特に限定されないが、好ましくは平均粒子径で100μm〜10cm程度、さらに好ましくは300μm〜1cm程度である。当該平均粒子径が10cmより大きい場合は、被加熱物質であるシリコーン表面処理粉体粒子と、均一に混合された状態とすることや、加熱後に、篩分け等によりシリコーン表面処理粉体粒子を分離することが困難となり、一方、100μmより小さい場合は、加熱後に、炭化珪素粒子とシリコーン表面処理粒子とを分離することが難しくなる。また、炭化珪素粒子の形状は特に限定されないが、球状が好適である。
【0042】
本製造方法
本製造方法は、上述のように、シリコーン[有機珪素化合物(1)〜(3)]で表面処理されている粉体粒子を、炭化珪素粒子と接触させた状態にて、マイクロ波による加熱を行うことにより行われる。
【0043】
シリコーン表面処理粒子と炭化珪素粒子は、よく混合して両者が可能な限り接触した状態とすることが好適である。当該混合物におけるシリコーン表面処理粉体粒子と炭化珪素粒子の混合比は、十分に両粒子が接触する混合比であれば特に限定されない。具体的には、1:10〜2:1(質量比)の範囲であることが一般的に好適である。セラミックス等の電子レンジにかけることが可能な素材の容器に、当該混合物を入れて、これに対してマイクロ波を照射して加熱するのみで、本製造方法を行うことができる。
【0044】
マイクロ波の照射方法は、家庭用又は業務用に市販されている電子レンジ、あるいは、マイクロ波反応装置(例えば、四国計測工業(株)製)等にて行うことが可能である。外部に電磁波が漏洩しないことは勿論のこと、マイクロ波の出力や被加熱物質の温度を測定できることが好適である。照射強度は、100W程度〜800W程度まで自由に選択可能であるが、加熱効率と最終的なシリコーン表面処理粉体の品質を考慮すると、300W〜 600W程度が好適である。照射時間は、照射強度に依存し、照射強度が強くなり設定温度が低くなれば短時間であり、照射強度が弱くなれば長時間となる。設定温度としては、有機珪素化合物(1)(2)での表面処理粉体には、250〜500℃程度、好適には、280〜450℃程度であり、有機珪素化合物(3)(4)での表面処理粉体には、80〜180℃程度、好適には、100〜150℃程度である。これらの設定温度に達するまでの時間を含んだ加熱時間は、概ね、15〜120分程度が、好適には20〜60分好適である。
【0045】
このようなマイクロ波加熱過程を行った、シリコーン表面処理粉体粒子と炭化珪素粒子の混合物を、公知の分離方法、例えば、両者の平均粒子径の差異に着目した篩分け等により、両者を分離し、所望する加熱処理済みのシリコーン表面処理粉体粒子を得ることができる。このようにして得られた加熱処理済みのシリコーン表面処理粉体粒子は、驚くべきことに、他の方法で加熱処理をしたものと比べても水素の発生率が著しく抑制されており、例えば、化粧料等の外用組成物に配合する場合、安全性と品質安定性の両面において非常に優れたものとなる。
【0046】
処理粉体の使用態様
上述したように、本製造方法により得られる処理粉体には、従来の有機珪素化合物による表面処理粉体には認められない、安全上及び品質管理上の利点を有しており、これを、例えば、化粧品等の外用組成物、医薬品、洗剤、顔料、塗料等として用いることが可能である。これらの応用分野の中でも、特に、化粧品等の外用組成物の配合成分として本処理粉体を用いることにより、本処理粉体の優れた特性を十分に活用することが可能である。
【0047】
すなわち、本発明は、本製造方法にて製造される処理粉体を含有する外用組成物(以下、本外用組成物ともいう)を提供する発明でもある。
【0048】
本外用組成物が採り得る形態は特に限定されず、例えば、粉末化粧品(固形化粧品を含む)、油性化粧品、乳化化粧品、分散化粧品等に用いることができる。
【0049】
本外用組成物は、所望する形態に応じた既に公知の方法にて製造することができる。粉末化粧品、例えば、固形ファンデーション、プレストパウダー、粉おしろい、ボディパウダー等の場合には、概ね、本製造方法にて製造された処理粉体を含めた粉体成分を組成物の80質量%以上、油分を20質量%以下程度の配合比で、常法にて製造することができる。また、乳化化粧品、例えば、乳化ファンデーション、紫外線防御スティック(乳化タイプ)、乳化口紅、乳化サンスクリーン(油中水型であっても水中油型であってもよい)の場合には、概ね、粉体成分を組成物の5〜55質量%、油分を10〜70質量%、水分又は溶剤を5〜80質量%程度の配合比で、常法にて製造することができる。油性化粧品、例えば、油性口紅、紫外線防御スティック(油性タイプ)、油性サンスクリーン等の場合には、概ね、粉体成分を組成物の60質量%以下、油分を40質量%以上程度の配合比で、常法にて製造することができる。また、分散化粧品、例えば、水おしろいや、被膜剤を用いたマスカラ、アイライナー、ネイルカラー等の場合には、概ね、粉体成分を組成物の10〜30質量%、油分を0〜10質量%、水又は溶媒を70〜90質量%程度の配合比で、常法にて製造することができる。
【実施例】
【0050】
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明の範囲はこれら実施例によってなんら限定されるものでない。
【0051】
1.試験方法
(1)水素ガス発生量
水素ガス発生量の測定は、ガスビュレット法により行った。すなわち、三つ口フラスコに試験対象の処理粉体2gとアルコール約40mLを入れ、閉鎖系にて10%NaOH水
溶液を約1mL滴下することで水素ガスを発生させ、1g当たりの水素発生量(mL)を算出した。水素ガス発生量が少ないことは、試験対象の粉体における残存Si−H基が少ないことを意味しており、当該発生量は少ない方が好ましい。
【0052】
(2)撥水性(水に対する接触角)
IR用錠剤成型機(直径13mm)を用いて試験対象の処理粉体のペレットを作成し、協和界面科学製自動接触角計(CA−Z型)を用いて、水に対する接触角を測定した(3回測定の平均値)。上述したように、水に対する接触角は、試験対象の粉体における撥水性の指標であり、当該接触角が大きい方が、撥水性が高く、通常は好適である。
【0053】
(3)臭い判定
処理粉体を官能試験により臭いを判定した。すなわち、6名のパネラーによる、試験対象となる処理粉体の臭いの判定を、下記の基準にて行った。
【0054】
判定基準
○: 6名中、5名以上のパネラーが、臭いは全くしない、またはほとんどない、と評価した。
×:上記○判定に評価が及ばなかった。
【0055】
2.処理粉体の製造
[実施例1] 有機珪素化合物(1)を表面処理して得られる粉体の処理例
平均粒子径が0.1μm以上の粉体粒子から、有機珪素化合物(1)を用いて本処理粉体を製造すべく、下記の工程を行った。
【0056】
実施例1−1
マイカ(平均粒子径:4μm)97質量部と、メチルハイドロジェンポリシロキサン3質量部をヘキサン10mLに溶かした溶液をヘンシェルミキサーに入れ、室温で3分攪拌・混合した後、さらに減圧しながら攪拌することで溶媒であるヘキサンを蒸発させて得られたシリコーン表面処理マイカ50g中に、炭化珪素粒子(平均粒子径1mm)50gを混合・分散した後、フッ素樹脂製カップ中に入れた状態として、四国計測工業(株)製マイクロ波照射装置内にセットし、600Wの高周波出力で400℃に設定で、当該設定温度に到達後(以下、実施例と比較例におけるシリコーン表面処理粉末の加熱時間は、特に断らない限り、設定温度に達してからの時間とする)、30分加熱したところ、得られた処理粉体から発生する水素量が0.2mL/gと低く、かつ十分な撥水性を示し、上記の臭い判定において○の評価を得た。
【0057】
実施例1−2
実施例1−1のマイカを二酸化チタン粉末(平均粒子径:0.5μm)に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0058】
実施例1−3
実施例1−1のマイカをシリカ粉末(平均粒子径:5μm)に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0059】
実施例1−4
実施例1−1のマイカをタルク(平均粒子径:15μm)に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0060】
実施例1−5
実施例1−1のマイカを亜鉛華(平均粒子径:0.5μm)に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0061】
実施例1−6
実施例1−1のマイカを雲母チタン粉末(平均粒子径:20μm)に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0062】
実施例1−7
実施例1−1のマイカをベンガラ(平均粒子径:0.4μm)に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0063】
実施例1−8
実施例1−1のマイカを硫酸バリウム粉末(平均粒子径:10μm)に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0064】
実施例1−9
実施例1−1のマイカを酸化チタン/酸化鉄複合体粉末(平均粒子径:8μm)に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0065】
実施例1−10
実施例1−1のマイカをベンガラ被覆雲母チタン粉末(平均粒子径:30μm)に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0066】
実施例1−11
実施例1−1のマイカを架橋ポリシロキサンエラストマー粉末(平均粒子径:5μm)に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0067】
実施例1−12
実施例1−1のマイカをシリコーンレジン被覆/架橋ポリシロキサンエラストマー粉末(平均粒子径:5μm)に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0068】
実施例1−13
実施例1−1のマイカをポリメチルシルセスキオキサン粉末(平均粒子径:5μm
)に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0069】
実施例1−14
実施例1−1のマイカを窒化ホウ素粉末(平均粒子径:20μm)に代えて同様の
処理を行い、処理粉体を得た。
【0070】
実施例1−15
実施例1−1のマイカを酸化セリウム粉末(平均粒子径:0.6μm)に代えて同
様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0071】
実施例1−16
実施例1−1のマイカを酸化クロム粉末(平均粒子径:0.5μm)に代えて同様
の処理を行い、処理粉体を得た。
【0072】
実施例1−17
実施例1−1のマイカをアルミナ粉末(平均粒子径:0.3μm)に代えて同様の
処理を行い、処理粉体を得た。
【0073】
実施例1−18
実施例1−1のマイカをオキシ塩化ビスマス粉末(平均粒子径:3μm)に代えて
同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0074】
実施例1−19
実施例1−1のマイカをセリサイト(平均粒子径:4μm)に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0075】
比較例1−1〜19
実施例1において、マイクロ波加熱する代わりに、電気炉にて350〜400℃で30分加熱した以外は、実施例1と同様の操作を行い、処理粉体を得た。
【0076】
[実施例2] 有機珪素化合物(3)にて表面処理して得られる粉体の処理例
平均粒子径が0.1μm以上の粉体粒子から、有機珪素化合物(3)を用いて処理粉体を製造すべく、下記の工程を行った。
【0077】
実施例2−1
セリサイト(平均粒子径:4μm)97質量部と、オクチルトリエトキシシラン3質量部をヘキサン10mLに溶かした溶液をヘンシェルミキサーに入れ、室温で3分攪拌・混合した後、さらに減圧しながら攪拌することで溶媒であるヘキサンを蒸発させて得られたシリコーン表面処理セリサイト50g中に、炭化珪素粒子(平均粒子径1mm)50gを混合・分散した後、フッ素樹脂製カップ中に入れた状態として、四国計測工業(株)製マイクロ波照射装置内にセットし、300Wの出力で150℃に設定で30分加熱したところ、十分な撥水性を示し、上記の臭い判定において○の評価を得た。
【0078】
実施例2−2
実施例2−1のセリサイトを二酸化チタン粉末(平均粒子径:0.5μm)に代えて同
様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0079】
実施例2−3
実施例2−1のセリサイトをシリカ粉末(平均粒子径:5μm)に代えて同様の処理を
行い、処理粉体を得た。
【0080】
実施例2−4
実施例2−1のセリサイトをタルク(平均粒子径:15μm)に代えて同様の処理を行
い、処理粉体を得た。
【0081】
実施例2−5
実施例2−1のセリサイトを亜鉛華(平均粒子径:0.5μm)に代えて同様の処理を
行い、処理粉体を得た。
【0082】
実施例2−6
実施例2−1のセリサイトを雲母チタン粉末(平均粒子径:20μm)に代えて同様の
処理を行い、処理粉体を得た。
【0083】
実施例2−7
実施例2−1のセリサイトをベンガラ(平均粒子径:0.4μm)に代えて同様の処理
を行い、処理粉体を得た。
【0084】
実施例2−8
実施例2−1のセリサイトを硫酸バリウム粉末(平均粒子径:10μm)に代えて同様
の処理を行い、処理粉体を得た。
【0085】
実施例2−9
実施例2−1のセリサイトを酸化チタン/酸化鉄複合体粉末(平均粒子径:8μm)に
代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0086】
実施例2−10
実施例2−1のセリサイトをベンガラ被覆雲母チタン粉末(平均粒子径:30μm)に
代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0087】
実施例2−11
実施例2−1のセリサイトを架橋ポリシロキサンエラストマー粉末(平均粒子径:5μm)に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0088】
実施例2−12
実施例2−1のセリサイトをシリコーンレジン被覆/架橋ポリシロキサンエラストマー粉末(平均粒子径:5μm)に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0089】
実施例2−13
実施例2−1のセリサイトをポリメチルシルセスキオキサン粉末(平均粒子径:5μm
)に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0090】
実施例2−14
実施例2−1のセリサイトを窒化ホウ素粉末(平均粒子径:20μm)に代えて同様の
処理を行い、処理粉体を得た。
【0091】
実施例2−15
実施例2−1のセリサイトを酸化セリウム粉末(平均粒子径:0.6μm)に代えて同
様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0092】
実施例2−16
実施例2−1のセリサイトを酸化クロム粉末(平均粒子径:0.5μm)に代えて同様
の処理を行い、処理粉体を得た。
【0093】
実施例2−17
実施例2−1のセリサイトをアルミナ粉末(平均粒子径:0.3μm)に代えて同様の
処理を行い、処理粉体を得た。
【0094】
実施例2−18
実施例2−1のセリサイトをオキシ塩化ビスマス粉末(平均粒子径:3μm)に代えて
同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0095】
実施例2−19
実施例1−1のマイカをセリサイト(平均粒子径:4μm)に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0096】
比較例2−1〜19
実施例2−1〜19において、マイクロ波加熱の代わりに通常の電気オーブンにて30分加熱(150℃に設定)したところ、撥水性は示したが、臭いが残った。
【0097】
[実施例3] 有機珪素化合物(4)にて表面処理して得られる粉体の処理例
平均粒子径が0.1μm以上の粉体粒子から、有機珪素化合物(4)を用いて処理粉体を製造すべく、下記の工程を行った。
【0098】
実施例3−1
セリサイト(平均粒子径:4μm)97質量部と、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(信越化学工業製:KF9909)3質量部をヘキサン10mLに溶かした溶液をヘンシェルミキサーに入れ、室温で3分攪拌・混合した後、さらに減圧しながら攪拌することで溶媒であるヘキサンを蒸発させて得られたシリコーン表面処理セリサイト50g中に、炭化珪素粒子(平均粒子径1mm)50gを混合・分散した後、フッ素樹脂製カップ中に入れた状態として、四国計測工業(株)製マイクロ波照射装置内にセットし、300Wの出力で150℃に設定で30分加熱したところ、十分な撥水性を示した。
【0099】
実施例3−2
実施例2−1のセリサイトを二酸化チタン粉末(平均粒子径:0.5μm)に代えて同
様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0100】
実施例3−3
実施例3−1のセリサイトをシリカ粉末(平均粒子径:5μm)に代えて同様の処理を
行い、処理粉体を得た。
【0101】
実施例3−4
実施例3−1のセリサイトをタルク(平均粒子径:15μm)に代えて同様の処理を行
い、処理粉体を得た。
【0102】
実施例3−5
実施例3−1のセリサイトを亜鉛華(平均粒子径:0.5μm)に代えて同様の処理を
行い、処理粉体を得た。
【0103】
実施例3−6
実施例3−1のセリサイトを雲母チタン粉末(平均粒子径:20μm)に代えて同様の
処理を行い、処理粉体を得た。
【0104】
実施例3−7
実施例3−1のセリサイトをベンガラ(平均粒子径:0.4μm)に代えて同様の処理
を行い、処理粉体を得た。
【0105】
実施例3−8
実施例3−1のセリサイトを硫酸バリウム粉末(平均粒子径:10μm)に代えて同様
の処理を行い、処理粉体を得た。
【0106】
実施例3−9
実施例3−1のセリサイトを酸化チタン/酸化鉄複合体粉末(平均粒子径:8μm)に
代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0107】
実施例3−10
実施例3−1のセリサイトをベンガラ被覆雲母チタン粉末(平均粒子径:30μm)に
代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0108】
実施例3−11
実施例3−1のセリサイトを架橋ポリシロキサンエラストマー粉末(平均粒子径:5μm)に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0109】
実施例3−12
実施例3−1のセリサイトをシリコーンレジン被覆/架橋ポリシロキサンエラストマー粉末(平均粒子径:5μm)に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0110】
実施例3−13
実施例3−1のセリサイトをポリメチルシルセスキオキサン粉末(平均粒子径:5μm
)に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0111】
実施例3−14
実施例3−1のセリサイトを窒化ホウ素粉末(平均粒子径:20μm)に代えて同様の
処理を行い、処理粉体を得た。
【0112】
実施例3−15
実施例3−1のセリサイトを酸化セリウム粉末(平均粒子径:0.6μm)に代えて同
様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0113】
実施例3−16
実施例3−1のセリサイトを酸化クロム粉末(平均粒子径:0.5μm)に代えて同様
の処理を行い、処理粉体を得た。
【0114】
実施例3−17
実施例3−1のセリサイトをアルミナ粉末(平均粒子径:0.3μm)に代えて同様の
処理を行い、処理粉体を得た。
【0115】
実施例3−18
実施例3−1のセリサイトをオキシ塩化ビスマス粉末(平均粒子径:3μm)に代えて
同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0116】
実施例3−19
実施例3−1のマイカをセリサイト(平均粒子径:4μm)に代えて同様の処理を行い、処理粉体を得た。
【0117】
比較例3−1〜19
実施例3−1〜19において、マイクロ波加熱する代わりに、通常のオーブンにて30分加熱(150℃に設定)したところ、撥水性は示したが、臭いが残った。
【0118】
【表1】


【0119】
表1から明らかなように、実施例1−1〜19の処理粉体は、水素発生がほとんどなく、撥水性も十分であった。比較例では加熱時間が短いためか、水素発生量が高かった。また、実施例については処理粉体の臭いについても優れていた。
【0120】
【表2】


【0121】
表2により明らかなように、実施例2−1〜19で得られた粉体は比較例2−1〜19で得られた粉体と比べて臭いがなく、かつ良好な撥水性を示す粉体であることが判明した。
【0122】
【表3】


【0123】
表3により明らかなように、実施例3−1〜19で得られた粉体は比較例3−1〜19で得られた粉体と比べて臭いがなく、かつ良好な撥水性を示す粉体であることが判明した。
【0124】
3.本外用組成物
本製造方法にて製造された処理粉体を配合した化粧料等の外用組成物(本外用組成物)についての処方例と製造例であり、これらの例についての試験を行った。
【0125】
(A)試験方法
(1)使用性評価
20名の女性パネラーにより、各種使用性(とれ、つき、のび、仕上り、透明感等)について、それぞれ評価した。
【0126】
<評価>
17名以上が良いと回答 ◎
12名〜16名が良いと回答 ○
9名〜11名が良いと回答 △
5名〜8名が良いと回答 ×
4名以下が良いと回答 ××
【0127】
(2)SPF(紫外線防止効果)の評価
Spectro Radiometer法によりin vitro SPF値を測定した。
【0128】
(3)経時的安定性評価
試験対象品を、密封容器にて50℃で1ヶ月保持後の使用性を、上記評価方法で評価し、さらに、その製品に求められる品質の安定性を検討した。
【0129】
[実施例4] 固型ファンデーション
(A)下記の処方と製法で、固型ファンデーションを調製した。
配合成分 配合量(質量%)
(1)実施例1−1の処理粉体 35.0
(2)実施例1−2の処理粉体 13.0
(3)実施例1−4の処理粉体 24.7
(4)実施例1−10の処理粉体 10.0
(5)実施例1−7の処理粉体 1.0
(6)実施例1−8の処理粉体 2.5
(7)実施例1−9の処理粉体 0.1
(8)流動パラフィン 8.0
(9)セスキオレイン酸ソルビタン 3.5
(10)グリセリン 2.0
(11)エチルパラベン 0.2
<製法>
上記成分(1)〜(7)を混合し、粉砕機で粉砕した。これを高速ブレンダーに移し、成分(10)を加えて混合した。これとは別に成分(8)、(9)及び(11)を混合し、均一にしたものを上記混合物に加えてさらに均一に混合した。これを粉砕機で処理し、ふるいを通し、粒度を整えた後、圧縮成形し、固型ファンデーションを得た。得られた固型ファンデーションは化粧持ちが良好であった。
【0130】
比較例4
実施例4の固型ファンデーション中の配合成分(1)〜(7)を、それぞれに対応する比較例1の各成分にすべて置換して、実施例5と同様に固型ファンデーションを調製した。
【0131】
比較例5
同様に、実施例4の固型ファンデーション中の配合成分(1)〜(7)を、それぞれに対応する比較例2の各成分にすべて置換して、実施例4と同様に固型ファンデーションを調製した。
【0132】
(B)上記の実施例4と比較例4〜5について、上記の経時的安定性評価を行った。結果を表4に示す。
【0133】
【表4】


【0134】
表4において示したように、実施例4、比較例4〜5は、両用タイプの固型ファンデーションとしての水使用でも問題なく塗布できた。しかしながら、実施例4はパクト面のひび割れが認められず、品質が経時的に安定していることが認められた。さらに、実施例4は、無賦香であるが、パクト面からの臭いも認められなかった。これに対して、比較例4〜5においては臭いが認められ、無賦香の製品としては十分ではないことが認められた。
【0135】
[実施例5] 乳化ファンデーション
(A)下記の処方と製法で、乳化ファンデーションを調製した。
配合成分 配合量(質量%)
(1)イオン交換水 43.5
コンドロイチン硫酸ナトリウム 1.0
1,3−ブチレングリコール 3.0
メチルパラベン 適量
(2)ジメチルポリシロキサン(20cs) 16.0
デカメチルシクロペンタシロキサン 5.0
シリコーン樹脂 1.0
セチルイソオクタネート 1.0
ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン 4.0
(変性率20%)
酸化防止剤 適量
香料 適量
(3)実施例1−8の処理粉体 1.0
実施例2−3の処理粉体 0.45
実施例2−4の処理粉体 0.2
実施例1−2の処理粉体 11.7
実施例1−1の処理粉体 9.65
実施例2−7の処理粉体 2.0
<製法>
成分(2)を加熱溶解後、成分(3)の粉体を添加・分散した。さらに予め溶解・加熱しておいた成分(1)を添加・乳化し、室温まで冷却して乳化ファンデーションを得た。得られたファンデーションは化粧持ちが良好であった。
【0136】
比較例6
実施例5で調製した乳化ファンデーション中の配合成分(3)を、それぞれ対応する比較例1の各成分にすべて代えて実施例5と同様に乳化ファンデーションを調製した。
【0137】
比較例7
実施例5で調製した乳化ファンデーション中の配合成分(3)を、それぞれ対応する比較例2の各成分にすべて代えて実施例5と同様に乳化ファンデーションを調製した。
【0138】
(B)上記の実施例5と比較例6〜7について、上記の経時的安定性評価を行った。結果を表5に示す。
【0139】
【表5】


【0140】
表5から明らかなように、実施例5の乳化ファンデーションは、化粧持ちが良く、経時安定性にも優れていた。また、製剤における粉末由来と考えられる臭いは認められなかった。
【0141】
[実施例6] プレストパウダー
下記の処方と製法で、プレストパウダーを調製した。
配合成分 配合量(質量%)
(1)実施例1−5の処理粉体 30.0
(2)実施例1−4の処理粉体 65.8
(3)酸化鉄顔料 0.1
(4)スクワラン 2.0
(5)2−エチルへキシルパルミテート 2.0
(6)香料 0.1
<製法>
成分(1)、(2)及び(3)をヘンシェルミキサーで混合し、これに成分(4)及び(5)を加熱混合したものを吹き付け、混合後粉砕し、さらに(6)を加えた後、中皿に成型してプレストパウダーを得た。得られたプレストパウダーは保湿効果があり、化粧もちが良好で経時安定性にも優れていた(実施例5において行った評価方法による)。
【0142】
[実施例7] ボディパウダー
下記の処方と製法で、ボディーパウダーを調製した。
配合成分 配合量(質量%)
(1)実施例1−4の処理粉体 80.0
実施例1−6の処理粉体 10.0
着色顔料 適量
(2)実施例1−5の処理粉体 3.0
(3)ステアリン酸マグネシウム 4.0
流動パラフィン 1.0
殺菌剤 適量
(4)香料 適量
<製法>
成分(1)をブレンダーで混合し、これに成分(2)を添加してよく混合してから成分(3)を加え、調色した後、成分(4)を噴霧し均一に混ぜた。これを粉砕機で粉砕した後、ふるいを通すことによりボディパウダーを得た。得られたボディパウダーは、撥水性に優れていた(使用後、その上に水を噴霧した時の水弾きの様子を目視観察した)。
【0143】
[実施例8] 口紅
下記の処方と製法で、口紅を調製した。
配合成分 配合量(質量%)
(1)炭化水素ワックス 3.0
(2)カルナウバロウ 1.0
(3)グリセリルイソステアレート 40.0
(4)流動パラフィン 45.8
(5)実施例1−3の処理粉体 4.0
(6)実施例1−2及び1−7の混合処理粉体 6.0
(配合質量比1:1)
(7)香料 0.2
<製法>
成分(1)〜(4)を85℃で溶かし、その中に成分(5)、(6)を攪拌しながら加えた。次いで攪拌下、成分(7)を加え、これを容器に装入した。得られた口紅は、保湿効果に優れるものであった(水分蒸散量測定により評価)。
【0144】
[実施例9] 油中水型乳化サンスクリーン
(A)下記の処方と製法で、油中水型乳化サンスクリーンを調製した。
配合成分 配合量(質量%)
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 残余
ジメチルポリシロキサン 5.0
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 3.0
有機変性ベントナイト 1.0
(2)実施例3−2の処理粉体 4.0
実施例2−4の処理粉体 5.0
実施例3−4の処理粉体 16.0
シリコーン弾性粉末 3.0
香料 適量
酸化防止剤 適量
(3)イオン交換水 35.0
グリセリン 5.0
防腐剤 適量
<製法>
(1)相を加熱溶解した後、(2)相を添加し、ホモミキサーで均一に分散させた。それに(3)相を徐々に添加してよく攪拌し、ホモミキサーで均一に乳化後、攪拌冷却することにより油中水型乳化サンスクリーンを得た。得られたサンスクリーンは、下記に示す通り、SPFが大きく、日焼け止め効果に優れたものであった。
【0145】
比較例8
実施例9で調製した油中水型乳化サンスクリーン中、配合成分(2)の中の処理粉体部分を、各々の実施例の処理粉体に対応する比較例に全て代えて、実施例10と同様の要領で油中水型乳化サンスクリーンを調製した。
【0146】
実施例9及び比較例8の、50℃,1ヶ月後の使用性(のび、透明感)、耐水性、SPF及び経時安定性を比較した結果を表6に示す。
【0147】
【表6】


【0148】
実施例9及び比較例8のサンスクリーンは、いずれも良好な使用性・安定性及びSPFを示したが、比較例8のサンスクリーンは、粉末由来と思われる臭いがパネルによる官能評価の結果、認められた。
【出願人】 【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社資生堂
【出願日】 平成18年8月10日(2006.8.10)
【代理人】 【識別番号】100103160
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 光春


【公開番号】 特開2008−37846(P2008−37846A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−218146(P2006−218146)