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【発明の名称】 石鹸組成物
【発明者】 【氏名】杉野 正明

【要約】 【課題】使用時の泡立ちに優れ、きめ細かいクリーミィな泡質を有すると共に、適度なスクラブ感があり、使用感に優れた石鹸組成物の提供。

【構成】石鹸組成物は、平均粒径10〜100μmの結晶セルロースaと平均粒径140〜400μmの結晶セルロースbとの質量比が1/3〜2/1である混合結晶セルロース0.1〜5質量%と、脂肪酸塩95〜99.9質量%からなり、粒径500μm以上の結晶セルロースが0.5質量%以下である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径10〜100μmの結晶セルロースaと平均粒径140〜400μmの結晶セルロースbとの質量比が1/3〜2/1である混合結晶セルロース0.1〜5質量%と、脂肪酸塩95〜99.9質量%からなり、粒径500μm以上の結晶セルロースが0.5質量%以下である石鹸組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はスクラブ剤を含有する、身体用や洗顔用の石鹸組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スクラブ洗浄剤が注目されている。スクラブ洗浄剤とは、石鹸や洗浄剤にスクラブ剤を加えたものである。石鹸や洗浄剤(以下、単に「石鹸」とも言う。)中に存在するスクラブ剤は、洗浄時の泡立て作業や洗浄作業の際に、石鹸だけでは落ちない毛穴の汚れや古くなった角質層、皮脂分等を摩擦や擦ることによって取り除く効果のある固形状物である。石鹸を泡立てる際や洗浄作業の際に感じる、スクラブ剤由来のざらざらとしたザラツキ感のことをスクラブ感と言う。このスクラブ感が適度であれば良好な使用感が得られ、強い場合には不快感となることがある。
【0003】
スクラブ剤として植物系のものではモモ核、アンズ核、クルミ殻等の粉末、トウモロコシ穂軸や稲わら等の粉末、あるいはヘチマ、ヒマワリ、スイカ等の種子の粉末などがある。また、動物系のものでは骨粉や鶏卵殻粉末、貝殻粉末、エビやカニ等の甲殻類の粉末などが従来より用いられている。しかし、これらの水不溶性のスクラブ剤では、スクラブ感が強すぎる共に、泡立ちや泡質といった石鹸本来の持つ機能が低下する懸念があり、さらに鶏卵殻や甲殻類の粉砕品はアレルギーを起こす場合があった。スクラブ感の改善等を目的として、特許文献1には粒径100〜1000μmの多孔性球状セルロースを配合する技術が開示されている。
【0004】
しかしながら、この技術によればスクラブ感は改善されるものの、泡立ちの低下や泡質の悪化といった石鹸本来の性能が低下する問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開昭63−238008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、使用時の泡立ちに優れ、きめ細かいクリーミィな泡質を有すると共に、適度なスクラブ感があり、使用感に優れた石鹸組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明者が鋭意検討した結果、異なる平均粒径を有する二種の結晶セルロースを併用することによって上記日的を達成できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、平均粒径10〜100μmの結晶セルロースaと平均粒径140〜400μmの結晶セルロースbとの質量比が1/3〜2/1である混合結晶セルロース0.1〜5質量%と、脂肪酸塩95〜99.9質量%からなる石鹸組成物であって、粒径500μm以上の結晶セルロースが石鹸組成物中の0.5質量%以下である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の石鹸組成物は、使用時の泡立ちに優れ、きめ細かいクリーミィな泡質を有すると共に、適度なスクラブ感があり、使用感に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明の石鹸組成物は混合結晶セルロース0.1〜5質量%と、脂肪酸塩95〜99.9質量%からなる。混合結晶セルロースの量が0.1質量%未満では泡立ち、泡質、スクラブ感のいずれにも十分な効果が得られず、5質量%を超えて加えても添加量に見合った効果が得られず、経済的に不利である。
【0010】
混合結晶セルロースは平均粒径が異なる二種の結晶セルロースa,bから構成される。平均粒径が相対的に小さい方の結晶セルロースaは平均粒径が10〜100μmである。平均粒径が10μm未満では取り扱い性が悪くなるとともに、使用時の粉立ちが生じ易くなるので、作業環境が悪化し好ましくない。平均粒径が100μmを超えると、泡質改善効果とスクラブ感とのバランスを良好に保つことができない。
【0011】
平均粒径が相対的に大きい方の結晶セルロースbは平均粒径が140〜400μmであり、更に好ましくは140〜300μmである。平均粒径が400μmを超えると使用時のスクラブ感が強くなりすぎるので好ましくない。また、二種の結晶セルロースa,bは平均粒径の差が50μm以上であることが好ましく、これにより泡立ち、泡質およびスクラブ感のバランスが優れ、良好な使用感が得られる。
【0012】
二種の結晶セルロースa,bの質量比(a/b)は1/3〜2/1 が好適である。質量比(a/b)が1/3未満では、十分に泡立ちせず、泡質が低下するおそれがあり、2/1を超えると、スクラブ感が強くなりすぎ、使用感が低下するおそれがある。
【0013】
本発明の石鹸組成物は粒径500μm以上の結晶セルロースが0.5質量%以下である。粒径500μm以上のものが0.5質量%を超えると、過度なスクラブ感となり使用感が低下するおそれがある。
【0014】
本発明の石鹸組成物に含まれる脂肪酸塩は、脂肪酸をアルカリ金属や有機アミン塩などのアルカリ剤で中和することによって定法により得ることができる。脂肪酸塩を製造するために用いられる脂肪酸は、牛脂脂肪酸、豚脂脂肪酸、羊脂脂肪酸、鶏脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、コーン油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、ベヘニン酸などが挙げられ、これらのうち一種または二種以上の混合物が用いられる。これらの中和に用いるアルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、酸性アミノ酸、各種エタノールアミンが挙げられる。
【0015】
本発明の石鹸組成物は身体用や洗顔用の石鹸(例えば固形石鹸)として用いることができる。本発明の石鹸組成物は、本発明の効果を損なわない程度に、皮膚洗浄剤に用いられる各種の成分を配合することができる。例えば、皮膚洗浄剤で使用し得る公知のキレート剤、増粘剤、抗炎症剤、保湿剤、殺菌剤、防腐剤、香料、色素などを配合することができる。
【実施例】
【0016】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、例中、「%」はいずれも質量%を意味する。
【0017】
実施例1の試料を以下の方法により調製した。また、セルロース無配合のものをブランクとして、調製した石鹸の泡立ち、泡質及び泡立て時の感触(スクラブ感)を以下の評価基準により評価した。
【0018】
1.評価方法
10名の女性(10代〜30代)をパネラーとし、石鹸を泡立てた際の泡立ち、泡質および泡立ち時の感触について下記の基準に基づきそれぞれ評価した。さらに、全てのパネラーの合計点から以下の通りに判定した。
14〜20点:○(良好)、7〜13点:△(普通)、0〜6点:×(不良)
【0019】
(1) 泡立ち
2点:泡が速やかに立ち、良好な泡立ちと感じた場合
1点:泡が立つまで若干時間を要すると感じた場合
0点:泡が立つまで非常に時間を要し、泡立ちが悪いと感じた場合
【0020】
(2) 泡質
2点:非常にクリーミーな泡質であると感じた場合
1点:ややクリーミーな泡質であると感じた場合
0点:クリーミーな泡質ではないと感じた場合
【0021】
(3) 泡立ち時の感触(スクラブ感)
2点:強すぎず上品な感触である場合
1点:少し強い(または弱い)感触である場合
0点:強すぎる(または弱すぎる)感触であり、好ましくないと感じた場合
【0022】
2.石鹸の調製方法
表3に示す組成の固形石鹸を次に示す方法により調製し、上記の方法により評価を行った。5L双腕式混練機(入江商会(株)製「PNV−5型」)を用いて、表1に示す脂肪酸(日本油脂(株)製「化粧石鹸用脂肪酸」、中和価214.7)1000gを70℃で溶解した後、28%水酸化ナトリウム水溶液546.6gを用いて中和した。中和点はフェノールフタレイン指示液を用いて微紅色であることを確認した。次に、濃グリセリン(日本油脂(株)製「RG−S」)22.1gを添加し、加熱撹拌により水分10%前後まで乾燥させて石鹸素地を得た。得られた石鹸素地の990gに結晶セルロースaの3gおよび結晶セルロースbの7gを加えてよく混合し、プロッダー(日本化工機(株)製「ミニソーププロッダー」)によりソープバーとし、型打ち機(日本化工機(株)製「FP−171」)により成形し固形石鹸(実施例1)を得た。
【0023】
実施例1と同様にして、実施例2〜5および比較例1〜4の固形石鹸を得た。なお、用いた結晶セルロースの粒径分布を表2に示す。結晶セルロースの粒径の測定は、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製「SALD−2100」)を用い、精製水を溶媒として測定濃度が光強度分布の最大値の35〜75%の範囲であることを確認した後に行った。
【0024】
【表1】


【0025】
【表2】


【0026】
【表3】


【0027】
【表4】


【0028】
比較例1では、平均粒径の相対的に大きい方の結晶セルロースbが相対的に小さい方の結晶セルロースaよりも多すぎるので、泡立ちや泡質が実施例の場合よりも評価が低く、また泡立ち時の感触が良くなかった。比較例2,3では、結晶セルロースbの平均粒径が小さ過ぎる(または大き過ぎる)ので、泡立ち時の感触が良くなかった。比較例4では、平均粒径の相対的に大きい方の結晶セルロースbが配合されていないで、泡立ち、泡質、泡立ち時の感触が実施例の場合よりも評価が低かった。
【0029】
比較例1〜4に対して実施例1〜5では、石鹸の泡立ち、泡質及び泡立て時の感触がいずれも良好であった。
【出願人】 【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
【出願日】 平成18年8月10日(2006.8.10)
【代理人】 【識別番号】100124349
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 圭啓


【公開番号】 特開2008−37841(P2008−37841A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−217858(P2006−217858)