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【発明の名称】 脂肪細胞分化抑制剤
【発明者】 【氏名】高橋 徹成

【要約】 【課題】脂肪細胞分化抑制作用に優れ、かつ、安全性及び安定性の高い脂肪細胞分化抑制剤を提供する。

【構成】キシロオリゴ糖分子中にウロン酸残基を有する酸性キシロオリゴ糖を有効成分とする脂肪細胞分化抑制剤であり、前記酸性キシロオリゴ糖は、キシロースの重合度が異なるオリゴ糖の混合組成物であって、平均重合度が2.0〜15.0であるのが好ましい。また、前記酸性キシロオリゴ糖が、「リグノセルロース材料を酵素的及び/又は物理化学的に処理してキシロオリゴ糖成分とリグニン成分の複合体を得、次いで該複合体を酸加水分解処理してキシロオリゴ糖混合物を得、得られるキシロオリゴ糖混合物から、1分子中に少なくとも1つ以上のウロン酸残基を側鎖として有するキシロオリゴ糖を分解して得たもの」であるのが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キシロオリゴ糖分子中にウロン酸残基を有する酸性キシロオリゴ糖を有効成分とする脂肪細胞分化抑制剤。
【請求項2】
前記酸性キシロオリゴ糖が、キシロースの重合度が異なるオリゴ糖の混合組成物であり、平均重合度が2.0〜15.0であることを特徴とする請求項1に記載の脂肪細胞分化抑制剤。
【請求項3】
前記酸性キシロオリゴ糖が、「リグノセルロース材料を酵素的及び/又は物理化学的に処理してキシロオリゴ糖成分とリグニン成分の複合体を得、次いで該複合体を酸加水分解処理してキシロオリゴ糖混合物を得、得られるキシロオリゴ糖混合物から、1分子中に少なくとも1つ以上のウロン酸残基を側鎖として有するキシロオリゴ糖を分解して得たもの」であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の脂肪細胞分化抑制剤。
【請求項4】
ウロン酸が、グルクロン酸もしくは4−O−メチル−グルクロン酸であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の脂肪細胞分化抑制剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪細胞分化抑制剤に関し、更に詳しくは、脂肪細胞分化抑制作用に優れ、かつ、人及び動物に対して安全性の高い脂肪細胞分化抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食生活の欧米化に伴い、脂肪や糖の過剰摂取が原因となり、糖尿病、動脈硬化などの疾病が増加している。脂肪や糖の過剰摂取により体内に存在する前駆脂肪細胞が脂肪細胞に分化し、脂肪細胞内に脂肪が蓄積される。脂肪細胞への脂肪の蓄積が進行すると脂肪細胞が肥大化する(肥大化脂肪細胞)。脂肪細胞では脂肪が正常に分解されるが、肥大化脂肪細胞では細胞内に蓄積された脂肪の分解が異常になり、糖尿病、動脈硬化等の疾病を引き起こす。
従って、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化を抑制することができれば、糖尿病、動脈硬化等の予防が可能となると考えられる。
【0003】
現在までに、脂肪細胞の分化抑制に関与する成分として環状ペプチド、イネ科植物抽出成分が報告されているが(特許文献1及び特許文献2参照)、一般に充分な効果を期待できる量を動物やヒトが摂取する場合、アレルギー等の副作用が懸念されたり、臭いや味が原因で摂取が困難等の問題がある。従って、人体に対して安全性が高く、無味・無臭の脂肪細胞分化抑制剤が求められている。
【0004】
なお、本出願人らは、酸性キシロオリゴ糖の製造方法、及び腸内環境改善剤、アトピー性皮膚炎改善剤等の酸性キシロオリゴ糖の生理作用について報告している(特許文献3、特許文献4及び特許文献5参照)。しかし、酸性キシロオリゴ糖の脂肪細胞分化抑制作用に関する報告はない。
【特許文献1】特開2005−220074号公報
【特許文献2】特開2005−247695号公報
【特許文献3】特開2003−183303号公報
【特許文献4】特開2004−182609号公報
【特許文献5】特開2004−210666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、脂肪細胞分化抑制作用に優れ、かつ、安全性及び安定性の高い脂肪細胞分化抑制剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決する為、鋭意研究した結果、ウロン酸残基が付加した酸性キシロオリゴ糖組成物が優れた脂肪細胞分化抑制作用を持つこと見出した。
上記課題を解決するため、以下の構成を採用する。
即ち、本発明の第1は、「キシロオリゴ糖分子中にウロン酸残基を有する酸性キシロオリゴ糖を有効成分とすることを特徴とする脂肪細胞分化抑制剤」である。
本発明の第2は、前記第1発明において、「該酸性キシロオリゴ糖はキシロースの重合度が異なるオリゴ糖の混合組成物であり、平均重合度が2.0〜15.0であることを特徴とする脂肪細胞分化抑制剤」である。
本発明の第3は、前記第1または第2の発明において、「前記酸性キシロオリゴ糖が、「リグノセルロース材料を酵素的及び/又は物理化学的に処理してキシロオリゴ糖成分とリグニン成分の複合体を得、次いで該複合体を酸加水分解処理してキシロオリゴ糖混合物を得、得られるキシロオリゴ糖混合物から、1分子中に少なくとも1つ以上のウロン酸残基を側鎖として有するキシロオリゴ糖を分解して得たものであること特徴とする脂肪細胞分化抑制剤」である。
本発明の第4は、前記第1〜第3の発明において、「ウロン酸がグルクロン酸もしくは4−O−メチル-グルクロン酸であることを特徴とする脂肪細胞分化抑制剤」である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、脂肪細胞分化抑制作用に優れ、かつ、安全性及び安定性の高い脂肪細胞分化抑制剤が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の構成について詳述するが、本発明はこれにより限定されるものではない。キシロオリゴ糖とは、キシロースの2量体であるキシロビオース、3量体であるキシロトリオース、あるいは4量体〜20量体程度のキシロースの重合体を言う。本発明で使用する酸性キシロオリゴ糖とは、キシロオリゴ糖1分子中に少なくとも1つ以上のウロン酸残基を有するものを言う。
【0009】
また、キシロースの重合度が異なるオリゴ糖の混合組成物であっても良い。一般的には、天然物から製造するために、このような組成物として得られることが多く、以下、主として酸性キシロオリゴ糖組成物について説明する。
【0010】
該組成物は、平均重合度で示す数値は正規分布をとる酸性キシロオリゴ糖のキシロース鎖長の平均値で、2.0〜15.0が好ましく、2.0〜11.0がより好ましい。キシロース鎖長の上限と下限との差は20以下が好ましく、10以下がより好ましい。ウロン酸は天然では、ペクチン、ペクチン酸、アルギン酸、ヒアルロン酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、デルタマン硫酸等の種々の生理活性を持つ多糖の構成成分として知られている。本発明におけるウロン酸としては特に限定されないが、グルクロン酸もしくは4−O−メチル−グルクロン酸が好ましい。
【0011】
上記のような酸性キシロオリゴ糖組成物を得ることが出来れば、その製法は特に限定されないが、(1)木材からキシランを抽出し、それを酵素的に分解する方法(セルラーゼ研究会発行、セルラーゼ研究会報第16巻、2001年6月14日発行、p17−26)と、(2)リグノセルロース材料を酵素的及び/又は物理化学的に処理してキシロオリゴ糖成分とリグニン成分の複合体を得、次いで該複合体を酸加水分解処理してキシロオリゴ糖混合物を得、得られるキシロオリゴ糖混合物から、1分子中に少なくとも1つ以上のウロン酸残基を側鎖として有するキシロオリゴ糖を分離する方法が挙げられる。
特に、(2)の方法が5〜10量体のように比較的高い重合度のものを大量に安価に製造することが可能である点で好ましく、以下にその概要を示す。
【0012】
酸性オリゴ糖組成物は、化学パルプ由来のリグノセルロース材料を原料とし、加水分解工程、濃縮工程、希酸処理工程、精製工程を経て得ることができる。加水分解工程では、希酸処理、高温高圧の水蒸気(蒸煮・爆砕)処理もしくは、ヘミセルラーゼによってリグノセルロース中のキシランを選択的に加水分解し、キシロオリゴ糖とリグニンからなる高分子量の複合体を中間体として得る。濃縮工程では逆浸透膜等により、キシロオリゴ糖−リグニン様物質複合体が濃縮され、低重合度のオリゴ糖や低分子の夾雑物などを除去することができる。濃縮工程は逆浸透膜を用いることが好ましいが、限外濾過膜、塩析、透析などでも可能である。得られた濃縮液の希酸処理工程により、複合体からリグニン様物質が遊離し、酸性キシロオリゴ糖と中性キシロオリゴ糖を含む希酸処理液を得ることができる。この時、複合体から切り離されたリグニン様物質は酸性下で縮合し沈殿するのでセラミックフィルターや濾紙などを用いた濾過等により除去することができる。希酸処理工程では、酸による加水分解を用いることが好ましいが、リグニン分解酵素などを用いた酵素分解などでも可能である。
【0013】
精製工程は、限外濾過工程、脱色工程、吸着工程からなる。一部のリグニン様物質は可溶性高分子として溶液中に残存するが、限外濾過工程で除去され、着色物質等の夾雑物は活性炭を用いた脱色工程によってそのほとんどが取り除かれる。限外濾過工程は限外濾過膜を用いることが好ましいが、逆浸透膜、塩析、透析などでも可能である。こうして得られた糖液中には酸性キシロオリゴ糖と中性キシロオリゴ糖が溶解している。イオン交換樹脂を用いた吸着工程により、この糖液から酸性キシロオリゴ糖のみを取り出すことができる。糖液をまず強陽イオン交換樹脂にて処理し、糖液中の金属イオンを除去する。次いで強陰イオン交換樹脂を用いて糖液中の硫酸イオンなどを除去する。この工程では、硫酸イオンの除去と同時に弱酸である有機酸の一部と着色成分の除去も同時に行っている。強陰イオン交換樹脂で処理された糖液はもう一度強陽イオン交換樹脂で処理し更に金属イオンを除去する。最後に弱陰イオン交換樹脂で処理し、酸性キシロオリゴ糖を樹脂に吸着させる。
【0014】
樹脂に吸着した酸性キシロオリゴ糖を、低濃度の塩(NaCl、CaCl、KCl、MgClなど)によって溶出させることにより、夾雑物を含まない酸性キシロオリゴ糖溶液を得ることができる。この溶液を、例えば、スプレードライや凍結乾燥処理により、白色の酸性キシロオリゴ糖組成物の粉末を得ることができる。
【0015】
化学パルプ由来のリグノセルロースを原料とし、キシロオリゴ糖とリグニンからなる高分子量の複合体を中間体とした酸性キシロオリゴ糖組成物の上記製造法のメリットは、経済性とキシロースの平均重合度の高い酸性キシロオリゴ糖組成物が容易に得られる点にある。平均重合度は、例えば、希酸処理条件を調節するか、再度ヘミセルラーゼで処理することによって変えることが可能である。また、弱陰イオン交換樹脂溶出時に用いる溶出液の塩濃度を変化させることによって、1分子あたりに結合するウロン酸残基の数が異なる酸性キシロオリゴ糖組成物を得ることもできる。さらに、適当なキシラナーゼ、ヘミセルラーゼを作用させることによってウロン酸結合部位が末端に限定された酸性キシロオリゴ糖組成物を得ることも可能である。
【0016】
本発明の酸性キシロオリゴ糖を配合した脂肪細胞分化抑制剤の摂取形態としては直接摂取しても良いが、飲料に添加したり食品に添加したりすることが出来る。直接摂取する場合は、粉体化しても良いし、打錠により錠剤化しても良い。
【実施例】
【0017】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。まず、各測定法の概要、本発明で有効成分として含有させた酸性キシロオリゴ糖(UX10、UX5、UX2)の調製例1〜3を示す。
<測定法の概要>
(1) 全糖量の定量
全糖量は検量線をD−キシロース(和光純薬工業(株)製)を用いて作製し、フェノール硫酸法(還元糖の定量法、学会出版センター発行)にて定量した。
(2) 還元糖量の定量
還元糖量は検量線をD−キシロース(和光純薬工業(株)製)を用いて作製、ソモジ−ネルソン法(還元糖の定量法、学会出版センター発行)にて定量した。
(3) ウロン酸量の定量
ウロン酸は検量線をD−グルクロン酸(和光純薬工業(株)製)を用いて作製、カルバゾール硫酸法(還元糖の定量法、学会出版センター発行)にて定量した。
(4) 平均重合度の決定法
サンプル糖液を50℃に保ち、15,000rpmにて15分遠心分離し不溶物を除去し、上清液の全糖量を還元糖量(共にキシロース換算)で割って平均重合度を求めた。
(5) 酸性キシロオリゴ糖の分析方法:
オリゴ糖鎖の分布は、イオンクロマトグラフ(ダイオネクス社製、分析用カラム:Carbo Pac PA−10)を用いて分析した。分離溶媒には100mMのNaOH溶液を用い、溶出溶媒には前述の分離溶媒に酢酸ナトリウムを500mMとなるように添加し、溶液比で、分離溶媒:溶出溶媒=10:0〜4:6となるような直線勾配を組み分離した。得られたクロマトグラムより、キシロース鎖長の上限と下限との差を求めた。
(6) オリゴ糖1分子あたりのウロン酸残基数の決定法
サンプル糖液を50℃に保ち、15,000rpmにて15分遠心分離し不溶物を除去し、上清液のウロン酸量(D−グルクロン酸換算)を還元糖量(キシロース換算)で割ってオリゴ糖1分子あたりのウロン酸残基数を求めた。
(7) 酵素力価の定義
酵素として用いたキシラナーゼの活性測定にはカバキシラン(シグマ社製)を用いた。酵素力価の定義は、キシラナーゼがキシランを分解することで得られる還元糖の還元力をDNS法(還元糖の定量法、学会出版センター発行)を用いて測定し、1分間に1マイクロモルのキシロースに相当する還元力を生成させる酵素量を1ユニットとした。
【0018】
<調整例:酸性キシロオリゴ糖の調製例>
<調製例1>
混合広葉樹チップ(国内産広葉樹70%、ユーカリ30%)を原料として、クラフト蒸解及び酸素脱リグニン工程により、酸素脱リグニンパルプスラリー(カッパー価9.6、パルプ粘度25.1cps)を得た。スラリーからパルプを濾別、洗浄した後、パルプ濃度10%、pH8に調製したパルプスラリーを用いて以下のキシラナーゼによる酵素処理を行った。
バチルスsp.S−2113株(独立行政法人産業技術総合研究所特許微生物寄託センター、寄託菌株FERM BP-5264)の生産するキシラナーゼを1単位/パルプgとなるように添加した後、60℃で120分間処理した。その後、濾過によりパルプ残渣を除去し、酵素処理液1050Lを得た。
次に、得られた酵素処理液を濃縮工程、希酸処理工程、精製工程の順に供した。
濃縮工程では、逆浸透膜(日東電工(株)製、RO NTR−7410)を用いて濃縮液(40倍濃縮)を調製した。希酸処理工程では、得られた濃縮液のpHを3.5に調整した後、121℃で60分間加熱処理し、リグニンなどの高分子夾雑物の沈殿を形成させた。さらに、この沈殿をセラミックフィルター濾過で取り除くことにより、希酸処理溶液を得た。
精製工程では、限外濾過・脱色工程、吸着工程の順に供した。限外濾過・脱色工程では、希酸処理溶液を限外濾過膜(オスモニクス社製、分画分子量8000)を通過させた後、活性炭(和光純薬(株)製)770gの添加及びセラミックフィルター濾過により脱色処理液を得た。吸着工程では、脱色処理液を強陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製PK218)、強陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製PA408)、強陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製PK218)各100kgを充填したカラムに順次通過させた後、弱陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製WA30)100kgを充填したカラムに供した。この弱陰イオン交換樹脂充填カラムから75mMのNaCl溶液によって溶出した溶液をスプレードライ処理することによって、酸性キシロオリゴ糖の粉末(全糖量353g、回収率13.1%)を得た。以下、この酸性キシロオリゴ糖をUX10とする。前述の測定方法により、UX10は平均重合度10.3、キシロース鎖長の上限と下限との差は10、酸性キシロオリゴ糖1分子あたりウロン酸残基を1つ含む糖組成化合物であった。
<調製例2>
調整例1と同様にして得られた希酸処理液1160mlに、スミチームX(新日本化学工業(株)製のキシラナーゼ)28mgを添加し、40℃で20時間の反応させた。加熱処理(70℃、1時間)により酵素を失活させた後、スミチームX処理液を調整例1と同様の精製工程を経て、酸性キシロオリゴ糖粉末(全糖量21.3g、回収率22.2%)を得た。以下、この酸性キシロオリゴ糖をUX5とする。前述の測定方法により、UX5は平均重合度4.8、キシロース鎖長の上限と下限との差は9、酸性キシロオリゴ糖1分子あたりウロン酸残基を1つ含む糖組成化合物であった。
<調製例3>
調整例1より得られたUX10の10%水溶液100mlに、スミチームX(新日本化学工業(株)製のキシラナーゼ)50mgを添加し、60℃、20時間反応後、弱アニオン交換樹脂(WA30)10gを充填したカラムに供した。カラムを水洗した後、75mMのNaCl溶液によって溶出した溶液を凍結乾燥することによって、酸性キシロオリゴ糖粉末(全糖量2.1g、回収率21%)を得た。以下、この酸性キシロオリゴ糖をUX2とする。前述の測定方法により、UX2は平均重合度2.3、キシロース鎖長の上限と下限との差は2、酸性キシロオリゴ糖1分子あたりウロン酸残基を1つ含む糖組成化合物であった。
【0019】
<実施例1>
上記の調整例により得られた平均重合度の異なる3種の酸性キシロオリゴ糖(UX2、UX5、UX10)を含有する水溶液を作成した。この酸性キシロオリゴ糖水溶液を用いて下記の方法により脂肪細胞分化抑制作用を測定した。
継代培養したマウス由来前駆脂肪細胞(3T3−L1)をDME培地(10%コウシ血清含有)に懸濁後(細胞密度4×10/ml)、96ウエルプレートの各ウエルに200μl添加し37℃、5%COの条件下で培養した。培養開始から2日後、デキサメタゾン(0.5mM)、メチルイソブチルキサンチン(1μM)、インスリン(10μg/ml)を含むDME培地(10%コウシ血清含有)に置き換え上記と同様の条件で培養した。培養開始から4日後、インシュリン(10μg/ml)を含むDME培地(10%コウシ血清含有)に置き換え上記と同様の条件で2日毎に培地交換を行い培養した。培養開始から12日後、培地を取り除き細胞にオイルレッドを添加し、中性脂肪を染色した。染色された色素を細胞より抽出し、吸光度(520nm)を測定した。尚、培養開始から2日後から培養終了まで酸性糖(UX2、UX5、UX10)の最終濃度が1%、0.1%、0.01%となるように培地に添加した。コントロールとして蒸留水を培地に添加した。又、酸性糖(UX2、UX5、UX10)がマウス由来前駆脂肪細胞(3T3−L1)に対して細胞毒性のないことをMTTアッセイキット(R&D SYSTEM社)を用いてあらかじめ確認した。結果を表1に示す。
【0020】
【表1】


【0021】
酸性キシロオリゴ糖(UX2、UX5、UX10)を添加した試験区では、コントロールと比較し、細胞内の中性脂肪含量が低かった。
【0022】
<実施例2>
<安全性試験>
酸性キシロオリゴ糖の安全性試験として、皮膚刺激性試験、急性経口毒性試験を実施した。
【0023】
<皮膚刺激性試験>
2質量%の酸性キシロオリゴ糖(UX2、UX5、UX10)水溶液100μlを、各々、除毛後のC3Hマウス(雄、6週齢、日本チャールズリバー(株)製)の背皮に、約1ヶ月間、連続塗布した(1回/日、各群10匹)。塗布期間及び塗布終了後の2週間、マウス背皮において、紅斑、浮腫、炎症等の異常は特に観察されなかった。また、ブランク(水塗布群)と比較し、体重推移においても有意差(P<0.05)が認められなかった。
【0024】
<急性経口毒性試験>
60質量%の酸性キシロオリゴ糖(UX2、UX5、UX10)水溶液を、各々、ICR系マウス(雄、6週齢、日本チャールズリバー(株)製)に胃ゾンデを用いて、経口投与した(投与量:5g/マウス体重1kg、各群10匹)。投与してから2週間後まで、死亡例はなかった。又、体重推移においてもブランク(水投与群)と比較し、有意差(P<0.05)が認められなかった。
【0025】
<実施例3>
<安定性試験>
60質量%の酸性キシロオリゴ糖(UX2、UX5、UX10)水溶液を調整後、室温で保存した。調製直後、及び、1ヶ月保存後の酸性キシロオリゴ糖水溶液をイオンクロマトグラムで分析した。1ヶ月保存後のサンプルのクロマトグラムのパターンは、調製直後のサンプルと比較して変化はなかった。又、クロマトグラムの各ピークの面積の差は、1ヶ月保存後のサンプルと調製直後のサンプルの間で、5%未満であった。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の脂肪細胞分化抑制剤は、経腸栄養剤、或いは医薬品と混合して医療用食品として使用することが出来る。また、一般的に医薬部外品や医薬品に使用される成分と混合し、医薬部外品や医薬品としても提供することも出来る。なお、食品、医療用食品及び医薬品の対象としては、ヒトだけではなく、犬や猫のペット用の食品や機能性食品としても用いることが可能である。
【出願人】 【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子製紙株式会社
【出願日】 平成18年8月7日(2006.8.7)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−37797(P2008−37797A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−214370(P2006−214370)