| 【発明の名称】 |
経口投与剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】杉浦 裕作
【氏名】星 優
【氏名】岡部 秀晃
|
| 【要約】 |
【課題】少ない水分量で迅速にゲル化できるとともに、十分な強度のゲルを形成できるゲル形成性積層ユニットを有する経口投与剤を提供する。
【構成】薬物含有層とゲル形成性積層ユニットとを有する経口投与剤であって、前記ゲル形成性積層ユニットが、厚み10μm未満の第1の水膨潤性ゲル形成層と、ポリビニルピロリドンを含有する中間層を介して前記第1の水膨潤性ゲル形成層に積層された厚み10μm未満の第2の水膨潤性ゲル形成層とを有する前記経口投与剤を提供する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 薬物含有層とゲル形成性積層ユニットとを有する経口投与剤であって、 前記ゲル形成性積層ユニットが、厚み10μm未満の第1の水膨潤性ゲル形成層と、ポリビニルピロリドンを含有する中間層を介して前記第1の水膨潤性ゲル形成層に積層された厚み10μm未満の第2の水膨潤性ゲル形成層とを有する前記経口投与剤。 【請求項2】 前記経口投与剤が、前記薬物含有層の一方の側に1又は複数のゲル形成性積層ユニットを有し、前記薬物含有層の他方の側に1又は複数のゲル形成性積層ユニットを有する請求項1記載の経口投与剤。 【請求項3】 前記第1及び第2の水膨潤性ゲル形成層に含有される水膨潤性ゲル形成剤がポリアクリル酸である請求項1又は2記載の経口投与剤。 【請求項4】 水膨潤性ゲル形成層が前記経口投与剤の最外層に設けられている請求項1〜3のいずれかに記載の経口投与剤。 【請求項5】 フィルム状製剤である請求項1〜4のいずれかに記載の経口投与剤。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は経口投与剤に関する。 【背景技術】 【0002】 経口投与剤は、薬物の苦味や渋味等による不快感、服薬による嘔気や嘔吐、服薬拒否等の様々な原因によって服薬コンプライアンスが低下する。例えば、経口投与剤の一般的な剤型である固形製剤(例えば、錠剤、カプセル剤等)の場合、そのままでは飲み込み難いため、通常は多量の水とともに服用しなければならず、服薬コンプライアンスが低下する。特に高齢者や幼児においては、固形製剤を飲み込むことができず、服薬コンプライアンスの低下が多く見られる。また、固形製剤の場合、誤って気管に詰まらせてしまう危険性や、食道に貼り付いて食道腫瘍が形成してしまう危険性がある。 【0003】 そのため、薬物含有層と水膨潤性ゲル形成層とを有する経口投与剤であって、水膨潤性ゲル形成層が経口投与剤の最外層に設けられている経口投与剤が開発されている(特許文献1参照)。上記経口投与剤の最外層に設けられた水膨潤性ゲル形成層は、患者の口腔内において唾液等の水分により膨潤してゲル化し、上記経口投与剤は飲み込みやすい大きさ、形状、弾力、粘度等を有する剤形に変化する。したがって、患者は上記経口投与剤を容易に服用することができる。また、服用の際、経口投与剤が患者の気管に詰まる危険性が低下するので、患者が老人や乳幼児の場合であっても安全に服用することができる。さらに、上記経口投与剤の最外層に設けられた水膨潤性ゲル形成層は、患者の口腔内において唾液等の水分により膨潤してゲル化し、薬物含有層に含有される薬物の味(例えば苦味、渋味)、臭い等をマスキングすることができる。 【特許文献1】国際公開WO02/087622号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 特許文献1では、水膨潤性ゲル形成層に十分なゲル化能を付与するために、水膨潤性ゲル形成層の厚みを10μm以上とする必要があった。しかしながら、水膨潤性ゲル形成層の高厚化は、水膨潤性ゲル形成層がゲル化するまでに要する水分量及び時間を増大化させるため、服薬コンプライアンスの低下を招くおそれがある。 【0005】 一方、水膨潤性ゲル形成層の低厚化は、水膨潤性ゲル形成層がゲル化するために要する水分量及び時間を低減化させることはできるものの、水膨潤性ゲル形成層のゲル化能も低減させるため、十分な強度のゲルが形成されず、服薬コンプライアンスの低下を招くおそれがある。 【0006】 そこで、本発明は、少ない水分量で迅速にゲル化できるとともに、十分な強度のゲルを形成できるゲル形成性積層ユニットを有する経口投与剤を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 上記課題を解決するために、本発明は、薬物含有層とゲル形成性積層ユニットとを有する経口投与剤であって、前記ゲル形成性積層ユニットが、厚み10μm未満の第1の水膨潤性ゲル形成層と、ポリビニルピロリドンを含有する中間層を介して前記第1の水膨潤性ゲル形成層に積層された厚み10μm未満の第2の水膨潤性ゲル形成層とを有する前記経口投与剤を提供する。 【0008】 第1及び第2の水膨潤性ゲル形成層の厚みは10μm未満であるので、第1及び第2の水膨潤性ゲル形成層がゲル化するために要する水分量及び時間は少ない。したがって、第1及び第2の水膨潤性ゲル形成層は少ない水分量で迅速にゲル化することができる。一方、第1及び第2の水膨潤性ゲル形成層のゲル化能も小さく、それぞれ単独では十分な強度のゲルを形成できない。しかしながら、中間層に含有されるポリビニルピロリドンと第1及び第2の水膨潤性ゲル形成層に含有される水膨潤性ゲル形成剤との相互作用により、ゲル形成性積層ユニットは全体として十分な強度のゲルを形成することができる。 【0009】 第1及び第2の水膨潤性ゲル形成層の厚みの下限値は特に限定されるものではないが、好ましくは1μmである。また、ポリビニルピロリドンを含有する中間層の厚みの下限値は特に限定されるものではないが、好ましくは1μmである。ゲル形成性積層ユニットは、第1の水膨潤性ゲル形成層、中間層及び第2の水膨潤性ゲル形成層から構成されていてもよいし、その他の機能性層を有していてもよい。ゲル形成性積層ユニットの合計厚みは10μm未満であってもよいし、10μm以上であってもよい。 【0010】 本発明の経口投与剤は、前記薬物含有層の一方の側に1又は複数のゲル形成性積層ユニットを有し、前記薬物含有層の他方の側に1又は複数のゲル形成性積層ユニットを有することが好ましい。本発明の経口投与剤が薬物含有層の両方の側にゲル形成性ユニットを有することにより、本発明の経口投与剤を服用する際の飲み込みやすさ、容易性及び安全性が向上するとともに、薬物含有層の薬物の味、臭い等のマスキング効果が向上する。 【0011】 本発明の経口投与剤において、前記第1及び第2の水膨潤性ゲル形成層に含有される水膨潤性ゲル形成剤がポリアクリル酸であることが好ましい。第1及び第2の水膨潤性ゲル形成層に含有される水膨潤性ゲル形成剤がポリアクリル酸であると、中間層に含有されるポリビニルピロリドンとの相互作用が大きくなり、ゲル形成性積層ユニットは全体として十分な強度のゲルを形成することができる。 【0012】 本発明の経口投与剤において、水膨潤性ゲル形成層が前記経口投与剤の最外層に設けられていることが好ましい。 経口投与剤の最外層に設ける水膨潤性ゲル形成層は、ゲル形成性積層ユニットに含まれる水膨潤性ゲル形成層であってもよいし、それ以外の水膨潤性ゲル形成層であってもよい。 【0013】 本発明において、「最外層」とは、経口投与剤が患者等の口腔内にあるときに経口投与剤の外面を構成する層を意味する。したがって、「最外層」には、投与前において経口投与剤の外面を構成する層はもちろん、投与前においては経口投与剤の外面を構成しないが、患者の口腔内にあるときに経口投与剤の外面を構成する層も含まれる。例えば、水膨潤性ゲル形成層のさらに外層として別の層が設けられている場合であっても、この外層が、患者の口腔内では唾液等の水分によって分解又は溶解してしまう場合、患者の口腔内においては水膨潤性ゲル形成層が経口投与剤の外面を構成することとなるので、水膨潤性ゲル形成層は経口投与剤の最外層に設けられていることになる。 【0014】 経口投与剤の最外層に設けられた水膨潤性ゲル形成層は、患者の口腔内において唾液等の水分により膨潤してゲル化し、経口投与剤は飲み込みやすい大きさ、形状、弾力、粘度等を有する剤形に変化する。したがって、患者は経口投与剤を容易に服用することができる。また、服用の際、経口投与剤が患者の気管に詰まる危険性が低下するので、患者が老人や乳幼児の場合であっても安全に服用することができる。唾液が少なく水膨潤性ゲル形成層が十分にゲル化しない患者の場合には、少量の水とともに服用させたり、投与前に予め水に浸したりすることで同様の効果を発揮させることができる。このときに必要となる水は、錠剤、カプセル剤等の固形製剤を服用するときに必要となる水と比べて非常に少量である。 また、経口投与剤の最外層に設けられた水膨潤性ゲル形成層は、患者の口腔内において唾液等の水分により膨潤してゲル化し、薬物含有層に含有される薬物の味(例えば苦味、渋味)、臭い等をマスキングすることができる。 【0015】 本発明の経口投与剤は、フィルム状製剤であることが好ましい。 本発明の経口投与剤がフィルム状製剤である場合、製剤中の水分含有量を低く抑えることができるので、水分を多量に含むゼリー状の製剤に比べ、薬物含有層に含有される薬物(特に加水分解しやすい薬物)の安定性を向上させることができる。さらに、製剤の取り扱いが容易となるとともに、製剤の包装コストの軽減を図ることができる。また、経口投与剤がフィルム状製剤である場合、薬物含有層の薬物量が増加して薬物含有層のフィルム強度が低下しても、水膨潤性ゲル形成層及び/又は中間層にフィルム形成性を付与することによってフィルム状製剤全体としての強度を保持することができる。したがって、薬物含有層には、投与量が微量な薬物から大量な薬物まで広範な種類の薬物を含有させることができる。 【発明の効果】 【0016】 本発明によれば、少ない水分量で迅速にゲル化できるとともに、十分な強度のゲルを形成できるゲル形成性積層ユニットを有する経口投与剤が提供される。 【発明を実施するための最良の形態】 【0017】 以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。 図1に示すように、本発明の経口投与剤の一実施形態に係る経口投与剤1aは、薬物含有層11aと、薬物含有層11aの一方の側に設けられたゲル形成性積層ユニットU1と、薬物含有層11aの他方の側に設けられたゲル形成性積層ユニットU2とを有する。 【0018】 経口投与剤1aは、好ましくはフィルム状製剤(シート状製剤)である。経口投与剤1aがフィルム状製剤である場合、製剤中の水分含有量を低く抑えることができるので、水分を多量に含むゼリー状の製剤に比べ、薬物含有層11aに含有される薬物(特に加水分解しやすい薬物)の安定性を向上させることができる。また、製剤の取り扱いが容易となるとともに、製剤の包装コストの軽減を図ることができる。 【0019】 経口投与剤1aの厚みは、経口投与可能な範囲内において適宜調節することができる。経口投与剤1aがフィルム状製剤である場合、経口投与剤1aの厚みは、通常10〜1000μm、好ましくは30〜800μm、さらに好ましくは50〜500μmである。経口投与剤1aの厚みが10μm未満であるとフィルムが脆くなることがある一方、経口投与剤1aの厚みが1000μmを超えるとフィルムのコシが強くなり服用し難くなる。 【0020】 薬物含有層11aは、投与すべき薬物を含有する層である。 薬物含有層11aの厚みは、経口投与可能な範囲内において適宜調節することができる。経口投与剤1aがフィルム状製剤である場合、薬物含有層11aの厚みは0.1〜1000μmであることが好ましく、10〜200μmであることがさらに好ましい。薬物含有層11aの厚みが0.1μm未満であると精度よくフィルム化することが困難となる(すなわち、薬物含有層11aの薬物含有量にバラツキが生じる)一方、薬物含有層11aの厚みが1000μmを超えるとフィルムのコシが強くなり服用し難くなる。 【0021】 薬物含有層11aは、投与すべき薬物のみからなっていてもよいが、通常、投与すべき薬物を所望の状態で薬物含有層に保持するための基剤として、薬学的に許容され得る賦形剤、結合剤、崩壊剤、マスキング剤、着色剤、可塑剤等を含有させてもよい。基剤としては、例えば、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース等のセルロース及びその誘導体又はそれらの薬学的に許容される塩(例えばナトリウム塩);α−デンプン、酸化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、デキストリン、デキストラン等のデンプン及びそれらの誘導体;プルラン、キサンタンガム、シクロデキストリン等の糖類;キシリトール、マンニトール、ソルビトール等の糖アルコール類;メタアクリル酸ジメチルアミノエチル・メタアクリル酸コポリマー、メタアクリル酸・アクリル酸エチルコポリマー、メタアクリル酸・メタアクリル酸メチルコポリマー、メタアクリル酸エチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムコポリマー、メタアクリル酸ジメチルアミノエチル・メタアクリル酸塩化メチルコポリマー、メタアクリル酸・アクリル酸塩化エチルコポリマー等のアクリル酸誘導体;シエラック;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート;ポリ酢酸ビニル;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体;アラビアゴム、トラガカントゴム等の天然ゴム類;キチン、キトサン等のポリグルコサミン類;ゼラチン、カゼイン、ダイズ蛋白等の蛋白質等が挙げられ、添加目的に応じて、これらのうちの1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。また、薬物含有層11aには、着色、保形性向上等を目的として、酸化チタン、リン酸一水素カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、ステアリン酸塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸等の無機フィラーのうち1種類又は2種類以上を選択して添加することができる。さらに、薬物含有層11aには、薬物含有層11aに適度な柔軟性を付与するために、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、グリセリントリアセテート、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、ラウリル酸、ショ糖等の可塑剤のうち1種類又は2種類を選択して添加することができる。 【0022】 薬物含有層11aに含有される基剤の総量は、薬物含有層11aを形成することが可能となる量であり、その量は基剤の種類等に応じて適宜調節することができるが、薬物含有層11aの通常20質量%以上、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。基剤の総含有量が20質量%未満であると薬物含有層11aの形成が不十分となる。なお、基剤の総含有量の上限値は、薬物の含有量に応じて適宜設定することができる。 【0023】 薬物含有層11aに含有される薬物は、患者等に投与すべき薬物であり、経口投与可能な薬物であれば特に限定されない。経口投与可能な薬物として、例えば、中枢神経に作用する薬物としては、ペントバルビタールナトリウム等の催眠薬;塩酸アミトリプチン、塩酸イミプラミン、クロルプロマジン、レボメプロマジン等の向精神薬;プロナーゼ、グリチルリチン酸ジカリウム、ロキソプロフェンナトリウム等の鎮痛薬および抗炎症薬;アデノシン三リン酸二ナトリウム等の中枢神経代謝賦活薬;メシル酸ジメトチアジン等の偏頭痛治療薬;呼吸器に作用する薬物としては、塩酸エチルシステイン等の去痰薬;コリンテオフィリン、硫酸テルブタリン、トラニラスト、塩酸プロカテロール等の抗喘息薬;循環器系に作用する薬物としては、アミノフィリン等の強心薬;塩酸プロカインアミド、塩酸メキシレチン等の抗不整脈薬;塩酸アルプレノロール、塩酸ジラゼプ、塩酸ジルチアゼム、塩酸トリメタジジン等の抗狭心症薬;カリジノゲナーゼ等の末梢血管拡張薬;カプトプリル、塩酸クロニジン、酒石酸メトプロロール、塩酸ヒドララジン、塩酸プロプラノロール等の抗高血圧薬;デキストラン硫酸ナトリウムイオウ、プラバスタチンナトリウム等の抗動脈硬化薬;血液および造血作用薬として、トラネキサム酸等の止血薬;塩酸チクロピジン、ワルファリンカリウム等の抗血栓症薬;硫酸鉄等の貧血治療薬;消化器系に作用する薬物として、ファモチジン、シメチジン、塩酸ラニチジン、ラベプラゾールナトリウム等の抗潰瘍薬;メトクロプラミド等の制吐剤;消化酵素製剤;肝臓エキス加水分解物、グルクロノラクトン、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン等の肝疾患治療薬;ピコスルファート等の緩下剤;代謝性疾患に作用する薬物として、アカルボース、ボグリボース等の抗糖尿病薬;耳鼻科領域の薬物として、メシル酸ベタヒスチン、イソソルビド等の抗めまい薬;化学療法薬および抗生物質として、イソニアジド、塩酸エタンブトール、ラクトピオン酸エリスロマイシン、ホスホマイシンナトリウム等;抗悪性腫瘍薬として、シクロホスファミド等;ホルモン類および内分泌治療薬として、チアマゾール、リン酸プレドニゾロンナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム等;生体内活性物質(オータコイド)として、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸セチリジン、D−マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン薬;塩酸セトチアミン、塩酸チアミン、コバマミド、塩酸ピリドキシン、酢酸ヒドロソコバラミン、ニコチン酸アミド、パンテノール、パントテン酸カルシウム、リン酸リボフラビンナトリウム、アスコルビン酸等のビタミン等およびそれらの誘導体が挙げられ、治療・予防目的等に応じて、これらの1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。 【0024】 薬物含有層11aに含有される薬物の量は、特に限定されるものではないが、薬物含有層11aの通常80質量%以下、好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。薬物含有量が80質量%を越えると、経口投与剤1aがフィルム状製剤である場合にフィルム強度が低下する。なお、薬物含有量の下限値は、薬物含有層11aに含有させる薬物の種類に応じて適宜設定され、通常は0.01質量%程度である。 【0025】 薬物含有層11aには、投与量が微量な薬物から大量な薬物まで広範な種類の薬物を含有させることができる。ここで、投与量が微量とは1回の投与量が1mg以下を意味し、投与量が大量とは1回の投与量が300mg以上を意味する。 【0026】 経口投与剤1aがフィルム状製剤である場合にも、薬物含有層11aには、投与量が微量な薬物から大量な薬物まで広範な種類の薬物を含有させることができる。これは、薬物含有層、水膨潤性ゲル形成層及び中間層が別々の層として形成されているので、薬物含有層の薬物含有量が増加して薬物含有層のフィルム強度が低下しても、水膨潤性ゲル形成層及び/又は中間層にフィルム形成性を付与することによってフィルム状製剤全体としての強度を保持することができるからである。 【0027】 図1に示すように、ゲル形成性積層ユニットU1は、水膨潤性ゲル形成層12aと、水膨潤性ゲル形成層12aに中間層13aを介して積層された水膨潤性ゲル形成層12a’とを有し、薬物含有層11aの一方の側に直接積層されている。また、図1に示すように、ゲル形成性積層ユニットU2は、水膨潤性ゲル形成層12bと、水膨潤性ゲル形成層12bに中間層13bを介して積層された水膨潤性ゲル形成層12b’とを有し、薬物含有層11aの他方の側に直接積層されている。 【0028】 ゲル形成性積層ユニットU1及びU2の厚みは、経口投与可能な範囲内において適宜調節することができる。経口投与剤1aがフィルム状製剤である場合、ゲル形成性積層ユニットU1及びU2の各々の厚みは、通常3μm以上50μm未満、好ましくは5μm以上40μm未満である。ゲル形成性積層ユニットU1及びU2の厚みが3μm未満であるとゲル形成が不十分なものとなる一方、ゲル形成性積層ユニットU1及びU2の厚みが50μm以上であると患者等の口腔内に投与したときに速やかに十分なゲルを形成することができず、服用し難くなる。 【0029】 水膨潤性ゲル形成層12a、12a’、12b及び12b’は、水膨潤性ゲル形成剤を含有し、水分により膨潤してゲルを形成し得る層である。 【0030】 水膨潤性ゲル形成層12a、12a’、12b及び12b’の厚みは、いずれも10μm未満である。各水膨潤性ゲル形成層の厚みを10μm未満とすることにより、各水膨潤性ゲル形成層がゲル化するまでに要する時間及び水分量を低減することができる。すなわち、各水膨潤性ゲル形成層は、少ない水分量で迅速にゲル化することができる。一方、各水膨潤性ゲル形成層の厚みを10μm未満とすることにより、各水膨潤性ゲル形成層のゲル化能も低減し、それぞれ単独では十分な強度のゲルを形成することができない。しかしながら、中間層13aに含有されるポリビニルピロリドンと水膨潤性ゲル形成層12a及び12a’に含有される水膨潤性ゲル形成剤との相互作用により、ゲル形成性積層ユニットU1は全体として十分な強度のゲルを形成することができる。同様に、ゲル形成性積層ユニットU2も全体として十分な強度のゲルを形成することができる。 【0031】 水膨潤性ゲル形成層12a、12a’、12b及び12b’の厚みの下限値は、層形成可能かつゲル化可能である限り特に限定されるものではないが、好ましくは1μmである。各水膨潤性ゲル形成層の厚みが1μm未満であると層形成が困難となるとともに、ゲル化が不十分となる。 【0032】 水膨潤性ゲル形成層12a、12a’、12b及び12b’に含有される水膨潤性ゲル形成剤は、水分により膨潤してゲルを形成し得る限り、その種類は特に限定されるものではなく、架橋されたものであっても架橋されていないものであってもよい。 【0033】 水膨潤性ゲル形成剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、デンプン及びその誘導体、寒天、アルギン酸、アラビノガラクタン、ガラクトマンナン、セルロース及びその誘導体、カラゲーン、デキストラン、トラガカント、ゼラチン、ペクチン、ヒアルロン酸、ジェランガム、コラーゲン、カゼイン、キサンタンガム等が挙げられ、これらのうち1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。 【0034】 水膨潤性ゲル形成層12a、12a’、12b及び12b’に含有される水膨潤性ゲル形成剤は、カルボキシビニルポリマー、特にポリアクリル酸であることが好ましく、架橋化カルボキシビニルポリマー、特に架橋化ポリアクリル酸であることがさらに好ましい。ポリアクリル酸は、フィルム形成剤のフィルム形成能に悪影響を及ぼさず、膨潤時に程よいゲル強度を示すことができる。また、ポリアクリル酸は、ゲル形成時に、中間層13a及び13bに含有されるポリビニルピロリドンと相互作用し、ゲル強度が大きいゲルを形成することができる。 【0035】 架橋化は、架橋される分子の種類に応じた架橋剤によって行うことができる。ポリアクリル酸の架橋剤としては、例えば、多価金属化合物を使用することができる。多価金属化合物の具体例としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリミョウバン、塩化鉄ミョウバン、アンモニウムミョウバン、硫酸第二鉄、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、クエン酸鉄、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、硫酸亜鉛等が挙げられる。これらのうち、三価の金属化合物を使用すると、ポリアクリル酸の架橋化度が高まり、架橋化ポリアクリル酸とポリビニルピロリドンとの相互作用が起こったときに、ゲル強度が大きいゲルを形成させることができる。 【0036】 水膨潤性ゲル形成層12a、12a’、12b及び12b’に含有される水膨潤性ゲル形成剤の量は特に限定されるものではなく、水膨潤性ゲル形成剤の種類等に応じて適宜調節することができるが、各水膨潤性ゲル形成層の通常10質量%以上、好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。水膨潤性ゲル形成剤の量の上限値は100質量%である。 【0037】 経口投与剤1aがフィルム状製剤である場合、水膨潤性ゲル形成層12a、12a’、12b及び12b’のフィルム形成性を向上させるために、各水膨潤性ゲル形成層にフィルム形成剤を含有させることが好ましい。 【0038】 フィルム形成剤は、フィルム形成能を有する限り、その種類は特に限定されるものでない。フィルム形成剤の具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルフタレート、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース)、アルキルセルロース(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース)、カルボキシアルキルセルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)、(メタ)アクリル酸およびそのエステル、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸等が挙げられ、これらのうち1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。 【0039】 水膨潤性ゲル形成層12a、12a’、12b及び12b’に含有されるフィルム形成剤の量は、フィルム形成剤の種類等に応じて適宜調節することができるが、好ましくは各水膨潤性ゲル形成層の30〜85質量%である。 【0040】 水膨潤性ゲル形成層12a、12a’、12b及び12b’に含有されるフィルム形成剤は水溶性であることが好ましい。フィルム形成剤が水溶性であると、各水膨潤性ゲル形成層に水分が浸入しやすくなり、口腔内において各水膨潤性ゲル形成層の膨潤及びゲル形成を速やかに生じさせることができる。 【0041】 水溶性のフィルム形成剤としては、例えば、ポリビニルアルコール;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;キサンタンガム;カラギーナン;アルギン酸等が挙げられる。 【0042】 水膨潤性ゲル形成層12a、12a’、12b及び12b’には、水膨潤性ゲル形成層に適度な柔軟性を付与するために、可塑剤を含有させてもよい。可塑剤としては、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、グリセリントリアセテート、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、ラウリル酸、ショ糖等が挙げられ、これらのうち1種類又は2種類を選択して使用することができる。 【0043】 水膨潤性ゲル形成層12a、12a’、12b及び12b’には、薬物含有層11aに含有される薬物の味、臭い等をマスキングすることができるマスキング剤を含有させてもよい。水膨潤性ゲル形成層がマスキング剤を含有することによって、水膨潤性ゲル形成層による薬物の味、臭い等のマスキング効果を向上させることができる。マスキング剤としては、例えば、クエン酸、酒石酸、フマル酸等の酸味を与えるもの、サッカリン、グリチルリチン酸、白糖、果糖、マンニトール、アセスルファムカリウム等の甘味剤、メントール、ハッカ油、ペパーミント、スペアミント等の清涼化剤、天然又は合成の香料等が挙げられ、これらのうち1種類又は2種類を選択して使用することができる。 【0044】 水膨潤性ゲル形成層12a、12a’、12b及び12b’がフィルム形成剤としてポリビニルアルコール等を含有する場合、これらのフィルム形成剤がマスキング剤としての役割も果たすことができる。このようにマスキング効果を有するフィルム形成剤を使用することが好ましく、同様にマスキング効果を有する水膨潤性ゲル形成剤を使用することが好ましい。 【0045】 水膨潤性ゲル形成層12a、12a’、12b及び12b’には、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル等の防腐剤;食用レーキ着色剤等の着色剤等を含有させてもよい。 【0046】 水膨潤性ゲル形成層12a、12a’、12b及び12b’への添加剤の混入は、一般的に、水膨潤性ゲル形成層の強度を減少させるので、水膨潤性ゲル形成層に水分が浸入しやすくなり、水膨潤性ゲル形成層に浸入した水分により水膨潤性ゲル形成剤の膨潤及びゲル形成が生じやすくなる。 【0047】 中間層13a及び13bは、ポリビニルピロリドンを含有する層(以下、ポリビニルピロリドン含有中間層という場合がある。)である。 中間層13a及び13bは、ポリビニルピロリドンのみを含有してもよいし、ポリビニルピロリドンを所望の状態で中間層13a及び13bに保持するための基剤を含有してもよい。各中間層に含有されるポリビニルピロリドンの量は、各中間層の通常10質量%以上、好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。各中間層に含有されるポリビニルピロリドンの量が各中間層の10質量%未満であると、水膨潤性ゲル形成層に含有される水膨潤性ゲル形成剤と各中間層に含有されるポリビニルピロリドンと相互作用が不十分なものとなる。 【0048】 中間層13a及び13bの厚みは、経口投与可能な範囲内において適宜調節することができる。経口投与剤1aがフィルム状製剤である場合、各中間層の厚みは1μm以上30μm未満であることが好ましく、2μm以上20μm未満であることがさらに好ましい。各中間層の厚みが1μm未満であると精度よくフィルム化することが困難となる(すなわち、各中間層のポリビニルピロリドン含有量にバラツキが生じる)とともに、水膨潤性ゲル形成層との相互作用が不十分となる一方、各中間層の厚みが30μm以上であると水膨潤性ゲル形成層の厚みに対する中間層の厚みの比率が大きくなってしまい、十分なゲル強度が得られず(すなわち、水膨潤性ゲル形成層12a及び12bと相互作用を引き起こす中間層13a及び13b中の余剰成分が溶け出してしまい、ユニット全体としてゲル形成しない)、服用し難くなる。 【0049】 中間層13a及び13bに含有される基剤としては、薬物含有層11aと同様の基剤が挙げられ、これらのうちの1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。 【0050】 中間層13a及び13bに含有されるポリビニルピロリドンのK値は特に限定されるものではないが、30以上であることが好ましく、60以上であることがさらに好ましく、90以上であることが最も好ましい。水膨潤性ゲル形成層12a及び12a’に含有される水膨潤性ゲル形成剤と中間層13aに含有されるポリビニルピロリドンとの相互作用、並びに水膨潤性ゲル形成層12b及び12b’に含有される水膨潤性ゲル形成剤と中間層13bに含有されるポリビニルピロリドンとの相互作用は、中間層13a及び13bに含有されるポリビニルピロリドンのK値が大きいほど大きくなり、形成されるゲルの強度が大きくなる。中間層13a及び13bに含有されるポリビニルピロリドンのK値が30以上であると、ゲル強度が十分に大きいゲルを形成することができる。これにより、経口投与剤1aを服用する際の飲み込みやすさ、容易性及び安全性が向上するとともに、薬物含有層11aの薬物の味、臭い等のマスキング効果が向上する。 【0051】 K値は高分子の溶液の固有粘度であり、フィケンチャーのK価とも呼ばれる。 K値は以下の式を満たすKの値として求めることができる。 lnηr={75K2/(1+1.5KC)+K}×C [式中、ηrは相対粘度を表し、Cは溶質濃度(%(w/v))を表す。] 【0052】 図1に示すように、経口投与剤1aにおいて、水膨潤性ゲル形成層12a’及び12b’は経口投与剤1aの最外層に設けられている。経口投与剤1aの最外層に設けられた水膨潤性ゲル形成層12a’が、患者の口腔内において唾液等の水分により膨潤してゲル化する際、中間層13aに含有されるポリビニルピロリドンと水膨潤性ゲル形成層12a及び12a’に含有される水膨潤性ゲル形成剤との相互作用により、ゲル形成性積層ユニットU1は全体として十分な強度のゲルを形成することができる。また、経口投与剤1aの最外層に設けられた水膨潤性ゲル形成層12b’が、患者の口腔内において唾液等の水分により膨潤してゲル化する際、中間層13bに含有されるポリビニルピロリドンと水膨潤性ゲル形成層12b及び12b’に含有される水膨潤性ゲル形成剤との相互作用により、ゲル形成性積層ユニットU2も全体として十分な強度のゲルを形成することができる。これにより、経口投与剤1aは飲み込みやすい大きさ、形状、弾力、粘度等を有する剤形に変化する。したがって、患者は経口投与剤1aを容易に服用することができる。また、服用の際、経口投与剤が患者の気管に詰まる危険性が低下するので、患者が老人や乳幼児の場合であっても安全に服用することができる。さらに、ゲル化した水膨潤性ゲル形成層12a、12a’、12b及び12b’により、薬物含有層11aに含有される薬物の味(例えば苦味、渋味)、臭い等をマスキングすることができる。なお、唾液が少なく水膨潤性ゲル形成層12a、12a’、12b及び12b’が十分にゲル化しない患者の場合には、少量の水とともに服用させたり、投与前に予め水に浸したりすることで同様の効果を発揮させることができる。このときに必要となる水は、錠剤、カプセル剤等の固形製剤を服用するときに必要となる水と比べて非常に少量である。 【0053】 経口投与剤1aは、例えば、以下の製法に従って製造することができる。 〔第一の製法〕 水膨潤性ゲル形成層、中間層又は薬物含有層を形成するための塗工液を保持基材(例えばプラスチックフィルム、台紙等)又は所定の層の上側に塗布、噴霧等した後、乾燥させ、水膨潤性ゲル形成層、中間層及び薬物含有層を所定の順序で積層させる。この際、水膨潤性ゲル形成層を形成するための塗工液としては、水膨潤性ゲル形成剤、フィルム形成剤等を添加した溶液(溶媒は、例えば精製水、エタノール等)を、中間層を形成するための塗工液としては、ポリビニルピロリドン、基剤等を添加した溶液(溶媒は、例えば精製水、エタノール等)を、薬物含有層を形成するための塗工液としては、薬物、基剤等を添加した溶液(溶媒は、例えば精製水、エタノール等)を使用することができる。 【0054】 〔第二の製法〕 第1の水膨潤性ゲル形成層を形成するための塗工液を保持基材の上側に塗布、噴霧等し、乾燥させ、第1の水膨潤性ゲル形成層を形成した後、第1の水膨潤性ゲル形成層の上側に中間層を形成するための塗工液を塗布、噴霧等し、乾燥させ、中間層を形成する。次いで、第2の水膨潤性ゲル形成層を形成するための塗工液を中間層の上側に塗布、噴霧等し、乾燥させ、第2の水膨潤性ゲル形成層を形成した後、第2の水膨潤性ゲル形成層の上側に薬物含有層を形成するための塗工液を塗布、噴霧等し、乾燥させ、薬物含有層を形成する。こうして、保持基材上に第1の水膨潤性ゲル形成層、中間層、第2の水膨潤性ゲル形成層及び薬物含有層が順次積層された中間体を製造し、中間体の薬物含有層同士を熱融着させる。熱融着は、例えば、60〜120℃、1〜5kgf/cm2、0.1〜10秒間の条件で行うことができる。 【0055】 第一の製法及び第二の製法において、水膨潤性ゲル形成層、中間層及び薬物含有層が所定の順序で積層された積層体は、円形、楕円形、多角形等の任意の形状に打ち抜いてもよい。 【0056】 経口投与剤1aにおいて、ゲル形成性積層ユニットU1又はU2は、中間層を介して薬物含有層11aに積層されていてもよい。例えば、図2に示すように、本発明の経口投与剤の一実施形態に係る経口投与剤1bは、薬物含有層11aと、薬物含有層11aの一方の側に中間層14aを介して設けられたゲル形成性積層ユニットU1と、薬物含有層11aの他方の側に中間層14bを介して設けられたゲル形成性積層ユニットU2とを有する。 【0057】 中間層14a及び14bには、種々の機能性、例えば、接着剤層としての機能、フィルム厚を調整するための層としての機能等を付与することができる。中間層14a及び14bに接着剤層としての機能を付与する場合、中間層14a及び14bに含有させる接着剤は、薬学的に許容され得る接着剤である限り特に限定されるものではなく、溶媒を含んだ状態で用いることによって接着性を示す接着剤として、例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム等のポリアクリル酸又はその薬学的に許容される非毒性塩、アクリル酸共重合体又はその薬学的に許容される塩、カルボキシメチルセルロース及びナトリウム塩等の親水性セルロース誘導体、プルラン、ポビドン、カラヤガム、ペクチン、キサンタンガム、トラガント、アルギン酸、アラビアゴム、酸性多糖類又はその誘導体若しくはその薬学的に許容される塩等を使用することができ、加熱によって接着性を示す(すなわち熱融着可能な)接着剤としては、例えば、酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン等のホモポリマー、酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマー等を使用することができる。 【0058】 経口投与剤1aにおいて、薬物含有層11aの一方又は他方の側に設けられるゲル形成性積層ユニットの個数は特に限定されるものではなく、2個以上であってもよい。薬物含有層11aの一方又は他方の側に複数のゲル形成性積層ユニットが設けられる場合、ゲル形成性積層ユニット同士は互いに直接積層されていてもよいが、ポリビニルピロリドン含有中間層を介して積層されていることが好ましい。 【0059】 例えば、図3に示すように、本発明の経口投与剤の一実施形態に係る経口投与剤1cは、薬物含有層11aと、薬物含有層11aの一方の側に設けられたゲル形成性積層ユニットU1及びU1’と、ゲル形成性積層ユニットU1及びU1’間に設けられたポリビニルピロリドン含有中間層15aと、薬物含有層11aの他方の側に設けられたゲル形成性積層ユニットU2及びU2’と、ゲル形成性積層ユニットU2及びU2’間に設けられたポリビニルピロリドン含有中間層15bとを有する。ゲル形成性積層ユニットU1’及びU2’は、ゲル形成性積層ユニットU1及びU2と同様に構成することができる。ポリビニルピロリドン含有中間層15a及び15bは、上記中間層13a及び13bと同様に構成することができる。 【0060】 経口投与剤1aにおいて、薬物含有層11aは複数の薬物含有層から形成されていてもよい。 例えば、図4に示すように、本発明の経口投与剤の一実施形態に係る経口投与剤1dは、横並びに設けられた薬物含有層11a’及び11a’’から形成された薬物含有層11aと、薬物含有層11aの一方の側に設けられたゲル形成性積層ユニットU1と、薬物含有層11aの他方の側に設けられたゲル形成性積層ユニットU2とを有する。 【0061】 薬物含有層11aが複数の薬物含有層から形成される場合、薬物含有層は互いに直接積層されていてもよいし、中間層を介して積層されていてもよい。 例えば、図5に示すように、本発明の経口投与剤の一実施形態に係る経口投与剤1eは、中間層16aを介して積層された薬物含有層11a’及び11a’’から形成された薬物含有層11aと、薬物含有層11aの一方の側に設けられたゲル形成性積層ユニットU1と、薬物含有層11aの他方の側に設けられたゲル形成性積層ユニットU2とを有する。中間層16aは、上記中間層14a及び14bと同様に構成することができる。 【0062】 経口投与剤1a〜1eは、複数の層が扁平状に積層されてなる層状の薬剤であるが、層状である限り、いかなる形状であってもよい。また、経口投与剤1a〜1eは、保持基材上に保持された状態にあってもよいし、保持基材から剥がした状態にあってもよい。 【実施例】 【0063】 以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。 〔実施例1及び比較例1〕 (1)水膨潤性ゲル形成層形成液(塗工液A)の調製 水膨潤性ゲル形成層を形成させるために塗工液Aを調製した。精製水360gを取り、その中に塩化カルシウム(塩化カルシウムH(富田製薬))0.3gを添加し、攪拌して完全に溶解させた。次いで、ポリアクリル酸(カーボポール974P(ノベオン))11.3gを攪拌しながらゆっくりと添加し、約1時間攪拌して完全に溶解させた。次いで、ポリビニルアルコール(ゴーセノールEG−05T(日本合成化学))33.8gを攪拌しながらゆっくりと添加し、70℃に加熱しながら約1時間攪拌して完全に溶解させた。室温に戻した溶液に濃グリセリン(日本薬局方濃グリセリン(旭電化工業))4.0gを添加し、約5分間攪拌した。 【0064】 なお、塩化カルシウムが電離して生じるカルシウムイオンによってポリアクリル酸は架橋され、架橋されたポリアクリル酸が水膨潤性ゲル形成剤としての役割を果たし、ポリビニルアルコールはフィルム形成剤としての役割を果たす。 【0065】 (2)中間層形成液(塗工液B)の調製 ポリビニルピロリドンを含有する中間層を形成させるために塗工液Bを調製した。精製水62.7gを取り、その中に酸化チタン(タイペークCR−50(石原産業))0.6gを添加し、ホモジナイザーを用いて十分分散させた後、その中にポリビニルピロリドン(プラスドンK−90(ISPジャパン),K値90)16.3gを攪拌しながらゆっくり添加し、約30分間攪拌して完全に溶解させた。次いで、濃グリセリン(日本薬局方濃グリセリン(旭電化工業))4.0gを添加し、約5分間攪拌した。 【0066】 (3)中間層形成液(塗工液C)の調製 ポリビニルピロリドンの代わりにポリビニルアルコールを含有する中間層を形成させるために塗工液Cを調製した。精製水62.7gを取り、その中に酸化チタン(タイペークCR−50(石原産業))0.6gを添加し、ホモジナイザーを用いて十分分散させた後、その中にポリビニルアルコール(ゴーセノールEG−05T(日本合成化学))16.3gを攪拌しながらゆっくり添加し、70℃の温水で加熱しながら約1時間攪拌して完全に溶解させた。その溶液を室温に戻した後、濃グリセリン(日本薬局方濃グリセリン(旭電化工業))4.0gを添加し、約5分間攪拌した。 【0067】 (4)薬物含有層形成液(塗工液D)の調製 ポリビニルピロリドンを含有する薬物含有層を形成させるために塗工液Dを調製した。精製水62.7gを取り、その中に胃潰瘍薬であるファモチジン2.5g及び酸化チタン(タイペークCR−50(石原産業))0.6gを添加し、ホモジナイザーを用いて十分分散させた後、その中にポリビニルピロリドン(プラスドンK−90(ISPジャパン),K値90)13.8gを攪拌しながらゆっくり添加し、約30分間攪拌して完全に溶解させた。次いで、濃グリセリン(日本薬局方濃グリセリン(旭電化工業))4.0gを添加し、約5分間攪拌した。 【0068】 (5)薬物含有層形成液(塗工液E)の調製 ポリビニルピロリドンの代わりにポリビニルアルコールを含有する薬物含有層を形成させるために塗工液Eを調製した。精製水62.7gを取り、その中に胃潰瘍薬であるファモチジン2.5g及び酸化チタン(タイペークCR−50(石原産業))0.6gを添加し、ホモジナイザーを用いて十分分散させた後、その中にポリビニルアルコール(ゴーセノールEG−05T(日本合成化学))13.8gを攪拌しながらゆっくり添加し、70℃の温水で加熱しながら約1時間攪拌して完全に溶解させた。その溶液を室温に戻した後、濃グリセリン(日本薬局方濃グリセリン(旭電化工業))4.0gを添加し、約5分間攪拌した。 【0069】 (6)積層体A1(実施例品)の製造 塗工液Aを十分に脱泡した後、乾燥後の厚みが3μmとなるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製,製品名:SP−PET3811)のシリコーン樹脂剥離処理面の反対面上に展延塗布し、80℃で5分間乾燥して水膨潤性ゲル形成層を形成させた。次いで、塗工液Bを十分に脱泡した後、乾燥後の厚みが3μmとなるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、水膨潤性ゲル形成層上に展延塗布し、80℃で5分間乾燥してポリビニルピロリドン含有層を形成させた。次いで、塗工液Aを十分に脱泡した後、乾燥後の厚みが3μmとなるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、ポリビニルピロリドン含有層上に展延塗布し、80℃で5分間乾燥して水膨潤性ゲル形成層を形成させた。次いで、塗工液Dを十分に脱泡した後、乾燥後の厚みが25μmとなるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、水膨潤性ゲル形成層上に展延塗布し、80℃で5分間乾燥して薬物含有層を形成させた。こうして、水膨潤性ゲル形成層(厚み3μm)、ポリビニルピロリドン含有中間層(厚み3μm)、水膨潤性ゲル形成層(厚み3μm)及び薬物含有層(厚み25μm)が順次積層された中間体A1´を2シート製造し、中間体A1´の薬物含有層同士を100℃、1kgf/cm2、1秒間の条件にて熱融着させ、水膨潤性ゲル形成層(厚み3μm)、ポリビニルピロリドン含有中間層(厚み3μm)、水膨潤性ゲル形成層(厚み3μm)、薬物含有層(厚み25μm+25μm)、水膨潤性ゲル形成層(厚み3μm)、ポリビニルピロリドン含有中間層(厚み3μm)及び水膨潤性ゲル形成層(厚み3μm)が順次積層された積層体A1(総層厚68μm)を製造した。 【0070】 (7)積層体B1(比較例品)の製造 塗工液Bの代わりに塗工液Cを用いた点を除き、積層体A1と同様にして、水膨潤性ゲル形成層(厚み3μm)、ポリビニルアルコール含有中間層(厚み3μm)、水膨潤性ゲル形成層(厚み3μm)、薬物含有層(厚み25μm+25μm)、水膨潤性ゲル形成層(厚み3μm)、ポリビニルアルコール含有中間層(厚み3μm)及び水膨潤性ゲル形成層(厚み3μm)が順次積層された積層体B1(総層厚68μm)を製造した。 【0071】 (8)積層体C1(比較例品)の製造 塗工液Aを十分に脱泡した後、乾燥後の厚みが9μmとなるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製,製品名:SP−PET3811)のシリコーン樹脂剥離処理面の反対面上に展延塗布し、80℃で5分間乾燥して水膨潤性ゲル形成層を形成させ、次いで、塗工液Dを十分に脱泡した後、乾燥後の厚みが25μmとなるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、水膨潤性ゲル形成層上に展延塗布し、80℃で5分間乾燥して薬物含有層を形成させた。こうして、水膨潤性ゲル形成層(厚み9μm)、薬物含有層(厚み25μm)が順次積層された中間体C1´を2シート製造し、中間体C1´の薬物含有層同士を100℃、1kgf/cm2、1秒間の条件にて熱融着させ、水膨潤性ゲル形成層(厚み9μm)、薬物含有層(厚み25μm+25μm)、及び水膨潤性ゲル形成層(厚み9μm)が順次積層された積層体C1(総層厚68μm)を製造した。 【0072】 (9)ゲル化能の評価 積層体A1、B1及びC1を直径15mmの円形状に打ち抜いた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し、これを無作為に抽出した被験者5名に水なしで服用してもらい、ゲル化能について以下の5段階の評価基準に従って評価した。 【0073】 [ゲル化能に関する評価基準] 5・・・速やかに膨潤、ゲル化し、十分なゲル感が得られ、水無しで服用可能。 4・・・ゆっくりと膨潤、ゲル化し、十分なゲル感が得られるが、できれば水とともに服用したい。 3・・・膨潤、ゲル化するが時間とともに溶解するため、できれば水とともに服用したい。 2・・・わずかに膨潤、ゲル化するが短時間で溶解するため、水無しでは服用不可能。 1・・・膨潤、ゲル化せず溶解するため、水無しでは服用不可能。 【0074】 【表1】
【0075】 〔実施例2及び比較例2〕 (1)積層体A2(実施例品)の製造 積層体A1と同様にして、水膨潤性ゲル形成層(厚み8μm)、ポリビニルピロリドン含有中間層(厚み9μm)、水膨潤性ゲル形成層(厚み8μm)、薬物含有層(厚み25μm+25μm)、水膨潤性ゲル形成層(厚み8μm)、ポリビニルピロリドン含有中間層(厚み9μm)及び水膨潤性ゲル形成層(厚み8μm)が順次積層された積層体A2(総層厚100μm)を製造した。 【0076】 (2)積層体B2(比較例品)の製造 積層体B1と同様にして、水膨潤性ゲル形成層(厚み8μm)、ポリビニルアルコール含有中間層(厚み9μm)、水膨潤性ゲル形成層(厚み8μm)、薬物含有層(厚み25μm+25μm)、水膨潤性ゲル形成層(厚み8μm)、ポリビニルアルコール含有中間層(厚み9μm)及び水膨潤性ゲル形成層(厚み8μm)が順次積層された積層体B2(総層厚100μm)を製造した。 【0077】 (3)積層体C2(比較例品)の製造 積層体C1と同様にして、水膨潤性ゲル形成層(厚み25μm)、薬物含有層(厚み25μm+25μm)、及び水膨潤性ゲル形成層(厚み25μm)が順次積層された積層体C2(総層厚100μm)を製造した。 【0078】 (3)積層体D(比較例品)の製造 塗工液Aを十分に脱泡した後、乾燥後の厚みが25μmとなるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製,製品名:SP−PET3811)のシリコーン樹脂剥離処理面の反対面上に展延塗布し、80℃で5分間乾燥して水膨潤性ゲル形成層を形成させ、次いで、塗工液Eを十分に脱泡した後、乾燥後の厚みが50μmとなるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、水膨潤性ゲル形成層上に展延塗布し、80℃で5分間乾燥して薬物含有層を形成させた。次いで、塗工液Aを十分に脱泡した後、乾燥後の厚みが25μmとなるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、薬物含有層上に展延塗布し、80℃で5分間乾燥して薬物含有層を形成させた。こうして、水膨潤性ゲル形成層(厚み25μm)、薬物含有層(厚み50μm)、及び水膨潤性ゲル形成層(厚み25μm)が順次積層された積層体D(総層厚100μm)を製造した。 【0079】 (4)ゲル化能の評価 積層体A2、B2、C2及びDを直径15mmの円形状に打ち抜いた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し、これを無作為に抽出した被験者5名に水なしで服用してもらい、ゲル化能について以下の5段階の評価基準に従って評価した。 [ゲル化能に関する評価基準] 5・・・速やかに膨潤、ゲル化し、十分なゲル感が得られ、水無しで服用可能。 4・・・ゆっくりと膨潤、ゲル化し、十分なゲル感が得られるが、できれば水とともに服用したい。 3・・・膨潤、ゲル化するが時間とともに溶解するため、できれば水とともに服用したい。 2・・・わずかに膨潤、ゲル化するが短時間で溶解するため、水無しでは服用不可能。 1・・・膨潤、ゲル化せず溶解するため、水無しでは服用不可能。 【0080】 【表2】
【図面の簡単な説明】 【0081】 【図1】本発明の経口投与剤の一実施形態を示す断面図である。 【図2】本発明の経口投与剤の一実施形態を示す断面図である。 【図3】本発明の経口投与剤の一実施形態を示す断面図である。 【図4】本発明の経口投与剤の一実施形態を示す断面図である。 【図5】本発明の経口投与剤の一実施形態を示す断面図である。 【符号の説明】 【0082】 1a,1b,1c,1d,1e・・・経口投与剤 U1,U2・・・ゲル形成性積層ユニット 11a・・・薬物含有層 12a,12a’,12b,12b’・・・水膨潤性ゲル形成層 13a,13b・・・ポリビニルピロリドン含有中間層
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000102980 【氏名又は名称】リンテック株式会社
|
| 【出願日】 |
平成18年8月4日(2006.8.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100108833 【弁理士】 【氏名又は名称】早川 裕司
【識別番号】100112830 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴木 啓靖
|
| 【公開番号】 |
特開2008−37794(P2008−37794A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月21日(2008.2.21) |
| 【出願番号】 |
特願2006−213892(P2006−213892) |
|