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【発明の名称】 薬剤耐性解除用の医薬
【発明者】 【氏名】長瀬 博

【氏名】長 由美子

【氏名】竹内 勤

【氏名】小林 正規

【氏名】狩野繁之

【要約】 【課題】新規の薬剤耐性解除用の医薬を提供する。

【構成】オピオイド受容体リガンドを有効成分とすることを特徴とする、薬剤耐性疾患の耐性解除用の医薬。オピオイド受容体リガンドとしては、オピオイドδ受容体アンタゴニストが好ましい。オピオイド受容体リガンドは、化学治療薬とともに好適に投与され、治療に供される。化学治療薬に対して耐性を獲得した疾患の原因異生物としては、耐性に対する対策の策定の重要さから、マラリアを対象とすることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オピオイド受容体リガンドを有効成分とすることを特徴とする、薬剤耐性疾患の耐性解除用の医薬。
【請求項2】
前記オピオイド受容体リガンドが、オピオイドδ受容体アンタゴニストである、請求項1に記載の薬剤耐性疾患の耐性解除用の医薬。
【請求項3】
前記オピオイド受容体リガンドが、化学治療薬とともに投与され治療に供される、請求項1または2に記載の薬剤耐性疾患の耐性解除用の医薬。
【請求項4】
前記オピオイド受容体リガンドがともに投与され治療に供される化学治療薬が、感染治療薬である、請求項3に記載の薬剤耐性疾患の耐性解除用の医薬。
【請求項5】
前記オピオイド受容体リガンドが、
一般式(1)
【化1】


(但し、式(1)中、R1は水素原子、アルキル基又はアルケニル基を表し、R2は水素原子、水酸基又はアルキルオキシ基を表し、R3は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシ基、ニトロ基、アミノ基、アシルアミノ基を表し、R4は水素原子又は水酸基を表し、Xは酸素原子又は(CH20で表される基(Xそのものが存在しないでXを介して結合すべき炭素同士が直接単結合して環を形成することを表す基)を表し、Yは(CH2n(nは0または1を表す。)で表される基((CH20はYそのものが存在しないでYを介して結合すべき炭素同士が直接単結合して環を形成することを表す基)を表す。点線の結合はあってもなくても良く、R3の結合位置は縮合環を含む環内であれば特定されない。)、
一般式(2)
【化2】


(但し、式(2)中、R1は水素原子、アルキル基又はアルケニル基を表し、R2は水素原子、水酸基又はアルキルオキシ基を表し、R3は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシ基、ニトロ基、アミノ基、アシルアミノ基を表し、R4は水素原子又は水酸基を表し、Xは酸素原子又は(CH20で表される基(Xそのものが存在しないでXを介して結合すべき炭素同士が直接単結合して環を形成することを表す基)を表し、Yは(CH2n(nは0または1を表す。)で表される基((CH20はYそのものが存在しないでYを介して結合すべき炭素同士が直接単結合して環を形成することを表す基)を表す。点線の結合はあってもなくても良く、R3の結合位置は縮合環を含む環内であれば特定されない。)、および
一般式(3)
【化3】


(但し、式(3)中、R1は水素原子、アルキル基又はアルケニル基を表し、R2は水素原子、水酸基又はアルキルオキシ基を表し、R3は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシ基、ニトロ基、アミノ基、アシルアミノ基を表し、R4は水素原子又は水酸基を表し、R5は水素原子、アルキル基又はアシル基を表し、Xは酸素原子又は(CH20で表される基(Xそのものが存在しないでXを介して結合すべき炭素同士が直接単結合して環を形成することを表す基)を表し、Yは(CH2n(nは0または1を表す。)で表される基((CH20はYそのものが存在しないでYを介して結合すべき炭素同士が直接単結合して環を形成することを表す基)を表す。点線の結合はあってもなくても良く、R3の結合位置は縮合環を含む環内であれば特定されない。)に示す化合物からなる群より選ばれた化合物及び/又はその塩である、請求項1〜4何れか1項に記載の薬剤耐性疾患の耐性解除用の医薬。
【請求項6】
前記オピオイド受容体リガンドが、式(4)
【化4】


で示される7−ベンジリデンナルトレキソン(BNTX;
7-Benzylidenenaltrexon)、式(5)
【化5】


で示されるナルトリベン(NTB;Naltriben)、式(6)
【化6】


で示されるナルトルインドール(NTI;Naltrindole)及び生理的に許容されるこれらの塩から選択されるオピオイドδ受容体アンタゴニストである、請求項1〜5何れか1項に記載の薬剤耐性疾患の耐性解除用の医薬。
【請求項7】
前記薬剤耐性疾患は、薬剤耐性マラリアである、請求項1〜6何れか1項に記載の薬剤耐性疾患の耐性解除用の医薬。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬に関し、更に詳細には、感染症等に有用な薬剤耐性疾患における、薬剤耐性の解除剤に好適な医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
感染症等の化学治療に於いて、最大の課題は薬剤耐性株の出現である。化学治療に於いてはドラッグ・プレッシャーがかかるが故に、それによる株選択性がたかまり、出現した薬剤耐性株はたちまち広汎に分布してしまう傾向が存する。この為、薬剤の有効性の低下は著しく、この為疾患の治療効果も著しく減少してしまう問題が存している。特にマラリアに於いては、治療薬の種類が少ないために、薬剤耐性の問題は深刻であり、加えて、1つの薬剤に対して耐性を持つと他の薬剤に対しても耐性を獲得してしまう現象も存し、薬剤耐性の克服がより大きな課題となっている。言い換えれば、薬剤耐性の解除手段の開発が望まれていると言える。
【0003】
この様な薬剤耐性に対しては、耐性を解除する薬剤の探索が行われ、インドール誘導体(例えば、特許文献1を参照)、アントラニル酸誘導体(例えば、特許文献2を参照)、ピペラジン誘導体(例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7を参照)等が検討されている。この様に多種の化合物が耐性の解除効果を有することから、耐性の発現のメカニズムは複雑な因子が絡み合っていることが予想され、その因子を洗い出す意味でも新規の薬剤耐性解除用の医薬が求められていると言える。
【0004】
一方、7−ベンジリデンナルトレキソン(BNTX;7-Benzylidenenaltrexon)、ナルトリベン(NTB;Naltriben)、ナルトルインドール(NTI;Naltrindole)等のオピオイド受容体のリガンドに関しては、既に多くのものが知られており、その製造方法も公知であるものが少なくない。これらのオピオイド受容体のリガンドに於いては、消炎鎮痛作用、免疫抑制作用、麻酔作用などのオピオイド受容体を介する作用が知られている(例えば、特許文献8、特許文献9、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7を参照)。又、オピオイド受容体に対する作用以外に、脳血流関門における、トランスポーターに対する作用などが知られている(例えば、特許文献10を参照)。しかしながら、オピオイド受容体のリガンドにおいて、薬剤耐性解除作用との関係は全く知られていない。
【0005】
【特許文献1】特表2003−527308号公報
【特許文献2】特表2001−502683号公報
【特許文献3】特開2005−272354号公報
【特許文献4】特開2004−339073号公報
【特許文献5】特開2002−060383号公報
【特許文献6】特開平06−271556号公報
【特許文献7】再表02/042284号公報
【特許文献8】特開平03−223288号公報
【特許文献9】特表平09−505052号公報
【特許文献10】特表2004−528273号公報
【非特許文献1】Portoghese P.S. et.al.,Eur. J. Pharmacol. 1992 ;218(1):195-6
【非特許文献2】Sofuoglu M. et.al.,J. Pharmacol. Exp. Ther. 1991;257(2):676-80
【非特許文献3】Portoghese P.S. et.al.,Eur. J. Pharmacol. 1988;146(1):185-6
【非特許文献4】Coop A. et.al.,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters(1999), 9(3),357-362
【非特許文献5】Ohkawa S. et.al.,J. Med. Chem.,(1998),41(3),4177-4180
【非特許文献6】Palmer R.B. et.al., J.Med.Chem.,(1997),40(5),749-753
【非特許文献7】Nan y. et.al.,J.Heterocyclic Chemistry,(1996),33(2),399-407
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、新規の薬剤耐性解除用の医薬を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、新たな薬剤耐性解除用の医薬を求めて、鋭意研究を重ねた結果、オピオイド受容体リガンドがその様な作用を有していることを見いだし、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示すとおりである。
(1)オピオイド受容体リガンドを有効成分とすることを特徴とする、薬剤耐性疾患の耐性解除用の医薬。
(2)前記オピオイド受容体リガンドが、オピオイドδ受容体アンタゴニストである、前記(1)に記載の薬剤耐性疾患の耐性解除用の医薬。
(3)前記オピオイド受容体リガンドが、化学治療薬とともに投与され治療に供される、前記(1)または(2)に記載の薬剤耐性疾患の耐性解除用の医薬。
(4)前記オピオイド受容体リガンドがともに投与され治療に供される化学治療薬が、感染治療薬である、前記(3)に記載の薬剤耐性疾患の耐性解除用の医薬。
(5)前記オピオイド受容体リガンドが、次に示す一般式(1)〜(3)に表される化合物からなる群より選ばれた化合物及び/又はその塩である、前記(1)〜(4)何れか1項に記載の薬剤耐性疾患の耐性解除用の医薬。
【0008】
一般式(1)
【化1】


(但し、式(1)中、R1は水素原子、アルキル基又はアルケニル基を表し、R2は水素原子、水酸基又はアルキルオキシ基を表し、R3は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシ基、ニトロ基、アミノ基、アシルアミノ基を表し、R4は水素原子又は水酸基を表し、Xは酸素原子又は(CH20で表される基(Xそのものが存在しないでXを介して結合すべき炭素同士が直接単結合して環を形成することを表す基)を表し、Yは(CH2n(nは0または1を表す。)で表される基((CH20はYそのものが存在しないでYを介して結合すべき炭素同士が直接単結合して環を形成することを表す基)を表す。点線の結合はあってもなくても良く、R3の結合位置は縮合環を含む環内であれば特定されない。)に表される化合物。
【0009】
一般式(2)
【化2】


(但し、式(2)中、R1は水素原子、アルキル基又はアルケニル基を表し、R2は水素原子、水酸基又はアルキルオキシ基を表し、R3は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシ基、ニトロ基、アミノ基、アシルアミノ基を表し、R4は水素原子又は水酸基を表し、Xは酸素原子又は(CH20で表される基(Xそのものが存在しないでXを介して結合すべき炭素同士が直接単結合して環を形成することを表す基)を表し、Yは(CH2n(nは0または1を表す。)で表される基((CH20はYそのものが存在しないでYを介して結合すべき炭素同士が直接単結合して環を形成することを表す基)を表す。点線の結合はあってもなくても良く、R3の結合位置は縮合環を含む環内であれば特定されない。)に表される化合物。
【0010】
一般式(3)
【化3】


(但し、式(3)中、R1は水素原子、アルキル基又はアルケニル基を表し、R2は水素原子、水酸基又はアルキルオキシ基を表し、R3は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシ基、ニトロ基、アミノ基、アシルアミノ基を表し、R4は水素原子又は水酸基を表し、R5は水素原子、アルキル基又はアシル基を表し、Xは酸素原子又は(CH20で表される基(Xそのものが存在しないでXを介して結合すべき炭素同士が直接単結合して環を形成することを表す基)を表し、Yは(CH2n(nは0または1を表す。)で表される基((CH20はYそのものが存在しないでYを介して結合すべき炭素同士が直接単結合して環を形成することを表す基)を表す。点線の結合はあってもなくても良く、R3の結合位置は縮合環を含む環内であれば特定されない。)に表される化合物。
【0011】
(6)前記オピオイド受容体リガンドが、7−ベンジリデンナルトレキソン(BNTX;7-Benzylidenenaltrexon)、ナルトリベン(NTB;Naltriben)、ナルトルインドール(NTI;Naltrindole)及び生理的に許容されるこれらの塩から選択されるオピオイドδ受容体アンタゴニストである、前記(1)〜(5)何れか1項に記載の薬剤耐性疾患の耐性解除用の医薬。
【0012】
BNTX:式(4)
【化4】


【0013】
NTB:式(5)
【化5】


【0014】
NTI:式(6)
【化6】


【0015】
(7)前記薬剤耐性疾患は、薬剤耐性マラリアである、前記(1)〜(6)何れか1項に記載の薬剤耐性疾患の耐性解除用の医薬。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、新規の薬剤耐性解除用の医薬を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の薬剤耐性疾患の耐性解除用の医薬は、オピオイド受容体のリガンドを有効成分とすることを特徴とする。モルヒネなどの鎮痛薬の作用機構の研究を通じて、脳を始めとする各種臓器にはこれらの物質が特異的に結合する部位、すなわち、オピオイド受容体が存在することが知られている。そして、この受容体に結合して鎮痛作用などの薬理作用を発現する化合物はアゴニストと呼ばれている。また、上記オピオイド受容体に親和性を有するが、それ自体はオピオイド作用を有せず、オピオイド物質の作用と拮抗する物質はオピオイドアンタゴニストと呼ばれる。かかるオピオイド受容体のアゴニストとアンタゴニストを総称して、リガンドと称する。本発明では、このオピオイド受容体のリガンドを有効成分とする。前記オピオイド受容体には、μ、κ、δの3つのサブタイプが存在し、これらそれぞれにリガンドが存在する。本発明の医薬はこれらの何れもが使用できる。これらのうち、δ受容体のリガンドが好ましく、薬剤耐性マラリアの耐性解除においては、中でもδ受容体のアンタゴニストが特に好ましい。
【0018】
この様なδ受容体のアンタゴニストとしては前記一般式(1)〜(3)に表される化合物及び/又はその塩が知られており、これらの何れもが使用できる。
【0019】
一般式(1)において、R1は水素原子、アルキル基、好ましくは炭素数1〜6の直鎖、分岐若しくは環状構造を有することあるアルキル基又はアルケニル基、好ましくは炭素数2〜5のアルケニル基を表し、R2は水素原子、水酸基又はアルキルオキシ基を表し、アルキルオキシ基におけるアルキル基は炭素数1〜6の直鎖、分岐若しくは環状構造を有することあるアルキル基が好ましく、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基等が好適に例示でき、R3は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、好ましくは炭素数1〜6の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、アルケニル基、好ましくは炭素数2〜5のアルケニル基、ニトロ基、アミノ基、アシルアミノ基、該アシルアミノ基におけるアシル基は炭素数は2〜10のものが好ましく、具体的にはアセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基などが例示でき、又はアルキルオキシ基を表し、アルキルオキシ基におけるアルキル基は炭素数1〜6の直鎖、分岐若しくは環状構造を有することあるアルキル基が好ましく、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基等が好適に例示でき、を表し、R4は水素原子、水酸基又はアルキルオキシ基を表し、アルキルオキシ基におけるアルキル基は炭素数1〜6の直鎖、分岐若しくは環状構造を有することあるアルキル基が好ましく、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基等が好適に例示でき、Xは酸素原子又は(CH20で表される基(Xそのものが存在しないでXを介して結合すべき炭素同士が直接単結合して環を形成することを表す基)を表し、Yは(CH2n(nは0または1を表す。)で表される基((CH20はYそのものが存在しないでYを介して結合すべき炭素同士が直接単結合して環を形成することを表す基)を表す。前記炭素数1〜6の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基等が好適に例示でき、アルキルオキシ基におけるアルキル基は炭素数1〜6の直鎖、分岐若しくは環状構造を有することあるアルキル基が好ましく、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基等が好適に例示でき、ハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが好適に例示できる。これらの塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩等の鉱酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩等の有機酸塩、メシル酸塩、トシル酸塩等の生理的に許容される塩が好ましく例示できる。
【0020】
一般式(1)
【化7】


(但し、式(1)中、R1、R2、R3、R4、X、およびYは、前記と同じ。)に示す化合物は、一般式(1)s
【化8】


(但し、式(1)s中、R1、R2、R4、X、およびYは、一般式(1)中と同じ意味を表す。)に示すカルボニル化合物を、例えば、対応する置換基を有する芳香族アルデヒド化合物と反応させて脱水縮合させる公知の方法により、一般式(1)a
【化9】


(但し、式(1)a中、R3は、一般式(1)中と同じ意味を表す。)に示す芳香族アルデヒド化合物と反応させて製造することができる。なお、この製造方法の詳細は、非特許文献1〜7に記載されている。
【0021】
一般式(2)において、R1は水素原子、アルキル基、好ましくは炭素数1〜6の直鎖、分岐若しくは環状構造を有することあるアルキル基又はアルケニル基、好ましくは炭素数2〜5のアルケニル基を表し、R2は水素原子、水酸基又はアルキルオキシ基を表し、アルキルオキシ基におけるアルキル基は炭素数1〜6の直鎖、分岐若しくは環状構造を有することあるアルキル基が好ましく、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基等が好適に例示でき、R3は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、好ましくは炭素数1〜6の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、アルケニル基、好ましくは炭素数2〜5のアルケニル基、ニトロ基、アミノ基、アシルアミノ基、該アシルアミノ基におけるアシル基は炭素数は2〜10のものが好ましく、具体的にはアセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基などが例示でき、又はアルキルオキシ基を表し、アルキルオキシ基におけるアルキル基は炭素数1〜6の直鎖、分岐若しくは環状構造を有することあるアルキル基が好ましく、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基等が好適に例示でき、を表し、R4は水素原子、水酸基又はアルキルオキシ基を表し、アルキルオキシ基におけるアルキル基は炭素数1〜6の直鎖、分岐若しくは環状構造を有することあるアルキル基が好ましく、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基等が好適に例示でき、Xは酸素原子又は(CH20で表される基(Xそのものが存在しないでXを介して結合すべき炭素同士が直接単結合して環を形成することを表す基)を表し、Yは(CH2n(nは0または1を表す。)で表される基((CH20はYそのものが存在しないでYを介して結合すべき炭素同士が直接単結合して環を形成することを表す基)を表す。前記炭素数1〜6の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基等が好適に例示でき、アルキルオキシ基におけるアルキル基は炭素数1〜6の直鎖、分岐若しくは環状構造を有することあるアルキル基が好ましく、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基等が好適に例示でき、ハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが好適に例示できる。これらの塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩等の鉱酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩等の有機酸塩、メシル酸塩、トシル酸塩等の生理的に許容される塩が好ましく例示できる。
【0022】
一般式(2)
【化10】


(但し、式(2)中、R1、R2、R3、R4、X、およびYは、前記と同じ。)に示す化合物は、前記一般式(1)sに示すカルボニル化合物を、例えば、対応する置換基を有するO−アリールヒドロキシルアミン化合物(またはその塩)と反応させてベンゾフラン環を生成させる公知の方法により、一般式(1)b
【化11】


(但し、式(1)b中、R3は、一般式(2)中と同じ意味を表す。)に示すO−アリールヒドロキシルアミン化合物(またはその塩)と反応させて製造することができる。なお、この製造方法の詳細は、非特許文献1〜7に記載されている。
【0023】
一般式(3)において、R1は水素原子、アルキル基、好ましくは炭素数1〜6の直鎖、分岐若しくは環状構造を有することあるアルキル基又はアルケニル基、好ましくは炭素数2〜5のアルケニル基を表し、R2は水素原子、水酸基又はアルキルオキシ基を表し、アルキルオキシ基におけるアルキル基は炭素数1〜6の直鎖、分岐若しくは環状構造を有することあるアルキル基が好ましく、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基等が好適に例示でき、R3は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、好ましくは炭素数1〜6の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、アルケニル基、好ましくは炭素数2〜5のアルケニル基、ニトロ基、アミノ基、アシルアミノ基、該アシルアミノ基におけるアシル基は炭素数は2〜10のものが好ましく、具体的にはアセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基などが例示でき、又はアルキルオキシ基を表し、アルキルオキシ基におけるアルキル基は炭素数1〜6の直鎖、分岐若しくは環状構造を有することあるアルキル基が好ましく、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基等が好適に例示でき、を表し、R4は水素原子、水酸基又はアルキルオキシ基を表し、アルキルオキシ基におけるアルキル基は炭素数1〜6の直鎖、分岐若しくは環状構造を有することあるアルキル基が好ましく、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基等が好適に例示でき、Xは酸素原子又は(CH20で表される基(Xそのものが存在しないでXを介して結合すべき炭素同士が直接単結合して環を形成することを表す基)を表し、R5は水素原子、アルキル基、又はアシル基を表し、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基等が好適に例示でき、該アシル基は炭素数は2〜10のものが好ましく、具体的にはアセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基などが例示でき、Yは(CH2n(nは0または1を表す。)で表される基((CH20はYそのものが存在しないでYを介して結合すべき炭素同士が直接単結合して環を形成することを表す基)を表す。前記炭素数1〜6の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基等が好適に例示でき、アルキルオキシ基におけるアルキル基は炭素数1〜6の直鎖、分岐若しくは環状構造を有することあるアルキル基が好ましく、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基等が好適に例示でき、ハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが好適に例示できる。これらの塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩等の鉱酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩等の有機酸塩、メシル酸塩、トシル酸塩等の生理的に許容される塩が好ましく例示できる。
【0024】
一般式(3)
【化12】


(但し、式(3)中、R1、R2、R3、R4、R5、X、およびYは、前記と同じ。)に示す化合物は、前記一般式(1)sに示すカルボニル化合物を、例えば、対応する置換基を有する芳香族ヒドラジン化合物(またはその塩)と反応させてインドール環を生成させる公知の方法により、一般式(1)c
【化13】


(但し、式(1)c中、R3、およびR5は、一般式(3)中と同じ意味を表す。)に示す芳香族ヒドラジン化合物(またはその塩)と反応させて製造することができる。なお、この製造方法の詳細は、非特許文献1〜7に記載されている。
【0025】
一般式(1)〜(3)に表される、具体的なリガンドとしては、例えば、7−ベンジリデンナルトレキソン(BNTX;7-Benzylidenenaltrexon)、ナルトリベン(NTB;Naltriben)、ナルトルインドール(NTI;Naltrindole)等や、これらの誘導体が好ましく例示できる。特に好ましいものは、BNTX又はその誘導体であり、該誘導体としては、例えば、7−(9−アンスリルメチレン)ナルトレキソン、7−(4−フェニルベンジリデン)ナルトレキソン、7−(2−ナフチルメチレン)ナルトレキソン、7−(1−ナフチルメチレン)ナルトレキソン、7−[(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)メチレン]ナルトレキソン、7−(4−ピリジニルメチレン)ナルトレキソン、7−(3−ピリジニルメチレン)ナルトレキソン、7−(p−フルオロベンジリデン)ナルトレキソン、7−(p−クロロベンジリデン)ナルトレキソン、7−[(p−メトキシカルボニル)ベンジリデン]ナルトレキソン、7−(o−クロロベンジリデン)ナルトレキソン、7−(o−フルオロベンジリデン)ナルトレキソン、7−(m−クロロベンジリデン)ナルトレキソン、7−(m−フルオロベンジリデン)ナルトレキソン、7−(o−メトキシベンジリデン)ナルトレキソン、7−(p−メチルベンジリデン)ナルトレキソン、7−(m−メトキシベンジリデン)ナルトレキソン、7−(p−メトキシベンジリデン)ナルトレキソン、7−(m−ニトロベンジリデン)ナルトレキソン、7−(p−ニトロベンジリデン)ナルトレキソン等が好適に例示できる。かかる誘導体は、BNTXと同様に、ナルトレキソンと、対応する置換基を有する芳香族アルデヒドとを脱水縮合することにより製造することができる。なお、この製造方法の詳細は、非特許文献4〜7に記載されている。又、BNTXはトクリス・クックソン社(Tcris Cookson Inc.,Ellisville MO,USA)より、ナルトレキソン、NTI及びNTBはアルドリッチ・ジャパン社より購入することができる。
【0026】
かかるオピオイド受容体のリガンドは、治療薬に対して耐性を獲得した疾患の原因異生物に対して作用し、前記耐性を還元せしめる作用を有する。前記原因異生物としては、マラリア原虫、トリパノソーマ原虫、赤痢アメーバ、リーシュマニア原虫などの原虫類が特に好適に例示できる。これらのうちでは、耐性に対する対策の策定の重要さから、マラリアを対象とすることがより好ましい。これらの治療薬に耐性を獲得した原因異生物の疾患に対して、本発明の医薬は、通常のこの様な疾患の化学治療薬とともに、投与され治療に供される。前記化学治療薬としては、感染治療薬が好適に例示でき、クロロキン、メフロキン、プリマキン、キニーネ、タフェノキン、プログアニル、ペントスタム、メベンダゾール、ニトロベンダゾール、ドキシサイクリン、メトロニダゾール、スルホキサミン等の抗原虫剤が好適に例示できる。かかる耐性解除のための医薬投与は、前記治療薬の投与に対して、前もって行われるものでも、同時に行われるものでも、治療薬の投与に続いて行われるものであっても良い。同一の製剤として投与することもできるし、治療薬の製剤と耐性解除のための医薬の製剤とを分けて投与することもできる。前記オピオイド受容体のリガンドの用量としては、疾患の種類によっても異なるが、治療薬に対して、0.01〜100倍量、より好ましくは0.1〜10倍量を投与することが好ましく例示できる。一日あたりの投与量は、1〜10000mgを1回乃至は数回に分けて投与することができる。
【0027】
本発明の医薬は、前記オピオイド受容体のリガンドを有効成分として、これに製剤上の任意成分を加えて、常法に従って処理することにより、製造することができる。製剤上の任意成分としては、例えば、白糖、乳糖、クロスカルメロース、マルチトース等の賦形剤、デンプン、結晶セルロース等の崩壊剤、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアガム等の結合剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の可溶化・分散剤、ヒドロキシプロピルセルロースカプリレートやポリアクリル酸ジメチルアミドなどの被覆剤、着色剤、矯味矯臭剤、緩衝塩などのpH調整剤、塩化ナトリウムなどの浸透圧調整剤などが好適に例示できる。この様な成分を用いて、造粒を行い顆粒形態に加工し、それを製剤とすることもできるし、前記顆粒をカプセルに充填しカプセル剤としたり、打錠して錠剤の製剤とすることもできるし、緩衝塩や浸透圧調整剤とともに水性担体に溶解し、滅菌して、所望により凍結乾燥を行い、或いは、バイアルに充填し封入し、注射剤や点滴剤とすることもできる。
【実施例】
【0028】
以下に、実施例をあげて本発明について、更に詳細に説明を加えるが、本発明が、かかる実施例にのみ、限定されないことは言うまでもない。
【0029】
実施例1
P.chabaudi AS strainクロロキン耐性株を用いて、クロロキン耐性マラリアに対する本発明の医薬の耐性解除効果を調べた。即ち、動物として、1群4匹のICR crjマウス(雄性;体重20〜30g)を用い、Day 0 にP.chabaudi AS strainの感染赤血球5×106を尾静脈より、注射して接種した。Day 0 、Day 1 、Day 2 及びDay3 に検体を10mg/Kgを生理食塩水にとかして経口投与し、クロロキン3mg/Kgを生理食塩水に溶かして腹腔内に投与した。無処置コントロールは投与を行わず、クロロキンコントロールはクロロキンのみを投与して検体の投与は行わず、検体コントロールはDay 4に尾の先を傷つけて採血し、スライドグラスに塗工し塗沫標本を作製した。塗沫標本はメタノール固定後、ギムザ染色し、顕微鏡にて赤血球10000個あたりの感染赤血球を計数した。計数に当たっては、20視野の平均を取った。検体としては、ナルトレキソンとBNTXとNTBを用いた。結果を表1に示す。何れの検体も耐性解除効果を示し、BNTXとNTBとが優れた耐性解除効果を有することがわかる。
【0030】
【表1】


【0031】
実施例2
実施例1と同様に、検体をNTIに代えて、検討を行った。結果を表2に示す。NTIにも優れた耐性解除効果が存することがわかる。
【0032】
【表2】


表1,2からも確認できるように、BNTX、NTB、NTI等のオピオイドδ受容体アンタゴニストをクロロキンとともに用いると、クロロキンに対するマラリア原虫の感受性が回復することが判る。
【0033】
実施例3
クロロキンはその効果メカニズムとして、血球内の原虫に酸化ストレスを負荷し、これにより、原虫がヘムからヘモゾインに変換するのを阻害し、ヘムの毒性により原虫にダメージを与えることが知られている。そこで、本発明の医薬の有効成分である、オピオイド受容体のリガンドの、酸化に対する防御系であるグルタチオンの生成に対する影響を調べた。方法は、グルタチオン総量定量キット(同仁化学研究所製)を用いて、コントロールは50μg/mlの酸化型グルタチオンを系に10μl添加(最終濃度2.5μg/ml)し、測定サンプルは、これに更に0.6mg/mlの検体の溶液を10μl添加(最終濃度30μg/ml)した。
【0034】
【数1】


上式に従って、抑制率を求めたところ、BNTXのグルタチオン生成抑制率は47%であり、クロロキンの抑制率は40.6%であった。これより、本発明の耐性解除用の医薬では、オピオイド受容体のリガンドは、酸化ストレスの負荷を介して、クロロキン耐性を解除していることが推測された。
【0035】
実施例4
下記に示す表に従って、本発明の医薬を製造した。即ち、処方成分を転動相造粒装置に仕込み、高速で混合しながら、10質量%の純水を噴霧し、造粒した後、40℃の温風で48時間乾燥し、得られた顆粒を打錠成形して、本発明の耐性解除用の医薬を得た。
【0036】
【表3】


【0037】
実施例5
下記に示す表に従って、実施例4と同様に操作して、本発明の耐性解除用の医薬を得た。
【0038】
【表4】


【0039】
実施例6
下記に示す表に従って、実施例4と同様に操作して、本発明の耐性解除用の医薬を得た。
【0040】
【表5】


【0041】
実施例7
下記に示す表に従って、実施例4と同様に操作して、本発明の耐性解除用の医薬を得た。
【0042】
【表6】


【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、マラリアなどの感染症の化学治療等に適用できる。
【出願人】 【識別番号】598041566
【氏名又は名称】学校法人北里学園
【出願日】 平成18年8月4日(2006.8.4)
【代理人】 【識別番号】100081086
【弁理士】
【氏名又は名称】大家 邦久

【識別番号】100121050
【弁理士】
【氏名又は名称】林 篤史


【公開番号】 特開2008−37790(P2008−37790A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−213281(P2006−213281)