| 【発明の名称】 |
感染予防剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】川上 浩
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| 【要約】 |
【課題】インフルエンザウイルス感染予防剤あるいは、インフルエンザウイルス感染予防用飲食品の提供。
【構成】スフィンゴシンを有するリン脂質及び/又はその誘導体、特にスフィンゴミエリンを有効成分とするインフルエンザウイルス感染予防剤及びインフルエンザウイルス感染予防用飲食品。スフィンゴシンを有するリン脂質及び/又はその誘導体、特にスフィンゴミエリンにはインフルエンザウイルスの感染を抑制する効果があり、インフルエンザウイルスの感染予防に有効である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 スフィンゴシンを有するリン脂質及び/又はその誘導体を有効成分とするインフルエンザウイルス感染予防剤。 【請求項2】 スフィンゴシンを有するリン脂質が、スフィンゴミエリンである請求項1記載のインフルエンザウイルス感染予防剤。 【請求項3】 スフィンゴシンを有するリン脂質及び/又はその誘導体を配合したインフルエンザウイルス感染予防用飲食品。 【請求項4】 スフィンゴシンを有するリン脂質が、スフィンゴミエリンである請求項3記載のインフルエンザウイルス感染予防用飲食品。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、スフィンゴシンを有するリン脂質及び/又はその誘導体、特にスフィンゴミエリンを有効成分とするインフルエンザウイルス感染予防剤に関する。 【背景技術】 【0002】 インフルエンザウイルスは空気中から人に感染し、毎年のように流行を引き起こしている。近年では衛生面の改善や医学の進歩によってその脅威が減退してはいるものの、依然として死者を発生させるケースもある。インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型の3つの種類があるが、このうち、A型ウイルスは変異を起こしやすく、世界的な大流行を引き起こしやすい。インフルエンザウイルス感染に対する予防は主としてワクチンの接種により行われている。しかし、インフルエンザウイルスは抗原シフト、抗原ドリフトといった変異を生じやすいことから、流行しているウイルスと、ワクチンの抗原が一致しないことが多く、ワクチンによる予防の効果は満足の行くものではないのが現状である。このため、現在では児童へのワクチンの予防接種も義務化されていない。インフルエンザの治療薬としてはアマンタジンやオセルタミビル等が挙げられるが、副作用や耐性菌の出現といった問題を考慮する必要があり、その使用には注意が必要である。こういった状況から、日常的に安全に摂取することが可能で、インフルエンザウイルスの感染予防に有効な剤あるいは飲食品が望まれている。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 本発明は日常的に安全に摂取することができるインフルエンザウイルス感染予防剤を提供することを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0004】 本発明者らは様々な生理活性をもつ乳成分に着目し、インフルエンザウイルスの感染予防効果について鋭意研究を行ったところ、スフィンゴシンを有するリン脂質及び/又はその誘導体、特にスフィンゴミエリンにインフルエンザウイルス感染予防効果を見出し、発明を完成させるに至った。 【0005】 スフィンゴミエリンは、リン脂質中の20〜30%と乳中に多く含まれているにも関わらず、その機能についての研究は細胞レベルにとどまっており、生体における生理学的機能についての知見は少ない。そのため、これまで栄養素の一成分としての有効性は認識されていなかった。スフィンゴミエリンの利用に関しては、消炎鎮痛外用剤、脂質の消化吸収機能改善剤、腸管運動機能不全性疾患治療剤(特許文献1〜3)などが知られているが、インフルエンザウイルスの感染予防効果についてはなんら明らかにされておらず、インフルエンザウイルスの感染予防を目的としては利用されていない。 一方、抗ウイルス作用をもつ成分(特許文献4)や、ワクチンとして用いる抗原(特許文献5)を乳化させ、リポソームを形成させるための脂質成分としてスフィンゴミエリンを利用する事例は報告されているが、スフィンゴミエリン自体に抗インフルエンザウイルス活性があることは知られていない。また、乳に含まれる糖脂質であるガングリオシドが、抗インフルエンザ活性をもつことは公知(特許文献6)であるが、構成成分であるシアル酸がこの作用に重要であり、シアル酸を含む糖脂質が、ウイルスと粘膜上皮細胞の結合を拮抗的に阻害するメカニズムにより発現される機能である。したがって、シアル酸を含まないスフィンゴミエリンの機能を想起させるものではないことは明白である。 【0006】 本発明は、スフィンゴシンを有するリン脂質及び/又はその誘導体、特にスフィンゴミエリンを有効成分とするインフルエンザウイルス感染予防剤であり、また、スフィンゴシンを有するリン脂質及び/又はその誘導体、特にスフィンゴミエリンを配合し、インフルエンザウイルス感染予防作用を賦与した飲食品に関するものである。 【0007】 スフィンゴシンを有するリン脂質及び/又はその誘導体、特にスフィンゴミエリンは精製したものでもよいし、スフィンゴミエリン含有リン脂質として用いてもよい。スフィンゴミエリンは動物脳や乳脂肪に多く含まれるが、本発明の実施上、乳由来であることが望ましい。乳由来スフィンゴミエリンとしては、生乳やホエータンパク質濃縮物(WPC)などを原料として用いるのがよい。生乳やWPCなどからスフィンゴミエリン含有リン脂質画分を得る方法としては、エーテルやアセトンで抽出する方法(特許文献7)、バターを加温融解して得られるバターカードやバターセーラムを含む水溶性画分を用いる方法等、公知の方法を例示することができる。これらの原料と方法を採用することで得られる画分のスフィンゴミエリン含有量は、それぞれ約28%、約9%である。さらに、これらのスフィンゴミエリン含有リン脂質画分を透析、硫安分画、ゲル濾過、等電点沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、溶媒分画、限外濾過(UF)、精密濾過(MF)などの手法により精製することで純度を高めたスフィンゴミエリンを得ることができる。 【0008】 これらのスフィンゴミエリンやスフィンゴミエリン含有リン脂質は、液体、粉末や錠剤等の形態を適宜とることができ、直接、経口投与することができる。また、スフィンゴミエリンのみならず、ヒト栄養所要量に定められた有効量のホスファチジルコリンを含有しているリン脂質組成物を使用してもよい。含有量については、リン脂質組成物100g当たり0.05〜4.0gであることが望ましい。 【特許文献1】特開平5−186330号公報 【特許文献2】特開平11−269074号公報 【特許文献3】特開2003−252765号公報 【特許文献4】特表2006−508045号公報 【特許文献5】特開平5−339169号公報 【特許文献6】特開平4−105616号公報 【特許文献7】特開平3−47192号公報 【発明の効果】 【0009】 本発明は、インフルエンザウイルスの感染予防作用をもつ、スフィンゴシンを有するリン脂質及び/又はその誘導体、特にスフィンゴミエリンを有効成分とすることでインフルエンザウイルス感染予防剤及び、インフルエンザウイルス感染予防用飲食品を提供する事を目的とする。本発明によりインフルエンザウイルスの感染を予防することができ、また、スフィンゴシンを有するリン脂質及び/又はその誘導体、特にスフィンゴミエリンを使用するので、比較的安価に大量供給が可能であり、なおかつ極めて安全性が高いという特徴を有している。 【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 本発明のインフルエンザウイルス感染予防剤は、スフィンゴシンを有するリン脂質及び/又はその誘導体、特にスフィンゴミエリンを有効成分としたものである。インフルエンザウイルス感染予防剤の剤形は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤、液剤等を例示することができる。これらは経口的に投与してもよいし、経鼻的に投与しても良い。また、これらの剤形は従来知られている通常の方法で製造することができる。例えば、製剤製造上許容される担体、賦形剤等と混合して成型する。 【0011】 また、本発明のインフルエンザウイルス感染予防作用を賦与した飲食品としては、スフィンゴシンを有するリン脂質及び/又はその誘導体、特にスフィンゴミエリンを牛乳、乳飲料、コーヒー飲料、ジュース、ゼリー、ビスケット、パン、麺、ソーセージ等の飲食品や、各種粉乳の他、乳児、幼児及び低出生体重児等を対象とする栄養組成物に配合したものを例示することができる。これらは日常的に摂取することが可能であり、インフルエンザウイルスの感染を予防することができる。 【0012】 本発明で、インフルエンザウイルス感染予防作用発揮させるためには、成人の場合、スフィンゴシンを有するリン脂質及び/又はその誘導体、特にスフィンゴミエリンを1日当たり約0.1mg〜5000mg摂取できるように配合量などを調整すれば良い。本発明の有効成分である、スフィンゴシンを有するリン脂質、特にスフィンゴミエリンは乳成分であることから、多量の摂取によってもその安全性は全く問題ないものということができる。 【0013】 以下に実施例及び試験例を示し、本発明についてより詳細に説明するが、これらは単に例示するのみであり、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。 【実施例1】 【0014】 ホエータンパク質濃縮物(WPC)の10%水溶液にプロテアーゼを作用させて得られた反応液をクロロホルム-メタノール(2:1)溶液で抽出した後、濃縮し、さらにアセトン抽出して複合脂質画分を得た。次にこの複合脂質画分をフロロシリルカラムクロマトグラフィー処理し、クロロホルム-メタノール溶液で段階抽出してリン脂質画分を得た。このリン脂質画分をシリカゲルクロマトグラフィー処理し、クロロホルム-メタノール溶液で段階抽出したものを凍結乾燥してスフィンゴミエリンを得た。このスフィンゴミエリンを薄層クロマトグラフィー処理した後、ディットマー試薬で発色し、デンシメトリー法で測定したところ、スフィンゴミエリン含有率は95.2%であった。このようにして得られたスフィンゴミエリンは、インフルエンザウイルス感染予防剤としてそのまま利用可能である。 【0015】 [試験例1] (A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルスに対する感染予防効果の確認) A型インフルエンザウイルスとしてA/Guinzhouウイルスを、B型インフルエンザウイルスとしてB/Ibarakiウイルスをマウス(Balb/c、雄、6週齢)に経鼻感染させ、同時に実施例1で得られたスフィンゴミエリン(SPM)100μg/ml溶液を5μl/鼻腔内投与量(投与量:0.5μg)で経鼻投与し、インフルエンザウイルスの感染予防効果を鼻腔内洗浄液中のウイルス価で判定した。なお、対照として、それぞれのインフルエンザウイルスを単独経鼻感染した群をおいた。判定にはMDCK細胞を用いたプラーク法を用いた。 【0016】 結果を表1に示す。この結果、スフィンゴミエリンの投与により、A型、B型ともに感染予防効果が確認された。特にA型インフルエンザウイルスに対してはより顕著な効果が確認された。 【0017】 【表1】
【0018】 [試験例2] (スフィンゴミエリンの経口投与におけるインフルエンザウイルスの感染予防効果の確認。) インフルエンザウイルスPR8(H1N1)を1×103pfuのウイルス量でマウス(Balb/c、雄、6週齢)に感染させた。感染処理前に、スフィンゴミエリンを経口投与し、その感染予防効果をウイルス感染3日後の鼻腔洗浄液中のウイルス価で判定した。経口投与に当たってはスフィンゴミエリンは水に分散して使用した。判定にはMDCK細胞を用いたプラーク法を用いた。 【0019】 結果を表2に示す。スフィンゴミエリン投与群において、有意に鼻腔内ウイルス価が低下した。これはスフィンゴミエリンのインフルエンザウイルスに対する感染予防効果を示す。 【0020】 【表2】
【実施例2】 【0021】 実施例1で得られたスフィンゴミエリン5gを注射用蒸留水200mlに溶解し、鼻腔内スプレー用の液剤を製造した。 【実施例3】 【0022】 表3に示した配合により原料を混合し、造粒した後、カプセルに充填して、インフルエンザウイルス感染予防用カプセル剤を製造した。 【0023】 【表3】
【実施例4】 【0024】 表4に示した配合により原料を混合し、容器に充填した後、加熱殺菌して、インフルエンザウイルス感染予防用飲料を製造した。 【0025】 【表4】
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006699 【氏名又は名称】雪印乳業株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年8月4日(2006.8.4) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−37788(P2008−37788A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月21日(2008.2.21) |
| 【出願番号】 |
特願2006−213273(P2006−213273) |
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