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【発明の名称】 β−インターフェロンを使用して再狭窄を治療する方法
【発明者】 【氏名】アンソニー ジョーンズ

【氏名】ロバート ジェイ ミンツァー

【要約】 【課題】β−インターフェロンを使用して再狭窄を治療する方法を提供する。

【構成】有効成分としてヒトーインターフェロンーβを含むことを特徴とする、再狭窄治療剤である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分としてヒトインターフェロン−βを含むことを特徴とする、再狭窄治療剤。
【請求項2】
再狭窄が冠状動脈内に存在する、請求の範囲1記載の治療剤。
【請求項3】
ヒトインターフェロン−βが血管形成術、血管内膜切除術または動脈切除術に続く血管障害の位置の冠状動脈平滑筋細胞の増殖を阻止することに選択的である、請求の範囲1記載の治療剤。
【請求項4】
治療に有効な量のインターフェロン−βser17を投与し、インターフェロン−βser17が冠状動脈平滑筋細胞の増殖を阻止し、同時に冠状動脈内皮細胞の増殖の阻止作用を有しないことを特徴とする、冠状動脈の再狭窄の治療剤。
【請求項5】
再狭窄を治療する薬剤の製造へのヒトインターフェロン−βの使用。
【請求項6】
再狭窄が冠状動脈内に存在する、請求の範囲5記載の使用。
【請求項7】
ヒトインターフェロン−βが血管形成術、血管内膜切除術または動脈切除術に続く血管障害の位置の冠状動脈平滑筋細胞の増殖を阻止することに選択的である、請求の範囲6記載の使用。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトの再狭窄、特に冠状動脈の再狭窄の治療に天然または組換えヒトインターフェロン−β、特にベータセロンを使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
冠状動脈の再狭窄は透視下の冠状動脈のバルーン血管形成術に続く血管障害の位置の冠状動脈の狭窄である。血管内膜切除術および動脈切除術に続いて発生することもある。冠状動脈の再狭窄に寄与する要因の正確な相互作用を解明することが続けられているにもかかわらず、同定する特性は、外科手術に続く冠状動脈壁の障害の位置の一般的に静止した平滑筋細胞の増殖である。この時点で、無傷の管腔の内皮表面を回復するために、動脈壁の内皮細胞も増殖している。従って、冠状動脈の再狭窄を阻止する化合物の理想的な特性は、内皮細胞の増殖に効果がないかまたは刺激する効果を有する平滑筋細胞の成長を阻止する化合物である。
【0003】
インターフェロンは肉体の自然の防御機構の一部である。これは、抗ウィルス性、抗腫瘍性、および免疫調節特性を有することが知られており、その有用性および機能に特異的な種である。タイプIのインターフェロンにはインターフェロン−αおよびインターフェロン−βが含まれる。タイプIIのインターフェロンにはインターフェロン−γが含まれる。ヒトインターフェロン−βはヒト繊維芽細胞から天然に製造される生成物としておよび組換え生成物として入手できる。米国でベータセロン(インターフェロン−βser17)として市販されている組換えヒトインターフェロン−βのタイプが特に有利であり、これは、ヒトの細胞成長の調節に、ウィルス性の病気の治療に、およびナチュラルキラー細胞活性の刺激に有効であることが記載されている(特許文献1参照)。
【0004】
ヒトインターフェロン−βはヒト伏在静脈平滑筋細胞の(血清により誘発された)増殖を減少することが判明し(非特許文献1参照)、かつウサギインターフェロンα/βはウサギ大動脈平滑筋細胞の増殖を減少することが判明した(非特許文献2参照)。
【0005】
ヒトインターフェロン−αおよびヒトインターフェロン−βは生体外でのヒト皮膚微小血管の内皮細胞の増殖を阻止し(非特許文献3参照)、かつ培養したヒト内皮細胞中の管状の網目構造の形成を増加する(非特許文献4参照)ことが判明した。ラットインターフェロン−βは培養したラット肺の内皮細胞の増殖に効果を示さないことが判明した(非特許文献5参照)。
【特許文献1】米国特許第4588585号明細書
【非特許文献1】Palmer等、Laboratory Investigation(1992)Vol.66,No.6,715−721頁
【非特許文献2】フクモト等、Biochemical and Biophysical Research Communications(1988),Vol.257,No.1,337−345頁
【非特許文献3】Ruszczak等、J.Invest.Dermatol.(1990)Vol.95,693−699頁
【非特許文献4】Hammer等、Ultrastructure Pathol(1992).Vol.16,pp.211−218頁
【非特許文献5】Dupont等、J.Clin.Invest.(1992).Vol.89,197−202頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、β−インターフェロンを使用して再狭窄を治療する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ヒトインターフェロン−β、特にベータセロンが、外科手術に続く血管障害の位置で冠状動脈の平滑筋細胞の増殖を選択的に阻止することにより、ヒトの冠状動脈の再狭窄の治療に有効であり、同時に外科手術に続く冠状動脈の内皮細胞の通常の増殖に阻止作用を示さないことが判明した。
【0008】
本発明は、治療に有効な量のインターフェロン−βをこれが必要な人間に投与することにより冠状動脈の再狭窄を治療する方法に関する。詳しくは、本発明は、治療に有効な量のヒトインターフェロン−βをこれが必要な人間に投与することにより冠状動脈の再狭窄を治療する方法に関し、この場合にヒトインターフェロン−βが透視下の冠状動脈のバルーン血管形成術、血管内膜切除術または動脈切除術の結果として、血管障害の位置の冠状動脈の平滑筋細胞の増殖を阻止または抑制し、同時に冠状動脈の内皮細胞の増殖の阻止効果を示さない。有利には本発明の方法に使用されるインターフェロン−βはベータセロン、すなわち組換え手段により製造されるインターフェロン−βser17である。
【0009】
更に本発明は、ヒトインターフェロン−β、有利にはインターフェロン−βser17を投与することにより、ヒト冠状動脈の平滑筋細胞の増殖を阻止し、同時に生体外または生体内で冠状動脈の内皮細胞の阻止作用を示さない方法に関する。
【0010】
発明の詳細な説明
定義
明細書および請求の範囲に記載される以下の用語は、異なる説明がない限り、以下の意味を表す。
【0011】
インターフェロン−βまたはβ−インターフェロンにはインターフェロン−β−1aおよびインターフェロン−β−1bとして周知のタイプIのインターフェロンと同じかまたは同様の製薬特性を示す天然および組換えタイプIのインターフェロンが含まれる。
【0012】
インターフェロン−α/βはタイプIインターフェロン−αおよびインターフェロン−βの定義されない混合物、例えばラットインターフェロン−α,βである。
【0013】
ベータセロンは、17位のシステイン残留物がセリンにより置換された組換えにより製造されたヒトインターフェロン−β、すなわち米国特許第4588585号明細書に記載されたインターフェロン−βser17であり、その開示内容は本願明細書に属する。
【0014】
治療に有効な量は、ヒトインターフェロン−β、詳しくはベータセロンの、これが必要な人間に投与した場合に、以下に記載されるように、再狭窄、詳しくは冠状動脈の再狭窄の治療効果に十分な量である。治療に有効な量を構成するヒトインターフェロン−βの量は、使用されるヒトインターフェロン−β、再狭窄の激しさおよび治療する人間の年齢および体重に依存して変動するが、当業者によりその知識と本明細書に従って通常のように決定することができる。本明細書で使用される治療または処理は、血管形成術、血管内膜切除術または動脈切除術の結果として、血管障害の位置の冠状動脈の平滑筋細胞の増殖を阻止または抑制することにより再狭窄が緩和する人間の再狭窄、詳しくは冠状動脈の再狭窄の治療に及ぶものである。
【0015】
有効性の説明および投与
A.有効性の説明
本発明は、治療に有効な量のヒトインターフェロン−βをこれが必要な人間に投与することにより再狭窄、特に冠状動脈の再狭窄を治療または抑制する方法に関する。詳しくは、本発明は、ベータセロンを使用して冠状動脈の再狭窄を治療または抑制する方法に関する。この有効性はa)種々の濃度のベータセロンの存在または不在で血清での刺激に続く細胞中に存在する酸不溶性の3H−チミジンの測定により、適当な細胞、例えば冠状動脈の平滑筋細胞および冠状動脈の内皮細胞へのチミジン(細胞増殖の必須成分)の混入およびb)例えばメチレンブルー法またはコールターカウンター法を使用して時間をかけて決められた量のベータセロンの存在または不在に対応する適当な細胞の成長を測定する生体外アッセイにより示される。
【0016】
第1図〜第4図に示されるアッセイの結果はヒト冠状動脈の平滑筋細胞の増殖を阻止し、同時に冠状動脈の内皮細胞の増殖の抑制効果を有しないベータセロンの能力を示す。
【0017】
B.投与
純粋の形または適当な製薬組成物の形のヒトインターフェロン−βの投与は、任意の許容される投与形態または同様の有効性に用いる試薬を介して実施することができる。従って、投与は、例えば経口で、鼻から、非経口的に、局所的に、経皮によりまたは直腸により、固体、半固体、親液化した粉末の形で、または液体の配量形で、例えば錠剤、座薬、ピル、柔らかく柔軟なおよび硬質のゼラチンカプセル、粉末、溶液、懸濁液またはエーロゾル等で、有利には正確な配量の簡単な投与に適した単一の配量形であってもよい。組成物は常用の製薬担体、または賦型剤、および活性試薬としてヒトインターフェロン−βを含有し、更にほかの医薬物質、製薬物質、担体、助剤等を含有してもよい。
【0018】
一般に、投与に意図される形式に依存して、製薬的に認容される組成物はヒトインターフェロン−β約1重量%〜約99重量%および適当な製薬的賦型剤99重量%〜1重量%を含有する。有利には組成物はヒトインターフェロン−β約5重量%〜75重量%を含有し、残りは適当な製薬的賦型剤である。
【0019】
有利な投与の方法は、処理される再狭窄の激しさの程度により調節することができる便利な毎日の配量摂取法を使用して非経口的である。この非経口投与のために、ヒトインターフェロン−βを含有する製薬的に認容される組成物は米国特許第4462940号明細書、4588585号明細書、および4992271号明細書に記載された方法により形成されてもよい。
【0020】
一般に再狭窄を治療するために有利な治療に有効な1日の配量は一日おきに皮下注入により0.25mg(8000000IU)である。
【0021】
以下の実施例は本発明の実施に役立つものとして用意され、本発明の範囲を限定するものでない。以下の実施例に使用される細胞は、Clonetics社、San Diego,Californiaから入手した、ヒト冠状動脈の平滑筋細胞およびヒト冠状動脈の内皮細胞である。
【0022】
例1
以下の生体外アッセイは特定の細胞中のチミジンの混入に対するベータセロンの効果を説明するために実施した(例えばCell Culture for Biochemists,R.L.P.Adams,Elsevier Science Publishers B.V.Amsterdam,The Netherlands,1985を参照)。
1)細胞をその通常の成長培地(1ml/ウェル)中でウェル当たり細胞25000個の密度で24個のウェルプレートに接種した。37℃、5%CO2インキュベーター中で、細胞を放置して成長させ、75%融合性を得た(これはほぼ72時間かかった)。
2)引き続き成長培地を基礎培地(血清または成長因子補充物のない)1ml/ウェルと交換した。引き続きこれらの条件下で48時間細胞を培養した。
3)引き続き基礎培地を、5%FBS(ウシ胎児血清)、3H−チミジン2mlCi/ml(Amersham cat #TRA61)および非放射性チミジンを補充した新鮮な基礎培地(1ml/ウェル)と交換し、全チミジン濃度2mMを生じた。
4)前記工程の直後にベータセロンを適当な媒体に導入し、ウェル当たりの添加が10mlをこえないようにした。
5)引き続き細胞を48時間培養した。
6)引き続き細胞を氷冷PBS(燐酸塩緩衝サリン)で2回洗浄し(1ml/洗浄液)、引き続き氷冷10%TCA(トリクロロ酢酸)中で2回洗浄した(1ml/洗浄液)。それぞれのTCA洗浄物を細胞上で5分間残留した。これに続いて氷冷100%エタノール中で1回洗浄した(1ml/ウェル)。引き続きエタノールを除去し、細胞を10分間乾燥した。
7)1NKOH500mlをそれぞれのウェルに添加した。引き続きプレートを周囲温度で約2時間撹拌した。引き続き細胞を顕微鏡で検査し、溶解したことを確認した。
8)KOH/細胞抽出物を引き続きアクアゾル(Aquasol)−2 シンチラント(Dupont社)4.5mlを含有するシンチレーションびんに移した。
9)1NCH3COOH500mlをそれぞれのウェルに添加し、生じる混合物を相当するシンチレーションびんに移した。
10)シンチレーションびんにふたをして、透明になるまで振動させ、液体シンチレーション分光器により存在する3H−チミジンの量を測定した。
【0023】
種々の固体(それぞれの固体は菌株として示される)からのヒト冠状動脈の平滑筋細胞およびヒト冠状動脈の内皮細胞をこのアッセイにより検査し、その結果を第3図および第4図に示す。示された結果からベータセロンが菌株(すなわち固体)の冠状動脈の平滑筋細胞の増殖を阻止し、同じ菌株から冠状動脈の内皮細胞の増殖に対して効果を示さないかまたは刺激する効果を示した。
【0024】
例2
以下の生体外アッセイは特定の細胞列の成長に対するベータセロンの効果を説明するために実施した(例えばA Rapid and Convenient Assay for Counting Cells Cultured in Microwell Plates:Application for Assessment of Growth Factors,Journal of Cell Sciece(1989).Vol92,pp513−518を参照)。
1)検査すべき組織の細胞をその通常の成長培地(1ml/ウェル)中でウェル当たり細胞10000個の密度で24個のウェルプレートに接種した。引き続き細胞を、37℃、5%CO2インキュベーター中で、24時間培養した。
2)引き続き成長培地を基礎培地(血清または成長因子補充物のない)(1ml/ウェル)と交換した。引き続きこれらの条件下で48時間細胞を培養した。
3)引き続き基礎培地を、5%FBS(ウシ胎児血清)を補充した新鮮な基礎培地(1ml/ウェル)と交換した。
4)前記工程の直後にベータセロンを(適当な溶剤中で)それぞれのウェルに導入し、ウェル当たり10mlをこえないようにした。
5)引き続き細胞を1〜5日培養し、毎日処理した細胞および対照細胞の完全な組の成長を終了した。細胞をPBS(燐酸塩緩衝サリン)1mlで1回洗浄し、10%ホルマリン緩衝液(1ml/ウェル)を添加することにより終了を達成した。ホルマリンをウェルに残し、アッセイが終了するまでプレートを0℃から5℃で保存した。
6)最後のプレートを固定した後に、すべてのプレートからホルマリンを除去し、10mM硼酸塩緩衝液、pH8.5(1ml/ウェル)中で1回洗浄した。
7)それぞれのウェルに、10mM硼酸塩緩衝液、pH8.5中のメチレンブルー(250ml,1%)を添加し、周囲温度で30分間放置した。
8)引き続きメチレンブルーを除去し、細胞を10mM硼酸塩緩衝液、pH8.5(1ml/ウェル)中で3回洗浄した。
9)それぞれのウェルにエタノール50%/0.1NHCl50%からなる500mlを添加することにより細胞により保持されたメチレンブルーを溶離した。引き続きプレートを周囲温度で5分間撹拌した。
10)メチレンブルー/細胞抽出物(200ml)をそれぞれのウェルから除去し、96個のウェル微量滴定プレートに移した。
【0025】
プレートリーダーで吸収(650nm)を読み取った。
【0026】
ヒト冠状動脈の平滑筋細胞およびヒト冠状動脈の内皮細胞をこのアッセイにより検査し、その結果を第1図および第2図に示す。示された結果から、ベータセロンが1つの菌株からのヒト冠状動脈の内皮細胞の成長に対して効果を示さないかまたは刺激する効果を示し、同じ菌株からの冠状動脈の平滑筋細胞の成長を阻止する効果を有した。
【0027】
本発明は個々の実施例により説明されたが、本発明の真実の思想および範囲から逸脱することなく、種々の変更例が行われ、同等のものに置き換えられることは当業者には理解できる。更に本発明の対象、思想および範囲に個々の状況、物質、組成物、方法または工程を適合するために多くの変形がなされてもよい。これらの変形はすべて本発明の請求の範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】冠状動脈の内皮細胞の成長に及ぼすベータセロン(1000IU/ml)の効果を示すグラフである。
【図2】冠状動脈の平滑筋細胞の成長に及ぼすベータセロン(1000IU/ml)の効果を示すグラフである。
【図3】ヒト冠状動脈の平滑筋細胞およびヒト冠状動脈の内皮細胞にチミジンを混入したベータセロンの効果を示すグラフである。
【図4】種々のヒト細胞タイプおよび菌株にチミジンを混入したベータセロン(1000IU/ml)の効果を示す表である。
【出願人】 【識別番号】398066011
【氏名又は名称】バーレツクス ラボラトリーズ インコーポレーテツド
【氏名又は名称原語表記】Berlex Laboratories,Inc.
【出願日】 平成19年10月10日(2007.10.10)
【代理人】 【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄

【識別番号】100094798
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 利臣

【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也


【公開番号】 特開2008−31179(P2008−31179A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2007−264701(P2007−264701)