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【発明の名称】 咳治療用組成物
【発明者】 【氏名】アウン ジン

【氏名】カン ヨンスー

【氏名】キム ソンジン

【要約】 【課題】テオブロミンを含有する咳治療用組成物を提供する。

【構成】この咳治療用組成物には、組成物の総重量を基準に、テオブロミン化合物又はその薬学的に許容可能な塩80〜99重量%と、滑沢剤1〜20重量%と、が含まれる。このような咳治療用組成物の1回服用量には、テオブロミン化合物又はその薬学的に許容可能な塩がテオブロミン成分として300〜500mgが含まれることができる。また、この咳治療用組成物は、ぜんそく、後鼻漏又は胃食道逆流により誘発された咳を治療するのに有用である。滑沢剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム又はこれらの混合物であり得、咳治療用組成物は、カプセル製剤であることが好ましい。本発明に係る咳治療用組成物は、ぜんそく、後鼻漏、胃食道逆流のような原因疾患により誘発される咳の症状を緩和する効果が優れており、異常反応が少ないため、安全に服用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の総重量を基準に、
下記の式で表されるテオブロミン化合物又はその薬学的に許容可能な塩80〜99重量%と、
滑沢剤1〜20重量%と、を含む咳治療用組成物。
【化1】


【請求項2】
前記テオブロミン化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、1回の服用量にテオブロミン成分として300〜500mgが含まれる請求項1に記載の咳治療用組成物。
【請求項3】
前記咳は、ぜんそく、後鼻漏又は胃食道逆流により誘発される請求項1に記載の咳治療用組成物。
【請求項4】
前記滑沢剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム又はこれらの混合物を含む請求項1に記載の咳治療用組成物。
【請求項5】
前記組成物は、カプセル製剤である請求項1に記載の咳治療用組成物。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、咳治療用組成物に関し、さらに詳細には、テオブロミンを有効成分として含有する咳治療用組成物に関する。
【0002】
咳は、健康な人から共通的に現れる防御的な反射過程であるが、多様な疾患による持続的な咳は、患者の生活の質を軽減させ悪化させる。
【0003】
いままで広く利用されている鎮咳成分としては、コデイン(麻薬類)とデキストロメトルファンなどがある。このような鎮咳成分は、主に中枢神経に作用するものである。しかしながら、中枢神経に作用する鎮咳剤は、たびたび鎮静作用や胃腸障害のような好ましくないか、又は過度な副作用があるという問題がある。したがって、安全で、かつ末梢神経に作用して効果的に咳を緩和させることができる鎮咳剤の開発が試みられている。
【0004】
また、咳症状を誘発させる原因疾患としては、慢性閉鎖性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)、気管支ぜんそく、肺ガン、瀰満性てんかん性肺疾患、気管支拡張症、後鼻漏、胃食道逆流など多様であるが、そのような原因疾患により、鎮咳剤の咳緩和効果が異って現れることがあるため、原因疾患に応じる鎮咳剤を開発する必要性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、安全で、かつ末梢神経に作用して、ぜんそく、後鼻漏及び胃食道逆流のような原因疾患により誘発される咳症状を効果的に緩和させることができる咳治療用組成物を提供することにある。
【0006】
本発明の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していない他の技術的課題らは、以下の記載から当業者にとって明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成すべく、本発明の一実施例に係る咳治療用組成物は、組成物の総重量を基準に、テオブロミン化合物又はその薬学的に許容可能な塩80〜99重量%と、滑沢剤1〜20重量%と、を含む。
【0008】
その他、実施例の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。
【0009】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付する図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すると、明確になるはずである。しかしながら、本発明は、以下に開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現されることができ。本実施例は、本発明の開示が完全になるように、本発明の属する技術分野における通常の知識を有した者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されているものであり、本発明は、請求項の範疇範により定義されるのみである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る咳治療用組成物は、ぜんそく、後鼻漏、胃食道逆流のような原因疾患により誘発される咳の症状を緩和する効果が優れており、異常反応が少ないため、安全に服用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0012】
本発明の一実施例に係る咳治療用組成物は、有効成分としてテオブロミン(Theobromine)を含む。このようなテオブロミンは、テオブロミン遊離塩基の形態であるか、又はテオブロミンの薬学的に許容可能な塩形態であり得る。
【0013】
テオブロミンは、天然メチルキサンチンアルカロイドであって、茶葉(テアシネンシス(Thea sinensis))、カカオ実(テオブロマカカオ(Theobroma cacao))及びコーヒー実(コーヒーアラビカ(Coffea arabica))から発見されるものと知られている。
【0014】
化1で表されるとおり、テオブロミンは、異種原子環天然物であって、苦味の有る白色結晶粉末で、溶解度は極性である。2個の芳香族異種原子環に分布されている4個の窒素原子は、プリン塩基から由来した物質の特性を有する。テオブロミンは、4個の窒素のうち、2個の窒素原子がメチル化し、残りの2個の窒素原子は、ピリミジン塩基形態の配列を有する。それは、強い相互作用の能力(例えば塩基性を有して陽性子と結合し得る能力)を有する遊離した各々の電子対を含む。
【0015】
【化1】


【0016】
このようなテオブロミン又はその薬学的に許容可能な塩は、末梢神経に作用して効果的に咳を鎮静することができる。本発明者らは、テオブロミン及びその薬学的に許容可能な塩と、これを含む咳治療用組成物に対する研究を重ねた結果、テオブロミン又はその薬学的に許容可能な塩は、特に、ぜんそく、後鼻漏及び胃食道逆流のような原因疾患により誘発された咳症状を緩和させるのに効果的であることを見出した。
【0017】
本発明の一実施例において、テオブロミン又はその薬学的に許容可能な塩は、組成物の総重量を基準に約80〜99重量%含まれる。これは、適切な剤形を維持し、かつ、薬効を最適化するための含量範囲である。また、有効成分としてテオブロミンは、1回服用量として約300〜500mgになるように組成物内に含み得る。
【0018】
テオブロミンに対する薬理効果などは、本出願の譲受人に共同譲渡された韓国公開特許第10−2001−005642号に詳細に記載されており、前記特許の内容は、本明細書に完全に開示されているように、援用により組み含まれる。
【0019】
また、本発明の一実施例に係る咳治療用組成物には、滑沢剤を含む。滑沢剤は、組成物内の固形成分の流れ、すなわち流動性を円滑にすることにより、剤形が安定的に形成され得るようにする。
【0020】
このような滑沢剤は、組成物の総重量を基準に約1〜20重量%の含量で含む。このような含量は、有効成分のテオブロミンの薬効を阻害せず、かつ、有効成分のテオブロミン又はその薬学的に許容可能な塩やその他の固形成分の流動性などを考慮したものである。
【0021】
この他にも、通常、咳治療用組成物に用いられることのできる添加物が、本発明の目的範囲内でさらに添加され得る。例えば、乳糖、とうもろこし澱粉、未結晶セルロースなどが用いられることができる。
【0022】
このような咳治療用組成物は、1日に1回〜4回程度服用できるが、症状と年齢により適切に調節され得ることはもちろんである。
【0023】
本発明の一実施例に係る咳治療用組成物は、カプセル形態であっても良い。このとき、カプセルの表皮は、当業界において一般的に用いられるものを使用することができ、例えば、ゼラチンなどで作ることができる。
【0024】
以下では、テオブロミンの製造方法を例示的に説明する。テオブロミンは、天然材料から抽出して得ることもできるが、次のような製造工程により合成することもできる。
【0025】
第1工程:縮合(condensation)工程
【0026】
シアン酢酸を酢酸無水物の存在下にモノメチルウレアと反応させ、シアノ−アセチル−メチル−ウレア(Cyano−acetyl−methyl−urea:CAMU)を形成する。
【0027】
【化2】


【0028】
第2工程:環化工程
【0029】
第1工程から得られたCAMUを水酸化ナトリウムの存在下で環化して、4−アミノ−3−メチル−ウラシル(4−amino−3−methyl−uracil:AMU)のナトリウム塩を形成し、続けて硫酸希釈液で処理する。
【0030】
【化3】


【0031】
第3工程:ブロム化工程
【0032】
第2工程から得られたAMUをブロムと反応させて、4−アミノ−5−ブロモ−3−メチル−ウラシル(4−amino−5−bromo−3−methyl−uracil:ABMU)を形成する。
【0033】
【化4】


【0034】
第4工程:アミノメチル化工程
【0035】
第3工程から得られたABMUをモノメチルアミンと反応させて、4−アミノ−5−メチルアミノ−3−メチルウラシル(4−amino−5−methylamino−3−methyluracil:NMU)を形成する。
【0036】
【化5】


【0037】
第5工程:ホルミル化工程
【0038】
第4工程から得られたNMUをギ酸と反応させ、水酸化ナトリウムの存在下で環化してテオブロミンナトリウム塩を形成し、続けて塩酸で処理して、テオブロミンを得る。
【0039】
【化6】


【0040】
このような方法により製造され得るテオブロミンを有効成分とするカプセル剤を次のように製造した。
【0041】
通常、カプセル剤を製造する工程によって、テオブロミン99重量%、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム1重量%からなるカプセル剤を製造した。このとき、テオブロミンの含量がそれぞれ300mg、500mgになるように、2種類のカプセル剤を製造した。
【0042】
以下では、製造されたカプセル剤の効能に対する臨床実験例を説明する。
【0043】
咳症状の緩和効果
【0044】
前もって製造されたカプセル剤で被験者120人に対してCQLQ(Cough specific Quality of Life Questionnaires,Chest,121,4,April,2002,Todd M.Adams)の変化量を利用して臨床実験を行った。それぞれのカプセル剤に対する被験者らは、7日間、一日2回服用した。CQLQは、下記の表1に記載された28ケの質問項目に対する書面照射方式で、それぞれ質問項目は4点尺度のリカートスケール(1.全く当てはまらない、2.当てはまらない、3.ほぼ当てはまる、4.完全に当てはまる)で測定した。
【0045】
【表1】


【0046】
被験者は、ぜんそく、後鼻漏、胃食道逆流のような呼吸器疾患を有した咳患者であり、具体的な条件は次のとおりである。
【0047】
<被験者の選定基準>
【0048】
1.万18才以上60才以下の成人
2.気管支ぜんそく、後鼻漏、胃食道逆流のうち、何れか1つ以上の疾患により咳症状の発生した者
3.咳症状があって内科的治療を要する者として、時間当り平均3回以上の発作性咳(coughing spell)症状がある者
4.生殖力のある男性及び妊娠かのうな女性の場合には、臨床試験期間の間、適切な承認された避姙法を使用する意志のある者
5.妊娠可能な女性の場合、臨床試験の登録前7日以内に血清妊娠検査結果が陰性である者
6.本臨床試験に自意で参加を決定し、書面にて同意した者
7.信頼でき、試験期間の間、精一杯協調し、制限事項を遵守する者
【0049】
本臨床試験は、GCP(Good Clinical Practice)ガイドラインにしたがって行われた。本臨床試験に参加して投薬された全ての被験者120人を含むITT(Intended To Treatment)分析と108人に対するPP(Per Protocol)分析を実施した。
【0050】
その結果、図1に示すように、ITT分析時、300mg容量のカプセル剤を服用した試験1群のCQLQ変化量は、6.68±9.95点、500mg容量のカプセル剤を服用した試験2群の場合には、7.45±9.06点、偽薬対照群は、2.65±7.15点であり、試験1群、試験2群の偽薬対照群対比検定結果は、それぞれp(significance probability)=0.0414、p=0.0103と調査されて、偽薬対比して試験薬300mg、500mg両方とも優れたことを確認した。PP分析結果も、ITT分析結果と似ており、試験1群、試験2群の偽薬対比検定結果は、それぞれp=0.0410、p=0.0505と調査されて、p<0.1の範囲内で評価するとき、偽薬対比試験群の症状緩和効果が優れていることを確認した。
【0051】
異常反応発現症例率
【0052】
本臨床試験期間の間、異常反応は、ITT対象者120人中53人で112件発生し(発現症例率44.17%)、試験1群では、16人で34件、試験2群では、16人で26件の異常反応が発生したと評価され(発現症例率それぞれ40%)、偽薬対照群では、21人で52件の異常反応が発生したと評価された(発現症例率52.5%)。発生した異常反応をカテゴリー別に分類した結果、最も多い異常反応は「神経(Neurology)」系統(40件)で最も多く、そのうち、30件が「頭痛(headache)」であった。「胃腸(Gastrointestinal)」系統の異常反応が36件であり、「全身症状(Constitutional symptom)」が16件であるなどの順で評価された。全体120件の異常反応のうち、重大な異常反応は一件もなく、9件の異常反応が重症(3等級)と評価された。重症として評価された異常反応には、頭痛が3件、腹部膨脹(distension)2件、下痢、不眠症、顔面浮腫、吐き気各1件ずつと評価され、全て試験薬と関連のある可能性があるか、又は関連のあるものと評価された。重症と評価された9件の異常反応のうち、4件は、偽薬対照群から発生した異常反応と確認された。
【0053】
また、活力の徴候、実験実績の検査などの各項目の投薬前後の比較(pairedt−test)では、特別な異常反応は観察されなかった。
【0054】
このように、本発明の一実施例に係る咳治療用組成物は、ぜんそく、後鼻漏、胃食道逆流による咳症状に対する緩和効果が優れており、安全であることが分かる。
【0055】
上述した本発明の好ましい実施の形態は、例示の目的のために開示されたものであり、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、様々な置換、変形、及び変更が可能であり、このような置換、変更などは、特許請求の範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施例に係る咳治療用組成物の咳症状の緩和効果を説明するためのグラフである。
【出願人】 【識別番号】507058443
【氏名又は名称】アン − グク ファーマシューティカル コーポレーション リミテッド
【出願日】 平成19年2月22日(2007.2.22)
【代理人】 【識別番号】100066692
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 皓

【識別番号】100072040
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 肇

【識別番号】100088926
【弁理士】
【氏名又は名称】長沼 暉夫

【識別番号】100102897
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 幸弘


【公開番号】 特開2008−31146(P2008−31146A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2007−42526(P2007−42526)