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【発明の名称】 ハンドクリームおよびその製造方法
【発明者】 【氏名】直江 泰子

【要約】 【課題】

【構成】本発明のハンドクリームは、水性成分中に油性基材が分散されたハンドクリームであって、該ハンドクリームの水性成分中に難水溶性防腐剤が含有されていると共に、該油性基材の60重量%以上が無極性油性基材であることを特徴としている。本発明のハンドクリームを構成する成分は全て可食性化合物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性成分中に油性基材が分散されたハンドクリームであって、該ハンドクリームの水性成分中に難水溶性防腐剤が含有されていると共に、該油性基材の60重量%以上が無極性油性基材であることを特徴とするハンドクリーム。
【請求項2】
上記難水溶性防腐剤の25℃の水に対する溶解度が0.04〜0.20重量%の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載のハンドクリーム。
【請求項3】
上記難水溶性防腐剤が、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸イソプロピルよりなる群から選ばれる少なくとも1種類のパラオキシ安
息香酸アルキルエステルであることを特徴とする請求項第1項記載のハンドクリーム。
【請求項4】
上記油性基材として用いられる無極性油性基材が流動パラフィンであることを特徴する請求項第1項記載のハンドクリーム。
【請求項5】
上記油性基材が無極性油性基材と極性油性基材とからなり、無極性油性基材が流動パラフィンであり、極性油性基材が高級脂肪酸トリグリセリド、高級脂肪酸、高級脂肪酸ポリグリセリドを含み、油性基材中における無極性油性基材と極性油性基材との配合重量比が、60:40〜99:1の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項または第4項記載のハンドクリーム。
【請求項6】
上記ハンドクリーム中における油性基材の含有率が、40重量%以下であることを特徴とする請求項第1項記載のハンドクリーム。
【請求項7】
上記ハンドクリームが、プロピレングリコールおよび/またはグリセリンを15重量%以下の量で含有することを特徴とする請求項第1項記載のハンドクリーム。
【請求項8】
上記ハンドクリームが、該ハンドクリームを構成する油性基材中に、25℃の水に対する溶解度が0.04重量%未満である水不溶性防腐剤を含有することを特徴とする請求項第1項記載のハンドクリーム。
【請求項9】
上記ハンドクリームを構成する全成分が可食化合物からなるものであることを特徴とする請求項第1項乃至第8項の何れかの項記載のハンドクリーム。
【請求項10】
加熱下に、水酸基含有化合物を含む水性溶液に、難水溶性防腐剤の少なくとも一部を溶解させた難水溶性防腐剤溶液を、多量の水性成分中に添加して防腐剤含有水性溶液を調製し、別途油性基材に乳化剤を溶解させた混合油剤を該防腐剤含有水溶液中に加えて該混合油剤を防腐剤含有水溶液に分散させることを特徴とするハンドクリームの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、防腐剤の有する即効性を維持することができるハンドクリームおよびその製造方法に関する。さらに詳しくは本発明は、防腐剤の有する即効性を維持することができると共に、安全性の高いハンドクリームおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水仕事などによる手荒れを防止するためにハンドクリームが使用されている。ハンドクリームは一般に、水性媒体中に油剤が分散したエマルジョンであることから、水中にカーボンソースとなる有機化合物が分散された状態にあり、細菌の繁殖しやすい環境にある。このためハンドクリームには細菌が繁殖しないように防腐剤が配合されているのが一般的である。
【0003】
このようなハンドクリームなどに配合される防腐剤としては、通常、水への溶解性が高いものが使用されるが、これらの防腐剤の多くは皮膚刺激や経口毒性が高いため、過敏性の肌質の人や、誤飲の恐れのある乳幼児と接する人に対しては、決して望ましいものではない。
従って、使用される防腐剤は、皮膚刺激や経口毒性の低いものが望ましいが、これらの防腐剤は一般に水に対する溶解性が低いものが多く、通常の場合このような防腐剤は主として油剤中に溶解される。
ハンドクリームなどにおいて、細菌は水相に生息し繁殖するが、防腐剤の大部分が油相に含有されている場合、細菌の繁殖によるハンドクリームの腐敗を防止するという防腐剤本来の作用効果を奏しているのは、水との接触により油相から僅かに水相に溶出する極一部の防腐剤に過ぎない。
具体的には、防腐剤として広汎に使用さているパラヒドロキシ安息香酸エステル誘導体などを水中油分散型のエマルジョンに配合しても、ほとんどが油相に溶解してしまう。さらに水相にパラヒドロキシ安息香酸エステル誘導体を添加しても、水相にある防腐剤が、時間の経過と共に溶解度の高い油相に移行してしまい、防腐剤の即効性が持続しないという問題がある。
【0004】
このような油相への移行を予定して配合する防腐剤の量を増やすことも考えられるが、防腐剤自体高価であると共に、防腐剤を増量することによる生体に対する影響も無視できない。特に乳幼児を持つ母親が使用するハンドクリームにおいては、乳幼児が誤飲する可能性もあり、ハンドクリームの構成成分を可食性化合物にして安全性を図るという提案もあり(特開平8-291042号公報(特許文献1)、特開昭53-79043号公報(特許文献2)参照)、防腐剤の配合量はできるだけ低く抑えようとする傾向がある。
【0005】
従って、上記のような誤飲の可能性も考えると、ハンドクリームに配合する防腐剤の量はできるだけ少なくして、配合した防腐剤を有効に活用する方法が求められている。
【特許文献1】特開平8-291042号公報
【特許文献2】特開昭53-79043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、配合した防腐剤の有する即効性を長期間維持ことができるハンドクリームを提供することを目的としている。
さらに、本発明は、仮に誤飲したとしても生体に対する影響が低く、しかも配合した防腐剤の有する即効性を長期間維持ことができるハンドクリームを提供することを目的とし
ている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のハンドクリームは、水性成分中に油性基材が分散されたハンドクリームであって、該ハンドクリームの水性成分中に難水溶性防腐剤が含有されていると共に、該油性基材の60重量%以上が無極性油性基材であることを特徴としている。
【0008】
本発明において難水溶性防腐剤とは、25℃の水に対する溶解度が0.04〜0.20重量%の範囲内にある防腐剤をいう。
このような防腐剤として、本発明では、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピルおよび、パラオキシ安息香酸イソプロピルよりなる群から選ばれる少なくとも1種類のパラオキシ安息香酸アルキルエステルを用いることが好ましい。
【0009】
また、本発明のハンドクリームの製造方法は、加熱下に、水酸基含有化合物を含む水性溶液に難水溶性防腐剤を溶解させた難水溶性防腐剤溶液を、多量の水性成分中に添加して防腐剤含有水性溶液を調製し、別途油性基材に乳化剤を溶解させた混合油剤を該防腐剤含有水性溶液中に加えて該混合油剤を防腐剤含有水性溶液に分散させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のハンドクリームでは、水に溶けにくいけれども僅かに溶解する難水溶性の防腐剤を、一旦水に無理に溶解させた後、油剤を配合して水中油型エマルジョンを形成しており、さらに水相にある上記難水溶性防腐剤を油相に移行しにくくするために、油性基材として無極性油性基材を配合している。本発明で使用する難水溶性防腐剤は極性基を有しているために水に僅かに溶解するという特性を有しており、この特性を利用すると共に、水酸基含有化合物を併用することにより、この難水溶性防腐剤を一旦水性保湿剤に溶解させた後、この溶液に多量の水性媒体中を加えて難水溶性防腐剤を溶解させる。さらに、この水性溶液中に配合する油剤として、無極性油性基材を多量に用いることにより、水性溶液中に溶解した難水溶性防腐剤を油相に移行しにくく配合して、難水溶性防腐剤を長期間にわたって水性溶液中に溶解した状態を維持している。
【0011】
従って、本発明によれば、配合した防腐剤を油相に移行させずに水相に長期間溶解させた状態を維持することができるので、配合した防腐剤を有効に活用することができる。このため、用いる防腐剤を増量することなく高い防腐性を維持することができる。しかも、本発明のハンドクリームに配合される成分を全て可食性化合物にすることにより、仮に本発明のハンドクリームを誤飲したとしても、生体に悪影響を及ぼしにくいとの構成を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に本発明のハンドクリームについてその製造方法の例を示しながら具体的に説明する。
図1は、本発明のハンドクリームを製造する方法の例の工程図である。
【0013】
図1に示すように、本発明のハンドクリームは、減圧装置付きの混合容器を用いて製造することが好ましい。
この減圧装置付きの混合容器には、容器内を減圧にするための減圧装置と、内容物を混合するためのパドルと、添加物を強攪拌するためのホモミキサーとが備え付けられている。また、この混合容器には、加熱手段、冷却手段が設けられており、これらは内容物を所望の温度に調整可能に形成されている。さらに、この混合容器には各種原料成分を添加する配合口が設けられている。
【0014】
この混合容器とは別に設けられた攪拌装置付き混合装置を用いて、700〜900rpm
に攪拌しながら、水性保湿剤である多価アルコールもしくは糖類に増粘剤を分散させる。
さらに、この増粘剤を分散させた水性保湿剤に難溶性防腐剤を配合して溶解させる。
【0015】
ここで使用する水性保湿剤としては、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトールなどの化合物を挙げることができる。このような水性保湿剤は、製造されるハンドクリーム100重量部に対して通常は5〜25重量部、好ましくは5〜20重量部の範囲内の量で使用することができる。
【0016】
本発明において、増粘剤を分散させ、さらに難水溶性防腐剤を溶解させるため媒体として使用する水性保湿剤としては、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトールのうちの何れかを単独であるいは組み合わせて使用することが好ましい。
【0017】
この増粘剤および/または難水溶性防腐剤の溶解に用いる水性保湿剤の使用量は、水性保湿剤の全使用量(100重量%)の通常は20〜100重量%程度、好ましくは60〜10
0重量%程度である。
【0018】
本発明で使用する増粘剤としては、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、寒天、デンプン、グアーガム、ペクチン、ジュランガム、タマリンドガムを挙げることができる。
【0019】
本発明のハンドクリームはある程度の粘度があることが好ましいので、本発明では、増粘剤としての安定性の良いキサンタンガムおよび/またはカルボキシメチルセルロースナトリウムを使用することが好ましい。
【0020】
上記のような増粘剤は、製造されるハンドクリーム100重量部に対して通常は0.1〜0.5重量部、好ましくは0.1〜0.3重量部の範囲内の量で使用する。
本発明で使用する難水溶性防腐剤は、25℃の水(100重量部)に対する溶解度が0.04〜0.20重量部の防腐剤であり、このような難水溶性防腐剤の具体的な例としては、パラオキ
シ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸イソプロピルなどのパラオキシ安息香酸アルキルエステルを挙げることができ、これらの防腐剤を単独で或いは組み合わせて使用することができる。
【0021】
他方、本発明において、水に不溶性防腐剤は、25℃の水(100重量部に対する愉快度が0.04重量部に満たない防腐剤および溶解度が0.20を超える防腐剤は、本発明では、「難水溶性防腐剤」ではない。
【0022】
このような難水溶性防腐剤は、水に対する溶解度が低いために直接水に配合しても溶解しにくく、完全に水に溶解しない状態でカルボン酸トリグリセリドのような極性の油剤と接触すると、水中から油剤によって容易に抽出され、油相に移行してしまう。
【0023】
このため本発明では、難水溶性防腐剤を、水酸基などの極性基を含有する水性保湿剤に溶解させた後、得られた難水溶性防腐剤含有保湿成分を水に投入して、難水溶性防腐剤が水に完全に溶解された安定な状態を形成する。
【0024】
このような難水溶性防腐剤は、製造される本発明のハンドクリーム100重量部に対して、通常は0.01〜1.2重量部、好ましくは0.1〜1.0重量部の範囲内の量で使用される。
【0025】
上記のような量の難水溶性防腐剤を、上記のように多価アルコールなどの水酸基を含有する水性保湿成分に配合することにより、ハンドクリームを構成する水性成分中に安定に溶解させた状態を形成することができる。
【0026】
なお、上記の例は、増粘剤と難水溶性防腐剤とを、同時に多価アルコールなどの水性保湿剤中に配合した例であるが、増粘剤と難水溶性防腐剤とを、別々に多価アルコールなどの水性保湿剤中に分散もしくは溶解させることもできる。
【0027】
次いで、この攪拌装置付き混合容器に、水性媒体である精製水を配合する。
この精製水を配合する際の温度は通常は60〜80℃、好ましくは60〜70℃の範囲内の温度に調整される。
【0028】
ここで使用される精製水の量は、本発明のハンドクリームを製造する際に用いられる水の総量(100重量%)の40重量%以上、好ましくは45〜90重量%であり、残余の精
製水は、成分微調整用あるいは他の成分を配合する際の溶媒あるいは共洗用溶媒として使用する。
【0029】
上記のように精製水を加える際には、難水溶性防腐剤含有保湿成分を均一に溶解させるように高速で攪拌しながら精製水を添加することが好ましい。
通常は、パドルを用いて100〜1000rpm、好ましくは700〜900rpmの速度で安定になるまで混合し、難水溶性防腐剤含有水性溶液を得る。
【0030】
この難水溶性防腐剤含有水性溶液を、前述の減圧装置付きの混合容器に投入し、パドルを用いて10〜30rpmの速度で混合する。
このような減圧装置付き混合装置に調製された水性溶液とは別に、この減圧装置付き混合装置に次に配合される油性基材の混合物(混合油剤)を別の攪拌装置付き混合容器で調製する。
【0031】
本発明で使用する油性基材として、無極性油性基材を使用する。
即ち、本発明で使用可能な油性基材としては、無極性油性基材と極性油性基材とがあるが、本発明のハンドクリームの水相に溶解している難水溶性防腐剤を安定に水相に留置して油相に移行させないためには、油相を構成する油性基材の極性が低いことが望ましく、本発明では無極性油性基材を、使用する油性基材の総量(100重量%)の60重量%以上、
好ましくは60〜90重量%の範囲内の量で使用することが望ましい。
【0032】
無極性油性基材が60重量%よりも少ないと、本発明のハンドクリームを形成する油性基材に、水相に溶解されている難水溶性防腐剤が抽出されやすくなり、上述のようにして難水溶性防腐剤を水相に安定に溶存させた状態を長期間維持することが困難になる。
【0033】
本発明で使用することができる無極性油性基材の例としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックスなどを挙げることができる。
このような無極性油性基材は単独で或いは組み合わせて使用することができる。
【0034】
特に本発明では無極性油性基材として、流動パラフィンを使用することが好ましい。
本発明では上記のような無極性油性基材と共に、極性油性基材を用いることができる。従って、本発明で使用することができる極性油性基材の量は、使用する油性基材の総量(100重量%)の40重量%以下、好ましくは10〜40重量%の範囲内の量である。
【0035】
このような量で極性油性基材を用いても混合油剤は無極性油性基材の特性が維持されるので、水相に安定に溶存する難水溶性防腐剤を水相に長期間保持することができる。
本発明で使用することができる極性油性基材の例としては、ホホバ油、ヤシ油、オリーブ油、アーモンド油、カカオ油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、トウモロコシ油、グレープシード油、ナタネ油、パーム油、ヒマワリ油の植物性油;牛脂脂肪酸エステル、卵黄油などの動物性油;ミツロウ、カウナバロウ、キャンデラロウ、ライスワックスなどの各種ロウ類;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ウンデカン酸などの脂肪酸類;トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、カプリル酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコールなどの脂肪酸エステル類などを挙げることができる。
【0036】
これらの極性油性基材は単独で或いは組み合わせて使用することができる。
本発明で使用される上記無極性油性基剤および極性油性基材は、可食化合物であることが好ましい。
【0037】
本発明では、極性油性基材として、ホホバ油、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ミツロウ、ステアリン酸を使用することが好ましい。
本発明のハンドクリームを構成する油性基材が、無極性油性基材と極性油性基材とからなることが好ましく、この中で無極性油性基材が流動パラフィンであることが特に好ましく、極性油性基材が高級脂肪酸トリグリセリド、高級脂肪酸、高級脂肪酸ポリグリセリドを含むものであることが特に好ましい。
【0038】
このような好適な混合油剤中における無極性油性基材と極性油性基材との配合重量比は、通常は20:80〜99:1の範囲内、好ましくは60:40〜99:1の範囲内、特に好ましくは60:40〜90:10の範囲内にある。
【0039】
さらに、本発明のハンドクリーム(100重量部)中には、上記のような無極性油性基材と無極性油性基材とからなる混合油剤が、通常は20重量部以下の量で配合されており、好ましくは20〜40重量部の範囲内の量で配合されている。
【0040】
このような量で混合油剤を配合することにより、本発明のハンドクリームは優れた保護性を有するようになる。
上記のような混合油剤には、上述の乳化剤、必要により水不溶性防腐剤などの油溶性防腐剤を配合して、均一に溶解させる。
【0041】
ここで水不溶性防腐剤は、25℃の水に対する溶解度が通常は0.04重量%未満、多くの場合0.02重量%以下の防腐剤であり、具体的な例としては、パラオキシ安息香酸ブチルのような炭素数4以上のアルキル基を有するパラオキシ安息香酸アルキルエステルを挙げることができる。
【0042】
このような水不溶性防腐剤は、本発明のハンドクリーム100重量部中に、通常は0.01〜0.5重量部、好ましくは0.1〜0.3重量部の範囲内の量で配合される。
このような水不溶性防腐剤を併用することにより、本発明のハンドクリームにおける防腐性能を長期間維持することができる。
【0043】
次いで、この攪拌装置付きの混合容器の混合油剤に乳化剤を配合する。
本発明で使用することができる乳化剤は、使用する油性基材に応じて適宜選択して使用することができる。
【0044】
さらに、本発明で使用する乳化剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル(例:ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸ポリグリセリル、ラウリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、自己乳乳化型モノステアリン酸グリセリル、カプリン酸ポリグリセリルなど)
;ショ糖脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル(例:ステアリン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン)のような非イオン性界面活性剤、ステアリン酸ナトリウムのような陰イオン性界面活性剤などを挙げることができる。
【0045】
そして、本発明で乳化剤として使用される上記のような界面活性剤は、可食化合物であることが好ましい。
このように乳化剤として可食化合物を使用することにより、本発明のハンドクリーム自体の安全性が高くなり、仮に誤飲したとしても、生体に対する影響は極めて小さい。
【0046】
このような界面活性剤は単独で或いは組み合わせて使用することができる。
本発明において、上記のような界面活性剤の使用量は、得られるハンドクリーム100重量部中に通常は5〜15重量部、好ましくは5〜10重量部の範囲内にある。
【0047】
このような量で界面活性剤を使用することにより、より安定に油性基材を水性媒体中に分散させることができる。
本発明では乳化剤として上記のような界面活性剤の少なくとも一部を、上記攪拌装置付き混合容器に投入する。
【0048】
このときの攪拌温度は、通常は70〜90℃、好ましくは80〜90℃であり、パドルなどの攪拌手段を用いて、例えば900〜1100rpm程度の攪拌速度でゆっくり攪拌し
て、全体を均一にする。
【0049】
また、このようにして調製される混合油剤には、さらに消泡剤を添加することができる。ここで使用される消泡剤に特に制限はないが、例えばシリコーン系の消泡剤などを使用することができる。消泡剤の使用量は適宜選定できるが、通常は本発明のハンドクリーム(100重量部)中に、0.001〜0.5重量部程度である。
【0050】
さらに、本発明のハンドクリームに香料を配合する場合、油性の香料は上記のような混合油剤に配合して添加することができる。この場合の香料の使用量は適宜選定できる。
このような消泡剤、香料などは、混合油剤を水性溶液中に投入する直前に混合油剤に配合されることが好ましい。
【0051】
上記のように油性基材、乳化剤、水不溶性防腐剤などが均一に混合されて溶解した混合油剤を、上記減圧装置付き混合容器に投入して、既にこの減圧装置付き混合容器内にある水性溶液中に分散させる。
【0052】
この混合油剤は、減圧下に水性媒体中に添加されることが好ましい。
即ち、混合容器に備え付けられている減圧装置を稼動させて、混合容器内の圧力を、通常は0.01〜0.09MPa程度の減圧、好ましくは0.03〜0.05MPa程度の減圧にした後、上記のようにして別途調製した混合油剤を水性溶液中に導入することにより、水性溶液中に油剤成分が分散したエマルジョンを形成することができる。
【0053】
このエマルジョンは粘度が高いために気泡を巻き込み易いが、上記のような減圧下に混合油剤を水性溶液中に分散させることにより、形成されるエマルジョンの気泡含有率を低減することができる。
【0054】
特にシリコーン系消泡剤を用い、減圧下にエマルジョンを形成することにより、非常にキメの細かいエマルジョン、即ちハンドクリームを形成することが可能になる。
上記のように混合油剤を水性溶液中に分散させてエマルジョンを形成する際には混合油
剤が固化しないように、混合油剤中に含有される成分の融点以上の温度に水性溶液を加熱することが好ましく、水性溶液の温度を通常は75〜95℃、好ましくは80〜90℃の範囲内の温度にする。
【0055】
また、添加する混合油剤の温度も同様に、通常は75〜95℃、好ましくは80〜90℃の範囲内の温度にする。
また、上記のような混合油剤を水性溶液中に分散させる際には、高速攪拌下に混合油剤を水性溶液中に分散させることが好ましく、通常は2000〜3000rpm、好ましくは
2000〜2500rpmの速度でホモミキサーを回転させながら、通常は10〜30rpm、好ましくは20〜30rpmの速度でパドルを回転させて混合油剤を水性溶液に分散させて
エマルジョンを形成する。
【0056】
上記のような混合油剤は、高速攪拌下に少量ずつ水性溶液中に添加され、通常は10分〜60分かけて混合油剤を水性溶液に添加する。
こうして減圧下に混合油剤を水性溶液中に添加したエマルジョンを形成した後、さらにこのエマルジョンが安定するまで減圧状態を維持したまま、攪拌を続ける。
【0057】
このときのホモミキサーの回転速度は、通常は2000〜3000rpm、好ましくは2
000〜2500rpmであり、またパドルの回転速度は通常は10〜30rpm、好ましくは20〜30rpmである。
【0058】
また、このときのエマルジョンの温度は通常は80〜90℃に維持される。
こうして10分間〜60分間攪拌を続けてエマルジョンを安定させる。
このようにして攪拌することにより相当に稠度の高いエマルジョンが形成され、ホモミキサーの回転を停止して、パドルで攪拌しながらエマルジョンの温度を30〜50℃に冷却する。このように冷却する際に混合容器内を常圧に戻しても良いし、減圧状態を維持してもよい。
【0059】
このようにして冷却した後、必要により、水溶性の防腐剤、さらには水溶性の香料を使用する場合には香料を水に溶解した水溶液を添加する。
さらに水を加えて全体量が100重量部になるように調整した後、パドルを用いて10〜30rpmの速度で攪拌しながら室温まで冷却する。
【0060】
さらに、攪拌しながら混合容器内の圧力を常圧まで戻す。
上記のようにして得られたエマルジョンは、濾過工程を経て容器に充填されてハンドクリームとなる。
【0061】
例えば上記の工程を経て得られた本発明のハンドクリームには、このハンドクリームを構成する水性溶液中に難水溶性防腐剤は安定に溶解した状態で含有されている。
しかも水性溶液中に分散されている油剤中における無極性油性基材の含有率が高いために、水相の難水溶性防腐剤が油相に移行しにくくされており、従って難水溶性防腐剤が水性溶液中に溶解された状態を、長期間にわたり、安定に維持することができる。
【0062】
このように本発明のハンドクリームには、難水溶性防腐剤が水性溶液中に安定した状態で溶解されている。
ハンドクリームにおける細菌の繁殖は、主として水性溶液中で生ずる現象であり、本発明のハンドクリームのように防腐剤を水性溶液中に安定に保持することにより、防腐剤の量を少なくしても確実に細菌の繁殖を抑制することができる。
【0063】
しかも水相の防腐剤が油相に移行しにくいので、上記のような優れた殺菌性能が長期間
にわたって維持される。
本発明のハンドクリームでは、水性溶液中に溶解されている防腐剤が有効に作用し、油相にある防腐剤が水相に溶出して作用するのではないので、防腐作用に即効性があり、この防腐剤の即効性が長期間維持される。
【0064】
さらに、有効に作用する防腐剤の量が多いので、ハンドクリーム内における防腐剤の含有率を低くすることが可能であり、安全性が高い。
加えて、本発明のハンドクリームを可食化合物で形成すれば、このハンドクリームを誤飲したとしても、生体に及ぼす影響は小さく、従って本発明のハンドクリームは極めて安全性が高い。
【0065】
上記のように本発明のハンドクリームは、水性溶液中に難水溶性防腐剤を無理に溶解させ、さらにこの難水溶性防腐剤が油相に移行しにくいように混合油剤を構成して水性溶液中に分散すればよく、本発明のハンドクリームは上記製造方法に限定されるものではない。
【0066】
上記例示した方法では、難水溶性防腐剤を水性保湿剤中に溶解し、ここに水性媒体を添加して難水溶性防腐剤を水性媒体中に溶解させているが、これに限らず、例えば難水溶性防腐剤を溶解した保湿剤を水性媒体に添加して難水溶性防腐剤を水性媒体中に溶解させてもよい。
【0067】
また、上記例示した方法では、水性媒体中に難水溶性防腐剤を溶解させた後、この水性溶液中に混合油剤を添加してエマルジョンを形成しているが、これに限らず、例えば、水性媒体に混合油剤を分散させてエマルジョンを形成した後、このエマルジョンに、水性保湿剤に溶解させた難水溶性防腐剤を添加してもよい。また、図2に示すような方法によっても本発明のハンドクリームを製造することができる。
【実施例】
【0068】
次に本発明のハンドクリームおよびその製造方法について実施例を示してさらに詳細に説明するが本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔実施例1〕
減圧装置付き混合容器に125.5kgの水を入れて60〜70℃の温度に加熱しながらパドルを用いて775rpmの回転速度で攪拌した。
【0069】
これとは別にプロピレングリコール2kgにカルボキシメチルセルロースナトリウム(商品名:ダイセル1140、ダイセル化学好調(株)製)0.25kgを分散させて、カルボキシルメチルセルロースナトリウムのプロピレングリコール分散液を調製して、上記混合容器中の水中に、攪拌下に投入して溶解させた。
【0070】
さらに同様にキサンタンガム0.25kgを2kgのプロピレングリコールに分散して、上記混合容器内の水中に攪拌下に投入し、投入後液温を70℃に加熱して溶解させた。
このようにしてキサンタンガム、カルボキシルメチルセルロースナトリウムが投入された混合容器中の水性媒体を24rpmの攪拌速度でパドルを用いて攪拌しながら常温まで冷
却し、一晩静置した。
【0071】
次いで、パドルを用いて19rpmの速度で攪拌しながら水性媒体を加熱して80℃に加熱
した。
上記の減圧装置付き混合容器とは別に、精製水120kgにプロピレングリコール6kg、農グリセリン25kg、ソルビトール25kg、難水溶性防腐剤であるパラオキシ安息香酸エチル2.0kg、保湿剤であるイノシトール5.0kgを加えて、78〜82℃に加熱して5
75rpmに強攪拌して、難水溶性防腐剤であるパラオキシ安息香酸エチルを完全に溶解さ
せた。この水性溶液を上記の減圧装置付き混合容器に投入して80℃に加熱してパドルで19rpmの速度で攪拌することにより均一な水性溶液を得た。
【0072】
なお、ここで使用した難水溶性防腐剤であるパラオキシ安息香酸エチルは、25℃の水100gに0.11gの割合で溶解する。
減圧装置付き混合容器とは別の容器に、無極性油性基材である流動パラフィン85kgを採り、バルセーターで975rpmの速度で攪拌しながら、83℃に加熱した。この流動パ
ラフィンに、極性油性基材であるトリ(カプリル/カプリン)酸デカグリセリル(商品名:ココナードMT、花王(株)製)13.5kg、極性油性基材であるホホバ油15kg、水不溶性防腐剤であるポリオキシ安息香酸ブチル0.5kg、さらに乳化剤であるモノミリスチン酸デカグリセリル(商品名:SフェイスM-1001、花王(株)製)、極性油性基材であるサラ
シミツロウ(三木化学工業(株)製)25kg、乳化剤である自己乳化型モノステアリン酸グリセリル(SE)(商品名:NIKKOL MGS-FSEV、日光ケミカルズ(株)製)15kg、モノステ
アリン酸ソルビタン(商品名:NIKKOL SS-10V、日光ケミカルズ(株)製)15kg加えて溶解させた。これらの成分が均一に溶解したことを確認した後、これに消泡剤であるシリコーン樹脂(商品名:SH5500、東レダウコーニング(株)製)1.5kgおよび香料であるオレンジオイル1.5kgを加えて混合油剤を調製した。さらに、水を加えて全体を500kgとした。
【0073】
こうして調製された混合油剤を、350mmHgの圧力に減圧された上記の減圧装置付き
混合容器中の水性溶液(温度80℃)中に強攪拌下に30分かけて投入してエマルジョンを調製した。
【0074】
このときのホモミキサーの回転速度は1700rpm、パドルの回転速度は14rpmである。
得られたエマルジョンを、さらに78℃に加熱して、350mmHgの減圧下にパドル回転速度14rpm、ホモミキサー回転速度2450rpmで5分間攪拌を続けた。
【0075】
パドルで19rpmで回転しながら25℃まで冷却した。
次いで、パドルで攪拌しながら700mmHgで再減圧し、その後常圧に戻し、さらに得られた混合容器内のエマルジョン500kgを濾過しながら所定の容器に充填してハンドクリームを製造した。
【0076】
なお、上記のハンドクリームの製造で使用した原料は、全て可食性化合物である。
上記のようにして調製したハンドクリームの水相を分離してポリオキシ安息香酸エチルの含有量を分析した結果、水性媒体中に溶解したポリオキシ安息香酸エチルがほとんどそのまま、水性媒体中に溶存されていた。
〔実施例2〜5〕
実施例1に準じて、表1に記載の成分を用いてハンドクリームを製造し、緑膿菌(Ps)の48時間後の残存菌数、カンジタ(Ca)の48時間後の残存菌数を調べて、水性媒体中の難水溶性抗菌剤(ポリオキシ安息香酸エチル=エチルパラペン)の殺菌性と油性基材の極性について調べた。結果を表1に併せて記載する。
【0077】
なお、実施例2〜5では、各防菌に対する作用効果を確認するために、パラオキシ安息香酸プロピル(プロピルパラペン)およびパラオキシ安息香酸ブチル(ブチルパラペン)は分散のよういな油性基材中にさせて使用し、これらは水性媒体に添加せずに油性基材中に配合した。
【0078】
【表1】


【0079】
上記表1から明らかなように、水性媒体中に溶解している難水溶性防腐剤であるパラオキシ安息香酸エチルは、油性基材中の無極性油性基材である流動パラフィンの配合量を多くすることにより油相に移行しにくくなって水相に留まり、緑膿菌、カンジタ菌などの細菌・真菌に対する殺菌性が高く保たれることがわかる。
〔実施例6,7〕
実施例1に準じて、表2に記載の成分を用いてハンドクリームを製造し、大腸菌(E.cili)緑膿菌の24時間および48時間の残存菌数、緑膿菌(Ps)の24時間および48時間後の残存菌数、カンジタ(Ca)の24時間および48時間後の残存菌数を調べて、水性媒体中の難水溶性抗菌剤(ポリオキシ安息香酸エチル=エチルパラペン)の殺菌性と油性基材(トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル=極性油性基材)の極性について調べた
。結果を表2に併せて記載する。
【0080】
なお、実施例6,7では、パラオキシ安息香酸ブチル(ブチルパラペン)を使用しているが、これは水不溶性防腐剤であり油性基材中に配合した。
【0081】
【表2】


【0082】
上記表2から明らかなように、水性媒体中に溶解している難水溶性防腐剤であるパラオキシ安息香酸エチルは、油性基材中の無極性油性基材である流動パラフィンの配合量を多くすることにより油相に移行しにくくなって水相に留まり、体調菌、緑膿菌、カンジタ菌などの細菌・真菌に対する殺菌性について即効性があることがわかる。
〔実施例9〕
図2に示すように、強攪拌下に、保湿剤であるプロピレングリコール15kgに、増粘剤であるキサンタンガム1.5kg、保湿剤であるイノシトール0.5kgを加え溶解させる。この水性媒体を60℃に加熱し、乳化剤であるモノラウリン酸グリセリル(商品名:サンソフトNo.750,太陽化学(株)製)2.5kg、モノステアリン酸ポリグリセリル(商品名:NIKKOL Decaglyn1-SV、日光ケミカルズ(株)製)7.5kgを加えて溶解させる。さらに加温を
続け水性媒体が80℃以上になったら、80℃に加熱したプロピレングリコール8kgに難水溶
性防腐剤であるパラオキシ安息香酸エチル2kgを溶解した難水溶性防腐剤含有プロピレングリコール溶液を加え、溶解させる。減圧装置付きの混合容器に移して、パドルを用いて19〜21rpmの速度で攪拌する。なお、ここで使用した難水溶性防腐剤であるパラオキ
シ安息香酸エチルは、25℃の水100gに0.11gの割合で溶解する。
【0083】
ここで用いた減圧装置付きの混合容器は500kgのハンドクリームを形成可能な容量を有しており、さらにこの混合容器には、上記のように攪拌手段であるパドルが備えられていると共に、攪拌手段として高速攪拌手段としてホモミキサーが備えつけられている。ま
た、この混合容器には、加熱装置を有すると共に、容器自体が密閉可能にされており、この容器を密閉した後、吸引することにより、混合装置内を減圧に維持することができるようにされている。
【0084】
上記の減圧装置付き混合容器とは別の容器に、無極性油性基剤である流動パラフィン40kg、極性油性基材である精製ホホバ油(香栄興行(株)製)54kg、極性油性基材であるステアリン酸7.5kg、極性油性基材であるベヘン酸グリセリルとオクタステアリン酸ポリグリセリル-6との混合物(商品名AISET50、太陽工業(株)製)15.0kg、極性油性基
材であるトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(商品名:ココナメードMT、花王(
株)製)35kg、不溶性防腐剤であるパラオキシ安息香酸ブチル0.5kg、乳化剤である
モノステアリン酸ポリグリセリル(商品名NIKKOL Decaglyn 1-SV、日光ケミカル(株)製)1.5kg、モノカプリン酸グリセリル(商品名:サンソフトQ-10D、太陽工業(株)製)1kg、モノステアリン酸ソルビタン(商品名:NIKKOL SS-10V、日光ケミカルズ(株)製)7
.5kg、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル(SE)(商品名:NIKKOL MGS-FSEV、日
光ケミカルズ(株)製)15kgを加えて83〜87℃に加熱してパルセーターにより970rpmの速度で攪拌して均一な混合油剤を調製する。さらに、全体が均一になった後に、消
泡剤であるシリコーン樹脂(商品名:SH5500、東レダウコーニング(株)製)0.50kgを加える。
【0085】
なお、ここで使用した防腐剤であるパラオキシ安息香酸ブチルは、25℃の水100g
に対する溶解度が0.02g以下であり水不溶性防腐剤である。
上記のようにして調製した混合油剤を、82℃で、混合容器内の水性媒体中に30分かけて投入する。
【0086】
このとき、混合容器内の水性媒体も82℃に加熱されており、この水性媒体をホモミキサーで2000rpmの速度で、かつパドルで19〜20rpmの速度で攪拌されている。また、この混合容器内は取り付けられている減圧装置を駆動させて0.04MPaの圧力に減圧され
ている。
【0087】
上記のようにして混合油剤を水性媒体中に添加した後、0.04PMaの圧力に減圧した
まま、さらに82℃の温度で、ホモミキサーの回転速度2500rpm、パドルの回転速度
30rpmで15分間攪拌を続けた後、パドルを20rpmの回転速度でさらに15分間攪拌しする。その後パドルの回転速度20rpmで、エマルジョンの温度が45℃になるまで冷却する。
【0088】
これとは別に安息香酸ナトリウム1.0kgを8kgの水に溶解した水溶液を調製する。この水溶液を混合容器中のエマルジョンに添加し、再度0.09MPaの圧力に減圧して、さ
らに19rpmの回転速度のパドルで攪拌しながら、水の量を調整して全体量を500kgと
し、さらにエマルジョンの温度を25℃に冷却する。
【0089】
次いで、パドルで攪拌しながら常圧に戻し、さらに得られた混合容器内のエマルジョン500kgを濾過しながら所定の容器に充填してハンドクリームを製造する。
なお、上記のハンドクリームの製造で使用した原料は、全て可食性化合物である。
【0090】
上記のようにして調製したハンドクリームの水相を分離してポリオキシ安息香酸エチルの含有量を分析した結果、水性媒体中に溶解したポリオキシ安息香酸エチルがほとんどそのまま、水性媒体中に溶存されている。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明のハンドクリームで使用する難水溶性防腐剤は、極性基を有しているために水に
僅かに溶解するという特性を有しており、この特性を利用すると共に、水に多価アルコールなどの水酸基含有化合物を併用して、さらに加熱することによりこの難水溶性防腐剤を一旦水性媒体に溶解させた後、この溶液を多量の水性媒体中に加えて難水溶性防腐剤を水性媒体に溶解させる。さらに、この水性媒体中に添加してエマルジョンを形成する油剤は、無極性油性基材を多量に含有しているために、水性媒体中に溶解した難水溶性防腐剤が油相に移行しにくく、このために難水溶性防腐剤を長期間にわたって水性媒体中に溶解した状態を維持することができる。
【0092】
従って、本発明によれば、配合した防腐剤を油相に移行させずに水相に長期間溶解させた状態を維持することができるので、配合した防腐剤を有効に活用することができる。このため、用いる防腐剤を増量することなく高い防腐性を維持することができる。しかも、本発明のハンドクリームに配合される成分を全て可食性化合物にすることにより、仮に本発明のハンドクリームを誤飲したとしても、生体に悪影響を及ぼしにくく安全性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、本発明のハンドクリームの一製造例の製造工程を示す工程図である。
【図2】図2は、本発明のハンドクリームを製造する他の態様を示す工程図である。
【出願人】 【識別番号】000112288
【氏名又は名称】ピジョン株式会社
【出願日】 平成18年7月31日(2006.7.31)
【代理人】 【識別番号】100081994
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊一郎

【識別番号】100103218
【弁理士】
【氏名又は名称】牧村 浩次

【識別番号】100107043
【弁理士】
【氏名又は名称】高畑 ちより

【識別番号】100110917
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 亨


【公開番号】 特開2008−31126(P2008−31126A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−209277(P2006−209277)