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【発明の名称】 エステル化反応生成物、該生成物を含有するゲル化剤および該ゲル化剤を含有する化粧料
【発明者】 【氏名】森 春記

【要約】 【課題】油剤を透明にゲル化することができ、かつ、使用感に優れた化粧料を提供可能なエステル化反応生成物、該生成物を含有するゲル化剤、及び該生成物又は該ゲル化剤を含有する透明感及び使用感に優れた化粧料を提供する。

【構成】成分A:多価アルコールと、成分B:炭素数10〜28の直鎖飽和二塩基酸と、成分C:炭素数14〜28の直鎖飽和脂肪酸と、成分D:炭素数8〜28の分岐飽和脂肪酸とを成分A:成分B=1.0モル:0.50〜0.75モル、成分A:成分C=1.0モル:0.5〜1.0モル、成分A:成分D=1.0モル:0.7〜1.0モルの配合比でエステル化反応することにより得られるエステル化反応生成物をゲル化剤として用い、化粧料に含有させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分Aと、成分Bと、成分Cと、成分Dとをエステル化反応することにより得られるエステル化反応生成物であり、エステル化反応時の各成分の配合比が、成分A:成分B=1.0モル:0.50〜0.75モル、成分A:成分C=1.0モル:0.5〜1.0モル、成分A:成分D=1.0モル:0.7〜1.0モルであることを特徴とするエステル化反応生成物。
成分A:多価アルコール
成分B:炭素数10〜28の直鎖飽和二塩基酸
成分C:炭素数14〜28の直鎖飽和脂肪酸
成分D:炭素数8〜28の分岐飽和脂肪酸
【請求項2】
前記成分Aが、グリセリン又はトリメチロールプロパンであることを特徴とする請求項1に記載のエステル化反応生成物。
【請求項3】
前記成分Bが、エイコサン二酸又はオクタデカン二酸であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエステル化反応生成物。
【請求項4】
前記成分Cが、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸からなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエステル化反応生成物。
【請求項5】
前記成分Dが、イソオクチル酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸からなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のエステル化反応生成物。
【請求項6】
前記エステル化反応生成物の水酸基価は、40以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のエステル化反応生成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のエステル化反応生成物を含有することを特徴とするゲル化剤。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のエステル化反応生成物又は請求項7記載のゲル化剤を含有することを特徴とする化粧料。
【請求項9】
前記化粧料が、口紅、リップグロス、クリーム、乳液、ファンデーション、美容液からなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項8に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、エステル化反応生成物、該生成物を含有するゲル化剤および該ゲル化剤を含有する化粧料に関し、特に、油性成分である油剤を透明にゲル化することのできるエステル化反応生成物、該生成物を含有するゲル化剤および該ゲル化剤を含有する透明感及び使用感の優れた化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧料の剤型は、液状のものから固形のものまで様々であり、ゲル化や固化が必要な剤型では、ゲル化剤等が使用されている。
【0003】
化粧料においては、使用感の向上を目的として、油性成分であるエステル油剤、炭化水素、アルコール等の油剤が使用されている。
【0004】
また、化粧料においては、外観の美しさ、塗付後の透明感の仕上がり、発色のしやすさの点から透明感のある化粧料が好まれており、透明感の優れた化粧料が求められている。
【0005】
油性成分としてこのような油剤を含有し、透明感を求められる化粧料においても、ゲル化や固化が必要な剤型では、同様にゲル化剤が使用される。
【0006】
従来使用されているゲル化剤としては、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、12−ヒドロキシステアリン酸、デキストリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、無水ケイ酸等が知られている(例えば、特許文献1〜6参照)。
【特許文献1】特開平7−126603号公報
【特許文献2】特開平7−126604号公報
【特許文献3】特開2000−212049号公報
【特許文献4】特開2002−128623号公報
【特許文献5】特開2002−138017号公報
【特許文献6】特開2004−115485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリルは、油剤のゲル化については満足できるものの、透明感については十分に満足することができなかった。また、12−ヒドロキシステアリン酸、デキストリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、無水ケイ酸については、油剤のゲル化、透明感共に満足できるものの、分子特有の構造から化粧料使用時の感触が重たくなってしまい、使用感が十分に満足することができなかった。
【0008】
従って、本発明の目的は、油剤を透明にゲル化することができ、かつ、透明感及び使用感に優れた化粧料を提供可能なエステル化反応生成物、及び該生成物を含有するゲル化剤を提供することである。
【0009】
また、本発明の目的は、上記エステル化反応生成物又は上記ゲル化剤を含有する透明感及び使用感に優れた化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、下記の成分Aと、成分Bと、成分Cと、成分Dとをエステル化反応することにより得られるエステル化反応生成物であり、エステル化反応時の各成分の配合比が、成分A:成分B=1.0モル:0.50〜0.75モル、成分A:成分C=1.0モル:0.5〜1.0モル、成分A:成分D=1.0モル:0.7〜1.0モルであることを特徴とするエステル化反応生成物を提供する。
成分A:多価アルコール
成分B:炭素数10〜28の直鎖飽和二塩基酸
成分C:炭素数14〜28の直鎖飽和脂肪酸
成分D:炭素数8〜28の分岐飽和脂肪酸
【0011】
また、本発明は、上記目的を達成するために、上記本発明に係るエステル化反応生成物を含有することを特徴とするゲル化剤を提供する。
【0012】
本発明は、上記目的を達成するために、上記本発明に係るエステル化反応生成物又は上記本発明に係るゲル化剤を含有する化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、特定の油剤を透明にゲル化することができ、かつ、透明感及び使用感に優れた化粧料を提供可能なエステル化反応生成物、及び該生成物を含有するゲル化剤を提供することができる。
【0014】
また、本発明によれば、上記エステル化反応生成物又は上記ゲル化剤を含有する透明感及び使用感に優れた化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
〔本発明の実施の形態に係るエステル化反応生成物〕
本発明の実施の形態に係るエステル化反応生成物は、下記の成分Aと、成分Bと、成分Cと、成分Dとをエステル化反応することにより得られるエステル化反応生成物であり、エステル化反応時の各成分の配合比が、成分A:成分B=1.0モル:0.50〜0.75モル、成分A:成分C=1.0モル:0.5〜1.0モル、成分A:成分D=1.0モル:0.7〜1.0モルであることを特徴とする。
成分A:多価アルコール
成分B:炭素数10〜28の飽和二塩基酸
成分C:炭素数14〜28の直鎖飽和脂肪酸
成分D:炭素数8〜28の分岐飽和脂肪酸
【0016】
本実施の形態において、エステル化反応とは、直鎖状又は網目状構造となるエステル化、オリゴエステル化のどちらでもよいことを意味する。
【0017】
(成分A:多価アルコール)
成分Aの多価アルコールとしては、その炭素数が3〜6であることが好ましく、3〜5であることがより好ましく、3であることが特に好ましい。多価アルコールの炭素数が上記範囲にあると、分子内に水酸基を有する水酸基価が40〜300である常温で液体のエステル油剤を透明にゲル化する能力が良好なものとなる。
【0018】
多価アルコールの具体例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられ、特にグリセリンが水酸基価40〜300である常温で液体のエステル油剤を透明にゲル化する能力の点から好ましい。
【0019】
(成分B:炭素数10〜28の飽和二塩基酸)
成分Bの飽和二塩基酸としては、その炭素数が10〜28であることが好ましく、16〜22であることがより好ましく、18〜20であることが特に好ましい。飽和二塩基酸の炭素数が上記範囲にあると、油剤に対するゲル化能力が良好なものとなる。
【0020】
飽和二塩基酸の具体例としては、エイコサン二酸、オクタデカン二酸、セバシン酸等が挙げられ、特にエイコサン二酸が油剤に対するゲル化能力の点から好ましい。
【0021】
(成分C:炭素数14〜28の直鎖飽和脂肪酸)
成分Cの直鎖飽和脂肪酸としては、その炭素数が14〜28であることが好ましく、16〜24であることがより好ましく、18〜22であることが特に好ましい。直鎖飽和脂肪酸の炭素数が上記範囲にあると、油剤に対するゲル化能力が良好なものとなる。
【0022】
直鎖飽和脂肪酸の具体例としては、ベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、モンタン酸等が挙げられ、特にベヘン酸が油剤に対するゲル化能力が良好なものとなる点から好ましい。
【0023】
(成分D:炭素数8〜28の分岐飽和脂肪酸)
成分Dの分岐飽和脂肪酸としては、その炭素数が8〜28であることが好ましく、12〜22であることがより好ましく、18であることが特に好ましい。また、分岐飽和脂肪酸の分岐構造についてはメチル分岐型、多分岐型どちらも使用することが可能である。分岐飽和脂肪酸の炭素数が上記範囲にあると、分子内に水酸基を有する水酸基価が40〜300である常温で液体のエステル油剤を透明にゲル化する能力が良好なものとなる。
【0024】
分岐飽和脂肪酸の具体例としては、イソオクチル酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソエイコ酸等が挙げられる。特にイソステアリン酸が水酸基価40〜300である常温で液体のエステル油剤を透明にゲル化する能力の点から好ましい。
【0025】
(水酸基価)
上記エステル化反応生成物の水酸基価は、40以下であることが好ましく、35以下であることがより好ましく、30以下であることが特に好ましい。エステル化反応生成物の水酸基価が上記範囲にあると、ゲル化物の透明感とゲル形成能力の両立が良好なものとなる。なお、水酸基価とは、粧原基一般試験法水酸基価測定法により得られた値のことである。
【0026】
〔本発明の実施の形態に係るエステル化反応生成物の製造方法〕
本発明の実施の形態に係るエステル化反応生成物は、上記成分Aの多価アルコールと、上記成分Bの飽和二塩基酸と、上記成分Cの直鎖飽和脂肪酸と、上記成分Dの分岐飽和脂肪酸とをエステル化反応して得られ、例えば、以下の方法により製造することができる。
【0027】
上記成分Aの多価アルコールと、上記成分Bの飽和二塩基酸と、上記成分Cの直鎖飽和脂肪酸と、上記成分Dの分岐飽和脂肪酸とを反応容器に仕込み、不活性ガス気流中において、160〜240℃にて、反応で生成する水を除去しながら5〜30時間程度エステル化反応行い、エステル化反応終了後、常法による脱色、脱臭等の精製処理を行うことによりエステル化反応生成物を得ることができる。
【0028】
エステル化反応に際しては、必要に応じて酸触媒、金属触媒、還流溶媒を使用することができる。
【0029】
エステル化反応の反応終点は、原料である成分Aの多価アルコール、成分Bの飽和二塩基酸、成分Cの直鎖飽和脂肪酸、成分Dの分岐飽和脂肪酸の仕込み比及びエステル化反応中の酸価から容易に見極めることができる。また、得られるエステル化反応生成物は、臭いおよび着色の少ないものである。
【0030】
上記エステル化反応において、成分Aの多価アルコールと成分Bの飽和二塩基酸と配合比は、成分Aの多価アルコール1.0モルに対して、成分Bの飽和二塩基酸が0.50〜0.75モルであることが好ましく、0.60〜0.73モルであることがより好ましく、0.65〜0.72モルであることが特に好ましい。成分Aと成分Bとの配合比が上記範囲にあると、油剤に対するゲル化能力が良好なものとなる。
【0031】
上記エステル化反応において、成分Aの多価アルコールと成分Cの直鎖飽和脂肪酸との配合比は、成分Aの多価アルコール1.0モルに対して、成分Cの直鎖飽和脂肪酸が0.5〜1.0モルであることが好ましく、0.6〜0.9モルであることがより好ましく、0.7〜0.8モルであることが特に好ましい。成分Aと成分Cとの配合比が上記範囲にあると、油剤に対するゲル化能力が良好なものとなる。
【0032】
上記エステル化反応において、成分Aの多価アルコールと成分Dの分岐飽和脂肪酸との配合比は、成分Aの多価アルコール1.0モルに対して、成分Dの分岐飽和脂肪酸が0.7〜1.0モルであることが好ましく、0.7〜0.9モルであることがより好ましく、0.7〜0.8モルであることが特に好ましい。成分Aと成分Dとの配合比が上記範囲にあると、水酸基価40〜300である常温で液体のエステル油剤を透明にゲル化する能力が良好なものとなる。
【0033】
〔本発明の実施の形態に係るゲル化剤〕
上記エステル化反応生成物は、特に分子内に水酸基を有する水酸基価40〜300の常温で液体のエステル油剤を透明にゲル化可能であり、これらのゲル化剤として使用することができる。ここで、ゲル化とは、エステル油剤等をゲル化、固化させることができることを意味する。
【0034】
本発明の実施の形態に係るゲル化剤は、上記本実施の形態に係るエステル化反応生成物を含有するものである。通常、上記エステル化反応生成物をそのままゲル化剤として用いるが(ゲル化剤がエステル化反応生成物のみからなり、ゲル化剤中のエステル化反応生成物の含量が100%のもの)、抗酸化剤として、トコフェロール、BHT等を0.1質量%〜0.01質量%程度、含有させてもよい。
【0035】
また、本実施の形態に係るゲル化剤は、分子内に水酸基を有する水酸基価40〜300の常温で液体のエステル油剤以外のエステル油剤や炭化水素等も、透明にゲル化するという点では十分ではないがゲル化することができるため、水酸基価40〜300の常温で液体のエステル油剤以外のエステル油剤、炭化水素等の油剤を含有し、これらをゲル化する必要がある処方にも用いることができる。
【0036】
また、本実施の形態に係るゲル化剤は、油剤が1種類の処方に限らず、各種油剤の併用処方、その他化粧品の処方に使用されるオリーブ油等の動植物油、セタノール、オレイルアルコールなどのアルコール類、顔料、粘土鉱物、活性剤、美容のための機能素材等を併用した場合のゲル化剤としても使用することができる。
【0037】
分子内に水酸基を有する水酸基価40〜300の常温で液体のエステル油剤の具体例としては、リンゴ酸ジイソステアリル、イソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパンオリゴエステル、トリエチルヘキサン酸ジトリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸エリスリチル等が挙げられる。
【0038】
上記エステル油剤を透明にゲル化させるために必要なゲル化剤の必要量は、油剤の量に依存する。油剤の質量に対するゲル化剤の配合比は、油剤の質量を1とすると、0.001〜0.200であることが好ましく、0.005〜0.150であることがより好ましく、0.010〜0.100であることが特に好ましい。
【0039】
本実施の形態に係るゲル化剤は、化粧料、油剤の処理剤、顔料の処理剤、染料の処理剤等に用いることができる。特に、化粧料に好適に用いることができる。
【0040】
〔本発明の実施の形態に係る化粧料〕
本発明の実施の形態に係る化粧料は、上記の本実施の形態に係るゲル化剤を含有する(以下のゲル化剤の配合量の説明においては、エステル化反応生成物をそのままゲル化剤として用いる場合について説明する。ゲル化剤がエステル化反応生成物以外の物質を含有している場合には、含有されているエステル化反応生成物以外の物質の種類等によっても異なるが、概ね比例計算により、好ましい配合量を下記配合量から算出できる)。当該ゲル化剤の化粧料中への配合量は、化粧料全量に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが特に好ましい。化粧料中におけるゲル化剤の配合量がこの範囲にあると、透明感が良好なものとなる。
【0041】
本実施の形態に係るゲル化剤は、水酸基価40〜300の常温で液体のエステル油剤を含有し、透明感が求められる処方の化粧料において、ゲル化や固化が必要な剤型に好適に使用することができる。
【0042】
また、本実施の形態に係るゲル化剤は、透明感がさほど求められなければ、水酸基価40〜300の常温で液体のエステル油剤以外のエステル油剤、炭化水素等の油剤を含有する処方の化粧料において、ゲル化や固化が必要な剤型にも使用することができる。
【0043】
具体的には、口紅、リップグロス、リップクリーム、ハンドクリーム、美容クリーム、ヘアークリーム等のクリーム、美容液、乳液、ローション、ファンデーション、コントロール、サンスクリーン(日焼け止め化粧料)、頬紅、下地化粧料、アイシャドウ、アイブロウ、マスカラ、シャンプー、リンス、コンディショナー、クレンジング、整髪料、美爪料であり、特に、リップグロスに配合すると好適である。
【0044】
本実施の形態に係る化粧料中における水酸基価が40〜300の常温で液体のエステル油剤等の油剤の含量は、0.1〜99質量%であることが好ましく、0.5〜95質量%であることがより好ましく、1〜90質量%であることが特に好ましい。化粧料中における油剤の含量がこの範囲にあると、なめらかさ、感触やつや等の美しさに優れた化粧料となる。
【0045】
本実施の形態に係る化粧料は、それぞれの剤型の公知の常法により、製造することができる。
【0046】
本実施の形態に係る化粧料には、本実施の形態に係るゲル化剤、油剤以外に、顔料、染料、着色剤、粉体原料、アルコール、脂肪酸、ポリマー、粘土鉱物、活性剤、シリコーン、フッ素系油、紫外線吸収剤、美容有効成分、水等の通常の化粧料に用いる成分を配合することができる。
【0047】
本実施の形態に係るゲル化剤を含有する化粧料は、感触、伸び、べたつき感、滑らかさ等の使用感、透明感、つや、色のつきが優れたものとなる。
【実施例】
【0048】
(実施例1)
2リットルの四つ口フラスコにグリセリン92g(1.0モル)、エイコサン二酸239g(0.7モル)、ベヘン酸247g(0.725モル)、メチル分岐型イソステアリン酸209g(0.725モル)を仕込み、触媒としてp−トルエンスルホン酸を0.01%(0.1g)、不活性ガスとして窒素気流中において温度を180〜210℃に保ち、攪拌しながら16時間、反応物の酸価が低下しなくなるまでエステル化反応を行った。その後、1時間水蒸気を吹き込む脱臭処理を行い、エステル化反応生成物を541g得た。このエステル化反応生成物は、酸価1.2、水酸基価15.7であった。得られたエステル化反応生成物を実施例1のゲル化剤とした。
【0049】
(実施例2〜10、比較例1〜9)
また、配合原料、配合比率(モル比率)を変更した実施例2〜10、比較例1〜9についても、上記実施例1と同様な製造方法によりエステル化反応生成物を得た。得られたエステル化反応生成物を実施例2〜10、比較例1〜9のゲル化剤とした。なお、比較例6は反応中に原料のイソヘキサン酸が沸騰したため、エステル化反応生成物を得ることができなかった。
【0050】
なお、使用した原料は、グリセリン:阪本薬品工業(株)製の化粧品用濃グリセリン、エイコ酸二酸:岡村製油(株)製のSL-20、ベヘン酸:Unichema製のPRIFRAC2989、メチル分岐型イソステアリン酸:Cognis製のEmersol874、多分岐型イソステアリン酸:日産化学工業(株)製のイソステアリン酸、オクタデカン二酸:Cognis製のEmerox118、ミリスチン酸:Acid Chem製のPALMAC98-14、イソオクチル酸:チッソ(株)製のオクチル酸、トリメチロールプロパン:広栄化学工業(株)製のトリメチロールプロパン、無水コハク酸:新日本理化(株)製のリカシッドSA、ラウリン酸:Acid Chem製のPALMAC98-12、イソヘキサン酸:チッソ(株)製の2-エチル酪酸を使用した。
【0051】
実施例1〜10、比較例1〜9の配合原料、仕込み量、配合比を表1に示す。
【0052】
(透明ゲル化能の評価1)
実施例1〜10、比較例1〜5、比較例7〜9のゲル化剤の透明ゲル化能を評価するために、直径27mm×高さ55mm、容量20mlのガラス管瓶にリンゴ酸ジイソステアリル(日清オイリオグループ(株)製、コスモール222)10.0gと、実施例1〜10、比較例1〜5、比較例7〜9のゲル化剤0.2gを入れ、80℃の恒温槽で1時間加熱した後、これを混合することにより、ゲル化剤を油剤中に均一に溶解させた。均一に溶解させた評価試料を25℃にて24時間保存した後、そのゲル化物の入ったガラス管瓶を通して、瓶から0.5cm離れた文字(大きさ:1cm四方)のひらがなの「あ」の判読により、ゲル化物の透明感を評価した。その結果を表1に示す。
【0053】
ゲル化物の透明感の評価基準は、以下の通りとした。
◎:はっきり判読できる
○:曇りがあるが判読できる
△:文字があることはわかるが判読できない
×:文字の存在が確認できない
【0054】
【表1】


【0055】
表1から分かるように、規定範囲の成分A〜成分Dを、規定範囲の配合比でエステル化反応して得られるエステル化反応生成物である実施例1〜10のゲル化剤は、リンゴ酸ジイソステアリルを透明にゲル化することができ、満足のいくものであった。
【0056】
一方、エステル化反応時の配合比が規定範囲外である比較例1〜4のゲル化剤、炭素数が短い規定範囲外の成分A〜成分Dを使用した比較例5、7のゲル化剤、成分Dを使用していない比較例8のゲル化剤は、リンゴ酸ジイソステアリルを透明にゲル化することができず、満足のいくものではなかった。
【0057】
(透明ゲル化能の評価2)
分子内に水酸基を有する水酸基価が40〜300である常温で液体の各種エステル油剤10gと、実施例1〜9、比較例1〜5、比較例8のゲル化剤0.2gを直径27mm×高さ55mm、容量20mlのガラス管瓶に入れ、これを評価試料とした。評価試料を80℃の恒温槽で1時間加熱した後、これを混合することにより、ゲル化剤を油剤中に均一に溶解させた。均一に溶解させた評価試料を25℃にて24時間保存した後、そのゲル化物の入ったガラス管瓶を通して、瓶から0.5cm離れた文字(大きさ:1cm四方)のひらがなの「あ」の判読により、ゲル化物の透明感を評価した。その結果を表2に示す。
【0058】
ゲル化物の透明感の評価基準は、以下の通りとした。
◎:はっきり判読できる
○:曇りがあるが判読できる
△:文字があることはわかるが判読できない
×:文字の存在が確認できない
【0059】
【表2】


【0060】
表2中の※1〜4は、以下のものを使用した。
※1 日清オイリオグループ(株)製、コスモール43V
※2 日清オイリオグループ(株)製、コスモール42V
※3 日清オイリオグループ(株)製、サラコスDT−38
※4 日清オイリオグループ(株)製、サラコスE−38
【0061】
表2から分かるように、規定範囲の成分A〜成分Dを、規定範囲の配合比率でエステル化反応して得られるエステル化反応生成物である実施例1〜9のゲル化剤は、水酸基価が40〜300である常温で液体の各種エステル油剤を透明にゲル化することができ、満足のいくものであった。
【0062】
一方、エステル化反応時の配合比率が規定範囲外である比較例1〜4のゲル化剤、炭素数が短い規定範囲外の成分A〜成分Dを使用した比較例5のゲル化剤、成分Dを使用していない比較例8のゲル化剤は、水酸基価が40〜300である常温で液体の各種エステル油剤を透明にゲル化することができず、満足のいくものではなかった。
【0063】
(化粧料の評価1)
実施例1、実施例2及び比較例9のゲル化剤を用いて、以下の方法により実施例11〜13及び比較例10のリップグロスを作成し、評価を行った。
【0064】
下記表3の成分を80℃に加熱し、均一になるよう混合攪拌後、冷却してリップグロスを得た。
【0065】
被験者10名に各リップグロスを使用してもらい、透明感、感触、つやの各項目を被験者が3段階評価(良い:2点、普通:1点、悪い:0点)したものを官能評価とした。さらに、各被験者の官能評価を合計したものを総合評価とした(◎:合計点数が15点以上の場合、○:10〜14点、△:5〜9点、×:4点以下)。各リップグロスの総合評価を表3に示す。
【0066】
【表3】


【0067】
表3中の※1〜3は、以下のものを使用した。
※1 日清オイリオグループ(株)製、コスモール222
※2 日清オイリオグループ(株)製、T.I.O
※3 日清オイリオグループ(株)製、サラコスP−8
【0068】
表3から分かるように、実施例1、2のゲル化剤を配合した実施例11、12のリップグロスは、比較例9のゲル化剤を配合した比較例10のリップグロスに比べて全ての項目で優れたものであった。また、実施例1のゲル化剤を配合した実施例13のリップグロスは、比較例9のゲル化剤を配合した比較例10のリップグロスに比べて透明感、感触において優れたものであった。
【0069】
(化粧料の評価2)
実施例1及び比較例8のゲル化剤を用いて、以下の方法により実施例14及び比較例11の口紅を作成し評価を行った。
【0070】
下記表4の成分を混合後、120℃に加熱し、完全溶解した。その後、脱泡したものを型に流し込み、冷却した。その後、型から取り出し、口紅容器にセットすることで、口紅を得た。
【0071】
被験者10名に各口紅を使用してもらい、感触、色のつき、つや、化粧持ちの各項目を被験者が3段階評価(良い:2点、普通:1点、悪い:0点)したものを官能評価とした。さらに、各被験者の官能評価を合計したものを総合評価とした(◎:合計点数が15点以上の場合、○:10〜14点、△:5〜9点、×:4点以下)。各口紅の総合評価を表4に示す。
【0072】
【表4】


【0073】
表4中の※1〜5は、以下のものを使用した。
※1 日清オイリオグループ(株)製、コスモール222
※2 日清オイリオグループ(株)製、コスモール168ARV
※3 日清オイリオグループ(株)製、T.I.O
※4 日清オイリオグループ(株)製、サラコスP−8
※5 日清オイリオグループ(株)製、コスモール43V
【0074】
表4から分かるように、実施例1のゲル化剤を配合した実施例14の口紅は、比較例8のゲル化剤を配合した比較例11の口紅に比べて全ての項目で優れたものであった。
【0075】
(化粧料の評価3)
実施例1、実施例2及び比較例9のゲル化剤を用いて、以下の方法により実施例15〜17及び比較例12のリキッドファンデーションを作成し評価を行った。
【0076】
表5記載の油性成分Aを十分に攪拌しながら、同表記載のピグメントベースBを添加し、油相を調製した。得られた油相に同表記載の水性成分Cを徐々に添加して、70℃の温度でホモミキサーにより乳化した後、冷却して、リキッドファンデーションを調製した。
【0077】
被験者10名に各リキッドファンデーションを使用してもらい、感触、伸びのよさ、べたつきのなさの各項目を被験者が3段階評価(良い:2点、普通:1点、悪い:0点)したものを官能評価とした。さらに、各被験者の官能評価を合計したものを総合評価とした(◎:合計点数が15点以上の場合、○:10〜14点、△:5〜9点、×:4点以下)。各リキッドファンデーションの総合評価を表5に示す。
【0078】
【表5】


【0079】
表5から分かるように、実施例1、2のゲル化剤を配合した実施例15、16のリキッドファンデーションは、比較例9のゲル化剤を配合した比較例12のリキッドファンデーションに比べて全ての項目で優れたものであった。また、実施例1のゲル化剤を配合した実施例17のリキッドファンデーションは、比較例9のゲル化剤を配合した比較例12のリキッドファンデーションに比べて伸びのよさにおいて優れたものであった。
【0080】
(化粧料の評価4)
実施例1、実施例2及び比較例9のゲル化剤を用いて、以下の方法により実施例18〜20及び比較例13の美容クリームを作成し評価を行った。
【0081】
表6記載の油性成分Aを70℃の温度で十分に攪拌しながら、70℃の温度に加熱した同表記載の水性成分Bを徐々に添加して、ホモミキサーにより乳化した後、冷却して美容クリームを作成した。
【0082】
被験者10名に各美容クリームを使用してもらい、感触、伸びのよさ、なめらかさ、べたつきのなさの各項目を被験者が3段階評価(良い:2点、普通:1点、悪い:0点)したものを官能評価とした。さらに、各被験者の官能評価を合計したものを総合評価とした(◎:合計点数が15点以上の場合、○:10〜14点、△:5〜9点、×:4点以下 )。各美容クリームの総合評価を表6に示す。
【0083】
【表6】


【0084】
表6から分かるように、実施例1のゲル化剤を配合した実施例18の美容クリームは、比較例9のゲル化剤を配合した比較例13のクリームに比べて全ての項目で優れたものであった。また、実施例2のゲル化剤を配合した実施例19の美容クリームは、比較例9のゲル化剤を配合した比較例13の美容クリームに比べて感触、伸びのよさ、べたつきのなさにおいて優れたものであった。さらに、実施例1のゲル化剤を配合した実施例20の美容クリームは、比較例9のゲル化剤を配合した比較例13の美容クリームに比べて伸びのよさにおいて優れたものであった。
【出願人】 【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
【出願日】 平成18年7月28日(2006.7.28)
【代理人】 【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄

【識別番号】100119208
【弁理士】
【氏名又は名称】岩永 勇二


【公開番号】 特開2008−31102(P2008−31102A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−206807(P2006−206807)