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【発明の名称】 花粉症に伴う症状を抑えるための薬剤
【発明者】 【氏名】宮嵜 靖則

【氏名】谷古宇 秀

【要約】 【課題】本発明は、鼻腔粘膜や眼粘膜における花粉症の諸症状を抑えるための薬剤であって、薬効の即効性と持続性の両者に優れた薬剤の提供を目的とする。

【構成】クロタミトンを有効成分として含有していることを特徴とする、花粉症に伴う症状を抑えるための薬剤により、鼻腔粘膜や眼粘膜における花粉症の諸症状を抑えるための薬剤であって、薬効の即効性と持続性の両者に優れた薬剤が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロタミトンを有効成分として含有していることを特徴とする、花粉症に伴う症状を抑えるための薬剤。
【請求項2】
抗アレルギー薬がさらに配合されていることを特徴とする、請求項1記載の薬剤。
【請求項3】
剤形が軟膏剤であることを特徴とする、請求項1または2記載の薬剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻腔粘膜や眼粘膜における花粉症の諸症状を抑えるための薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
花粉症は、花粉に起因するアレルギー性疾患であるとされている。花粉症の症状としては、発作性のくしゃみ、鼻水、むず痒さ等の鼻腔外鼻道粘膜(鼻腔粘膜)における鼻炎症状や、眼粘膜(特に、眼瞼結膜)の掻痒感などといった鼻腔粘膜や眼粘膜における諸症状が具体的に挙げられる。
【0003】
このような花粉症などのアレルギー性疾患に対して、鼻腔粘膜や眼粘膜における諸症状を抑えるために、様々な薬剤が提案されており、例えば、血管収縮薬とクロモグリク酸ナトリウムを配合した鼻炎用点鼻薬(特許文献1)や点眼薬が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特願平10−1442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示される鼻炎用点鼻薬は、花粉症などのアレルギー性疾患の諸症状を抑制する薬効を生じるまでにある程度の時間を要し、即効性の点で必ずしも十分であるとはいえない。また、この鼻炎用点鼻薬は、鼻腔に噴霧されて用いられるものであり、鼻腔粘膜に十分に付着されない虞があることから、薬効の持続性の点でも十分とまではいえない。これらのことは、鼻炎用点鼻薬のみならず点眼薬についても同様であり、鼻腔粘膜や眼粘膜に生じる花粉症の諸症状を即効性と持続性を持って効果的に抑制できる薬剤が望まれている。
【0006】
本発明者らは、皮膚における痒みの症状に対しての緩和効能を有するクロタミトンが、鼻腔粘膜や眼粘膜といった粘膜における花粉症に伴う掻痒感を、効果的に緩和、改善することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、鼻腔粘膜や眼粘膜における花粉症の諸症状を抑えるための薬剤であって、薬効の即効性と持続性の両者に優れた薬剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(1)クロタミトンを有効成分として含有していることを特徴とする、花粉症に伴う症状を抑えるための薬剤、(2)抗アレルギー薬がさらに配合されていることを特徴とする、上記(1)記載の薬剤、(3)剤形が軟膏剤であることを特徴とする、上記(1)または(2)記載の薬剤、を要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、花粉症に伴う症状を抑えるための薬剤(花粉症用薬剤、あるいは、薬剤ということがある。)にクロタミトンが有効成分として含まれており、鼻腔粘膜や眼粘膜にこの薬剤を塗布することで、花粉症に伴う鼻腔粘膜や眼粘膜の症状を、即効性をもって抑制、緩和することができるようになる。本発明では、眼粘膜(特に、眼瞼結膜)に対する花粉症の諸症状につき、この花粉症用薬剤を眼粘膜に塗布することで、即効性をもって抑制、緩和することができるようになるだけでなく、眼瞼に塗布するだけでも、眼粘膜に生じる花粉症の諸症状を抑制、緩和することができるようになる。
【0010】
さらに、本発明によれば、花粉症用薬剤には、鼻腔粘膜や眼粘膜に対してクロタミトンとは異なる作用をする有効成分として抗アレルギー薬が配合されていてもよく、その場合、クロタミトンの作用により即効性をもって花粉症の諸症状が抑制、緩和した後、時間の経過とともに徐々にクロモグリク酸ナトリウムなどの抗アレルギー薬の薬効が現れるようにすることができ、花粉症の諸症状の抑制された状態をさらに持続させることができる。すなわち、本発明によれば、薬剤に抗アレルギー剤がさらに配合されて、薬剤がクロタミトンと抗アレルギー薬の合剤となっていることで、即効性と持続性をもって、鼻腔粘膜や、眼粘膜(特に、眼瞼結膜)における花粉症に伴う諸症状を抑えることができる。
【0011】
本発明によれば、薬剤の剤形が軟膏剤(ただし、薬剤を眼部に投与する場合には、眼軟膏剤とする。)であってもよく、その場合には、薬剤が噴霧薬である場合と比較して、塗布後、鼻腔粘膜や眼粘膜に対して確実に薬剤の付着した状態を十分維持することができるとともに、この薬剤に含まれるクロタミトンや抗アレルギー薬といった有効成分が鼻腔粘膜表面や眼粘膜表面から過度に急激に体内へ吸収されてしまうことを抑え、有効成分の体内への吸収を適度な速さにすることができて、薬剤に徐放性を持たせることが可能となって、薬剤を持続性に一層優れたものとすることができるとともに効率的に用いることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の薬剤は、クロタミトンを有効成分として含有している。クロタミトンは、本発明の薬剤の重量に対して1重量%以上配合されていることが、花粉症の諸症状を、十分な即効性をもって抑える効果を得る点から好ましい。
【0013】
本発明の薬剤には、抗アレルギー薬が配合されていてもよい。抗アレルギー薬としては、トラニラスト、クロモグリク酸ナトリウム、アンレキサクノス、レピリナスト、イブジラスト、タザノラスト、ペミロラストなどのメディエーター遊離阻害剤、フマル酸ケトチフェン、塩酸アゼラスチン、オキサトミド、メキタジン、テルフェナジンなどの抗ヒスタミン作用を奏するもの等を具体的に挙げることができる。また、抗アレルギー薬が眼瞼といった皮膚部位から体内に浸透、吸収されうる点を考慮すれば、抗アレルギー薬は、フマル酸ケトチフェン、塩酸アゼラスチン、オキサトミド、メキタジン、テルフェナジンなどが好ましく、調整容易である点を考慮すれば、フマル酸ケトチフェンが好ましい。抗アレルギー剤が皮膚部位から体内に浸透できるものであると、薬剤が粘膜部位のみならず皮膚部位に塗布された場合でも、効果的に薬効を得ることができるようになる。
【0014】
本発明の薬剤は、剤形が軟膏剤であるように構成されてもよい。その場合、軟膏剤に用いる軟膏基剤としては、通常の軟膏剤に使用可能な基剤を適宜選択して用いることができ、ワセリン、白色ワセリン(眼科用ワセリン、プロペト)、プラスチベース、精製ラノリン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルポリマー、流動パラフィン、ミツロウ、グリセリンなどが具体的にあげられる。
【0015】
薬剤が軟膏剤である場合、軟膏基剤にクロタミトンや抗アレルギー薬などが有効成分として配合され、本発明の薬剤が形成される。
【0016】
なお、本発明の薬剤には、保湿剤や防腐剤などの添加剤が配合されてもよい。添加剤は、薬剤の有効成分による薬効を妨げない程度の配合量で適宜添加することができる。
【0017】
次に、実施例を具体的に示しつつ、本発明の薬剤をより詳細に説明する。
【実施例】
【0018】
実施例1
軟膏基剤として白色ワセリン(丸石製薬(株)製、プロペット)を用い、表1に示すような配合量にてクロタミトン(シグマ・アルドリッチ社製、クロタミトン)と白色ワセリンとを混合して軟膏剤を得た。この得られた軟膏剤が本発明の薬剤に相当する。
【0019】
(表1)


【0020】
鼻腔粘膜や眼粘膜に花粉症の諸症状を有する成人5名を被験者に選び、上記にて得られた薬剤(軟膏剤)をそれぞれの被験者の症状に応じて塗布し、花粉症に伴う鼻腔粘膜の諸症状と眼粘膜の症状について薬剤の薬効有無を測定し、その評価を行った。
【0021】
薬剤の薬効の評価では、鼻腔粘膜の諸症状については、むず痒さ、くしゃみ、鼻水の3つの症状を評価対象とし、眼粘膜の症状としては、一般にいわゆる眼粘膜の痒みのうち、眼瞼結膜における痒みの症状を評価対象とした。
【0022】
鼻腔粘膜の諸症状について薬剤の薬効を測定するにあたり、むず痒さについては、被験者となる成人5名のうち、薬効の測定を開始した時点(薬効測定開始時点)においてむず痒さの症状を有する4名を測定対象者とし、同様に、くしゃみについては、くしゃみの症状を有する4名を測定対象者とし、また、鼻水については、鼻水の症状を有する2名を測定対象者として測定がなされた。
【0023】
また、眼粘膜の症状について薬剤の薬効を測定するにあたり、被験者となる成人5名のうち薬効測定開始時点において眼瞼結膜の痒みを症状として有する4名を測定対象者として測定がなされた。
【0024】
「薬効の評価」
<鼻腔粘膜の症状について>
薬剤約200mgを滅菌した綿棒の先にとり、各被験者に対して、鼻限から奥方約1.5cm程度の位置まで鼻腔粘膜の領域に、綿棒に付着させた薬剤を塗布した。薬剤は、左右両側の鼻腔粘膜それぞれに対して塗布された。次いで、花粉症に伴う鼻腔粘膜の諸症状の有無が、測定対象者ごとに薬剤塗布後の時間経過を追って測定、調査された。そして、花粉症に伴う鼻腔粘膜の症状ごとに、測定対象者のうち対象となる症状を生じた状態にある被験者の数(有症者数)が時間経過を追って順次集計され、有症者数の時間推移が調べられた。なお、薬剤が塗布されて薬効の測定が開始した後、その測定が終了するまで、薬剤を更に追加して塗布することは行われなかった。
【0025】
薬剤の塗布後(薬効測定開始後)における花粉症の諸症状の有無の判定は、被験者が諸症状を予め定められた基準以上に感得した場合に花粉症の症状が有るとの判定を行うことで実施された。すなわち、むず痒さの症状については、薬効測定開始後、むず痒さを感じた場合に花粉症に伴うむず痒さの症状が有ると判定し、くしゃみの症状については、薬効測定開始後、5回以上連続してくしゃみを行った場合に花粉症に伴うくしゃみの症状が有ると判定し、また鼻水の症状については、薬効測定開始後、1度でも鼻水が垂れそうな感覚を生じ、鼻をかんだ場合に、花粉症に伴う鼻水の症状が有ると判定した。ここに、花粉症に伴うくしゃみの症状の判定には、「榎本雅夫,藤村聡,福井次矢編集、「花粉症診療の質を高める-内科医への20の診療ナビゲーション」、2000年刊行、医学書院、第1頁」に記載された花粉症の診断を行う場合の基準が用いられた。
鼻腔における花粉症の症状が、むず痒さの症状、くしゃみの症状、鼻水の症状である各場合につき、結果を表2に示す。
【0026】
<眼粘膜の症状について>
眼粘膜の症状についての薬剤の薬効測定は、眼瞼結膜における痒みの症状について次のように測定を行うことで実施された。
【0027】
まず、薬剤を、眼瞼結膜の痒みの症状を生じている測定対象者の眼部に投与した。眼瞼結膜の痒みに対処するための薬剤の投与方法としては、薬剤を眼瞼結膜(すなわち粘膜部位)に塗布する方法や、薬剤を眼瞼(すなわち皮膚部位)に塗布する方法が考えられるが、実施例1においては、薬剤を眼瞼結膜に塗布する方法が用いられた。具体的には、薬剤約50mgを、眼粘膜における内眼角と外眼角および上瞼側の眼瞼結膜の位置に、眼瞼との境界に沿うように塗布した。薬剤の塗布には、滅菌した綿棒が用いられた。
【0028】
次いで、薬剤塗布後の時間経過を追って被験者ごとに、眼瞼結膜の痒み(掻痒感)の症状有無の調査を行った。そうして、測定対象者のうち眼瞼結膜に痒みの症状を生じた状態にある被験者の数(有症者数)が時間経過を追って順次集計され、有症者数の時間推移が調べられた。なお、測定にあたっては、薬剤が眼瞼結膜に対して塗布されて薬効の測定が開始した後、その測定が終了するまで、薬剤を追加して塗布することは行われなかった。
【0029】
薬剤の塗布後における眼粘膜の症状の有無の判定は、眼瞼結膜の痒みの症状有無を判定することで実施された。眼瞼結膜の痒みの症状有無の判定は、薬効測定開始後、眼瞼結膜に痒みを感じ、その掻痒感を生じる部位を掻いた場合に、花粉症に伴う眼粘膜の症状が有ると判定する、ことによって行われた。結果を表2に示す。
【0030】
(表2)


表中各欄において、表に向かって右側の数字は、測定対象者の人数を示し、表に向かって左側の数字は、有症者数を示す。
【0031】
実施例2
抗アレルギー薬として体内への過剰な吸収性がなく安全性が高いクロモグリク酸ナトリウム(シグマ・アルドリッチ社製、クロモリンナトリウム)を用い、表1に示すような配合量にてクロタミトンと、クロモグリク酸ナトリウムと、軟膏基剤としての白色ワセリンを混合して、本発明の薬剤たる軟膏剤を得た。なお、クロタミトンと白色ワセリンには、実施例1と同様のものが用いられた。
【0032】
得られた軟膏剤を用い、実施例1と同様に、花粉症に伴う鼻腔粘膜の諸症状と、花粉症に伴う眼粘膜の症状に対する薬効を評価した。すなわち、実施例1と同様に、花粉症に伴う諸症状を有する成人5名を被験者に選び、上記にて得られた軟膏剤をそれぞれの被験者の症状に応じて塗布し、花粉症の諸症状について各測定対象者に対する軟膏剤の薬効を測定し、有症者数の時間推移を調べ、軟膏剤の薬効を評価した。軟膏剤の薬効の測定の結果を表3に示す。なお、この実施例2において、測定対象者の人数は、鼻腔粘膜のむず痒さの症状、くしゃみの症状、鼻水の症状、眼粘膜の症状について、それぞれ、3名、3名、4名、3名である。
【0033】
(表3)


表中各欄において、表に向かって右側の数字は、測定対象者の人数を示し、表に向かって左側の数字は、有症者数を示す。
【0034】
比較例1
表1に示すように白色ワセリンのみを用いて軟膏剤とし、この軟膏剤につき、実施例1と同様に、花粉症に伴う鼻腔粘膜と眼粘膜の諸症状に対する薬効を評価した。
【0035】
この場合、実施例1と同様に、花粉症に伴う諸症状を有する成人5名を被験者に選び、上記軟膏剤をそれぞれの被験者の症状に応じて塗布し、花粉症の諸症状について各測定対象者に対する軟膏剤の薬効を測定し、有症者数の時間推移を調べ、軟膏剤の薬効を評価した。軟膏剤の薬効の測定の結果を表4に示す。なお、この比較例1において、測定対象者の人数は、鼻腔粘膜のむず痒さの症状、くしゃみの症状、鼻水の症状、眼粘膜の症状について、それぞれ、4名、4名、3名、4名である。
【0036】
(表4)


表中各欄において、表に向かって右側の数字は、測定対象者の人数を示し、表に向かって左側の数字は、有症者数を示す。
【0037】
実施例1、2で得られる薬剤では、比較例1の軟膏剤に比べ、薬効の測定を開始した後、有症者数の減少が見られるまでの所要時間が短く、即効性に優れることが示されている。さらに、実施例1、2で得られる薬剤では、有症者数の減少が見られた後、有症者数が増加に転じるまでに時間間隔があり、薬効に持続性があることが示されている。実施例1、2のなかでも、特に実施例2で得られる薬剤は、より即効性と持続性に優れている。
【出願人】 【識別番号】306015788
【氏名又は名称】シグマ創薬株式会社
【識別番号】306015777
【氏名又は名称】宮嵜 靖則
【識別番号】306015799
【氏名又は名称】谷古宇 秀
【出願日】 平成18年7月28日(2006.7.28)
【代理人】 【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇

【識別番号】100126413
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 太亮

【識別番号】100123009
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 由貴子

【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介


【公開番号】 特開2008−31079(P2008−31079A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−205892(P2006−205892)