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【発明の名称】 固形粉末化粧料
【発明者】 【氏名】細川 益男

【氏名】細川 祐介

【氏名】細川 祐季子

【氏名】辻本 広行

【氏名】塚田 雄亮

【要約】 【課題】携帯使用に優れ、良好な使用感とともに高いスキンケア機能を発揮する固形粉末化粧料を提供する。

【構成】美容成分が封入された生体適合性ナノ粒子を他の原料と共に配合して固形化した固形粉末化粧料(プレストパウダー)で、美容成分がビタミンもしくはビタミン誘導体(例えば、ビタミンCやビタミンE)であり、生体適合性ナノ粒子を構成する生体適合性高分子が、ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)である。そして、本発明の固形粉末化粧料は、皮膚に対するのび、つき、化粧崩れ等の使用感が良好であり、スキンケア機能として高い美白・美肌効果を発揮する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
美容成分が封入された生体適合性ナノ粒子を他の原料と共に配合して固形化した固形粉末化粧料。
【請求項2】
前記美容成分がビタミンもしくはビタミン誘導体である請求項1に記載の固形粉末化粧料。
【請求項3】
前記生体適合性ナノ粒子を構成する生体適合性高分子が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸グリコール酸、若しくはポリアスパラギン酸乳酸のいずれかである請求項1又は2に記載の固形粉末化粧料。
【請求項4】
他の原料として少なくとも、着色剤、タルク、樹脂パウダー、マイカ及びオイル成分を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の固形粉末化粧料。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、スキンケア機能を備えた固形粉末化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯使用に便利なプレストパウダー等の固形粉末化粧料が知られている(例えば特許文献1、2参照)。これらの固形粉末化粧料は固形性と良好な使用感を得るためにオイル成分に無機粉末や樹脂粉末等を混合し固形化処理して作製されている。
【0003】
一方、特許文献3には、生体適合性高分子であるポリ乳酸グリコール酸(PLGA)にビタミン類(美容成分)が封入された生体適合性ナノ粒子の粉末を分散混合させて、高いスキンケア機能を有する乳液等の化粧料が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−370932号公報
【特許文献2】特開2003−238346号公報
【特許文献3】特開2005−213170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の固形粉末化粧料では必ずしもスキンケア機能が十分とはいえず、より高いスキンケア機能を備えた固形粉末化粧料が望まれている。一方、特許文献3記載のナノ粒子配合の化粧料は液体や粉の状態であるために、基本的に例えば在宅時の使用に限定される等、使用用途、形態が制限される。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、携帯使用に優れ、良好な使用感とともに高いスキンケア機能を発揮する固形粉末化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る固形粉末化粧料の第一特徴構成は、美容成分が封入された生体適合性ナノ粒子を他の原料と共に配合して固形化した点にある。
【0008】
すなわち、美容成分が封入された生体適合性ナノ粒子を配合した本発明の固形粉末化粧料を皮膚上に塗布すると、皮膚水分により速やかにナノ粒子に分散され、当該ナノ粒子が均一に皮膚表面に定着し吸収されるので、優れた使用感が得られる。そして、ナノ粒子に封入された美容成分が徐々にナノ粒子から放出されて、皮膚深部組織に直接供給されるので高い美容効果が生じる。
従って、携帯使用に優れ、良好な使用感とともに高いスキンケア機能を発揮する固形粉末化粧料が提供される。
【0009】
同第二特徴構成は、上記第一特徴構成において、前記美容成分がビタミンもしくはビタミン誘導体である点にある。
【0010】
すなわち、ビタミンによる高い美容効果が期待される。例えば、メラニン産生抑制、抗酸化作用、SOD(スーパーオキサイドディスムターゼ(超酸化物不均化酵素))様活性、コラーゲン合成促進作用等を有しているビタミンCもしくはその誘導体、あるいは、血流促進作用、抗酸化作用等を有しているビタミンEもしくはその誘導体を封入することにより、優れた美白・美肌効果が発揮される。
従って、スキンケア機能としてビタミンによる高い美容効果を発揮する固形粉末化粧料の好適な実施形態が提供される。
【0011】
同第三特徴構成は、上記第一又は第二特徴構成において、前記生体適合性ナノ粒子を構成する生体適合性高分子が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸グリコール酸、若しくはポリアスパラギン酸乳酸のいずれかである点にある。
すなわち、これらの生体適合性高分子は美容成分を内包可能であるとともに生体内で速やかに分解可能であるので、人体に対して影響が少なく、しかも内包成分を持続して徐々に放出する特性を有する。
従って、人体に対して安全性が高いナノ粒子材料で構成される固形粉末化粧料の好適な実施形態が提供される。
【0012】
同第四特徴構成は、上記第一から第三のいずれかの特徴構成において、他の原料として少なくとも、着色剤、タルク、樹脂パウダー、マイカ及びオイル成分を含む点にある。
【0013】
すなわち、これらの成分を含む固形粉末化粧料は、持ち運び時に割れが発生しにくく、パウダー状の使用感を維持するように成型性を調整することができ、例えばプレストパウダーとして作製される。
従って、固形粉末化粧料の具体的な実施形態が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る固形粉末化粧料の実施形態について説明する。
〔美容成分封入ナノ粒子〕
先ず、美容成分を封入した生体適合性ナノ粒子について説明すると、本発明に係るナノ粒子の材質は、ナノ粒子化できる生体適合性物質であれば特に限定されるものではないが、特に生体適合性高分子としては、後述のように、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸グリコール酸、若しくはポリアスパラギン酸乳酸のいずれかが好ましい。
【0015】
またナノ粒子の製造方法としては、ナノオーダーの平均粒径を有する粒子に加工することができる方法であれば特に限定されるものではないが、特に美容成分を封入してナノ粒子化する場合には、球形晶析法を用いることが非常に好ましい。
【0016】
球形晶析法は、化合物合成の最終プロセスにおける結晶の生成・成長プロセスを制御することで、球状の粒子に加工することができる方法である。球形晶析法には、晶析する球形粒子の生成・凝集機構の違いによって球形造粒法(SA法)と、エマルジョン溶媒拡散法(ESD法)とに分けることができるが、ここではESD法を用いる。
【0017】
ESD法は、二種類の溶媒(良溶媒と貧溶媒)を用いる方法であり、エマルジョンを形成してから、良溶媒と貧溶媒との相互拡散を利用して美容成分封入粒子を球状に形成させる方法である。具体的には、基材となる高分子を溶解し難い貧溶媒と、該基材高分子を良好に溶解できかつ貧溶媒にも混和拡散できる良溶媒とを準備する。そして、まず、良溶媒中に基材高分子が溶解し美容成分を溶解もしくは分散させた高分子溶液を撹拌下、貧溶媒中に滴下する。このとき、基材高分子と良溶媒とが親和性を持つため、良溶媒の貧溶媒への移行が遅れ、エマルジョン滴が形成される。そして、エマルジョン滴の冷却、並びに、良溶媒および貧溶媒の相互拡散により、エマルジョン滴内で、基材高分子の溶解度が低下していき、美容成分を封入した基材高分子の球形粒子が、エマルジョン滴の形状を保持したまま析出、成長する。
【0018】
尚、上記良溶媒および貧溶媒の種類については、基材高分子や美容成分の種類等に応じて決定されるものであり特に限定されるものではない。また、エマルジョンの形成条件や粒子析出時の温度条件等も特に限定されるものではなく、基材高分子や美容成分の種類、球形粒子の粒径(本発明の場合ナノオーダー)等に応じて適宜決定すればよい。
【0019】
上記球形晶析法では、物理化学的な手法でナノ粒子を形成でき、しかも得られるナノ粒子が略球形(ナノスフェア)であるため、均質なナノ粒子を、触媒や原料化合物の残留といった問題を考慮する必要なく、容易に形成することができる。また、ナノ粒子を生体に適用する場合は、ナノ粒子を生体適合性高分子等で修飾する場合があるが、球形晶析法では、良溶媒に基材となる生体適合性高分子と美容成分とを溶解、分散させるだけで、美容成分が生体適合性高分子に封入されたナノ粒子を形成することができるので、非常に好ましい。
【0020】
上記球形晶析法にて得ることができる生体適合性ナノ粒子を構成する素材としての生体適合性高分子は、生体への刺激・毒性が低く、生体適合性で、投与後分解して代謝される生体内分解性のものが望ましい。また、内包する美容成分を持続して徐々に放出する粒子であることが好ましい。このような素材として、ポリ乳酸・グリコール酸(PLGA)が挙げられる。PLGAは美容成分を内包可能であり、当該美容成分の効力を保持したまま長期間保存できることが知られている。さらに、PLGAの加水分解・長期半減期の特徴から、数日から1ヶ月単位の徐放ができると考えられる。生体適合性高分子としては、ほかに、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリアスパラギン酸乳酸(PAL)等が挙げられる。
【0021】
〔固形化方法〕
基本的には、上記美容成分を封入した生体適合性ナノ粒子(顆粒パウダー)及びその他の原料に少量の油分(オイル)を加えて固形性を調整し、プレストパウダー等に成型している。詳しくは後述の実施例の項で説明する。
【0022】
以下、生体適合性ナノ粒子を構成する生体適合性高分子がポリ乳酸グリコール酸(PLGA)であり、このPLGAナノ粒子に美容成分としてビタミンもしくはビタミン誘導体を封入し、他の原料として少なくとも、着色剤、タルク、樹脂パウダー、マイカ及びオイル成分を配合して固形化したプレストパウダーの場合の実施例について説明する。
【実施例1】
【0023】
[ビタミン或いはビタミン誘導体封入PLGAナノスフェアの調製法]
生体適合性高分子である乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA:和光純薬工業製PLGA7520)100gと油溶性のビタミンC誘導体であるテトラヘキシルデカン酸アスコルビル(VC-IP:日光ケミカルズ社製)15gをその良溶媒であるアセトン2000mLに溶解した後、エタノール1000mLを加え混合しポリマー溶液とした。このポリマー溶液を、貧溶媒となる0.25重量%のポリビニルアルコール(PVA:ポバール403、クラレ社製)水溶液4000mL中に40℃、400rpmで攪拌下、一定速度(20mL/分)で滴下し、良溶媒の貧溶媒中への拡散によってVC-IP封入PLGAナノスフェアの懸濁液を得た。続いて、減圧下アセトン及びエタノールを留去した後、得られたナノスフェアの懸濁液に糖アルコールの一種であるマンニトール(東和化成工業製)95gを添加した後に、凍結乾燥し粉末化した。得られた凍結乾燥粉末を乳鉢解砕及び篩処理により整粒することで、パウダー状化粧料用原料として使用感に優れたVC-IP封入PLGAナノスフェア粉末を得た。得られたナノスフェアの平均粒子径(動的光散乱法、マイクロトラックUPA)は254nmであった。
【実施例2】
【0024】
PLGA100gとビタミンEである酢酸トコフェロール(日本薬局方 酢酸トコフェロール、エーザイ社製)10gをその良溶媒であるアセトン2000mLに溶解した後、エタノール1000mLを加え混合しポリマー溶液とした。このポリマー溶液を、貧溶媒となる0.25重量%のポリビニルアルコール(PVA:ポバール403、クラレ社製)水溶液4000mL中に40℃、400rpmで攪拌下、一定速度(20mL/分)で滴下し、良溶媒の貧溶媒中への拡散によって酢酸トコフェロール封入PLGAナノスフェアの懸濁液を得た。続いて、減圧下アセトン及びエタノールを留去した後、得られたナノスフェアの懸濁液に糖アルコールの一種であるマンニトール(東和化成工業製)95gを添加した後に、凍結乾燥し粉末化した。得られた凍結乾燥粉末を乳鉢解砕及び篩処理により整粒することで、パウダー状化粧料用原料として使用感に優れた酢酸トコフェロール封入PLGAナノスフェア粉末を得た。得られたナノスフェアの平均粒子径(動的光散乱法、マイクロトラックUPA)は234nmであった。
【実施例3】
【0025】
[PLGAナノスフェア配合プレストパウダーの製造方法]
実施例1及び2で得られたナノスフェア及び表1のA及びBに示す成分を用いて、下記製造方法によりプレストパウダーを製造した。表1において、酸化亜鉛(白色顔料)と酸化チタンが着色剤に対応し、メタクリル酸メチルクロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー及び(ジメチコン/メチコン)コポリマーが樹脂パウダーに対応し、トリエチルヘキサノイン、ジメチコン、ステアリン酸(脂肪酸の一種)、イソステアリン酸(脂肪酸の一種)及びトコフェロール(ビタミンE/抗酸化剤)がオイル成分に対応する。
【0026】
【表1】



【0027】
表1のAに記載の成分をヘンシェルミキサー(三井鉱山製)で約10分間混合した。この混合物にBに記載の成分を加えて約10分間混合し、さらにCに記載の成分を加えて1分間混合した。得られた混合物を篩にかけ粒度を揃えた後、成型してプレストパウダーを得た。
【0028】
〔比較例〕
実施例3の比較例として、VC-IP封入PLGAナノスフェア及び酢酸トコフェロール封入PLGAナノスフェアの代わりにタルクを3.50重量%増量配合(合計で81.3重量%になる)し、実施例3の製造方法と同一条件にてプレストパウダーを製造した。
【実施例4】
【0029】
モニター20名により実施例3及び比較例で得られたプレストパウダーの使用テストを行い、皮膚に対するのび、つき、しっとり感、化粧崩れについて官能評価を行い、以下の基準で判定した。結果を表に示す。
(判定基準)
◎:15名以上が良好と判断
○:10名以上、15名未満が良好と判断
△:5名以上、10名未満が良好と判断
【0030】
【表2】



【0031】
表2に示すように、実施例3のプレストパウダーを使用した場合、皮膚に対するのび、つき、化粧崩れについては20名中15名以上が良好と判断し、しっとり感についても10名以上15名未満が良好と判断し、使用感に優れた結果が得られた。一方、比較例のプレストパウダーを使用した場合は、のび、つき、しっとり感について良好と判断したのは20名中10名以上15名未満であり、化粧崩れについて良好と判断したのは20名中10名未満であった。
【0032】
この結果より、VC-IP封入PLGAナノスフェア及び酢酸トコフェロール封入PLGAナノスフェアを配合した本発明のプレストパウダーは、皮膚上に塗布した際にナノスフェア自体が皮膚水分により速やかにナノサイズの粒子に分散されるとともに、プレストパウダー中の成分を偏析なく均一に皮膚表面に定着させることが可能で使用感に優れることが確認された。また、均一にしっかりと成分を定着させることで、経時的な化粧崩れを抑制することが確認された。
【実施例5】
【0033】
モニター3名により実施例3で得られたプレストパウダーの使用テストを1ヶ月間行い、皮膚の明度、目立つ毛穴の個数、色素沈着数について、均一照明による全顔撮影及び肌画像解析が可能なロボスキンアナライザー(型式:CS50、インフォワード社製)により評価した。結果を図1に示す。
【0034】
図1に示すように、実施例3のプレストパウダーを1ヶ月間使用した場合、顔面皮膚における明度は上昇し、目立つ毛穴の個数、色素沈着数は減少した。ここで、VC-IPは、メラニン産生抑制、抗酸化作用、SOD様活性、コラーゲン合成促進作用を有している。また酢酸トコフェロールは、血流促進作用、抗酸化作用、などを有している。結果より、VC-IP封入PLGAナノスフェア及び酢酸トコフェロール封入PLGAナノスフェアを配合した本発明のプレストパウダーは、使用感に優れるだけでなく、優れた美白・美肌効果を有することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係る固形粉末化粧料は、従来のパウダーファウンデーションのようなパウダータイプ(ナイト専用に限られる)ではない為、日中に携帯することができ、使用用途が大幅に広がる。その際、持運び上に起こる割れを発生させないように固形性を改良し、またパウダー状の使用感を保持することができる。
【0036】
使用後は、肌にふんわりと塗布されていくフェイスパウダーとなり、小ジワやくすみ、毛穴が気になる部分をナチュラルにカバーし余分な皮脂を吸着し、化粧崩れをふせいで、予め済んでいるベースメークの仕上がりを長時間キープしてくれる役目を持つ。特に、美容成分封入のPLGAナノ粒子が配合されているため、フェイスパウダーが肌にしっかりと定着する特徴がある。そして、当該ナノ粒子から美容成分が肌に供給され、スキンケア機能を高める効果がある。
【0037】
上記のような特徴を有する本発明の固形粉末化粧料は、他に、ファウンデーション、ほほ紅、口紅、アイシャドウ、アイブロウ、コンシーラー等のメイクアップ化粧品にも適用できる。
【0038】
また、ビタミン以外の各種薬効成分(例えば生薬)を美容成分として封入した生体適合性ナノ粒子を固形粉末化粧料に配合する場合にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る固形粉末化粧料の使用効果を示すグラフ
【出願人】 【識別番号】502360363
【氏名又は名称】株式会社ホソカワ粉体技術研究所
【識別番号】506317509
【氏名又は名称】株式会社ユノインターナショナル
【出願日】 平成18年7月21日(2006.7.21)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−24658(P2008−24658A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−199809(P2006−199809)