| 【発明の名称】 |
免疫増進剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】中島 敏博
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| 【要約】 |
【課題】ストレスを感じる場面で食すか服用することにより、香気成分を一定量確実に嗅覚系に作用させて、免疫機能を増進することのできる免疫増進剤を提供しようとする。
【構成】植物の青葉由来精油成分である(3Z)−ヘキセノール、(3Z)−ヘキセナール、(3E)−ヘキセノール、(3E)−ヘキセナール、(2E)−ヘキセノール、(2E)−ヘキセナール、n−ヘキサノール、n−ヘキサナールから選ばれる少なくとも一種の香気成分をシクロデキストリンに包接させた免疫増進剤である。また、前記香気成分が(3Z)−ヘキセノール及び/または(2E)−ヘキセナールである免疫増進剤である。さらに、前記免疫増進剤を配合した食品、健康補助食品または医薬品、医薬部外品である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植物の青葉由来精油成分である(3Z)−ヘキセノール、(3Z)−ヘキセナール、(3E)−ヘキセノール、(3E)−ヘキセナール、(2E)−ヘキセノール、(2E)−ヘキセナール、n−ヘキサノール、n−ヘキサナールから選ばれる少なくとも一種の香気成分が、シクロデキストリンに包接されてなる免疫増進剤。 【請求項2】 前記香気成分が、(3Z)−ヘキセノール、(2E)−ヘキセナールから選ばれる少なくとも一種の香気成分である請求項1に記載の免疫増進剤。 【請求項3】 請求項1または2に記載の免疫増進剤を配合したことを特徴とする食品。 【請求項4】 請求項1または2に記載の免疫増進剤を配合したことを特徴とする医薬部外品。 【請求項5】 請求項1または2に記載の免疫増進剤を含む医薬品用配合剤。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、香気成分による免疫増進剤に関する。 【背景技術】 【0002】 ヒトの体は、免疫機能が正常に働くことによって、多くの病気から身を守ることができる。免疫機能が活発に働いている人は病気に強く、その逆では感染に対する防御力の低下により病気にかかりやすい。 【0003】 免疫による防御機構は非特異的防御機構と特異的防御機構に大別され、免疫を担う細胞には、マクロファージやリンパ球などがある。一度感染すると同じ病原体には再度感染しないように働く特異的防御機構はリンパ球が中心的な役割を果たしているが、リンパ球には、Tリンパ球(T細胞)とBリンパ球(B細胞)という2種類のグループがある。B細胞は抗体を産生し、抗体は、特定の抗原を攻撃する。B細胞とT細胞は、1種類の抗原に特定して形成される。はじめて抗原による刺激を受けたB細胞の免疫応答は小さくて遅いにもかかわらず、二度目に抗原刺激を受けたときの免疫応答は大きくて持続的である。 【0004】 ところで、現代人は、ありとあらゆる所でさまざまなストレスにさらされているが、ストレスが続く生活をしていると免疫力を低下させる。ストレスが脳の視床下部を刺激することにより分泌される副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)は、アレルギーや外傷性ショックを和らげる作用として働く一方で、免疫力を高めるのに有効なリンパ球の活性を低下させる。つまり、免疫力を低下させることがわかっている。 【0005】 ストレスには、物理的、化学的、生理的なものや、社会的、心理的なものまで多種多様である。また、ストレスの感じ方も多様であり、同程度のストレスであってもある人にとっては適度なストレスであり、別の人にとっては過度のストレスであったりする。 【0006】 したがって、ストレスを軽減する方法も多種多様に試みられていて、芳香療法(アロマテラピー)はその代表例である((例えば、特許文献1参照)。ただし、ストレス軽減の度合い、あるいはストレス軽減による免疫機能の改善を実証できるまでのものではないのが実情である。この理由の一つとして、香気成分を一定量確実に嗅覚系に作用させ得る手段が十分でないことが考えられる。 【0007】 また、近年、科学的に証明されはじめてきたストレス軽減成分としてのみどりの香り(青葉アルコール=cis−3−ヘキセノール、青葉アルデヒド=trans−2−ヘキセナール、など)についても、いろいろな応用事例がある(例えば、特許文献2、特許文献3、非特許文献1)参照。 【0008】 他方、一般に香気成分は揮散しやすく、香気を如何に持続させるかというのが実用化上の技術課題であり、みどりの香り(青葉アルコール=cis−3−ヘキセノール、青葉アルデヒド=trans−2−ヘキセナール、など)においても同様である。そこで香気成分をマイクロカプセルやシクロデキストリンに包接することにより徐放させる方法が知られている((例えば、特許文献4、5参照)。 【特許文献1】特開平10−225510号公報 【特許文献2】特開2006−25643号公報 【特許文献3】特開2006−36726号公報 【特許文献4】特開2006−63168号公報 【特許文献5】特開2001−240892号公報 【非特許文献1】http://kaihatu.okomari.net/midori−no−kaori/ 【非特許文献2】Physiology&Behavior80(2004)481−488 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 本発明の目的は、ストレスを感じる場面で食すか服用することにより、香気成分を一定量確実に嗅覚系に作用させて、免疫機能を増進することのできる免疫増進剤を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0010】 発明の要旨とするところは、植物の葉から採取するかまたはそれと同等の香気成分をシクロデキストリンに包接させた免疫増進剤であることにある。 【0011】 前記香気成分は、植物の青葉由来精油成分である(3Z)−ヘキセノール、(3Z)−ヘキセナール、(3E)−ヘキセノール、(3E)−ヘキセナール、(2E)−ヘキセノール、(2E)−ヘキセナール、n−ヘキサノール、n−ヘキサナールから選ばれる少なくとも一種の香気成分であり得る。 【0012】 また、本発明の要旨とするところは、前記香気成分がcis−3−ヘキセノール及び/またはtrans−2−ヘキセナールである免疫増進剤であることにある。 【0013】 さらに、本発明の要旨とするところは、植物の葉から採取するかまたはそれと同等の香気成分をシクロデキストリンに包接させた免疫増進剤を配合した食品、健康補助食品または医薬品、医薬部外品であることにある。 【発明の効果】 【0014】 本発明によると、ストレスを感じる場面で食すか服用することにより、香気成分を所定量確実に嗅覚系に作用させて、ストレスを軽減するばかりでなく、免疫機能を増進することのできる免疫増進剤が提供される。 【発明を実施するための最良の形態】 【0015】 最近の研究成果により、植物の葉(青葉)に含まれる香気成分(緑の香り、green odor)が、嗅覚系を介して、動物の自律性ストレス応答からの回復を早めることが見出されている(非特許文献2参照)。本発明は、青葉から抽出して得られる成分を免疫増進剤として利用するものであり、著しい免疫能増進効果が認められる。 【0016】 本発明において用いられるおける青葉から抽出して得られる香気成分は、(3Z)−ヘキセノール、(3Z)−ヘキセナール、(3E)−ヘキセノール、(3E)−ヘキセナール、(2E)−ヘキセノール、(2E)−ヘキセナール、n−ヘキサノール、n−ヘキサナールから選ばれる少なくとも一種の香気成分であり得る。なかでも、(3Z)−ヘキセノール(cis−3−ヘキセノール及び/または(2E)−ヘキセナール(trans−2−ヘキセナール)が効果のうえでまた実用上好ましい。 【0017】 本発明による免疫増進剤は、これらの香気成分をシクロデキストリンに包接させることにより得られる。シクロデキストリンとしては、α、β、γあるいは分岐シクロデキストリンいずれのタイプのシクロデキストリンであってもよいが、α型が効率的に包接され得る。また、シクロデキストリンは、α型あるいはα型を主体とした混合型または分岐型のシクロデキストリン等、水に対する溶解度が十分なものが好ましい。 【0018】 該香気成分をシクロデキストリンに包接させる方法としては、該香気成分とシクロデキストリンと水とを混合、攪拌後、乾燥する方法が挙げられる。攪拌により、液中の該香気成分がシクロデキストリンに包接される。この方法によりシクロデキストリン100重量部に対して約5〜10重量部の香気成分が包接され、その液を乾燥すると、該香気成分包接状態のシクロデキストリンの粉末が得られる。 【0019】 攪拌の方法は限定されないが例えばホモジナイザを用いることが好ましい。また、乾燥の方法も限定されないが、スプレードライヤーによる噴霧乾燥が効率がよく好ましい。スプレードライヤーによる噴霧乾燥における入り口温度は150〜160℃、ホモジナイザ条件は5000〜30000rpmであると効率がよく好ましい。 【0020】 このようにして得られた本発明の免疫増進剤は、そのまま室内に置かれた状態ではヒトに分かる程度の香気が放出される。 【0021】 さらに、得られた本発明の免疫増進剤を水に溶いたのち、これを乾燥させるとヒトが嗅ぎ分けできないほどに香気の放出が抑制される。 【0022】 しかしながら、これを、水分と接触させて吸水させると、吸水した状態の間は、ヒトが嗅ぐに十分な香気を放出する。 【0023】 すなわち、該香気成分を包接させたシクロデキストリンに対して20重量%以上の水分を吸収しているときに該香気成分が有効に揮散され、シクロデキストリンに対して20重量%未満の水分しか吸収していないときに、ヒトが嗅いで判別できる程度には該香気成分は揮散されない。なお、水分が特定の一部分だけに吸収されている場合でも、その部分のシクロデキストリンの重量に対して20重量%以上の水分が吸収されていれば該香気成分が有効に揮散される。この現象は、該香気成分を包接させたシクロデキストリンに賦形剤や結合剤、安定剤等を加えて錠剤状に成形した場合でも同様である。 【0024】 免疫増進剤の利用方法は、粉末のまま、あるいは水に溶かして口腔中に滞留させながら経口摂取してもよい。あるいは、他の食品や、菓子や、ガムのような嗜好品に添加して経口摂取する方法でもよい。さらには、歯磨き剤のような医薬部外品に添加して経口摂取する方法でもよい。また、医薬品に添加して、医薬品を使用することによりその際に香気成分が放出されて嗅がれるようにしてもよい。 【0025】 シクロデキストリンに包接された該香気成分を、乳糖、デキストリンなどに配合し、また、必要に応じて甘味料、香料、着色料、等を適宜添加したうえ、錠剤状またはトローチ状に成形した免疫増進剤とする。これを口腔中に含むと、該香気成分が腔口中の唾液の作用で有効に揮散して嗅覚系に直接的かつ確実に作用し得る。 【0026】 このようにして得られた免疫増進剤は、粉末状のままあるいは錠剤やトローチ状にして、食品、菓子、健康補助食品、または医薬品、医薬部外品としてストレスを感じる場面で簡便に食すか服用することができ、免疫の増進に大きく寄与する。 【0027】 実験例 本発明による免疫増進剤の効果をラットへの投与により確認した。 拘束ストレスを与えた群と拘束ストレスを与えない群、それぞれの群につき、本発明による免疫増進剤によりみどりの香りを嗅がした群と嗅がさない群に分けた、下記4群につき抗体価を測定した。 群−イ:拘束ストレスなし、みどりの香りを嗅がさない群 群−ロ:拘束ストレスあり、みどりの香りを嗅がさない群 群−ハ:拘束ストレスなし、みどりの香りを嗅がした群 群−ニ:拘束ストレスあり、みどりの香りを嗅がした群 【0028】 この実験に用いた免疫増進剤は、実施例1と同様の方法で得られたものである。但し、香気成分としては青葉アルコール(cis−3−ヘキセノール)と青葉アルデヒド(trans−2−ヘキセナール)の等量混合物を用い、実施例1の(c)の状態でラットの鼻先で30分間直接的に嗅がせた。 【0029】 抗原にはBSA(Bovine Serum Albumin)を用い、抗体価はラットの尾静脈より採取した血液をELISA法によりその免疫グロブリン(IgG)を測定することにより評価した。 【0030】 初回免疫として、実験開始日(第0日)午前9時にBSAを常法により投与した。ストレスは第0日の午前10〜12時に与えた。また、香気成分は同日の午後16:00〜16:30に嗅がせた。第21日に追加免疫を投与した。 【0031】 図1に示されるように、BSAを投与したラットの抗体価は、本発明による免疫増進剤を嗅がした群において著しく上昇しており、免疫能の増進が認められる。ストレスを与えた群における抗体価の上昇は僅かであり、比較対照(ストレスなし、免疫増進剤なし)と比較して著しく低下しており、これはストレスによる免疫機能の阻害を示している。これに対して、ストレスを与え免疫増進剤を嗅がした群においては抗体価が上昇、免疫応答が正常に近づいており免疫能の増進が認められる。 【0032】 以下、本発明具体化の例を説明するが、例示は発明思想の制限または限定を意味するものではない。 【実施例1】 【0033】 (シクロデキストリンの種類および植物の葉から採取するかまたはそれと同等の香気成分の種類) 試料: シクロデキストリンとして、<1>横浜国際バイオ研究所社製:デキシパールK−100、<2>シクロケム社製:β型シクロデキストリン、植物の葉から採取するかまたはそれと同等の香気成分として、(1)cis−3−ヘキセノール、(2)生茶葉を蒸留抽出して得た少なくともcis−3−ヘキセノール及びtrans−2−ヘキセナールを含有する抽出液を用いた。 包接物作製操作: 各香気成分とシクロデキストリンと水とを3:12:85の重量比率で混合し、それぞれホモジナイザ(6000r.p.m)で30分間撹拌し混合液とした。<1>については、混合液をスプレードライヤーで噴霧乾燥(入口温度160℃、排風温度80℃)して免疫増進剤を得た。<2>については、熱風乾燥機で150℃1時間乾燥して免疫増進剤を得た。(a)。 官能検査: 得られた免疫増進剤(a)をそれぞれシャーレに0.1g入れて、水を1.0cc加えて撹拌すると、水への溶解度の比較的高いデキシパールK−100は透明、溶解度の低いβシクロデキストリンは白濁状態であった。これを100℃で約10分乾燥した状態(b)、さらにこれに水分を付与した状態(c)のそれぞれにつき、香気の揮散状態を(匂いを嗅ぐ)官能検査で調べた。官能検査は点数法で行い、5:顕著に匂う、4:かなり匂う、3:匂う、2:かすかに匂う、1:かなり注意深く嗅いでようやく匂う、0:匂わない、で判定した。官能検査の結果を表1に示す。表中、<>内の値は、(a)の状態で室内に2週間放置後のサンプルについての官能検査の結果である。 【実施例2】 【0034】 (免疫増進剤の態様と効果) 試料: 実施例1で作製した<1>横浜国際バイオ研究所社製:デキシパールK−100に、(1)cis−3−ヘキセノールを包接した免疫増進剤を用いた。 免疫増進剤の態様及び作製操作: 試料と賦形剤としての乳糖と白糖、結合剤としてのデキストリン、乳化安定剤としてのステアリン酸マグネシウムと水とを、5:55(乳糖30+白糖25):20:3:2:15の重量比率でミキシング、造粒機で100〜1000μの顆粒にし、調湿後、打錠機に供し、直径約12mm重量約500mgの錠剤状免疫増進剤を得た。 官能検査: 得られた免疫増進剤の香気の揮散状態を実施例1と同様に官能検査で調べた結果を表2-1に示す。表中、<>内の値は、(A)の状態で室内に2週間放置後のサンプルについての官能検査の結果である。 この錠剤状免疫増進剤を口腔中にしばらく滞留させ、あるいは噛み砕いたときの香気の揮散状態を実施例1と同様に官能結果で調べた結果を表2-2に示す。表中、<>内の値は、(A)の状態で室内に2週間放置後のサンプルについての官能検査の結果である。 【0035】 【表1】
【0036】 【表2−1】
【0037】 【表2−2】
【図面の簡単な説明】 【0038】 【図1】BSAを投与したラットの抗体価の、本発明の免疫増進剤により香気成分を嗅がした群と嗅がさない群との差異を経時で示すグラフである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】506251937 【氏名又は名称】株式会社ティ プラント研究所
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| 【出願日】 |
平成18年7月21日(2006.7.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100094248 【弁理士】 【氏名又は名称】楠本 高義
【識別番号】100124718 【弁理士】 【氏名又は名称】増田 建
【識別番号】100129207 【弁理士】 【氏名又は名称】中越 貴宣
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| 【公開番号】 |
特開2008−24645(P2008−24645A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月7日(2008.2.7) |
| 【出願番号】 |
特願2006−198890(P2006−198890) |
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