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【発明の名称】 皮膚外用剤
【発明者】 【氏名】阿部 昭仁

【氏名】岩井 秀隆

【氏名】中谷 有沙

【氏名】長澤 真木

【要約】 【課題】肌のハリ感を有効に改善する皮膚外用剤を提供する。

【構成】(A)カテキン類、及び(B)アスナロ抽出物を含有する皮膚外用剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)カテキン類、及び(B)アスナロ抽出物を含有する皮膚外用剤。
【請求項2】
(A)カテキン類が、ガレート基を有するカテキンを70質量%以上含有する請求項1記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
(A)カテキン類が、エピガロカテキンガレートを50質量%以上含有する請求項1又は2記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
更に、(C)ヒバマタ抽出物を含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、肌のハリ感を改善する効果に優れた皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
健康で美しい肌を保つことは、特に女性にとって非常に関心の高い問題である。しかし、肌の状態は湿度、紫外線、化粧品、加齢、疾病、ストレス、食習慣等の因子に常に影響され、その結果として肌の諸機能の減退、肌の老化など、様々な肌のトラブルが発生する。
例えば、しわは加齢による肌の老化や太陽光線への露出による光老化等により生じる。すなわち、太陽光線への露出や加齢により、真皮の線維を作る細胞(線維芽細胞)は小さくかつ少なくなる。特に、コラーゲン線維が大きく失われ、真皮が退化し、また皮下脂肪組織が減少することにより皮膚が老化し、これが主にしわ、ハリの低下及び弾力性損失の原因になるといわれている。
【0003】
従来、しわを抑制したり治療するために、種々の組成物や方法が検討されてきた。例えば、グアニジン誘導体又はその塩が、しわ改善効果を有すること(特許文献1)、レチノイド類やレチノイン酸等を用いてしわを改善する技術(特許文献2、特許文献3)などが提案されている。
このように、しわを改善することについては多くの検討がなれているが、肌を触ったときのハリ感については、十分な効果を有するものが得られていなかった。
【特許文献1】国際公開第98/15260号パンフレット
【特許文献2】特開平11−335284号公報
【特許文献3】特開平9-20655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、肌のハリ感を有効に改善する皮膚外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、カテキン類と、アスナロ抽出物を併用することにより、優れたハリ感改善効果が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、(A)カテキン類、及び(B)アスナロ抽出物を含有する皮膚外用剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の皮膚外用剤は、肌のハリ感を改善する効果に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)のカテキン類は、非重合体カテキン、すなわち、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートの8種類を、合計で80質量%以上含有するのが好ましい。
成分(A)のカテキン類としては、ガレート基を有するカテキン類(ガレート体)、すなわち、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートを、合計で70質量%以上、特に75〜90質量%含有するのが好ましい。中でも、エピガロカテキンガレートを50質量%以上、特に55〜70質量%含有するのが好ましい。
【0009】
このような成分(A)のカテキン類は、茶葉から熱水抽出によりカテキン類を含む茶成分を抽出し、さらに有機溶媒で抽出することにより得られる抽出物である。ここでいう茶葉とは、主にツバキ科に属する茶樹(Camellia sinensis)に由来する葉を意味し、生又は乾燥物の別を問わないが、特に乾燥物を用いることが好ましい。
【0010】
抽出に用いる有機溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ブタノール、プロパノール、エタノール、メタノール、ポリエチレングリコール(分子量1000以下)、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の一価又は多価アルコール類などが挙げられ、これらを1種又は2種以上混合して用いることができる。これらのうち、酢酸エチル、一価アルコール及び多価アルコールから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、特に、酢酸エチル、エタノールから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、エタノールが最も好ましい。
【0011】
成分(A)のカテキン類は、本発明における皮膚外用剤の全組成中に0.000000001〜10質量%、特に0.00000001〜5質量%、更に0.0000001〜3質量%含有するのが、肌のハリ感を改善する効果に優れるとともに、使用感も良好であるので好ましい。
【0012】
本発明で用いる成分(B)のアスナロ抽出物は、ヒノキ科(Cupressaceae)、アスナロ属(Thujopsis)のアスナロ(Thujopsis dolabrata)から得られる抽出物である。アスナロは、全体又は葉部、小枝部、根部、幹部等のいずれの部位も用いることができるが、葉部又は小枝部(花実、毬果も含む)が特に好ましい(以下、アスナロの全体又は部分であって、未加工のものを「原体」という)。
【0013】
抽出に用いる溶剤としては、例えば、水;石油エーテル、n−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンセン等の炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ピリジン類;ブタノール、プロパノール、エタノール、メタノール、ポリエチレングリコール(分子量1000以下)、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の一価又は多価アルコール類などが挙げられ、これらを1種又は2種以上混合して用いることができる。これらのうち、水、炭化水素、一価アルコール及び多価アルコールから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、特に、水、n−ヘキサン、エタノールから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、水及び/又はエタノールが最も好ましい。
【0014】
本発明に用いる抽出物は、例えば、原体又は原体を乾燥もしくは乾燥することなく裁断、粉砕等したものを、好ましくは3〜100℃、特に好ましくは3〜70℃で、上記溶媒を用いて抽出し、適宜希釈、濃縮、又は凍結乾燥等を行うことにより得ることができる。
例えば、アスナロ原体からの好ましい具体的抽出例としては、アスナロの乾燥粉砕物100gをエタノール1Lに浸漬し、室温でときどき攪拌しながら7日間抽出を行い、得られた抽出液を濾過し、濾液を5℃で3日間静置した後、再度濾過して上澄みを得る方法が挙げられる。
【0015】
上記抽出物は、そのまま有効成分として用いることができるが、当該抽出物を濃縮後、更に適当な分離手段、例えばゲル濾過やシリカゲルカラムクロマト法、高速液体クロマト法等により、活性の高い画分を分画して用いることもできる。更に必要により、活性炭等を用いて脱臭、脱色等の精製処理を施してから用いることもできる。
【0016】
成分(B)のアスナロ抽出物は、固形分換算で、本発明における皮膚外用剤の全組成中に0.000000001〜10質量%、特に0.000000005〜5質量%、更に0.00000001〜1質量%含有するのが、肌のハリ感を改善する効果に優れるとともに、使用感も良好であるので好ましい。
【0017】
本発明の皮膚外用剤は、更に(C)ヒバマタ抽出物を含有することができ、肌のハリ感を改善する効果により優れるので好ましい。
ヒバマタ抽出物は、褐藻類に分類される海藻の一種であるヒバマタ科(Fucaceae)、ヒバマタ属(Fucus)のFucus vesiclosus 又は Fucus evanescens から得られる抽出物である。ヒバマタからの抽出は、前記アスナロと同様に行なうことができる。
【0018】
成分(C)のヒバマタ抽出物は、固形分換算で、本発明における皮膚外用剤の全組成中に0.000000001〜10質量%、特に0.000000005〜5質量%、更に0.00000001〜1質量%含有するのが好ましい。
【0019】
本発明の皮膚外用剤は、前記成分以外に、通常の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、油性成分、界面活性剤、保湿剤、紫外線吸収剤、薬効成分、多価アルコール、キレート類、pH調整剤、防腐剤、増粘剤、色素、香料等を含有することができる。
【0020】
本発明の皮膚外用剤は、通常の方法により製造することができ、クリーム、乳液、軟膏、化粧水、ジェル、パック、パップ剤等とすることができる。
【実施例】
【0021】
製造例1(アスナロ抽出物の製造)
アスナロの葉及び樹皮の乾燥粉砕物100gに、エタノール1000mLを加え、室温で時々攪拌しながら7日間抽出を行った。得られた抽出液を濾過し、濾液を5℃で3日間静置したのち、再度濾過して上澄みを得た。これを濃縮し、エキス分(乾燥残分)0.25質量%、エタノール9.75質量%、1,3−ブチレングリコール45質量%、精製水45質量%になるように調整した。
【0022】
製造例2(ヒバマタ抽出物の製造)
ヒバマタの乾燥粉砕物100gに、エタノール1000mLを加え、室温で時々攪拌しながら7日間抽出を行った。得られた抽出液を濾過し、濾液を5℃で3日間静置したのち、再度濾過して上澄みを得た。これを濃縮し、エキス分(乾燥残分)1.5質量%、精製水88.5質量%、1,3−ブチレングリコール10.0質量%になるように調整した。
【0023】
実施例1
表1に示す組成のジェルを製造し、ハリ感改善効果を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0024】
(製法)
成分(1)〜(6)及び(8)を成分(9)に加えて混合した。これに、成分(7)を加えて中和した後、撹拌し、ジェルを得た。
【0025】
(評価方法)
30歳〜49歳までの健常な女性66名の全顔に実施例1のジェルを、また25歳〜35歳までの健常な女性各5名の全顔に比較例1、比較例2又はプラセボを1日2回、2週間塗布した。試験開始2週間後の状態をアンケートし、下記基準にて評価し、3と4を記入した割合(%)を求めた。
【0026】
(評価基準)
0:ハリ感改善効果がない。
1:ハリ感改善効果がかすかにある。
2:ハリ感改善効果がややある。
3:ハリ感改善効果がある。
4:ハリ感改善効果がかなりある。
【0027】
【表1】


【0028】
実施例2(ジェル)
以下に示す組成のジェルを製造した。
(成分)
(1)カテキン類(三井農林社製、ポリフェノン70A)
0.00000001(質量%)
(2)アスナロ抽出物(製造例1) 1
(3)ヒバマタ抽出物(製造例2) 1
(4)カルボキシビニルポリマー 0.5
(5)ポリオキシエチレンメチルグルコシド 10
(6)86%グリセリン 10
(7)グリシンベタイン 3
(8)コハク酸 適量
(9)水酸化カリウム 0.15
(10)香料 適量
(11)精製水 バランス
【0029】
(製法)
成分(1)〜(8)を成分(11)に加えて溶解させる。これに、成分(9)を加えて中和した後、成分(10)を添加して撹拌し、ジェルを得た。
【0030】
実施例3(乳液)
以下に示す組成の乳液を製造した。
(成分)
(1)パルミチン酸 0.5(質量%)
(2)オリーブ油 2
(3)セタノール 1
(4)ホホバ油 5
(5)モノヘキサデシルリン酸ナトリウム 2
(6)モノステアリン酸ソルビタン 0.5
(7)2−ヒドロキシメチル−1−ピロリジンカルボキサミジン 2
(8)カテキン類(三井農林社製、ポリフェノン70A) 0.0000005
(9)アスナロ抽出物(製造例1) 5
(10)86%グリセリン 15
(11)エタノール 5
(12)乳酸 0.2
(13)精製水 バランス
【0031】
(製法)
成分(1)〜(6)を80℃に保ち、均一溶解させて油相を得る。成分(7)〜(13)を溶解し、80℃で撹拌しながら油相を加え、ホモミキサーで処理した後、急冷して室温にし、乳液を得た。
【0032】
実施例4(化粧水)
以下に示す組成の化粧水を製造した。
(成分)
(1)N−アミジノ−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン 2(質量%)
(2)カテキン類(三井農林社製、ポリフェノン70A) 0.0000001
(3)アスナロ抽出物(製造例1) 0.1
(4)モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 1
(5)1,3−ブチレングリコール 3
(6)ソルビトール(70%) 2
(7)ピロリドンカルボン酸ナトリウム 3
(8)エタノール 10
(9)精製水 バランス
【0033】
(製法)
成分(1)〜(9)を均一に溶解させ、化粧水を得た。
【0034】
実施例5(クリーム)
以下に示す組成のクリームを製造した。
(成分)
(1)3−ヒドロキシ−1−ピロリジンカルボキサミジン 2(質量%)
(2)カテキン類(三井農林社製、ポリフェノン70A) 0.00001
(3)アスナロ抽出物(製造例1) 5
(4)ステアリン酸 7.5
(5)セトステアリルアルコール 1.5
(6)流動パラフィン 10
(7)トリイソオクタン酸グリセリン 12
(8)ラノリン 3
(9)パルミチン酸セチル 4
(10)モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40) 2
(11)モノステアリン酸グリセリン(自己乳化型) 5
(12)精製水 バランス
【0035】
(製法)
成分(4)〜(11)を80℃に保ち均一に溶解させて油相を得る。成分(1)、(2)、(3)及び(12)を溶解し、80℃で撹拌しながら油相を加え、ホモミキサーで処理した後、急冷して室温にし、クリームを得た。
【0036】
実施例6(パック)
以下に示す組成のパックを製造した。
(成分)
(1)N−アミジノ−4−ピペリジンカルボン酸 2(質量%)
(2)カテキン類(三井農林社製、ポリフェノン70A) 0.000001
(3)アスナロ抽出物(製造例1) 10
(4)ポリビニルアルコール(35〜45cps) 6
(5)ポリビニルアルコール(20〜25cps) 7
(6)エタノール 20
(7)モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 1
(8)プロピレングリコール 3
(9)グリセリン 1
(10)精製水 バランス
【0037】
(製法)
成分(10)に成分(4)、(5)及び(7)〜(9)を加えて溶解させる。その後、成分(1)〜(3)及び(6)を撹拌して加え、パックを得た。
【0038】
実施例7(パップ剤)
以下に示す組成のパップ剤を製造した。
(成分)
(1)N−アミジノ−L−プロリン 1(質量%)
(2)カテキン類(三井農林社製、ポリフェノン70A) 0.00001
(3)アスナロ抽出物(製造例1) 1
(4)ポリアクリル酸10%水溶液 35
(5)ポリアクリル酸ナトリウム 7
(6)グリセリン 20
(7)モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 0.5
(8)塩化カルシウム20%水溶液 1
(9)カリミョウバン10%水溶液 4
(10)水酸化アルミニウム 0.2
(11)カオリン 4
(12)精製水 バランス
【0039】
(製法)
成分(12)の一部に、成分(4)〜(6)を溶解させ、別途成分(12)の残部に成分(7)〜(10)を溶解させたものを添加して水相とし、更に撹拌しながら成分(11)を添加してゲルを得る。このゲルを不織布に均一に塗工して、パップ剤を得た。
【0040】
実施例2〜7で得られた皮膚外用剤はいずれも、肌のハリ感を改善する効果に優れたものであった。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【出願日】 平成18年7月20日(2006.7.20)
【代理人】 【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所

【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸

【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄

【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫

【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹

【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人

【識別番号】100101317
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 ひろみ

【識別番号】100121153
【弁理士】
【氏名又は名称】守屋 嘉高

【識別番号】100134935
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 詩木

【識別番号】100130683
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 政広

【識別番号】100140497
【弁理士】
【氏名又は名称】野中 信宏


【公開番号】 特開2008−24631(P2008−24631A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−198056(P2006−198056)