| 【発明の名称】 |
浴用剤組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】木村 利通
【氏名】藤井 明
【氏名】松田 和也
|
| 【要約】 |
【課題】アルカリ性としなくても、入浴時の肌つるつる感を知覚できる浴湯が調製できるとともに、湯面の清澄感も維持できる浴用剤組成物を提供すること。
【構成】炭素数3〜10の多価カルボン酸(ヒドロキシカルボン酸を含む。)の水溶性塩を35〜100質量%含有する。この浴用剤組成物は、通常、浴湯を中性域として使用する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 炭素数3〜10の多価カルボン酸(ヒドロキシカルボン酸を含む。以下同じ。)の水溶性塩を35〜100質量%含有することを特徴とする固状浴用剤組成物。 【請求項2】 炭素数3〜10の多価カルボン酸の水溶性塩を1〜65質量%含有することを特徴とする水性浴用剤組成物。 【請求項3】 炭素数3〜10の多価カルボン酸及び該多価カルボン酸に対して0.8〜1.2当量のアルカリ性化合物を含有することを特徴とする請求項2記載の水性浴用剤組成物。 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の固状浴用剤組成物又は水性浴用剤組成物を浴湯中に投入して使用するに際して、浴湯のpHが5〜10となるように投入することを特徴とする浴用剤組成物の使用方法。 【請求項5】 請求項1、2又は3記載の固状浴用剤組成物又は水性浴用剤組成物を浴湯中に投入して使用するに際して、前記多価カルボン酸の浴湯中の濃度が200〜10000mg/Lになるように投入することを特徴とする浴用剤組成物の使用方法。 【請求項6】 請求項2又は3記載の水性浴用剤組成物を浴湯中に投入して使用するに際して、浴湯循環システムに組み込まれた注入装置を介して投入することを特徴とする請求項4又は5記載の浴用剤組成物の使用方法。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は浴用剤組成物、特に入浴時に、温泉に入浴したときのような肌つるつる感を知覚(感覚)することができる浴用剤組成物に関する。 【背景技術】 【0002】 昨今、公衆浴場や家庭用風呂において入浴時において肌つるつる感を知覚できて、天然温泉擬似感覚を得るための浴用剤組成物が多種、上市され多用されている。該浴用剤組成物の主流は、従来、アルカリ性無機塩類を主体として浴湯をアルカリ性として、入浴時の肌つるつる感を知覚できる浴湯としていた。 【0003】 しかし、アルカリ性の浴湯は、湯上り後の肌乾燥ないし肌カサツキが発生し易かった。なお、中性の無機塩を多量に投入しても、入浴時の肌つるつる感を知覚できる浴湯となるが、多量に投入する必要があり、投入性に劣る(特に、公衆浴場で浴湯循環路を介して投入する場合)。水不溶性の無機物の微粒子を投入しても、入浴時の肌つるつる感を知覚できる浴湯となるが、浴湯に濁りが発生して清澄感が好まれる場合に不適であり、また、不溶物が浴槽の底に沈降して浴槽が汚れ易くなる。 【0004】 このため、カチオン化ポリマーからなる浴用剤組成物(特許文献1等参照)や、アルカリ性無機塩類に起因するカサツキを補完するためにカチオン化ポリマーを添加した浴用剤組成物(特許文献2等参照)が提案されている。 【0005】 しかし、カチオン化ポリマーは、浴湯面で泡が発生しやすく、上記、水不溶性無機物の微粒子の場合と同様、湯浴の清澄感が好まれる場合には対応し難い。 【0006】 なお、目的が全く異なり、本発明の特許性に影響を与えるものではないが、有機酸を必須成分とする浴用剤組成物として、特許文献3・4等が存在する。 【特許文献1】特開平9−315951号公報 【特許文献2】特開2001−10949号公報 【特許文献3】特開平9−241151号公報 【特許文献4】特開2000−229841号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 本発明は、上記にかんがみて、アルカリ性としなくても、入浴時の肌つるつる感を知覚できるとともに、湯面の清澄感も維持できる浴用剤組成物を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意開発に努力をした結果、特定の多価カルボン酸塩を主体とする浴用剤組成物を使用すればアルカリ性としなくても入浴時の肌つるつる感が知覚できる浴湯が容易に調製できることを知見して固状ないし水性の浴用剤組成物に想到した。 【0009】 固状浴用剤組成物の構成は、炭素数3〜10の多価カルボン酸(ヒドロキシカルボン酸を含む。以下同じ。)の水溶性塩を35〜100質量%含有することを特徴とし、また、水性浴用剤組成物は、炭素数3〜10の多価カルボン酸の水溶性塩を1〜65質量%含有することを特徴とするものである。 【0010】 そして、水性浴用剤組成物の場合は、炭素数3〜10の多価カルボン酸と該多価カルボン酸に対して0.8〜1.2当量のアルカリ性化合物からなるものとすることができる。なお、水性浴用剤組成物の場合、pHは3〜13とする。 【0011】 そして、上記各浴用剤組成物を浴湯中に投入して使用するに際して、浴湯のpHが5〜10になるように、又は、多価カルボン酸の浴湯中の濃度が200〜10000mg/Lになるように投入して使用する。 【0012】 また、水性浴用剤組成物の場合、注入装置を介して投入することが好ましい。 【発明の効果】 【0013】 本発明の浴用剤組成物は、浴湯の液性をアルカリ性としなくても、かつ、少量で(上記多価カルボン酸の水溶性塩の種類にもよるが、少ないものでは浴槽水中の濃度が200mg/L)、入浴時の肌つるつる感が知覚できる浴湯を調製することができる。 【0014】 従って、入浴時の肌つるつる感を中性乃至弱酸性の浴湯で知覚できる結果、アルカリ性の浴湯に入浴したことに起因する入浴後の肌の乾燥乃至カサツキが発生することがない。 【0015】 また、溶解に手間がかからず且つ経済的である。また、浴湯面で泡が発生するようなことがなく、浴湯の清澄感を維持できる。 【0016】 さらに、完全に溶解するため、浴槽水が濁ったり、不溶物が浴槽の底に沈降したりするということもない。加えて、カルシウムイオンやマグネシウムイオンを含有する硬水を浴槽水に用いた場合でも、脂肪族多価カルボン酸塩のキレート効果により、スケールを発生させるおそれはない。 【0017】 このことは、浴槽や浴湯の循環配管がスケールで汚れることを防止するだけでなく、浴用剤組成物の注入装置を用いる場合も、スケールによる注入ノズルの詰まりを防止でき、持続的に液状の浴用剤組成物を注入できるという効果を奏する。 【0018】 以下、本発明の手段(構成)に関して詳細に説明をする。以下の説明で配合量を示す「%」は、特に断らない限り、「質量%」を意味する。 【0019】 本発明の固状又は水性(液状)の浴用剤組成物は炭素数3〜10の多価カルボン酸(ヒドロキシカルボン酸を含む。以下同じ。)の水溶性塩を必須成分とする。多価カルボン酸とは、1分子中に2個以上(通常、2〜3個)のカルボン酸基を持つ有機カルボン酸のことである。以下、上記「炭素数3〜10の多価カルボン酸の有機酸塩」を「特定有機酸塩」という。 【0020】 特定有機酸塩を構成する多価カルボン酸としては、炭素数3〜10のジ・トリカルボン酸およびジ・トリヒドロキシカルボン酸を使用できる。 【0021】 具体的には、マロン酸(C3)、コハク酸(C4)、グルタル酸(C5)、アジピン酸(C6)等の飽和ジカルボン酸;フマル酸(trans-ブテン二酸)、マレイン酸(cis-ブテン二酸)等の不飽和ジカルボン酸;クエン酸(2-ヒドロキシー1,2,3-トリカルボン酸)、リンゴ酸(2-ヒドロキシブタンニ酸)、酒石酸(2,3-ジヒドロキシブタンニ酸)等のヒドロキシカルボン酸を挙げることができる。 【0022】 これらのうちで、水に対する溶解度の大きなクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸が望ましい。これらは、1種又は2種以上組み合わせて使用できる。 【0023】 また、多価カルボン酸の対イオンとしては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等を挙げることができる。 【0024】 ここで、「水性」とは、水ばかりでなく、少量の水と完全に混和するアルコール等の水溶性溶媒を分散媒とする場合も含む。 【0025】 これらのうちで、ナトリウム・カリウム等のアルカリ金属が望ましい。 【0026】 具体的な特定有機酸塩としては、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸トリエタノールアミン等が挙げられ、これらのうちで、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムが特に好ましい。目的とする肌つるつる感を得やすいためである。 【0027】 また、水性浴用剤組成物の場合は、多価カルボン酸及び多価カルボン酸を略中和する量のアルカリ性化合物を含有する構成とすることもできる。すなわち、多価カルボン酸を湯水に溶かしておいて、アルカリ性化合物を添加しながらpHを調節して調製する。こうして水性浴用剤組成物のpHを調節することにより浴湯に投入した場合の浴湯の液性(pH)を酸性からアルカリ性まで自由に制御することが容易となる。例えば、液性(pH)がアルカリ性となり、入浴後に肌乾燥乃至肌カサツキが発生することが危惧される場合は、液性を酸性から中性とすることが可能である。つまり、浴槽水の液性を中性や酸性としても、肌つるつる感を知覚することが可能である。 【0028】 なお、有機酸を中和するために用いられるアルカリ化合物は、水溶性で本発明を妨げることのないものであれば特に限定されない。具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機塩基を挙げることができる。これらのうちで、生成する特定有機酸塩の水に対する溶解度の大きな水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが特に好ましい。これらは1種あるいは2種以上組み合わせて含有される。 【0029】 本発明の浴用剤組成物は、上記必須成分の他に、通常の浴用剤組成物に配合される成分、例えば、無機塩類、界面活性剤、アルコール、水溶性高分子、増粘剤、油性成分、生薬、植物エキス、温泉水、消炎剤、無機酸、酵素類、アミノ酸、ビタミン類、白濁化剤、紫外線吸収剤、キレート剤、防腐剤、香料、色素類等を適宜配合することもできる。上記無機塩類としては、下記の例示のものを好適に使用できる。 【0030】 「炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、セスキ炭酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸マグネシウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、塩化アンモニウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化マンガン、等。」 上記浴用剤組成物中における特定有機酸塩の含有量は、有機酸塩の種類により若干変動するが、固状浴用剤組成物の場合、約35〜100%、更には約50〜100%、より更には約70〜100%が好ましい。また、固状浴用剤組物の剤型は、粉剤、粒剤、微粒剤、ペレット剤、ブロック剤、など固状であるすべての剤型を含む。 【0031】 他方、水性浴用剤組成物(水溶剤)の場合、約1〜65%、更には約10〜65%、より更には約20〜65%が好ましい。 【0032】 本発明の浴用剤用組成物において特定有機酸塩の含有量が過少では、所望する肌つるつる感を知覚するために、浴用剤組成物を浴槽水に多量に投入しなければならず、溶解に手間がかかる。また、固状浴用剤組成物の場合、本発明における特定有機酸塩以外の成分の比率が増えるため、多量に投入することは経済的ではない。 【0033】 次に、上記実施形態の浴用剤組成物の使用態様について説明する。 【0034】 そして、投入量は、特定有機酸塩の種類および他の無機塩類との組合せ等により若干変動する。特定有機酸塩の濃度が、浴槽水(浴湯)中で約200〜10000mg/Lになるように、更には約200〜3000mg/L、経済性及び作業性を考慮すると、より更には約200〜1000mg/Lになるように投入することが好ましい。当該投入量により、普通感覚の人が入浴時に温泉のような肌つるつる感が知覚ができる。 【0035】 特に、本発明の水性浴用剤組成物は、注入装置を用いた浴用剤組成物の投入性に優れている。 【0036】 図1(A)・(B)に示す注入装置10A、10Bは、タンク1に、浴用剤組成物原液又は該原液を水で適宜希釈した水性液を充填し、定量ポンプ3又はバルブ5等を用いて、浴湯循環/補給配管6を流れる浴湯に持続的に注入するものである。持続的に注入することにより、浴用剤組成物の浴湯中での至適濃度の維持が容易である。なお、図例中、2は浴用剤組成物又はその希釈液であり、7は浴湯である。 【0037】 このような装置は、浴湯の循環装置を備えた大型の浴槽を設置している健康ランドやスーパー銭湯等で使用されている。 【0038】 なお、図2(A)、(B)に示すような、新規な発想の注入装置11A、11Bも使用可能である。 【0039】 当該注入装置11A、11Bは、製造現場で浴用剤組成物原液を充填した容器9に、直接、浴用剤組成物注入配管4を接続し、ポンプ3又はバルブ5等を用いて注入するものである。この場合、タンクを必要としないと共に、浴用剤組成物が密閉状態で使用直前まで保存されて衛生的である。 【0040】 本発明の浴用剤組成物は、水に溶解あるいは希釈させる場合に用いる水がカルシウムイオンやマグネシウムイオンを含む硬水であっても炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム等のスケールが発生することがない。 【0041】 このため、注入装置の薬剤タンクに炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム等のスケールが堆積したり、注入ノズルがスケールで詰まったりすることがない。 【実施例】 【0042】 以下、実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0043】 <実施例1〜5、比較例1〜3> 表1に示す配合処方に基づいて、慣用の配合手段により混合して、各実施例・比較例の浴用剤組成物を調製した。各浴用剤組成物を用いて、各浴用剤組成物の浴湯中の固形分濃度が300mg/Lとなるように溶解して、各入浴用浴湯とした。なお、浴湯の水量は、200Lとし、湯温は40℃に設定をした。 【0044】 パネラ−10名(男女各5名、20〜50歳)に、各入浴用浴湯に5分間入浴してもらい、入浴時の肌つるつる感について評価をした。 【0045】 肌つるつる感の評価基準は下記の通りで、10名の平均値を結果として表1に併記した。 【0046】 表1に示す結果から、本発明の各実施例の浴用剤組成物は、比較例の無機塩を主体とした浴用剤組成物に比して、入浴時の肌つるつる感が非常に優れていることが認められた。 (入浴時の肌つるつる感) 3:肌つるつる感を非常に強く感じた 2:肌つるつる感を感じた 1:肌つるつる感を多少感じた 0:肌つるつる感をほとんど感じなかった 【0047】 【表1】
また、実施例3に示した浴用剤組成物を水量10m3の浴湯、浴湯中の固形分濃度約300mg/Lとなるように注入装置を用いて持続的に注入した。この状態で、入浴時の肌つるつる感をパネラー20名(男女各10名、20〜50歳)に評価してもらった。その結果、18人から「肌つるつる感を非常に強く感じた。」との、2人から「肌つるつる感を感じた。」の、各回答が得られた。 【0048】 加えて、浴用剤組成物を投入する前のカルシウムイオン濃度が50mg/Lである浴湯に、実施例3で示した浴用剤組成物を固形分濃度が300mg/Lとなるように投入した。その結果は、スケールが発生することがなく、浴湯面に泡が発生することもなく、浴湯の清澄性を維持することができた。 【図面の簡単な説明】 【0049】 【図1】(A)・(B)は、本発明の浴用剤組成物を、従来の注入装置を用いて浴湯への投入方法を示すモデル図である。 【図2】(A)・(B)は、同じく、新規な発想の注入装置を用いて浴湯への投入方法を示すモデル図である。 【符号の説明】 【0050】 1 注入装置内のタンク 2 浴用剤組成物又はその希釈液 3 定量ポンプ 4 浴用剤組成物注入配管 5 バルブ 6 浴用循環/補給配管 7 浴湯 8 製造現場で充填された浴用剤組成物の容器 10A、10B 注入装置 11A、11B 注入装置
|
| 【出願人】 |
【識別番号】592193410 【氏名又は名称】株式会社ヘルスケミカル
|
| 【出願日】 |
平成18年7月19日(2006.7.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100076473 【弁理士】 【氏名又は名称】飯田 昭夫
|
| 【公開番号】 |
特開2008−24612(P2008−24612A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月7日(2008.2.7) |
| 【出願番号】 |
特願2006−196699(P2006−196699) |
|