| 【発明の名称】 |
ビタミンEとプロリンの複合体粉末及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】古川 貢
【氏名】牧野 孝夫
【氏名】中楯 雅生
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| 【要約】 |
【課題】本発明の課題は、常温で油状であり、脂溶性で粘性が極めて高いビタミンEを、ビタミンE含量が高く、且つ、流動性の良い粉末を見出し製造することである。
【構成】ビタミンEとプロリンと有機溶媒を配合し、室温乃至加熱しながら攪拌することによってビタミンEとプロリンの複合体を形成させ、有機溶媒を留去、乾燥させることで、ビタミンE含量が高く、且つ、流動性の良い粉末になることを見出した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 有機溶媒中で、ビタミンEとプロリンを攪拌することによって複合体を形成し、有機溶媒を留去、乾燥させて得られるビタミンE含有粉末。 【請求項2】 ビタミンEに対するプロリンの重量比が、1:0.27〜1:0.67であることを特徴とする請求項1記載のビタミンE含有粉末。 【請求項3】 有機溶媒中で、ビタミンEとプロリンを攪拌することによって複合体を形成し、有機溶媒を留去、乾燥させることを特徴とするビタミンE含有粉末の製造方法。 【請求項4】 ビタミンEに対するプロリンの重量比が、1:0.27〜1:0.67であることを特徴とする請求項3記載のビタミンE含有粉末の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、ビタミンEとプロリンを有機溶媒中で攪拌することによって、ビタミンEとプロリンの複合体を形成させ、有機溶媒を留去、乾燥させて得られるビタミンE含量が高く、且つ、流動性の良い粉末とその製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 粘稠で油状であるビタミンEは、人を対象とした試験において、心筋梗塞のような冠状動脈疾患などの一次予防(Lancet 356:1213-1218,2000(非特許文献1))に対して、前立腺癌の予防(J Natl Cancer Inst 90:440-6,1998(非特許文献2))に対して、さらにはアルツハイマーの認識機能の衰えの抑制(Dimentia 1:134-142,1987(非特許文献3))に対して有効であると判断されている。上記以外の疾患に対しても、ビタミンE単独、あるいはビタミンCや亜鉛などと併用して摂取することによって、予防効果があるとの文献が多数ある。 【0003】 しかしながらビタミンEは、常温で油状であり、さらには脂溶性で粘性が極めて高いため、医薬品及び食品へ用いる際には工夫を要する。 【0004】 一例としては、ビタミンEを粉末へと形態変化させることであり、粉末にすることによって、容易に医薬品及び食品素材へ均一に混合することができ、商品へと加工する上で極めて有効な方法である。 【0005】 ゆえに、ビタミンEを粉末にする特許が多数あり、例えば乳化剤、ゼラチン及びカゼインナトリウム等のタンパク質、アラビアガム等のガム類、単糖及び二糖等の糖類、糖アルコール、サポニン、化工澱粉及びデキストリン等の多糖類を単独あるいは複合させて用いることで乳化粉末にする特許(特開昭60−178882号公報(特許文献1)、特開昭61−60619号公報(特許文献2)、特開昭64−61417号公報(特許文献3)、特開平8−143456号公報(特許文献4)、特開平10−127258号公報(特許文献5)、特開平11−193229号公報(特許文献6)、特開2000−247869号公報(特許文献7)、特開2004−75600号公報(特許文献8))などが報告されている。 【0006】 しかしながら乳化粉末による方法では、何れもビタミンEを高含有させた粉末とするには困難であり、さらには高含有させると粉体の流動性が非常に悪くなるという欠点を有していた。 【0007】 【特許文献1】特開昭60−178882号公報 【特許文献2】特開昭61−60619号公報 【特許文献3】特開昭64−61417号公報 【特許文献4】特開平8−143456号公報 【特許文献5】特開平10−127258号公報 【特許文献6】特開平11−193229号公報 【特許文献7】特開2000−247869号公報 【特許文献8】特開2004−75600号公報 【非特許文献1】Lancet 356:1213-1218,2000 【非特許文献2】J Natl Cancer Inst 90:440-6,1998 【非特許文献3】Dimentia 1:134-142,1987 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 本発明の課題は、常温で油状であり、脂溶性で粘性が極めて高いビタミンEを、ビタミンE含量が高く、且つ、流動性の良い粉末を見出し製造することである。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明者は、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ビタミンEとプロリンと有機溶媒を配合し、室温乃至加熱しながら攪拌することによってビタミンEとプロリンの複合体を形成させ、有機溶媒を留去、乾燥させることで、ビタミンE含量が高く、且つ、流動性の良い粉末になることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0010】 すなわち本発明は、 (1)有機溶媒中で、ビタミンEとプロリンを攪拌することによって複合体を形成し、有機溶媒を留去、乾燥させて得られるビタミンE含有粉末、 (2)ビタミンEに対するプロリンの重量比が、1:0.27〜1:0.67であることを特徴とする(1)記載のビタミンE含有粉末、 (3)有機溶媒中で、ビタミンEとプロリンを攪拌することによって複合体を形成し、有機溶媒を留去、乾燥させることを特徴とするビタミンE含有粉末の製造方法、 (4)ビタミンEに対するプロリンの重量比が、1:0.27〜1:0.67であることを特徴とする(3)記載のビタミンE含有粉末の製造方法 に関するものである。 【0011】 本発明者が、ビタミンEの粉末化にあたって、ビタミンEと混合させる物質として、食品添加物の一種から選択すべく検討したところ、アミノ酸が好ましいと判断した。 【0012】 しかし、アミノ酸も多種あるところいろいろ実験を重ねた結果、プロリンのみが粉末化可能であることを見出し、本発明を完成させた。 【0013】 本発明で用いるビタミンEは、大豆及び菜種などの種子あるいはパーム油脂から抽出精製された天然ビタミンE、あるいは合成ビタミンEであり、d−α−トコフェロール、d−β−トコフェロール、d−γ−トコフェロール、d−δ−トコフェロール、d−α−トコトリエノール、d−β−トコトリエノール、d−γ−トコトリエノール、d−δ−トコトリエノール及びdl−α−トコフェロールの内1または2以上の混合物である。該ビタミンEは、常温で油状であり、さらには脂溶性で粘性が極めて高い。 【0014】 本発明で用いるプロリンは、人体を形成するタンパク質の構成成分である20種類のアミノ酸の一種であり、皮膚などを構成するコラーゲンの主要成分である。一般的な性質は、複素環を有した構造であり、弱い甘味を呈し、脂肪分解酵素リパーゼの活性化、コラーゲン合成促進活性及び表皮細胞増殖促進活性などの生理活性を示し、さらには即効性のエネルギー源となる。 【0015】 ビタミンEとプロリンの比率は、重量換算でビタミンE:プロリン=1:0.1〜1:10であることが好ましく、より好ましくは、ビタミンE:プロリン=1:0.27〜1:0.67である。本発明は、ビタミンE含量が高く、且つ、流動性の良い粉末を得ることが目的であり、重量換算でビタミンEが1に対してプロリンが0.27よりも低い場合には、粉体の流動性が悪くなり、重量換算でビタミンEが1に対してプロリンが0.67よりも高い場合には、ビタミンEの含量が低下してくる。 【0016】 本発明で用いる有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール及びブタノール等のアルコール類であり、ビタミンEとプロリンを溶解させるものであるならば何れを用いてもかまわないが、食品への用途を考えると、エタノールを用いることが好ましい。 【0017】 エタノール量は、ビタミンEとプロリンの仕込み量に対して10倍量(V/W)以上であることが好ましい。 【0018】 本発明のビタミンE含量が高く、且つ、流動性の良い粉末は、以下に述べる方法で製造ができるが、これに限定されるものではない。ビタミンE、プロリン及びエタノールを、加温あるいは加熱装置が取り付けられているタンクに所定量を入れ、加温しながら所定時間攪拌した後、エタノールを留去し、次いで乾燥させる。エタノールの留去は、蒸留あるいは減圧蒸留装置などの一般的な装置を用いて行い、粉末の乾燥は、噴霧乾燥、ドラム乾燥、ベルト乾燥あるいは凍結乾燥機などの一般的な装置を用いて行うことができる。 【0019】 かくして得られる粉末は、ビタミンE含量が高く、粉体の流動性が良い。この粉末は、ビタミンEが心筋梗塞のような冠状動脈疾患などの一次予防、前立腺癌の予防、さらにはアルツハイマーの認識機能の衰えの抑制に対して有効であることから、その生理的機能を期待した使用方法に採用できる。 【発明の効果】 【0020】 本発明によって、ビタミンE含量が高く、且つ、流動性の良い粉末を作ることができ、医薬品及び食品の製造に適した粉末にすることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0021】 以下に本発明の実施例及び比較例を挙げて、より詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。 【実施例1】 【0022】 表1の配合に準じ、ビタミンE(商品名:d−α−トコフェロール タマ生化学(株)製)5g、プロリン(商品名:L(−)−プロリン 和光純薬工業(株)製)5g、エタノール180mlをナス型フラスコに量りとり、75℃で3時間加熱した。次いで、エタノールを減圧留去した後、減圧乾燥させると、白色から淡黄色の粉末を10g得た。 【0023】 本実施例は、ビタミンEとプロリンの比が1:1であり、ビタミンEの含量が50%であった。 【実施例2】 【0024】 表1の配合に準じ、ビタミンE(商品名:d−α−トコフェロール タマ生化学(株)製)6g、プロリン(商品名:L(−)−プロリン 和光純薬工業(株)製)4g、エタノール150mlをナス型フラスコに量りとり、75℃で3時間加熱した。次いで、エタノールを減圧留去した後、減圧乾燥させると、白色から淡黄色の粉末を10g得た。 【0025】 本実施例は、ビタミンEとプロリンの比が1:0.67であり、ビタミンEの含量が60%であった。 【実施例3】 【0026】 表1の配合に準じ、ビタミンE(商品名:d−α−トコフェロール タマ生化学(株)製)7g、プロリン(商品名:L(−)−プロリン 和光純薬工業(株)製)3g、エタノール100mlをナス型フラスコに量りとり、75℃で3時間加熱した。次いで、エタノールを減圧留去した後、減圧乾燥させると、白色から淡黄色の粉末を10g得た。 【0027】 本実施例は、ビタミンEとプロリンの比が1:0.43であり、ビタミンEの含量が70%であった。 【実施例4】 【0028】 表1の配合に準じ、ビタミンE(商品名:d−α−トコフェロール タマ生化学(株)製)7.8g、プロリン(商品名:L(−)−プロリン 和光純薬工業(株)製)2.2g、エタノール100mlをナス型フラスコに量りとり、75℃で3時間加熱した。次いで、エタノールを減圧留去した後、減圧乾燥させると、白色から淡黄色の粉末を10g得た(図1)。 【0029】 本実施例は、ビタミンEとプロリンの比が1:0.28であり、ビタミンEの含量が78%であった。 【0030】 [比較例1] 表1の配合に準じ、ビタミンE(商品名:d−α−トコフェロール タマ生化学(株)製)9.1g、プロリン(商品名:L(−)−プロリン 和光純薬工業(株)製)0.9g、エタノール50mlをナス型フラスコに量りとり、75℃で3時間加熱した。次いで、エタノールを減圧留去した後、減圧乾燥させると、白色から淡黄色の粉末を10g得たが、粉末の流動性は良くなかった。 【0031】 本比較例は、ビタミンEとプロリンの比が1:0.099であり、ビタミンEの含量が91%であった。 【0032】 【表1】
【0033】 [比較例2] 表2の配合に準じ、プロリンを同じアミノ酸であるグリシン(商品名:グリシン 和光純薬工業(株)製)3gに代えた以外は実施例3と同様の操作をしたが、粉末にはならなかった。 【0034】 [比較例3〜16] 表2の配合に準じ、プロリンを同じアミノ酸であるL−アラニン(商品名:L−アラニン 和光純薬工業(株)製)3g(比較例3)、あるいは4−アミノ酪酸(商品名:4−アミノ酪産 和光純薬工業(株)製)3g(比較例4)、あるいはL−セリン(商品名:L−セリン 和光純薬工業(株)製)3g(比較例5)、あるいはL−バリン(商品名:L−バリン 和光純薬工業(株)製)3g(比較例6)、あるいはL−スレオニン(商品名:L−スレオニン 和光純薬工業(株)製)3g(比較例7)、あるいはL−システイン(商品名:L−システイン 和光純薬工業(株)製)3g(比較例8)、あるいはL−ロイシン(商品名:L−ロイシン 和光純薬工業(株)製)3g(比較例9)、あるいはL−アスパラギン(商品名:L−アスパラギン 和光純薬工業(株)製)3g(比較例10)、あるいはL−リシン(商品名:L−リシン 和光純薬工業(株)製)3g(比較例11)、あるいはL−グルタミン酸(商品名:L−グルタミン酸 和光純薬工業(株)製)3g(比較例12)、あるいはL−ヒスチジン(商品名:L−ヒスチジン 和光純薬工業(株)製)3g(比較例13)、あるいはL(−)−フェニルアラニン(商品名:L(−)−フェニルアラニン 和光純薬工業(株)製)3g(比較例14)、あるいはL(+)−アルギニン(商品名:L(+)−アルギニン 和光純薬工業(株)製)3g(比較例15)、あるいはL−チロシン(商品名:L−チロシン 和光純薬工業(株)製)3g(比較例16)に代えた以外は実施例3と同様の操作をしたが、何れも粉末にはならなかった。 【0035】 [比較例17、18] 表2の配合に準じ、プロリンを同じアミノ酸であるL−トリプトファン(商品名:L−トリプトファン 和光純薬工業(株)製)4g(比較例17)、あるいはL−シスチン(商品名:L−シスチン 和光純薬工業(株)製)4g(比較例18)に代えた以外は実施例2と同様の操作をしたが、何れも粉末にはならなかった。 【0036】 【表2】
【0037】 プロリンの代わりに、表2記載の17種類のアミノ酸を用いて、ビタミンEとの複合体を形成できるのか実験を行ったが、何れの実験でも粉末にすることができず、このことからビタミンEとプロリンは特異的に複合体を形成し、粉末になることがわかった。 【0038】 [実験例1] 実施例4において得られた粉末を用いて、粉末中のビタミンE含量の測定、安息角、カサ密度、タッピング密度及び融点などの物性値の測定を行った。 【0039】 粉末に含まれるビタミンE含量の測定方法は、粉末に対して40倍量(V/W)の50vol%エタノール水と20倍量(V/W)のヘキサンを用いて分配し、ヘキサンを溶媒留去・乾燥すると粘稠な油を得るので、この油を食品添加物公定書第7版記載の方法でビタミンE含量を定量し、粉末を抽出して得られた油量に、抽出した油中のビタミンE含量を乗じて得られたビタミンE量を、抽出時に用いた粉末量で割った値を百分率で表した値が粉末中のビタミンE含量となるので、結果を表3に示した。 【0040】 さらには、粉末の流動性を調べるため、ABD粉体特性測定器(筒井理化学器械(株)製)を用いて、安息角、カサ密度及びタッピング密度を測定し、結果を表3に示した。 【0041】 粉末の融点は、MICRO MELTING POINT APPARATUS((株)柳本製作所製)を用いて測定し、結果を表3に示した。 【0042】 【表3】
【0043】 表3の結果より、実施例4の本発明である粉末は、粉末中のビタミンE含量は78%、安息角39°、カサ密度0.44g/ml、タッピング密度0.53g/ml及び融点63〜65℃となり、ビタミンE含量が高く、且つ、流動性の良い粉末であることがわかる。 【図面の簡単な説明】 【0044】 【図1】ビタミンEとプロリンとの複合体からなる粉末を示す図。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000108812 【氏名又は名称】タマ生化学株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年7月18日(2006.7.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100091096 【弁理士】 【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100096183 【弁理士】 【氏名又は名称】石井 貞次
【識別番号】100107168 【弁理士】 【氏名又は名称】安田 徹夫
【識別番号】100118773 【弁理士】 【氏名又は名称】藤田 節
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| 【公開番号】 |
特開2008−24603(P2008−24603A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月7日(2008.2.7) |
| 【出願番号】 |
特願2006−195602(P2006−195602) |
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