| 【発明の名称】 |
動脈瘤の予防及び/又は治療薬 |
| 【発明者】 |
【氏名】鶴田 敏博
【氏名】北村 和雄
【氏名】加藤 丈司
【氏名】畠山 金太
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| 【要約】 |
【課題】動脈瘤の予防及び/又は治療薬を提供する。
【構成】ケミカルメディエーター遊離抑制薬を有効成分とする動脈瘤の予防及び/又は治療薬。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ケミカルメディエーター遊離抑制薬を有効成分とする動脈瘤の予防及び/又は治療薬。 【請求項2】 動脈瘤が、腹部大動脈瘤であることを特徴とする請求項1の動脈瘤の予防及び/又は治療薬。 【請求項3】 ケミカルメディエーター遊離抑制薬が、トラニラストであることを特徴とする請求項1又は2記載の動脈瘤の予防及び/又は治療薬。 【請求項4】 トラニラストを有効成分とする腹部大動脈の予防及び/又は治療薬。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、動脈瘤の予防及び/又は治療薬に関するものである。さらに詳しく述べれば、ケミカルメディエーター遊離抑制薬を有効成分とする動脈瘤の予防及び/又は治療薬に関するものである。 【背景技術】 【0002】 動脈瘤は、一般に、動脈硬化、嚢胞性中膜壊死、梅毒性又は真菌性感染症、大動脈炎及び外傷等が原因となる血管壁の局所的脆弱化によって発生すると考えられている血管、特に大動脈又は末梢動脈の限局性の拡張である。大動脈瘤の3/4は腹部大動脈に、1/4は胸部大動脈に発生し、いずれも先行する症状がないまま、動脈瘤が大きくなり破裂することも多い(非特許文献1参照)。動脈瘤は、60歳以上の男性に多く、厳密な血圧コントロールの下、定期的に超音波やCT検査により瘤径を測定し、増大傾向にある場合、動脈瘤の破裂を防ぐため手術適応となる。しかしながら、患者の年齢が高く、また他の疾患を有する場合が多いことから、術後合併症や術後のQOL低下を考慮しなければならない。現在、動脈瘤を内科的に根治治療する方法はない。 【0003】 動脈瘤の発生原因となる動脈硬化や破裂の原因となる高血圧では、血管周囲の線維芽細胞や肥満細胞等が活性化し、これらが血管リモデリングの進行に関与している(非特許文献2参照)。肥満細胞は、血管では主に外膜に存在し、動脈硬化との関連性が示唆されている(非特許文献3参照)が、その病態生理学的な役割については不明な点が多く、ヒスタミン等の化学伝達物質や酵素、脂質メディエーター等のケミカルメディエーターを産生、放出する一種の「内分泌器官」であると考えられている。 【0004】 最近、動脈瘤における血管壁の局所的脆弱化を抑制し得る薬物療法として、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)阻害剤やJNK阻害剤を用いる方法が提案された(特許文献1〜3参照)。MMPは、細胞外マトリックスを分解する酵素であり、関節炎、肺気腫、動脈瘤、動脈硬化等の炎症性疾患の発生や進展に関わりがあると考えられている。JNKは、c−Junのアミノ酸末端をリン酸化する酵素であり、IL−1、TNF−α等のサイトカインや、紫外線、熱ショック、高浸透圧等の物理化学的なストレス刺激で活性化され、MMP活性を亢進させる機能を有する。しかしながら、MMP阻害剤及びJNK阻害剤ともに実用化されたものはない。 【0005】 ケミカルメディエーター遊離抑制薬は、主として、気管支喘息やアレルギー性鼻炎等の治療及び/又は予防に用いられており、動脈瘤との関係については知られていない。また、ケミカルメディエーター遊離抑制に加えてコラーゲン合成阻害作用を有するトラニラストが、PTCA後の再狭窄等の血管内膜細胞過剰増殖疾患、心肥大、粥状動脈硬化症、血管新生阻害、心臓移植後の心血管肥厚、高血圧性細動脈障害及び心不全の治療効果を有することは知られている(特許文献4〜11参照)。しかしながら、トラニラストの血管外膜における作用、及びトラニラストと動脈瘤との関係は知られておらず、それを示唆するものもない。 【0006】 【非特許文献1】メルクマニュアル 診断と治療 第17版 【非特許文献2】Tsuruda, Biophys. Biochem. Res. Commun. 2004;325:80 【非特許文献3】Atkison JB, et al. Hum. Pathol. 1994;25;154 【特許文献1】特表平11−509870号公報 【特許文献2】特開2000−143625号公報 【特許文献3】特開2006−89455号公報 【特許文献4】特開平5−163222号公報 【特許文献5】特開平6−135829号公報 【特許文献6】特開平7−277966号公報 【特許文献7】特開平9−227371号公報 【特許文献8】WO97/29744パンフレット 【特許文献9】WO01/05394パンフレット 【特許文献10】WO01/13911パンフレット 【特許文献11】WO01/13952パンフレット 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 本発明は、動脈瘤の予防及び/又は治療薬を提供することを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明者らは、動脈瘤の内科的治療の研究において、ヒト腹部大動脈瘤の血管壁では正常血管に比べ肥満細胞数が顕著に増加しており、異常なコラーゲン沈着を認めることを発見した。これは、肥満細胞が線維化に関与する種々の生理活性物質を産生することで、血管壁における細胞外基質の代謝異常を誘導し、血管壁の脆弱、すなわち動脈瘤形成を引き起こすことを示唆するものである。したがって、肥満細胞からの生理活性物質の放出を抑制すれば、動脈瘤の形成を阻止することができる可能性がある。 【0009】 本発明者は、以上の知見をもとに、肥満細胞と動脈瘤形成との関係について鋭意研究した結果、肥満細胞の生理活性物質放出を抑制するケミカルメディエーター遊離抑制薬が動脈瘤の形成を阻止し得ることを見出し、本発明を完成させた。 【0010】 すなわち、本発明の要旨は、ケミカルメディエーター遊離抑制薬を有効成分とする動脈瘤の予防及び/又は治療薬に存する。 【発明の効果】 【0011】 ケミカルメディエーター遊離抑制薬は、動脈瘤の形成を抑制するため、動脈瘤の予防及び/又は治療薬として用いることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 本明細書において、動脈瘤としては、例えば、腹部大動脈瘤及び胸部大動脈瘤等の大動脈瘤;膝窩動脈瘤、腸骨動脈瘤及び大腿動脈瘤等の末梢動脈瘤などが挙げられる。 【0013】 ケミカルメディエーター遊離抑制薬は、肥満細胞からのケミカルメディエーターの遊離を抑制するものであれば任意であり、例えば、ヒスタミン等の化学伝達物質の遊離を抑制するトラニラスト、フマル酸ケトチフェン、クロモグリク酸ナトリウム、レピリナスト、ペミロラストカリウム、イブジラスト及びアシタザノラスト水和物等が挙げられる。これらのうち、コラーゲン合成阻害作用を有するトラニラストが最も好ましい。これらのケミカルメディエーター遊離抑制薬は、いずれも公知の化合物であり、それぞれ公知の方法により製造することができる。また、市販されている製品を用いることもできる。 【0014】 本発明に係る動脈瘤の予防及び/又は治療薬は、ケミカルメディエーター遊離抑制薬と、慣用されている製剤担体とを混合することにより製造することができる。 【0015】 製剤担体は、投与形態に応じて、適宜、組み合わせて用いればよく、例えば、乳糖等の賦形剤;ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤;カルボキシメチルセルロース等の崩壊剤;ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の結合剤;マクロゴール等の界面活性剤;炭酸水素ナトリウム等の発泡剤;シクロデキストリン等の溶解補助剤;クエン酸等の酸味剤;エデト酸ナトリウム等の安定化剤;リン酸塩等のpH調整剤などが挙げられる。 【0016】 本発明に係る動脈瘤の予防及び/又は治療薬の投与形態としては、例えば、散剤、顆粒剤、細粒剤、ドライシロップ剤、錠剤及びカプセル剤等の経口投与剤;注射剤、軟膏剤、トローチ剤及び貼付剤等の非経口投与剤などが挙げられる。 【0017】 上記製剤中に含まれるケミカルメディエーター遊離抑制薬は、それぞれの薬剤において適宜定めて調製すればよい。例えば、トラニラストの場合、経口投与では成人1日当たり100mg〜1000mg、非経口投与では成人1日当たり30mg〜300mgの範囲である。 【実施例】 【0018】 以下に本発明を実験例に基づいて、さらに詳細に説明するが、本発明はその内容に限定されるものではない。 【0019】 [実施例1] 12週齢の雄性ラット(Slc: WsRC-+/+;日本エスエルシー株式会社)を麻酔下で開腹し、血管周囲の結合組織を剥離して腹部大動脈を単離した。腎動脈分岐下部の腹部大動脈壁に滅菌綿棒を用いて0.4mol/L塩化カルシウム溶液を15分間塗布し(Basalyga DM, et al. Circulation 110:3480-3487,2004)、滅菌生理食塩水で腹腔内を洗浄後、閉腹した。トラニラスト投与群(10匹)には1%炭酸水素ナトリウム2mLに溶解したトラニラスト400mg/kg/dayを1日2回、対照群(10匹)には1%炭酸水素ナトリウム溶液2mLを1日2回、モデル作成1週間前より開始し、動脈瘤モデル作成後14日間引き続き胃管チューブを用いて経口投与した。モデル作成14日後、開腹して動脈径(瘤径)を測定した。結果を図1に示す。 【産業上の利用可能性】 【0020】 トラニラストは、動脈瘤の発生や進展を抑制するので、動脈瘤の治療及び/又は予防薬として用いることができる。 【図面の簡単な説明】 【0021】 【図1】図1は、動脈径の拡大を示す図である。左は対照群、右はトラニラスト投与群であり、縦軸は動脈瘤モデル作成前(塩化カルシウム塗布前)の動脈径に対する拡大%を表し、**はスチューデントT検定によるP<0.01の有意差を表す。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000104560 【氏名又は名称】キッセイ薬品工業株式会社 【識別番号】504224153 【氏名又は名称】国立大学法人 宮崎大学
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| 【出願日】 |
平成18年7月14日(2006.7.14) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−19221(P2008−19221A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月31日(2008.1.31) |
| 【出願番号】 |
特願2006−193689(P2006−193689) |
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